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C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

(1) 

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲  

2

2

  引用規格  

2

3

  用語及び定義  

3

4

  ディペンダビリティ  マネジメントシステム  

4

4.1

  適用  

4

4.2

  一般的な推奨事項  

5

4.3

  文書化に関する推奨事項  

5

5

  マネジメントの責任  

5

5.1

  ディペンダビリティにおけるマネジメントの役割及びコミットメント  

5

5.2

  ディペンダビリティにおける顧客重視 

6

5.3

  ディペンダビリティ方針  

6

5.4

  ディペンダビリティ計画  

6

5.5

  責任,権限及びコミュニケーション 

6

5.6

  マネジメントレビュー  

7

6

  資源の運用管理  

7

6.1

  資源の提供  

7

6.2

  人的資源  

7

6.3

  インフラストラクチャー  

7

6.4

  作業環境  

7

7

  製品実現  

8

7.1

  製品実現の計画  

8

7.2

  顧客関連のプロセス  

8

7.3

  設計・開発  

8

7.4

  購買及び委託  

9

7.5

  製造及びサービスの提供  

9

7.6

  監視及び測定装置の管理  

9

8

  測定,分析及び改善  

9

8.1

  一般  

9

8.2

  監視及び測定  

9

8.3

  不適合製品の管理  

10

8.4

  データの分析  

10

8.5

  改善  

10

附属書 A(参考)ディペンダビリティの概念  

11

附属書 B(参考)ディペンダビリティ  マネジメントプロセスの段階  

13


C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

(2) 

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,財団法人日本規格

協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査

会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これによって,JIS C 5750-1:2000 は改正

され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に

抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許

権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責

任はもたない。

JIS C 5750

の規格群には,次に示す規格がある。

JIS

C

5750-1

  第 1 部:ディペンダビリティ  マネジメントシステム

JIS

C

5750-2

  第 2 部:ディペンダビリティ  マネジメントのための指針

JIS

C

5750-3-1

  第 3-1 部:適用の指針−ディペンダビリティ解析手法の指針

JIS

C

5750-3-2

  第 3-2 部:適用の指針−フィールドからのディペンダビリティデータの収集

JIS

C

5750-3-3

  第 3-3 部:適用の指針−ライフサイクル  コスティング

JIS

C

5750-3-4

  第 3-4 部:適用の指針−ディペンダビリティ要求事項仕様書作成の指針

JIS

C

5750-3-5

  第 3-5 部:適用の指針−信頼性試験条件及び統計的方法に基づく試験原則

JIS

C

5750-3-6

  第 3-6 部:適用の指針−ディペンダビリティにおけるソフトウェアの側面

JIS

C

5750-3-7

  第 3-7 部:適用の指針−電子ハードウェアの信頼性ストレススクリーニング

JIS

C

5750-4-1

  第 4-1 部:適用の指針−リユース部品を含む製品のディペンダビリティ−機能性及び

試験に関する要求事項

JIS

C

5750-4-2

  第 4-2 部:適用の指針−ソフトウェア  ライフサイクル  プロセスにおけるソフトウェ

ア  ディペンダビリティ

JIS

C

5750-4-3

  第 4-3 部:適用の指針−システム信頼性のための解析技法−故障モード・影響解析

(FMEA)

の手順(予定)


   

日本工業規格

JIS

 C

5750-1

:2010

(IEC 60300-1

:2003

)

