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K 6233- : 1998(ISO 6528-3 : 1988) 

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。

今回の制定は,国際規格に整合させるために,ISO 6528-3 : 1988, Rubber−Determination of total sulfur

content-Part 3 : Furnace combustion method

を基礎として用いた。

JIS K 6233

は,一般名称を“ゴム−全硫黄の定量”として,次の各部によって構成する。

第 1 部:酸素燃焼フラスコ法

(Part 1 : Oxygen combustion flask method)

第 2 部:過酸化ナトリウム融解法

(Part 2 : Sodium peroxide fusion method)

第 3 部:電気炉燃焼法

(Part 3 : Furnace combustion method)


日本工業規格(案)

JIS

 K

6233-3

: 1998

 (I

6528-3

: 1988

)

ゴム−全硫黄の定量−

第 3 部:電気炉燃焼法

Rubber

−Determination of total sulfur content-

Part 3 : Furnace combustion method

序文  この規格は,1988 年に第 1 版として発行された ISO 6528-3, Rubber−Determination of total sulfur

content-Part 3 : Furnace combustion method

を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成

した日本工業規格である。

  なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にない事項である。

1.

適用範囲及び適用分野

1.1

この規格は,生ゴム,未加硫配合ゴム,加硫ゴム中の全硫黄を電気炉中で燃焼させて定量する方法

について規定する。硫黄には,硫酸バリウム,硫酸カルシウム,リトポンとして存在する硫黄も含まれる。

1.2

この方法は,塩化ゴム,ニトリルゴム,炭化水素ゴム(天然ゴム含む)

,に適用できる。不溶性硫酸

塩を形成する金属塩が存在しても,測定結果に影響を及ぼさない。

2.

引用規格

JIS K 6225 : 1998

  加硫ゴム−試料及びテストピースの調製方法−化学試験

備考  ISO 4661-2 : 1987, Rubber, vulcanized-Preparation of samples and test Pieces-Part 2 : Chemical tests

が,この規格と一致している。

JIS K 6233

  ゴム−全硫黄の定量

−  第 1 部:酸素燃焼フラスコ法

−  第 2 部:過酸化ナトリウム融解法

備考  ISO 6528 RubberDetermination of total sulfur content

-Part 1 : Oxygen combustion flask method

-Part 2 : Sodium peroxide fusion method

が,この規格と一致している。

JIS K 8180 : 1994

  塩酸(試薬)

JIS K 8223 : 1994

  過塩素酸(試薬)

JIS K 8230 : 1994

  過酸化水素(試薬)

JIS K 8405 : 1994

  酸化亜鉛(試薬)

JIS K 8576 : 1994

  水酸化ナトリウム(試薬)

JIS K 8839 : 1995

  2-プロパノール(試薬)

JIS K 8891 : 1996

  メタノール(試薬)


2

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

JIS K 8896 : 1992

  メチルレッド(試薬)

JIS K 8897 : 1992

  メチレンブルー(試薬)

JIS K 8951 : 1995

  硫酸(試薬)

JIS K 8987 : 1995

  硫酸ナトリウム(試薬)

JIS K 9551 : 1994

  過塩素酸バリウム(試薬)

ISO 383

  Laboratory glassware−Interchangeable conical ground, joints

ISO 4793

  Laboratory sintered (fritted) filters−Porosity grading, classification and designation

3.

原理

3.1

触媒存在下で酸素を流しながら試料を燃焼させ,生成した硫黄酸化物を過酸化水素に通し,生成し

た硫酸を滴定法で定量する。

3.2

燃焼させるゴムの種類に応じて 2 種類の滴定法のうちいずれかを用いる。塩素又は窒素燃焼生成物

が存しない場合には,アルカリ滴定法を用いる。塩素及び/又は窒素が存在する場合には,過塩素酸バリ

ウム滴定法を用いる。

警告  この分析方法を用いるときは,必要と認められる健康及び安全に対する措置をすべて講じなけれ

ばならない。

4.

