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C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

(1)

目  次

ページ

序文  

1

1

  適用範囲 

1

2

  引用規格 

1

3

  用語及び定義,並びに図記号  

2

3.1

  用語及び定義  

2

3.2

  図記号  

5

4

  使用条件 

6

4.1

  一般  

6

4.2

  低温  

6

4.3

  大気圧及び高度  

6

4.4

  周囲温度  

6

4.5

  相対湿度  

6

5

  機械的要求事項及び材料  

6

5.1

  一般  

6

5.2

  端子強度  

6

5.3

  はんだ付け性  

6

5.4

  放射線  

6

5.5

  表示  

7

6

  一般  

7

7

  構造  

7

7.1

  設計  

7

7.2

  概要  

7

7.3

  フェールセーフ  

8

8

  機能  

9

8.1

  防護原理  

9

8.2

  動作モード  

9

8.3

  応答挙動  

9

8.4

  フェールセーフ  

11

9

  適用例  

12

9.1

  防護回路  

12

9.2

  電話,ファックス及びモデムの防護  

14

9.3

  ケーブル TV 及び同軸ケーブルの防護  

15

9.4

  交流線路の防護  

15


C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

(2)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人電子情報技術産業協会(JEITA)

及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出

があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 5381

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 5381-11

  低圧サージ防護デバイス−第 11 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ

イスの要求性能及び試験方法

JIS C 5381-12

  低圧サージ防護デバイス−第 12 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ

イスの選定及び適用基準

JIS C 5381-21

  低圧サージ防護デバイス−第 21 部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス

(SPD)の要求性能及び試験方法

JIS C 5381-22

  通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準

JIS C 5381-311

  低圧サージ防護デバイス用部品−第 311 部:ガス入り放電管(GDT)の要求事項及び

試験回路

JIS C 5381-312

  低圧サージ防護デバイス用部品−第 312 部:ガス入り放電管(GDT)の選定及び適

用基準

JIS C 5381-321

  低圧サージ防護デバイス用アバランシブレークダウンダイオード(ABD)の試験方

JIS C 5381-331

  低圧サージ防護デバイス用金属酸化物バリスタ(MOV)の試験方法

JIS C 5381-341

  低圧サージ防護デバイス用サージ防護サイリスタ(TSS)の試験方法


日本工業規格

JIS

 C

5381-312

:2016

(IEC 61643-312

:2013

)

低圧サージ防護デバイス用部品−第 312 部:

ガス入り放電管(GDT)の選定及び適用基準

Components for low-voltage surge protective devices-

Part 312: Selection and application principles for gas discharge tubes

序文 

この規格は,2013 年に第 1 版として発行された IEC 61643-312 を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にない事項である。

適用範囲 

この規格は,公称システム電圧が交流 1 000 V(実効値)又は直流 1 500 V 以下の通信網,信号網及び低

圧配電システムの過電圧保護に用いる二つ又は三つの電極をもつガス入り放電管(以下,GDT という。

の特徴及び適用回路について情報を提供し,GDT の選定及び適用基準を規定する。この規格は,完成品で

あるサージ防護デバイスについては規定しない。また,GDT の特性及びサージ防護デバイスの耐量との正

確な協調が非常に厳しい電子機器内に使用する GDT 全体の要求事項も規定しない。

この規格は,次の事項には,適用しない。

− GDT の実装及び実装の特性に対する影響。JIS C 5381-311 の規定に従って得た特性値は,試験に規定

する実装方法の GDT だけに適用する。

−  機械的な寸法

−  品質保証要求

− 30

MHz を超える高周波に用いる GDT へは適用できない場合がある。

−  静電気

−  ハイブリッド過電圧防護部品又は複合形 GDT デバイス

注記  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61643-312:2013

,Components for low-voltage surge protective devices−Part 312: Selection and

application principles for gas discharge tubes(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”こ

とを示す。

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 5381-311

  低圧サージ防護デバイス用部品−第 311 部:ガス入り放電管(GDT)の要求事項及び


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C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

試験回路

注記  対応国際規格:IEC 61643-311:2013,Components for low-voltage surge protective devices−Part

311: Performance requirements and test circuits for gas discharge tubes (GDT)

JIS C 60068-2-1

  環境試験方法−電気・電子−第 2-1 部:低温(耐寒性)試験方法(試験記号:A)

