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C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

(1)

目  次

ページ

序文

1

1

  適用範囲

1

2

  引用規格

1

3

  用語及び定義並びに略語

2

3.1

  用語及び定義

2

3.2

  記号及び略語

13

4

  防護する系統及び機器

15

4.1

  低圧配電系統

15

4.2

  防護する機器の特性

18

5

  低圧サージ防護デバイス

19

5.1

  SPD の基本機能

19

5.2

  追加要求性能

19

5.3

  SPD の分類

19

5.4

  SPD の特性

20

5.5

  SPD 特性の追加情報

22

6

  低圧配電系統での SPD の適用

26

6.1

  SPD の設置及びその防護効果

26

6.2

  SPD の選定

32

6.3

  補助装置の特性

40

7

  リスク解析

41

附属書 A(参考)引合い並びに入札に必要な代表的な情報及び試験手順の説明

42

附属書 B(参考)U

c

と各系統に用いている公称電圧との間の関係及び

    酸化亜鉛バリスタの U

p

と U

c

との間の関係の例

47

附属書 C(参考)低圧系統でのサージ電圧

49

附属書 D(参考)雷電流の分流計算

54

附属書 E(参考)高圧配電系統と接地との間の事故による低圧 TOV

57

附属書 F(参考)協調規則及び基準

71

附属書 G(参考)適用例

80

附属書 H(参考)リスク解析の適用例

87

附属書 I(参考)システムストレス

91

附属書 J(参考)SPD 選定のための基準

94

附属書 K(参考)SPD の適用

96

附属書 L(参考)リスク解析

110

附属書 M(参考)イミュニティに対する絶縁耐力

113

附属書 N(参考)一部の国における電源用分電盤内の SPD 設置例

115


C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)  目次

(2)

ページ

附属書 O(参考)信号及び電源端子をもつ機器の協調

120

附属書 P(参考)短絡バックアップ保護及びサージ耐量

125

附属書 JA(参考)参考文献

128


C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

(3)

まえがき

この規格は,工業標準化法第 14 条によって準用する第 12 条第 1 項の規定に基づき,一般社団法人電子

情報技術産業協会(JEITA)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業

規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業

規格である。

これによって,JIS C 5381-12:2004 は改正され,この規格に置き換えられた。

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。

JIS C 5381

の規格群には,次に示す部編成がある。

JIS C 5381-11

  第 11 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの要求性能及び試験方

JIS C 5381-12

  第 12 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバイスの選定及び適用基準

JIS C 5381-21

  第 21 部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイス(SPD)の要求性能及び試

験方法

JIS C 5381-22

  通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準

JIS C 5381-311

  低圧サージ防護デバイス用ガス入り放電管(GDT)

JIS C 5381-321

  低圧サージ防護デバイス用アバランシブレークダウンダイオード(ABD)の試験方

JIS C 5381-331

  低圧サージ防護デバイス用金属酸化物バリスタ(MOV)の試験方法

JIS C 5381-341

  低圧サージ防護デバイス用サージ防護サイリスタ(TSS)の試験方法


   

日本工業規格

JIS

 C

5381-12

:2014

(IEC 61643-12

:2008

)

低圧サージ防護デバイス−

第 12 部:低圧配電システムに接続する

低圧サージ防護デバイスの選定及び適用基準

Low-voltage surge protective devices-

Part 12: Surge protective devices connected to low-voltage power

distribution systems-Selection and application principles

序文

この規格は,2008 年に第 2 版として発行された IEC 61643-12 を基に,技術的内容及び構成を変更する

ことなく作成した日本工業規格である。

なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にない事項である。また,

附属書

JA

は対応国際規格にはない事項である。

1

適用範囲

この規格は,交流 50/60 Hz の 1 000 V 以下又は直流 1 500 V 以下の電源回路及び機器に接続する,雷又

はその他の過渡的な過電圧の直接的及び間接的な影響のサージに対する防護のための低圧サージ防護デバ

イス(以下,SPD という。

)の選定,動作,場所及び協調の原理を示す。

注記 1  日本の配電電圧は,電気設備に関する技術基準を規定する省令において,低圧は交流 600 V

以下,直流は 750 V 以下と規定している。

注記 2  電気機関車などのような特別な用途に関しては,追加の要求をしてもよい。

注記 3  JIS C 60364 規格群及び JIS Z 9290-4 を適用することを考慮することが望ましい。

注記 4  この規格は,機器内部に用いている SPD 素子でなく SPD だけを扱う。

注記 5  この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。

IEC 61643-12:2008

,Low-voltage surge protective devices−Part 12: Surge protective devices

connected to low-voltage power distribution systems−Selection and application principles

(IDT)

なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1 に基づき,

“一致している”

ことを示す。

2

引用規格

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。

)を適用する。

JIS C 0920

  電気機械器具の外郭による保護等級(IP コード)


2

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

注記  対応国際規格:IEC 60529,Degrees of protection provided by enclosures (lP Code)(IDT)

JIS C 5381-11

  低圧サージ防護デバイス−第 11 部:低圧配電システムに接続する低圧サージ防護デバ

イスの要求性能及び試験方法

注記  対応国際規格:IEC 61643-1,Low-voltage surge protective devices−Part 1: Surge protective

devices connected to low-voltage power distribution systems−Requirements and tests(MOD)

  ただし,IEC 61643-1 は既に廃止され,IEC 61643-11 に置き換えられたため,ここでその

対応 JIS である JIS C 5381-11 を引用規格とする。

JIS C 60364 

規格群  建築(低圧)電気設備

注記  対応国際規格:IEC 60364 (all parts),Electrical installations (Low-voltage) of buildings

JIS C 60364-4-41

  低圧電気設備−第 4-41 部:安全保護−感電保護

注記  対応国際規格:IEC 60364-4-41,Low-voltage electrical installations−Part 4-41: Protection for

safety−Protection against electric shock(IDT)

JIS C 60364-4-44

  低圧電気設備−第 4-44 部:安全保護−妨害電圧及び電磁妨害に対する保護

注記  対応国際規格:IEC 60364-4-44,Low voltage electrical installations−Part 4-44: Protection for

safety−Protection against voltage disturbances and electromagnetic disturbances(IDT)

JIS C 60364-5-53

  建築電気設備−第 5-53 部:電気機器の選定及び施工−断路,開閉及び制御

注記  対応国際規格:IEC 60364-5-53,Electrical installations of buildings−Part 5-53: Selection and

erection of electrical equipment−Isolation, switching and control(IDT)

JIS C 60664-1

  低圧系統内機器の絶縁協調−第 1 部:基本原則,要求事項及び試験

注記  対応国際規格:IEC 60664-1,Insulation coordination for equipment within low-voltage systems−

Part 1:Principles, requirements and tests(IDT)

JIS C 61000-4-5

  電磁両立性−第 4-5 部:試験及び測定技術−サージイミュニティ試験

注記  対応国際規格:IEC 61000-4-5,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 4-5: Testing and

measurement techniques−Surge immunity test(IDT)

JIS Z 9290-4

  雷保護−第 4 部:建築物内の電気及び電子システム

注記  対応国際規格:IEC 62305-4,Protection against lightning−Part 4: Electrical and electronic systems

within structures(IDT)

IEC 60060-1

,High-voltage test techniques−Part 1: General definitions and test requirements

IEC 61008-1

,Residual current operated circuit-breakers without integral overcurrent protection for household

and similar uses (RCCBs)−Part 1: General rules

IEC 61009-1

,Residual current operated circuit-breakers with integral overcurrent protection for household and

similar uses (RCBOs)−Part 1: General rules

IEC 62305-1

,Protection against lightning−Part 1: General principles

IEC 62305-2

,Protection against lightning−Part 2: Risk management

IEC 62305-3

,Protection against lightning−Part 3: Physical damages to structures and life hazard

3

用語及び定義並びに略語

3.1

用語及び定義

この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。

注記  次に示す用語及び定義は,JIS C 5381-11 の主な定義の再編成である。SPD の適用に関してより


3

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

よく理解するために,必要な注記を付け加えている。

3.1.1

低圧サージ防護デバイス,SPD(surge protective device)

過渡的な過電圧を制限し,サージ電流を分流することを目的とするデバイス。このデバイスは,1 個以

上の非線形素子を内蔵している。

JIS C 5381-11 の 3.1.1(低圧サージ防護デバイス)参照]

3.1.2

連続使用電流,I

c

(continuous operating current)

各防護モードに対して最大連続使用電圧 U

c

を印加したとき,それぞれのモードで SPD に流れる電流。

3.1.3

最大連続使用電圧,U

c

(maximum continuous operating voltage)

SPD の防護モードに連続して印加してもよい最大交流電圧(実効値)又は直流電圧。これは,定格電圧

に等しい。

JIS C 5381-11 の 3.1.11(最大連続使用電圧)参照]

3.1.4

電圧防護レベル,U

p

(voltage protection level)

端子間の電圧を制限した場合,推奨値のリストから選定する SPD の性能を規定するパラメータ。この値

は,測定制限電圧 U

m

の最大値よりも大きい。

JIS C 5381-11 の 3.1.14(電圧防護レベル)参照]

3.1.5

測定制限電圧,U

m

(measured limiting voltage)

規定する波形及び振幅のインパルスを印加したとき,SPD の端子間で測定した電圧の最大値。

JIS C 5381-11 の 3.1.15(測定制限電圧)参照]

3.1.6

残留電圧,U

res

(residual voltage)

放電電流の通過によって SPD の端子間に発生する電圧のピーク値。

JIS C 5381-11 の 3.1.16(残留電圧)参照]

3.1.7

SPD

の一時的過電圧試験値,U

T

(temporary overvoltage test value of the SPD)

一次的過電圧条件下のストレスを模擬するために規定の持続時間の間,SPD に印加する試験電圧。

注記 1  次の注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.17(一時的過電圧試験電圧値)を適用している。

注記 2  製造業者が申告する性能で,規定する試験時間 t

T

の間 U

c

よりも高い U

T

の電圧を印加する場

合の SPD の挙動についての情報である(この挙動は,一時的過電圧を適用した後に特性の変

化がない又は人員,設備若しくは施設に危険を及ぼすような破損がないかのいずれかであ

る。

3.1.8

電力系統の一時的過電圧値,U

TOV

(temporary overvoltage value of the power system)

特定の場所で比較的長い時間,系統上に発生する過電圧。TOV は,低圧系統[U

TOV (LV)

]又は高圧系統

U

TOV (HV)

]の内部故障によって発生することがある。

注記 TOV は,一般的に数秒間続き,開閉動作又は故障(例えば,突然の負荷の遮断,一相の事故な


4

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

ど)及び/又は非線形性(鉄共振,高調波など)から起こる。

3.1.9

公称放電電流,I

n

(nominal discharge current)

SPD に流れる 8/20 電流波形の波高値。これは,クラス II 試験を適用する SPD の分類,並びにクラス I

試験及びクラス II 試験に対する SPD の前処理のときにも用いる。

JIS C 5381-11 の 3.1.9(クラス II 試験での公称放電電流)参照]

3.1.10

クラス 試験でのインパルス電流,I

imp

(impulse current)

電流のピーク値 I

peak

,電荷 及び比エネルギーW/の三つのパラメータによって定義する電流。動作責

務試験の試験手順によってインパルス試験する。これは,クラス I 試験を適用する SPD の分類に用いる。

JIS C 5381-11 の 3.1.10(クラス I 試験でのインパルス放電電流)参照]

3.1.11

コンビネーション波形(combination wave)

開回路の両端で 1.2/50 の電圧インパルス,短絡回路で 8/20 の電流インパルスを発生する発生器による波

形。SPD に印加する電圧,電流の振幅及び波形は,発生器及びサージを印加する SPD のインピーダンスに

よって決まる。短絡回路電流のピークに対する開回路電圧のピークの比は 2

Ω で,これを想定インピーダ

ンス Z

f

として定義する。短絡回路電流は,I

sc

の記号で表す。開回路電圧は,U

oc

の記号で表す。

JIS C 5381-11 の 3.1.22(コンビネーション波形)参照]

3.1.12

8/20

電流インパルス(8/20 current impulse)

規約波頭長が 8

μs で,規約波尾長が 20 μs の電流インパルス。このときの規約波頭長及び規約波尾長は,

次による。

−  規約波頭長は,IEC 60060-1 に従い 1.25×(t

90

t

10

)で定義する。t

90

及び t

10

は,波頭部のピーク値の 90 %

及び 10 %の時間である。

−  規約波尾長は,規約原点と波尾部でピーク値の 50 %の点との間の時間として定義する。規約原点は,

波頭部のピーク値の 90 %及び 10 %の点を直線で結び,I=0 の線と交差する点である。

JIS C 5381-11 の 3.1.21(8/20 電流インパルス)参照]

3.1.13

1.2/50

電圧インパルス(1.2/50 voltage impulse)

規約波頭長が 1.2  μs で,規約波尾長が 50  μs の電圧インパルス。このときの規約波頭長及び規約波尾長

は,次による。

−  規約波頭長は,IEC 60060-1 に従い 1.67×(t

90

t

30

)で定義する。t

90

及び t

30

は,波頭部のピーク値の 90 %

及び 30 %の時間である。

−  規約波尾長は,規約原点と波尾部でピーク値の 50 %の点との間の時間として定義する。規約原点は,

波頭部のピーク値の 90 %と 30 %との点を直線で結び,U=0 の線と交差する点である。

JIS C 5381-11 の 3.1.20(1.2/50 電圧インパルス)参照]

3.1.14

熱暴走(thermal runaway)

SPD に発生する電力損失が容器及び接続部の温度許容能力を超え,内部素子への熱の蓄積増加によって

最終的に故障に至る動作状態。


5

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

3.1.15

熱的安定性(thermal stability)

温度上昇が起こる動作責務試験後に,SPD に規定する周囲温度条件で,規定する最大連続使用電圧 U

c

を印加したときに,SPD の温度が時間の経過とともに下降する熱的安定状態。

JIS C 5381-11 の 3.1.25(熱的安定性)参照]

3.1.16

SPD

分離器(SPD disconnector)

SPD を電力系統から切り離すために必要な(内部及び/又は外部)装置。

注記  この分離器は,絶縁能力をもたなくてもよい。系統の持続的故障を防ぎ,SPD の故障の表示に

用いるものである。例えば,過電流保護機能,温度保護機能など,一つ以上の分離機能をもっ

てもよい。これらの機能は,一つのユニットに集約する又は分割したユニットの中で機能して

もよい。

JIS C 5381-11 の 3.1.28(SPD 分離器)参照]

3.1.17

形式試験(type test)

新しい SPD の設計開発の終了時点に実施する,代表的な性能を確立し,関連する基準に合致しているこ

とを明らかにするために行う試験。試験は,一度行えば,その性能を修正するために設計を変更しない限

り,これらの試験を繰り返して行う必要はない。この場合には,関連する試験だけを繰り返し行う必要が

ある。

JIS C 5381-11 の 3.1.30(形式試験)参照]

3.1.18

ルーチン試験(routine tests)

各 SPD,部品又は材料について,製品が設計仕様に合致していることを保証するために行う試験。

JIS C 5381-11 の 3.1.31(ルーチン試験)参照]

3.1.19

受入試験(acceptance tests)

注文した SPD 又は代表試料について試験する必要があると製造業者と使用者との間で合意したときに

行う試験。

JIS C 5381-11 の 3.1.32(受入試験)参照]

3.1.20

外郭の保護等級の分類(IP コード)[degrees of protection provided by enclosure (IP code)]

危険な部位への接近,固体異物の侵入及び/又は水の浸入に対する外郭についての保護等級の分類。

JIS C 0920 及び JIS C 5381-11 の 3.1.29(外郭の保護等級)参照]

3.1.21

電圧降下率(%)[voltage drop (in per cent)]

次の式によって算出する入力電圧に対する出力電圧の降下の割合。

100

IN

OUT

IN

×

=

U

U

U

ΔU

ここに,

ΔU

電圧降下率(

%

U

IN

入力電圧


6

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

U

OUT

最大定格の抵抗負荷を接続した状態で,同時に測定した出力
電圧

この用語は,

2

ポート

SPD

に対してだけに用いる。

3.1.22

挿入損失(

insertion loss

規定する電源系統に接続した

SPD

の規定する周波数において,試験対象

SPD

を挿入する前後の,挿入

点の負荷側の電源線両端に現れる電圧の比。この結果はデシベル単位(

dB

)で表す。

注記

試験及び要求事項は検討中である。

3.1.23

2

ポート SPD に対する負荷側サージ電流耐量(

load-side surge withstand capability for a two-port SPD

SPD

の出力側にある負荷に起因するサージに対する,

2

ポート

SPD

の出力端子のサージ電流耐量。

JIS C 5381-11 の 3.1.18

2

ポート

SPD

に対する負荷側のサージ電流耐量)参照]

3.1.24

短絡電流耐量(

short-circuit withstand

SPD

が耐えることができる推定最大短絡電流。

注記 1

次の

注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.27(定格短絡電流)を適用している。

注記 2

この定義は,交流

50/60 Hz

及び直流に適用する。

2

ポート

SPD

又は入出力端子を別々にもつ

1

ポート

SPD

に対して,二つの短絡電流耐量値を規定してもよい。一つは,内部短絡回路(内

部の導通部品をバイパス)であり,もう一つは,負荷側での故障の場合で,出力端子での直

接の外部短絡回路(負荷側短絡)である。

3.1.25

1

ポート SPD

one-port SPD

防護する回路に対して分流するように接続する

SPD

1

ポート

SPD

は,入力端子と出力端子との間に直

列のインピーダンスをもたないで,入力端子と出力端子とは分離してもよい。

注記 1

次の

注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.2

1

ポート

SPD

)を適用している。

注記 2

図 は,幾つかの代表的な

1

ポート

SPD

,及び

1

ポート

SPD

のための総括的な図記号[

図 1

の c

)

]を示す。

1

ポート

SPD

は,

図 の a

)

に示すように電源回路に分岐し,又は

図 の b

)

に示すように電源回路内に接続してもよい。

図 の a

)

の場合は,

負荷電流は

SPD

に流れない。

図 の b

)

の場合では,負荷電流が

SPD

に流れ負荷電流によって温度上昇するため,関連する

最大許容負荷電流を,

2

ポート

SPD

に対するのと同様に決定してもよい。

図 の b

)

図 

d

)

には,コンビネーション波形発生器によって

8/20

電流インパルスを印加したときの

1

ポー

SPD

の各種タイプの応答を示す。

3.1.26

2

ポート SPD

two-port SPD

2

端子対の入力端子及び出力端子をもつ

SPD

。入力端子と出力端子との間に特定の直列インピーダンス

をもっている。

注記 1

次の

注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.3

2

ポート

SPD

)を適用している。

注記 2

測定制限電圧は,出力端子に比べて入力端子のほうがより高くなってもよい。防護する機器

は出力端子に接続する。

図 は,代表的な

2

ポート

SPD

を示す。コンビネーション波形発生

器によって印加した

8/20

電流インパルスに対する

2

ポート

SPD

の応答を,

図 の e

)

及び

図 3


7

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

の f

)

に示す。

3.1.27

電圧スイッチング形 SPD

voltage switching type SPD

サージを印加していない場合は,高インピーダンスであるが,電圧サージに応答して瞬時にインピーダ

ンスが低くなる

SPD

注記 1

電圧スイッチング形

SPD

に用いる素子の一般的な例は,エアギャップ,ガス入り放電管

GDT

,サイリスタ形サージ防護素子(

TSS

)及びトライアックがある。これらを“クロー

バ素子”という場合がある。

注記 2

次の

注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.4(電圧スイッチング形

SPD

)を適用している。

注記 3

電圧スイッチング形

SPD

は,不連続の

U

I

曲線をもっている。コンビネーション波形発生

器によって印加したインパルスに対する代表的な電圧スイッチング形

SPD

の応答を,

図 

c

)

に示す。

a)

  ポート SPD 

図 1ポート SPD の例


8

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

b)

  入力端子及び出力端子を備えた ポート SPD 

c)

  ポート SPD の総括的な図記号 

注記  図中の は,バリスタの図記号を表している。

図 1ポート SPD の例(続き)

a)

  端子の ポート SPD 

b)

  端子の ポート SPD 

c)

  ポート SPD の総括的な図記号 

図 2ポート SPD の例

SPD

U

U

Z

U

Z

Z

SPD


9

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

a)

  印加電流波形 

b)

  電圧制限形 SPD の応答 

c)

  電圧スイッチング形 SPD の応答 

d)

  ポート複合形 SPD の応答 

e)

  ポート複合形 SPD の応答 

図 3−コンビネーション波形インパルスに対する ポート SPD 及び ポート SPD の応答

電圧

時間(μs)

0

U

電圧

時間(μs)

0

Z

電圧

時間(μs)

0

U

電圧

時間(μs)

0

20

電流

時間(μs)

0

8


10

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

f)

  フィルタ付 ポート電圧制限形 SPD の応答 

注記  電圧レベルは,単に代表値で実際の値の表示ではない。

図 3−コンビネーション波形インパルスに対する ポート SPD 及び ポート SPD の応答(続き)

3.1.28

電圧制限形 SPD

voltage limiting type SPD

サージを印加していない場合は,高インピーダンスであるが,サージ電流及び電圧が増加するに従い連

続的にインピーダンスが低くなる

SPD

注記 1

非線形デバイスとして用いる部品の一般的な例としては,バリスタ及び定電圧ダイオードが

ある。これらの

SPD

は,

“クランピング素子”という場合がある。

注記 2

次の

注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.5(電圧制限形

SPD

)を適用している。

注記 3

電圧制限形

SPD

は,連続的な

U

I

曲線をもっている。コンビネーション波形発生器によっ

SPD

に印加したインパルスに対する,代表的な電圧制限形

SPD

の応答を,

図 の b

)

に示

している。

3.1.29

複合形 SPD

combination type SPD

電圧スイッチング形の素子及び電圧制限形の素子の両方を併せもつ

SPD

。印加電圧の特性に応じて,電

圧スイッチング,電圧制限,又は電圧スイッチング及び電圧制限の両方の動作をしてもよい。

注記 1

次の

注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.6(複合形

SPD

)を適用している。

注記 2

コンビネーション波形のインパルスに対する,各種の代表的な複合形

SPD

の応答を,

図 

d

)

及び

図 の e

)

に示している。

3.1.30

防護モード(

modes of protection

SPD

の防護素子が,ライン−ライン,ライン−接地,ライン−中性線若しくは中性線−接地,又はそれ

らの組合せで接続する経路。

JIS C 5381-11 の 3.1.8

SPD

の防護モード)参照]

3.1.31

続流,I

f

follow current

電源系統から供給する,インパルス放電電流の放電後に

SPD

を流れる電流。続流は連続使用電流

I

c

とは

異なる。

JIS C 5381-11 の 3.1.12(続流)参照]

3.1.32

クラス II 試験における最大放電電流,I

max

maximum discharge current for class II test

クラス

II

試験における動作責務試験の試験シーケンスに従った

8/20

の波形及び大きさ。

SPD

に流れる

電流波高値。

I

max

I

n

よりも大きい。

Z

電圧

時間(μs)

0


11

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

JIS C 5381-11 の 3.1.48(最大放電電流)参照]

3.1.33

劣化(

degradation

サージ,通常の使用状態又は厳しい使用環境に,

SPD

をさらしたときの

SPD

の初期性能値の変化。

注記 1

次の

注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.26[劣化(性能の)]を適用している。

注記 2

劣化は,

SPD

が設計耐用年数の条件に耐える

SPD

の能力の指標である。劣化に関しての確認

のために,二つの形式試験を適用する。第

1

は,動作責務試験で,第

2

は,エージング試験

であるが,これらの二つの試験を組み合わせてもよい。動作責務試験は,規定する電流波形

を規定回数

SPD

に印加する。

SPD

特性の許容変化値は,JIS C 5381-11 に規定している。エ

ージング試験は,規定する大きさ及び継続時間の電圧,並びに規定した温度で実施する。

SPD

特性の許容変化値は,この規格に規定する(この試験は,検討中である)

劣化のデータは,次の

4

項目を考慮した

SPD

の推定設置寿命を決定するために用いること

が望ましい。

取替え方針

設置場所及び接近性

許容故障率

動作回数

3.1.34

漏電遮断器,RCD

residual current device

規定する条件下で,漏電電流又は不平衡電流が規定値に達したときに,接点を開放する機械的遮断装置

又は関連装置。

JIS C 5381-11 の 3.1.35(漏電遮断器,

RCD

)参照]

