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C 5990 : 1997

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まえがき

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日

本工業規格である。これによって JIS C 5990-1988 は改正され,この規格に置き換えられる。

今回の改正では,日本工業規格と国際規格との一致に留意したが,これについては

解説にその詳細を記

述した。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実

用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。

通商産業大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録

出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS C 5990

には,次に示す附属書がある。

附属書 1(参考)  光伝送用フォトダイオード(APD 以外)の個別規格の様式

附属書 2(参考)  光伝送用フォトダイオード (APD) の個別規格の様式

附属書 3(参考)  光伝送用フォトダイオード環境試験及び耐久試験用個別規格の様式


日本工業規格

JIS

 C

5990

: 1997

光伝送用フォトダイオード通則

General rules of photodiodes for fiber optic transmission

序文  規格を適用するに当たっては,その規格が引用している規格も同時に参照しなければならない。ま

た,同類の規格があれば,これとの比較検討が必要なことも多い。

  この規格は,1992 年に発行された IEC 747-5, Semiconductor devices−Discrete devices and integrated circuits

Part 5 : Optoelectronic devices

及び 1994 年に発行された IEC 747-5 Amendment 1 を元に,技術的内容を変更

することなく作成した日本工業規格である。

1.

適用範囲  この規格は,光伝送用フォトダイオード(電子回路内蔵形を除く。以下,フォトダイオー

ドという。

)の用語,記号,分類,最大定格,性能などの一般的共通事項について規定する。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

IEC 747-5 (1992)

  Semiconductor devices − Discrete devices and integrated circuits Part 5 :

Optoelectronic devices (Second edition)

IEC 747-5 (1994)

  Amendment 1

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格は,その最新版を適用する。

JIS C 0301

  電気用図記号

JIS C 5991

  光伝送用フォトダイオード測定方法

3.

定義  この規格で用いる主な用語(記号)の定義は次による。

a)

絶対最大定格  (Absolute maximum ratings)   瞬時でも超過してはならない限界値。どの一つの規格値

も超えてはならない。

b)

保存温度  (Storage temperature, T

stg

)

  電源電圧及び入力信号を加えないときの許容周囲温度。

c)

周囲温度  (Ambient temperature, T

a

)

  フォトダイオードが置かれている雰囲気の温度。

d)

ケース温度  (Case temperature, T

c

)

  規定の部分におけるケースの温度。

e)

動作温度 (Operating temperature, T

op

)

  規定の電圧又は電流の場合に動作が保証できる周囲温度

(Operating ambient temperature, T

op(a)

)

又はケース温度  (Operating case temperature, T

op(c)

)

f)

暗電流  (Reverse dark current, I

d

)

  光が入力しない状態で規定の逆電圧を印加したときに流れる電流。

g)

降伏電圧 (Breakdown voltage, V

(BR)

)

  フォトダイオードに逆電圧を加え電圧を増加していくとアバラ

ンシェ増倍によって急激に電流が増加するが,この領域で規定の逆電流を流したときの電圧。

備考  アバランシェ増倍とは,キャリアである電子又は正孔が逆バイアスされ,電界の極めて大きく

なった空間電荷層を通過するとき大きなエネルギーを獲得するため,結晶を構成する原子との


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C 5990 : 1997

衝突電離によって電子正孔対を作ることを急速に繰り返し,電流が急増する現象。

h)

受光感度  (Responsivity, S)    規定の波長の単位入力光パワー当たりの出力電流。

i)

上昇時間 (Rise time, t

r

)

  入力光パルスに対する出力電気信号が,最大値の 10 %から 90 %まで増加す

るのに要する時間。

j)

下降時間  (Fall time, t

f

)

  入力光パルスに対する出力電気信号が,最大値の 90 %から 10 %まで減少す

るのに要する時間。

k)

ターンオン時間 (Turn-on time, t

on

)

  入力光パルスの最大値の 10 %から入力光パルスに対する出力電

気信号が最大値の 90%まで増加するのに要する時間。

l)

ターンオフ時間 (Turn-off time, t

off

)

  入力光パルスの最大値の 90 %から入力光パルスに対する出力電

気信号が最大値の 10 %まで減少するのに要する時間。

m)

ターンオン遅延時間  (Turn-on delay time, t

d(on)

)

