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C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

(1)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,社団法人日本電子材料工業会 (EMAJ)/財団

法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工

業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日

本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 61643-321 : 2001,Components for

low-voltage surge protective devices−Part 321 : Specifications for avalanche breakdown diode (ABD)  を基礎とし

て用いた。

この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の

実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会

は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新

案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。


C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

目  次

ページ

序文

1

1.

  適用範囲

1

2.

  引用規格

1

3.

  定義

2

3.1

  アバランシブレークダウンダイオード ABD (avalanche breakdown diode ABD)

2

3.2

  クランピング電圧 V

C

 (clamping voltage V

C

)

2

3.3

  定格ピークインパルス電流 I

PPM

 (rated peak impulse current I

PPM

)

2

3.4

  最大使用電圧 V

WM

 (maximum working voltage V

WM

)

2

3.5

  待機電流 I

D

 (stand-by current I

D

)

2

3.6

  ブレークダウン(アバランシ)電圧 V

(BR)

 [breakdown (avalanche) voltage V

(BR)

]

2

3.7

  静電容量 C

j

 (capacitance C

j

)

2

3.8

  定格ピークインパルス電力損失 P

PPM

 (rated peak impulse power dissipation P

PPM

)

2

3.9

  定格順サージ電流 I

FSM

 (rated forward surge current I

FSM

)

2

3.10

  順電圧 V

FS

 (forward voltage V

FS

)

2

3.11

  ブレークダウン電圧の温度係数

αV

(BR)

 [temperature coefficient of breakdown voltage 

αV

(BR)

]

3

3.12

  温度軽減  (temperature derating)

3

3.13

  熱抵抗 R

thJA

R

thJC

R

thJL

 (thermal resistance R

thJA

R

thJC

R

thJL

)

3

3.14

  過渡熱インピーダンス Z

thJA

Z

thJC

Z

thJL

 (transient thermal impedance Z

thJA

Z

thJC

Z

thJL

)

3

3.15

  定格平均電力損失 P

M(AV)

 [rated average power dissipation P

M(AV)

3

3.16

  ピークオーバシュート電圧 V

OS

 (peak overshoot voltage V

OS

)

3

3.17

  直流パルス試験電流 I

T

 (pulsed d.c. test current I

T

)

3

3.18

  ピークインパルス電流 I

PP

 (peak impulse current I

PP

)

3

4.

  ABD の基本機能及び説明

3

5.

  使用状態

5

6.

  試験方法及び手順

6

6.1

  試験基準概要

6

6.2

  試験条件

6

6.3

  クランピング電圧 V

C

6

6.4

  定格ピークインパルス電流 I

PPM

7

6.5

  最大使用電圧 V

WM

及び最大使用実効電圧 V

WMrms

7

6.6

  待機電流 I

D

7

6.7

  ブレークダウン(アバランシ)電圧 V

(BR)

7

6.8

  静電容量 C

j

8

6.9

  定格ピークインパルス電力損失 P

PPM

8

6.10

  定格順サージ電流 I

FSM

8


C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

(3) 

ページ

6.11

  順電圧 V

FS

8

6.12

  ブレークダウン電圧の温度係数

αV

(BR)

9

6.13

  温度軽減

9

6.14

  熱抵抗 R

thJA

R

thJC

R

thJL

9

6.15

  過渡熱インピーダンス Z

thJA

Z

thJC

Z

thJL

10

6.16

  定格平均電力損失 P

M(AV)

10

6.17

  ピークオーバシュート電圧 V

OS

10

6.18

  オーバシュート継続時間

10

6.19

  応答時間

10

7.

  故障モード及び不良モード

12

7.1

  劣化不良モード

12

7.2

  短絡故障モード

12

7.3

  開放故障モード

12

7.4

  フェールセーフの運用

12

 
 


日本工業規格

JIS

 C

5381-321

:2004

(IEC 61643-321

:2001

)

低圧サージ防護デバイス用アバランシ

ブレークダウンダイオード (ABD) の試験方法

Components for low-voltage surge protective devices

Specifications for avalanche breakdown diode (ABD)

序文  この規格は,2001 年に第 1 版として発行された IEC 61643-321 : 2001,Components for low-voltage

surge protective devices−Part 321 : Specifications for avalanche breakdown diode (ABD)  を翻訳し,技術的内容

及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。

1.