試薬  分析には,特に指定がない限り日本工業規格に規定する最上級の試薬,及び蒸留水又は同等の

純度の水を用いる。

4.1

燃焼に用いる試薬

4.1.1

塩化カルシウム  無水,粒径が 800∼1 400

µm のもの。

4.1.2

触媒  五酸化バナジウム 0.8g と JIS K 8405 に規定する酸化亜鉛 0.2g を各測定ごとに混合する。五

酸化バナジウムはあらかじめ浅い皿に入れ,

140

∼160℃に加熱して 16 時間乾燥させておかなければならな

い。冷却し,デシケーター中で保管する。

4.1.3

過酸化水素  3% (m/m)  水溶液

JIS K 8230

に規定する過酸化水素 1 容と水 9 容を注意しながら混合する。

警告  過酸化水素は皮膚に対して強い浸食作用がある。したがって,取扱い時にはゴム又はプラスチッ

ク製手袋及び保護眼鏡を着用しなければならない。

4.1.4

過塩素酸マグネシウム  無水,粒径か 800∼1 400

µm のもの。

警告  過塩素酸マグネシウムは,皮膚及び粘膜に炎症を起こすことがある。

4.1.5

酸素の供給  例えば,35kPa 以上の圧力が得られるような適切な減圧弁を備えたボンベ。

4.1.6

二酸化炭素吸収剤(合成けい酸塩上に水酸化ナトリウムを吸着させたもの)

。粒径が 800∼1 400

µm,

自己指示型のものが望ましい。

4.2

滴定に用いる試薬

4.2.1

過塩素酸  希釈溶液

JIS K 8223

に規定する過塩素酸 (HClO

4

)

溶液 1 容と水 1 容を注意しながら混合する。

警告  過塩素酸の取扱いには特に注意しなければならない。多くの場合,過塩素酸はちり又は有機物と

接触すると発火する。過塩素酸が有機物に触れないようにしなければならない。

4.2.2

2-

プロパノール  JIS K 8839 に規定するもの。

分析級試薬が入手できない場合には,2-プロパノールを再蒸留して用いる。


3

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

4.2.3

過塩素酸バリウム  標準溶液  [ Ba (ClO

4

)

2

]

=0.01mol/dm

3

4.2.3.1

調製  JIS K 9551 に規定する過塩素酸バリウム  [ Ba (ClO

4

)

2

・3H

2

O] 3.903g

を 200cm

3

の水に溶解す

る。過塩素酸希釈溶液(4.2.1 参照)で pH を約 3.5 に調整する。2-プロパノールを(4.2.2 参照)を加えて

全量を 1dm

3

とする。

4.2.3.2

標定  次の方法で過塩素酸バリウムを標定する。JIS K 8987 に規定する無水硫酸ナトリウム

(Na

2

SO

4

) 0.10g

±0.1mg まで量り採り,10cm

3

の水を入れた 100cm

3

全量フラスコに入れ溶解する。標線まで

水を加える。この溶液 10cm

3

をピペットで正確に量り,小形フラスコ又はビーカーに分取する。2-プロパ

ノール 40cm

3

を加えてアルコール分を容積換算で 80%とし,ゴムの分析(7.2 参照)と同じ指示薬を用い

て同じ終点で滴定する。

過塩素酸バリウム溶液のモル濃度 c

1

は,次の式を用いて 1dm

3

当たりの Ba (ClO

4

)

2

のモル数で表す。

s

s

v

m

c

×

×

×

=

06

.

142

000

1

1

.

0

1

ここに,  m

s

:  硫酸ナトリウムの質量 (g)

v

s

:  滴定に要した過塩素酸バリウム溶液の体積 (cm

3

)

4.2.3.3

保管  調製した過塩素酸バリウムは保管中に劣化する。このため,0.000 5mol/dm

3

の濃度変化が

検知できるように頻繁に標定しなければならない。

4.2.4

水酸化ナトリウム溶液  C (NaOH)  =0.02mol/dm

3

JIS K 8576 に規定する水酸化ナトリウムで調製

し,正確に標定したもの,又は市販溶液。

4.2.5

過塩素酸バリウム滴定の指示薬  この規格での使用に適した 2 種類の指示薬を示す。

4.2.5.1

トリン指示薬  トリン(

1

)