ディペンダビリティ  マネジメント−

第 1 部:ディペンダビリティ  マネジメントシステム

Dependability management-Part 1: Dependability management systems

序文 

この規格は,2003 年に第 2 版として発行された IEC 60300-1 を基に,技術的内容及び対応国際規格の構

成を変更することなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。

この規格は,2000 年版に取って代わるものであり,技術的な改正を含むものである。2000 年版に対する

主な変更点を,次に示す。

−  ディペンダビリティ  マネジメントシステムが,組織的なマネジメントシステム全体の中の一部分であ

ることを明示した。

−  JIS Q 9001 及び JIS Q 9004 に対して,構造的及び用語上の統一を図った。

−  システムに着目した。

ディペンダビリティは,今日のグローバルビジネス環境の中で主要な決定要因となっている。ディペン

ダビリティは,製品コスト及びプロセスに影響を与える。それは,製品性能に影響を与える固有の製品設

計特性である。費用対効果の高い製品運用を実現するため,製品ライフサイクルの初期における概念定義

段階及び設計段階でのディペンダビリティ規範の実施を通して,高信頼性製品を達成する。他の技術及び

工学の規範と同様に,高い製品価値を顧客に提供するためには,ディペンダビリティを運営管理する必要

がある。広義には,製品性能能力,要求に応じたサービス有効性の提供並びにライフサイクル全体での取

得及び所有にかかわるコストの最小化に関して満足を得るという形で,ディペンダビリティは使用品質に

おける利用者の信頼を反映している。

ディペンダビリティは,規模の大小にかかわらず,製品のアベイラビリティ性能を表す包括的な用語で

ある。  製品のアベイラビリティ性能に影響を与える要因は,信頼性及び保全性の特性設計並びに保全支援

性能である。

附属書 は,ディペンダビリティの概念について示す。多くの製品において,信頼性,保全

性及びアベイラビリティは,費用対効果の高い運用を求めている顧客にとって,最も重要な性能特性とし

て位置付けられている。信頼性及び保全性は,製品設計における固有な性能特性である。保全支援は,製

品の外部からディペンダビリティに影響する。保全支援能力は,システムのアベイラビリティ性能目標を

達成する保全支援水準を維持するために必要な資源を提供する保全組織の能力に依存する。

この規格では,

多くの組織又はプロジェクトのニーズに適用できるディペンダビリティ  マネジメントシ

ステムを確立するための,

一般的な指針を提供する。

参照するディペンダビリティ規格の構成は,

“道具箱”

の概念をもつ。ここでの推奨事項は,マネジメントにおけるディペンダビリティ規範のテイラーリング及

び効果的な実施を促進するためであって,規定ではない。この規格は,最上位のディペンダビリティ  マネ

ジメント規格である。JIS C 5750-2 がこれを補助し,適用の指針及び方法の参照を与える。

“道具箱”の概


2

C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

   

念は,この規格の利用者が各々のプロジェクトの目標を達成するため,特定のディペンダビリティ適用の

指針及び適切な方法を見つけることを支援する。

この規格は,既知の制約及び技術限界の中で,製品最適化のためのマネジメント及び設計の,革新及び

柔軟性を促進する。JIS Q 9001 及び JIS Q 9004 の品質マネジメントシステム(QMS)の構成と整合させ,総

合的なマネジメントシステムの中でディペンダビリティ活動の協調を促進する。ディペンダビリティ活動

は,製品の信頼性,保全性及び保全支援能力を要求水準に到達するために,QMS プロセスを補完する。こ

の規格の JIS Q 9001 及び JIS Q 9004 への整合は,個別のディペンダビリティ推奨事項と適切な QMS プロ

セスとを結び付けるために必要である。この規格の主要な箇条は,全く同じとはいえないが,JIS Q 9001

及び JIS Q 9004 を相互参照する。それらは,ディペンダビリティの観点から類似した品質項目を扱う。

適用範囲 

この規格は,製品(サービスを含む。3.5 を参照。

)のためのディペンダビリティ  マネジメントシステム

の概念及び原則について規定する。この規格  は,ディペンダビリティ目標に適合するために必要な,計

画,資源配分,管理及びテイラーリングに関するディペンダビリティにおける一般的なプロセスを明確に

する。

この規格は,計画,設計,測定,分析及び改善に関する製品ライフサイクルの各段階におけるディペン

ダビリティ性能に関する事項を扱う。ディペンダビリティは,アベイラビリティ性能及びこれに影響を与

える要因,すなわち,信頼性性能,保全性性能及び保全支援能力を含む。

この規格の目的は,すべての関係者(供給者,組織及び顧客)による協力を容易にし,包括的なディペ

ンダビリティ目標を達成するために,ディペンダビリティ  ニーズ及び価値の理解を促進することである。

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 60300-1:2003

,Dependability management−Part 1: Dependability management systems (IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 5750-2

  ディペンダビリティ  マネジメント−第 2 部:ディペンダビリティ  マネジメントのため

の指針

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60300-2:2004 , Dependability management − Part 2: Guidelines for

dependability management (MOD)

JIS Q 9001

  品質マネジメントシステム−要求事項

注記  対応国際規格:ISO 9001:2000,Quality management systems−Requirements (IDT)

JIS Q 9004

  品質マネジメントシステム−パフォーマンス改善の指針

注記  対 応 国 際 規格 : ISO 9004:2000 , Quality management systems− Guidelines for performance

improvements (IDT)