適用範囲  この規格は,低圧配電システム,伝送及び信号回線に接続するサージ防護デバイスの設計

及び構成に用いるサージ防護デバイス用素子(以下,SPDC という。

)のアバランシブレークダウンダイオ

ード(以下,ABD という。

)の試験方法について規定する。この規格の試験仕様は,2 端子からなる ABD

単体用のものとする。ただし,複数の ABD の場合はダイオードアレイと定義する一つのパッケージ内に

組み立てることができ,パッケージ内の各ダイオードは,この仕様で試験する。

この規格は,ABD の電気的特性を決めるための一連の試験基準を含む。この規格の試験方法によって,

ABD の定格及び特性を検証することができ,特定の形式化した設計を確立することができる。

備考  この規格の対応国際規格を,次に示す。

なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)

,MOD

(修正している)

,NEQ(同等でない)とする。

IEC 61643-321 : 2001

,Components for low-voltage surge protective devices−Part 321 : Specifications

for avalanche breakdown diode (ABD) (IDT)

2.

引用規格  次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格

の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規

格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 0364-3

:1999  建築電気設備  第 3 部:一般特性の評価

備考  IEC 60364-3 : 1993   Electrical installations of buildings − Part 3 : Assessment of general

characteristics が,この規格と一致している。

IEC 60068 (all parts)

  Environmental testing

IEC 60364 (all parts)

  Electrical installations of buildings

IEC 60721 (all parts)

  Classification of environmental conditions

IEC 60747-2

:2000  Semiconductor devices−Discrete devices and integrated circuits−Part 2 : Rectifier

diodes


2

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

IEC 60749

:1996  Semiconductor devices−Mechanical and climatic test methods

3.

定義  この規格で用いる主な用語の定義及び記号は,次による。

備考  これらの定義は,SPDC の 1 タイプで,対称及び非対称電圧−電流  (V-I)  特性の両方をもつ ABD

に適用する。この定義は,片方向素子(

図 参照)のためのものである。双方向の場合は,V-I

特性の両方向に第三象限の定義を適用する。

3.1

アバランシブレークダウンダイオード ABD (avalanche breakdown diode ABD)  過渡電圧を制限し,

サージ電流を分流する素子。この規格では,2 端子ダイオードとし,共通端子をもつ複数の素子をまとめ

たものでもよい。

3.2

クランピング電圧 V

C

 (clamping voltage V

C

)  規定する波形のピークインパルス電流 I

PP

を通電して測

定する過渡電圧の瞬時最大値。

備考  熱,リアクタンス又は他の影響のため,瞬時最大電圧及びピークインパルスの最大値の時間は

同時である必要はない。V

CL

ともいう。

3.3

定格ピークインパルス電流 I

PPM

  (rated peak impulse current I

PPM

)  ダイオードの故障を引き起こす

ことなく通電できるピークインパルス電流 I

PP

の最大値。

備考  特に指定がない限り,ダイオードの特性を決めるために用いるインパルス波形は,図 に規定

する 10/1 000 とする。

3.4

最大使用電圧 V

WM

  (maximum working voltage V

WM

)  劣化又は損傷がなく連続的に印加することが

可能な最大ピーク電圧又は最大直流電圧。交流電圧印加では最大使用実効電圧 V

WMrms

備考  V

WM

は,V

RM

(最大定格)とも表し,定格スタンドオフ電圧ともいう。

3.5

待機電流 I

D

  (stand-by current I

D

)  規定する温度で最大使用電圧を印加したとき ABD を流れる最大

電流。

備考  逆方向漏れ電流 I

R

ともいう。

3.6

ブレークダウン(アバランシ)電圧 V

(BR) 