  入力光パルスの最大値の 10 %から入力光パルスに対

する出力電気信号が最大値の 10%まで増加するのに要する時間。

n)

ターンオフ遅延時間  (Turn-off delay time, t

d(off)

)

  入力光パルスの最大値の 90 %から入力光パルスに対

する出力電気信号が最大値の 90 %まで減少するのに要する時間。

o)

端子間容量  (Total capacitance, C

tot

)

  規定の逆電圧及び周波数での陽極・陰極間の静電容量。

p)

増倍率  (Multiplication factor, M)    アバランシェ増倍された出力光電流と,アバランシェ増倍が無視で

きるほど小さい電圧領域での出力光電流との比。

q)

過剰雑音係数  (Excess noise factor, F

e

)

  アバランシェ増倍過程で生じるイオン化の揺らぎによって発

生する雑音の大きさを表す係数。

備考  過剰雑音は,次の式で表される過剰雑音指数 で表されることがある。

F

e

M

x

ここに,  F

e

:  過剰雑音係数

M

:  増倍率

x

:  過剰雑音指数

r)

遮断周波数  (Cut-off frequency, f

c

)

  規定動作点で正弦波による小信号の強度変調光を入力したとき得

られる信号出力の正弦波振幅が,低周波の領域の十分に平坦な部分に対して 3 dB 低下する周波数。

s)

放射照度  (Irradiance, E

e

)

  受光面の単位面積当たりの入力光パワー。

4.

個別規格  個々のフォトダイオードの絶対最大定格,性能,外形などを,個別規格に規定する。

5.

図記号  図記号は,JIS C 0301 による。

6.

分類  フォトダイオードの分類は,表 による。


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C 5990 : 1997

表 1  光伝送用フォトダイオードの分類

分類項目

種類

大項目

小項目

結晶材料

シリコン,ゲルマニウム,インジウムガリウムひ素,インジウムガリウ
ムひ素りんなど

波長帯

− 600

nm

帯,800 nm 帯,1 300 nm 帯,1 500 nm 帯など

素子構造

− PIN 形,APD 形,ショットキ障壁形,PN 形

パッケージ構造

光入力端構造

光入力窓形,光ファイバピグテイル形,光コネクタ形,開放形など

端子構造 TO 形,ピル形など

用途

低速用,高速用,マルチモード光ファイバ用,シングルモード光ファイ
バ用など

7.

最大定格  フォトダイオードの最大定格は,絶対最大定格とする。最大定格の各項目は,附属書 

附属書 に示す個別規格の様式による。規定値は,表 2に示す値を推奨する。

表 2  保存温度  (T

stg

)  

単位  ℃

下限値  −10  −20  −30  −40  −50  −55  −60  −65

上限値    50   60   70   80   85   90  100  125  150

表 3  動作温度  (T

op

)  

単位  ℃

下限値 −10  −20  −30  −40  −50  −55  −60  −65

上限値   40   50   60   70   80   85   90  100  125  150

表 4  順電流  (I

F

)

,逆電流  (I

R

)

,逆電圧  (V

R

)  

順電流,逆電流,逆電圧
×10

n

 A, V

1

  1.25  1.5  2  2.5  3  4  5  6  7  8

9

備考1.  は,整数とする。

2.

特に指定がない場合は,動作温度は 25  ℃とする。

8.

性能

8.1

電気的及び光学的特性  フォトダイオードの電気的及び光学的特性は,附属書 又は附属書 に示

す個別規格に規定した項目で規定する。

特性を規定する測定条件として与える電圧,電流,入力光パワー及び繰返し周波数は,

表 及び表 

示す値を推奨する。

表 5  特性を規定する試験条件として与える電圧,電流,入力光パワー

電圧,電流,入力光パワー 
×10

n

 A, V, W

1

  1.25  1.5  2  2.5  3  4  5  6  7  8

9

備考  は,整数とする。

表 6  特性を規定する試験条件として与える繰返し周波数

繰返し周波数×10

n

Hz

1 1.25 1.5 2 2.5 3 4 5 6 7 8 9

備考1.  は,整数とする。

2.

動作特性については,上記以外の繰返し周波数を用いてもよ
い。

8.2

環境及び耐久性に対する性能  フォトダイオードの環境及び耐久性に対する性能は,附属書 に示

す参考を満足しなければならない。


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C 5990 : 1997

9.

