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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

(1) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準

原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大

臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 60300-3-7:1999,Dependability

management

―Part 3-7:Application guide―Reliability stress screening of electronic hardware を基礎として用い

た。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,

このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登

録出願にかかわる確認について,責任はもたない。

JIS C 5750-3-7

には,次に示す附属書がある。

附属書 A(参考)ロットで生産される修理系の RSS

附属書 B(参考)電子部品の RSS

JIS C 5750

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 5750-1

第 1 部:ディペンダビリティプログラム管理

JIS C 5750-2

第 2 部:ディペンダビリティプログラム要素及びタスク

JIS C 5750-3-4

第 3-4 部:適用の指針―ディペンダビリティ要求事項仕様書作成の指針

JIS C 5750-3-6

第 3-6 部:適用の指針―ディペンダビリティにおけるソフトウェアの側面

JIS C 5750-3-7

第 3-7 部:適用の指針―電子ハードウェアの信頼性ストレススクリーニング


C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

(2)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

2

2.

  引用規格

2

3.

  定義

2

4.

  略語

4

4.1

  ATE

4

4.2

  BITE

4

4.3

  ESD

4

4.4

  HASS

4

4.5

  MOSS

5

4.6

  PCB

5

4.7

  PIND

5

4.8

  PWA

5

4.9

  RSS

5

4.10

  SMT

5

5.

  信頼性ストレススクリーニングプログラムにおいて一般的に考慮すべき点

5

6.

  信頼性ストレススクリーニングプロセスにおける一般事項

5

7.

  信頼性ストレススクリーニングプロセスの効果解析

8.

  成功する信頼性ストレススクリーニングプログラムの特性

6

9.

  スクリーニングの種類

7

10.

  スクリーニングのレベル

9

11.

  スクリーニング強度

9

12.

  スクリーニングの選択

10

13.

  信頼性ストレススクリーニングプロセスによる欠点の検出

10

14.

  量産試作スクリーニングプロセス

10

15.

  信頼性ストレススクリーニングプロセスの計画,実行及び除去

11

15.1

  一般事項

11

15.2

  ステップ 1−目的及び目標の明確化

11

15.3

  ステップ 2−スクリーニングプロセスの設計及び適用

12

15.4

  ステップ 3−費用−効果分析

18

15.5

  ステップ 4−スクリーニング計画の準備

18

15.6

  ステップ 5−スクリーニングプロセスのデータ収集,解析及び是正処置

19

附属書 A(参考)ロットで生産される修理系の RSS

22

附属書 B(参考)電子部品の RSS

27


日本工業規格     

JIS

 C

5750-3-7

:2003

(IEC 60300-3-7

:1999

)

ディペンダビリティ管理-第 3-7 部:適用の指針-

電子ハードウェアの信頼性ストレススクリーニング

Dependability management - Part 3-7: Application guide -

Reliability stress screening of electronic hardware

序文  この規格は,1999 年に第 1 版として発行された IEC 60300-3-7:1997,Dependability management―Part

3-7

:Application guide―Reliability stress screening of electronic hardware を翻訳し,技術的内容及び規格票の

様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

電子技術における継続的な進歩,特に新しい材料の使用及び新規で未成熟な製造プロセスの導入と共に,

ストレス及び時間に依存する種類の物理的,化学的及び機械的な不完全さが電子ハードウェアにもち込ま

れることがある。この種の不完全さを欠点という。電子ハードウェアに対する動作的及び環境的ストレス

のプロファイルに基づき,これらの欠点は装置の有用寿命の間に故障として現れることがある。

信頼性ストレススクリーニング(RSS)プロセスは,固有欠点及び工程での誘発欠点を顕在化する目的

で,対象の装置を破壊したり劣化させないような方法で,電子装置全数に対して動作的及び/又は環境的

ストレスを印加するプロセスである。スクリーニングは,また,特にストレスを増加させないで行うこと

もある。このスクリーニングは,直接的又は間接的機能パラメータの測定に基づいて行う。このようなス

クリーニングプロセスは兆候スクリーニングといわれ,その規格は計画中である。

機能試験,目視検査,又はその他の従来の品質管理手順で見付けられるような欠点はスクリーニングプ

ロセスの対象ではないことを強調することが重要である。ストレススクリーニングプロセスの目標は,通

常の方法によって発見できない,また,市場でよりも工場で故障として現れる欠点を明らかにすることで

ある。しかし,RSS プロセスは,アイテムの動作寿命期間に通常予期される故障モード以外の故障モード

を引き起こさないことが望ましい。

スクリーニングプロセスと試験とは,解釈及び目的が異なることに注目することが重要である。スクリ

ーニングプロセスデータの解析によって,製造工程の弱点又は共通な部品故障パターンが明らかにされる

こともあるが,RSS プロセスの目的は,環境認定試験,信頼性試験,工場受入れ試験,その他のタイプの

試験の目的と混同させないことが望ましい。これら他の試験の目的は設計及び信頼性・品質の要求事項に

装置が適合することの実証にある。さらに,スクリーニングプロセスで用いられる環境は特定の欠点を顕

在化するように調整され,装置のライフサイクルにわたる環境プロファイルとは,全く関係ないかもしれ

ない。すなわち,RSS プロセスは欠点を促進するプロセスであって,シミュレーション試験ではない。と

はいえ,コンポーネントの RSS プロセスからのデータは,機器又はコンポーネントのロット合否判定に用

いてもよい。


2

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

1.

適用範囲  この規格は,電子ハードウェアに対する信頼性ストレススクリーニングプロセスの適用指

針について規定する。スクリーニングプロセスの概念,目的及び理由付けを示し,スクリーニングプログ

ラムの主要な要素を一般的な計画手順と共に規定する。この規格は指針として意図されており,スクリー

ニングプロセス適用レベルに基づいて 15.に規定する信頼性ストレススクリーニング規格

(ツールボックス

概念の

ツール

のこと)のうちのいずれかと連携して使うことが望ましい。

この規格は,初期故障に起因する問題を解決して,顧客向けに生産されたアイテムから初期故障を除去

することが本質的な場合の指針を与え、更に,この規格は,例えば,コンポーネント,サブシステムレベ

ル又はシステムレベル(

図 参照)で信頼性ストレススクリーニングを実施することが望ましい場合につ

いて指針を与え,及び初期故障のリスク軽減の手順が契約書に記載されている場合にも用いてもよい。

この規格は,契約部門,プロジェクト管理,製品開発,プロセス管理,製造,品質管理及び購買に従事

する者を対象とする。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 60300-3-7:1999

,Dependability management―Part 3-7: Application guide―Reliability stress

screening of electronic hardware (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その

最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS Z 8115

  ディペンダビリティ(信頼性)用語

備考  IEC 60050-191:1990  International Electrotechnical Vocabulary. Chapter 191: Dependability and

quality of service

からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

JIS Z 9021

  シューハート管理図

備考  ISO 9021:1991  Shewhart control charts からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。

IEC 60068-2 (all parts)

  Environmental testing―Part 2: Tests

IEC 60747 (all parts)

  Semiconductor devices―Discrete devices

IEC 60748 (all parts)

  Semiconductor devices―Integrated circuits

IEC 60749:1996

  Semiconductor devices―Mechanical and climatic test methods

IEC 61163-1:1995

  Reliability stress screening―Part 1: Repairable items manufactured in lots

IEC 61163-2:1998

  Reliability stress screening―Part 2: Electronic components

MIL-STD-750, 2052

  Test methods for semiconductor devices, 2000 series test methods

MIL-STD-883, 2020

  Test methods for microelectronics, 2000 series test methods

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 8115 によるほか,次による。

参考  修理系の信頼性ストレススクリーニングに対して特別に重要な用語は,JIS Z 8115 の番号によ

って引用している。この規格に関連するか否かにかかわらず,すべての備考を含めた形で引用

している。JIS Z 8115 の用語へ付加するコメントは RSS に関連する

参考

として記述する。

a) 

信頼性改善(reliability improvement)  決定論的原因故障の原因除去,その他の故障発生確率の低減及


3

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

      びそれら両者を考慮した活動によって,信頼性を向上させるための明確な意図をもって行うプロセ

      ス(JIS Z 8115 の MT12 参照)

参考  信頼性ストレススクリーニングは,その他の故障発生確率を低減する。決定論的原因故障は,

信頼性成長プログラムによって主に扱われる。しかし,RSS プロセスを通しても,若干出現す

ることがある。

b) 

決定論的原因故障(systematic failure)  設計変更若しくは製造工程,運用手順,ドキュメンテーショ

      ン(文書化)又はその他の要因の変更処置によってだけ除去される特定の原因に決定論的に関連す

      る故障。

備考1.  変更を伴わない事後保全では通常,故障原因は除去できない。

2. 

この故障は,故障原因をシミュレーションで任意に誘発できる(JIS Z 8115 の F29 参照)

3. 

この場合,設計は適宜ハードウェア及び/又はソフトウェアを含む。

c) 

信頼性スクリーニング(プロセス)[reliability screening (process)]  耐用寿命期間の期待信頼性水準に

可能な限り早く到達するために,欠点の検出,弱いアイテムの除去及び修理を行うプロセス。

備考1.  JIS Z 8115 の T42)用語で バーンイン を定義している。これはスクリーニングについ

て多くの可能な手段の一つに過ぎない。さらに, バーンイン はパラメータの安定化を目的

とし,多くの場合,故障を伴わない

エージング

を含むこともある。

2.