0.2g

を 100cm

3

の水に溶解する。

試薬は均一な赤色粉末で,だいだい色の透明溶液が得られるものでなければならない。

4.2.5.2

トリン/メチレンブルー指示薬  トリン 0.5g を 100cm

3

の水に溶解する。

JIS K 8897

に規定するメチレンブルー固体 0. 012g を 100cm

3

の水に溶解する。

4.2.6

アルカリ滴定の指示薬  JIS K 8896 に規定するメチルレッド 0.125g 及び JIS K 8897 に規定するメ

チレンブルー0.04g を JIS K 8891 に規定するメタノール 100cm

3

に溶解する。

4.2.7

塩酸   (HCl) =2mol/dm

3

JIS K 8180

に規定する塩酸(

ρ

=1.18mg/m

3

)1 容を水 5 容で希釈する。

4.2.8

陽イオン交換樹脂  芳香族スルフォン酸活性基(

2

)

をもつ強酸性物質。

イオン交換カラム管(5.6 参照)に充てんする前に,蒸留水を入れたビーカーに樹脂を浸せき(漬)し,

膨潤させる。

使用前及び樹脂再生後に次の要求事項が満たされていることを確認する(樹脂の妨害イオン除去能力は

大きいため,樹脂の再生が必要になるまでに 5∼10 回使用できることもある。

a)

 15cm

3

の水で JIS K 8951 に規定する硫酸で調製した C (H

2

SO

4

)

=0.02mol/dm

3

の硫酸溶液 10cm

3

を完全

に溶離できなければならない。溶出液の最後の部分に硫酸イオンが存在しないことをトリン溶液

4.2.5.1 参照)を用いて確認する。

b)

ゴムの分析において最も一般的な妨害イオンである亜鉛 0.1g を,このイオン交換カラムを用いて除去

できなければならない。

樹脂の再生は次の手順で行う。塩酸(4.2.7 参照)10cm

3

を 1 秒間に 2∼3 滴の速さで樹脂層を通過さ

せ,次に水 20cm

3

を用いてそれより速い速度で樹脂層を洗浄する。洗浄液の最後の数滴に硫酸イオン

が存在しないことをトリン溶液(4.2.5.1 参照)を用いて確認する。


4

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(

1

)

 2,

2-

ヒドロキシ-3, 6-ジスルホ-1-ナフチルアゾベンゼンアルソン酸

(

2

多くの種類及び粒径範囲の樹脂が入手可能である。J. T.  ベーカー社(アメリカ合衆国ニュージャージ

ー州フィリップスバーク市レッドスクールレーン 222 番地)製の DOWEX50W-8X,粒径 75∼150

µm

(100∼200 メッシュ)は満足できる性能をもっている。この情報はこの規格の利用者に便宜を図るた

めのものであり,当該製品をこの規格が推奨するものではない。同様の結果が得られることが明らか

な場合には,これと同等の製品を用いてもよい。


5

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

5.

装置  通常の実験室装置,ISO 383 の要求事項に合致する継手付きガラス器具に加えて,次の装置を

用いる。

5.1

燃焼装置(図 参照)