注記  対応国際規格:IEC 60068-2-1:2007,Environmental testing−Part 2-1: Tests−Test A: Cold

JIS C 60068-2-20

  環境試験方法−電気・電子−第 2-20 部:試験−試験 T−端子付部品のはんだ付け

性及びはんだ耐熱性試験方法

注記  対応国際規格:IEC 60068-2-20:2008,Environmental testing−Part 2-20: Tests−Test T: Test

methods for solderability and resistance to soldering heat of devices with leads

JIS C 60068-2-21

  環境試験方法−電気・電子−第 2-21 部:試験−試験 U:端子強度試験方法

注記  対応国際規格:IEC 60068-2-21:2006,Environmental testing−Part 2-21: Tests−Test U: Robustness

of terminations and integral mounting devices

用語及び定義,並びに図記号 

3.1 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

3.1.1 

アーク電流(arc current)

回路インピーダンスを通して,放電開始後グローモードからアークモードに転移する電流を超えて流れ

る電流。

3.1.2 

アーク電圧[arc voltage (arc mode voltage)]

GDT にアーク電流が流れて GDT の印加電圧が降下し,一定で推移しているときの電圧。

注記  図 1 a)  の領域 A を参照。

3.1.3 

アーク・グロー転移電流(arc-to-glow transition current)

GDT がアークモードからグローモードに転移するために必要な電流。

3.1.4 

電流消弧時間(current turn-off time)

GDT が導通状態から非導通状態に回復するために必要な時間。

注記 GDT に直流電圧を連続的に印加した場合だけに適用する(直流ホールドオーバ参照)。

3.1.5 

直流放電開始電圧(d.c. breakdown voltage,d.c. sparkover voltage)

GDT に上昇率 2 kV/s 以下で緩やかな立ち上がりの直流電圧を印加したとき,GDT が高インピーダンス

のオフ状態から導通状態に転移を開始するときの電圧。

注記  直流放電開始電圧を測定する場合の電圧上昇率は,通常 2 kV/s 以下である。

3.1.6 

直流ホールドオーバ(d.c. holdover)

GDT に放電を起こすために十分なインパルスを印加した後,GDT が導通を続ける状態。

注記  この用語は,直流電圧が線路に存在する場合に用いる。導通状態から復帰するために必要な時


3

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

間(電流消弧時間)に影響する要因には,直流電圧及び直流電流を含んでいる。

3.1.7 

直流ホールドオーバ電圧(d.c. holdover voltage)

GDT に規定する回路条件で,サージが通過後に,GDT が高インピーダンス状態に復帰できる GDT 端子

間の最大直流電圧。

3.1.8 

放電電流(discharge current)

GDT に放電開始後に流れる電流。

注記 GDT に流れる電流が交流電流の場合,電流値は実効値である。GDT に流れる電流がインパル

ス電流の場合,電流値はピーク値である。

3.1.9 

放電電圧(discharge voltage)

GDT に放電電流が流れているときに,GDT の端子間に現れる電圧のピーク値。

3.1.10 

放電電圧−電流特性,V-I 特性(discharge voltage current characteristic,V/I characteristic)

GDT の放電電流に対応する放電電圧の変化。


4

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

V

S

:  直流放電開始電圧

V

a

:  アーク電圧

G:  グローモード範囲

V

gl

:  グロー電圧

V

e

:  消弧電圧

A:  アークモード範囲

図 1GDT の電圧及び電流特性 

3.1.11 

消弧電圧(extinction voltage)

放電(電流の流れ)が終了するときの電圧。

3.1.12 

フェールセーフ(failsafe,fail-short)

熱的に動作する外部短絡機構。

3.1.13 

続流(follow on current)

GDT が放電後に電源から流す電流。

注記  過熱を避けるために GDT が消弧することを求めている。

3.1.14 

ガス入り放電管,GDT(gas discharge tube)

高い過渡電圧から機器及び/又は人を防護するために,設計したガスの混合及び圧力をコントロールし

a)

  GDT の正弦波電圧印加時における電圧時間特性 

c)

  GDT の電圧及び電流波形を結合

した V-I 特性 

V

V

gl

V

S

V

e

V

a

G

A

G

A

b)