3.1.35

系統の公称電圧(

nominal voltage of the system

設計した系統又は機器の電圧,かつ,特定の動作特性を満足する電圧(例えば,

230 V/400 V

注記 1

供給電源の端子電圧は,正常な系統条件下で,電源系統の許容範囲の公称電圧と異なること

がある。この規格では許容範囲は±

10 %

を用いている。

注記 2

系統の

1

ラインと接地との間の公称電圧は,

U

n

IEC 60038 を参照)とする。

注記 3

系統のラインと中性線との間の電圧を

U

0

とする。

注記 4

系統のライン間電圧を

U

とする。

3.1.36

インパルス試験の分類(

impulse test classification

次の三つのインパルス試験で表すことができる分類。

3.1.36.1

クラス 試験(

class I test

3.1.9

に定義する公称放電電流

I

n

3.1.13 に定義する

1.2/50

電圧インパルス,及び 3.1.10 に定義するクラ

I

試験のインパルス電流

I

imp

によって実施する試験。

3.1.36.2

クラス II 試験(

class II test

3.1.9

に定義する公称放電電流

I

n

3.1.13 に定義する

1.2/50

電圧インパルス,及び 3.1.32 に定義するクラ


12

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

II

試験の最大放電電流

I

max

によって実施する試験。

3.1.36.3

クラス III 試験(

class III test

3.1.11

に定義するコンビネーション波形(

1.2/50

及び

8/20

)によって実施する試験。

注記

JIS C 5381-11

の 3.1.34.3(クラス

III

試験)を適用している。

3.1.37

定格負荷電流,I

L

rated load current

SPD

が防護している出力側に接続した負荷に供給できる最大連続定格の交流電流(実効値)又は直流の

電流。

注記 1

次の

注記 を追加して,JIS C 5381-11 の 3.1.13(定格負荷電流)を適用している。

注記 2

これは,入力端子及び出力端子が分離している

SPD

だけに関連する。

3.1.38

過電流保護(

overcurrent protection

SPD

の電源供給側に設置する電気設備の一部分である過電流保護装置(例えば,回路遮断器又はヒュー

ズ)

3.1.39

SPD

設置場所での電力系統の最大連続使用電圧,U

cs

maximum continuous operating voltage of the power

system at the SPD location (U

cs

)

SPD

を適用した場所で,

SPD

が恒久的に使用できる最大の実効交流電圧値又は直流電圧。

注記 1

  U

cs

は,電圧変動,電圧降下又は上昇だけを考慮する。実際の最大系統電圧であり,直接

U

0

と関連している(

図 を参照)。

注記 2

この電圧は,高調波,事故,

TOV

及び過渡現象を考慮していない。

3.1.40

電圧スイッチング形 SPD の放電開始電圧(

sparkover voltage of a voltage-switching SPD

SPD

のギャップ電極間で,放電を起こす直前の最大電圧値。

注記 1

次の

注記 を追加して JIS C 5381-11 の 3.1.36(電圧スイッチング形

SPD

の放電開始電圧,電

圧スイッチング形

SPD

のトリガ電圧)を適用している。

注記 2

電圧スイッチング形

SPD

は,ギャップ以外の素子(例えば,シリコン系素子)で構成しても

よい。

3.1.41

雷保護システム,LPS

lightning protection system

雷の影響を受ける建築物及び内容物を保護するために用いる完全なシステム。

3.1.42

多用途 SPD

multiservice SPD

単一の外郭に,電源,通信,信号などの二つ以上の回線の雷防護を備えるサージ防護デバイス。サージ

侵入時に各回線間の共通接続点を構成する。

3.1.43

漏電電流,I

PE

residual current

製造業者が指定した方法で,

SPD

に最大連続使用電圧

U

c

を印加したとき

PE

端子に流れる電流。

JIS C 5381-11 の 3.1.40(漏電電流)参照]


13

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

3.1.44

電源の推定短絡電流,I

p

prospective short-circuit current of a power supply

電源回路の特定の場所を極めて低いインピーダンスで短絡したときにその場所に流れる電流。

JIS C 5381-11 の 3.1.38(電源の推定短絡電流)参照]

3.1.45

続流遮断定格,I

fi

follow current interrupting rating

SPD

自体が遮断できる電源回路の推定短絡電流。

JIS C 5381-11 の 3.1.39(続流遮断定格)参照]

3.1.46

クラス 試験における比エネルギー,W/R

Specific energy for class I test

インパルス放電電流

I

imp

1 Ω

の単位抵抗で消費するエネルギー。

3.1.47

定格インパルス耐電圧,U

W

Rated impulse withstand voltage

過電圧に対する特定の絶縁耐力で,製造業者が機器又は部品に対して規定したインパルス耐電圧。

注記

この規格では,通電導体と接地との間の耐電圧だけを考慮する。

3.2

記号及び略語

表 0A 及び表 0B に,この規格で用いる記号及び略語を示す。


14

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

表 0A−記号

記号

用語

E

max

最大エネルギー耐量

I

c

連続使用電流

I

f

続流

I

fi

続流遮断定格

I

imp

クラス I 試験におけるインパルス電流

I

L

定格負荷電流

I

max

クラス II 試験における最大放電電流

I

n

公称放電電流

I

p

電源の推定短絡電流

I

peak

インパルス電流の電流波高値

I

PE

漏電電流

I

SC

コンビネーション波形発生器の短絡回路電流

N

g

年間大地雷撃密度

N

k

年間雷雨日数

U

c

最大連続使用電圧

U

cs

電力系統の最大連続使用電圧

U

m

測定制限電圧

U

n

系統のラインと接地との間の公称電圧

U

0

系統のラインと中性線との間の電圧

U

oc

クラス III 試験における開回路電圧

U

p

電圧防護レベル

U

ref

バリスタの基準電圧

U

res

残留電圧

U

T

 SPD の一時的過電圧試験値

U

TOV

電力系統の一時的過電圧値

U

TOV (HV)

高圧系統の事故による一時的過電圧

U

TOV (LV)

低圧系統の事故による一時的過電圧

U

W

定格インパルス耐電圧

ΔU 

電圧降下率(%)

Z

f

想定インピーダンス


15

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

表 0B−略語

略語

用語

ABD

アバランシブレークダウンダイオード

dB

デシベル

CWG

コンビネーション波形発生器

EMC

電磁両立性

GDT

ガス入り放電管

HV

高圧

IP

外郭の保護等級

インダクタンス

LPS

雷保護システム

LPZ

雷保護ゾーン

LTE

通過エネルギー

LV

低圧

MEB

主等電位ボンディング

MOV

金属酸化物バリスタ

HVA

高圧 A(中圧,50 kV 未満)

MV

中圧

PE

保護導体(接地)

インパルス電流の電荷

RCD

漏電遮断器

TOV

一時的過電圧

SPD

低圧サージ防護デバイス

W/R

比エネルギー

ZnO

酸化亜鉛バリスタ

4

防護する系統及び機器

SPD

を用いる設備を評価する場合には,次の二つの要因を考慮する必要がある。

想定できる過電圧及び過電流のレベル,並びにタイプを含めて用いる低圧配電系統の特性

防護を必要とする機器の特性

4.1

低圧配電系統

低圧配電系統は,基本的に接地方式(

TNC

TNS

TNC-S

TT

及び

IT

)及び公称電圧(3.1.35 参照)に

よって分類する。様々なタイプの過電圧及び過電流が,発生する場合がある。この規格では,過電圧を次

の三つの群に分類する。

雷サージ

開閉サージ

一時的過電圧

4.1.1

雷過電圧及び過電流

ほとんどの場合,雷ストレスは,

SPD

のクラス試験及び対応する電流値又は電圧値(JIS C 5381-11 によ

I

imp

I

max

又は

U

oc

)の選定の主要な要因である。

雷サージの波形及び電流(又は電圧)振幅についての評価は,

SPD

の適切な選定に必要である。保護す

る装置がその使用環境に対して適切なように,

SPD

の電圧防護レベルを決めることが重要である。

雷保護システムを備えた建物に対する電流値及び電流波形の追加情報は,JIS Z 9290-4 

附属書 JA(雷

保護の一般原則)及び

附属書 JF(各種設置場所における雷サージ)に示す。


16

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

注記

例えば,頻繁に雷撃がある場所では,クラス

I

試験又はクラス

II

試験に耐える適切な

SPD

を要

求してもよい。

一般に(例えば,回線への直撃雷又は回線に誘起したサージの場合)

,電気設備に発生する高いストレス

は,外部から建物へ侵入する。建物の内部では,ストレスは設備の引込部から内部回路へ向かい減少し,

この減少は,回路構成及びインピーダンスの変化による。雷サージに対する防護の必要性は,次による。

地域の年間大地雷撃密度

N

g

(建物のある地域における年間大地雷撃密度で,

1

年間の

1

平方キロメー

トル当たりの落雷発生数)

。最近の落雷位置標定システムは,

N

g

について妥当な精度の情報を提供で

きる。

給電サービスを含む電気設備の被雷。地下埋設システムは,一般に,架空システムに比べ被雷は少な

いと考えられている。

電力を地下ケーブルによって供給した場合も,防護のために

SPD

を用いることが望ましい。サージ防護

の必要性の決定に関して,次の事項を考慮することが望ましい。

設備がその近傍に雷保護システムを備えている場合。

架空配電網から設備までのケーブル長が不十分で,距離を取れない場合(減衰しない場合)

落雷に起因する高いサージが,電気設備に接続しているトランスの中圧側へ供給する架空線で予想で

きる場合。

地下ケーブルが,高い大地抵抗率のために直撃雷の影響を受けることがある場合。

ケーブルによって給電している建物の大きさ又は高さが,建物への直撃雷の危険を増やすのに,十分

な大きさである場合。電力系統及び機器に影響を与える他の入力(出力)回線(電話回線,アンテナ

系統)への直撃雷の危険がある場合。

その他の架空からの供給線がある場合。

単一の電源系統から多くの建物へ給電している場合,

SPD

を備えていない建物の電気システムは,高い

ストレスを受けることがある。外部雷保護システムを設置した建物の中の

SPD

に流れる電流分布を決定す

るには,建物への直撃雷の場合,一般に接地の直流抵抗値(例えば,建物,管,配電系統の接地など)を

用いれば十分である。

波形及び電流の大きさの評価方法は,雷保護レベルの関数として,及び損傷の各種発生源(建築物への

直撃雷又は近傍雷,電力線への直撃雷又は近傍雷)に従って,JIS Z 9290-4 

附属書 JF(各種設置場所に

おける雷サージ)に記載している。

雷ストレスの詳細な情報は,

附属書 及び附属書 を参照。

4.1.2

開閉過電圧

ピーク電流及び電圧に関する開閉過電圧のストレスは,通常,雷ストレスよりも低いが,継続時間が長

いことがある。ただし,特に建物内の奥まった所又は開閉過電圧の発生源近くの場所では,開閉ストレス

が雷によって生成したストレスよりも高くなることがある。適切な

SPD

を選定するため,これらの開閉サ

ージに関連するエネルギーを知ることが必要である。事故及びヒューズ溶断による過渡電圧を含む開閉サ

ージの継続時間は,雷サージの継続時間よりも更に長い場合がある。一般に,

SPD

のサージ定格は,雷に

よるストレスに基づいて選定する。

開閉ストレスに関する詳細な情報は,

附属書 及び附属書 を参照。

4.1.3

一時的過電圧 U

TOV

4.1.3.1

一般

SPD

は,

その寿命までに電力系統の最大連続使用電圧

U

cs

を超える一時的過電圧

U

TOV

を被ることがある。


17

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

一時的過電圧は,振幅及び時間の二つの次元をもっている。過電圧の継続時間は,主に電力供給系統の

接地方式に依存する(

SPD

を接続する低圧配電系統と同様に高圧配電系統も含む。

。一時的過電圧を決定

する場合に,電力系統の最大連続使用電圧

U

cs

を考慮することが望ましい。

一時的過電圧に関する詳細な情報は,

附属書 及び附属書 を参照。

4.1.3.2

標準値

低圧配電システムで推定される

U

TOV

の最大値は,JIS C 60364-4-44 で規定している(これらの値の詳細

な算出については,

附属書 を参照)。

SPD

の設置場所及び低圧配電系統の方式など多くの要因によって

U

TOV

は,低い値になることがある。

表 に規定した最大値(図 参照)は,需要家設備の変圧器(表 の注記 参照)の設置場所における値

である。

表 1JIS C 60364-4-44 の最大 TOV 

U

TOV

の発生場所

系統

U

TOV (HV)

に対する最大値

U

TOV (LV)

に対する最大値

ラインと接地との間 TT 及び IT 5 秒間を超える時間

U

0

+250 V

a)

5 秒間までの時間

U

0

+1 200 V

a)

中性線と接地との間 TT 及び IT 5 秒間を超える時間 250 V

5 秒間までの時間 1 200 V

ラインと中性線との間 TT 及び TN

U

0

b)

ラインと接地との間 IT 系統

TT 系統(注記 参照)

U

0

c)

ラインと中性線との間 TT,IT 及び TN

5 秒間までの時間 1.45×U

0

d)

注記 1  このような高い TOV 値が,同様に TT 系統で 5 秒間発生することが実証されている。詳細は附属書 を参

照。これは JIS C 60364-4-44 では扱っていない。

注記 2  変圧器の設置場所での最大 TOV 値は,表 と異なることがある(より高い場合又はより低い場合がある。)。

詳細に関しては,

附属書 を参照。

注記 3 SPD の選定には,中性線の欠相を考慮しない。 

a)

  高圧配電システムでの事故に関連した極端な値である。附属書 による配電システムのタイプに依存して算

出してもよい。

b)

  値は,低圧系統での中性線の欠相に関連する。

c)

  値は,低圧系統でのライン導体の地絡事故に関連する。

d)

  値は,ラインと中性線との間の短絡に関連する。

詳細な情報は,

附属書 を参照。


18

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

a:  低圧設備での事故(短絡)で,TT 系統,TN 系統及び IT 系統のラインと中性線との間

の低圧システム内の事故による過電圧 U

TOV (LV)

の領域

b:  次の二つの領域の合計

−  低圧設備での事故(地絡)で,IT 系統(TT 系統は,

表 の注記 を参照)系統の

ラインと接地との間の低圧系統の事故による一時的過電圧 U

TOV (LV)

の領域

−  低圧設備での事故(中性線欠相)で,TT 系統及び TN 系統のラインと中性線との

間の低圧系統の事故による一時的過電圧 U

TOV (LV)

の領域

c:  高圧系統で起きた事故で,TT 系統及び IT 系統のラインと接地との間の需要家設備で

の高圧系統の事故による一時的過電圧 U

TOV (HV)

の最大値

d:  規定しない範囲

図 4JIS C 60364-4-44 に規定する U

TOV

の最大値

4.2

防護する機器の特性

過渡的な状態から防護する機器の特性は,次の

2

種類の試験を行う。

機器のインパルス耐量は,JIS C 60664-1 に従って試験する。これは,単に絶縁協調の試験である。試

験中は機器には,交流を印加しない。

JIS C 61000-4-5

に従って機器のサージイミュニティ試験を行う。この試験では,機器の動作中のイミ

ュニティ耐量について評価する。試験は,主にコンビネーション波形発生装置(

1.2/50

及び

8/20

)で

異なるレベルについて行う。イミュニティ耐量は,機能不全,誤動作又は故障が機器の動作中にどこ

で起こるかで決める。

機器を設置する環境におけるイミュニティレベル及び機器のインパルス耐量の比較で,

SPD

の必要性を

決定する。詳細は,

附属書 を参照。

注記

選定した

SPD

は,機器のインパルス耐電圧よりも低い防護レベル

U

p

,又は機器の連続運転が

重要な装置の場合,装置のインパルスのイミュニティ以下の防護レベル

U

p

にすることが望まし

い。

U

p

は,6.2.2 及び 6.2.5 に従って選択することが望ましい。さらに,試験中の装置と発生器

との間の相互作用によって,装置のイミュニティは

U

p

だけでなく,印加するサージ波形で決ま

る。

d

c

a

b

0

5s

時間

U

TOV

U

0

+1 200 V

U

0

+250 V

1.45×U

0

U

0


19

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

5

低圧サージ防護デバイス

5.1

SPD

の基本機能

この規格では,防護する装置の外部に設置する

SPD

を対象とする。これらの機能を,次に規定する。

配電システムにサージがない場合

SPD

は,これを適用するシステムの動作特性に強い影響を与えて

はならない。

配電システムにサージが発生中の場合

SPD

は,サージに対応し,そのインピーダンスを低下して電

流を分流し,電圧をその防護レベルに制限する。このサージは,

SPD

に続流を引き起こすことがある。

配電システムにサージ発生後の場合

SPD

は,サージ通過後,高インピーダンス状態に戻り,いかな

る続流も消弧する。

SPD

の特性は,標準の使用状態で,上記の機能を満足するように規定する。標準の使用状態は,配電シ

ステムの電源周波数,負荷電流,標高(大気圧)

,湿度及び周囲環境温度で規定する。

5.2

追加要求性能

SPD

の適用例によっては,次の追加要求事項が必要になることがある。

 SPD

の感電保護(JIS C 60364-4-41 に規定する。

 SPD

故障時の安全性

SPD

は,その設計最大エネルギー及び放電電流耐量よりも大きいサージを受ける場合には,故障するこ

とがある。この規格では,

SPD

の故障モードを開放モード及び短絡モードに分ける。

開放モードでは,防護する系統をもはや防護しなくなる。この場合,

SPD

の故障は系統にほとんど影響

を与えないので検知することが通常困難である。次にサージが加わる前に,確実に

SPD

を交換するために,

故障表示機能を要求してもよい。

短絡モードでは,系統は,故障した

SPD

に大いに影響を受ける。短絡電流は,電源から故障した

SPD

に流れる。短絡電流の通電によるエネルギー消費が過度になり,火災の危険を引き起こすことがある。JIS 

C 5381-11

の短絡電流耐量試験に,

SPD

の安全性の問題を規定している。防護する系統に,故障した

SPD

を回路から切り離す適切な装置がない場合は,短絡モードで故障する

SPD

と組み合わせて用いる適切な分

離器を要求してもよい。

5.3

SPD

の分類

5.3.1

SPD

の分類

低圧サージ防護デバイスは,JIS C 5381-11 に従って次のように分類する。

ポートの数

1

又は

2

設計トポロジ

電圧スイッチング形,電圧制限形又は複合形

 SPD

クラス試験

クラス

I

試験,クラス

II

試験及び/又はクラス

III

試験

場所

屋内又は屋外

接近性

接近可能及び接近不可能(手の届かない範囲)

取付方法

固定又は可搬

分離器

位置(外部,内部,外部及び内部の両方,なし)及び保護機能(熱,漏れ電流及び

過電流)

過電流保護

規定又は無規定

 SPD

外郭に備える保護等級(

IP

コード)

温度範囲

標準及び拡張

注記

定義によって,屋外とは,閉じられたシェルタの外側を意味する。ここでの

SPD

は,全て外部


20

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

条件に従う。屋内は,閉じられたシェルタの内側を意味する。ここでの

SPD

は,全て屋内の雰

囲気条件に従う。

“手の届かない範囲”とは,工具又はその他の器具を用いないで,充電部分に

接近できないことを意味する。

上記の分類の選定は,用いている技術と関連して,製造業者が指定する。

5.3.2

代表的な設計及びトポロジ

SPD

に用いる主な防護素子は,次の二つのカテゴリに属する。

電圧制限素子:バリスタ,アバランシダイオード又はサプレッサダイオードなど。

電圧スイッチング素子:エアギャップ,ガス入り放電管,サイリスタ(シリコン制御形整流器)

,トラ

イアックなど。

これらの素子を基にした代表的な

SPD

設計を,次に示す(

図 参照)。

単一の電圧制限素子[

図 の a

)

:電圧制限形

SPD

単一の電圧スイッチング素子[

図 の b

)

:電圧スイッチング形

SPD

電圧制限及びスイッチング素子[

図 の c

)

及び

図 の d

)

]の組合せ:複合形

SPD

a)

電圧制限素子

b)

電圧スイッチング素子

c)

電圧スイッチング素子と直列に接続した
電圧制限素子

d)

電圧スイッチング素子と並列に接続した
電圧制限素子

図 5−素子及び組合せ素子の例

全ての

SPD

は,基本素子の単純な配列では規定できない。

SPD

は,更に表示器,分離器,ヒューズ,イ

ンダクタンス,コンデンサ及びその他の素子を組み込むことがある。さらに,

SPD

1

ポート

SPD

3.1.25

を参照)又は

2

ポート

SPD

3.1.26 を参照)に分類できる。

5.4

SPD

の特性

5.4.1

JIS C 5381-11

に規定した使用条件

標準の使用条件を,次に示す。

供給電源は,周波数

47 Hz

63 Hz

の交流,又は直流

気圧は,

80 kPa

106 kPa

とする。それぞれ海面からの高度+

2 000 m

及び−

500 m

に対応している。

U

U


21

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

使用温度は,通常範囲では−

5

℃∼+

40

℃,拡張範囲では−

40

℃∼+

70

室内温度条件下での相対湿度は,

30 %

90 %

とする。ただし,通常範囲では,

5 %

95 %RH

とし,拡

張範囲では,

5 %

100 %RH

とする。

注記 1

 SPD

を適用する場所(屋外,屋内など)

,及び周囲温度条件が標準範囲か又は拡張範囲かを

使用者が決定することが望ましい。

注記 2

JIS C 5381-11

では,

SPD

の最大連続使用電圧の表示に関して規定する。この規格の 6.2.1.1

SPD

の最大連続使用電圧)を参照。

注記 3

一般に製品の保存温度範囲は,使用温度範囲よりも広い。

特殊な使用条件を,次に示す。

 SPD

が特殊な使用条件にさらされる場合には,

SPD

の設計又は適用に特別な配慮を必要とすることが

あり,製造業者は注意を喚起することが望ましい。

太陽光ばく露に関しては,多くの

SPD

は太陽光にさらさないため,一般に,形式試験に太陽光ばく露

を考慮していない。

SPD

を太陽光にさらす所では,太陽光ばく露を考慮して,相応の試験をすること

が望ましい。

注記 4

一般的に,

SPD

外郭の保護等級は,

IP2X

よりも大きいことが望ましい。幾つかの実例では,

その他の値を用いている(例えば,屋外用の

SPD

5.4.2

SPD

選定のパラメータ

使用者が適切に

SPD

を選定するために必要な一般的なパラメータを,次に示す。

注記

これらの幾つかのパラメータは,各防護モードに対して決める。

a

)  U

c

:最大連続使用電圧

b

)

一時的過電圧特性

c

)  I

n

:公称放電電流(クラス

I

及びクラス

II

試験用だけ)

d

)

クラス

II

試験用の

I

max

,クラス

I

試験用の

I

imp

及びクラス

III

試験用の

U

oc

e

)  U

p

:電圧防護レベル

f

)

故障モード

g

)

短絡電流耐量

h

)  I

fi

:続流遮断定格(電圧制限形

SPD

の場合を除く。

i

)

I

L

:定格負荷電流(

2

ポート

SPD

又は入・出力端子が分離している

1

ポート

SPD

用)

j

)

電圧降下(

2

ポート

SPD

又は入・出力端子が分離している

1

ポート

SPD

用)

k

)  I

PE

:漏電電流(任意)

U

p

U

0

U

c

及び

U

cs

の関係を,

図 に示す。


22

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

U

p

時間

U

p

×U

0

×U

c

×U

c

×U

cs

×U

0

×U

cs

電圧

図 6U

p

U

0

U

c

及び U

cs

の関係

5.5

SPD

特性の追加情報

5.5.1

商用電源系統に関する情報

5.5.1.1

最大連続使用電圧 U

c

及び連続使用電流 I

c

U

c

は,標準条件下での

SPD

の特性変化(経時変化,熱暴走など)を最小限にするように選定する。

I

c

は,

SPD

U

c

を供給している場合に流れる電流値である。接地(

PE

)端子に電流が流れる場合,漏電電

I

PE

という。この電流

I

PE

は,過電流装置又はその他の保護装置(例えば,漏電遮断器)の不要動作を回

避するために,

SPD

を選定する場合に用いる(JIS C 60364-5-53 の 531.2.1.2 を参照)

。系統の構成によって,

過電流又はその他の保護装置の動作の影響がどのようなものであるかの詳細情報は,

附属書 を参照。

5.5.1.2

一時的過電圧特性

商用電源(又は直流)の過電圧と時間(数秒間まで)との値が二組以上あれば,

SPD

の一時的過電圧特

性を決めるには十分である。

SPD

は,

TOV

試験に対し,特性上で許容外の変化を伴わない又は許容内の挙

動で故障するかのいずれでもよい。JIS C 60364-5-53 に準じて設置した

SPD

は,低圧配電システムの事故

による

TOV

に耐えなければならない(

表 に規定する

5

秒間の

TOV

値を参照)

CT2

接続図(

図 11 参照)

に準じて中性線と

PE

との間に設置した

SPD

は,高圧配電システムの事故による

TOV

にも耐えなければ

ならない(

表 に規定する

200 ms

TOV

値を参照)