JIS Z 8115

  ディペンダビリティ(信頼性)用語


3

C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8115 によるほか,次による。

注記  特定の用語は JIS Z 8115 からの引用であり,この場合,用語及び定義の後の括弧内に規格番号

及び項目番号を示す。品質に関する用語は,JIS Q 9000 参照。 

3.1 

ディペンダビリティ(dependability 

アベイラビリティ性能及びこれに影響を与える要因,すなわち,信頼性性能,保全性性能,保全支援能

力などを包括的に記述するための総称。

注記  ディペンダビリティは,非定量的用語として一般的記述に限り用いられる。

3.2 

ディペンダビリティ  マネジメント(dependability management 

ディペンダビリティに関して組織を指揮し,運営管理(control)するための調整した活動。

注記  ディペンダビリティ  マネジメントは,組織の包括的なマネジメントの一部である。

3.3 

ディペンダビリティ  マネジメントシステム(dependability management system 

ディペンダビリティに関して組織を指揮し,運営管理(control)するためのマネジメントシステム。

注記 1  組織のディペンダビリティ  マネジメントシステムは,包括的なマネジメントシステムの一部

である。

注記 2  ディペンダビリティを運営管理するために用いる組織の構造,責任,手順,プロセス及び資

源は,ディペンダビリティ  プログラムの一部である。

3.4 

ディペンダビリティ計画書(dependability plan 

特定の製品,契約又はプロジェクトに関連する個別のディペンダビリティの実施事項,資源及び一連の

活動を記述する文書。

3.5 

製品(product 

プロセスの結果。 

注記 1  次に示す四つの一般的な製品分類がある。

−  サービス(例えば,輸送)

−  ソフトウェア(例えば,コンピュータプログラム,辞書)

−  ハードウェア(例えば,エンジン機械部品)

−  素材製品(例えば,潤滑剤)

多くの製品は,異なる一般的な製品分類に属する要素からなる。製品をサービス,ソフト

ウェア,ハードウェア又は素材製品のいずれで呼ぶかは,その製品の支配的な要素で決まる。

例えば,提供製品である“自動車”は,ハードウェア(例えば,タイヤ)

,素材製品(例えば,

燃料,冷却液)

,ソフトウェア(例えば,エンジン  コントロール  ソフトウェア,運転者用マ

ニュアル)及びサービス(例えば,セールスマンの操作説明)から成り立っている。

注記 2  サービスは,供給者と顧客との間のインタフェースで実行する,少なくとも一つの活動の結

果であり,一般に無形である。サービスの提供には,例えば,次の事項がある。

−  顧客支給の有形の製品(例えば,修理するべき自動車)に対して行う活動


4

C 5750-1

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−  顧客支給の無形の製品(例えば,納税申告に必要な収支情報)に対して行う活動

−  無形の製品の提供(例えば,知識伝達という意味での情報提供)

−  顧客のための雰囲気造り(例えば,ホテル及びレストラン内)

ソフトウェアは,情報で構成され,一般に無形であり,アプローチ,処理又は手順の形を

取り得る。ハードウェアは,一般に有形で,その量は数えることができる特性をもつ。素材

製品は,一般に有形で,その量は連続的な特性である。ハードウェア及び素材製品は,品物

と呼ぶことが多い。

JIS Q 9000 の 3.4.2 参照)

注記 3  ディペンダビリティの概念において,製品には小規模なもの(例えば,デバイス,ソフトウ

ェアアルゴリズム)又は大規模なもの(例えば,輸送システム又はハードウェア,ソフトウ

ェア,人的要素,支援設備及び活動からなる統合ネットワーク)がある。

3.6 

システム(system 

相互に関連する又は作用する要素の集まり(JIS Q 9000 の 3.2.1 参照)