  GDT の正弦波電圧印加時における電流時間特性 

V


5

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

て封止した二つ又は三つの電極をもつ,一つ又は複数のギャップ。

3.1.15 

グロー電流(glow current,glow mode current)

適切な回路インピーダンスを用いて,電流を放電後グローモードからアークモードへの転移電流以下の

値に制限したときに GDT に流れる電流。

注記  図 1 b)  の領域 G を参照。

3.1.16 

グロー・アーク転移電流(glow-to-arc transition current)

GDT がグローモードからアークモードに転移するのに必要な電流。

注記  図 1 b)  の領域 G を参照。

3.1.17 

グロー電圧(glow voltage,glow mode voltage)

グロー電流が流れたときの GDT の電圧降下のピーク値。

注記  図 1 a)  の領域 G を参照。

3.1.18 

インパルス放電開始電圧(impulse sparkover voltage)

GDT の端子間に,指定する電圧上昇率及び極性のインパルスによって放電電流が流れる前の電圧の最大

値。

3.1.19 

公称直流放電開始電圧(nominal d.c. sparkover voltage)

特定の形式の放電開始電圧の目標値を示すために製造業者が指定する直流電圧。

注記 1  公称直流放電開始電圧は,一般的に 75 V,90 V,150 V,200 V,230 V,250 V,300 V,350 V,

420 V,500 V,600 V,800 V,1 000 V,1 200 V,1 400 V,1 800 V,2 100 V,2 700 V,3 000 V,
3 600 V,4 000 V 及び 4 500 V である。

注記 2  製造業者と使用者との間で同意した値を用いることが望ましい。

3.1.20 

放電開始(sparkover,breakdown)

ほとんど無限大の値から比較的低い値への急激なギャップ抵抗の変移する瞬間。

3.2 

図記号 

2 極 GDT の場合は図 2,及び 3 極 GDT の場合は図 に示す図記号を用いる。

図 2極 GDT の図記号 

図 3極 GDT の図記号 


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C 5381-312

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使用条件 

4.1 

一般 

基本的に GDT は,温度,気圧及び湿度の影響を比較的受けない。フェールセーフを取り付けた GDT は,

フェールセーフの動作特性によって使用温度範囲の高温定格が低くなる。フェールセーフをもつ GDT の

はんだ付けの場合は,フェールセーフの早期動作を避けるため,製造業者のガイドラインに従わなければ

ならない。温度,気圧及び湿度の標準値及び標準範囲を 4.24.5 に規定する。

4.2 

低温 

GDT は,JIS C 60068-2-1 の試験 Ab に規定する温度−40  ℃で 2 時間の低温試験に,損傷することなく

耐えなければならない。GDT は,温度−40  ℃で 2 時間の低温試験後に,JIS C 5381-311 

表 に規定す

る直流及びインパルス放電開始電圧の要求事項を満足しなければならない。

4.3 

大気圧及び高度 

大気圧は,80 kPa∼106 kPa とする。

これらの値は,海面からの高度+2 000 m∼−500 m の大気圧に相当する。

4.4 

周囲温度 

周囲温度は,次の動作範囲及び保存範囲とする。この周囲温度は,試験対象の部品に近い周辺の空気又

はその他の媒質の温度とする。

フェールセーフをもたない GDT の動作範囲  :−40  ℃∼+90  ℃

フェールセーフをもつ GDT の動作範囲

:−40  ℃∼+70  ℃

注記  この温度範囲は,JIS C 60721-3-3 の分類 3K7 に対応している。

フェールセーフをもたない GDT の保存範囲  :−40  ℃∼+90  ℃

フェールセーフをもつ GDT の保存範囲

:−40  ℃∼+40  ℃

4.5 

相対湿度 

相対湿度は,4.4 に規定する温度,及び 4.3 に規定する気圧による飽和水蒸気圧に対する実際の水蒸気圧

との比率を,パーセントで表す。

通常の相対湿度範囲は,5 %∼95 %とする。

注記  この湿度範囲は,JIS C 60364-5-51 の等級 AB4 に対応している。

機械的要求事項及び材料 

5.1 

一般 

GDT の端子,はんだ付け性,放射線及び表示の要求事項を 5.25.5 に規定する。放射線の要求は,製造

している GDT の放射性物質の付着の有無を確認する重要項目である。

5.2 

端子強度 

使用者は,端子強度試験の適用が可能な場合,JIS C 60068-2-21 に規定する試験の中から適切な試験を

選定し,試験する。

5.3 

はんだ付け性 

はんだ付け性は,JIS C 60068-2-20 の試験 Ta 方法 1 に規定する試験を行い,その要求事項を満足しなけ

ればならない。

5.4 

放射線 

GDT は,放射性物質を含んではならない。


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C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