JIS C 5381-11 で考慮している

TOV

継続時間は,

200

ms

及び

5

秒間の二つに限定し,関連する試験電圧を

SPD

の一時的過電圧試験値

U

T

という。一時的過電圧

特性は,JIS C 5381-11 に準じて製造業者が提供する。

注記

機器の保護協調を維持しつつ,高い一時的過電圧耐量及び低い電圧防護レベルをもつ

SPD

の選

定は,難しいことがある。

使用者は,

SPD

の一時的過電圧特性と電力系統の一時的過電圧(

U

TOV

)との比較によって,最も適切な

SPD

を選定することができる。

SPD

試験に用いる標準値を,

表 に規定する。

5.5.2

サージ電流に関連した情報

次で検討する要素は,サージ波形の電圧,電流及び時間特性に関連する。

SPD

が受けると予想するスト

レスによって,異なるサージ波形及びレベルを試験に用いる。


23

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

SPD

に対する適切な試験クラスの選定についての指針を,次に示す。

クラス

I

試験は,直撃雷の一部が流れ込んだ雷電流インパルスをシミュレートするためのものである。

クラス

I

試験に適合した

SPD

は,一般的に高被雷場所用として推奨する。例えば,雷保護システムで

防護する建物の引込口がある。

クラス

II

試験又はクラス

III

試験には,短時間のインパルスを適用する。これらの試験に適合した

SPD

は,一般的に低被雷場所用として推奨する。

SPD

を選定するときは,クラス試験及び規定するインパルスの大きさの両方を考慮することが必要であ

る。

注記 1

クラス

II

試験では,

SPD

への印加電流値を用いる。クラス

III

試験では,

SPD

への印加電圧

を用いるため,電流値は

SPD

の特性に依存する。

注記 2

 SPD

が適合するクラス試験は,銘板上に四角の枠の中に

T

(クラス

I

試験は

T1

,クラス

II

試験は

T2

,クラス

III

試験は

T3

)で表示する又は文字で“クラス試験”と表示している。

5.5.2.1

公称放電電流 I

n

8/20

クラス 試験及びクラス II 試験準拠の SPD に対して)

これは,クラス

I

試験及びクラス

II

試験によって,

SPD

の測定制限電圧を決定するために用いる試験パ

ラメータである。この電流は,更にクラス

I

試験及びクラス

II

試験における動作責務試験のための前処理

15

回印加)にも用いる。

I

n

は,

I

max

よりも低く,現場(設置場所)でかなり頻繁に発生すると予想する電流に相当する。

I

n

の推奨値は,次のとおりである。

 0.05

kA

0.1 kA

0.25 kA

0.5 kA

1.0 kA

1.5 kA

2.0 kA

2.5 kA

3.0 kA

5.0 kA

10 kA

15 kA

20 kA

5.5.2.2

I

imp

及び I

max

クラス 試験及びクラス II 試験準拠の SPD に対して)

I

imp

及び

I

max

は,クラス

I

試験及びクラス

II

試験のそれぞれの動作責務試験中に用いる

SPD

の試験パラ

メータである。これらは,系統内の

SPD

の位置で非常にまれに発生すると予想できる放電電流の最大値に

相当する。

I

max

は,クラス

II

試験及び

I

imp

はクラス

I

試験に関係している。

JIS C 5381-11

に規定する

I

imp

I

peak

Q

及び

W/R

)の推奨値を,

表 に規定する。

表 2I

imp

の推奨値

I

peak

kA

Q 
C

W/R

kJ/Ω

20 10 100 
12.5 6.25

39

10 5 25

5 2.5

6.25

2 1 1 
1 0.5

0.25

注記 1

一般的に,

I

imp

I

n

よりも長い波形を想定する。

注記 2

波形

10/350

は,

表 に合致する波形の一例である。

5.5.3

SPD

による電圧防護レベルに関する情報

5.5.3.1

測定制限電圧

a

)

クラス 試験及びクラス II 試験  測定制限電圧は,二つの試験によって決定する。

 8/20

の波形による各電流値での残留電圧の測定。


24

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

 1.2/50

の波形による放電開始電圧の測定。

測定制限電圧は,次の二通りのうち,最高となる電圧値である。

次の電流範囲での残留電圧

クラス

I

試験では,

0.1

×

I

n

から,

I

peak

又は

I

n

のうちいずれか大きい値まで

クラス

II

試験では,

0.1

×

I

n

から,

1.0

×

I

n

の値まで

 1.2/50

の波形波頭部での放電開始電圧

1

)

電圧制限形部品内蔵の SPD  図 は,酸化亜鉛バリスタの

I

に対する

U

res

の関係を示す代表的な曲

線である。これは,また

I

max

での

SPD

の残留電圧を考慮することを示している。この電圧が,電圧

防護レベルよりも高い場合及び特に防護する機器のインパルス耐電圧よりも高い場合,

SPD

は,こ

のようなストレスに耐えても,機器を防護しない危険性がある。したがって,

SPD

の電圧防護レベ

ル及びサージ電流耐量は,それに相応して選定する。

U

1

I

n

における残留電圧

U

2

I

max

における残留電圧

R  :数 kA の範囲

図 7−酸化亜鉛バリスタの に対する U

res

の代表的な曲線

2

)

電圧スイッチング部品内蔵の SPD  スパークギャップ部品(ガス入り放電管など)のインパルス放

電開始電圧は,印加した過渡的な過電圧の上昇率(

dU/dt

)に依存する。

一般に,過渡現象の電圧上昇率(

dU/dt

)の増加で,インパルス放電開始電圧は高くなる。インパ

ルス放電開始電圧は,規定した

dU/dt

に対する統計的な値であるため,測定値に幅がでる(

図 

照)

U

res

U

2

U

1

R

電流

I

max

I

n

1 mA

MOV


25

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

a:高い上昇率−10 kV/

μs

b:低い上昇率−1 kV/

μs

δt:放電開始時間の幅 
δU:放電開始電圧の幅

図 8−スパークギャップの代表的な曲線

b

)

クラス III 試験  クラス

III

試験によって試験した

SPD

に対する測定は,

コンビネーション波形発生器

を用いる。試験中に記録した最大値を,測定制限電圧として用いる。

5.5.3.2

電圧防護レベル U

p

U

p

は,製造業者が指定する。規定では,

U

p

は測定制限電圧の最高値より大きい。製造業者がこの値を選

定する場合は,製造許容差を認めることが望ましい。

電圧防護レベルの推奨値は,次による。

 0.08

kV

0.09 kV

0.10 kV

0.12 kV

0.15 kV

0.22 kV

0.33 kV

0.4 kV

0.5 kV

0.6 kV

0.7 kV

0.8 kV

0.9 kV

1.0 kV

1.2 kV

1.5 kV

1.8 kV

2.0 kV

2.5 kV

3.0 kV

4.0 kV

5.0 kV

6.0 kV

8.0 kV

10 kV

系統の公称電圧及び酸化亜鉛バリスタに対する

SPD

の電圧防護レベルの代表的な関係を,

附属書 に示

す。

5.5.4

SPD

の故障モードに関する情報

SPD

の故障モードは,その他の装置,その応用装置及び

SPD

と接続する装置での,

SPD

の適合性を規定

するために用いる。

SPD

の故障モードは,サージ電流及び電圧の大きさ,回数,波形,並びに故障時の

SPD

に印加する電圧値及び電力系統の短絡容量に依存する。この規格は,

SPD

の次の二つの故障モードを考慮

している。

短絡回路又は低インピーダンス

開回路又は高インピーダンス

SPD

がある時期に不安定な状態に陥ることがある。この状態は,エネルギー吸収があり,最終的には,

(それ自体,分離器又は過電流保護機能と連携して)開回路又は短絡回路になる。この規格では,この状

態が一時的と想定する場合は取り扱わない。

系統の構成によって,

過電流遮断器又はその他の保護装置の動作がどのように影響するかの追加情報は,

附属書 を参照する。


26

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

SPD

の特性変化は,故障モードとはみなさないが,5.5.7 に規定する。

5.5.5

耐短絡性に関する情報

SPD

単体又は分離器及び/又は過電流保護機能を備えた

SPD

は,製造業者が指定する短絡電流に耐えな

ければならない。

SPD

は燃えたり,焦げたり若しくは溶融した材料を放出したり,又は外郭を開放しない

で試験に合格することが望ましい。電源回路の推定短絡電流

I

p

SPD

の耐短絡電流よりも大きいと見込ま

れる場所では,

SPD

を用いないことを徹底する必要がある。適切な分離器及び/又は製造業者が推奨する

過電流保護器を設置し,確実に動作することが必要である。さらに,電圧制限形ではない

SPD

に対しては,

SPD

の続流遮断定格

I

fi

が,取り付けた場所の電源の推定短絡電流

I

p

よりも大きいことを確認する必要があ

る。

5.5.6

負荷電流 I

L

及び電圧降下に関する情報(ポート SPD 又は分離した入・出力端子をもつ ポート

SPD

に対して)

電源回路に接続した

2

ポート

SPD

又は分離した入・出力端子をもつ

1

ポート

SPD

に対しては,機器の

負荷電流が

SPD

の定格負荷電流

I

L

を超えないようにする必要がある。

注記

負荷の種類を考慮することも必要である。例えば,ある負荷は,突入電流が実効値の

3

倍にな

ることがある。これらのピーク電流は,

2

ポート

SPD

内の直列素子の過熱を引き起こす。

さらに,

2

ポート

SPD

又は分離した入・出力端子をもつ

1

ポート

SPD

の設置が,下流にある機器の許容

できない電圧降下をもたらしていないことを確認する。これを,電圧降下率

ΔU

としている。

5.5.7

SPD

の特性変化に関する情報

特定の

SPD

が標準試験に規定する値よりも大きいストレスを受ける場合,中間の状態(段階的な劣化状

態)になることがある。この場合,例えば,

SPD

U

p

I

n

I

c

などの特性のうち幾つかが,規定値から変

化することがある。この状態は,特に並列に幾つかの能動部品をもっている

SPD

で,能動部品の一つがサ

ージの通過後に分離することがある。これらの実例では,使用者は特性の変化について気付かない。これ

が起きるときの状態の明確な指示がない場合は,このような中間の状態を

SPD

の設計において回避するこ

とが望ましい。

6

低圧配電系統での SPD の適用

6.1

SPD

の設置及びその防護効果

リスク解析を実施する場合(箇条 参照)

,系統内のストレス(箇条 参照)及び

SPD

の特性(箇条 5

参照)を規定することができる。

配電系統に

SPD

を適用する場合,

図 に示すフローチャートを用いてもよい。


27

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

図 9SPD 適用のためのフローチャート

SPD

の実際の設置例を,

附属書 に示す。

ストレスが侵入する引込口では,クラス

I

試験,クラス

II

試験又はクラス

III

試験で試験した

SPD

を用

いてもよい。サージの電気的ストレスを考慮して,正しい

SPD

を選定することが肝要である。特に,雷保

護システムを設置している場合の追加の情報は,JIS Z 9290-4 を参照する。クラス

II

試験及びクラス

III

試験で試験した

SPD

は,被保護機器に近接して設置にも適している。

6.1.1

各種防護モード及び各種設置例

被保護機器が十分な過電圧耐量がある又は分電盤の引込口に近接した位置にある場合は,

1

個の

SPD

けでもよい。この場合,

SPD

は,設備の引込口にできるだけ近接して設置することが望ましい。

SPD

は,

この位置で十分なサージ耐量をもつことが望ましい。

図 K.1∼図 K.5 に,異なる種類の系統に対する設備

引込口における

SPD

の代表的な接続例を示す。

図 K.5 は,

TN C-S

系統の特別な場合を示している。

設備の引込口又はその近傍に設置する

SPD

は,少なくとも次の各点間に接続する。

a

)

設備の引込口若しくはその近傍での中性線と

PE

との間の直接接続,又は中性線がない場合は各ライ

ン導体と主接地端子又は主保護導体のいずれか短い方との間。

注記 1

 IT

系統における中性線を

PE

に接続するインピーダンスは,中性線と

PE

との間の直接接続

ではない。

b

)

設備の引込口又はその近傍での中性線と

PE

との間の直接接続がない場合は,次のいずれかとする。

接続タイプ

1

CT 1

:各ライン導体と主接地端子若しくは主保護導体との間,又は中性線と主接地

端子若しくは保護導体のいずれか短い方との間(

図 10 参照)。

接続タイプ

2

CT 2

:各ライン導体と中性線との間,又は中性線と主接地端子若しくは保護導体の

いずれか短い方との間(

図 11 参照)。

注記 2

ライン導体を接地している場合,ここでは,中性線と同等とみなす。

6.1.1

防護及び設置の方法

設備の引込口にできる限り近接して設置

6.1.2

振動現象

機器にできる限り近接して設置

6.1.3

接続したリード線長

SPD 及び SPD と直列に接続する外部の分離器の接続導体は,
できる限り短くする。

6.1.4

追加防護の必要性

設備の引込口の SPD 及び機器に近接したその他の SPD

6.1.5

クラス試験に基づく SPD の

設置場所の選定

クラス I 試験,

クラス II 試験及びクラス III 試験に対応した SPD

は,

引込口で,

クラス II 試験及びクラス III 試験に対応した SPD

は,機器に近接した場所で,用いてもよい。

6.1.6

保護ゾーンの概念

この概念を用いる場合,SPD は,領域の境界に設置することが
望ましい。


28

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

図 10−接続タイプ 1CT1

図 11−接続タイプ 2CT2

各種低圧系統に対する各種防護モードの例を,

表 に示す。

注記 3

同一導体に

2

個以上の

SPD

を接続する場合,各

SPD

間の協調を確認する必要がある。

注記 4

防護モードの数は,被保護機器のタイプ(例えば,この機器を接地していない場合,ライン

又は中性線と接地との間の防護は不要なことがある。

,防護の各モードによる機器の耐電圧,


29

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

電気系統の構成及び接地方式並びに入力サージの特性に依存している。例えば,ラインと中

性線及び

PE

導体との間,又はライン及び中性線との間の防護は一般に重要で,通常,ライ

ン間の防護は行わない。

注記 5

電力供給業者のメータ(電力量計)前での

SPD

の設置は,電力供給業者の同意を得て実施す

ることが望ましい。

表 3−各種低圧系統に対する各種防護モード

SPD の設置 SPD の設置点における系統の種類

TT TN-C

TN-S

IT

中性線あり

IT

中性線

なし

設置方法

設置方法

設置方法

CT 1

CT 2

CT 1

CT 2

CT 1

CT 2

ラインと中性線との間

○ NA

○ NA

ラインと PE との間

○ NA NA

○ NA

○ NA  ○

中性線と PE との間

○ NA

注記 参照)

注記 参照)

○ NA

ラインと PEN との間 NA

NA ○ NA

NA NA

NA

NA

ライン間

○  :必須 
NA  :適用しない 
+  :要求がある SPD に追加適用する場合 
CT  :接続タイプ 
注記 1 SPD と PE-N ボンディング点との間の距離が短い(代表的には 10 m 未満)場合,この SPD は必要ない。 
注記 2 CT2 を用いる場合,機器の耐電圧値 U

w

を直列(L-N 及び N-PE 間)の 2 個の SPD による電圧防護レベルと

比較することが望ましい。この場合,両 SPD の U

p

の単純な加算値とは異なる結果となることもある。

電力及び信号回線は,互いに近接して被保護建築物に引き込み,共通のボンディングバーにボンディン

グすることが望ましい。これは電磁遮蔽効果のない材料(木材,れん瓦,コンクリートなど)で作った建

築物にとって特に重要である。

詳細は,

附属書 を参照する。

6.1.2

防護距離での振動現象の影響

SPD

は,特定の機器を防護するために用いる場合,又は分電盤入口に設置した

SPD

が機器について十分

な防護ができない場合は,

防護する機器にできるだけ近接して設置することが望ましい。

被保護機器と

SPD

との間の距離が非常に長い場合,振動によって,一般に

U

p

2

倍以内の高い電圧,ある環境下ではこのレ

ベルを超える電圧が,機器の端子間に発生する。

SPD

の設置にもかかわらず,高い電圧によって被保護機

器は,故障する(

図 K.8∼図 K.10 参照)。許容可能な距離(防護距離という。)は,

SPD

の種類,電力系統

のタイプ,侵入サージの波形及び立ち上がりの傾き[しゅん(峻)度]

,並びに接続している負荷に依存す

る。機器が高インピーダンス負荷又は機器が内部で断路している場合には,特に

2

倍になることがある。

この現象における

2

倍電圧の例を,

図 K.10 に示す。

一般に,振動は,

10 m

未満の距離では無視することができる。ある機器では,防護素子(例えば,バリ

スタ)を内蔵しており,長い距離であれば振動は十分に減衰する。この場合,

SPD

と機器に内蔵した防護

素子との協調問題を回避するための注意が必要である。

注記 1

防護距離は,国によっては“分離距離”という場合がある。

注記 2

防護距離は,

SPD

と被保護機器との間にある回路ループ内で,雷電流によって直接誘起する


30

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

電圧のために,減少することがある。

詳細は,

附属書 を参照する。

6.1.3

接続リード線長の影響

最適な過電圧の防護を達成するために,

SPD

の接続導体はできるだけ短くする。長いリード線は,

SPD

による防護効果を減少させる。したがって,効果的な防護をするために,低い電圧防護レベルを備えた

SPD

を選定することが必要になる場合がある。機器に伝搬した残留電圧は,

SPD

の残留電圧及び接続リード線

に誘起した電圧の合計になる。二つの電圧は,必ずしも同時にピークに達することはないが,実用的には

単純に加算してもよい。

図 12 は,インパルス電流放電中に

SPD

の接続点間で測定した電圧で,接続リー

ド線によるインダクタンスの影響を示している。

一般に,リード線のインダクタンスは,

1

μH/m

と仮定する。したがって,

1 kA/

μs

の立上り値のインパ

ルスによって生成した誘導電圧は,リード線の長さに対し約

1 kV/m

になる。さらに,

dl/dt

が大きくなる

ほど,この値は大きくなる。

インダクタンスの影響を極力減少させるために,できるだけ

図 12 の b

)

を用いるほうがよい。ツイスト

ワイヤを使用した

図 12 の c

)

は,

図 12 の b

)

が用いることができない場合に用いることができる。

図 12 

a

)

は,できるだけ避けることが望ましい。

SPD

の接続リード線長の増加は過電圧防護の効果を低減させる

ため,

図 12 の a

)

における適切な電圧防護は,

SPD

の全ての接続リード線をできるだけ短くし(合計接続

リード線長が

0.5 m

以下が望ましい。

,ループ状にしない場合に達成する。

注記

電流の帰還経路となる導体を入力電流導体に近接しておくことで,電磁結合によってインダク

タンスは減少する[

図 12 の c

)

参照]


31

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

a)  L

1

及び L

2

  リード線長 l

1

及び l

2

に対応するインダクタンス

I

surge

時間に対するサージ電流波形

V

SPD

サージ印加時の SPD 端子間の電圧

V

AB

サージ印加中の A 点と B 点との間の電圧=V

SPD

+インダクタンス L

1

L

2

による誘導電圧。

この接続方法は,特に L

1

又は L

2

が大きい場合,できる限り適用しない。

b)

この接続方法を推奨する。

c)

この接続方法は,b)の接続方法を用いることができない場所に適用する。この場合のサージ電流 I

surge

に対する V

SPD

及び V

AB

の関係を,

図 12 の c)に示す。

図 12SPD の接続リード線の影響

詳細は,

附属書 を参照する。

6.1.4

追加防護の必要性

建物の引込口でストレスが低い条件の場合には,

1

個の

SPD

で十分である。その場合,主引込口に近接

して

SPD

を設置するほうがよい(6.1.1 参照)

。被保護装置に近接した追加防護は,例えば,次の場合に必

要である。

非常にぜい弱な装置(電子機器,コンピュータ)

引込口に設置した

SPD

と保護対象装置との間の距離が長すぎる場合(6.1.2 参照)

雷放電によって発生した建物内部の電磁界及び建物内部に妨害源がある場合。

系統中で防護する最もぜい弱な装置の定格インパルス耐電圧(

U

W

JIS C 60664-1 参照)

,又は連続運転

が重要である装置には,インパルス・イミュニティレベルを考慮する必要がある。装置の連続運転が重要

でなく,

U

w

だけを考慮する場合,この装置に最も近接して設置する

SPD

には,この装置の耐電圧の

20 %

以上低い

U

p2

の値を選定する。引込口に設置した

SPD

の防護レベル(

U

p1

)に,

図 13 に示した

SPD

と装置

との間の距離によって,6.1.2 に規定する影響を加味しても,装置の端子電圧が

0.8

×

U

w

よりも低くなる場

合には,装置に近接する追加の

SPD

は必要ない(

図 13 参照)。

詳細な情報は,K.1.2 及び

図 K.9 を参照する。

a) 

b)

c)


32

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

S

P

D

S

P

D

  No.1

U

p1

No.2

p2

U

w

Eq

U

p1

×k<0.8×U

w

の場合,SPD No.1(設備の引込口へ設置)だけ必要

U

p1

×k>0.8×U

w

の場合,SPD No.2(U

p2

<0.8×U

w

)を SPD No.1 に追加して設置することが望ましい。

Eq は保護対象装置で,JIS C 60664-1 で規定する耐電圧 U

w

をもつ。

は可能な振動を考慮した係数(1<k<2,6.1.2 参照)である。

図 13−追加防護の必要性

注記

JIS C 61000-4-5

による機器のイミュニティは,JIS C 60664-1 に規定する定格インパルス耐電圧

U

W

)とは異なることがある。この理由は,JIS C 61000-4-5 の試験がコンビネーション波形発

生器を用いており,

(特に機器が低いインピーダンスの場合)サージ電流の一部が機器を通って

流れるためである。この場合適切な協調が必要である(6.2.6 参照)

。イミュニティと絶縁耐力

との比較についての追加の情報を,

附属書 に示す。

U

W

の求め方についての JIS C 60664-1

の規定にかかわらず,全てのタイプの装置について

U

W

値を求めるのは,事実上困難な場合が

ある。

被害を与える可能性のある開閉サージが,建物の内部で発生することがある。この場合は追加の

SPD

必要になることがある。

2

個の

SPD

を同じ回路の中で用いる場合は,

SPD

は協調させる。

6.1.5

SPD

のクラス試験に基づく設置場所

侵入ストレスにさらされる引込口では,クラス

I

試験,クラス

II

試験又はクラス

III

試験で試験した

SPD

のいずれを用いてもよい。サージに含まれる電気的ストレスを考慮することは,適切な

SPD

の選定の要で

ある。クラス

II

試験及びクラス

III

試験で試験した

SPD

は,被保護機器に近接した場所にも適している。

6.1.6

雷保護ゾーンの概念

適切なサージ防護の設計及び適用のために,JIS Z 9290-4 に規定する雷保護ゾーンの階層を考慮するこ

とは有効である。この設計概念は,伝搬し脅威を与える電力系統の開閉及び直接又は間接雷撃によるパラ

メータが,無防備の状況からぜい弱な装置まで防護する階層を段階的(段階間の距離は,6.1.2 に従うこと

が望ましい。

)に減少した場合と仮定している。

建物の電力系統内における雷保護ゾーンの分割及び

SPD

の配置についての例を,

図 K.11 に示す。

6.2

SPD

の選定

SPD

は,6.2.16.2.6 に規定する

図 14 に示す

6

ステップによって選定する。

U

p1

U

p2


33

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

図 14SPD 選定のためのフローチャート

6.2.1

SPD

の U

c

U

T

I

n

I

imp

I

max

及び U

oc

の選定

6.2.1.1

SPD

の最大連続使用電圧 U

c

SPD

U

c

は,次の基準を満足する。

U

c

は,電力系統の最大連続使用電圧

U

cs

(=

k

×

U

0

)よりも高くなければならない(

附属書 参照,推奨

値は

附属書 参照)。

U

c

U

cs

注記

 IT

系統は,初期の故障状態を考慮して,

U

c

は十分に高くすることが望ましい。これは,

表 

規定する値に包含する。

実用上は,次の必要条件による(JIS C 60364-5-53 参照)

6.2.1  U

c

U

T

及び SPD の I

n

I

imp

I

max

及び U

oc

の選定

U

U

cs

(SPD の最大連続使用電圧)>

(電力系統の最大連続使用電圧) 
U

T

U

TOV (LV)

(SPD の一時的過電圧)>

(低圧系統の一時的過電圧)

6.2.2

防護距離

SPD の設置場所

6.2.4 SPD

とその他の装置との相互関係

I

c

は,人体への安全上

の 脅 威 又 は 他 の 装 置

の 障 害 を 引 き 起 こ し
てはならない。

6.2.3

推定寿命及び故障モード

許容可能か?