JIS Z 8115 の T37)用語で

スクリーニング試験

を定義している。しかし,その用語は

あらゆる不適合に対するスクリーニングを扱うために,より広義に定義されている。

さらに,

信頼性スクリーニングは,プロセスであって試験ではない。

3.

ストレススクリーニングは,標準試験装置及びその標準制御プログラムを使用するために,

環境試験水準(例えば, IEC 60068-2)をしばしば用いる。

d) 

耐用寿命及び有用寿命(useful life)  与えられた条件で,与えられた時点から故障強度が許容できな

くなるまでの期間,又はフォールトの結果,アイテムが修理不可能と考えられるまでの時間(JIS Z 

8115

の HR12 参照)

e)   

信頼性ストレススクリーニング(プロセス)[reliability stress screening (process)]  欠点を検出可能な 

故障として顕在化させることによって欠点を検出するための手段として,環境ストレス及び/又は動

作ストレスを使用するプロセス。 

備考  RSS プロセスは,欠点を検出可能な故障として顕在化する意図で設計する。エージングプロセ

スは,パラメータの安定化だけを意図して設計するので RSS プロセスではない。この規格の適

用範囲外である。

f)

アイテム(item)  ディペンダビリティの対象となる,部品,構成品,デバイス,装置,機能ユニット,

機器,サブシステム,システムなどの総称又はそのいずれか。 

備考1.  アイテムは,ハードウェア及び/又はソフトウェアから構成する。さらに,特別な場合には,

人間も含む。

2.

複数のアイテム,例えば,アイテムの母集団及びサンプルは,それ自身アイテムとして考え

てもよい(JIS Z 8115 の G1 参照)

3. 

信頼性スクリーニングプロセスについてのこの規格では,アイテム中のハードウェア部分だ

けが該当する。ここでの例は,電子部品,アセンブリ,機器及びシステムのハードウェア部

分である。

g) 

弱点アイテム(weak item)  欠点のために,初期故障期間において高い故障確率をもつアイテム(3.15


4

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

参照)

h) 

コンポーネント(component)  非修理の単一のアイテム。

i) 

弱点(weakness)  一つ又は複数の弱点故障の原因となることがある(既知又は未知の)アイテム中の

不完全性。

備考  種類の異なる弱点は統計的に互いに独立とみなす。

j) 

弱点故障(weakness failure)  アイテムが規定の能力以内のストレスにさらされたとき,アイテム自身

の弱点によって発生する故障。

参考  弱点は,アイテム固有か,又は誘発される(JIS Z 8115 の F27 参照)。

k) 

欠点(flaw)  初期弱点故障を起こすアイテムの弱点。

備考1.  欠点はあるコンポーネントに局所化されるか,又は設計要件の余裕の少ないところでのコン

ポーネント間の相互作用によって引き起こされる。

2. 

例として,コンポーネント間の相互作用は(抵抗値,静電容量又は時間遅れのような)コン

ポーネントのパラメータ許容値が原因で発生することがあり、この相互作用は設計変更によ

って,是正しなければならない。しかし,RSS プロセスは,許容値の組合せが原因で故障し

たアイテムをも除去してもよい。コネクタとソケットのような相互接続もコンポーネントと

して定義する。はんだ付けは,アセンブリに取り付けられるとき,コンポーネントの一部と

みなす。

l) 

固有欠点(inherent flaw)  アイテムの技術及び製造プロセスに関連するアイテムの欠点。

m)

誘発欠点(induced flaw)  製造後のアイテムの組立,試験,取扱い,その他の操作に関連する欠点。

備考  例として,誘発欠点は,コンポーネント製造工場,輸送中又はシステム製造工場で発生する場

合がある。

n) 

欠点密度(flaw density)  対象とするアイテム(コンポーネント,アセンブリ,サブシステム又はシス

テム)の母集団中の平均欠点数。

o) 

初期故障期間(early failure period)  アイテムの運用初期において,与えられた時点での修理系アイテ

ムの瞬間故障強度,又は非修理系アイテムの瞬間故障率が後に続く期間の値よりも著しく高い期間

JIS Z 8115 の HR13 参照)

備考  初期故障期間とは,弱点アイテムが故障する期間とする。

p) 

スクリーニング強度(screening strength)  欠点を故障として顕在化させるため,規定のパラメータを対

象に設計したスクリーニングプロセスの能力を示す尺度。

    スクリーニング強度は,スクリーニングパラメータと同様にスクリーニングの種類の関数とする。

q)

スクリーニング該当故障(screening relevant failure)  スクリーニングプロセスによって,一つ以上

の欠点の結果としてもたらされた故障。

4. 

略語  略語は、次による。

a) ATE

  (automatic test equipment)  自動試験装置

b) BITE

  (built-in test equipment)  内蔵試験装置

c) ESD

  (electrostatic discharge)  静電気放電

d) HASS

  (highly accelerated stress screen)  高加速ストレススクリーン

e) MOSS

  (multi-operational stress screening)  複合動作ストレススクリーニング

f) PCB

  (printed circuit board)  プリント配線板


5

C 5750-3-7

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g) PIND

  (particle impact noise detection) PIND 試験

h) PWA

  (printed wiring assembly)  プリント配線アセンブリ

i) RSS

  (reliability stress screening)  信頼性ストレススクリーニング

j) SMT

  (surface mount technology)  表面実装技術

5. 

信頼性ストレススクリーニングプログラムにおいて一般的に考慮すべき点  初期故障に関して要求

された信頼性水準を達成する必要性がある場合を除いて,RSS プログラムは契約の要件としないほうがよ

い。その代わりに,初期故障の最大水準の規定と共に,7.に規定する解析の一つ以上の実施を記載するこ

とが望ましい。

もし,この規格と該当する契約又は仕様との間に相違があった場合には,後者を適用するのがよい。

この規格は,特定のアイテムに合わせたストレススクリーニングプログラムを要求しているのであるか

ら,幾つかの問題について,顧客,製造業者及び(もし,あれば)第三者試験所の間で合意しなければな

らない。すべての契約書又は RSS 計画書は,RSS を用いることに関して,この規格及び他の規格を参照す

ることが望ましい。

さらに,次の場合について,裁量が与えられる部門及び裁量が行使される分野について契約書又は RSS

計画書に明確に記載することが望ましい。

−  特定の RSS プロセスの選択・変更・削除の時期

−  ストレススクリーニングプロセスの持続時間を最適化する時期

−  全数によるスクリーニングプロセスから,抜取りによってスクリーニングプロセスに移行する時期

−  スクリーニングプロセスを基にロットの合否判定する時期

さらに,次の事項を適用することが望ましい。

−  特定の RSS プロセス,又は特別な管理及び最適化手順を合意しなければならない場合,契約書又は

RSS

計画書の附属書に記述する。

−  合意を要する事項が未解決な場合,契約書又は RSS 計画に明示することが望ましく,合意の最終期限

及び論争の解決手順を含めた適切な条項を記述する。

すべての場合において,適用される契約書又は下請負契約書は,RSS 実施の責任部門,RSS が適切に実

施されないとき又はシステムが仕様に適合しないときの結果についての責任部門,その責任の範囲又は制

限,及び損害を受けた部門に対して提供可能な救済の種類又は制限を特定することが望ましい。

6. 

信頼性ストレススクリーニングプロセスにおける一般事項  信頼性成長プロセスの結果として,ハー

ドウェアは通常開発サイクルの終了までに予測した又は固有の設計信頼性水準に到達する。しかし,この

固有信頼性水準は,しばしば相異なる製造プロセスが導入されて水準を低下させるために,維持すること

が非常に難しい。うまく設計されたストレススクリーニングプログラムは,固有信頼性水準を保持するこ

とに役立つ。

市場におけるよりも工場において,欠点を強制的に故障として顕在化させることは,生産性向上,補償

費用の削減,及び顧客満足の向上になるだろう。このことは,使用者の視点における製造業者の評価を高

め,かつ,製品の総合ライフサイクルコストを改善することになる。

スクリーニングプロセスによって得られたデータは,製品の改善に用いてよい。RSS 故障情報は,技能

上の問題を強調したり,不適格な部品・材料の供給者を明らかにすることができ,これらの不具合に注目

することによって,製品品質が向上し,スクリーニングプロセス費用を低減したり,及び/又はスクリー


6

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

ニングプロセスを除去してもよい。

RSS

プロセスは常に,完成アイテムの初期故障の原因となる設計,原材料,コンポーネント及びプロセ

ス上の問題を解決すると共に,製造業者が顧客に受け入れられる品質の商品を提供するための一時的手段

であるとみなすことが望ましい。その目的は常に,完成アイテムのサンプルに対する RSS プロセスの削除

又は削減であることが望ましい。

抜取りによる RSS プロセスを実施する場合は,その目的が初期故障の割合が高すぎる生産ロットを特定

することなので,その RSS プロセスは生産ロットのスクリーニングプロセスとみなしてもよい。そこで

RSS

プロセスは特定された生産ロット及び引き続くロットに対して全数 RSS プロセスを再適用してもよい。

ロットに分割されない生産の場合には,例えば,週又は日の生産として,架空のロットで確認してもよい。

個別生産アイテムの RSS プロセスでは,個々のアイテムに対して別々に検討することが望ましい。

7. 