5.5 

表示 

GDT には,次の情報を明瞭で,かつ,永久的な方法で表示しなければならない。

a)

公称直流放電電圧

b)

製造年月日又は製造ロット番号

c)

製造業者名又は商標

d)

形式番号

e)

(削除)

注記  必要な情報は,製造業者と使用者との間の合意によってコード化してもよい。

これらの情報の表示に必要な十分な空間がない場合,製造業者と使用者との間の合意によって技術的書

類で提供することが望ましい。

一般 

GDT の機能の基になるガス放電現象が,非常に複雑であるため,GDT の性能は,製造業者の技術的専

門知識に大きく依存する。したがって,電気的性質及び特性(許容差,放電電圧等)は,製造業者によっ

て異なる。

構造 

7.1 

設計 

GDT は,ギャップによって分離する複数の金属電極で構成し,通常は大気圧以下の圧力で不活性ガス又

は混合ガスを密封する。用いるガスは,アルゴン,ヘリウム,水素及び窒素である。

電極間の間隔は,密封容器の一部を構成する場合があるセラミック,ガラス,又はその他の絶縁材料に

よって維持する。電極に付く端子には,回路基板実装用,クリップ端子,ソケット又はサージ防護デバイ

スとの結合用がある。

7.2 

概要 

開放状態のガス放電路の電気的性質は,ガスの種類,ガスの圧力,湿度及び汚染のような環境パラメー

タに大きく依存する。放電路をこれらの環境の影響に対して保護する場合だけ,安定状態を保証できる。

GDT の設計原則はこれらの要求に基づく。絶縁体及び電極を接続するための実証済みの方法は,放電空間

の気密封止を確実にする。

放電空間のガスの種類及び圧力は,このように最適な条件に基づいて選択できる。部品の耐用年数の全

体で最適の電気的特性を保証するために,主に希ガスのアルゴン及びネオンを GDT の封入ガスとして用

いる。

活性合成物は,電子放出を促進するために電極表面に塗布する。電極同士は一般的に 1 mm 未満の間隔

で分離する。活性合成物と電極間隔との複合作用によって,電極の仕事関数を低下させて,過度な繰り返

しサージによる点弧電圧の安定性を増加させる。

速い立ち上がり時間で最適な応答特性を達成するために,

放電トリガを絶縁体の円筒状の内面に付ける。

これらの放電トリガは,電界を歪ませ,ガスのイオン化速度が向上する。寿命と同様に直流放電開始電圧,

インパルス及び交流電流耐量のような GDT の電気的特性は,様々なシステムの特定の要求性能に対して

最適化できる。これは,電極間隔及び電子放出を促進する電極塗布物と同様に,ガスの種類及び圧力を変

えることによって達成する。

2 極 GDT 及び 3 極 GDT の構造例を図 及び図 に示す。


8

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

図 4極 GDT の例 

図 5極 GDT の例 

7.3 

フェールセーフ 

GDT は,通常パルス形の負荷を対象に設計している。恒久的な過負荷を想定する場合(例えば,混触),

フェールセーフをもつ GDT を用いなければならない。このフェールセーフは,GDT の電極間を短絡する

ことで GDT の過度の熱エネルギーの発生を防ぐ。

フェールセーフは,通常機械的な短絡スプリング及び温度に高感度なスペーサで構成し,GDT を設定し

た温度に到達するまでは,電極間の短絡を防ぐ。

フェールセーフの性能は,GDT の温度環境に依存する。はんだ付けの温度プロファイルは,フェールセ

ーフをもつ GDT にとって重要である。はんだ付け作業は,製造業者が推奨する方法に従うことが望まし

い。フェールセーフは,はんだタイプのスペーサの場合,代表的な溶融温度は 200  ℃を超える。プラスチ

ックはくスペーサタイプの場合,代表的な溶融温度がそれらの構成材料に依存し,140  ℃又は 260  ℃とな

る。不適切なはんだ付けの温度プロファイル及び取付方法で用いた場合,はんだ付け後,スペーサが溶け

て GDT を短絡する。恒久的な電流過負荷が生じる場合,GDT の温度上昇によって,フェールセーフが動