SPD は,漏電遮断器又
は 配 線 用 遮 断 器 の よ

う な 他 の 機 器 に 干 渉
してはならない。

正常状態

故障状態

SPD の過電流保護装置が,SPD の規定するサ
ージ定格電流で動作しないことを確認する

ために試験をする。SPD の上流の他の過電流

保護装置は,SPD のサージ定格電流で動作協
調しなくてもよい。

SPD と過電流保護装置との間の
サージ動作協調

6.2.5

電圧防護レベル U

p

の選定

次を考慮する。

−  被保護装置のサージ耐電圧又はイミュニティ

−  系統の公称電圧

6.2.6

選定した SPD とその他の SPD との

協調

2 個の SPD を同じ導体に接続している場合


34

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

表 4−各電力系統に対して推奨する SPD の最小 U

c

SPD 設置位置

給電系統

TT TN-C TN-S

IT(中性線付) IT(中性線なし)

各ラインと中性線との間 1.1×U

0

 NA 1.1×U

0

 1.1×U

0

 NA

各ラインと PE 導体との間 1.1×U

0

 NA 1.1×U

0

U

0

注記 参照)

線間電圧

注記 参照)

中性線と PE 導体との間

U

0

注記 参照)

NA

U

0

注記 参照)

U

0

注記 参照)

NA

各ラインと PEN との間 NA 1.1×U

0

 NA  NA  NA

注記 1 NA:適用しない 
注記 2  U

0

は,低圧系統のラインと中性線との間の電圧である。

注記 3  これらの値は,最悪の故障状態に関連しているため,U

0

の許容差の 10 %を考慮していない。

注記 4  拡張 IT 系統では,より高い値の U

c

が必要になる場合がある。

6.2.1.2

SPD

の一時的過電圧試験電圧値 U

T

図 15 で示すように,

U

T

の値は,低圧系統における故障によって設備に発生すると推定する一時的過電

圧[

U

TOV (LV)

]よりも高くなければならない。

U

T

U

TOV (LV)

注記 1

  5

秒間以上持続する

U

TOV (LV)

は,最大連続使用電圧(

U

c

)とみなしてもよい。例えば,

IT

統では,ラインと接地との間に接続している

SPD

U

c

は,非常に長い期間(数時間)発生

する地絡によるラインとラインとの間の最大の系統電圧(

U

0

× 3 )以上になる。

表 5−標準的な TOV の試験値

適用例 SPD の設置

一時的過電圧試験値 U

T

5 s

200 ms

TN 系統 L-N(PE),L-N 間 1.32×U

cs

N-PE 間

L-L 間

TT 系統 L-PE 間 1.55×U

cs

 1

200+U

cs

L-N 間 1.32×U

cs

N-PE 間

− 1

200

L-L 間

IT 系統 L-PE 間

− 1

200+U

cs

L-N 間 1.32×U

cs

N-PE 間

− 1

200

L-L 間

TN,TT 系統及び
IT 系統

L-PE 間 1.55×U

cs

 1

200+U

cs

L-N(PE)間 1.32×U

cs

N-PE 間

− 1

200

L-L 間

注記 2

表 は,JIS C 60364-5-53 に規定する要求条件を満足する。表 では,

U

cs

1.1

×

U

0

である。

注記 3

IEC

規格で規定する設置方法に準拠しない,異なる電力系統及び接地方式では,

表 の規定

値と異なる値を要求してもよい。

TOV

が非常に高い電圧の場合,装置が許容できるサージ防護が可能な

SPD

を見つけることが困難にな

ることがある。

TOV

の発生確率が十分に低い場合,

TOV

ストレスに耐えられない

SPD

を選定することが


35

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

できる。この場合は,適切な分離器を用いる。

a

低圧設備での事故(短絡回路)の場合,TT 系統,TN 系統及び IT 系統のラインと中性線との間の U

TOV (LV)

の領域

b

低圧設備での事故(地絡)の場合,IT 系統(TT 系統)のラインと接地との間の U

TOV (LV)

の領域及び低圧設備での

事故(中性線欠相)の場合,TT 系統及び TN 系統のラインと中性線との間 U

TOV (LV)

の領域

c

高圧系統で起きた事故の場合で,TT 系統及び IT 系統のラインと接地との間の需要家場所での U

TOV (LV)

の最大値

d

規定しない領域

注記  及び は,北米で用いる領域であるため,削除した。 

図中の“■”印(4 か所)は,SPD の U

T

の値を示している(

図 J.1 参照)。

図 15U

T

及び U

TOV

注記 4

図 15 に示すとおり,次の式を満足する特性を備えた

SPD

を選択することができる。

U

T

U

c

U

TOV (LV)max

ここに,

U

TOV (LV)max

U

TOV (LV)

の最大値

これは,特に

IT

系統の場合である。

要求する防護レベルを備えた

SPD

を選択する場合,予想できる

TOV

によって要求する性能(耐力又は

故障モード)を検討する。

発生頻度が十分に低い場合,要求する防護レベルを満足するために,

TOV

ストレスに耐えられないが,

JIS C 5381-11

に従い許容できる方法で,故障する

SPD

を選択することができる。

故障モードが許容できない場合,許容する保護レベルを備えた

SPD

の適用の前に,

TOV

を制限するた

めの追加措置を講じなければならない。

6.2.1.3

I

n

I

max

及び I

imp

I

n

は,防護レベル

U

p

と関連し,適切なエネルギー耐量の選定に,

I

max

及び

I

imp

が必要である。

SPD

のエネルギー耐量の選定(クラス試験による

I

imp

I

max

又は

U

oc

の選定)は,サージの発生頻度,被

保護機器の価値及び許容する故障率を比較したリスク解析(箇条 参照)に基づき,複数の

SPD

を使用し

た場合は,協調を完全にしなければならない。

注記 1

必要がある場合,5.5.2.1 及び 5.5.2.2 の推奨値よりも高い値を用いてもよい。

雷サージに対する防護で

SPD

を要求する場合,設備の引込口における公称放電電流

I

n

は,各要求防護モ

d

c

a

b

0

5 s

U

TOV

U

0

+1 200 V

U

0

+250 V

1.45×U

0

U

0

U

C

時間

200 ms


36

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

ードにおいて,

8/20

で,

5 kA

以上とする。

接続タイプ

2

図 11 参照)に従った設備の場合,中性線と

PE

との間に接続した

SPD

の設備の引込口に

おける公称放電電流

I

n

は,三相系統については,

8/20

で,

20 kA

以上とし,また,単相系統については,

8/20

で,

10 kA

以上とする。

直撃雷の可能性のある雷保護システムが

SPD

を必要とする場合,雷インパルス電流

I

imp

を評価する(

属書 参照)。そのような評価について,

SPD

の上流に据え付けられた構成部品(ヒューズ,配線の分岐部

など)は,系統全体の最大サージ能力を制限することがあるものとして,

SPD

への最大ストレスを考慮す

ることが望ましい。それが不可能な場合,

I

imp

の値は,要求する各々の防護モードに対して,

12.5 kA

以上

とする。

接続タイプ

2

に従った設備の場合,中性線と

PE

との間に接続した

SPD

のインパルス電流

I

imp

は,JIS Z 

9290-4

と同様に計算する必要がある。電流値が規定できない場合,

I

imp

の値は,三相系統については

50 kA

未満であってはならず,また,単相系統については,

25 kA

未満であってはならない。

注記 2

詳細な情報は,J

I

S Z 9290-4

附属書 JF を参照する。

雷サージに対する防護及び直撃雷に対する防護の両方に単一の

SPD

を用いる場合,

I

n

及び

I

imp

は上記の

値に一致する。

追加の

SPD

に対する

I

n

及び

I

max

の選定は,6.2.6 に規定する協調ルールに基づいて行う。

注記 3

一般に,

I

n

はクラス

II

試験を実施した

SPD

の特性を示すのに十分であり,

I

max

は特殊な場合

だけ用いる。

I

max

は,エネルギー耐量を示し,結果的には,特定の場所における寿命予測を

示す。

6.2.2

防護距離

SPD

の設置場所(引込口,機器の近傍など)を決定するために,防護距離(

SPD

SPD

が十分防護して

いる被保護機器との間で許容できる距離)を示さなければならない。

この距離は,

SPD

特性(

U

p

など)

,建物内の設備(リード線の長さなど)

,系統の特性(導体の種類,長

さなど)及び機器の特性(過電圧耐量,イミュニティなど)に依存する。詳細は,6.1.2 及び 6.1.3 を参照

する。

注記

保護ゾーンの設計者は,

機器に対する

SPD

の防護距離に注意することが望ましい

6.1.6 参照)

6.2.3

推定寿命及び故障モード

6.2.3.1

実際の寿命及び推定寿命

SPD

の推定寿命は,主に

SPD

の最大放電耐量を超えるサージの発生確率に依存する。

SPD

の実際の寿命

は,実際の発生頻度次第で,長くも短くもなる。

例えば,適切なリスク解析によって決められた最大放電電流

I

max

をもつ

SPD

を設置した数秒間後に,こ

I

max

値を超えた異常な雷電流が流れると,

SPD

は故障することがある。この場合の実際の寿命時間は,

非常に短くなる。この極端な例は,製造業者が指定した推定寿命は単に統計的な値であり,実際の寿命時

間を保証するものではないことを示している。

すなわち,ここで取り上げる寿命は,

SPD

の実際の寿命ではなく,推定寿命として考慮することが可能

なだけである。異常なサージ電流が発生した場合,たとえ設置した数秒間後であったとしても,このサー

ジ電流よりもはるかに低い

I

max

をもつ

SPD

は,破壊することになる。このような場合には,

I

max

がこの異

常なサージ電流の

1/10

,又は

1/2

ということは無関係である。ただし,規定する適用に対して高い

I

max

もつ

SPD

の期待寿命は,

SPD

が耐え得る範囲を超えない限りは,低い

I

max

をもつ同種の

SPD

に対して常

に長くなる。


37

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

要約すると,次のような

SPD

を選ばなければならない。

  U

TOV

,想定するサージ,その他の

SPD

との協調の必要性を考慮する。

 SPD

が故障した場合,火災又は感電の危険を生じない。

6.2.3.2

故障モード

故障モードは,サージ及び過電圧の種類に依存する。電源供給の障害又は中断を避けるために,

SPD

び電源側にある任意のバックアップ保護との協調をとらなければならない。

6.2.4

SPD

とその他の装置との相互関係

この細分箇条についての情報は,JIS C 60364 規格群を参照する。

6.2.4.1

正常状態

連続使用電流(

I

c

)は,人体への危険(間接接触など)及び他の機器(例えば,漏電遮断器)への妨害

を引き起こしてはならない。

注記 1

漏電遮断器の場合,

I

c

は定格感度電流値の

3

分の

1

I

Δn

/3

)未満であることが望ましい。各種

SPD

及びその他の装置の累積的な影響を考慮することが望ましい。

注記 2

 SPD

を漏電遮断器,ヒューズ,又は配線用遮断器などの装置の負荷側に置く場合は,これら

の装置をサージによる有害なトリップ,意図しない動作又は破損に対して,防護することが

できない。

6.2.4.2

故障状態

SPD

は漏電遮断器,ヒューズ又は配線用遮断器のような他の装置の動作を妨害しないように,必要な分

離器を取り付けてもよい。

SPD

に組み込む特定の(内部又は外部)過電流保護装置の短絡電流容量(

SPD

が故障の場合)は,

SPD

の製造業者が指定する最大過電流保護装置を考慮し,設置箇所での推定最大短絡電流以上とする。

さらに,続流遮断定格を製造業者が指定する場合,設置箇所での推定短絡電流以上とする。

動作後に,商用電源の続流の可能性がある

TT

系統又は

TN

系統における中性導体と

PE

との間に接続す

SPD

(例えば,スパークギャップ)は,続流遮断定格

I

fi

100 A

以上とする。

IT

系統では,中性導体と

PE

との間に接続する

SPD

の続流遮断定格は,ラインと中性線との間に接続す

SPD

と同じとする。

6.2.4.3

SPD

と漏電遮断器又は過電流保護装置(ヒューズ,配線用遮断器など)との間のサージ協調

回路網の中で用いる過電流保護装置及び漏電遮断器のサージの耐量は,それら自体の規格(IEC 61008-1

及び IEC 61009-1)に規定していない。ただし,

S

形漏電遮断器は,

8/20

3 kA

では動作しないで耐えな

ければならないと規定している。

過電流保護装置又は漏電遮断器と

SPD

との協調をとる場合,公称放電電流

I

n

でこの過電流保護装置又は

漏電遮断器が動作しないことが望ましい。ただし,過電流保護装置は,通常,

I

n

よりも大きい電流で動作

してもよい。

配線用遮断器のような復帰可能な過電流保護装置の場合,サージによって破損しないことが望ましい。

この場合,過電流保護装置が動作した場合でも,その応答時間によって,全てのサージが

SPD

に流れる。

したがって,

SPD

は十分なエネルギー耐量をもっていなければならない。この現象による漏電遮断器又は

過電流保護装置の動作は,設備の防護が継続するため,

SPD

の故障であると考えないことが望ましい。使

用者が電源の中断を認めない場合は,特別な構成又は過電流保護装置を用いることが望ましい。

注記 1

雷保護システム又は架空線のような高電流被雷の場合,

I

n

が設備に用いている過電流保護装

置の実際の耐電流よりも大きいときは,過電流保護装置は

I

n

以下で動作をしてもよい。この


38

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

場合,

SPD

の公称放電電流の選定は,サージ耐量だけに基づく。

注記 2

電圧スイッチング形

SPD

が放電を開始した場合,電源供給の質が低下する場合がある。一般

に電圧スイッチング形

SPD

が自己消弧しなければ,電源の続流によって過電流保護装置が動

作する。そのため

SPD

の電源側の電流保護装置との協調が必要になる。

注記 3

間接的接触に対する防護については,JIS C 60364-5-53 を適用する。

6.2.5

電圧防護レベル U

p

の選定

SPD

の電圧防護レベルの推奨値を選定する場合は,被保護機器のインパルス耐電圧(又は重要な機器の

インパルスイミュニティ)及び系統の公称電圧を考慮する。この値が低いほど,よりよい防護となるが,

U

c

及び

U

T

の考慮,

SPD

の劣化,並びにその他の

SPD

との協調によって,これは制限される。6.1.2 及び

6.1.3

も参照する。

電圧制限形

SPD

の電圧防護レベルは,クラス

I

試験の

I

n

及び

I

peak

,並びにクラス

II

試験の

I

n

の規定値に

関係する。クラス

III

試験の電圧防護レベルの選定は,コンビネーション波形試験(

U

oc

)によって規定す

る。

複合形

SPD

又は電圧スイッチング形

SPD

の電圧防護レベルは,放電開始電圧にも関係する。

6.2.6

選定した SPD とその他の SPD との協調

6.2.6.1

一般

被保護機器の電気的なストレスを許容値(低い電圧防護レベル)にまで減少させ,建物の内部の過渡電

流を減少させるために,

2

個以上の

SPD

を用いてもよい。

それぞれのエネルギー耐量に従い,

2

個の

SPD

間のストレスを,許容できる値に分担するための協調が

必要である。

例を

図 16 に示す。


39

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

Eq  通常動作での被保護機器 
O/c  開回路(電源から切り離す装置) 
i

侵入サージ

d SPD1 と SPD2 との間の距離 
Z  の等価インピーダンス又は物理的なインピーダンス

図 16個の SPD の代表的な使用−電気回路

2

個の

SPD

間のインピーダンス

Z

(一般に,インダクタンス)は,物理的な

Z

2

個の

SPD

間のエネル

ギー分担を容易にするために電源線に挿入した特定の部品)

,又は

2

個の

SPD

間にあるケーブル長のイン

ダクタンス(一般に,

1 μH/m

とみなす)としてもよい。

Z

が物理的なインピーダンスを表す場合,電源線

のインダクタンスは,

Z

に比較して小さいとき無視してもよい。両方の

Z

の場合を,

図 16 に示す。

注記 1

図 16 は,装置を切り離している最も厳しい場合を示す。電流の一部が,この装置を通って流

れないため,全体のストレスが

2

個の

SPD

に加わる。サージが

SPD

端子と負荷との間に発

生する場合,追加の検討を行うことが望ましい。

注記 2

この例では,接続リード線を無視している。実際には,接続リード線が

2

個の

SPD

間におけ

るストレスの分担に影響を及ぼすことがある。

注記 3

往復する導体が近接している所ではループは減少し,固有インダクタンスは,

1 μH/m

よりも

小さくなり,

0.5 μH/m

程度に低くなることがある。

注記 4

 1

μH/m

の値は,往復する導体のインダクタンスの影響を含めている。


40

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

6.2.6.2

協調

協調対策は,最初に次のように取り組む。

侵入サージ

i

は,

SPD1

及び

SPD2

にどのように分流するか。

  2

個の

SPD

は,各々の電流ストレスに耐えることができるか。

サージ印加中,

2

個の

SPD

間の距離が短い場合,インダクタンスの効果を無視するため,

SPD2

は過度

のストレスを受ける場合がある。

2

個の

SPD

間のインピーダンスを考慮し,

SPD

の許容可能なレベルまで

i

2

の値を減少させるような

SPD

を選定することによって,よい協調が達成できる。この処置は,

2

番目の

SPD

の残留電圧を要求する値ま

で減少させることにもなる。

この協調は,次のことを回避するために必要である。

 SPD2

の過剰設計

  i

2

が大きすぎる場合に発生する建物内の

EMC

問題。

ただし,電流についての協調を扱うだけでは十分でない。エネルギーについての協調も扱うことが必要

である。

2

個の

SPD

が良好に協調していることを確かめるためには,次のエネルギー条件を満足すること

が必要である。

ゼロ(

0

)から

I

max1

I

peak1

)の間の各サージ電流に対して,

SPD2

で消費した部分のエネルギーが最大エ

ネルギー耐量(

E

max2

)以下の場合にエネルギー協調が達成できる。詳細な情報は,

附属書 を参照する。

6.2.6.3

実際的手法

協調の検討は複雑な場合がある。全ての

SPD

を同じ製造業者が供給する場合,適切な協調のための最も

容易な方法は,選定した

SPD

間の距離又はインピーダンスに関する必要条件を,製造業者に確認すること

である。

その他の方法として,次の四つの方法から協調を図るための検討を行う。

結果に大きく影響を及ぼす可能性のある部品のばらつきを考慮して,長い波形及び短い波形の両方で,

ゼロ(

0

)から

E

max1

に相当するサージ電流まで印加する試験を数回行う(試験は検討中)

 SPD

特性の正確なデータを基に,実際の設備構成の特殊性を考慮してシミュレーションを実行する。

  2

個の

SPD

が電圧制限形の場合,その

U

i

曲線を比較して分析的な検討を行う。

ほとんどの場合に控えめな結果を出す,エネルギー通過法(

LTE

)というその他の方法を用いる。

これらに関する現象,分析的な検討及び

LTE

法に関する詳細は,

附属書 及び附属書 を参照する。

6.3

補助装置の特性

6.3.1

分離器

1

個の分離器で,三つの基本的な分離器機能(熱保護,短絡保護及び間接接触に対する防護)をもって

もよいし,又は

3

個までの分離器を用いてもよい。

これらは,

SPD

自身の内部に組み込むか又は取り付けてもよい。幾つかの機能は,系統のバックアップ

防護によって代用してもよく,

SPD

からある一定の距離に設置してもよい。分離器を

SPD

回路内又は電源

ラインのいずれかに入れるかは,その他の過電流保護装置との協調及び防護の継続と電源の継続の必要性

を比べたバランスに依存する(J.2 を参照)

例えば,一時的過電圧が非常に高い場合には,他の幾つかの分離器機能が必要になることがある。分離

器としては,ヒューズ,配線用遮断器,漏電遮断器又は専用のデバイスがある。

6.3.2

サージカウンタ

この種のデバイスは,通常,検知したサージの数,サージの大きさ及び波形についての情報を提供する。


41

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

サージカウンタは,サイトの厳しさを決定するため,又は交換指針を決定するために用いてもよい。ある

精巧な製品は,エネルギー量,発生日時,頻度などの統計データを提供する。

注記 1

使用者は,サージカウンタのしきい値レベルが低すぎる場合に,カウンタによって得た情報

が誤解を招くおそれがあることに留意することが望ましい。

注記 2

現在,サージカウンタに関する JIS 及び IEC 規格はない。

6.3.3

動作表示器

このデバイスは,分離器と連動して

SPD

が設計どおりに使用可能か又は使用不可能かを示す情報を使用

者に提供する。これは,

SPD

を交換するための警告を与えるために用いる。動作表示器には,その場で表

示するもの及び遠隔地で表示するものがある。これらは,電気的,視覚的又は聴覚的な警告を提供しても

よい。

7

リスク解析

次のように,

2

段階のリスク解析を行うことがある。

基本的な分析は,そこに

SPD

を用いる必要があるかどうかを決定するために行う。

その次は,引込口に設置又は機器に近接して設置する

SPD

のエネルギー耐量を決定することである

(もう一方の

SPD

がある場合,

SPD

間の協調に関する検討によってそのエネルギー耐量を決める。

附属書 参照)。

SPD

を用いるかどうかは,使用者が重みづけする広範囲のパラメータによって決定する。考慮すること

が望ましいパラメータを,

附属書 に示す。

SPD

の使用が決定した場合,その

SPD

について,規定のク

ラス及び位置を,被雷レベルによって決定することが望ましい。

雷サージのリスクアセスメントの方法は,IEC 62305-2 に規定する。場合によっては,IEC 62305-2 に基

づいた単純化した方法,例えば,JIS C 60364-4-44 に規定する方法を用いてもよい。具体的な適用例は,

附属書 の図 H.1∼図 H.4 を参照する。

注記

完全な建築物解析において,引き込みラインだけでなく建築物自体及びその内容物についても

特に考慮する必要がある場合,IEC 62305-2 を適用することが望ましい。


42

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

附属書 A

参考)

引合い並びに入札に必要な代表的な情報及び試験手順の説明

A.1

引合いに必要な情報

A.1.1

電源系統のデータ

電源系統に必要な情報は,次による。

  U

0

及び

U

cs

周波数

一時的過電圧

U

TOV

被保護機器の絶縁レベル(又は一番弱い装置のインパルスイミュニティ)

注記

使用者は,絶縁耐力が過電圧の立上りの傾き[しゅん(峻)度]

,及び継続時間によって変わ

ることに留意することが望ましい。例えば,

1.2/50

4 kV

に耐えるデバイスは,より長い波

形では

1 kV

にも耐えないことがある。

 SPD

の設置位置での短絡電流

配電系統の種類(

IT

TT

TN

など)

A.1.2

SPD

適用の検討

SPD

として,検討する事項は,次による。

a

)

接続  接続は,次による。

ラインと接地との間

中性線と接地との間

ラインと中性線との間

ラインとラインとの間

b

)

被保護装置の種類  被保護装置の種類は,次による。

変圧器

電気機械

電子機器を含むデバイス

その他の装置

ケーブル(種類及び長さ)など

c

)

被保護装置と SPD との間の最大導体長(防護距離)

注記

この距離は,できるだけ短くすることが望ましい。

d

) SPD

と全ての導体(ライン,中性線及び接地線)との間の両方の接続を考慮した

SPD

端子からの最大

導体長(リード線の長さ)

A.1.3

SPD

の特性

SPD

の特性は,次による。

最大連続使用電圧

U

c

電圧防護レベル

U

p

クラス

I

試験,クラス

II

試験又はクラス

III

試験

 SPD

が故障した場合の短絡電流耐量


43

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

 SPD

の設置環境(屋外,屋内など)

ポートの数

外郭の保護等級(

IP

コード)

公称放電電流

I

n

(クラス

I

試験及びクラス

II

試験)

最大連続負荷電流(要求がある場合)

  I

imp

I

max

又は

U

oc

(それぞれクラス

I

試験,クラス

II

試験又はクラス

III

試験)

 TOV

特性

故障モード

2

ポート

SPD

に関する追加事項は,次による。

定格負荷電流(要求がある場合)