信頼性ストレススクリーニングプロセスの効果解析  他のどの製造プロセスとも同様に,RSS プロセ

スは費用がかかり,そのスケジュールで割り振られた時間及びマイルストーンをもった,それぞれ別の活

動とみなす。

したがって,RSS プログラムの実施を決定する前に,次の解析のうち少なくとも一つをコスト有効性を

確実にするために実施することが望ましい。

a) 

信頼性契約要求事項が,ストレススクリーニングプログラムを実施しない限り達成されないことを示

す解析

b) 

他の代替方法に勝って,ストレススクリーニングプロセスが有利であることを明らかに示す費用-効果

分析

c) 

利用できるならば,高補償費用及び/又は顧客不満足を引き起こす初期故障が,許容できない水準で

あることを明らかにするフィールドデータ解析

8. 

成功する信頼性ストレススクリーニングプログラムの特性  いったん RSS プロセスが適切であると

決定したら(7.参照)

,有効な RSS プログラムの実行を確実にするために,次の要素を提示することが望

ましい。

a) 

スクリーニングプロセスは,ハードウェアの種類及び適用する製造プロセスに合わせることが望まし

い。したがって,使われている材料・部品,その特性,故障メカニズム及び製造プロセスの十分な知

識が不可欠とする。

b) 

スクリーニングプロセスに対して,定量的な目標値を決めることが望ましい。

c) 

スクリーニングプログラムは,ダイナミックであることが望ましい。

これは,プロセスを継続的に監視し,もし必要なら,スクリーニングプロセスから得られたデータ

の解析に基づき変更を行うのがよいことを意味している。ダイナミックではない場合には,スクリー

ニングプロセスは,費用有効性が悪くなるかもしれず,スクリーニングプロセス目標を達成できない

かもしれない。

d) 

スクリーニングプロセスは,欠点のないハードウェアを有意な方法で質を低下させたり,破壊したり

してはならない。

これは,ストレス水準が対象とするハードウェアの最大仕様制限を超えないようにスクリーニング

を設計することで避けられる。

    スクリーニングプロセスは,

ハードウェアの有効寿命の許容できる部分で費やされることが望ましい。


7

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

抜取りによるスクリーニングロットでは,例えば,HASS のような破壊試験が使える。

e) 

スクリーニングプロセスは,通常の市場稼働中では起こりえない故障モードを引き起こさないことが

望ましい。

f) 

スクリーニングプロセスを最適なものとするため,スクリーニングプロセスの適用レベル(コンポー

ネント,アセンブリ,サブシステム又はシステム)は,確実な技術及び費用のトレードオフ解析に基

づいて選択されることが望ましい。すなわち,適用レベルは最短時間及び最小コストでできる限り多

くの欠点を顕在化するために選ばれることが望ましい。

g) 

管理層を含めスクリーニングプログラムの担当者は,プロセス,その目的及びスクリーニングプロセ

ス目標の達成方法を,理解するための教育を受けることが望ましい。

9. 

スクリーニングの種類  スクリーニングの分類は,次による。

a) 

実施場所。すなわち,コンポーネント製造業者,システム製造業者,試験所及び最終使用者(

図 

照)

b) 

スクリーニング対象アイテム。すなわち,コンポーネント,PWA のサブシステム又はシステムのスク

リーニング(

図 参照)。

c) 

修理アイテムか否か(IEC 61163-1 及び IEC 61163-2 参照)

d) 

アイテムがロット生産品又は個別生産品か(IEC 61163-1 及び IEC 61163-2 参照)

e) 

増加したストレスが使用されるか。すなわち,RSS であるか(

序文参照)。

f) 

使用されるストレスの種類,すなわち,恒温,温度変化,振動,衝撃,バンプ,動作負荷,電気的過

渡現象など(15.3 参照)

g) 

スクリーニングの対象母集団,すなわち,生産における全数スクリーニング,ロットスクリーニング

及びサンプルスクリーニング(6.参照)

h)  RSS

プロセスの持続時間,

すなわち,

一定時間,

変動時間及び無故障期間

IEC 61163-1 及び IEC 61163-2

参照)


8

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

1 試験所 

5 材料レベル 

2 コンポーネント製造業者 

6 コンポーネントレベル 

3 システム製造業者 

7 サブシステムレベル 

4 最終使用者 

8 システムレベル 

備考1.  横線は,材料,コンポーネント,サブシステム及びシステムを表す。

2.

●印は,どのレベルで RSS が実施されるかを示す。

  1  信頼性ストレススクリーニング実施可能レベル

    8

  8

7

6

6

5


9

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

10. 

スクリーニングのレベル  ストレススクリーニングプロセスは,コンポーネント,アセンブリ,サブ

システム又はシステムレベルの電子ハードウェアに適用する。

有効なコンポーネントスクリーニングプロセスのプログラムでは,コンポーネントに固有の欠点の大部

分を除去することができるが,アセンブリスクリーニングプロセスに置き換えることはできない。ドリフ

ト及び伝達遅延問題のようなある種の欠点はアセンブリレベルだけで検出できる。さらに,はんだ付け,

接続不良,基板の不具合及び断線のような製造プロセス及び出来栄の問題もアセンブリレベルのスクリー

ニングプロセスだけで検出できる。

コンポーネントスクリーニングプロセスで生き残った良品のコンポーネントでさえも,アセンブリレベ

ルのスクリーニング期間中に欠点の兆候を示すかもしれない。このことは,例えば,静電気放電(ESD)

はんだ付け,試験又は乱暴な取扱いに起因する製造工程での劣化の結果かもしれない。

スクリーニングプロセスの適用レベルを選択する場合には,システムレベルのような,アセンブリレベ

ルよりも上位のレベルで故障の問題解決及び修理を行うことは,より難しく,かつ,より費用がかさむこ

とを念頭に入れる。

コンポーネント,アセンブリ又はサブシステムレベルでの動作ストレスのあるスクリーニングを適用す

るときは,そのスクリーニングプロセスに必要な設備,装置及びジグの追加費用を考慮する。

システムレベルでスクリーニングを適用するときは,故障の監視及び/又は検出・局所化のために,も

しあれば,既存の内蔵試験装置(BITE)又は自動試験装置(ATE)を使用してもよい。

アセンブリレベルのスクリーニングプロセスで印加するストレスは,アセンブリ内の最も弱いコンポー

ネントに対して過剰ストレスがかからないように十分に低くする。このことは,欠点を故障として顕在化

させるためにより高いストレスが必要であるかも知れない他の部品に対しては,適切なスクリーニングプ

ロセスにならないかもしれないが,コンポーネントレベルのスクリーニングプロセスは,この問題に対応

するのに用いてもよい。

もし一部のコンポーネントがストレス水準を制限しているなら,それがそのアセンブリの最も弱い部分

であることを表す。アイテム中の過剰設計及び不足設計を防ぐため,設計はすべての部品が可能な限り同

等な頑健さをもつようにすることが望ましい。

設計上幾つかのコンポーネントが他のコンポーネントと同等の強度にできないならば,これらの部品は

RSS

プロセスの後で実装するか,又は RSS プロセス中に特別な保護(すなわち,冷却,支持,緩衝など)

を講じるかしてもよい。

RSS

は設計,コンポーネント及び製造プロセスをデバッグするまでしか使わない暫定的な手段なので,

恒久的な RSS の必要がないように製品を設計することが望ましい。

要約すれば,

スクリーニングプロセスレベルを選択するときには,

次の要因を考慮することが望ましい。

−  顕在化すべき欠点の種類

−  技術的及び経済的観点からみたスクリーニングプロセスの最も効果的な適用レベル

−  (あらかじめ製造業者によってスクリーニングがなされた)受入材料・受入コンポーネントの品質

11. 

スクリーニング強度  RSS プロセスの効率は,スクリーニング強度として定量的に表現することがで

き,RSS プロセスによって故障として顕在化された欠点の割合として定義する。スクリーニング強度は,

次の要素に依存する。

− RSS プロセスの持続時間(持続時間が長くなると共に,効果が下がる。

−  ストレスの種類


10

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

−  ストレスの水準

− RSS プロセス後の試験効率(試験の有効範囲)

−  (行われる場合には)RSS プロセス中の監視効率

−  決定規則  [例えば,固定 RSS 時間又は要求無故障期間など(IEC 61163-1 参照)]

IEC 61163-1

及び IEC 61163-2 では,ストレスの種類,サイクル数及び水準は,一般に様々な長さの無故

障期間を組み合わせて使用する。無故障期間の持続時間は,RSS プロセス後,

(例えば,市場で)発生が

予期される欠点の最大値が規定の水準以下に維持されるように変わる。

12. 