[breakdown (avalanche) voltage V

(BR)

]

  V-特性曲線上のア

バランシ(なだれ降伏)を起こす付近に規定する直流パルス試験電流 I

T

(又は I

(BR)

)を ABD に流したとき

の測定電圧。

3.7

静電容量 C

j

 (capacitance C

j

)  規定する周波数及びバイアス条件で測定した ABD の 2 端子間の静電容

量。

備考  ともいう。

3.8

定格ピークインパルス電力損失 P

PPM

 (rated peak impulse power dissipation P

PPM

)  定格ピークインパ

ルス電流 I

PPM

とクランピング電圧 V

C

との積。

P

PPM

PPM

×

備考  P

P

ともいう。

3.9

定格順サージ電流 I

FSM

 (rated forward surge current I

FSM

)  デバイス故障を引き起こさない 50 Hz 又

は 60 Hz 正弦半波の最大ピーク電流(この定義は,片方向 ABD だけに適用する。

3.10

順電圧 V

FS

forward voltage V

FS

)  規定する順サージ電流 I

FS

を ABD に流したときの測定ピーク電

圧(この定義は,片方向 ABD だけに適用する。

備考  V

F

とも表す。


3

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

3.11

ブレークダウン電圧の温度係数 αV

(BR)

 [temperature coefficient of breakdown voltage αV

(BR)

]

温度変

化に対するブレークダウン電圧 V

(BR)

の変化の比。

備考 mV/K 又は %/K で表す。

3.12

温度軽減  (temperature derating)  規定する基準温度を超えた場合,ピークインパルス電流又はピー

クインパルス電力のどちらかを下げること。

備考  電流又は電力の百分率で表す。

3.13

熱抵抗 R

thJA

R

thJC

R

thJL

 (thermal resistance R

thJA

R

thJC

R

thJL

)  熱平衡状態において,単位電力を消費

したときの接合部を基準とした周囲,ケース又はリード端子部の温度上昇値。K/W で表す。

3.14

過渡熱インピーダンス Z

thJA

,  Z

thJC

,  Z

thJL

  (transient thermal impedance Z

thJA

,  Z

thJC

,  Z

thJL

)  熱平衡状態

に入る前の熱抵抗に相当するパラメータ。特定の時間間隔後における仮想接合部温度と想定した基準点又

は基準領域(周囲,ケース又はリード端子部)との間の温度差の変化量を,同じ時間間隔で関係する部分

の温度差が起きる電力損失の変化量で除したもの。

備考  過渡熱インピーダンスは,K/W で表す。

3.15

定格平均電力損失 P

(AV)

 [rated average power dissipation P

(AV)

]

  デバイス故障を引き起こすことな

く規定する電流及び温度において反復的なパルスを流すときの定格平均電力損失。

3.16

ピークオーバシュート電圧 V

OS

 (peak overshoot voltage V

OS

)  デバイスに波頭長 10

µs 以下の電流を

通電したときのクランピング電圧 V

C

を超える過電圧。

備考  この値は,10/1 000 の電流波形でのクランピング電圧 V

C

の百分率で表す場合もある。

3.17

直流パルス試験電流 I

T

 (pulsed d.c. test current I

T

)  ブレークダウン電圧 V

(BR)

を測定するための試験

電流。通常 40 ms 未満の継続時間でミリアンペア単位のパルスを用い,製造業者が指定する。

備考  I

(BR)

ともいう。

3.18

ピークインパルス電流 I

PP

 (peak impulse current I

PP

)  クランピング電圧 V

C

を決定するために適用す

る電流。

4.