注記 1  ディペンダビリティの概念において,システムには次の事項を含む。

−  意図する機能によって表現される明確な目的

−  運用(JIS Z 8115 の G9 参照)に関する規定した条件

−  明確にした境界

注記 2  システムの構造は,階層化してもよい。

ディペンダビリティ  マネジメントシステム 

4.1 

適用 

組織は,ディペンダビリティ  マネジメントシステムを確立し,かつ,維持したい場合に,この規格を適

用できる。この規格は,製品の効率的なディペンダビリティ  マネジメントに対する一般的な指針を提供す

るものであるが,ここで対象とする製品は,ハードウェア,ソフトウェア並びに人の介在及び支援活動の

組合せで構成するものであってよい。この目的は,ディペンダビリティ  マネジメントプロセスを本質的な

ところから取り組むことによって,対象とする製品のディペンダビリティを確実に達成することである。

これらのプロセスは,一般的なものであり,すべての組織,ライフサイクルの各段階及び契約状況に応じ

て,その種類,規模及び提供する製品にかかわらず適用可能である。

状況によっては,プロジェクト又は契約の中に,この規格のすべての条項を含めることは,不適切なも

のになり得る。したがって,契約の当事者が,明示的にこの規格(全体又はその一部)を前提として引用

し,更に,契約の文中にこの規格の一部を含めるように要求する場合に限って,

(当該契約は書面として既

に完成しているかもしれないが)この規格は,当該契約の一部を形成するものとみなすことが望ましい。

この規格は,ディペンダビリティ  マネジメントシステムの基本について規定し,次の事項を目指してい

る組織に対し,一般的な原則を与える。

a)

製品のディペンダビリティ目標を達成するためのディペンダビリティ  マネジメントシステムを確立

する。

b)

ディペンダビリティに対する顧客の要求及び期待並びにそれらが満足する方法を決定する。

c)

ディペンダビリティ計画書の策定を支援する。

d)

ディペンダビリティ  マネジメントシステムの有効性を評価し改善する。


5

C 5750-1

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e)

ディペンダビリティ活動におけるコミュニケーションの推進を図る。

4.2 

一般的な推奨事項 

組織は,ディペンダビリティ活動を指揮及び運営管理(control)するディペンダビリティ  マネジメント

システムを確立し,

それを維持することが望ましい。

組織のディペンダビリティ  マネジメントシステムは,

組織のマネジメントシステム全体の不可欠な部分としておくことが望ましい。

ディペンダビリティ  マネジ

メントの一般的なプロセスを,

附属書 に示す。

組織は,次の事項を実施することが望ましい。

a)

組織のビジネスニーズに対応したディペンダビリティ活動を特定する。

b)

ディペンダビリティ目標を設定し,個別のプロジェクトに適した形で,製品の各ライフサイクル段階

を計画する。

c)

プロジェクトに適用するすべての段階及び各時点で,適切なディペンダビリティ活動を確実に実施す

る。

d)

製品のディペンダビリティの査定,評価及び受入れのために基準及び方法を決定する。

e)

プロジェクトによる適切なディペンダビリティ活動の実施によって,製品実現を支援するために必要

な利用可能な資源及び情報を提供する。

f)

ディペンダビリティ活動を監視し,継続的な改善のために,その結果を測定し分析する。

g)

費用対効果に優れた業務を維持するために,各プロセス(設計,製品実現,サービス提供など)間の

連携を促進する。

h)

総合的なプロジェクト目標及び顧客満足達成のために,供給者・組織・顧客の三者の良好な関係を促

進する。

4.3 

文書化に関する推奨事項 

ディペンダビリティ  マネジメントシステムの文書化は,

次の項目を含むように作成することが望ましい。

a)

文書化したディペンダビリティ方針及び目標の表明

b)

ディペンダビリティ計画書

c)

組織のプロジェクト又はビジネスに関連するディペンダビリティ手法

d)

ディペンダビリティ記録

マネジメントの責任 

5.1 

ディペンダビリティにおけるマネジメントの役割及びコミットメント 

ディペンダビリティにおけるマネジメントの役割は,明確になっていることが望ましい。ディペンダビ

リティ  マネジメントシステムは,

マネジメントシステム全体の不可欠な部分となっていることが望ましい。

個別のマネジメントの任務及びディペンダビリティ目標は,組織又はプロジェクトに必要な品質及びその

他の技術的な規範に関して明確にすることが望ましい。

これは,

ビジネスニーズ及び顧客の目標を達成し,

組織の継続的な改善を行うことである。

ディペンダビリティにおけるマネジメントの役割は,次の項目を含むことが望ましい。

−  ディペンダビリティに対する戦略の立案

−  ディペンダビリティ活動に対する責任及び権限の定義を含む適切な組織構成の定義

−  ディペンダビリティ資源の割付け

−  ディペンダビリティ目標及びディペンダビリティ活動から発生する利点の周知

−  ディペンダビリティ  マネジメント及び活動に対する,責任及び権限の識別


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C 5750-1

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−  ディペンダビリティ方針,ディペンダビリティ  プログラム及び関連プロセスの策定