スクリーニングの選択  スクリーニングの種類を選択する前に,対象とするハードウェアに関する

様々な故障メカニズムについて理解する。この理解のためには,電子ハードウェアが通過し,ハードウェ

ア内部に欠点を誘発させる可能性のある種々の製造プロセスに対するほかに,そのハードウェアに用いる

材料の特性及び挙動に対する十分な知識を必要とする。

スクリーニングを選択するには,適用する市場環境と独立しているが,市場と同種の故障モードを顕在

化させることが望ましい。しかし,選択されたスクリーニングの種類は,対象のハードウェアを重大なや

り方で劣化させたり,破壊させたりしないものであることが望ましい。アイテムの取扱中に欠点を誘発さ

せないための注意を払うことが望ましい[例えば,静電気放電(ESD)による損傷]。

13. 

信頼性ストレススクリーニングプロセスによる欠点の検出  一般に RSS プロセスでは,次に示す 3 種

類の欠点の検出をねらいとしている。

a) 

固有欠点  この種の欠点は,コンポーネント又は材料に関連するものである。これらはコンポーネン

トの不適切な設計又は製造プロセスに起因する。特性値のドリフト,正しくない公差,不完全なボン

ディング及び汚染はコンポーネント・材料における固有欠点の例である。

b) 

誘発欠点  このタイプの欠点は,アセンブリレベルのスクリーニングプロセスで発見され,貧弱な製

造プロセス,組立中のコンポーネント・材料の不適切な取扱い,悪い出来栄又は不適切な品質管理手

順に起因する。

c) 

不適切な設計  RSS は,主に固有欠点又は誘発欠点を検出することをねらいとしている。不適切な設

計はむしろ,適切に構成された設計受入れ試験のような,他の試験によって検出する。不適切な設計

による欠点は,コンポーネント及びアセンブリの両方で見つけ出すことができる。これらは,最悪値

解析,設計許容試験,信頼性試験又はその他の認定試験のような一般的な方法では検出できない種類

の設計欠点であるが,一つ以上の種類のストレスにさらされるときに唯一故障として顕在化される。

公差の不整合,ドリフト及び伝達遅延問題は,不適切な設計に起因する欠点の例である。

14. 

量産試作スクリーニングプロセス  量産試作スクリーニングプロセス試験(15.5 参照)は,欠点の種

類及びその発生密度に関する実用的評価のために,かつ,これらの欠点を顕在化させるときに適用できる

様々な種類のスクリーニングの有効性を評価するのに,非常に役立ったり,量産試作スクリーニングプロ

セスのデータを解析すると,量産スクリーニングプロセスの微調整及び安定化に極めて役立ったりするこ

とがあるが,次に示すような思い違いをすることが多いのでデータの解釈を誤らないことが望ましい。

−  量産試作時のハードウェア構成は,量産時の構成と異なることがある。

−  量産試作時のハードウェアに用いられるコンポーネント・材料の品質は,量産時のハードウェアのも

のとは異なることがある。


11

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

−  量産試作段階における適切な品質管理の欠如

−  量産試作段階における未成熟な製造プロセス

これらの要因は,量産スクリーニングプロセスの選定及びそのパラメータの決定のために,量産試作ス

クリーニングプロセスのデータを用いる場合には,考慮しなければならない。

15. 

信頼性ストレススクリーニングプロセスの計画,実行及び除去 

15.1 

一般事項  7.に規定する分析の結果から RSS プロセスを必要とした場合には,スクリーニング計画

が要求される。数多くの種類の電子ハードウェア及びその可能な種々の使い方のために,スクリーニング

プロセスの適用レベル,スクリーニングプロセスの種類及びストレスの水準のような計画プロセスにおい

て規定する詳細事項を標準化することはできない。しかしながら,次の事項は規定するパラメータの選定

方法についての指針を含む,一般的な計画手順を概述するものである。

15.2 

ステップ 1−目的及び目標の明確化  このステップは計画プロセスにおいて本質的なものとし,スク

リーニングプロセスの有効性を保証するため,達成すべき目的及び目標を明確化する。

15.2.1 

目的の明確化  RSS プロセスは,通常,少なくとも,次の目的のうちの一つを考えて適用する。

a) 

要求信頼性水準の達成  信頼度予測,市場データ又は試験データが要求又は期待する信頼性水準より

も低い水準を示すような場合。

備考  この信頼性水準の低下は欠点によるものであり,RSS では除去できないような,又は他の方法

でもっとよく除去できるような,他の種類の故障によるものではないことに注意する。

b) 

規定の最大許容欠点密度の水準,又は市場での水準より良い水準の達成  顧客の期待に合うか及び/

又はコスト目標を達成するために,契約で最大許容欠点密度の水準が規定されるか,又は市場補償デ

ータ及び費用トレードオフ解析の結果が,欠点密度を一定の水準まで低減する必要を示したような場

合。

c) 

配分された予算内での欠点数の最大化  RSS プロセスのプログラムが要求されるが,その配分費用予

算が既に決まっているような場合。

15.2.2 

目標の明確化  スクリーニングプログラムの有効性を確実なものにするために,スクリーニングプ

ロセスの結果は,事前の設定目標に対して計測可能であることが望ましい。このことは事前の設定目標が

定量的であることを必要とする。スクリーニングレベルの適切さ,試験の体制及び故障の期待数又は観測

数を考慮することが望ましい。欠点密度の目標を設定する際には,次のような要因を考慮することが望ま

しい。

a) 

対象ハードウェアの複雑さ  複雑さは,対象とするハードウェアで使用されるコンポーネント,サブ

コンポーネント及び材料の数又は種類で評価すると共に,ハードウェアを組み立てる場合の接続,相

互接続の数及び種類によっても評価する。複雑さが上がれば上がるほど,予想し得る欠点密度も高く

なる。

b) 

技術  十分に確立された技術は,まだ成熟していない技術に比べて,欠点を含んでいる可能性が低い。

c) 

製造プロセス  不十分な又は不適切な品質管理プロセスと同様に,新規な又は複雑な製造プロセスで

は高い欠点密度が生じるだろう。一方で,成熟し適切に管理された製造プロセスは,電子ハードウェ

アで欠点が誘発する可能性を減少させる。

d) 

前工程のスクリーニングプロセス  購入する材料,コンポーネント又はモジュールが前工程のベンダ

ー又は下請負業者のスクリーニングプロセスで生き残るかどうかが,ハードウェアの欠点密度に影響

を及ぼす。


12

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

e) 

適用環境  ハードウェアが市場で使用される間に受けるストレスの種類,及び水準について評価す

ることが重要とする。ストレスの多い適用環境で故障となるような種類の欠点は,それほどストレ

スの多くない適用環境ではハードウェアの有用寿命を存続させるかもしれないが、そのような評価

を行うには,対象とする欠点のストレス依存性及び時間依存性,並びに特性についての総合的な知

識を必要とする。

    備考  環境プロファイル及び運用プロファイルは,選ばれたスクリーニングの種類と全く関係のない

ことを十分に強調する。このことは環境適合試験と RSS プロセスとの明らかな相違に基づいて

いる。ハードウェアの製造プロセスの種類及び成熟度に依存して欠点のきびしさ及び密度は変

わる。厳しさの高い欠点はその劣化メカニズムに起因して故障となる。この欠点はハードウェ

アの有用寿命期間中に故障を引き起こすだろう。一方,きびしさの低い欠点は,故障となるに

は過酷な環境が必要になるかも知れず,かつ,穏和な環境では全く故障しないかも知れない。

類似のハードウェア,類似の複雑さ及び類似の製造プロセスと共に上記の要因を考慮して,最大欠点

密度を決めてもよい。例えば,市場における弱いアイテムの最大許容割合として測定される(IEC 

61163-1

参照)

15.3 

ステップ 2    スクリーニングプロセスの設計及び適用  スクリーニングの種類,パラメータ,強度

及びスクリーニングを適用する適切なレベルを選定することは,スクリーニングプロセス全体において最

も重要なステップとする。理想的なスクリーニングとは,良いコンポーネント・材料を破壊させたり,又

は劣化させたりしないで,欠点を工場内で故障となるようにすることとする。

スクリーニングプロセスの設計及び適用を適切に行うためには,次に列挙する事項を十分に理解する。

IEC 60747

及び IEC 60748 シリーズなどの IECQ 文書には,幾つかスクリーニング手順について記載が

ある。

a) 

スクリーニングプロセスの種類  劣化メカニズムを加速させる特性及び能力によって異なったスクリ

ーニングプロセスの種類があり、ストレススクリーニングプロセスに用いる可能性のある候補として,

電気的,機械的,その他のスクリーニングプロセスの種類の例示は、次による。

−  高温

−  低温

−  温度衝撃

−  温度サイクル(温度こう配)

−  ランダム振動

−  正弦波振動

−  定加速

−  バンプ及び衝撃

−  電気的ストレス,過渡現象及び他の電磁的影響を含む

−  湿度

−  高度

−  高温及び振動の組合せ

−  温度サイクル及びランダム振動の組合せ

−  温度サイクル,ランダム振動及び電源投入遮断サイクルの組合せ

−  温度サイクル,ランダム振動及び高度の組合せ

−  温度サイクル及び正弦波振動の組合せ


13

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

−  間欠動作

−  運用負荷

−  電源投入遮断サイクル

b) 

通常のスクリーニングプロセス  通常用いるスクリーニングプロセス(及びその特性)の参考例を,

次に示す。

1) 