作する。GDT のはんだ付け不良を避けるために,基板に GDT をはんだ付けする温度とフェールセーフの

動作温度との間の協調を図ることが望ましい。電流過負荷条件下では,隣接した部品への GDT の熱放射

は別の要因として考慮する。

フェールセーフの構造は,2 極 GDT 及び 3 極 GDT が利用可能である。

図 及び図 に 3 極 GDT の二つ

のフェールセーフ構造の例を示す。

 a)

  フェールセーフ動作前 b)  フェールセーフ動作後 

図 6−高感度なスペーサとしてはんだ球を用いた 極 GDT のフェールセーフ構造 

電極塗布物

電極

電極

絶縁物

放電空間

電極塗布物

電極 a

電極 b

中間電極 c

絶縁物

放電トリガ

放電トリガ

放電トリガ

高感度スペーサ(はんだ球)

短絡スプリング

短絡スプリング

高感度スペーサ(はんだ球)


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C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

 a)

  フェールセーフ動作前 b)  フェールセーフ動作後 

図 7−高感度なスペーサとしてプラスチックはくを用いた 極 GDT フェールセーフの構造 

機能 

8.1 

防護原理 

一般に,サージ電圧が装置の絶縁耐電圧を超えると放電が発生する。この装置の放電を防ぐために,適

切に電圧制限する能力をもつ GDT を設ける必要がある。GDT の動作電圧を超えるサージ電圧が発生した

場合,GDT は導通し,初めにグローモードになって,サージ電圧のピーク値を制限する。電流の増加に伴

い GDT はグローモードからアークモードに移行する。これによって,サージ電圧を,おおよそ 10 V∼35 V

(GDT の技術によって異なる。

)に制限し,低下させる。GDT は,サージ電圧を制限する自然原理を利用

している。GDT のパラメータを決定するための試験回路は,JIS C 5381-311 による。

8.2 

動作モード 

単純化した GDT は,通常状態である数ギガオームからサージ電圧による動作後の 1  Ω 未満へ急変する

対称的な低静電容量スイッチに例えられる。GDT は,サージがなくなると自動的に元の高インピーダンス

状態に戻る。

図 1 a)  に正弦波電圧サージを制限するときの電圧時間特性を示し,図 1 b)  に電流時間特性を示す。実

際,電圧上昇が GDT の動作開始電圧 V

s

に達するまで,電流は全く流れない。動作後電圧は,グローモー

ドの範囲 G においてグロー電圧レベル V

gl

(70 V∼200 V,数 10 mA∼約 1.5 A の電流範囲で,品種に依存

する。

)に降下する。さらなる電流の増加によって,アークモード A へ転移する。このアークモードのア

ーク電圧 V

a

は,10 V∼35 V の非常に低い値であって,広範囲な電流に事実上依存しない。過電圧が減少し

(例えば,波形の後半)

,アークモードの維持電圧以下になるまでの間,GDT には電流が減少しながら流

れ続ける。その結果,アーク放電が突然停止し,グローモード通過後に GDT は電圧(V

e

)で放電を停止す

る。したがって,グローモード通過後に GDT は電圧(V

e

)によって消弧するためにアーク放電は突然停止

する。

図 1 c)  に示す GDT の V-I 特性は,時間関数による電圧及び電流のグラフを組み合わせることによって

得ることができる。

8.3 

応答挙動 

8.3.1 

静的応答挙動 

GDT に上昇率の低い電圧(例えば,100 V/s)を印加した場合,放電開始電圧(V

S

)は,主に電極間隔,

ガスの種類及び圧力によって,更に密閉した希ガスの初期イオン化の程度によって決まる。この放電電圧

値が,直流放電開始電圧の定義である。

短絡スプリング

短絡スプリング

高感度スペーサ

(プラスチックはく)

高感度スペーサ

(プラスチックはく)