−  ディペンダビリティ活動の実行及び管理

−  ディペンダビリティ性能の評価

−  製品ディペンダビリティの継続的な改善

−  上記の体系的なレビュー

トップマネジメントは,

ディペンダビリティ  マネジメントシステムの有効性及び継続的な改善を確実に

するために,そのコミットメント及び参画を明示することが望ましい。

5.2 

ディペンダビリティにおける顧客重視 

トップマネジメントは,ディペンダビリティに対する顧客ニーズ及び期待を決定し,かつ,理解し,顧

客満足を高める目的に合致していることを確実にすることが望ましい。組織が供給者及び顧客との対話を

継続し,ディペンダビリティの問題点を速やかに解決し,製品のディペンダビリティを継続的に改善する

ことを確実にすることが望ましい。

5.3 

ディペンダビリティ方針 

トップマネジメントは,製品ディペンダビリティの目標及び顧客にとっての価値の達成を目的とした方

針を構築することが望ましい。ディペンダビリティ方針は,経営方針の一部を形成したり,品質方針に組

み入れてもよい。

5.4 

ディペンダビリティ計画 

トップマネジメントは,ディペンダビリティ計画をビジネス戦略に整合し,総合経営計画の一部に組み

込むことを確実にすることが望ましい。ディペンダビリティは,顧客に付加価値の提供を実現するための

技術及び重要なビジネス的意思決定要素として考えることが望ましい。ディペンダビリティ計画書は,製

品のディペンダビリティ性能を決定するために顧客からのフィードバックの仕組みを包含することが望ま

しい。ディペンダビリティ計画は,適切な場合に次の事項を検討することが望ましい。

−  ディペンダビリティ主導の市場ニーズ及びタイミング

−  市場優位性又は影響力などを提供する,製品の付加価値属性としてのディペンダビリティ

−  ディペンダビリティ  マネジメントプロセスと他のマネジメントプロセスとの相互作用

−  費用対効果を最適化するためのディペンダビリティ設計のトレードオフ

−  費用対効果の高いディペンダビリティ性能に影響する規制及び契約の規定

−  組織のディペンダビリティ能力の開発及び維持

−  知識ベース及び知的所有権の維持

−  ディペンダビリティ情報の普及及びフィードバックの仕組み

−  ディペンダビリティ計画書及び戦略の実施

−  社会的利益及び環境影響

5.5 

責任,権限及びコミュニケーション 

トップマネジメントは,ディベンダビリティの責任及び権限を定め,周知し,かつ,十分な資源を提供

することを確実にすることが望ましい。プロジェクトに関する個別のディペンダビリティ機能及び割当て

を明確にすることが望ましく,それらの品質及びその他の技術的な規範との相互関係を,組織内に周知す

ることが望ましい。

必要な場合,ディペンダビリティに対する顧客のニーズ及び期待に適切に対処することを確実にするた

め,ディペンダビリティ懸案事項に関する管理責任者の役割を明確に示すことが望ましい。また,ディペ

ンダビリティ懸案事項に関する内部及び外部コミュニケーションは,ディペンダビリティ計画プロセスの


7

C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

一部として明確化することが望ましい。

5.6 

マネジメントレビュー 

ディペンダビリティ  マネジメントシステムが,引き続き適切,妥当,かつ,有効であることを確実にす

るために,定期的にレビューすることが望ましい。マネジメントレビューは,他の継続的な改善活動と組

み合わせてもよい。トップマネジメントは,マネジメントシステムが,組織のディペンダビリティ方針及

び目標に適合しているかどうかを判断するために,マネジメントレビューを実施することが望ましい。マ

ネジメントレビュー会議における意思決定のために,適切なディペンダビリティ情報を,使用可能にして

おくことが望ましい。

ディペンダビリティ  マネジメントシステムのディペンダビリティ改善及び変更提案

についての推奨事項を,レビュー時に提示することが望ましい。マネジメントレビュー会議による決定事

項及び処置については,参照及びフォローアップのために記録することが望ましい。

資源の運用管理 

6.1 

資源の提供 

組織は,次の事項に必要な資源を明確にし,提供することが望ましい。

a)

ディペンダビリティ  マネジメントシステムを実施し,維持する。また,その有効性を継続的に改善す

る。

b)