高温  すべてのレベルで適用できる効果的なスクリーニングプロセス。最も低い温度定格をもつ,

コンポーネントが使用できる最大温度を決定するだろう。したがって,コンポーネント及び下位の

アセンブリに対しては,より高い温度が許容され得る。他のスクリーニングと比較すると,このス

クリーニングは,最低費用で実施できると考えられる。

ストレスパラメータ:

−  温度

−  さらし時間

検出される代表的な欠点:  ドリフト,接触不良,汚染及び化学的な問題

備考  高温ストレススクリーニングプロセスを管理する場合には,槽の平均温度ではなく,コンポー

ネントの,又はコンポーネント付近の温度を監視する。温度監視システムは,温度管理システ

ムとは独立することが望ましい。

2) 

温度サイクル  すべてのレベルで適用可能な大変効果的なスクリーニングプロセス。その効果は,

種々の固有欠点,工程及び作業による誘発欠点を顕在化させる高い潜在能力による。

ストレスパラメータ:

−  高温及び低温

−  温度変化率

−  サイクル数

−  滞留時間

検出される典型的な欠点:  不適切な公差,ドリフト,気密封止故障,接触不良,リレーの接点不

良,汚染,化学的な問題,及び PCB の欠点。

備考  温度サイクルストレススクリーニングプロセスを管理する場合には,槽の平均温度ではなく,

コンポーネントの,又はコンポーネント付近の温度を監視する。温度監視システムは,温度管

理システムとは独立することが望ましい。

温度変化率は,試験槽内の熱容量(スクリーニングされるアイテム,コネクタ,ケーブル,

制御装置など)に大きく影響される。スクリーニングされるアイテムが,冷却サイクル開始時

に電源遮断され,加熱サイクル開始時に電源投入されるならば,アイテムの電源投入直後に熱

ストレスが最大となるものと期待できる。

3) 

振動  特に上位のアセンブリレベルで適用するときに,効果のあるスクリーニングプロセス。

例えば,振動は,幾つかの電子機械部品にとって有効なスクリーニングプロセスである。

ストレスパラメータ:

−  振動の種類(正弦波又はランダム)

−  振動の水準,周波数及び振幅

−  軸数(可能な六つの自由度に対する)

−  さらし時間

検出される典型的な欠点:  緩み,接触不良,断線,構造的な問題及びちりによる汚染。特別な振


14

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

動スクリーニングプロセスとして,微粒子衝撃雑音検出(PIND)がある(MILSTD-750,2052 及び

MIL-STD-883,2020

参照)

備考  共振によって,スクリーニングされるアイテムの部位には,アイテム自身に印加される加速度

水準の約 25 倍までも印加される場合があり,監視回路は,振動試験装置の制御回路とは独立す

ることが望ましい。振動は,1 軸,2 軸若しくは 3 軸方向に,又は 3 軸同時の振動に対する斜め

のベクトル方向に印加することが望ましい。振動印加方向を選択する場合には,サブシステム

及びコンポーネントの剛性はもちろんのこと,それらの共振周波数を考慮することが望ましい。

固定の周波数での正弦波振動は,主にこの周波数付近に共振周波数をもつコンポーネント及

びサブシステムを励起するだろう。正弦波の掃引を用いれば,一度に一つの共振周波数を励起

するだろう。ランダム振動では,同時にすべての共振点を励起し,ストレス水準及びコンポー

ネント間の衝突の可能性を増大させるだろう。

4) 

温度サイクル及び振動  コンポーネント及び製造工程での欠点を顕在化させる高い能力があるので,

特に上位のアセンブリレベルで適用した際,大変効果的なスクリーニングプロセスとする。

ストレスパラメータ:温度サイクル及び振動のストレスパラメータに加え,唯一の他のパラメータ

は,スクリーニングに適用する場合には組合せ印加にするか逐次印加にするかということとする。

検出される典型的な欠点:  不完全なはんだ付け,汚染,緩み,断線及び接触不良。

備考1.  温度サイクルストレススクリーニングプロセスを管理する場合には,槽の平均温度ではなく,

コンポーネントの,又はコンポーネント付近の温度を監視することとし,温度監視システム

は,温度管理システムとは独立することが望ましい。

温度変化率は,試験槽内の熱容量(スクリーニングされるアイテム,コネクタ,ケーブル,

制御装置など)に大きく影響される。スクリーニングされるアイテムが,冷却サイクル開始

時に電源遮断され,加熱サイクル開始時に電源投入されるならば,アイテムの電源投入直後

に熱ストレスが最大となるものと期待される。共振によって,スクリーニングされるアイテ

ムの部位には,アイテム自身に印加される加速度水準の約 25 倍までも印加される場合がある。

2. 

監視回路は,振動試験装置の制御回路とは独立することが望ましい。振動は,1 軸,2 軸若し

くは 3 軸方向に,又は 3 軸同時の振動に対する斜めのベクトル方向に印加することが望まし

い。振動印加方向を選択する場合には,サブシステム及びコンポーネントの剛性はもちろん

のこと,それらの共振周波数を考慮することが望ましい。

固定の周波数での正弦波振動は,主にこの周波数付近に共振周波数をもつコンポーネント

及びサブシステムを励起するだろう。正弦波の掃引を用いれば,一度に一つの共振周波数を

励起するだろう。ランダム振動では,同時にすべての共振点を励起し,ストレス水準及びコ

ンポーネント間の衝突の可能性を増大させるだろう。

5)

バンプ及び衝撃  ランダム振動と同一目的で用いられるスクリーニングプロセス。バンプ又は衝撃

は,例えば,アイテム中の各コンポーネントの共振周波数を励起するだろう。結果としてもたらさ

れる振動モードはランダム振動印加時に観測されるモードと似ていることが多い。しかしながら,

バンプ及び衝撃が振幅 0 で終了するのに対して,振動によってアイテムが最大振幅まで動くことに

留意する。したがって,バンプ及び衝撃ではアイテム中のコンポーネントが一方向に動く傾向にあ

り,一方,振動ではコンポーネントは元の位置に戻る傾向がある。

備考  共振によって,スクリーニングされるアイテムの部位には,アイテム自身に印加される衝撃又

はバンプの加速度水準の約 2 倍までも印加されるかもしれず,衝撃又はバンプは,1 軸,2 軸若


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

しくは 3 軸方向に,又は 3 軸同時の衝撃・バンプに対する斜めのベクトル方向に印加すること

が望ましい。印加方向を選択する場合には,サブシステム及びコンポーネントの剛性はもちろ

んのこと,それらの共振周波数を考慮することが望ましい。

衝撃又はバンプ試験装置に対して大きすぎるアイテムでは,例えば,シャーシ上での空気ハ

ンマーによって励起され得る。

6) 

定加速  コンポーネント中の部品の弱い機械的組立プロセスに対して,しばしば用いられるスクリ

ーニングプロセス。

7) 

湿度  湿度は,スクリーニングプロセスではほとんど用いないが,ロットのスクリーニングを行う

ために高加速ストレススクリーニング(HASS)

IEC 60749 参照)にあるような抜取りによる破壊

試験としてしばしば使用する。

8) 

運用負荷  運用負荷は,単独又は他の種類のストレスと組み合わせて RSS のために用いる。市場で

さらされる運用負荷は,例えば,最大入力,最大出力,急激な負荷サイクル,最大又は最小電圧,

最低の冷却などによって通常増加する。

備考  この種のストレススクリーニングは,アイテム自体と,スクリーニング期間中の制御・監視・

故障検出のための制御回路を通常非常に安価に構築できる。

9) 

複合動作ストレススクリーニング(MOSS)  RSS プロセスでは,幾つかの種類のストレスが同一

の RSS プロセスで使用する。このようなスクリーニングプロセスの利点は,実使用中に製品がスト

レスの相互作用のために生じそうな欠点を顕在化することである。理想的には MOSS は,すべての

スクリーニングにとって優先的な選択肢であるが,しばしばこれは実際の制約条件,時間及び費用

を考えると不可能になる。

c) 

故障メカニズム  理想的なスクリーニングプロセスは,特定の種類の欠点を想定して設計するもので,

様々な種類の故障メカニズムの確かな理解が要求され,次に示す項目の綿密な知識を必要とする。

−  特定の欠点の結果として,動作ストレス及び/又は環境ストレスの下で故障となり得る劣化メカ

ニズム。

−  電子ハードウェア,特にマイクロ電子デバイスに用いる様々な種類の材料。このような材料の例

としては,半導体,セラミック,絶縁体,ポリマー,化合物,プラスチック,並びに異種の合金

及び金属などがある。

−  多種多様の動作及び環境の各ストレスにさらされたときの,上記材料の挙動及び性能特性並びに

該当するしきい値水準。

−  金属と金属,金属と半導体,誘電体と半導体のように電子デバイス,電子回路及び上位の電子ア

センブリで見られる色々な種類の界面。これらの界面の主な特性,例えば,熱膨張,化学的性質,

結晶構造などを理解する。

d) 