I

L

電圧降下率

A.1.4

補助装置及び取付け

補助装置及び取付けは,次による。

取付けの種類

取付方法

要求がある場合は

SPD

分離器

接続リード線の断面積

A.1.5

任意の特別な異常条件

例えば,非常に頻繁な動作などがある。

A.2

入札に必要な情報

入札に必要な情報は,A.1.4 及び A.1.5 の全ての事項によるほか,次の技術的な事項を追加する。

 TOV

特性

残留電圧対電流

取付け,穴あけ図面,絶縁基台及びブラケットの可能性

 SPD

端子の種類及び許容導体寸法

寸法及び質量

A.3

JIS C 5381-11

の中で用いる試験手順の説明

A.3.1

クラス 試験及びクラス II 試験に従い試験する SPD の U

res

の決定

8/20

波形発生器を用いて,両極性で

I

n

0.1

倍,

0.2

倍,

0.5

倍及び

1.0

倍で残留電圧を測定する。最終

的に,予備試験中に高い残留電圧を示した極性で,

I

max

又は

I

peak

I

max

又は

I

peak

は,

I

n

よりも大きい。

)のイ

ンパルスを

1

回以上

SPD

に印加する。

1

回目のシーケンスは,一方の極性で行い,

2

回目のシーケンスは,

SPD

の劣化があるかどうかを調べ

るために,反対の極性で行う。

波形は,比較できるようにするため,クラス

I

試験又はクラス

II

試験でも,常に

8/20

を用いる。これは,

被保護機器のインパルス耐電圧に対する,その防護特性を比較し,

SPD

を選定するために用いる。クラス

I

試験の代表的な波形は,

I

peak

及び

Q

で規定する

I

imp

であるが,波形の電流上昇率は,

8/20

の波形と大きく

異ならない。したがって,

SPD

防護特性の比較のための共通の基準として,

8/20

の波形を用いることにし

た。


44

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

幾つかの発生し得るブラインドスポット(電流がより低い値の場合に高い残留電圧を発生する現象)を

見つけなければならないため,

I

n

0.1

倍から

I

n

までの間で幾つかの値を用いる。

I

n

での残留電圧が,最も

高い値にならないことがあるため,注意することが重要である(例えば,

SPD

がブラインドスポットをも

つ場合)

銘板に印刷した

U

p

の値は,絶縁協調及び

SPD

間の協調をとるのに十分ではない。製造業者は,技術的

な資料として,残留電圧曲線又は表を用意する。

多くの点で

I

max

又は

I

peak

までの残留電圧曲線を得るために,

I

n

及び

I

max

又は

I

peak

との間で十分な点で測定

1

回以上)を行う。

A.3.2

U

res

の評価用インパルス波形

1

ポート

SPD

の試験に用いる

8/20

の波形は,

5 %

の電流オーバーシュートを許容している。このオーバ

ーシュートは,

1

ポート

SPD

によって発生する

U

res

には影響しない。

2

ポート

SPD

の場合には,減結合のためのインダクタンスとして,一般に直列に小さなインピーダンス

をもっている。さらに,ローパスフィルタの効果を発揮するために,装置側に並列コンデンサを取り付け

ることがある。このような場合,オーバーシュートのあるインパルス波形は,オーバーシュートの大きさ

によって著しく

U

res

を変えることがある。これが,

2

ポート

SPD

の試験で許容しているオーバーシュート

を,

5 %

に制限している理由である。

A.3.3

U

res

の決定に対する減結合回路の影響

減結合回路を

2

ポート

SPD

と一緒に用いる場合,相互作用によって観測した

U

res

にひずみが生じ,誤解

を招くことがある。

ローパスフィルタの構造をもつ

2

ポート

SPD

は,印加したインパルス後のある時点でピークの

U

res

を発

生する。同様に,減結合回路が反応して,蓄積したエネルギーをインパルス後に元に戻す。合成波形及び

最大電圧は,減結合回路及び被試験デバイスの両方のパラメータに依存する。

U

res

の最大値を決定するために,試験インパルスは,交流電源電圧の波高値で,かつ,同極性で印加す

ることが望ましい。この場合,試験中の供試

SPD

内の全部品は,

U

max

になる。そのため,

U

res

値は,

U

max

及び印加インパルスによって増加した電圧の合計になる。この値は,整流ダイオードを経て,

U

max

と等し

い直流電圧を印加することによって決定することができる。試験インパルスは,ダイオード及び

2

ポート

SPD

間に印加する。

2

ポート

SPD

の回路構成によっては,内部操作装置又は電子診断装置のために追加の

交流電源を準備する必要がある。

注記

この試験は,絶縁変圧器を含む

SPD

には適さない。

A.3.4

SPD

の動作責務試験

試験手順は,前処理試験及び動作責務試験からなる。前処理試験は,

SPD

の特性がインパルスのストレ

スに対して許容内であることを保証するために実施する。動作責務試験は,使用条件の下で熱的安定性を

保証するために実施する。

クラス

I

試験及びクラス

II

試験に対し,試験の厳しさは,

I

imp

(又は

I

max

)の大きさ及び

I

n

I

imp

(又は

I

max

)との間の比に依存する。規定する

I

imp

(又は

I

max

)に対しこの比の値が大きくなれば,厳しさも大き

くなる。クラス

III

試験に対する厳しさは,直接

U

oc

に関係する。

前処理試験は,

SPD

の寿命期間中に想定する最低ストレスを模擬するため,公称放電電流の

8/20

インパ

ルスを

15

回印加する。

クラス

III

試験の前処理試験は,製造業者が指定する公称放電電流を

U

oc

に置き換え,コンビネーション

波形発生器を用いることを除いて,クラス

I

試験及びクラス

II

試験と同様である。前処理は

U

c

を印加して


45

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

行う。インパルスと

50 Hz/60 Hz

周波数電源との同期は,位相

0

°でインパルス印加を始め,その後位相を

30

°進めるごとにインパルスを印加する。その理由としては,スパークギャップのような

SPD

は,電源の

続流に対して,この投入角に特に敏感であるためである。クラス

III

試験に対し,電源の電流が発生器へ流

れ込むことを避けるために,発生器の構造及び印加する

U

c

によって適切な減結合回路を必要とする。

15

回のインパルスは,

5

回のインパルスを三つの群で印加する。供試品を冷却するために群の間隔は,十分

な時間(

30

分間)空ける。

この前処理の後に,ブラインドスポットを見つけるため,電流レベル

I

imp

(又は

I

max

)の

0.1

倍,

0.25

倍,

0.5

倍,

0.75

倍及び

1.0

倍で,追加インパルスを印加する。各インパルス間では熱を冷却させる。ブライン

ドスポットは,

SPD

I

imp

(又は

I

max

)では完全に問題ないのに対し,

SPD

の破損が発生する可能性のある

I

imp

(又は

I

max

)よりも低い電流値となる。代表的な例は,スパークギャップと並列に接続した酸化亜鉛バ

リスタとの組合せである。ギャップが放電しない場合,サージ全体がバリスタに加わる。このバリスタは,

ギャップと同じストレス負担に耐えることができずに,故障することがある。

クラス

III

試験のための動作責務試験は,

U

oc

の電圧をもつコンビネーション波形発生器を用いる。

A.3.5

TOV

故障試験

これは任意の試験であり,製造業者がこの試験に従うことを要求した場合だけ実施する。この試験は,

TOV

が高圧系統での事故によって発生した場合,

SPD

の故障モードに対する情報を得るために規定した。

この試験は,

TT

又は

IT

系統に用いるための

SPD

だけに適用し,ラインと中性線との間又はラインとライ

ンとの間にだけ接続する

SPD

には適用しない。

TOV

の条件を,

表 に規定する。

注記

この試験は,JIS C 5381-11 では任意なものではあるが,JIS C 60364-5-53 に規定する適用基準

では,この試験の実施を規定している。

SPD

は,立方体の木製の箱に収納する。試験器は,継続時間

200 ms

TOV

を印加できなければならな

い。この継続時間は,事故の復旧時間を模擬するために

200 ms

に制限した。試験機の短絡電流容量は,代

表的な配電状況を根拠に短絡電流を模擬するために

300 A

と設定した。試験後,

SPD

は,故障してもよい

が,波及事故の原因になってはならない。

A.3.6

タイプ 1(クラス 試験),タイプ 2(クラス II 試験)及びタイプ 3(クラス III 試験)SPD の試験

条件の相違点

クラス

I

試験は,部分的な侵入雷電流インパルスを模擬している。クラス

I

試験用の

SPD

は,一般に雷

保護システム(

LPS

)に流れる大きなサージ電流の発生する場所に用いることが望ましい。これらの

SPD

は,

LPS

と電源ラインとの間の等電位ボンディング用として用いる。クラス

I

試験用インパルス電流は,

クラス

II

試験又はクラス

III

試験用電流インパルスに比べ非常に長い継続時間となっている。

クラス

II

試験及びクラス

III

試験は,誘導雷サージ,遠方の直撃雷の伝導サージ及び開閉サージを模擬

したものである。クラス

II

試験及びクラス

III

試験で試験した

SPD

は,

LPS

に等電位ボンディングするた

めに設計したものではない。

クラス

I

試験及びクラス

II

試験に対しては規定した電流値が,

SPD

に流れる。

クラス

III

試験に対しては,

SPD

を流れる電流は,

SPD

の特性による。クラス

III

試験は,発生器の開回路

電圧

U

oc

で決定する。発生器の短絡電流(

I

sc

)は,

U

oc

及び発生器のインピーダンス

2

Ω

で決定する。発生

器のインピーダンスは,

設備のインピーダンスを模擬したものである。

クラス

III

試験の最大電流レベルは,

電源供給引込口における電圧絶縁破壊が,

設備に侵入するサージを制限することを示す研究の結果を基に,

10 kA

とする。これらの

SPD

は,一般に設備内に設置している。クラス

III

試験で

SPD

に流れる電流につ

いては,短絡回路とは異なる特性を

SPD

がもっているため,試験中は,短絡回路電流

I

sc

よりも小さくな

る。


46

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

A.3.7

過電流保護に関連する短絡電流容量試験(必要がある場合)

この試験は,

SPD

が故障した状態において,内部配線が火災,爆発又は感電の危険を起こさないで商用

電源の短絡電流を流すことができるかどうかの情報を提供する。

短絡電流容量の値は,製造業者が指定する。

この試験の目的は,

SPD

の内部接続の性能を確認することにある。これを実施するために,防護素子

MOV

GDT

,ギャップなど)は,原設計品と同様の条件を確保するために,同じような寸法の適切な代

替品(例えば,銅ブロック)に置き換える。並列に接続した防護素子をもつ

SPD

の場合,短絡電流試験は,

異なる並列電流経路の数と同じ回数実施する。それぞれ異なる電流経路は,上記のように防護素子を短絡

して試験する。この試験は,限定した数の素子が故障する可能性がある全ての故障条件を模擬するために

実施する。

電源の短絡電流は,

5

秒間以内に遮断する。

5

秒間は,

最長の事故切り分け時間の代表値として選定した。


47

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 B

参考)

U

c

と各系統に用いている公称電圧との間の関係及び

酸化亜鉛バリスタの U

p

と U

c

との間の関係の例

B.1

U

c

と系統の公称電圧との間の関係

U

c

と系統の公称電圧との間の関係は,

表 B.1 による。

表 B.1U

c

と系統の公称電圧との間の関係

単位  V

JIS C 60664-1

による系統の公称

電圧

JIS C 60364-5-53

に基づく U

C

の値の例

三相

4 線系統

中性線接地

三相 3 線

又は 4 線

系統非接地

TN 系統

a)

の場合で

ラインと PE 若しく
は PEN との間又は
TT 系統

a)

の場合で

ラ イ ン と 中 性 線 と
の 間 に 設 置 す る
SPD の U

c

の最小値

TT 系統

a)

の場合

で ラ イ ン と 接 地
と の 間 又 は 中 性

線 と 接 地 と の 間

に設 置す る SPD
の U

c

の最小値

IT 系統の場合で
ラ イ ン と 接 地 と
の 間 又 は 中 性 線

と 接 地 と の 間 に

設置する SPD の
U

c

の最小値

TT,TN 又は IT
系 統 の 場 合 で ラ
イ ン と ラ イ ン と

の 間 に 設 置 す る
SPD の U

c

の最小

TT 及び

TN 系統

IT 系統

電圧変動が 10 %に

等しい場所の場合

1.5×U

0

の値を

使用した場所 
の場合

3 ×U

0

の値を

使 用 し た 場 所 の
場合

電圧変動が 10 %

に 等 し い 場 所 の
場合

120/208

− 132  180 − 229

127/220

220 140  191 220 242

− 230 及び 240

− 240 264

− 260,277 及び

347

− 347 382

220/380 及び

230/400

380 及び 400 253

345

400

440

240/415 及び

260/440

415 286  390 415 484

277/480 440 及び 480 305

416

480

528

a)

  各条件では,より高い値が必要になることがある(例えば,TT 系統での中性線の欠相)。

B.2

酸化亜鉛バリスタの U

p

と U

c

との間の関係

U

p

/U

c

の比率は,

SPD

の特性に対する重要なパラメータである。この比率は,用いた部品に関連する。

酸化亜鉛バリスタの

U

p

/U

c

の比率は,印加電流

I

n

及び部品の大きさの関数で変化し,酸化亜鉛バリスタの

代表的な比率の値を,

表 B.2 に示す。


48

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

表 B.2−酸化亜鉛バリスタの U

p

と U

c

との間の関係

I

n

(8/20)

kA

寸法

mm

酸化亜鉛バリスタ

に対する U

p

/U

c

1 14

3.3

2.5 20

3.8

5 32

4.1

10 40

4.6

20 60

4.6

より低い比率及びより高い比率(

U

p

/U

c

)の製品は,いずれも,ほかの技術を利用しても実現できる。製

造業者は,それらの特別な比率を製品に適用してもよい。

注記

サージ耐量のようなその他のパラメータは,技術によっても変わる。


49

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 C 

参考)

低圧系統でのサージ電圧

この附属書は,この規格の使用を容易にするために,IEC/TR 62066 から低圧系統におけるサージ電圧の

重要な情報を要約し,記載したものである。

C.1

一般

サージ過電圧は,次の

3

種類の現象によって低圧系統に発生する。

電源系統への直撃雷又は近傍雷による誘導過電圧のような大気現象によるもの。

次のいずれかの場所での,負荷又はコンデンサの開閉動作のような,意図的な操作によるもの。

電力会社の送電系統又は配電系統内

最終需要家の低圧系統内

電力系統の事故及びその切離しのような計画外の事象,又は電力系統と信号・通信システム系統との

間の相互作用のような異なるシステム間の結合によるもの。

この規格の中で考慮するサージ電圧とは,使用電圧ピーク値の

2

倍を超え,マイクロ秒(

μs

)からミリ

秒(

ms

)オーダの時間領域のものである。

2

倍未満の過電圧は,ここでは考慮せず,電力設備の動作及び

故障モードに起因して発生するよりも長い時間の過電圧も考慮していない。一般に,このような低い振幅

で長時間のサージは,通常の低圧サージ防護デバイスでは抑制することができないため,この規格とは異

なる防護技術が必要となってくる。

C.2

雷過電圧

雷は,各種のメカニズムによって低圧系統(信号・通信システムと同様電力系統も)に影響を及ぼすこ

とが避けられない事象である。明らかな相互作用は,低圧系統への直撃雷であるが,その他の結合メカニ

ズムもまた低圧系統に過電圧を引き起こすことがある。ここでは,

3

種類の結合メカニズムによって,低

圧系統内で過電圧が発生する可能性があることについて記載する。

これらは,

過電圧に言及している一方,

過電圧に関連した電流又は最初の過電圧によって引き起こす電流への配慮が重要である。

3

種類のカテゴ

リは,次のとおりである。

a

)

高圧及び低圧配電変圧器の一次側,低圧配電系統上(地中及び架空)及び個々の構造物への引込線上

に過電圧が発生する電力系統への直撃雷

b

)

誘導結合又は大地電位上昇によって,低圧系統内に過電圧を引き起こす可能性のある対象物近傍への

落雷を,間接雷という。このような落雷に起因する過電圧及びサージ電流は,直撃雷に関連するもの

ほど厳しくないが,発生頻度はかなり多い。

c

)

雷保護システム又は最終需要家構造物の系統外導電性部分(構造用鋼,水道管,暖房及びエアコンの

配管,エレベータシャフトなどの非電気用部材)への直撃雷。このような落雷は,

2

種類の影響をも

たらす。すなわち,外部から侵入した雷電流からの誘導結合及び構造物から低圧系統への雷電流の侵

入によるものがあり,その結果,低圧系統導体と接地との間に必要な

SPD

の設置又はいわゆる設備の

等電位ボンディングが避けられない。落雷があると,最終需要家設備に現れる過電圧の厳しさは,雷

撃点と最終需要家の設備との間の距離,

配電系統の特性,

接地の実態及び接地の接続インピーダンス,


50

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

電流経路における

SPD

の存在,並びに配電系統から分岐する結合回路の特性に関連する。

C.2.1

高圧系統から低圧系統へ伝搬した雷サージ

雷によって高圧系統内に発生した過電圧は,次の二つの異なる方法によって低圧系統へ伝搬する。

高圧/低圧変圧器の巻線間の容量性及び誘導性結合。

接地の結合。

伝搬するサージの大きさは,次のような多くのパラメータによる。

低圧系統の接地システム(

TT

TN

及び

IT

低圧ライン及び低圧側の負荷の特性。

低圧過電圧防護デバイス。

高圧と低圧の接地との間の接続条件。

トランスの設計。

高圧系統への直撃雷の場合,サージアレスタ(高圧用避雷器)の動作又は絶縁破壊によって,サージ電

流は接地システムへ分流し,高圧系統と低圧系統との間の接地の抵抗結合によって,過電圧が低圧系統へ

伝搬する。接地インピーダンスの値次第では,この接地の抵抗結合による過電圧は,変圧器の容量結合に

よって通過するものよりも大きくなる。

TN

系統において,需要家設備で中性相も接地している場合には,

過電圧の発生は小さい。変圧器の低圧側で分離接地システムを用いることによって,この種の抵抗結合は

避けることができることに注意することが望ましい。高圧及び低圧変圧器の二次側への容量結合及び誘導

結合によって伝搬する過電圧の代表値は,高圧のラインと接地との間の電圧に対し,低圧側のラインと中

性線との間では

2 %

であり,また,ライン導体と接地との間では

8 %

である。これらの値は,負荷のある

低圧回路の代表値である。変圧器の低圧側が開放又は非常に負荷が軽い場合,この値は,低圧システムに

よっては非常に高くなる。高圧系統に誘起した雷サージは,直撃雷に比較してかなり小さいサージ電流(一

般に

1 kA

未満)となるため,実際には容量結合だけで伝搬し,過電圧は数

kV

を超えることはない。この

ような場合,低圧系統に直接誘起する過電圧(雷撃点からさほど遠くない地点)は,高圧側から伝搬する

ものに比べ一般に高い。低圧系統で

SPD

が動作又は絶縁破壊が発生した場合,電流は少なくなるため,結

果として,容量結合だけの伝搬であり抵抗結合による伝搬は無視できる。

C.2.2

低圧系統への直撃雷による過電圧

雷道の実質的なインピーダンスは高いため,雷電流は,実用的には理想的な電流源とみなすことができ

る。したがって,発生する過電圧は,雷電流とサージインピーダンスとによって決まる。

線路への落雷では,サージ電圧は初期の時点で線路の特性インピーダンス(サージインピーダンス)に

よって決まる。電流(

I

)は,初期的に

2

方向に分かれ,発生したサージ電圧(

U

)は,次の式によって求

めることができる。

2

I

Z

U

×

=

ここに,

U

サージ電圧

Z

線路のサージインピーダンス

I

サージ電流

サージ電流を

10 kA

,サージインピーダンスを

400

Ω

と仮定した場合,発生するサージ電圧は

2 000 kV

となる。したがって,低圧線路では,フラッシオーバは,通常全ての線路間で発生するが,ほとんどの場

合は接地間でも発生する。フラッシオーバ後,実効的なインピーダンスは,関係する接地抵抗によって低

減する。ただし,実効的なインピーダンスが,例えば,

10

Ω

というかなり低い値の場合でも,例えば,雷


51

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

電流

10 kA

を想定したとき,線路上の電圧は,

100 kV

になる。

架空線路及びケーブルの複合する系統では,架空線路と比較してケーブルのサージインピーダンスが低

いため,過電圧の値は,低減する。低減の値は,電流の継続時間及びシステムの接地に対する浮遊容量に

依存している。ただし,通常,この低減の値では,低圧系統での一般的な絶縁レベルの値を超えるような

過電圧を回避することができない。したがって,一般に,直撃雷は,このような系統で損傷を引き起こす

ことがある。

C.2.3

低圧配電系統内の誘導過電圧

雷放電中に電磁界が変化することで,落雷点からかなり離れた地点でも,サージは,全ての種類の架空

線路に発生する。その線路で推定する過電圧(

U

)は,近似的に次の式によって求めることができる。

I

d

h

k

U

×

×

×

= 30

ここに,

U

線路で推定する過電圧

k

雷道のリターンストロークの速度係数パラメータ

k

の変化は

小さい(

1.0

1.3

h

大地からの導体高さ

d

落雷地点からの距離

I

雷電流

中程度の雷電流が

30 kA

及び大地からの高さが

5 m

の線路において,距離が

1 km

以内での雷放電によ

る電圧は,

5 kV

を超える。同じ高さで雷電流が

100 kA

の場合で,かつ,距離が

10 km

の場合でも,推定

電圧が

1.8 kV

になる。

C.2.4

雷保護システム又は近傍への雷放電によって発生する過電圧

低圧配電系統を共有している一つの建築物に落雷があったとき,接地へ流れる雷電流はあらゆる経路に

分流する。この雷電流は,ローカル接地(建物の接地)並びに全ての金属性経路及び電源側のケーブルを

経由する遠方の接地にまで至る。侵入サージ電流は,雷保護システムの受雷部から引下げ導線を経由して

接地システムへ流れる。この場合,雷電流は少なくとも二方向に分かれ,一方は,建築物のローカル接地

へ流れ,他方は,電源ケーブルを経由して遠方の接地へ流れる(電流は,金属管及びその他の導電性部品

のような経路を流れることもある。

これらの電流は,

それぞれインピーダンスの逆比によって分流する。

インパルス電流の初期段階(波頭部)では,電流の分流はインダクタンスの比率によって決まる。波尾部

では,電流の変化率が小さいため,抵抗の比率によって決まる。数軒の建築物が電気的に接続している場

合,実効的な抵抗値が減少するため,より多くの建築物が連続して接続している場合,落雷を受けた建築

物から低圧系統に流れる雷電流が増加することになる。中性点の接地に関しては,国によって異なる方法

が取られており,その結果,雷電流を分流する経路に若干の差異が出てくることがある。システムの設計

者は,これらの差異を考慮することが望ましい。分流する経路への電流によって,主に導体とローカル接

地との間に,過電圧が発生する。これらの過電圧は,低圧設備の構成及び

SPD

の設置の有無によっては,

大きくもなり又は制限することもできる。結果的には,前述のとおり,引込口での中性点の接地の有益な

改善効果並びに抵抗結合,

誘導結合及び相互結合の効果を,

考慮することが重要であることを示している。

建築物及び構造物への直撃雷によって発生する接地電位の上昇は,一般に低圧装置の絶縁レベルを超え,

その結果,等電位ボンディング用

SPD

を設置していない場合,同一の低圧配電系統に接続している隣接の

建築物(設備)へ波及するフラッシオーバ及び過電圧が発生するため,注意することが望ましい。したが

って,

落雷を受けていない建築物であっても,

配電網に沿って伝搬する過電圧にさらされる可能性がある。

さらに,その地域での雷撃密度にも関連するが,高層建築物のある場合は,たとえ近隣の低い建築物への


52

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

落雷の確率が低い場合でも,伝搬する過電圧の確率が高くなる。導体とローカル接地との間の過電圧は,

接続している機器の絶縁にストレスを加えるが,JIS C 60664-1 で推奨する絶縁レベルをもっていれば,通

常は,その機器の絶縁は十分耐えられる。一方,電力機器の作動部品も,導体間に発生する過電圧のスト

レスを受けている。一見,過電圧が電力機器の作動部品に加わる状況が,最も脅威となることになる。た

だし,対接地間の過電圧は,電力機器の絶縁に対しそれほど大きな問題ではなく,結果として,機器に接

続している電力システムと通信システムとの間の電位差として伝搬することが問題となる。

C.3

開閉過電圧

これらのストレス(電流,電圧及び継続時間)は,雷のストレスに比較し一般に小さい。ただし,建築

物内の深部又は開閉過電圧源に近い場所などの場合には,開閉ストレスは,雷によるストレスよりも大き

くなることがある。適切な

SPD

の選定をするために,これらの開閉サージのエネルギーを知らなければな

らない。事故及びヒューズの動作による過渡現象を含む開閉サージの継続時間は,雷サージの継続時間よ

りもかなり長くなることがある。一般に,電気設備内での開閉動作,事故発生,遮断などは,過電圧を発

生するような過渡現象となる。システムが新しい定常状態に再び復旧するまでは,システムの急変によっ

て,高周波(回路の共振周波数によって決定)の減衰振動が発生することがある。開閉過電圧の大きさは,

多くのパラメータに依存する。例えば,回路の種類,開閉動作の種類(閉路,開路,再閉路など)