参考  同等のもので,同様の結果が得られるならば形状,寸法が多少異なっていても差し支えない。

5.1.1

流量計 (A)    0.8∼1cm

3

/s

が表示できるもの。

5.1.2

清浄装置  枝付 U 字管 2 本 (B,C)  を校正済みの流量計 (A) に接続したもの。

5.1.2.1

U

字管 (B)    枝付,過塩素酸マグネシウム(4.1.4 参照)を満たしたもの。

5.1.2.2

U

字管 (C)    枝付,二酸化炭素吸収剤(4.1.6 参照)を満たしたもの。

5.1.3

石英燃焼管  曲げ端部に加熱用のヒーターを取り付けたもの (D)。水平部全長 650∼670mm。内径

16mm

のなし地仕上げ又は透明の石英管で,一端に内径 7mm の透明石英管を融着し,もう一方の端には

24/29

かぎ付テーパーすり合わせ継手を融着したもの。

24/29

かぎ付テーパーすり合わせ継手の全長は 30mm

を超えてはならない。広幅部の長さは 480mm,内径 7mm の狭幅部は水平長さ 170∼190mm,直角に下向

きに曲がり,曲げ部と同じ平面にかぎが付いた 10/19 テーパーすり合わせも含めた垂直部の長さは 77mm

とする。すり合わせには硫黄を含まない耐熱性シリコーングリースを塗布する。燃焼管の曲げ部及びその

近傍のすり合わせ継手部で水分が凝縮しないように,曲げ部に電気式ヒーターを取り付け,適当な制御手

段を用いて 400∼500℃に加熱する。

24/29

かぎ付テーパーすり合わせは,ゴム管を介して清浄装置の U 字管 (C) と接続する。

電気炉から発生するふく(輻)射熱で吸収容器内の溶液が影響を受けないように,燃焼管の出口には耐

熱性のある断熱材のついたてを取り付ける。

5.1.4

取っ手及びボタン付石英棒 (E)   棒の直径は 7∼8mm,ボタンの直径は 12∼13mm とする。全長

は 125mm とする。

5.1.5

磁性ステンレス鋼製筒 (F)   直径 13∼14mm,全長 10∼11mm,石英燃焼管 (D) の外から筒 (F) を

動かすことができる磁石も必要である。

5.1.6

取っ手付燃焼ボート(透明石英製) (G)   外形:全長 53∼55mm,幅 11∼13mm,深さ 7∼9mm。

5.1.7

温度表示及び温度調節機能付き電気炉 (H)   長さ約 320mm,1 000±20℃に保つことができるもの。

5.2

吸収装置

参考  同等のもので,同様の結果が得られるならば形状,寸法が多少異なっていても差し支えない。

5.2.1

一次吸収容器 (J) (図 参照)  U 字型の管で,管の底から(垂直に測って)70∼80mm の位置に

ある 10/19 すり合わせ(めす形)で燃焼管と接続する。このリムの内径は 6mm で,管の底から 30∼35mm

の位置には活栓が付いている。もう一つのリムは長さ 70mm で,直径 30mm の膨らみ部分の底部は焼結ガ

ラス製ディスク(開孔度 P40,ISO 4793 参照)で密封されている。このリムの先端部 30mm は,直径が 14mm

に狭くなり,その先に 12/13 すり合わせ(めす形)が付いている。

5.2.2

二次吸収容器  (K)    容量が 20∼25cm

3

の枝付き丸底フラスコで,首の部分が 10/19 すり合わせ(め

す形)になっている。枝には 10/19 テーパーすり合わせ及び導出管が付いており,導出管は塩化カルシウ

ム管 (L) を通ってニードル弁 (M),更に吸気系に接続される。一次吸収容器及び二次吸収容器は,内径が

7mm

で一方の端部が 12/13 テーパーすり合わせ(おす形)

,もう一方が導出管付きの 10/19 テーパーすり合

わせ(おす形)になった逆 U 字管で互いに接続される。この導出管の先端は,二次吸収容器の底から 1mm

以内の位置まで届くようになっている。

吸収容器のすり合わせガラス継手は,すべてばね式金具で固定し,

グリースは用いない。

5.2.3

塩化カルシウム管 (L) 


6

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

5.2.4

ニードル弁 (M) 

5.3

ビュレット  容量 10cm

3

。0.01cm

3

まで読み取れるもの。

5.4

マグネチックスターラー(使用することが望ましいが,必ずしも必要でない。)

5.5

昼光電球(使用することが望ましいが,必ずしも必要でない。)

5.6

イオン交換カラム管  全長約 170mm,内径 10mm の小管で,一端に焼結ガラス円盤と活栓を備えた

もの。焼結ガラス円盤がない場合には,底部に約 10mm の厚さにグラスウールを充てんし,その上にイオ

ン交換樹脂(4.2.8 参照)を充てんしてカラムを調製する。

6.

試験試料の調製

6.1

試料を実験室用ミルで粉砕し,十分に均質化する。

参考  試料の調製に関しては,JIS K 6225 : 1998(加硫ゴム−試料及びテストピースの調製方法−化学

試験)を参照にするとよい。

6.2

測定に用いる試験片が少量のため,ゴムは汚染されないようにしなければならない。試験片を扱う

ときにピンセットを用いることによって,汚染の危険が減少する。

7.