ABD

の基本機能及び説明  ABD は,その基本構造において,アノード(陽極 P)及びカソード(陰

極 N)からなる P/N 接合の半導体である(

図 1a 参照)。

直流印加の例として,接合を逆バイアスするには,ABD のカソード(陰極 N)側に正電位を印加する(

1b

参照)


4

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

図 1a

構造

図 1b

バイアスした状態

図 1c V-特性

アバランシパラメータ

順方向パラメータ

V

WM

:最大使用電圧

V

FS

:順電圧

I

D

:待機電流

I

FS

:順サージ電流

V

C

:クランピング電圧

I

FSM

:定格順サージ電流

V

(BR)

:ブレークダウン電圧

I

PP

:ピークインパルス電流

I

PPM

:定格ピークインパルス電流

I

T

:直流パルス試験電流

備考  双方向 ABD の場合,第一象限は,第三象限の V-特性を示す。

  1  片方向 ABD の構造,バイアスした状態及び V-I 特性

P

N

P

N

-

+

第一象限

C

  

BR

  

WM

I

FS

V

FS

I

D

I

T

I

PP

I

PPM

I

FSM

P-N

P

 - N

i

+i

+

+

+V

第三象限

V

(BR)


5

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

印加電圧 V

O

が P/N 接合のブレークダウン(アバランシ)電圧 V

(BR)

より大きいとき,ABD は,待機電流

I

D

より大きな電流を流し始める。過渡インパルス電圧を印加している間,ABD はある規定する値に電圧を

制限する。

ABD の主機能は,過渡電圧を制限すること及びサージ電流を分流することである。ABD はパッケージ

の方法で ABD の特性が異なるので,サージ防護デバイスの設計に用いるときの選定に必要となるダイオ

ードのパラメータだけをここに掲載している。他のパラメータは,ここでは確認していないが,選定及び

特定の適用には,重要になることがある。

ABD は一つのパッケージに複数のダイオードを収容するような方法で構成することがある。複数ダイオ

ードパッケージは,SPDC の特性又は定格を満たすために直列又は並列のいずれかで組み立てた個々の

ABD チップを含むことがある。この ABD の構成は,単一の SPDC とみなす。単一パッケージ内の複数の

接合部は,複数回線保護用の独立した ABD としても使用できる。ダイオードアレイ内のそれぞれのダイ

オードは,この規格によって個々に試験しなければならない。

逆バイアスの場合,ABD は,待機(高インピーダンス)又はクランピング(比較的低インピーダンス)

図 1c,第三象限参照)の二つの動作モードになる。待機状態で ABD に流れる電流は,待機電流と呼ぶ。

この電流は接合(又は周囲)温度によって変化する。アバランシブレークダウンの開始は,ABD の電圧−

電流特性において高インピーダンス(待機)から,低インピーダンス(クランピング)への転移によって

区分する。オン状態でダイオードは,大きな過渡電流を流し,半導体接合部のブレークダウン電圧を上回

る比較的低いクランピング電圧を維持する。

図 は片方向の ABD である。ABD は片方向又は双方向に作

ることができる。双方向 ABD は,第一象限及び第三象限において,両極性で類似の特性を示す。

図 1c において,第一象限の V-カーブは,片方向アバランシダイオードの順バイアス状態(半導体接合

の P 側に正極性電圧印加)を示す。この状態で,片方向 ABD は順バイアス P/N 接合ダイオードと類似の

特性を示す。順方向では,順電圧が低いほど過渡電流は大きくできる。しかし順電圧は,規定した波形の

大きな過渡電流では高い電圧を示す。この電圧は,半導体材料の基板抵抗及び接合面積に依存する。

ブレークダウン電圧は,ブレークダウン電圧の温度係数に記述したように,接合部又は周囲温度に対し

て線形の変化を示す。 25 ℃で判定したクランピング電圧及び半導体ブレークダウン電圧の温度係数によ

って,他の周囲温度での実効クランピング電圧を決めることができる。

5.