製造プロセス  スクリーニングプロセスを設計するうえでハードウェアが通る製造プロセスを知る。

材料,電子デバイス及び電子アセンブリの生産では非常に多くの種類の製造プロセスがあり,スクリ

ーニングプロセスの適用レベル及び対象とするハードウェアの種類によって,ハードウェアに欠点を

もたらす可能性のある製造プロセスの適用可否を考慮することが望ましい。例えば,  電子デバイスの

製造プロセスには,次のような欠点が内在するかもしれない。すなわち,湿気及びガスの吸着,残存

した化学薬品,気密封止におけるクラック,不完全なボンディング,はんだのフラックス,汚染,不

適切なダイアタッチなどである。他の例として,最も一般的なはんだ付けプロセスである PCB の組立

製造プロセスがある。はんだ付けプロセスは,はんだ溶融の不適切な温度及び/又は時間,不適切な


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

はんだ技術,不適切なフラックスの選定,はんだが固まる前のコンポーネントの不適切な配置又は移

動,不適切な洗浄溶剤の選定などのために様々な欠点を引き起こし得る。

技術的な進歩及び自動化の進展の結果として,新しい又は改良されたプロセスには,製造の周期が

現れる。プロセスが十分に成熟するまで,これらのプロセスは欠点を引き起こす高い可能性があると

考えられる。例えば,SMT の導入によって,はんだ付けプロセスに起因する新しい種類の欠点が発生

した。しかしながら,欠点及び故障メカニズムを関連付けし,SMT はんだプロセスを完全に理解する

ために,データを集めて解析するにはかなりの時間を要するであろう。

e) 

動作・非動作時の仕様限界  RSS プロセスの目的は,ストレス下でハードウェアの破壊又は劣化を伴

わずに欠点を顕在化させることにあり,スクリーニングプロセスの設計及びそれらのパラメータの選

択を行うには,ストレス下でのハードウェアの仕様限界を超えないようにする。仕様限界を超えた過

剰ストレスは,ロットのスクリーニングが抜取りによる場合を除き,避けることが望ましい。

f) 

欠点による故障検出時の機能試験の適合性  RSS プロセスの前後で,それと同一の試験設備及び試験

プログラムによって,アイテムの試験を行うことが特に望ましい。

これは RSS プロセスで発生する故障数の推定精度を増すことになる(

図 参照)。

間欠故障を検出し,かつ,それぞれの故障の正確な時間を把握するために,RSS プロセス中にアイ

テムの機能パラメータの幾つかを監視することが望ましい(

図 参照)。

目標の欠点に対するスクリーニングプロセスを設計する場合には,試験装置について,そのアベイ

ラビリティ及び欠点に起因する様々な故障モードの検出能力を考慮することが望ましい。例えば,故

障が間欠モードで起こり得る場合は,

(ストレス印加状態で)機能試験の十分に長い持続時間が必要と

する。また,故障が動的モード(入/出力信号を用いる)だけで起こることがある場合は,ドリフト

及び伝達遅延が原因の故障のようなものが問題になり,さらに,このようなモ−ドを行使し監視する

能力を評価することが望ましい。

g) 

スクリ−ニングプロセスの目的及び目標  スクリーニングプロセスの設計は,スクリーニングプログ

ラムの目的及び目標に合わせることが望ましい。例えば,スクリーニングプロセス前の予想欠点密度

とスクリーニングプロセス後の目標欠点密度とを合致させることが望ましい。

h) 

代替スクリーニングの費用及び適用レベル  スクリーニングプロセスの設計をするとき,スクリーニ

ングプロセス用装置(試験槽,振動試験機など)

,機能試験機の費用及び人件費は,スクリーニングプ

ロセスの種類の有効性と欠点顕在化のための適用レベルの有効性とを照らし合わせて評価することが

望ましい。この費用分析については,15.4 でより詳しく規定する。経済性を考慮し,かつ,環境試験

槽,振動試験機などの標準的なストレス機器を使用するために,可能な限り IEC 60068-2 シリーズ規

格からストレスの厳しさを選ぶことが望ましい。


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

監 視 シ ス テ ム

に よ っ て 故 障

が 検 知 さ れ た

場合、そのアイ

テ ム は 修 理 に

移行(

1

)

Yes

Yes

No

Yes

No

No

Yes

Yes

No

No

No

No

Yes

Yes

(

1

要求無故障期間 T

M

の終わる前に故障アイテムを除去して修理することは,実際的でない場合がある。

  2  修理系の信頼性ストレススクリーニング


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

15.4 

ステップ 3−費用−効果分析 

15.4.1 

一般  目的が指定された信頼度要求事項を満たすことであろうと,又は補償コストを削減すること

であろうと,RSS プロセスは主に費用のかかるプロセスので,費用−効果分析は,スクリーニングプロセ

スを評価するために実行することが望ましい。基本的には,スクリーニングプロセスからの効果を得るた

めに,スクリーニングプロセスの全費用は,工場及び市場での故障,補償並びに会社への悪評についての

問題追跡と修復にかかる全費用より下回ることが望ましい。

15.4.2 

スクリーニングプロセス費用を評価する際に考慮する要因  スクリーニングプロセス費用を評価

する場合には,次の要因を考慮することが望ましい。

−  適用レベル(コンポーネント,アセンブリ,サブシステム又はシステム)

−  スクリーニングするハードウェアの総計(週単位の数量及び容積)

−  スクリーニングプロセスに必要な設備,装置,備品などの費用

−  適用可能ならば,故障検知に必要な機能試験装置の費用

−  スクリーニングプロセスの持続時間

−  スクリーニングするハードウェアの在庫費用

−  文書化費用

−  労務費:スクリーニングプロセスの立案,スクリーニングプロセスの運用及び監視,スクリーニングプ

ロセスデータの収集及び解析,報告書準備,監理及び後方支援

−  手直し及び廃棄の費用

−  要員訓練の費用

15.4.3 

スクリーニングプロセスのための費用削減の評価時に考慮する要因  次の要因は,スクリーニング

プロセスのための費用削減の評価時に考慮することが望ましい。

−  スクリーニングするアイテムの信頼性及びアベイラビリティの増加分(可能ならば金額に換算)

−  (もしあれば)工場内の問題追跡,修復の費用及び時間の削減

−  市場での問題追跡及び修復の費用削減

−  工場,市場での問題追跡,修復の費用のために必要な試験装置及び用具の削減

−  工場,市場での故障の削減のために改造を要する装置,用具及び予備品の削減

−  工場,市場での故障に関連した監理及び後方支援の費用削減

−  顧客満足,会社の社会的評価及び評判の増加分(可能ならば,金額に換算)

15.5 

ステップ 4−スクリーニング計画の準備  スクリーニング計画には,少なくとも次の要素を含むこと

が望ましい。

− RSS プロセスに対して選択した RSS 規格(例えば,IEC 61163-1 又は IEC 61163-2

−  要員及びその責任を明確にしたスクリーニングプログラムの組織体制

−  主要な適用する故障モード及びメカニズムの明確化

−  ストレススクリーニングプログラムの目的及び定量的目標値

−  スクリーニングするハードウェアの明確化

−  適用するスクリーニングプロセスレベルの明確化

−  選択するスクリーニングプロセスの異なる種類すべての明確化

−  選択した各々のスクリーニングプロセスに対する選定理由及び重要なパラメータの記述

−  スクリーニングプロセス最適化のためのデータ収集,解析及び是正処置手順の記述

−  想定される故障のパターン(統計的分布)及び解析の簡易化のためになされる近似についての仮定


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

− RSS プロセスの終了(又はサンプル数変更)基準

−  (リアルタイムの)監視装置

−  試験槽

−  試験支援設備及び要員の有用性

− RSS サイクルで故障となる試験中のユニットの試験終了基準

− RSS プロセスで故障となったユニットが主要なアセンブリの大規模な修理又は交換を要求する場合の

RSS

再開基準

15.6 

ステップ 5−スクリーニングプロセスのデータ収集,解析及び是正処置 

15.6.1 

一般  スクリーニングプログラムが成功するための最も重要な特性の一つは,スクリーニングプロ

セスのダイナミズムである。スクリーニングプロセス最適化のためには,継続的なデータ収集及び解析並

びにそれに続く必要な是正処置を必要とする(

図 参照)。

IEC 61163-1

及び IEC 61163-2 は,定ストレス水準(スクリーニングされるアイテムに対する最大許容水

準)を使用する。ストレススクリーニングプロセスの持続時間は,高い欠点密度が観測されるときには長

くなるように,低い欠点密度が観測されるときには,短くなるように継続的に最適化する。目的は,スト

レススクリーニング後の(市場における)欠点密度を規定する限界内に保つことである。

通常,スクリーニングプロセスは,時間又はサイクルにおける持続時間を増加してもその効果が減少す

るので,スクリーニングプロセスの要求持続時間は,試験によって決定する。この試験の間スクリーニン

グされるアイテムのサンプルは,

すべての想定された該当欠点が故障として顕在化するために十分な期間,

選択したスクリーニングストレスプロセス(レベル)の元に置かれる。観測された故障は,生産したアイ

テム中の欠点密度,及び要求される割合の欠点が故障として顕在化するのに必要な時間を推定する目的で

解析される。

推定された欠点密度は,市場における最大許容水準と比較する。試験で観測された水準が市場における

最大許容水準より高い場合には,RSS が必要となる。

RSS

プロセスに必要な持続時間は,IEC 61163-1 及び IEC 61163-2 並びに生産開始時点の慣例の RSS に

よって決定してもよい。

ストレススクリーニングプロセスの間に発生する故障を継続的に監視する。もし,故障水準が非常に増

加した場合(管理図が使用可能。JIS Z 9021 参照)