ディペンダビリティに関する顧客のニーズ及び期待を満たすことによって,顧客満足を達成及び向上

する。

6.2 

人的資源 

ディペンダビリティ  プロジェクト又は個別のディペンダビリティ活動に従事する要員は,適切な教育,

訓練,技能及び経験を判断の根拠とした力量があることが望ましい。

ディペンダビリティに責任のある要員に対しては,訓練及び教育によって,知識及び力量を継続的に改

善することを奨励し,そのための機会を提供することが望ましい。要員のディペンダビリティ知識及び力

量を,ビジネス及び市場変化に適応できるように,常時,最新なものに維持することが望ましい。人的資

源のレビュープロセスは,適切な力量向上,個人能力開発及び更なる責任を負うための担当者を用意する

必要性を判断するものであることが望ましい。

6.3 

インフラストラクチャー 

組織は,ディペンダビリティ方針を反映した長期的なディペンダビリティ目標及び短期的なプロジェク

ト目標を達成する上で必要とするインフラストラクチャーを明確にし,提供し,かつ,維持することが望

ましい。

インフラストラクチャーには,次のようなものがある。

a)

ディペンダビリティ活動を支援するための作業場所,施設及びユーティリティ(例えば,電気,ガス,

水)

b)

ディペンダビリティ  データの収集,普及,保管及び使用を容易にする情報システム

c)

情報及び知的所有権を保護するセキュリティシステム

d)

周辺の支援業務を外注するためのプロセス

注記  インフラストラクチャーとは,“組織の運営のために必要な施設,設備及びサービスに関するシ

ステム”を指す(JIS Q 9000 の 3.3.3 参照)

6.4 

作業環境 

組織は,組織のビジネスニーズに従って,継続的な学習,リーダーシップ訓練及びチームの育成並びに


8

C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

   

継続的なプロセス改善を奨励する作業環境を確立し,維持することが望ましい。主要なビジネス要素とし

て,ディペンダビリティを作業環境の中で考慮に入れることが望ましい。

製品実現 

7.1 

製品実現の計画 

組織は,製品目標又は仕様と整合が取れたディペンダビリティに影響するプロセスを計画して,構築す

ることが望ましい。適切なディペンダビリティ活動は,製品の各ライフサイクル段階で実施することが望

ましい。これらの活動は,結束したプロジェクトへの取組みのために,他の要素,すなわち製品開発及び

生産プロセス並びに組織の運営活動と一体化した活動であることが望ましい。ディペンダビリティ計画書

の範囲及び内容は,プロジェクトの特定の要求に応じて決めることが望ましい。この内容には,実際の製

品に適用するディペンダビリティの個別の制約及び重大性を含んでいる。

注記  ディペンダビリティ計画書を作成する指針は,JIS C 5750-2 で規定する。

製品実現の計画において,適切な場合には,組織は次の事項を決定することが望ましい。

a)

製品のディペンダビリティ目標

b)

ディペンダビリティ目標を満たすために適用する方法及びプロセス

c)

技術的な制限及び適用上の制約の下で,ディペンダビリティに影響を与える個別のプロセスを確立す

る要求

d)

検証及び妥当性確認方法並びに製品のディペンダビリティ評価及び受入れに関連する基準

e)

ディペンダビリティについての文書及び記録の要求

7.2 

顧客関連のプロセス 

組織は,次の事項を明確にすることが望ましい。

a)

市場又はビジネス戦略に関する顧客の意見を反映したディペンダビリティのニーズ及び目標

b)

製品の使用及び適用に関する法令及び規制要求事項

c)

製品のディペンダビリティ性能に影響する,予想した最終利用者の使用条件及び適用環境

組織は,ディペンダビリティ目標を規定し,その目標を満足する組織の能力を評価することを確実にす

ることが望ましい。ディペンダビリティのレビュープロセスを導入することが望ましく,レビューは,個

別の製品ライフサイクルにおいて製品の評価及び受入れを容易にすることが望ましい。

ディペンダビリティ記録は,製品の妥当性確認及び受入れのために維持することが望ましい。製品ディ

ペンダビリティに関連する情報は,適切な時期に顧客に連絡することが望ましい。顧客からのディペンダ

ビリティについての懸案事項のフィードバックは,問題解決及び継続的改善のためにレビューすることが

望ましい。計画した製品の廃止があった場合には,顧客に対して,それを助言することが望ましい。

7.3 

設計・開発 

組織は,製品のディペンダビリティに影響を与える設計・開発の活動を計画し管理することが望ましい。

設計へのインプット及びアウトプットは,レビューし,評価し,かつ,記録を維持することが望ましい。

設計変更及び部分変更は,管理することが望ましい。製造,サービス運用,保全支援,及び製品廃却又は

予想できるリユースに影響のあるディペンダビリティについての懸案事項は,できるだけ早く明確化及び

文書化し,解決することが望ましい。与えられたライフサイクル  コストの制約の中でディペンダビリティ

性能を確実に最適化するために,適用可能で適切と判断する場合には,プロジェクトのリスクアセスメン

ト及びライフサイクル  コストの分析を開始することが望ましい。


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C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