使用状態  通常の使用状態は,次による。

−  気圧  86∼106 kPa ( IEC 60749 及び IEC 60721)

−  屋外用素子の周囲温度範囲は−40∼+85  ℃及び屋内用素子の周囲温度範囲は−20∼+70  ℃(IEC 

60364

参照)

−  太陽又はその他の照射(JIS C 0364-3 参照)

−  標準温度状態下での相対湿度(IEC 60068 参照)

−  屋内相対湿度 90 %以下又は規定に従う

−  異常な使用条件に暴露する SPDC は,ABD の設計及び適用に特別の配慮を要求することがあり,製造

業者に注意を喚起することが望ましい。

−  ダイオード製造業者が指定するその他の事項は,次のとおりとする。

最大連続ダイオード電圧,ピークインパルス電力又は電流温度軽減,ピークインパルス電流定格,過

渡反復定格,耐溶剤性,はんだ付け性及び引火性


6

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

6.

試験方法及び手順

6.1

試験基準概要  特性パラメータ試験を,6.36.8 に示す。定格パラメータ試験を,6.96.19 に示す。

特性パラメータは,ABD 固有のもので,測定可能な性能である。定格パラメータは,ABD の限界能力又

は限界条件のいずれかを決めるための値である。6.36.8 の試験は,サージ防護デバイス (SPD) 用の素子

を選定するときのために,ABD に規定するパラメータの測定方法を示す。これらのパラメータは,デバイ

スごとに異なることがあるので,SPD 用に選定した部品のすべてを測定しなければならない。双方向 ABD

は,正極性及び負極性電圧の両方で試験しなければならない。

6.2

試験条件  デバイスに実施する 6.36.8 の試験は,その用途に対して要求するものである。特に指

定がない限り,周囲試験状態は,次のとおりとする。

−  温度:25±5  ℃

−  相対湿度:85 %未満

−  気圧:86∼106 kPa (IEC 60749)

備考  これらの試験に用いる電圧及びエネルギーレベルに関して,すべての試験について危険性を考

慮し,試験の際に適切な注意を払うことが望ましい。

6.3

クランピング電圧 V

C

図 参照)

6.3.1

この試験の目的は,規定する波形のピークインパルス電流 I

PP

を通電したときの,ABD の電圧防護

レベルを決めることである。特に指定がない限り,デバイスは両極性で試験しなければならない。

PS:充電用電源                 R2:インパルス波形及び電流制限用抵抗 
R1:充電用抵抗             R3:インパルス波形調整用抵抗 
S1:充電用スイッチ               R4:電流測定抵抗(同軸形),カレントトランス又は 
                                        適切な定格のプローブを用いてもよい。 
C:インパルス波形調整用コンデンサ   
S2:インパルス放電用スイッチ       DUT:供試品 (ABD) 
L:インパルス波形調整用インダクタ  V:ピーク電圧計 
CRO:電圧電流観測用オシロスコープ

備考  回路図は説明のためだけのものである。大電流,高周波の試験のためには 4 端子

ケルビン接触,差動オシロスコープ,短リードなどで観測しなければならない。

  2  クランピング電圧 V

C

,ピークインパルス電流 I

PP

及び定格順サージ電流 I

FSM

の試験回路

6.3.2

電圧電流特性曲線の確認のために,クランピング電圧は二つの電流レベルで測定しなければならな

い。ピーククランピング電圧及びピーク試験電流は時間の一致がなくてもよい。試験電流レベルは,特に

要求がない限り,10/1 000(又は 8/20)の波形を用い,0.2I

pp

及び I

pp

にしなければならない。

V

PS

DUT

R3

R2

R4

C

L

R1

S2

S1

CRO


7

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

6.4

定格ピークインパルス電流 I

PPM

図 参照)  この試験の目的は,ABD の設計がデバイス故障を引

き起こすことなくインパルス電流を規定回数印加できることを確認することである。多重ピークインパル

ス電流の評価は,電流波形が 10/1 000(又は 8/20)デバイスに印加して確認しなければならない。インパ

ルス電流は,45 秒ごとに 1 回,通電しなければならない。双方向デバイスでは,単一極性で 10 連続パル

ス試験をしなければならない。7.  の故障基準を適用する。

6.5

最大使用電圧 V

WM

及び最大使用実効電圧 V

WMrms

図 参照)  この試験の目的は,デバイス故障を

引き起こすことなく指定する温度範囲で ABD に印加できる最大電圧を確認することである。製造業者は

ABD に通電される最大待機電流を指定する。最大使用実効電圧は,対称形及び双方向 ABD にだけ適用す

る。

PS

:可変電圧直流電源(交流試験の場合,交流電源)