手順

7.1

燃焼

7.1.1

燃焼炉(5.1.7 参照)を 1 000±20℃に加熱し,燃焼管(5.1.3 参照)の曲げ部も 400∼500℃に加熱

する。

7.1.2

あらかじめ強熱しておいた燃焼ボート(5.1.6 参照)に約 0.3g の触媒層(4.1.2 参照)を置く。試料

約 50±0.1mg(エボナイト又はチオプラストの場合には 10±0.1mg)を正確に量り採り,1 か所に固まらな

いようにして燃焼ボートに分散させる。残りの触媒で試料を覆う。

7.1.3

吸収容器(5.2.1 及び 5.2.2 参照)を燃焼管に接続する。逆 U 字管を外し,12/13 すり合わせ継手部

から目盛付ピペットで過酸化水素水溶液(4.1.3 参照)15cm

3

を一次吸収容器に,5cm

3

を二次吸収容器に加

える。逆 U 字管を元に戻し,二次吸収容器の枝管に塩化カルシウム管(5.2.3 参照)を接続し,更にニード

ル弁,吸気系に接続する。

7.1.4

酸素供給系(4.1.5 参照)を流量計(5.1.1 参照)及び清浄装置(5.1.2 参照)に接続し,流量を 0.8cm

3

/s

に調節する。酸素の流量を一定にするため,酸素ボンベの吐出圧力計の圧力が 35kPa 以下にならないよう

にする。酸素減圧弁の設定を変えずに酸素と流量計の接続を外す。

7.1.5

燃焼ボートを燃焼管の入り口に挿入し,次に石英棒(5.1.4 参照)及びステンレス鋼製筒  (5.1.5)  を

挿入する。24/29 すり合わせ(めす形)で燃焼管を閉じ,清浄装置及び流量計を接続する。燃焼管及び吸

収容器を通った清浄空気が量計の表示で 1cm

3

/s

となるように吸気を調節する。流量計に酸素を接続し,あ

らかじめ調節した流量で燃焼管及び吸収装置に酸素を流す。

7.1.6

磁石,鋼製筒,石英棒を用いて燃焼ボートを加熱炉から 10mm の位置まで移動させ,そのまま 2

分間置く。一定の燃焼速度を維持するため,燃焼ボートを加熱炉の最も熱い位置まで 0.5cm/s の速さでゆ

っくり前進させる(燃焼ボートの移動が早すぎると流量計が異常に変動する。

。ボートが加熱炉の最も熱

い位置に達したら,鋼製筒を直ちに燃焼管の入り口まで引き出す。有機物が完全に分解し流量計が安定し

たら,更に 30 分間燃焼させ,アルカリ土類の硫酸塩を分解させる。


7

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

7.1.7

燃焼管曲げ部のヒーターを切り,酸素と流量計の接続を外す。例えば圧縮空気の噴流を用いて一次

吸収容器の 10/19 継手を室温まで冷却する。次に,吸気系を二次吸収容器の枝管から外し,石英棒及び燃

焼ボートを取り出す。

備考  更に定量を行うためにボートを清浄にするには,内容物が溶融している間にボートを引き出し,

砂を入れたビーカーに内容物を素早く注ぎ入れる。必要に応じてボートを加熱する。ボートを

温塩酸(

ρ

=1.18mg/m

3

)中に浸し,次に水洗して酸を完全に除去し,最後に強熱する。

7.1.8

枝管に手押しベローズポンプを取り付け,緩やかに吹いて溶液を二次吸収容器から一次吸収容器方

向に戻し,10/19 継手のすぐ上になるまで下部 U 字管を回す。注意しながら活栓を開け,溶液をフラスコ

にゆっくり流し込む。溶液がフラスコに完全に移るまでベローズポンプで吹き続ける。吸収溶液を 250cm

3

三角フラスコに回収する。

7.1.9

二次吸収容器の枝管から水 8cm

3

を加え,

手押しベローズポンプを用いて一次吸収容器に移し,

10/19

継手上の U 字管を洗浄し,洗浄液を(既に吸収容液が入った)三角フラスコに集める。12/13 継手の位置

で器具を外し,U 字管の広幅部の内壁を水 10cm

3

で洗浄する。12/13 継手を元に戻し,U 字管に溶液を導入

し,活栓を開けて三角フラスコに回収する。更に,10cm

3

の水で洗浄を繰り返し,洗浄液をすべて三角フ

ラスコに集める。

7.1.10

ゴムに塩素が含まれている場合には,少量の塩化亜鉛が流出する。この場合には,7.1.9 の溶液を