,おそらくプロセスが管理状態から外れるか,コンポ

ーネント又は原材料の悪いロットが受け入れられた可能性があり,そこで,直ちに RSS プロセスの持続時

間を増して,スクリーニングプロセスの新しく最適な持続時間を決定するために新規の試験を実行するこ

とが望ましい。スクリーニングプロセスが継続的に監視されるならば,各々の故障時間が分かり,RSS プ

ロセスの新しくより短い最適な持続時間を新たな試験をしないで直ちに決定してもよい(IEC 61163-1 

び IEC 61163-2 参照)

もし,故障水準が非常に減少した場合(管理図が使用可能。JIS Z 9021 参照)

,より良いコンポーネン

ト又は原材料の設計,プロセス及び/又は選定を

デバッグ

することによって欠点強度が減少した可能

性がある。スクリーニングプロセスの新しくより短い最適な持続時間を決定するために,新規の試験を実

行することが望ましい。スクリーニングプロセスが継続的に監視すれば,各々の故障時間が分かり, RSS

プロセスの新しくより短い最適な持続時間を,新たな試験をしないで直ちに決定してもよい。


20

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

No

Yes

No

Yes

Yes

No

Yes

No

No

Yes

No

Yes

  3  信頼性ストレススクリーニングプロセス管理のための流れ図


21

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

15.6.2 

データ収集  このプロセスは,次の事項を含む。

a) 

スクリーニングを行うハードウェアの様々な種類及びその数量の明確化

b) 

すべての該当・非該当故障の明確化

c) 

該当故障の三つのカテゴリーへの分類

−  固有欠点による故障

−  プロセスからの誘発欠点による故障

−  不十分な設計による故障

d) 

故障発生時のスクリーニングプロセスにおける条件の明確化

e) 

故障が発生したスクリーニングプロセスの適用レベルの明確化

f) 

故障時間又は故障サイクル数の記録

g) 

原因解析のために取り除いたコンポーネント又は部品の保管

h)

故障の調査又は修理に先立つ故障又はフォールト(例えば,はんだ接合)の写真撮影

15.6.3 

故障解析  収集したデータの解析は,スクリーニングプロセスの目的及び目標との一貫性を確実に

するために実施するのがよい。解析の目的は,欠点の原因を見付けることであり,その原因は,コンポー

ネント若しくは材料に関する欠点,プロセスからの誘発欠点,又は不十分な設計による欠点となろう。解

析の目的は,また,スクリーニングプロセス後の欠点密度を評価すること,及び欠点密度に対する当初の

スクリーニングプロセス目標と比較することであろう。

  故障解析の結果は,また,コンポーネント,プロセス及び設計を改善するための是正処置を開始するた

めに用いることが望ましい。

15.6.4 

是正処置  スクリーニングプロセスで収集された該当 RSS 故障のデータによって,当初の目標は,

あまりにも悲観的又は楽天的であったことが示されるとき,是正処置を行うことが望ましい。もし,また,

多数の非該当故障の存在する徴候があるならば,試験,検査,プロセス改善と管理などのようなスクリー

ニングプロセス以外の従来方法によって,これらの故障を排除するように試みることが望ましい。スクリ

ーニング強度及びパラメータは,当初の目的及び目標の達成に向けて再設定することが望ましい。また,

設定した是正処置は,コンポーネント,プロセス及び設計の改善のために実施することが望ましい。


22

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

附属書 A(参考)ロットで生産される修理系の RSS

この附属書はロットで生産される修理系の RSS について、記述するものであり、規定の一部ではない。

A.1

一般  この附属書は,IEC 61163-1 の附属書 に基づき,ロット生産される修理系の RSS の例を示

す。

対象としているアイテムは,175 個のコンポーネントで構成するプリント回路板アセンブリ(PBA)で

ある。これは,新製品中のサブシステムとして動作するものであり,製造業者の標準的な設計標準によっ

て設計したものである。使われているコンポーネントは,対象となる市場及び最終使用者の類似している

過去の製品の経験から,設計者がよく理解しているものである。使用環境条件は,屋内固定である。動作

条件の下で,製品は厳しいレベルの振動及び衝撃は受けないと考えられる。温度及び湿度は同じ室内にい

る人間に快適であるような範囲内に維持されている。PBA は周囲温度 5  ℃から 70  ℃までの範囲で,正常

に動作するように設計されている。このアイテムに対してサブアセンブリレベル,すなわち,PBA(

附属

書 図 参照)の状態でスクリーニングすることを決定した。

A.2

ステップ 1−目的及び目標の明確化  CMOS 集積回路(IC)及びパワートランジスタは,過去の経

験からコンポーネント内の欠点による初期故障の発生することが分かっている。ここでの PBA は,合計

175

個のコンポーネントの中に 16 個の IC 及び 8 個のパワートランジスタを含んでいる。この IC とパワー

トランジスタとは共に樹脂封止されている。

RSS

プロセスの目的は,市場での弱いアイテムの最大割合を確実に 2  %より小さくすることである。

ロット生産される修理系(PBA)に対して実施するため,RSS には IEC 61163-1 を用いる。

A.3

ステップ 2−スクリーニングプロセスの設計及び適用  この事例(附属書 図 参照)でのスクリ

ーニングプロセスになる可能性のある候補は,次による。

−  高温(定常)

−  温度サイクル

−  固定周波数の正弦波振動

−  周波数掃引の正弦波振動

−  ランダム振動

−  バンプ

−  動作ストレス(定常)

−  動作ストレスサイクル

−  高温高湿(定常)

−  温湿度サイクル

−  上に示すストレスの組合せ。

例:温度サイクル及び動作ストレス(定常)

PBA

上のすべてのコンポーネントの温度限界は,−10  ℃から+70  ℃の範囲である。したがって,最低

温度及び最高温度を選択した。素性のよくないコンポーネントは,小形であることが多いため,合理的な

範囲で高い温度変化率を適用しなければならない。1 分間当たり 5  ℃を選択した。そのため,温度の移行

時間は約 15 分となる。低温側の保持時間は 30 分間,高温側の保持時間は 1 時間 30 分とした。すべてのサ


23

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

イクルの間,PBA に対してその最大定格に相当する動作ストレスを与える。

サイクルごとの機能試験を高温段階の終了時に行う。1 サイクルの総持続時間は 2 時間 30 分である。

次のストレス条件及び RSS サイクルを選択した。

最低温度:−10  ℃

最高温度:  70  ℃

温度変化率:5  ℃/min

保持時間:低温 30 min,高温 1 h 30 min

動作ストレス(定常)

:最大定格

監視:タイプ B. 2 h 30 min ごと

A.4

ステップ 3−費用-効果分析  最良の推定では約 20  %の弱い PBA があると考えられる(IEC 61163-1 

H.2

参照)

。市場で弱いアイテムが最大許容割合は 2  %である。したがって, RSS には,20  %の弱いアセ

ンブリを 2  %以下に減らすことが要求される。

A.5

ステップ 4−スクリーニング計画の準備  スクリーニング計画は,次に示された要素を記録しながら

実施する。

RSS

はロット生産する修理系(PBA)に対して実施するため,IEC 61163-1 を用いる。

a) RSS

プロセスに対する責任は,PBA の製造工場が負う。最終的な調整及び管理に対する現場責任者が

責任者となる。 RSS に対しても PBA の最終的管理に使われる通常の試験装置を使用する。RSS の恒

温槽は,環境試験担当職員が操作する。

b)

可能性のある故障モード及びメカニズムは,次による(IEC 61163-1 の H.2 参照)

IC

の場合

−  製造時の取扱いの際の ESD による内部絶縁層の部分的損傷。

−  難しい手作業の製造プロセスによる樹脂封止のクラック発生。

トランジスタの場合

−  難しい手作業の製造プロセスによる樹脂封止のクラック発生。

c)

弱い PBA の 4 週間の平均割合が 2  %を下回るまで RSS プログラムを継続する。

d)

最終調整及び最終試験の後,システムに組み込まれる前に,PBA のスクリーニングを行う。RSS プロ

セスの後,最終管理として同じ試験機器を使用する。

e)

したがって,スクリーニングプロセスは,サブシステムレベルである。

f)

ステップ 2 の RSS サイクルを採用する。

g)

選択したスクリーニングプロセスの主要なパラメータの選択の根拠を記録する。

h) RSS

を行っている PBA は 2 時間 30 分ごとに監視される(

本体図 タイプ B 参照)。さらに,RSS プ

ロセス後の最終試験装置での故障の割合が集計され,4 週間の移動平均が計算される。

すべての故障に対して故障解析を行い,プロセス,コンポーネント及び設計に対する是正処置を始

める。

JIS Z 9021

による 管理図を作成する。もし,週ごとの故障の割合が下方管理限界(LCL)以下で

あれば,RSS プロセスの持続時間を減らすために RSS プロセスのデータを解析する。

もし,週ごとの故障の割合が上方管理限界(UCL)を超えていれば,RSS プロセスの持続時間を直

ちに 2 倍にする。RSS プロセスの監視から得られたデータに基づいて,新しい(そしてより長い)最


24

C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

適な持続期間を計算する。

i)