7.4 

購買及び委託 

組織は,購買又は委託した製品が規定したディペンダビリティの基準に適合することを確実にすること

が望ましい。供給者の選定を開始することが望ましい。供給者の適格性確認は,購買及び委託プロセスの

一部に含めることが望ましい。製品のディペンダビリティが最終利用者の運用環境に適合するという妥当

性の確認をするために,製品の適切なディペンダビリティのデータ及び履歴は,必要に応じて取得して評

価できることが望ましい。購買及び委託製品に関する共同作業とディペンダビリティの情報の共有を確実

にするために,供給者とのコミュニケーションを確立することが望ましい。

7.5 

製造及びサービスの提供 

組織は,ディペンダビリティ性能を管理するために,製造及びサービス提供方法を計画することが望ま

しい。製品の組立て及び製品統合までの個別の段階におけるディペンダビリティ試験及び妥当性確認は,

製品のリリース又は納入前に製品の適合性を確実にするために,適用できる場合には実施することが望ま

しい。製品の識別は,製品のトレーサビリティを確実にするために,製品のバージョン管理が適切となる

段階から開始することが望ましい。組織は,調達を容易にするために,サプライチェーン  マネジメント  プ

ロセスを確立し,プロジェクト業務の契約を結ぶことが望ましい。顧客の所有物を識別し,適用できる場

合には,損害,不正使用又は損失から保護することが望ましい。顧客の所有物に関するすべての事故及び

出来事は,適切な時期の処置及び解決のために顧客に報告することが望ましい。劣化又は保管寿命の制限

がある製品は,保存プロセスを開始し,その状態及び状況を監視し,記録することが望ましい。

7.6 

監視及び測定装置の管理 

ディペンダビリティ試験及び測定は,器具及び測定装置の精度に依存する。組織は,監視並びに測定装

置の管理及び校正プロセスを,QMS の一部として確立することが望ましい。製品のディペンダビリティ評

価及び性能の妥当性確認を行うための主要な試験機器及びソフトウェアのテストアルゴリズムは,

校正し,

確立した標準に対してトレーサブルであることが望ましい。監視及び測定装置の校正記録を維持しておく

ことが望ましい。

測定,分析及び改善 

8.1 

一般 

組織は,製品のディペンダビリティ  マネジメントシステム及びディペンダビリティの有効性を監視,測

定,分析及び改善する一連のプロセスを計画し,実施することが望ましい。製品ライフサイクルの適切な

段階で,ディペンダビリティ設計に早期から着目することが望ましい。

注記  品質マネジメントシステム性能改善のための指針は,JIS Q 9004 で規定する。製品ディペンダ

ビリティ改善のための指針は,JIS C 5750-2 で規定する。

8.2 

監視及び測定 

組織は,プロセスを次のことから開始することが望ましい。

a)

顧客からのフィードバック及び苦情を監視して顧客満足を決定する。

b)

適切な査定又は調査方法によって,ディペンダビリティ計画書の進行状況及び有効性の妥当性を確認

する。

c)

設計の妥当性,歩留まり及び処理能力,運用及び保全の有効性並びに補給支援活動の効率を決定する

ため,製品ライフサイクルの種々の段階において,受入れ可能かどうか製品性能を測定する。ディペ

ンダビリティ査定のために必要とする代表的な製品性能データは,次の事項を含む。

−  システム構成


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C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

   