イオン交換カラム(5.6 参照)に通して,亜鉛による妨害を除去しなければならない。全溶液を調製したイ

オン交換カラムに通し,1 秒間に 2∼3 滴の速さで 250cm

3

三角フラスコに滴下させる。この滴下速度が得

られるように活栓を調節する。7.1.9 の溶液を入れた最初のフラスコの内壁を水洗し,そのたびに洗浄液を

イオン交換カラムに通し,滴下する洗浄液を別のフラスコに集める。上から圧力をかけるか,又は下から

吸引して洗浄液の最後の部分を排出させる。

7.1.11

燃焼生成物に塩素及び/又は窒素が含まれている場合には,7.2 に従って分析を行う。塩素及び窒

素の燃焼生成物が存在しない場合には,7.3 に従って水酸化ナトリウムで滴定する。

7.2

過塩素酸バリウム滴定

7.2.1

試料中に含まれる硫黄は 3mg を超えてはならない。これ以上の硫黄が含まれていることが判明し

た場合には,試料を少なくして測定を繰り返す。

備考  試料が硫黄を 6% (m/m) 含む場合には,推奨サイズの試料 50mg 中には硫黄が 3mg 含まれてい

る。

7.2.2

7.1.9

及び 7.1.10 に規定する方法で得られた試験溶液を煮沸して試料の体積を 10∼20cm

3

とする。

このとき,フラスコの首の部分に漏斗を置き,液が飛散しないように注意して煮沸する。2-プロパノール

(4.2.2)

を十分に加え,試験溶液のアルコール分を 70∼90% (v/v)  とする。

7.2.3

4.2.5.1

に規定する指示薬を用いる場合には,トリン溶液 2∼3 滴を加え,過塩素酸バリウムで滴定

する。液がピンク色を呈した点を終点とし,そのときのビュレットの目盛りを 0.01cm

3

まで読み取る。

7.2.4

4.2.5.2

に規定する指示薬を用いる場合には,トリン溶液 1 滴を加え,溶液がだいだい色から黄色に

変化するまで十分な量のメチレンブルー溶液を加える。

注意  溶液が緑色を呈するまでメチレンブルーを過剰に加えてはならない。

過塩素酸バリウム(4.2.3 参照)で滴定し,ピンク色が変色しなくなった点を終点とし,そのときのビュ

レットの目盛りを 0.01cm

3

まで読み取る。


8

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

7.2.5

どちらの指示薬を用いる場合も,必要ならばマグネチックスターラー(5.4 参照)及び昼光電球(5.5

参照)を用いてよい。滴定中のフラスコ前面にジアゾクロームブルーフィルム(

3

)

を置くと,滴定終点を決

定するときに役立つ。

7.2.6

どちらの指示薬を用いる場合も 8.1 に従い,滴定に要した過塩素酸バリウム量を用いて硫黄量を計

算する。

7.3

水酸化ナトリウム滴定

7.3.1

7.1.9

に規定する方法で得られた溶液にメチルレッド/メチレンブルー指示薬溶液(4.2.6 参照)を

2

滴加え,水酸化ナトリウム溶液(4.2.4 参照)で滴定する。ビュレットの目盛りを 0.01cm

3

まで読み取る。

7.3.2

8.2

に規定する手順で硫黄量を計算する。

7.4

空試験  試料を加えずに,同一量の試薬を用いて厳密に同じ手順で空試験を行う。

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

(

3

)

  Gordon Audio Visual Ltd

(ロンドン,オックスフォード・サーカス,マーケット・プレイス 28-30)か

ら様々な大きさの適切なフィルムが入手できる。この情報は,この規格の利用者に便宜を図るもので

あり,当該製品をこの規格が推奨するものではない。同様な結果が得られることが明らかな場合には,

これと同等の製品を用いてもよい。


9

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

8.

結果の表示

8.1

塩素及び/又は窒素を含む試料については,全硫黄量の質量%を次の式を用いて 0.01%まで求める。

(

)

m

c

V

V

100

1

032

.