,負荷,

回路遮断器,ヒューズなどである。開閉動作中の振動周波数は,システムの特性によって決まり,時々共

振現象を発生することがある。このような場合,非常に高い過電圧が発生することがある。システムの電

源周波数に同期した共振の可能性は,一般に低い。ただし,システムの開閉部分の周波数特性が,システ

ム内の一つ以上の共振周波数に近い周波数の場合,過渡的な共振状態が発生することがある。

C.3.1

一般的記述

開閉サージの代表的な波形は,低圧設備の特性で決まる。これは多くの場合リング(振動)波形となる。

周波数は,一般に数百

kHz

程度である。電圧上昇率の最大値は,数

kV/μs

程度である。サージの継続時間

は,非常に広い時間範囲に分布する。ヒューズの動作による開閉過電圧を除外した場合,代表的な継続時

間(波尾長)は,

1 μs

50 μs

である。統計的な評価では,より長い継続時間(

100 μs

超過)のサージの大

きさ及び発生確率は低くなっている。

C.3.2

回路遮断器及び開閉器の動作

回路遮断器及び開閉器は,過負荷又は短絡時に遮断して電気機器を保護するために,又は開閉によって

機器の動作を制御するために,各設備において広く用いられている。開閉動作頻度は,適用する分野によ

って決まり,産業分野ではかなり高く,家庭環境では比較的低い。抵抗負荷の場合の開閉電流は,機器の

定格電流の範囲内にある。ただし,スイッチング電源付きの機器の場合,開閉電流は定格電流よりも非常

に大きなものとなる。例えば,

100 W

のテレビセットの場合,定格電流は

0.4 A

(交流

230 V

)であるが,

突入電流は約

20 A

で,その

50

倍となる。手動又は電気操作によって開放する機械的開閉装置は,各開閉

過程で電気的アークを発生する。開閉環境内のインダクタンス及びキャパシタンスの相互作用で,電圧の

急変によって高周波振動が発生する。この振動は,ライン導体間及びライン導体と接地との間の電圧に重

畳し,合計の電圧が電気機器の露出導電性部品及びその他の回路の絶縁にストレスを与える。公共電源網

を経由して需要家の設備内へ伝搬する過渡過電圧に比べ,需要家設備内の回路遮断器及び開閉器によって

発生する開閉過渡電圧は,比較的大きく,大きな減衰なしに電気機器に影響を及ぼす。

C.3.2.1

需要家構内での回路遮断器及び開閉器の動作

一般に,開閉器の閉路時よりも開路時に,大きな振幅の過電圧が発生する。開路中の負荷側の開閉サー


53

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

ジは,ライン側に比べてより大きな振幅及びエネルギーをもっている。ただし,これは,主にこの種の機

器の設計,特にその絶縁に対して考慮しなければならない問題である。その他の機器を並列に接続してい

る場合,同じストレスを受ける。ライン側への過電圧は,全体的なシステム及びそれに接続している機器

にとって,負荷側よりも重要性が高い。

C.3.2.2

配電系統内での回路遮断器及び開閉器の動作(低圧及び高圧)

電気機器へストレスを与える過渡過電圧は,全ての配電系統で観測することができる。地中配電系統で

は,ほぼ全ての過渡現象は配電系統の電気開閉装置によって発生する。高圧及び低圧設備では,電源に並

列に接続した変圧器,インピーダンスコイル,接触器コイル,リレーコイルなどのインダクタンスの開閉

は,数

kV

になる大きさの開閉サージを発生する。導体ループ及び直列インピーダンスコイルのような直

列インダクタンス又は供給システム自身を開路したときでも,電線の自己インダクタンスのため,同じ現

象が発生する。供給側では,開閉過電圧は,ゲート制御の動作,整流子形電動機のブラシ発弧,電気機械

又は変圧器の急激な負荷低下,

力率調整用に用いるコンデンサユニットの開閉動作などの原因で発生する。

このような過電圧の周波数及びエネルギーは,まれに,低圧設備への影響と同様に大気現象で発生するも

のよりもかなり大きいこともある。低圧電源回路での開閉過渡過電圧は,低圧電源回路網が運用中の場合

に,ある条件下で最大電圧を制限した場合と想定できるが,数

kV

の大きさになることがある。防護デバ

イスを設置して過電圧を制御している供給システムの場合には,低圧需要家設備内では一般に最大値

6 kV

を超えることはないと予想する。開閉過電圧に匹敵するその他の現象は,高圧回路での短絡事故及び地絡

事故で発生する。地絡事故は,健全なライン導体のラインと接地との間に,ライン間の電圧範囲の過電圧

を引き起こす。さらに,このような場合,過渡過電圧が発生する。このような過渡過電圧は,高圧回路か

ら低圧電源回路へ伝搬する。

C.3.3

ヒューズ動作(限流ヒューズ)

ヒューズは,過電流保護及び短絡回路の切り離しのために,配電システム及び電気設備に広く用いられ

ている。例えば,配電システムで短絡回路を開放するためにヒューズが動作した場合,この動作で,ほぼ

三角波形で比較的低い周波数の過電圧が発生する。過電圧は,システムのライン導体間及び中性線の接地

によってライン導体と

PE

導体との間に,

IT

系統では,接地キャパシタンスによってラインと

PE

導体と

の間に発生する。このように,この過電圧は,露出導電性部品とその他の回路との間の絶縁にもストレス

を与える。もちろん,動作電流の開閉による過電圧に比較して発生頻度は少ない。この過電圧もまたブス

バーを経由して,同一配電系統から供給しているその他の使用中の機器へ伝搬する。開閉動作による他の

サージと比較して,ヒューズの動作によるサージの発生は非常に少ない。ただし,短絡回路の遮断の場合,

非常に厳しい過電圧サージが発生する。これは主に,短絡回路電流の上昇率,ヒューズの特性,その電流

容量及び回路のインダクタンスの影響を受ける。ヒューズの動作によって発生する過電圧は,同一ブスバ

ーに接続している全ての使用機器に影響を及ぼすため,ブスバーに近いところに設置したヒューズによっ

て,配電システムの給電線の短絡回路を開放することが重要である。統計的な経験に基づいた場合,公共

低圧電源網では,このような短絡事故は非常にまれである。ただし,短絡事故がそれほどまれでない場所

での産業用配電システムを考慮した場合,この種の短絡事故は,ある程度この過電圧に関連する。


54

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

附属書 D 

参考)

雷電流の分流計算

LPS

を備えた構造物への落雷を

図 D.1 に示す。雷電流

I

L

は,構造物の避雷針から接地システムへと流れ

る。これは,接地電位上昇を引き起こし,結果としてフラッシュオーバ及び/又は設置している

SPD

が動

作し,雷電流

I

L

の一部分が電源系統の

4

線に分流する。

R

N

R

E,G

R

E,1

R

E,2

R

E,n

R

N

R

E,G

R

E,1

R

E,2

R

E,n

      
    I 

R

E,G

R

E,E

    I

L

=

+

=

n

i

i

R

R

R

1

E,

N

E

E,

1

1

1

G

E,

E

E,

L

M

1

R

R

I

I

+

=

R

N

:中性線接地の抵抗値

R

E, G

  :被雷建物接地の抵抗値

R

E, i

  :建物の No. 接地の抵抗値

R

E, E

  :被雷建物接地の抵抗値を除く全ての接地の合成抵抗値

I

L

:建物への雷撃電流

I

M

:電源系統に流れる雷電流

注記  この計算では,近隣の建物の接地系統の抵抗値 R

E, E

は,被雷建物の接地系統の抵抗値

R

E, G

以下が望ましい。

図 D.1−配電系統へ分流する雷電流の合計についての簡易計算

分流した電流

I

M

は,システム及び設備に過電圧を発生し,絶縁及び接続した装置へストレスとなる。し

たがって,被雷した構造物だけでなく,隣接した構造物及び設備も危険にさらされる。簡素化したネット

ワーク[

図 D.1 の b

)

及び c

)

]で配電系統に分流した雷電流

I

M

を簡易計算してもよい。

a) 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
b) 
 
 
 
 
 
 
 
c) 


55

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

注記

この計算はエネルギー分配だけに有効である(雷電流波形の波尾長)

サージ状況下で

SPD

が受けるストレスは,次に示す多くの複雑で相関的なパラメータの関数である。

建築物内部の

SPD

の位置:  主配電盤,設備内の分電盤又は需要家の装置の手前の位置にあるか。

 SPD

の上位に設置する部品構成:  システム全体のサージ通電能力,すなわち,

SPD

が被る最大スト

レスを制限する場合がある。例えば,ヒューズ,配線の断面積など。

設備への雷撃の結合方法:  例えば,建築物の

LPS

への直撃雷又は近傍への落雷による構造物の配線

への誘導があるか。

建築物内の雷電流の分流:  例えば,接地システムに流れる雷電流と,配電システム及び等電位ボン

ディング用

SPD

を経由して遠方の接地極に流れる雷電流との割合

配電システムの種類:  中性線を接地することは,

配電システムの雷電流の分流に強く影響を及ぼす。

例えば,複数接地した中性線のある

TN-C

システムでは,

TT

システムよりも,より直接的,かつ,よ

り低いインピーダンスをもつ大地への経路の方に,雷電流が流れる。

設備に接続している追加の配管:  これらは,直撃雷電流の一部を分流するため,等電位ボンディン

グ用

SPD

を経由して配電システムに流れる雷電流が減少する。このようなサービスは,非導通部品に

置き換える可能性があり,恒久的ではないことを注意することが望ましい。

考慮する波形の種類:

SPD

がサージ状況下で導通するピーク電流値を単に考慮するだけではなく,

そのサージの波形も考慮する。

設備内での

SPD

の異なる設置場所での実績に対する電気的環境及び脅威レベルの定量化の多くの試み

を行ってきた。JIS Z 9290-4 は,雷保護レベル(

LPL

)に基づき

SPD

が被る可能性がある最も高いサージ

の大きさを規定している。例えば,JIS Z 9290-4,雷保護レベル

I

では,建築物の

LPS

への直撃雷の大き

さを

10/350

200 kA

と仮定している。このレベルは,ありえるが,統計的な発生確率は,

1 %

にすぎない。

いい換えれば,

99 %

の直撃雷は,仮定したピーク電流

200 kA

以下である。さらに,この電流の

50 %

が,

構造物の接地システムに流れると仮定する場合,残りの

50 %

は,配電システムの

3

線及び中性線に接続し

た等電位ボンディング用

SPD

を経由して流れる。それは,追加の配管が存在しないことを想定している。

これは,初期の

200 kA

の雷撃電流の一部が,各

SPD

25 kA

ずつ分流することを意味する。電流の分流

の簡易想定は,

SPD

が受ける可能性のある脅威レベルを検討する場合に役立つが,想定をした状況を維持

することが重要である。上記例の

200 kA

の雷電流で検討する。等電位ボンディング用

SPD

の脅威レベル

は,

99 %

の割合で

25 kA

未満になることを意味する。さらに,

SPD

を通った電流成分の波形を初期の放電

の波形と同じと仮定しているが,実際の波形は構造物内部の配線などのインピーダンスによって変形する

場合がある。多くの規格は,むしろ

SPD

が動作中に受ける脅威レベルの検討が,長期間収集した現場経験

に基づいていることを求めてきた。例えば,IEEE の環境ガイド C62.41.1 及び推奨規格 C62.41.2 は,

SPD

の設置場所によるそれぞれ異なる被雷レベルを示している。上記から,

SPD

の適切な

I

max

又は

I

imp

の選択

は,多くの複雑で相関したパラメータに依存することが分かる。需要家は,構造物及びその配電システム

に侵入する電流がどのように分流するのかを検討するだけでなく,この放電の大きさ及び波形に関して統

計的確率を考慮する必要がある。電力,電話及びデータラインを経由して侵入するサージによって,構造

物内部の電子システムへ損傷を与える確率は,構造物への直撃雷よりもかなり大きいということを認識す

ることが重要である。多くの構造物は,雷保護システムを設置せず,また,必要としなくともよい。また,

電流耐量の大きなクラス

I SPD

は,低保護レベルで正しく設計したクラス

II SPD

システムほど,必要とし

ないことがある。上記のような複雑な事象に対応する場合に,

SPD

の選択で最も重要な様相は,

SPD

が流

すことができるエネルギー耐量(

I

imp

I

max

及び

U

OC

)ではなく,予期するサージ印加中の

SPD

の電圧制限


56

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

性能である。低い制限電圧の

SPD

は,装置の適切な保護を保証するが,高エネルギー耐量の

SPD

は,動

作寿命を単に長くする場合があるだけである。


57

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 E

参考)

高圧配電系統と接地との間の事故による低圧 TOV

E.1

一般

高圧及び低圧変圧器の高圧側での故障の場合では(例えば,変圧器の内部故障又はスパークギャップの

放電。注記参照)

,この附属書に記述する電流

I

m

は,変圧器の接地抵抗

R

を通って流れる。この接地抵抗

と低圧ネットワークとの間の接続によって,高圧の

U

TOV (HV)

が,高圧ネットワークの事故の回復時間(約

10 ms

から数時間まで)中に,低圧ネットワークにストレスを与える場合がある。

注記

変圧器の低圧側の一時的過電圧は,次の現象の結果である。

高圧の絶縁被覆のない導電部分の過度な電位上昇の結果として発生する,高圧と低圧との

間の絶縁破壊

高圧及び低圧変圧器の内部事故又は低圧線路上に高圧配電導体が落下することによる高圧

と低圧との間の直接の接触

低圧中性線上の過電圧及びその結果による低圧導体上の過電圧,並びに需要家の接地接続

又は通信系統近辺の過電圧による接地を通した結合

この潜在的な一時的過電圧条件の詳細は,JIS C 60364-4-44 を参照する。そのような場合では,ライン

導体と接地との間に接続している

SPD

は,過度なストレスを受け,このストレスに耐えられないことがあ

る。次の

TT

系統の例は,これを明確にしている。これは,更に

TN

又は

IT

系統でも発生することがある

(その他の次の例を参照)

E.2

TT

系統の例−可能性のある一時的過電圧の計算

E.2.1

高圧系統での地絡による低圧設備内の機器に起こり得るストレス

インピーダンスの定義は,次による。

  Z

EHV

高圧系統の接地装置のインピーダンス(高圧系統のスター点の処理による。

  Z

ELV

低圧系統の接地装置のインピーダンス(

Z

ELVA

及び

Z

ELVB

の合成値)

  Z

LV

Z

N

線路インピーダンス及び中性導体のインピーダンス

高圧系統の地絡は,低圧側で変圧器のスター点を接地している場合(

図 E.1 参照),低圧系統の電圧に影

響を及ぼす。また両方の変圧器のスター点で共通接地導体が存在しない所では,地絡(変圧器の内部事故,

又は変圧器ブッシングのスパークギャップの絶縁破壊)

は,

低圧系統のスター点の電圧上昇を引き起こす。

インピーダンス

Z

ELVA

に流れる高圧系統の接地電流が,変圧器のスター点での電圧が上昇する理由であ

る。したがって,

Z

ELVA

の値及び接地電流の値は,低圧系統内の商用周波の一時的過電圧値を決定する。


58

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

Z

HV

Z

EHV

Z

ELVA

Z

ELVB

低圧

高圧

P

S

Z

LV

L1

L2

L3

N

PE

Z

N

S

P

D

S

P

D

S

P

D

S

P

D

T

P:高圧系統 
S:低圧系統 
T:変圧器

図 E.1−高圧系統での地絡が原因による一時的な商用周波の過電圧

E.2.2

高圧系統の特性

E.2.2.1

接地電流を制限した高圧系統

消弧リアクトルで高圧系統を接地する場合,接地電流は,アークの自己消弧を保証するために,

I

earth

50 A

60 A

に制限している。したがって,高圧系統の残留接地インピーダンス

Z

EHV

は,

100

Ω

500

Ω

の範

囲にあり,接地電流の値は単に

Z

EHV

で決まる。短絡回路電力インピーダンス並びに接地インピーダンス

Z

ELVA

及び

Z

ELVB

には影響を受けない。

E.2.2.2

中性線を低抵抗で接地した高圧系統

完全な地中系統の場合,接地電流(ケーブル内の絶縁破損事故による。

)を制限しても,接地電流を自己

消弧することは困難である。このために,普及が進む高圧系統は,中性線低抵抗接地方式で運用している。

一般に,接地インピーダンス

Z

EHV

は地絡電流

I

earth

を約

2 kA

に制限することが望ましい。

定格電圧

U

n

20 kV

の高圧系統では,接地インピーダンス

Z

EHV

は約

5

Ω

となる。小さな電気所の変圧器

は,あまり高価な過電流保護を行ってはいない。したがって,短絡電流を遮断するためにヒューズを用い

る。遮断時間は,ヒューズの定格電流値に依存しており,約

100 ms

である。

E.2.3

高圧系統の事故による低圧系統内の TOV

E.2.3.1

接地電流を制限した高圧系統

接地電流を制限した高圧系統から供給している低圧系統内で,変圧器の接地インピーダンス

Z

ELVA

は,

2.5

Ω

5

Ω

の範囲であることが望ましい。

接地電流

I

earth

50 A

のとき,

中性線と大地との間の電圧

U

TOV (HV)

は,

125 V

250 V

の範囲に上昇する。

TT

系統では,過電圧防護素子を設置している場合,この

TOV

は過

電圧防護素子及び絶縁部に加わる。中性線と大地との間に設置した過電圧防護素子を経由する

U

TOV (HV)

よって流れる最大電流は,確実に

50 A

よりも小さくなる。したがって,中性線と大地との間のスパークギ

ャップは,小さな交流電流を遮断することが望ましい。


59

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

注記

幾つかの国では,接地抵抗

Z

ELVA

10  Ω

以上の場合があり,

U

TOV (HV)

の値が

500 V

以上となる

場合がある。

E.2.3.2

中性線低抵抗接地の高圧系統

代表的な

20 kV

系統のパラメータを,

Z

EHV

5

Ω

P

short circuit

100 MVA

U

n

20 kV

と仮定し,また,特

徴的な低圧系統のパラメータを,

Z

ELVA

1

Ω

U

n

230 V

Z

ELVB

5

Ω

Z

LV

Z

N

150 m

Ω

と仮定した場合,

Z

ELVA

での

U

TOV (HV)

として,約

1 200 V

TOV

が発生する。

中性線と大地との間に設置した過電圧防護素子を流れる最大電流は,

Z

ELVB

Z

N

との合成値,及び

Z

ELVA

との比率に依存する。この例の場合では,電流は約

200 A

となる。

E.2.4

結論

高圧配電系統と接地との間の事故による低圧

TOV

の結論は,次による。

接地電流を制限した高圧系統では,低圧系統内に約

250 V

の商用周波の一時的過電圧

U

TOV (HV)

が,不

定時に発生する。

中性線と大地との間に設置した過電圧素子を経由して

U

TOV (HV)

によって流れる最大電流は

50 A

であ

る。

中性線低抵抗接地の高圧系統は,低圧系統内に約

1 200 V

までの一時的過電圧

U

TOV

HV

が発生する。

中性線と大地との間に設置した過電圧防護素子を経由した

U

TOV (HV)

によって流れる電流は,変電所の

外側にある変圧器の低圧系統の中性線接地インピーダンスと,変電所の変圧器内接地インピーダンス

との比率に依存する。この電流は,数

100 A

の範囲である。

E.3

JIS C 60364-4-44

による一時的過電圧の値

特定の用途での一時的過電圧に関するシステムのパラメータは,機器の防護及び

SPD

の潜在的な故障の

関係を最もバランスよく評価するために,需要家は,知っておく必要がある。JIS C 5381-11 は,この点を

規定して,

SPD

が故障した場合に危険な状態に陥らないことを確認するために,オプションの一時的過電

圧試験を,

SPD

に実施することを提案している。

U

TOV (HV)

の値は,事故電流

I

m

及び変圧器の接地抵抗

R

に依存する。多地点接地システムの場合,抵抗は,

事故点から見たときの接地網の抵抗である。JIS C 60364-4-44 に規定する最大値は,次のとおりである。

遮断時間

5

秒以上では,

(U

0

250) V

(実効値)

この場合は,長い遮断時間をもつ高圧系統(例えば,

消弧リアクトル付高圧系統)に関係する。

注記

幾つかの国では,値が

U

0

500 V

以上で持続時間が,

5

秒間よりもはるかに長い場合がある。

遮断時間

5

秒間までは,

(U

0

1 200) V

(実効値)

この場合は,短い遮断時間をもつ高圧系統(例えば,

直接接地高圧系統)に関係する。

JIS C 60364-4-44

を参考に,図中で用いる記号を次のように定義する。

I

m

変電所の露出導電性部分の接地極を通して流れる高圧系統の地絡電流の部分

R

変電所の露出導電性部分の接地極の接地抵抗

U

0

低圧系統の相電圧

U

f

低圧系統の露出導電性部分と大地との間の故障電圧

U

1

変電所の低圧機器のストレス電圧

U

2

負荷設備の低圧機器のストレス電圧

図 E.2∼図 E.10 は,JIS C 60364-4-44 の 442.2 を参考にして,高圧系統の地絡故障の場合の各場所に発生


60

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

する過電圧の計算例を,各系統の図中に示している。

図 E.11 及び E.3 の計算は,JIS C 60364-4-44 に基づく。この図は,米国で用いている代表的な状態を図

解している。

変電所

低圧設備

a)

  TN-a 

b)

  TN-b 

図 E.2TN 系統

低圧

U

1

U

2

高圧

L1

L2
L3
PEN

U

1

U

0

U

2

U

1

U

0

U

f

R×I

m

I

m

U

f

低圧

高圧

U

1

U

2

L1
L2
L3
PEN

I

m

U

f

R

B

U

1

R×I

m

U

0

U

2

U

0

U

f

=0


61

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

変電所

低圧設備

a)

  TT-a 

b)

  TT-b 

図 E.3TT 系統

低圧

高圧

U

1

U

2

L1
L2
L3
N

U

1

U

0

U

2

R×I

m

U

0

U

f

=0

I

m

U

f

R

A

低圧

高圧

L1
L2
L3
N

U

1

R×I

m

U

0

U

2

U

0

U

f

=0

U

1

U

2

I

m

U

f

R

B

R

A


62

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

a)

  低圧系統に故障がない場合 

b)

  低圧系統に単一故障がある場合 

図 E.4IT 系統,例 a

低圧

高圧

U

1

U

2

U

1

U

0

U

2

U

1

U

0

U

f

R×I

m

I

m

U

f

Z

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

Z

U

1

U

0

3

U

2

U

1

U

0

3

U

f

R×I

m


63

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

a)

  低圧系統に故障がない場合 

b)

  低圧系統に単一故障がある場合 

図 E.5IT 系統,例 b

低圧

高圧

U

1

U

2

U

1

U

0

U

2

R×I

m

U

0

U

f

=0

I

m

U

f

Z

R

A

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

Z

I

d

R

A

U

1

U

0

3

U

2

R×I

m

U

0

3

U

f

R

A

×I

d

U

L


64

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

a)

  低圧系統に故障がない場合 

b)

  低圧系統に単一故障がある場合 

図 E.6IT 系統,例 c1

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

Z

I

d

R

A

U

1

R×I

m

U

0

3

U

2

U

0

3

U

f

R

A

×I

d

U

L

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

Z

R

A

U

1

R×I

m

U

0

U

2

U

0

U

f

=0


65

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

a)

  低圧系統に故障がない場合 

b)

  低圧系統に単一故障がある場合 

図 E.7IT 系統,例 c2

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

I

d

R

A

U

1

R×I

m

U

0

3

U

2

U

0

3

U

f

R

A

×I

d

U

L

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

R

A

U

1

R×I

m

U

0

U

2

U

0

U

f

=0


66

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

a)

  低圧系統に故障がない場合 

b)

  低圧系統に単一故障がある場合 

図 E.8IT 系統,例 d

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

Z

U

1

R×I

m

U

0

3

U

2

U

0

3

U

f

=0

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

Z

U

1

R×I

m

U

0

U

2

U

0

U

f

=0


67

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

a)

  低圧系統に故障がない場合 

b)

  低圧系統に単一故障がある場合 

図 E.9IT 系統,例 e1

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

U

1

R×I

m

U

0

3

U

2

U

1

R×I

m

U

0

3

U

f

R×I

m

U

2

低圧

高圧

U

1

I

m

U

f

Z

U

1

R×I

m

U

0

U

2

U

1

R×I

m

U

0

U

f

R×I

m


68

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

a)

  低圧系統に故障がない場合 

b)