A

:直流微小電流計(交流試験の場合,交流電流計)

DUT  :供試品(片方向素子) 
DUT

1

  :供試品(双方向素子)

V

:デジタル電圧計(交流試験の場合,オシロスコープ)

  3  最大使用電圧 V

WM

,待機電流 I

D

及び最大使用実効電圧 V

WMrms

の試験回路

6.6

待機電流 I

D

図 参照)  この試験の目的は,製造業者が指定する温度で,ABD の待機電流レベル

を確認することである。最大使用電圧 V

WM

は,可変直流電源でデバイスに印加,通電しなければならない。

待機電流は,電圧の安定化を考慮して 10 ms 以上通電後に測定しなければならない。

6.7

ブレークダウン(アバランシ)電圧 V

(BR)

図 参照)

6.7.1 ABD

は,指定するパルス直流電流及び温度で試験しなければならない。試験電流 I

(BR)

又は I

T

の通

電時間は 40 ms 未満でなければならない。

6.7.2

この電気的特性は,指定する試験電流による最小電圧範囲として表示する。特に指定する要求性能

がない場合は,試験電流 I

(BR)

又は I

T

は,1 mA を推奨する。低電圧又は更に高いパワーデバイスでは,更

に大きな試験電流とする。

A

V

DUT

DUT

1

PS


8

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

P

:定電流パルス発生器

DUT  :供試品(片方向素子) 
DUT1  :供試品(双方向素子) 
V

:デジタル電圧計

A

:微小電流計

  4  ブレークダウン(アバランシ)電圧 V

(BR)

の試験回路

6.8

静電容量 C

j

  この試験の目的は,2 端子間での ABD の静電容量を決めることである。端子間の静電

容量は,規定する正弦周波数及びバイアス電圧で測定しなければならない。複数の端子の場合は,一対の

端子ごとに測定し,測定に関連しない端子は,影響のないようにしなければならない。特に規定がない場

合,1 MHz の周波数で 0.1 V

rms

以下及び直流 0 V バイアスを推奨する。

6.9

定格ピークインパルス電力損失 P

PPM

  この試験の目的は,特定の試験条件下で製造業者が指定する

電力定格評価を確認することである。この定格は,各製品ごとに製造業者が指定する。パラメータの検証

には,定格ピークインパルス電流 I

PPM

及びクランピング電圧 V

C

の測定が必要となる。クランピング電圧と

ピークインパルス電流との積を,ピークパルス電力損失として定義する。信頼限界の統計的分布を得るた

めに,6.36.4 の規定どおりに,十分な数のデバイスで試験し,電圧−電流特性を測定しなければならな

い。

6.10

定格順サージ電流 I

FSM

図 1c 参照)  この試験の目的は,ABD に 10 ms(又は 8.3 ms)の 1 正弦半

波の最大ピーク電流を流したとき,

その値が統計的な信頼性レベルに適合することを確認することである。

デバイスは,片方向デバイスの逆方向を除いて,

図 に従って試験しなければならない。このサージは,

ABD(V-特性曲線の第一象限,図 1c)の順方向に印加する。

6.11

順電圧 V

FS

図 参照)  順電圧のピーク値は,ABD の順方向に 10 ms(又は 8.3 ms)の 1 正弦半波

のピーク電流を通電することによって測定する。順サージ電流 I

FS

は,片方向 ABD の順方向を流れる電流

の値である。

P

:定電流パルス発生器

DUT  :供試品 
V

:デジタル電圧計

A

:電流計

  5  順電圧 V

FS

の試験回路

P

A

V

DUT

DUT

1

P

A

V

DUT


9

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

6.12

ブレークダウン電圧の温度係数 αV

(BR)