0

1

b

t

×

×

×

ここに,

V

t

:  滴定に要した過塩素酸バリウム溶液(4.2.3 参照)

の体積 (cm

3

)

V

b

:  空試験に要した過塩素酸バリウム溶液(4.2.3 参照)の体積

(cm

3

)

m

:  試料の質量 (g)

c

1

:  過塩素酸バリウム溶液(4.2.3.2 参照)の濃度 (mol/dm

3

)

8.2

塩素及び/又は窒素を含まない試料については,全硫黄量の質量%を次の式を用いて 0.01%まで求め

る。

(

)

m

c

V

V

2

b

t

2

.

3

ここに,

V

t

:  滴定に要した水酸化ナトリウム溶液(4.2.4 参照)

の体積 (cm

3

)

V

b

:  空試験に要した水酸化ナトリウム溶液(4.2.4 参照)の体積

(cm

3

)

c

2

:  水酸化ナトリウム溶液(4.2.4 参照)の実濃度,1dm

3

当たり

の NaOH のモル数

m

:  試料の質量 (g)

8.3

繰返し精度についての要求事項(9.1 参照)が満たされた場合には,2 回の定量結果の平均値を最終

結果とする。硫黄量の平均値を 0.05% (m/m)  まで表示する。

9.

精度及び正確さ

9.1

繰返し精度  同じ測定者によって得られた 2 回の試験結果が次の基準に適合する場合には,その試

験結果を採用することができる。

全硫黄の測定値

平均値からのずれ

% (m/m)

% (m/m)

1

未満の場合

±0.1

1

以上 5 以下の場合

±0.2

5

を超える場合

±0.3

試験結果 No.1:全硫黄量 2.8%

(m/m)

試験結果 No.2:全硫黄量 3.2%

(m/m)

      平均値:全硫黄量 3.0%

(m/m)

2

回の試験結果は,全硫黄の平均値 3.0% (m/m) の±0.2% (m/m) 以内に入っている。したがって,この

試験結果は採用することができる。

9.2

再現性  この規格では,試験室間での再現性については検討していない。

9.3

正確さ  この規格では,正確さについては検討していない。

10.

試験報告書  試験報告書には,次の情報が含まれていなければならない。

a)

試料を完全に特定するために必要なすべての詳細情報。


10

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

b)

この規格を引用した旨の記述。

c)

2

回の測定結果の平均値。

d)

個々の試験に影響を及ぼした可能性のある,この規格に含まれない操作。

e)

試験を実施した日付。

図 1  電気炉燃焼法による全硫黄の定量に用いる器具 


11

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

図 2  電気炉燃焼法による全硫黄の定量に用いる吸収容器


12

K 6233-3 : 1998 (ISO 6528-3 : 1988)

ゴム製品分析方法原案作成委員会・分科会  構成表

氏名

所属

委員会

分科会

(委員長)

本  間  輝  武

神奈川工科大学応用化学科

西  本  右  子

神奈川大学理学部

増  田      優

通商産業省基礎産業局化学製品課

大  嶋  清  治

工業技術院標準部材料規格課

中  室  輝  夫

工業技術院標準部材料規格課

橋  本  繁  晴

財団法人日本規格協会

鈴  木      守

社団法人日本ゴム協会

神  代      啓

社団法人日本化学工業協会

秋  山  節  夫

株式会社ブリヂストン研究部

永  武  寿  宏

横浜ゴム株式会社

浅  田  美佐子

株式会社ゼオン分析センター

伊  藤  政  幸

日本原子力研究所

小  野  茂  之 NOK 株式会社筑波技術研究所

鹿  庭  正  昭

国立衛生試験所療品部

塩  沢      功

鬼怒川ゴム工業株式会社

岩  田  知  晴

株式会社明治ゴム化成

福  岡      清

ニチアス株式会社鶴見研究所

橋  本  和  信

東海ゴム工業株式会社

中  村  修  蔵

株式会社興国ゴム技術研究所

栗  田  光  造

古河電気工業株式会社平塚研究所

中  村  博  雄

日本合成ゴム株式会社四日市工場

鈴  木  裕  次

財団法人化学品検査協会

(事務局)

三  須      武

社団法人日本化学工業協会

濱  島  俊  行

社団法人日本化学工業協会

伊  藤  茂  樹

財団法人化学品検査協会

◎委員長,分科会主査を示す。

文責  福岡  清