  低圧系統内に単一故障がある場合 

図 E.10IT 系統,例 e2

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

U

1

R×I

m

U

0

3

U

2

U

1

R×I

m

U

0

3

U

f

R×I

m

低圧

高圧

U

1

U

2

I

m

U

f

U

1

R×I

m

U

0

U

2

U

1

R×I

m

U

0

U

f

R×I

m


69

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

E.4

米国の TN-C-S 系統での一時的過電圧の値

P

:高圧

S

:低圧

T

:変圧器

M

:メータ

C

:コイル

G

:スパークギャップ

L

:負荷

R,R

B

 :接地抵抗

図 E.11−米国の TN-C-S 系統

次の考察は,

図 E.11 を基にしている。配電変圧器高圧側の故障による電流分布を示す。

この例において,変圧器側及び入力側の接地抵抗は,

15

Ω

と仮定する。

U

1

(変電所の低圧機器のストレス電圧)は,

U

0

(二次側の給電の最大動作電圧)と等しい。

Z

L

は,変圧器と給電パネルとの間の回線コンダクタのインピーダンスである。

メータ内のギャップのインパルス放電開始電圧は,

1 500 V

2 500 V

である。

この代表例として,北米の

23 kV/13.2 kV

Y

結線で,最大故障電流(

I

m

10 kA

Y

結線配電回路を扱

う。インピーダンス(

Z

L

0.041

Ω

は,

3 kVA

25 kVA

単相架空配電変圧器の三相装置で用いる三重の二次

側コンダクタの代表値である。距離

60 m

4/0 AWG

IEC 60999-1 に規定する

25 mm

2

相当)銅線を計算

に使用した。故障電流分流の想定値は,多地点接地をもつ配線回路上の故障を想定した場合のフィールド

測定及び計算に基づいている。

上記の条件設定による代表例では,変電所の低圧機器のストレス電圧

U

1

及び負荷設備の低圧機器のスト

レス電圧

U

2

は,次のように求めることができる。


70

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

U

0

132 V

U

1

U

0

132 V

U

2

U

0

0.2

×

I

m

×

Z

L

132

0.2

×

10 000

×

0.04

214 V

この値は,公称システム電圧の

1.78

倍の過電圧を示すが,

R

R

B

と仮定した場合,記載した同様な小規

模の故障では,

U

2

294 V

,すなわち,公称システム電圧の

2.45

倍の電圧になる。この

TOV

は,ヒューズ

若しくは電源側の遮断器,又は投入器の動作で取り除くまで続く。これらの装置の動作は,故障分離装置

の特性に依存し,

0.016

秒間∼

1.5

秒間の範囲で変動する。配線導体の長さが短いほど,また故障電流が小

さいほど厳しい状態が減少する。

この例は,一次側の故障が公称システム電圧の

2.45

倍程度の

TOV

になる可能性を示しているが,これ

は非常にまれな場合である。実際の故障電流が配電回路で

10 kA

になることは,非常にまれである。配電

回路上の故障電流の大部分は,

4 kA

未満であるため,

TOV

が極端に小さくなる。二次側の配線が長くな

るのは異常な状態である。配線の長さが短くなるほど,過電圧は低くなる。一般に,二次側は,

30 m

を超

えない。したがって,故障電流が

4 kA

で,二次側が

30 m

未満である場合,

TOV

は,公称システム電圧の

1.24

倍,すなわち,

148.4 V

になる。


71

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 F

参考)

協調規則及び基準

F.1

一般

6.2.6

に規定するように,

SPD

間の協調は,エネルギー基準を満足することで達成する。これは,

2

段目

SPD

の最大エネルギー耐量

E

max

に基づく。ただし,JIS C 5381-11 に規定するように,このエネルギーは,

波形及び試験に依存する。一般的に一つの波形(例えば,クラス

II

試験では

8/20

)だけで実施する。この

理由は,製造業者(通常,これは製品の技術文書の中に印刷してある。

)からこの値

E

max

を直接入手する

ほうがより望ましく,しかも容易であるためである。

次の二つの値は,

SPD

のエネルギー耐量をより正確に定義するために必要である。

  E

maxS

:例えば,

8/20

(クラス

II

試験)のような短い(短時間継続)電流波形に対する値

  E

maxL

:例えば,クラス

I

試験波形のような長い(長時間継続)電流波形に対する値

これらの二つの値

E

maxS

及び

E

maxL

は,ある技術においては同じになることがある。

SPD

は,エネルギー耐量

E

maxS

及び

E

maxL

に関連する,短い波形(クラス

II

試験で用いる。

)の

I

max

及び

長い波形(クラス

I

試験で用いる。

)の

I

imp

の,二つの電流波形で特徴付けている。単一の

SPD

ではクラス

I

試験及びクラス

II

試験に従って試験してもよい。関連性のあるサージ波形に対する最大エネルギー耐量

E

max

を用いて

1

段目

SPD

2

段目

SPD

との間の協調をはかることが必要である。この場合,次の二つを

考慮する。

長い波形での協調

短い波形での協調

一般に,短い波形で協調を達成することは比較的容易である。

注記

スイッチング形

SPD

は,立ち上がり時間の長い波形でも取り扱うことが必要である。この問題

は IEC/TC81 の中で検討中である。

F.2

分析検討:個の酸化亜鉛バリスタ形 SPD の単純な協調

F.2.1

一般

次の考察は,

U

res

I

)の曲線が既知であるクラス

I

試験及びクラス

II

試験で試験した

1

ポートの電圧制

限形

SPD

だけに適用する。

8/20

の波形を用いて測定したこれらの曲線は,製造業者が

SPD

の技術文書内

に記載してある。クラス

III

試験及び

2

ポート

SPD

は,特別な注意(検討中)が必要である。

次の例は,協調問題の理解に役に立つものである。最初に,酸化亜鉛バリスタを用いている

1

段目

SPD

及び

2

段目

SPD

の場合を検討する。このような分析検討は,電流の分担だけに依存することに注目したほ

うがよい。エネルギー基準を満足していることを確かめるために,追加の計算(一般には解くことが難し

い。

)を必要とする場合がある。

酸化亜鉛型

SPD

の協調解析は,次による。

2

個のバリスタが同じ直径(公称放電電流 I

n

及びエネルギー耐量が同じ I

max

及び I

imp

が同じ)である

が,異なる電圧防護レベル U

p1

及び U

p2

厚さが異なる。)である場合  この場合,次の式が成り立つ。

I

n1

I

n2

I

max1

I

max2


72

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

I

imp1

I

imp2

次に

U

res

I

)の一般的な曲線を,

図 F.1 に示す。

図 F.1−同じ公称放電電流の 個の酸化亜鉛バリスタ

U

p1

U

p2

の場合,曲線

a

1

段目の

SPD

SPD1

,曲線

b

2

段目の

SPD

SPD2

)に対応している。

大部分の電流は

SPD2

に流れる。電流の一部は,長さ

l

の増加によって減少する。長さ

l

が数

m

より

も大きい(一般的には,

5 m

10 m

)場合,短い波形において通常は協調をとることができる。長い

波形では,減結合効果が減少するため,

SPD2

は侵入する全サージ

i

に耐えなければならない場合があ

る。

SPD1

と同じ設計である場合,

SPD2

は,全ストレスに耐えることができなければならない。

U

p1

U

p2

の場合,曲線

a

SPD2

,曲線

b

SPD1

に対応し,ほとんどの電流は,

SPD1

に流れる。

この場合,

SPD2

に流れる電流は,影響を与える電流とはならない。

エネルギー基準は,両方の

SPD

が同じ電流耐量である場合,両方の場合において満足する。最初の

場合は,同じエネルギー耐量を備えた

2

個の

SPD

を用いることによるメリットは少ないが,そのメカ

ニズムを説明した。

2

個のバリスタが異なる公称放電電流をもっている場合  この例での実際に役に立つケースは,

I

n1

I

n2

,かつ,

E

max1

E

max2

である。さらに,

SPD1

及び

SPD2

は,

U

res1

I

n1

)<

U

res2

I

n1

)のような特性で

ある。

U

res

I

)の曲線を,

図 F.2 に示す。解析検討でインピーダンスを考慮することは容易でないた

め,

図 F.2 の中にはインピーダンスを示していない。この場合ほとんどの電流が

SPD1

に流れるため,

図 F.2 から,短い波形での協調がよいことが分かる。ただし,長い波形での協調を決定することは困

難になる場合がある。長い波形及び

2

本の曲線の交点(

図 F.2 参照)での電流値よりも低い侵入電流

の場合は,協調しないことがある。

U

res2

の曲線がこの電流レベルで

U

res1

よりも低い場合は,侵入電流

の大部分は

SPD2

に流れるため,

2

個の

SPD

間にインダクタンスが必要になる。

したがって,製造業者の技術資料で指定する

U

res1

I

n1

)及び

U

res2

I

n2

(それぞれ,

U

p1

及び

U

p2

を単純比較するのではなく,曲線が互いに交差するかどうかを確認するため,

0.1

×

I

n2

I

max1

U

res

i

の曲線を比較する。交点での電流値

I

cr

(ある場合)は,できるだけ低くする必要がある。この場合,

エネルギー基準を高い確率で満足する(

I

cr

が低ければ低いほど,その確率は高くなる)

。疑義が生じた

場合,

SPD

間のインピーダンス及び長い波形を考慮した

SPD2

を通過するエネルギー計算をする必要

がある。このような計算を実施することは容易でない。

情報の不足のためにこれらの曲線を得ることができない場合及び単純で迅速な結果が必要な場合は,

同じレベルで

U

res1

曲線及び

U

res2

曲線を比較する。このような場合,簡単で良好な協調の条件は,

U

res1

U

res a

 (I

n

)

U

res b

(I

n

)

U

ref a

U

ref b

1 mA

I

imp

I

n

I

max

電流

b

a

電圧


73

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

I

n2

)<

U

res2

I

n2

)である。

図 F.2 の曲線

c

は,このケースに適合しているが,不必要なマージンとな

るかもしれない。さらにこのバリスタは,電力系統からの一時的過電圧への耐力の問題が発生するこ

とがある。この場合,

SPD2

への電流が低くても,エネルギー基準は,長期間継続するサージに対し

ては満足しないことがある。

SPD2

に流れるエネルギーの追加計算が必要になることがある。さらに,

SPD2

は,低い電流でもバリスタの非線形性によって高い電圧になることがある。

)設備を防護でき

るかどうかを確認する。

a

b

c

電圧

0

    I

imp1

 I

max1

  I

cr

I

n2

 I

n1

電流

e

d

a:SPD2 の曲線 
b:SPD1 の曲線(SPD2 と交差する曲線) 
c:SPD1 の余裕のある曲線(SPD2 と交差しない曲線) 
d:長期間継続波形のサージに対する電流範囲 
e:短期間継続波形のサージに対する電流範囲

図 F.2−異なる公称放電電流をもつ 個の酸化亜鉛バリスタ

F.2.2

結論

2

個の酸化亜鉛バリスタを協調させる必要がある場合は,全て,次の

5

段階の手順に従うことが望まし

い。

a

) SPD

がない状態で発生することが予想できる過電圧を明らかにし,長い波形及び短い波形の区別をつ

ける。

b

)

このストレスに耐えることができる

SPD1

を選ぶ。ステップ a

)

で情報を得ることができない場合,十

分な寸法(箇条 参照)の

SPD

を用いて,製造業者から

I

max1

及び

I

imp1

値を入手する。その後,a

)

で得

たデータとこれらの値とを比較する。

c

) SPD2

は,要求する防護特性に従って選定することが望ましい。

d

) 0.1

×

I

n2

I

max1

における

U

res

I

)曲線の

I

を比較する。その後交点

I

cr

を決定する。この電流

I

cr

がその

とき十分に低い場合(通常

I

n2

0.1

倍)

SPD2

のエネルギーを計算する必要はない。

SPD

間の距離に

かかわらず,エネルギー基準を満たすことになる。疑義が生じた場合,

SPD

間のインピーダンスを考

慮に入れて

SPD2

を通過するエネルギーを計算し,エネルギー基準を確認する。このような曲線を利

用できない場合は,次の簡易化した必要条件を満たす

SPD2

を選ぶ。

SPD2

が同じ公称放電電流の場合は,

U

res1

I

n

)<

U

res2

I

n

SPD2

が小さい公称放電電流の場合は,

U

res1

I

n2

)<

U

res2

I

n2

エネルギー基準を確認すること及び防護できることを確認するために,

SPD2

のエネルギーを計算


74

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

することが望ましい。

e

)

満足な結果が出るまで,ステップ c

)

までを繰り返す。

注記 1

非常に低い電流での電圧(一般に基準電圧という。

)は,協調には適用できない。

注記 2

酸化亜鉛バリスタの有無にかかわらず,

EMC

(電磁両立性)の観点からは,

SPD2

に流れる

電流をできるだけ小さくすることが望ましい。

注記 3

  U

res

I

)の曲線は最大値である。製造許容差による特性のばらつきを考慮する必要がある。

注記 4

F.2

の検討内容は,

3

個以上の

SPD

の場合にも適用する。

F.3

分析検討:ギャップ形 SPD と酸化亜鉛バリスタ形 SPD との協調

F.3.1

一般事項

SPD1

にギャップ,かつ,

SPD2

に酸化亜鉛バリスタを用いる場合で,一般に用いる他の例を,

図 F.3 

示す。この場合,

SPD2

が過度なストレスを受ける前に

SPD1

が放電すれば協調がとれる。

放電開始の前では,次の関係式になる。

t

i

L

i

U

U

d

d

)

(

2

res

1

×

+

=

この

U

res2

i

)の値は,一般に知られていないので,適切な結果を求めるために,次の式を用いる。

t

i

L

i

U

U

d

d

)

(

2

ref

1

×

+

=

ここに,

U

1

SPD2

に発生する電圧,及び

SPD1

SPD2

との間のインピー

ダンスに発生する電圧の合計

U

res2

酸化亜鉛バリスタ(

SPD2

)の基準電圧(バリスタ電圧)

。この

基準電圧はバリスタを特徴づけるパラメータで,これは

U

i

曲線の屈曲部分に非常に近い値である。

i

サージ電流

L

インピーダンス

Z

のインダクタンス成分

U

ref2

は,酸化亜鉛バリスタ(

SPD2

)の基準電圧である。この基準電圧は,バリスタを特徴づけるパラメ

ータで,これは

U

i

曲線の屈折部分に非常に近い。

U

1

がギャップの放電を開始する電圧(

附属書 では

U

dyn

とする。

)を超えると直ちに協調し,

SPD2

には僅かな電流が流れる。これは酸化亜鉛バリスタ(

SPD2

の特性,ギャップ(

SPD1

)の放電開始電圧,サージ電流

i

の上昇率及び大きさ並びに

SPD

間の間隔距離

d

に依存する(この場合,抵抗成分は無視できると想定し,インピーダンス

Z

のインダクタンス成分

L

を用

いる。

F.3.2

ギャップとバリスタとの間の減結合インダクタンスの値を考慮して計算する例

例えば,

最近の無線基地局のような狭い場所では,

負荷側の

MOV

SPD

が電源側にあるギャップ形

SPD

のトリガ電圧よりもかなり低い電圧で,

過渡電圧を制限することがある。

このためギャップの動作を妨げ,

MOV

SPD

が流入する全てのエネルギーを負担する。広い場所の場合は,

SPD

間の配線距離が十分に長

くなって,スパークギャップの動作を保証するための十分なインダクタンスとなることがある。ここで,

ギャップが放電するのに十分でない程度の電圧の場合,過渡電圧は,並列経路を経由して分散する可能性

がある。この場合,負荷側の

SPD

は,全エネルギーを単独で吸収するのに十分な定格をもっていなければ

ならない。高いエネルギーレベルでは,スパークギャップの不動作によって過度なエネルギーが,負荷側

SPD

に達して,

SPD

が破壊する。負荷側にある

SPD

の限界を超える全てのエネルギーレベルで,ギャ

ップが確実に動作するのに十分な減結合直列インピーダンスがあって,協調が達成する。


75

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

協調を保証するのに必要なインダクタンスの値は,簡単に計算することができる。最初に,ギャップの

パラメータを知る必要がある。スパークギャップは,一般的に

4 kV

以下で

200

ナノ秒(

ns

)間以内に放電

を開始する。次に,負荷側

SPD

のパラメータを知ることが望ましい。代表的な交流定格

275 V

SPD

は,

430 V

で制限動作を始める。その

SPD

8/20

インパルスを用いるクラス

II

試験対応品で

I

n

5 kA

程度

である。ただし,ギャップは,

10/350

又は同等に長い波尾長のインパルスを仮定したクラス

I

試験で評価

することを忘れてはならない。負荷側

SPD

のピーク電流値を,このクラスのインパルスで印加したエネル

ギーに耐えるように軽減する。

代表的な軽減係数を

0.25

と仮定している。

したがって,

ピーク電流値を

5 kA

から

1.25 kA

に低減する。

10

μs

の立ち上がり時間では,

125 A/

μs

di/dt

となる。ギャップの確実な動作を

保証するための必要なインダクタンス

L

は,次の式を用いる。

U

dyn

R

I

t

i

L

×

+

×

=

d

d

ここに,

U

dyn

ギャップの放電を開始する電圧

L

インダクタンス

di/dt

発生インパルス電流の立ち上がりの傾き(しゅん度)

I

×

R

負荷側

SPD

間の電圧降下

R

が非線形の値であることに注意)

求める

L

は,次の式で算出できる。

t

i

R

I

U

L

d

d

dyn

×

=

ギャップが

200

ナノ秒間以内に動作するため,負荷側

SPD

へ流れる電流

I

A

)は,次のようになる。

25

250

1

10

2

.

0

=

×

=

I

電圧(

I

×

R

)は

600 V

程度である。

したがって,

L

μH

)は,次の式で算出して求める。

2

.

27

10

125

600

000

4

6

=

×

=

L

このインダクタンスは,

1 m

当たり

1

μH

のインダクタンスをもつ電力ケーブルならば

27.2 m

でよく,

又はケーブル長及び低い値のインダクタンスとの組合せでもよい。

L:インダクタンス

図 F.3−ギャップ及び酸化亜鉛バリスタの協調

この例を用いることで,この種の協調を設計するための一般的な条件を得ることができる。

2

1

U

1

U

2

i

L


76

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

F.3.3

結論

SPD1

にギャップを選んだ場合,次の要求を満たす

SPD2

を選定する。

クラス

I

試験の試験波形に相当する入力サージの場合

10

peak2

ref2

dyn

I

L

U

U

×

+

−  クラス II 試験の試験波形に相当する入力サージの場合

8

2

max

ref2

dyn

I

L

U

U

×

+

ここに,

U

dyn

ギャップの放電を開始する電圧

U

ref2

バリスタの基準電圧

I

peak2

クラス

I

試験の試験波形に相当する入力サージ

I

max2

クラス

II

試験の試験波形に相当する入力サージ

L

インダクタンス

これらの基準を適用する場合,安全サイドの結果になる。

L

を更に小さな値にしたい場合は,コンピュ

ータでのシミュレーションが必要である。

注記

厳しい結果になる場合もある。特に,検討中の波頭長が長い波形を用いるとかなり厳しい。

IEC/ 

TC81

では,現在よりも長い

100

μs

の波頭長の波形を検討している。

F.4

2

個の SPD の一般的な協調

バリスタ同士又はギャップと酸化亜鉛バリスタとの組合せの場合の検討は,協調問題の複雑さを明白に

示している。

U

i

曲線が分かっていることは少ないため,実際には許容差の範囲を広くして対処すること

が必要であると思われるので,ここでは,分析検討は,単純な場合について行うに止める。

SPD2

を通過

するエネルギーを計算する必要がある場合,シミュレーションを実施することは容易である。この分析手

法の主な目的は,使用者が現象をよりよく理解できるようにすることである。いずれの技術による

SPD

対しても,上述した一般的な基準及び特に

6.2.6

に規定するエネルギー基準が適用できる。一般的に,許

容可能な協調を達成するため,製造業者若しくは使用者が試験を実施するか,シミュレーションすること

を要求する又は次に示す単純化した方法を用いる。特性不明な

SPD

を機器の内部に設置することがある。

機器は設備の寿命前に交換することがあるので,協調不足によって機器内の

SPD

が過度なストレスを受け

ないように保証するため,注意を喚起することが望ましい。

F.5

エネルギー通過

LTE

方法

F.5.1

一般

JIS Z 9290-4

に規定する標準インパルスのパラメータでの協調は,

SPD

を選定し協調をとるための手順

である。この方法の主要な利点は,ブラックボックスになっている

SPD

を考慮することができることであ

る(

図 F.4

参照)

。ここで,入力ポートにおける特定のサージに対し,開回路電圧だけではなく,出力電流

(例えば,短絡回路で)を決めている(

“エネルギー通過”の原理)

。これらの出力特性を,等価の“

2

Ω

−コンビネーション波形”ストレス(開回路電圧

1.2/50

,短絡回路電流

8/20

)に変換する。これには,

SPD

の内部設計に関する特別な情報を必要としないという利点がある。


77

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

In

U

I

(t)

U

()

SPD1

Out

In

SPD2

CWG

比較可能な標準インパルス(1.2/50,8/20,Z

i

=2

Ω)への変換

U

oc

 SPD1(出力側)≦U

oc

 SPD2(入力側)

U:負荷電圧

図 F.4

標準のパルス・パラメータでの LTE

協調方法

この協調方法の目的は,

SPD2

(例えば,放電電流)の入力値を

SPD1

(例えば,電圧防護レベル)の出

力値と比較することである。多段防護のために,前段の(破損していない)

SPD

が放電する等価入力イン

パルスは,後段の

SPD

の等価出力インパルス以上であることを考慮する。信頼性のある協調をとるために,

等価的インパルスはストレス(

I

max

U

max

及び通過エネルギー)の最悪の場合に対して決定する。

減結合素子の設計での最悪の場合は,短絡回路になることである。ただし,協調をとるためにこれはか

なり難しい。

“負荷側電圧”

[以下,

“対抗電圧(

counter voltage

”という。

]を考慮するのがより現実的で

ある。スパークギャップの負荷側の

SPD

は,通常酸化亜鉛バリスタを用いる。この場合の

SPD

の残留電

圧は,いかなる場合も公称電源電圧の最大値よりも高い(例えば,

240 V

の公称電圧の交流系統の最大出

力電圧は

2

×

240

340 V

で,

これは用いる

SPD

の基準電圧以下である。

この公称電源電圧のピークは,

SPD

の最も低い残留電圧に相当する。したがって,このピーク電圧は,最小となる対抗電圧に当たる。対

抗電圧が発生した場合と仮定する代わりに,短絡回路の電流を用いる場合,減結合素子の寸法は,過大に

なることがある。

注記 1 SPD2

にサージ電流が流れ始める条件が

SPD1

の特性とかなり異なっている場合,この試験方

法は,よい結果をもたらし,例えば,スパークギャップと

MOV

との間の協調の場合,この

条件は十分である。

注記 2

試験方法の適用に関する制約を,次に示す。

安全側の結果を必ず得るために,減結合用素子を

SPD2

の一部とする方法を含めること

が望ましい。

安全側の結果を必ず得るために,

SPD2

がスイッチング素子を内蔵している場合は,推

定した“対抗電圧”をゼロ(

0

)とみなすことが望ましい。

 SPD2

が電圧スイッチング素子を内蔵している場合,この方法(

LTE

法)では電圧スイ

ッチング素子で製作した製品においては現実的でないため,結果が過小評価になる場合

がある。このような場合,試験方法の適用について注意する。

設備の入口に侵入したサージの波形は,

10/350

又は

8/20

の電流波形及び相当の電圧波形

とみなすことが望ましい。サージ電流

i

の大きさは一般に知られている。サージ電圧

U

の大きさは,システムのサージインピーダンスに依存する。

 SPD

の特性の許容差の範囲を考慮することが望ましい。

F.5.2

方法

次に規定する一般的な方法では,

2

個の

SPD

間の減結合素子(インピーダンス)は,安全側の値とする。


78

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

このようなインピーダンスを

2

個の

SPD

間に設置する場合,協調は,一般的に計算によって予想した結果

に比べて,よりよく達成できる。この試験方法の基本は,

1.2/50

の開回路電圧

U

oc

及び

8/20

の短絡回路電

I

sc

で定義する

2

Ω

のインピーダンスがある(

U

oc

2

×

I

sc

の関係となる。

)コンビネーション波形発生器

CWG

)と同等として,各

SPD

出力を表すことである。クラス

III

試験によって試験した

SPD

は,このよ

うな

CWG

によってあらかじめ試験をしておく。クラス

II

試験によって試験した

SPD

の場合には,

I

sc

I

max

と考える。

電源側の

SPD

は,

クラス

II

試験又は建物への直撃雷の場合,

クラス

I

試験によって試験することがある。

SPD

の出力電圧は,一般に

1.2/50

及び

8/20

の波形に直接関係のない波形である。実際の波形は,

1.2/50

及び

8/20

に変換し,標準化する。

これは,次の値の計算によって行う。

u

の波高値=

t

u

u

d

,

ˆ

及び

t

d

2

の波高値=

t

i

i

d

,

ˆ

及び

t

d

2

注記

  公式及び各表で用いている単位は,一致していることが望ましい。

これらの値を,次の

表 F.1

で使用する。

表 F.1

波高値

電圧

uˆ

t

ud

t

d

2

電流

iˆ

t

id

t

d

2

振幅 1 V の CWG に対する

表 F.1

の実際の数値を,

表 F.2

に示す。

表 F.2

振幅 1 V の CWG に対する波高値

電圧 1

70×10

6

6×10

3

電流 0.5

12×10

6

2×10

3

表 F.1

の各々の欄を,対応する

表 F.2

の欄で除すと,

表 F.3

となる。

表 F.3

表 F.1 の各々の欄を,対応する表 F.2 の欄で除した値

電圧

uˆ

6

10

70

d

×

t

u

3

2

10

6

d

×

t

u

電流

2

ˆ ×

i

6

10

12

d

×

t

i

3

2

10

2

d

×

t

i

表 F.3

での最大値は U

oc(CWG)