  電圧温度係数は,ブレークダウン電圧の変化と温度の変化と

の比である。これはデバイスごとに異なるが,電力定格に関係しない。このパラメータは,使用温度範囲

にわたって考慮しなければならない。ブレークダウン電圧及び最大クランピング電圧は,温度範囲内で変

化し,この変化は,電圧温度係数として表すことができる。5 V 以上のブレークダウン電圧においてこの

パラメータは,いつも正の値になる。

%/K

100

ref

test

BR)(ref)

(

BR)(ref)

(

)

BR)(test

(

)

BR

(

T

T

V

V

V

V

×

=

α

ここに,

αV

(BR)

ブレークダウン電圧の温度係数

V

(BR)(ref)

基準温度でのブレークダウン電圧 (V)

V

(BR)(test)

試験温度でのブレークダウン電圧 (V)

T

ref

基準温度 (25±3  ℃)

T

test

試験温度で測定に用いる最高温度  (℃)

6.13

温度軽減(図 参照)  温度軽減は,規定する温度を超えて温度が上昇した場合,ピークパルス電

力又はピークインパルス電流のいずれかの低下を示すものである。電力軽減は,ピークパルス及び定常(平

均)電力条件の両方に適用する。この試験方法については IEC 60747-2 を参照。

                      T

0

:電力軽減の開始温度

                      T

1

:電力又は電流が,0 若しくは最小に軽減された温度

備考  定格ピークインパルス電力 P

PPM

又は定格ピークインパルス電流 I

PPM

は,

T

0

時の値でこれを 100 %として示す。 

  6  ABD 素子の電力軽減曲線

6.14

熱抵抗 R

thJA

R

thJC

R

thJL

  熱抵抗は,半導体接合部とケース,リード又は大気間の熱流の抵抗を測

定する。熱は,ふく射,自然な又は強制的な伝達若しくは材料を介しての熱伝導によって移動する。各デ

バイス製品群の温度特性は,製造業者が指定しなければならない。

この試験の目的は,定電圧及び定電流のもとで,デバイス接合部に単位電力損失を加えたときに,ケー

ス温度又は周囲温度を超える温度上昇を測定することである(6.11 参照)

a)

素子のケース温度又は周囲温度が任意のとき,デバイス接合部の温度を一定に維持するのに必要な電

力損失を測定する(デバイス接合部の温度は,順電圧のような温度に敏感な電気的パラメータで校正

80

60

40

20

0

  P

PP

  %

  P

MAV

%

T

1

T

0

(P

PP

)

(P

MAV

)

温度(°C)

100

T

0

電力比率(

%

)

P

M(AV)

P

M(AV)


10

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

し求める。

b)

素子のケース温度又は周囲温度を一定に保持し,デバイス接合部に電力を加えたときの接合部の温度

を測定する(デバイス接合部の温度は,順電圧のような温度に敏感な電気的パラメータで校正し求め

る。

6.15

過渡熱インピーダンス Z

thJA

Z

thJC

Z

thJL

  熱インピーダンス試験は,規定する電力パルス継続時間

に対する ABD のパルス電力耐量を決定するための試験である。この試験の目的は,デバイス接合部とケ

ース温度又は周囲温度のような基準点との間の過渡熱インピーダンスを測定することである。試験方法は

IEC 60747-2

の 2.2.3 を参照。

6.16

定格平均電力損失 P

M(AV)

  ABD の定格平均電力損失は,デバイス温度を制限して信頼できる長寿命

を得るために,製造業者が次の二つの条件を考慮して指定する。

a)

通常,繰返し周期で示す繰返し過渡電流によって基部又は接合部に流れる平均電流

b)