測定  フォトダイオードの測定は,規定がない限り,JIS C 5991 による。

10.

表示  フォトダイオードは,次の項目を表示しなければならない。ただし,個々のフォトダイオード

に表示することが困難な場合は,包装に表示してもよい。

a)

形名

b)

製造業者名又はその略記号

c)

製造年月日又は製造ロット番号若しくはそれらの略号

d)

その他必要な事項

11.

取扱いの注意事項

11.1

静電気による破壊に対する注意  静電気による破壊の恐れのあるフォトダイオードに対しては,次

の事項に注意する。

a)

輸送,保存及び放置の際は,静電気導電材料,帯電防止処理材料などを用い,静電気の帯電を防止す

る。

b)

測定は,静電気の発生しない場所で行う。相対湿度は,50 %程度が望ましい。また,静電気の発生を

防ぐために,測定者,工具及び測定機器類の電位と被測定フォトダイオードを取り扱う場所を同電位

にすることが望ましい。

11.2

光入力端の汚れに対する注意  フォトダイオードの光入力端は,汚れないように注意する。汚れた

場合は,アルコールなどで汚れを取り除く。

関連規格  IEC 747-1 (1983)  Semiconductor devices−Discrete devices and integrated circuits Part 1 : General

IEC 747-1 (1991)

  Amendment 1

IEC 747-1 (1993)

  Amendment 2


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C 5990 : 1997

附属書 1(参考)  光伝送用フォトダイオード(APD 以外) 

の個別規格の様式

  この附属書(参考)は,規定の一部ではない。


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C 5990 : 1997


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C 5990 : 1997

附属書 2(参考)  光伝送用フォトダイオード (APD)  

の個別規格の様式

  この附属書(参考)は,規定の一部ではない。


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C 5990 : 1997


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C 5990 : 1997

附属書 3(参考)  光伝送用フォトダイオード環境試験及び 

耐久試験用個別規格の様式

  この附属書(参考)は,規定の一部ではない。


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C 5990 : 1997

参考  代表的特性について

  この参考は,本体及び附属書を補足するもので,規定の一部ではない。

  ある物理量に依存する特性のように,図で示すことでフォトダイオードの性能の把握が容易になる特性

に関して,製造者は,同一種類のフォトダイオードについて平均的に得られる特性を,代表的特性として

図示することが望ましい。

  受光感度の波長に対する依存性 

端子間容量の逆電圧に対する依存性

暗電流の逆電圧に対する依存性

増倍率の逆電圧に対する依存性(APD 形だけ)

過剰雑音係数の増倍率に対する依存性(APD 形だけ)など

1996

(平成 8)年度  光能動部品標準化委員会  構成表

氏名

所属

(委員長)

福  田  光  男

日本電信電話株式会社 NTT 光エレクトロニクス研究
所集積光エレクトロニクス研究部

(委員)

井  沢      浩

三菱電機株式会社鎌倉製作所光・マイクロ波通信シス
テム部光電子技術第一課

兼  谷  明  男

工業技術院標準部情報電気規格課(1996 年 7 月から)

藤  井  隆  宏

工業技術院標準部電気規格課(1996 年 6 月まで)

加  山  英  男

財団法人日本規格協会技術部調査研究課

北相模  博  夫

富士通株式会社基幹通信事業本部光開発推進部第一
開発部

北  原  知  之

株式会社日立製作所情報通信事業部販売推進部光営
業技術センタ

城  野  順  吉

アンリツ株式会社計測器事業部第 4 開発部光プロジェクト

堀  川  英  明

沖電気工業株式会社研究開発本部半導体技術研究所
次世代光通信システムデバイスプロジェクト

本  田  和  生

ソニー株式会社セミコンダクタカンパニー半導体レ
ーザ部

御神村  泰  樹

住友電気工業株式会社光電子事業部技術部

宮  島  博  文

浜松ホトニクス株式会社中央研究所材料研究室

本  舘  淳  哉

株式会社東芝半導体システム技術センター光半導体
応用技術光半導体応用技術第一担当

(事務局)

山  田  康  之

財団法人光産業技術振興協会開発部

杉  山  雄  二

財団法人光産業技術振興協会開発部

増  田  岳  夫

財団法人光産業技術振興協会開発部標準化室