−  信頼性評価及び検証

−  システム統合試験結果

−  製品受入れ記録

−  故障,機能不全又は劣化に関するシステム運用記録

−  保全サービス記録

−  補給支援

8.3 

不適合製品の管理 

組織は,不適合製品を管理するためのプロセスを確立することが望ましい。ディペンダビリティ  マネジ

メントレビュー及び問題解決のため,著しい初期故障,設計の不具合及び異常な摩耗劣化を示す製品のよ

うな不適合製品を識別し,管理することが望ましい。

8.4 

データの分析 

組織は,データ収集,分析及び報告のプロセスを,確立することが望ましい。分析したデータを解釈し,

顧客満足,供給元品質,製品ディペンダビリティ,性能傾向及び是正処置・予防処置の推奨事項のような

アイテムに関する情報を,適切に提供することが望ましい。

ディペンダビリティの分析結果は,文書化し,プロジェクトのマネジメント判断を支援するために使用

することが望ましい。

8.5 

改善 

組織は,ディペンダビリティ方針及び戦略的計画の実施,適切な査定又は調査方法及び該当するディペ

ンダビリティ  データの分析の利用,

予防処置及び是正処置による不適合の管理並びにレビュープロセスを

通して,ディペンダビリティ  マネジメントシステムの有効性を継続的に改善することが望ましい。これら

の改善記録は,傾向を明らかにできるように維持することが望ましい。


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C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

附属書 A

(参考)

ディペンダビリティの概念

A.1 

ディペンダビリティ 

ディペンダビリティは,アベイラビリティ性能及びこれに影響を与える要因,すなわち信頼性性能,保

全性性能,保全支援能力などを包括的に記述するための総称である(

図 A.1 参照)。

アベイラビリティ性能は,要求された外部資源が用意されたと仮定したとき,アイテムが与えられた条

件下で,与えられた時点又は期間中,要求機能を実行できる状態にある能力である(JIS Z 8115 の A1 

照)

信頼性性能は,アイテムが与えられた条件の下で,与えられた期間,要求機能を遂行できる能力である

JIS Z 8115 の R3 参照)

保全性性能は,与えられた使用条件で,規定の手順及び資源を用いて保全が実行されるとき,アイテム

が要求機能を実行できる状態に保持されるか,又は修復される能力である(JIS Z 8115 の MM1 参照)

保全支援能力は,与えられた保全方針及び与えられた条件の下で保全を行う組織が保全に必要な資源を,

要求に応じて提供できる能力である(JIS Z 8115 の MM2 参照)

アベイラビリティ

性能 

保全性性能

信頼性性能

保全支援能力

ディペンダビリティ

図 A.1−ディペンダビリティの概念 

ディペンダビリティ  マネジメントシステムは,ディペンダビリティの概念及びその関連用語の定義を正

しく理解し,運用することが望ましい。

例えば,信頼性性能の定義は,次の五つの要素から成り立っている。

a)

“アイテムが”

(対象製品の特定)

b)

“与えられた条件の下で”

(製品を使用する環境条件,機能を発揮するための動作条件など)

c)

“与えられた期間”

(製品の運用期間での,時間,回数,距離など)

d)

“要求機能を”

(製品に要求する機能)

e)

“遂行できる能力”

(機能の遂行能力,すなわち性能)

したがって,単に a)“アイテム”に対して e)“遂行できる能力”

,すなわち性能を特定しただけでは,

信頼性性能を正しく表現したことにならない。信頼性性能は,b)d)の規定及び条件の下で有効となる。


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C 5750-1

:2010 (IEC 60300-1:2003)

   

附属書 B

(参考)

ディペンダビリティ  マネジメントプロセスの段階

B.1 

ディペンダビリティ  マネジメントプロセスの段階 

ディペンダビリティ  マネジメントプロセスの段階は,

製品ライフサイクルのいかなる段階にも適用可能

な一連の活動から成り立っている。それぞれの活動への適切なフィードバックループは,継続的改善を可

能にする(

図 B.1 参照)。

製品ライフサイクルは,次の各段階から成り立っている。

−  構想及び定義

−  設計及び開発

−  製造

−  据付け

−  運用及び保全

−  廃却

注記  プロセスの各段階に適用可能なディペンダビリティ規格は,JIS C 5750-2 に規定する。

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ディペンダビリティ目標の定義

必要なディペンダビリティ 
作業の範囲及び意味の分析

実施したディペンダビリティ 
活動結果の分析

更なる改善のための 
ディペンダビリティ成果の評価

ディペンダビリティ目標を達成 
するための戦略及び活動の計画

選択したディペンダビリティ 
活動の実施

図 B.1−ディペンダビリティ  マネジメントプロセスの段階

 

参考文献  JIS Q 9000  品質マネジメントシステム−基本及び用語 

注記  対 応 国 際 規 格 : ISO 9000:2005 , Quality management systems − Fundamentals and

vocabulary (IDT)