デバイスと,製造業者が推奨するリード及び/又はヒートシンクを通した周囲環境との間の熱抵抗

6.17

ピークオーバシュート電圧 V

OS

図 参照)  ピークオーバシュート電圧 V

OS

は,ABD のピーク電

圧 V

1

からクランピング電圧 V

C

を減じた電圧である。試験条件及び試験回路は,クランピング電圧試験と

同じ(6.3 及び

図 参照)。

備考  試験中のピークオーバシュート電圧を保証するために,装置接続用のすべての電線及び試料の

リードを最小の長さに保持する。ピークオーバシュート電圧は,パルスの立上り時間,ABD の

リード長さ及び ABD に依存している。回路インピーダンスとの不整合の結果,オーバシュー

ト電圧の後に続いてリンギングが起こることがある。

6.18

オーバシュート継続時間(図 参照)  オーバシュート継続時間は,オーバシュート電圧がクラン

ピング電圧 V

C

になるまでの時間  (t

3

t

1

)  である。試験条件及び試験回路は,クランピング電圧試験と同じ

6.3 及び

図 参照)。

6.19

応答時間(図 参照)  応答時間は,ABD がピークインパルス電流 I

PP

の立上り時間に応答する能

力である。応答時間は,

図 の零時点 t

0

からピーク電圧時点 t

1

までである。試験条件及び試験回路はクラ

ンピング電圧試験と同じ(6.3 及び

図 2)。


11

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

V

C

:指定する電流及び波形におけるデバイスクランピング電圧

V

OS

:ピークオーバシュート電圧  (V

1

V

C

)

t

C

:デバイス電圧がクランピングレベル V

C

に達するまでの時間

t

1

:デバイス電圧がピーク値 V

1

に達するまでの時間

t

2

:デバイス電圧がピークオーバシュート値の 50 %に下がるまでの時間

t

1

t

0

  :応答時間

t

3

t

1

  :オーバシュート継続時間

V

2

:(V

1

V

C

)/2

  7  電圧オーバシュート,応答時間及びオーバシュート継続時間のグラフ例

0

1

2

V

OS

V

C

V

C

V

1

V

2

時間(µs)

0

3

V

C

t

c

V

C

時間  (

µs)

電圧

 (

V

)


12

C 5381-321

:2004 (IEC 61643-321:2001)

時間  (

µs)

t

1

:波頭長

t

2

:波尾長

例 10/1

000 の電流波形

10 µs=t

1

(波頭長)

1 000 µs=t

2

(50 % I

PP

までのインパルス継続時間)

  8  インパルスの電流波形

7.

故障モード及び不良モード  特別な要求がない限り,次の規準を適用する。不良判定の試験は,素子

温度が 25±5  ℃に戻った後で行わなければならない。

7.1

劣化不良モード  このモードにおいて ABD の待機電流は,規定した最大値より大きくなる。

7.2

短絡故障モード  このモードにおいて ABD の抵抗値は,直流 0.1 V のとき 1

Ω未満で恒久的短絡に

なる

(この状態は,

素子の定格以上のピークインパルス電流が流れて最大クランピング電圧を超えたとき,

又は素子に平均電力損失若しくは多重ピークパルス電力損失を超える電力が供給されたとき発生する。

7.3

開放故障モード  このモードにおいて ABD は,6.7.2 に示す試験電流 I

(BR)

又は I

T

を通電したとき,

ブレークダウン電圧が事前に試験した値の 150 %より大きい開回路になる(この状態は,電流が素子に短

絡状態の間流れたとき,又は素子能力を超える異常に大きい若しくは短期間の電流パルスによって発生す

る。

7.4

フェールセーフの運用  7.2 及び 7.3 で示した故障モードはいずれかに設定できるため,素子の故障

モードを表記することによって,フェールセーフが利用できる。ある使用者は,装置の防護機能を維持す

るための最も望ましい故障モードとして,例えば,短絡故障モードをフェールセーフと考える。しかし,

別の使用者は,開放故障モードが望ましいシステム方針と考え,特別な素子を必要とすることがある。

このように,短絡モードの故障は,多くの使用者がフェールセーフとみなす一方,別の使用者が望む安

全とは反対であることがある。したがって,7.2 及び 7.3 で定義した故障モードのうち,どちらによる故障

かを表記することが望ましい。

0

10

20

30

40

50

60

70

80

90

100

電流

I

PP

×

100

(

%

)

時間(µs)

t 

1

t 

2

I

PP