10

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

8.3.2 

動的応答挙動 

GDT に上昇率の高い電圧(例えば,1 kV/μs)を印加した場合の放電開始電圧は,直流放電開始電圧を超

える。これは,ガスがイオン化するのに一定の時間が必要なために起こる。これら全ての動的な放電電圧

は,無視できない統計的変動の影響を受ける。

放電開始電圧の分布の平均値は,GDT の内壁に放電トリガを施すことによって有効に低減する。これに

よって,許容差の範囲の上限,及び放電開始電圧の分布を有効に低減することができる。この動的範囲の

動作電圧が,インパルス放電開始電圧の定義である。

一般に,100 V/μs 及び 1 kV/μs の二つの電圧上昇率は,GDT の動特性を評価するために用いる(

図 

照)

図 8230 V GDT の代表的な応答挙動 

応答時間と放電電圧との間の相関例を,

図 に示す。

静的応答挙動

動的応答挙動


11

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

図 9−応答時間−放電電圧 

8.4 

フェールセーフ 

例えば,電源と通信回線との間の直接混触といった場合の影響として,動作後の GDT に長時間電流が

流れることがある。その後 GDT は発熱する。この現象が起こる場合,ハードウェアを熱の過負荷から防

護しなければならない。その発熱は,フェールセーフによって検知する。初期に電極から距離を隔てて短

絡スプリングを保持しているスペーサ(はんだペレット,プラスチックはく又は機械的装置)は,用いる

材料の選択によって決まる発熱温度で溶ける。この場合,あらかじめ応力を加えている短絡スプリングが

電極上に落ちて,電極間を短絡する。

さらに,フェールセーフが動作温度に達する前に,GDT の発熱によって,回路基板への接続のためのは

んだの消失を引き起こす長時間の電力事故には熟慮しなければならない。

GDT に通電する電流に対する代表的な短絡特性を,図 10 に示す。この特性はホルダーの熱伝導率に影

響を受ける。したがって,部品とパッケージとの間の協調を,後で形式検査によって確認しなければなら

ない。

インパルス 
放電開始電圧

直流放電

開始電圧

動的応答挙動

静的応答挙動

時間


12

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

図 10GDT の通電電流とフェールセーフの応答時間との特性図 

適用例 

9.1 

防護回路 

9.1.1 

一般 

9.1.2

9.1.4 の基本回路では,通信分野の防護回路で用いる GDT の標準構成を説明する。2 ポイント及

び 3 ポイントの防護解決策は,代表的には GDT だけで構成し,一方,5 ポイントの防護解決策は PTC サ

ーミスタ,ヒート・コイル,ヒューズ又は電子電流制限器のような電流制限部品を付加して作ることがで

きる。

注記 1  記号 a 及び記号 b は入力側であり,記号 a'及び b'は防護側である。

注記 2  場合によっては,過度の電流を防ぐために直列ヒューズを GDT(入力側)の前に用いる。

9.1.2 2

ポイント(信号線路)防護 

2 ポイント(信号線路)防護回路は,図 11 の GDT の電極 A と電極 C との間に接続し,GDT の電極 A

と電極 C との間の電圧を制限し,GDT の電極 A から電極 C へ電流を通電することで動作をする。2 ポイ

ント防護は,時々接地導体なしで運用する。2 本の信号線路間に配置した 2 極 GDT 回路は,設備が損傷を

受ける前に,防護する設備の入力側における大きな電位差の発生を防止する(

図 11 参照)。

PD:  被防護装置

図 11ポイント信号線路防護 

フェールセーフの応答時間

通電電流(

A


13

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

9.1.3 3

ポイント防護 

3 ポイント防護回路は,図 12 及び図 13 の線路への GDT の接続点 a 及び b と接地 c との間に接続し,電

圧サージを接地へ導通する動作,及び,a−b 間の電圧サージを導通する動作を行う。2 極 GDT 及び 3 極

GDT の両方を用いる(図 11 及び図 12 参照)。

図 12極 GDT を用いた ポイント防護 

図 13極 GDT を用いた ポイント防護 

フェールセーフをもつ GDT を用いた例を,

図 14 及び図 15 に示す。

FS:  フェールセーフ

FS:  フェールセーフ

図 14−フェールセーフ付き 極 GDT  

用いた ポイント防護 

図 15−フェールセーフ付き 極 GDT  

用いた ポイント防護 

9.1.4 5

ポイント防護 

5 ポイント防護回路は,GDT に加えて,通常 PTC サーミスタによる電流制限部品を含む。サーミスタは,

過電流が流れる場合には非常に高い抵抗となって,それ以上の電流を阻止する(

図 16 及び図 17 参照)。

ただし,定電流給電を伴うシステムにおける動作中の PTC サーミスタは,復帰することが不可能な場合が

ある。


14

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

PTC:  正温度特性サーミスタ

PTC:  正温度特性サーミスタ

図 16極 GDT を用いた ポイント防護 

図 17極 GDT を用いた ポイント防護 

フェールセーフをもつ GDT を用いた他の代用例を,

図 18 及び図 19 に示す。

 FS:  フェールセーフ 
 PTC:  正温度特性サーミスタ

 FS:  フェールセーフ 