IEC 61163-1

附属書 に従ってワイブル確率紙を活用する。

j) RSS

プロセス中及びプロセス後の平均故障割合が 2  %を下回るならば,速やかに 100  %RSS プロセ

スを打ち切る。毎日 10 枚ずつ PBA のサンプルを製造プロセスから集める。50 枚のサンプルが集めら

れたら,RSS プロセスを行う。連続した 2 週間に二つを超える故障(100 枚の PBA において二つを超

える故障)が発生したならば,直ちに 100  %RSS プロセスに戻す。

サンプルによる RSS の故障割合が 3 か月連続で 1  %を下回れば,抜取りによる RSS を打ち切る。

A.6

ステップ 5−スクリーニングプロセスのデータ収集,解析及び是正措置  パイロット生産での 100

枚の PBA に対して,試行 RSS として計画した RSS プロセスを行った。

すべての弱い PBA が試行 RSS の期間中に故障するように,RSS 試行の持続時間を約 2 週間に相当する

134

サイクルに選択した。

ワイブル確率紙(IEC 61163-1 参照)に故障データをプロットし,RSS プロセスの最適期間を 12 サイク

ル(30 h)であると計算した。そして,この RSS プロセスをすべての製造された PBA(100  %RSS)に対

して 4 か月間行った。この後でサンプルによる RSS を行った。6 週間後,製造上の問題によって 100  %RSS

を 2 か月間再導入した。

生産開始から 1 年後,

ついにこの製品に対する抜取りによる RSS が打ち切られた。


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

1 試験所 

5 材料レベル 

2 コンポーネント製造業者 

6 コンポーネントレベル 

3 システム製造業者 

7 サブシステムレベル 

4 最終使用者 

8 システムレベル 

附属書   1  RSS プロセスのレベル選択

8

8

7

6

6

5


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

附属書   1  欠点検出能力及びストレスの相関

欠点 
製造上の取扱いで ESD による CMOS IC の部分的破壊
難しい手作業の製造プロセスによる 
CMOS IC

封止部のクラック

難しい手作業の製造プロセスによる 
パワートランジスタ封止部のクラック

ストレス

留意点

高温(定常)

×

適用可

温度サイクル

×

×

適用可

固定周波数の正弦波振動 
周波数掃引の正弦波振動 
ランダム振動 
バンプ

アイテムは粗雑な機械的環境
で使えるように設計されてい
ない。

一定の高温動作ストレス

×

適用可

動作ストレスサイクル

×

適用可

高温,高湿(定常)

×

×

環境状態として予測されない
が,スクリーニングに適して
いる。

高湿での温度サイクル

×

×


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

附属書 B(参考)電子部品の RSS

この附属書は電子部品の RSS について、記述するものであり、規定の一部ではない。

B.1

一般事項  この附属書は,IEC 61163-2 の附属書 に基づいて電子コンポーネントの RSS の例を示

したものである。ここでのコンポーネントは,標準カタログのバイポーラシリコンパワートランジスタで

ある。

B.2

ステップ 1−目的及び目標の明確化  コンポーネントへの使用上,Ic = 2 A のときのターンオン時間

は 0.5

μs で,ターンオフ時間 1.0 μs であることが要求されている。コンポーネントのデータシートによる

と,Ic = 5 A のときの公称値として時間が規定されている。スイッチング(パルスレスポンス)特性の優

れた,この種類のコンポーネントを用いることは,機器に対して最高性能を与え,市場での競争力が増す。

コンポーネント製造業者と打合せを行ったが,スクリーニング作業の予測結果に関する助言は全く得ら

れず,他者がスクリーニング可否の選択をすることについて関心が得られなかった。注文数が少なく,か

つ,製造工程の設計において良品率を増大させるような特別な対応が技術的理由によって不可能であるの

で,コンポーネント製造業者はスクリーニングの実施に消極的である。

スイッチング時間は温度上昇と共に減少する。その温度係数は明確にされていない。パラメータは出荷

管理及び型式試験で測定していないので,この時間パラメータの安定度について正確に予測できない。

コンポーネントのパラメータが使用者の基準を外れるからといって,コンポーネント製造業者は,不合

格を受け入れない。仕様データが製造業者の仕様限界外である場合に限り,不合格を受け入れる。

スクリーニングは,コンポーネントレベルで実施されるので,IEC 61163-2 が適用される。

B.3

ステップ 2−スクリーニングプロセス設計及び適用  コンポーネント製造業者との打合せから,スク

リーニングは,低温動作時及び高温動作後一定時間経過後,パルス応答の測定によって行うことが望まし

いことが分かった。測定は,Ic=2A,Vcc その他のデータは実機条件で行う。高温度でのスクリーニングは

規定の電力を印加して行う。

機器内の実装位置での最高周囲温度は,試作機で測定され,+70  ℃と計算している。これは 125  ℃とい

う仕様値より低い。接合温度を上昇させ,時間加速を上昇させるために,仕様最大電力をスクリーニング

期間印加することが望ましい。機器に対する仕様最低周囲温度は 0  ℃であり,この温度で測定を行うこと

が望ましい。

パラメータの温度係数及び時間安定性を調べることは非常に有益である。そのため,基準として次の一

連作業を初期に実施する。

a)

周囲温度 0  ℃でのパラメータの測定及び記録

b)

室温でのパラメータの測定及び記録

c) 125

℃での高温度動作スクリーニング

d)

室温でのパラメータの測定及び記録

しかしながら,もし,温度係数及び安定性を保証することが可能であると確信できれば,室温での測定

だけに省略することができる。そのため,試行スクリーニングを行う前には,スクリーニング装置及び試


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

験装置は,すべてを用意しないことに決める。

B.4

ステップ 3−費用−効果分析  試作によって,スクリーニングをしないでコンポーネントを使用する

ことは,不可能なことが分かった。許容できる価格範囲及び期限内に必要なパラメータをもったコンポー

ネントを購入することは不可能である。そのため,RSS は必要である。

B.5

ステップ 4−スクリーニング計画の準備  スクリーニング計画は,次の要素を基に立案する。

スクリーニングは,コンポーネントレベルで実施されるので,IEC 61163-2 を適用する。

a)

スクリーニングは,スクリーニングサービスを提供している独立試験所で実施する。

b)

この場合,コンポーネントに発生する可能性のある欠点及び故障モードの確認は必要ない。

c)

スクリーニングの目的は,99  %の信頼水準をもって,要求されたパルス応答を実現するコンポーネン

トを選別することである。

d)

コンポーネントの各ロットは,部品製造業者から受け取ったままでスクリーニングする。承認された

コンポーネントは,機器製造業者に送られる。

e)

この場合,スクリーニングは,コンポーネントレベルで行う。

f)

測定は,室温及び 0  ℃で実施される。加速エージングは+125  ℃で行う。

g)

コンポーネント製造業者との連絡には,選択されたスクリーニングプロセスの理論的根拠を示した文

書が用いる。

h)

パルス応答パラメータは,室温で測定される。合格判定基準外のコンポーネントは,不合格とする。

その後,高温動作スクリーニングが 125  ℃で実施される。さらに再び,室温でデータが測定され記録

される。その後,ドリフトが計算され,ロットの不合格率が算出される。50  %を超えるドリフトのあ

るコンポーネント又は合格判定基準外にあるコンポーネントは,不合格とする。10  %より高い不合格

率をもったロットは,すべて不合格とする。

i)

データは,近似的に双峰分布に従うものと推定する。正規確率紙上のプロットは,これが妥当な仮定

であることを示す。不合格率は,二項分布に従う。

j)

スクリーニングは(修理用予備モジュールの製造を含めて)生産が続いている限り継続する。しかし,

スクリーニングプロセスは,試行スクリーニングの結果及び記録されたデータを基に変更し得る。パ

ラメータ値がコンポーネント製造業者によって保証されていないので,合格判定基準外のパラメータ

をもったコンポーネントは,納入されないことについて非常に高い信頼が得られたときに限り,パラ

メータの測定を止めることができる。

B.6

ステップ 5−スクリーニングプロセスのデータ収集,解析及び是正処置  試行スクリーニングの結果

によっては,高温スクリーニング時間の短縮及び 0  ℃での測定を削除することができる。

もし,機器製造又は機器の市場での実使用の経験によって,パラメータが試行スクリーニング中に経験

した以上の時間で増加することを示された場合には,スクリーニング時間を延長するか,又はロット不合

格の基準を修正することが望ましい。評価は,決定が下される前に行うのがよい。

試行スクリーニングの結果についての情報は,コンポーネント製造業者に知らせる。スクリーニング順

序の設計,不合格基準の設計,及び継続されたスクリーニング結果についての情報もまたコンポーネント

製造業者に知らせる。コンポーネント製造業者は対応する義務はないが,この情報は,コンポーネント製

造業者がより厳しい仕様に対応するコンポーネントを供給し,使用者が調達したロット中でより高い良品


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C 5750-3-7

:2003 (IEC 60300-3-7:1999)

率を期待するという共通利益のために重要である。

不安定なロットは,調達されないという確信がもてれば,直ちに高温動作スクリーニングを中断するこ

とができる。

コンポーネント製造業者によって保証されていないので,受入れ基準を外れるコンポーネントが一つも

納入されないことが非常に高い信頼が得られたときに限り,パラメータの測定を止めることができる。