 PTC:  正温度特性サーミスタ

図 18−フェールセーフ付き 極 GDT  

用いた ポイント防護 

図 19−フェールセーフ付き 極 GDT  

用いた ポイント防護 

9.2 

電話,ファックス及びモデムの防護 

電話,ファックス及びモデムは,精巧な電子部品をもつものが増加している。GDT による防護の代表的

な回路を

図 20 及び図 21 に示す。過電圧が発生した場合,GDT は,サージ電流をアースに導通させること

によって,両方の交換機側線路を防護する。


15

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

a:

チップ

b:

リング

 PD:  被防護装置

a:

チップ

b:

リング

 PD:  被防護装置

図 20極 GDT を用いた電話,ファックス 

及びモデムの防護 

図 21極 GDT を用いた電話,ファックス 

及びモデムの防護 

9.3 

ケーブル TV 及び同軸ケーブルの防護 

GDT の静電容量は,通常 0.5 pF∼1 pF であって,その低い静電容量のため高周波においてもシステムを

妨害しないため,ケーブルテレビ網に高い頻度で設置するとともに同軸ケーブルの防護に最適である。

図 22 に示すように中心導体とシールドとの間で接続する同軸の防護モジュールには,GDT を用いる。

図 22 の適用例のように,シールド又は防護モジュールのハウジングを接地することが望ましい。

 Cd:  導体 
 Li:  ライン/同軸ライン 
 Sh:  シールド

図 22−ケーブル TV 及び同軸ケーブルの防護 

9.4 

交流線路の防護 

CATV アンプ,CB 発信機,家庭用娯楽器具システム,コンピュータ及び類似機器と同様に電話設備は,

電力線からの電圧サージに遭う可能性がある。GDT とバリスタとの組合せは,これらの用途において防護

の実績がある。

図 23 に示すように相線及び中性線は,両方の防護素子で接地電位に接続する。


16

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

L:  ライン

N:  中性線

図 23−交流線路の防護 


17

C 5381-312

:2016 (IEC 61643-312:2013)

参考文献 

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  低圧電気設備−第 5-51 部:電気機器の選定及び施工−一般事項

注記  対応国際規格:IEC 60364-5-51:2005,Electrical installations of buildings−Part 5-51: Selection and

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IEEE C62.45

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2002

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環境試験 

JIS C 60721-3-3

  環境条件の分類  環境パラメータとその厳しさのグループ別分類  屋内固定使用の

条件

注記  対 応 国 際 規 格 : IEC 60721-3-3:2002 , Classification of environmental conditions − Part 3-3:

Classification of groups of environmental parameters and their severities − Stationary use at 
weatherprotected locations

IEC 61643-311

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IEEE C62.31

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2006

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telecommunications installations

RUS

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SPD

試験 

JIS C 5381-11:2014

  低圧サージ防護デバイス−第 11 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防

護デバイスの要求性能及び試験方法

注記  対応国際規格:IEC 61643-11,Low-voltage surge protective devices−Part 11: Surge protective

devices connected to low-voltage power systems−Requirements and test methods

JIS C 5381-21:2014

  低圧サージ防護デバイス−第 21 部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デ

バイス(SPD)の要求性能及び試験方法

注記  対応国際規格:IEC 61643-21,Low voltage surge protective devices−Part 21: Surge protective

devices connected to telecommunications and signalling networks−Performance requirements and 
testing methods