,すなわち,SPD の出力に相当する CWG の U

oc

の等価値になる。

負荷側の SPD が,開回路電圧 U

oc test

がある CWG でクラス III 試験の試験(又はクラス II 試験の場合は,

CWG と同等で)を行えば,協調が達成しているかどうかが直ちに分かる。U

oc test

U

oc(CWG)

を確認すれば十

分である。SPD の出力値は,入力で加えたストレスに対して,シミュレーションソフトウェアを用いて算

出する。このような値を製造業者が算出していれば,毎回算出する必要はない。

各製品について製造業者は,SPD 特性の許容差及びいかなるブラインドスポット(まれに,SPD の出力


79

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

での最も重要なストレスは,最大値 I

imp

I

max

及び U

oc max

が加えるものではなく,もっと低い値となる。

を共に考慮して,加えるストレス(クラス I 試験用の I

imp

,クラス II 試験用の I

max

,又はクラス III 試験用

の CWG の U

oc max

)の代わりとする出力等価 CWG インパルスを算出してもよい。


80

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

附属書 G 

参考)

適用例

注記

  この附属書は,SPD を設置する無線鉄塔用をはじめとする住宅及び産業施設の仮想のシステム

を示している。この附属書は,この規格に規定した適用基準を図解するために,限定状況にお

ける SPD の選定に関する情報を提供する。ここでは,全ての設備又はシステムに存在する特有

な様相については記載していない。

G.1

住宅用での適用

住宅用に適用する場合の例を,次に示す。

−  中圧ネットワーク:10 km の架空線

−  低圧(230/400 V)

:1 000 m の架空線,又は 200 m の地下ケーブル

−  N

g

(年間大地雷撃密度)

:2 雷撃/km

2

/年(

4.1.1

参照)

−  保護する建築物の場所:平たんな場所

−  電気設備の構成:建物の引込口で S 形漏電遮断器(8/20 で 3 kA に耐える。

6.2.4.3

参照)で防護した

設備。設備の引込口での短絡回路電流耐量は 3 kA である。電気設備には,1 階の住宅の引込口の主分

電盤,及び 2 階の補助分電盤がある。

−  保護する建築物の接地抵抗:50

Ω

−  低圧系統の接地システム:TT システム。1 ライン及び中性点配線

−  保護する装置の種類:電気洗濯機,コンピュータ,入口の警報器,ビデオテープレコーダ,テレビな

ど。

リスク解析(箇条

7

を参照)によって,SPD の使用(変圧器の低圧側及び中圧側の両方における架空線

路,電子装置,N

g

の高い値など)の重要性を確かめることができる。

架空線路では中程度の雷電流が予想できるため,公称放電電流(I

n

)は,引込口で 1 線当たり 8/20 の公

称放電電流(I

n

)で 5 kA 以上とする。

引込口では,

(敏感な設備である。

)警報器を防護する。このため,U

p

≦1.5 kV とする。ここには,U

p

1.5 kV でクラス II 試験の試験をした 1 ポート SPD(

3.1.25

参照)を設置してもよい。

引込口での短絡回路電流耐量は,交流実効値電流 3 kA とする。SPD の短絡回路耐量は,交流実効値電

流 3 kA 以上(

5.5.4

参照)となる。これに対して製造業者は,短絡遮断特性をもつ漏電遮断器(バックア

ップ防護)又はヒューズを用いることが望ましい。漏電遮断器を引込口で用いる場合は,8/20 で 3 kA を超

える入力サージに対して,連続給電の保証はできない。

漏電遮断器がある場合は,間接接触に対する補足的な防護は必要ない。熱動作形分離器は SPD 内部に組

み込まれている(

6.3.1

参照)

TT 系統で,ラインと中性線との間の過度なストレスを回避するために,三つの防護モードをもつ SPD

(中性線とラインとの間,中性線と接地との間,及びラインと接地との間。

6.1.1

参照)を用いることが望

ましい。

安全のために,接地のある洗濯機を除き,その他の装置は接地していないため,ラインと中性線との間

の防護だけが必要となる。この場合,ラインと接地との間及び中性線と接地との間の防護を必須としても


81

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

よい。

注記

  テレビジョンアンテナを接地している場合は,追加防護を必須としてもよい。

引込口の SPD とその他の装置,特に 2 階の装置,との間の距離が長い(それぞれ 10 m 及び 20 m)場合

は,その他の SPD は,防護する装置(

6.1.2

参照)の近くに設置する。1 個の SPD は洗濯機の近くに,も

う 1 個の SPD は,ビデオテープレコーダ及びテレビジョンセットの近くに設置することが望ましい。他の

1 個の SPD を,2 階の分電盤に設置するが,この分電盤とコンピュータとの間の距離が短くなるように,

コンピュータの電源プラグに直接設置することもできる。

その他の SPD は,サージ電流耐量の比較的低いものでよい。I

n

=2 kA のクラス II 試験で十分である。製

造業者のカタログには,U

p

=0.8 kV を推奨している。

20 m の距離がある場合は,引込口に設置した SPD と 2 階の SPD との間の減結合としては十分である。

ただし,引込口の SPD と 1 階にあるその他の SPD との間が 10 m である場合,U

p

=0.8 kV(

6.2.6

参照)で

は値が低いため,適切な減結合としては十分でない。そのような場合には,1 階のその他の SPD は,例え

ば,U

p

=1.5 kV の SPD を選定する方が望ましい。

これらの SPD に関し,設置した場所での短絡回路電流は低く,製造業者は,必要な分離器(熱及び短絡

回路)を組み込んでいる(

図 G.1

参照)

図 G.1

住宅設備

G.2

産業設備への適用

産業用に適用する場合の例を,次に示す。


82

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

−  中圧ネットワーク:10 km の架空線

−  低圧(230/400 V)ネットワーク:2 系統の 100 m の地下ケーブル

−  N

g

(年間大地雷撃密度)

:0.5 雷撃/km

2

/年(

4.1.1

参照)

−  保護する建築物の場所:平たんな場所

−  電気設備の構成:本棟 MB 内に中圧/低圧変圧器があり,

本棟 MB 内の主配電盤 MDB には,

低圧 TN-C

システムを三相で給電し,別棟 B1 には TN-C システムが三相を給電し,別棟 B2 には TN-C-S システ

ムを三相給電している。別棟 B1 及び別棟 B2 は,本棟 MB から 100 m に位置する。

−  保護する機器:保護する機器は,次による。

1

)

本棟 MB

  電源(中圧/低圧変圧器)

,空調設備を含む産業生産設備,工場の照明,産業用モータ制

御器,変速機及びコンピュータ数値制御(CNC)旋盤。

2

)

別棟 B1

  コピー機,ファクシミリ,ローカルエリアコンピュータネットワーク,及び DB1 の近く

に位置する電話交換機(PABX)を含む事務設備。

3

)

別棟 B2

  工程管理用シーケンサ(PLC)

,監視制御・データ取得(SCADA)システム,計量器,モ

ニタ及び配電盤 DB2 から約 50 m 離れている工程制御設備。

接地の構成

  本棟の接地は実測値 11  Ω である。別棟 B1 及び B2 の接地は,TNC の PE 導体を接続す

ることで合計接地システム抵抗の約 7  Ω を加えて,それぞれ 49  Ω 及び 51  Ω となっている。MB,B1

及び B2 それぞれには等電位ボンディング用バーEB,EB1 及び EB2 がある。

リスク分析

(箇条

7

参照)  施設は,適正に直撃雷の影響にはさらされていないが,中圧/高圧変圧器

の中圧側に中圧避雷器を用いて保護を行う必要があるかもしれない(本来高所にある中圧の架空線路

を用いているため)

。サージ電流は,変圧器の接地電位の上昇によって,区域の接地システムを経由し

て流れるため,低圧 SPD は別棟 B1 及び B2 との引込口に加え,変圧器の低圧側にも必要となる。

保護についての見解

  リスク分析では,一般に,産業施設の継続的な操業の必要性を“重要事項”と

みなしている。上述のように振り分けたサージ保護装置を,別棟 B1 及び B2 それぞれの分電盤 DB1

及び DB2 はもちろんのこと,主配電盤 MDB の一次側引込み点に配置するよう,施設内のあらゆる所

で用いることが望ましく,次による。

1

)

本棟

  SPD を,主配電盤内で各相と主等電位ボンディング用バーEB との間に接続する。これらの

低圧用 SPD は,クラス II としたほうがよい。例えば,公称放電電流 I

n

が 10 kA(中圧避雷器と同ラ

ンク)で,電圧防護レベル U

p1

≦1.2 kV の場合,後段に追加する SPD との協調が確実となる配置で

の使用は差し支えない。次を参照。

SPD の短絡耐量(及びスイッチング形 SPD の場合は続流遮断定格)は,MDB で予想する短絡電

流と同等である必要がある。製造業者が指定する直列接続する過電流用の装置で,外付けのもの(例

えば,ヒューズ,サーキットブレーカなど)

,又は SPD に内蔵するものの,いずれかの分離器を用

いることで達成できる。建物内部には,高感度な機器(

JIS C 60664-1

によるインパルス耐電圧 U

w

=1.5 kV)を含む耐圧能力の異なる様々な機器がある。機器は,建物引込口に設置した SPD から 30

m の離れた所に位置する。これは振動現象を起こすことがある(

6.1.4

参照)

このような場合,引込口の SPD の防護レベルが U

p1

の場合,機器の電圧レベルは最大 2×U

p1

とな

ることがある。この例では,

6.1.4

による U

p1

を 1.5 kV×0.8/2(すなわち 600 V)よりも低くした方

が望ましいような悪条件について述べる。

起こりうる TOV によって,そのような低い保護レベルでは SPD の故障の可能性を増大させるた

め,一つには引込口に,

(TOV に敏感でない)高めの U

p

,例えば,U

p1

=2.5 kV をもつ SPD を,む


83

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

しろ選んでもよい。そのような場合は,機器(E

q

)の前部に追加で U

p2

≦1 200 V(0.8×U

w

)の SPD

が必要となる。高感度の機器のちょうど前部となる場合には,2 で除算する(1/2 倍)必要はない。

低めの U

p

U

p1

≦600 V)の SPD を用いる場合,2 段目の SPD は必要ない。このプロセスでは機器

の耐電圧 U

w

に留意する(絶縁協調)

。低めの電圧防護レベル U

p

(二つの SPD を用いる場合は U

p2

一つの SPD を用いる場合は U

p1

)を,機器の動作不全を回避するために必要としてもよい(

6.1.4

注記

参照。インパルスイミュニティを考慮する。

。SPD1 と EB との間の配線長は,

6.1.3

の基準を

満たしていない。そのため,SPD1 と PEN との間に追加で導体を用いる。SPD2 と PEN との間の配

線長は,

6.1.3

の基準を満たすため,追加で導体は用いない。信号及び制御回路の保護は,

JIS C 

5381-22

に基づいて行う。

2

)

別棟 1

  MB から B1 までの距離が 100 m であるため,クラス II の SPD(SPD3)で各相と等電位ボ

ンディング用バーとの間を接続するのが望ましい。この場所では,公称放電電流 I

n

=5 kA,電圧防

護レベル U

p

≦1 kV のものを用いると仮定する(1 kV 以下は,B1 に設置している高感度の機器のた

めに必要。建物が小さく,機器は DB1 の近くに位置しているため,電圧が 2 倍となる影響を注意す

る必要はない,

6.1.4

を参照。

。ここでは,機器の耐電圧 U

w

に留意する(絶縁協調)

。機器の動作不

全を回避するために,低めの電圧防護レベル U

p

を必要としてもよい。

SPD3 と EB1 との間の配線長は,

6.1.3

の基準を満たすため,追加で導体は用いない。

信号及び制御回路の保護は,

JIS C 5381-22

に基づいて行う。

3

)

別棟 2

  B1 とともに B2 は MB から 100 m に位置するため,SPD(SPD4)で,各相と PE 導体及び

バーとの間,PEN 導体とバーとの間を接続することが望ましい。これらの SPD はクラス II とする

のが望ましい。この場所では,公称放電電流 I

n

=5 kA,電圧防護レベル U

p

≦1.2 kV のものを用いる

場合を想定する。

建物内部には,高感度な機器(

JIS C 60664-1

によるインパルス耐電圧 U

w

=1.5 kW)を含む耐電

圧の異なる様々な機器がある。機器は,建物の引込口に設置している SPD から 50 m の離れた所に

位置する。これは振動現象をもたらす場合がある(

6.1.4

参照)

。そのような悪条件では,機器の電

圧は最大で 2×U

p1

U

p1

は引込口の SPD の電圧防護レベル)となる。

6.1.4

に規定する U

p1

は,1.5 kV

×0.8/2(すなわち 600 V)よりも低くすることが望ましい。別棟 1 と同じように TOV について考察

する。引込口の SPD(SPD4)の U

p1

は,1.2 kV としてもよい。その場合,1 200 V(0.8×U

w

)以下

の U

p2

をもつ SPD(SPD5)を,機器 Eq の前部に追加する必要がある。低めの U

p1

U

p1

≦600 V)を

用いる場合,2 段目の SPD は必要ない。このプロセスでは,機器のインパルス耐電圧 U

w

に留意す

る(絶縁協調)

。低めの電圧防護レベル U

p

(二つの SPD を用いる場合は U

p2

,一つの SPD を用いる

場合は U

p1

)を,機器の動作不全を回避するために必要としてもよい(

6.1.4

注記

参照)

追加の SPD(SPD5)が可搬形機器の近くに必要な場合,各相と中性線との間及び中性線と PE と

の間に設置することが望ましい。これは,DB2 の中性線及び PE 接続点から 50 m 離れた所までの機

器による中性線導体の電位上昇の危険をカバーするために必要となる(

図 K.5

参照)

SPD4 から EB2 までの配線長と,SPD5 の中性点から PE までの配線長とは,

6.1.3

の基準を満たし

ているため,追加で導体は用いない。

信号及び制御回路の保護は,

JIS C 5381-22

に基づいて行う。

図 G.2

及び

図 G.3

を参照。


84

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

B1,B2  :別棟 1,別棟 2 
MB

:本棟

EB,EB1,EB2:等電位ボンディング用バー 
MDB

:主配電盤

DB1,DB2:分電盤 
Eq

:負荷設備

TN C

:配電方式

TN C-S  :配電方式

図 G.2

産業設備

MB

DB1

DB2

Eq

Eq

Eq

Eq

EB1

EB2

EB

Eq

B2

B1

MV

100 m

TN C

TN C

TN C-S

100 m

MDB


85

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

B1,B2 :別棟 1,別棟 2 
MB  :本棟 
EB

:等電位ボンディング用バー

MDB  :主配電盤

Eq

:負荷設備

PB

:分電盤

MVA  :中圧避雷器

図 G.3

産業設備の回路

G.3

雷保護システムがある場合

雷保護システムがある場合の例を,次に示す。

−  雷保護システムを設置した無線鉄塔

−  中圧ネットワークの種類:10 km の架空線路


86

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

−  低圧ネットワークの種類:500 m の架空線路

−  N

g

(年間大地雷撃密度)

:6 雷撃/km

2

/年

−  保護する建築物の場所:丘の頂上

−  電気設備の構造:中性線は丘の下で接地している。

−  装置は直近の保護接地に接続している。

−  保護する建築物の接地抵抗:10

Ω

−  中圧/低圧変圧器の接地抵抗:10

Ω

−  低圧ネットワークの接地系統:TT 系統。1 ライン及び中性線配線。

−  保護する装置の種類:電子機器

その設備の重要性によって(リスク解析,箇条

7

参照)

,クラス I 試験で試験した SPD を用いる。SPD

は,ラインと直近接地との間,中性線と直近接地との間,及びラインと中性線との間に接続する。これら

の SPD は,鉄塔(

附属書 D

参照)を直撃する大部分の雷電流の電流として,クラス I 試験の 25 kA の最小

電流耐量を備えていることが望ましい。電流の分担の算出を行っていない場合は,SPD には鉄塔への直撃

雷電流のかなりの部分が流れるため(

附属書 D

参照)

,クラス I とすることが望ましい。

同じ電流定格を備えた別の SPD を,変圧器の防護のために架空線路の反対側に用いてもよい。設備側の

SPD の防護レベルは,1.5 kV が望ましく,変圧器側に接続している SPD の防護レベルは,変圧器が低い電

圧防護レベルを必要としないため,同等以上(4 kV 以内)でもよい。例えば,高感度の機器の近くの SPD

の保護レベルは,1.5 kV 以下が望ましく(低めの値はインパルスイミュニティをカバーするために必要な

場合がある。

,また,変圧器の近くの SPD は,6 kV 以下の保護レベルでも差し支えない(一般的な変圧

器の絶縁耐力は絶縁協調に基づく。

。さらに,変圧器の中圧側に SPD を用いてもよい。詳細は,

IEC 60099-5

を参照する。

図 G.4

参照。

図 G.4

雷保護システムのある設備


87

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 H 

参考)

リスク解析の適用例

JIS C 60364-4-44

に規定する簡素化したリスク解析方法を,次に紹介する。基本的には,次の二つのケ

ースがある。

a

)  設備の電源に架空線から供給しているか又は架空線を含んでおり,その場所の年間雷雨日数が年間 25

日を上回る場合は,設備の引込口に SPD を設置する。

b

)

a

)の条件の一つを満たさない場所では(例えば,年間雷雨日数が 25 日未満,又は地下ケーブル),次

のような異なる影響レベルを,考慮する必要がある。

1

)  人命に関わる影響(生命に対する雷の直接的な影響。例えば,安全業務及び病院の医療機器)

2

)  公共サービスに関わる影響(多数の人へのサービスの損失又は国家遺産の損失。例えば,IT センタ

ー及び博物館)

3

)  商業又は産業活動への影響(生産の損失,経済の損失。例えば,ホテル,銀行,工場,商業市場及

び農場)

4

)  個人のグループへの影響(人の安全性に対して雷による直接的な影響がない。例えば,大きな住居

用建築物,教会,オフィス及び学校)

5

)  個人への影響(人の安全性に対して雷による直接的な影響がない。例えば,住居用建築物及び小規

模オフィス)

影響レベルが

1

)∼

3

)の場合は,設備の引込口に SPD を設置する。

影響レベルが

4

)又は

5

)の場合は,防護に対する要求事項は計算結果に依存する。計算は,長さ を決め

るために,式(2)を用いて算出する。この長さ を規約長という。

式(1)の条件の場合,防護を推奨する。

C

d

d

  (1)

ここに,

d: 考慮している建築物の電源ラインの規約長(km)で最大 1 km。

この距離は,システムが二つ以上に分かれてストレスが減少
する最初の接続点に関係する。接続箱に設置する SPD も接続
点とみなす。

d

C

限界長さ。影響レベルが

4

)の場合,d

C

(km)は 1/N

g

に等しい。

また,影響レベルが

5

)の場合,d

C

(km)は 2/N

g

に等しい。こ

こで,N

g

は 1 年当たり及び 1 平方キロメートル当たりの雷撃

密度である。

注記

  1 年当たりの雷雨日数 25 日は,1 年間及び 1 平方キロメートル当たりの雷撃密度 N

g

に換算する

と,2.24 回に相当し,次の式によって算出できる。

1.25

d

g

04

.

0

T

N

=

ここに,

T

d

1 年当たりの雷雨日数

規約長 は,式(2)による。

4

4

3

2

1

d

d

d

d

+

+

=

  (2)

ここに,

d: 規約長。は最大 1 km とする。

d

1

建築物への低圧架空供給線路の長さで,1 km に制限する。


88

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

d

2

建築物の遮蔽していない低圧地下線路の長さで,最大 1 km と
する。係数 4 は,地下ケーブルの減衰効果を考慮するために
用いる。架空線と地下埋設線との接続点において,一般的に
SPD を用いる場合,比率 4 以上にストレスを減少する場合が
ある。

d

3

建築物の高圧架空供給線路の長さで,最大 1 km とする。変圧
器の減衰効果を考慮するため係数 4 を用いる。この係数は,
幾つかの実際の変圧器の試験に基づくもので,ほとんどの変
圧器について小さくなると考えてもよい。

高圧地下供給線路の長さは,無視する。

遮蔽している低圧地下線路の長さは,無視する。

の決定とこの方法の適用の例を,次に示す。

図 H.1

図 H.4

の図中の太い点線は地表面を表している。その線の上方は頭上を,下方は地下である。

四角形は,検討対象の建築物を表している。変圧器は,2 個の円で表している。

図 H.1

高圧及び低圧架空線路

考慮している建築物は,低圧架空線路で電源を供給し,高圧変圧器は,建築物から 1 km 未満のところ

にある。

図 H.2

高圧架空線路及び埋設している低圧線路

考慮している建築物は,低圧地下ケーブルで電源を供給し,高圧変圧器は,建築物から 1 km 未満のと

ころにある。

4

4

2

3

d

d

d

+

=

d

3

d

2

d

3

d

1

 

4

3

1

d

d

d

+

=


89

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

図 H.3

高圧及び低圧を埋設した線路

図 H.4

高圧架空線路

検討対象の建築物は,高圧架空線路から建築物内に設置した高圧変圧器に電源を供給している。

例 1

  博物館。高圧架空線路側に接続した高圧及び低圧変圧器から 500 m の地下ケーブルによって博

物館の電気設備の引込口へ電源を供給している。年間雷雨日数は 20 日。

地下ケーブル及び年間雷雨日数が 25 日未満であるにもかかわらず,影響レベルが

2

)の場合

は,SPD を用いることが望ましい。

例 2

  高圧及び低圧変圧器から 200 m の架空線路によって電気設備の引込口へ電源を供給している民

家。年間雷雨日数は 27 日。

低圧架空線路及び年間雷雨日数が 25 日よりも多いため,SPD を用いることが望ましい。

例 3

  年間雷雨日数が 20 日(N

g

=1.7 に相当する。

)の地域にある学校。建物内部に直接設置した高圧

変圧器から電源を供給し,高圧架空線路の長さは,750 m である。影響レベルは

4

)である。

年間雷雨日数が 25 日未満のため,SPD の使用は,規約長 の計算による評価が必要である。

dd

1

d

2

/4+d

3

/4=0+0+0.75/4=0.187 5

d

C

=1/N

g

=1/1.7=0.59

は,d

C

よりも小さいため,SPD を使用しなくてもよい。

例 4

  年間雷雨日数が 20 日(N

g

=1.7 に相当する。

)の地域にある教会。高圧変圧器から 500 m の架空

線路によって教会の電気設備の引込口に接続している。高圧架空線路の長さは,2 km である。

影響レベルは

4

)である。年間雷雨日数が 25 日未満の場合,SPD の使用については規定する長

さ の計算による評価が必要である。

dd

1

d

2

/4+d

3

/4=0.5+0+1.0/4=0.75

d

C

=1/N

g

=1/1.7=0.59

ここに,

d

3

最大 1 km とする。

は,d

C

よりも大きいため,SPD を用いることが望ましい。

4

3

d

d

=

d

3

d

2

 

4

2

d

d

=


90

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

例 5

  年間雷雨日数が 20 日(N

g

=1.7 に相当する。

)の地域にある小規模オフィス。距離は不明である。

影響レベルは

5

)である。

年間雷雨日数が 25 日未満の場合,SPD の使用は,規約長 の計算による評価が必要である。

距離は不明であるため,最悪の場合の状況を用いる。

例えば,d

1

=1 km,d

2

=1 km,d

3

=1 km とする。

dd

1

d

2

/4+d

3

/4=1.0+1.0/4+1.0/4=1.5

この値は,規定する値(最大 1 km)によって 1 に制限する。

d

C

=2/N

g

=2/1.7=1.18

は,d

C

よりも小さいため,SPD を使用しなくてもよい。


91

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 I

参考)

システムストレス

注記

  この附属書は,箇条

4

を補足している。情報が,この規格の特定の箇条に関係のあるところは,

本体の箇条番号を(  )内に示す。

I.1

雷過電圧及び電流

4.1.1

参照)

I.1.1

SPD

の必要性に影響を及ぼす配電系統の様相

設備に地下ケーブルで給電している場合,又は架空線路で給電していても IKL(年間雷雨日数)が 25

日未満の場合では,設備の利用に対して許容リスクが特別に低くないときは,SPD を用いる必要はないと

JIS C 60364-4-44

の箇条

443

に定めている。

これらのガイドラインは,平均的な設備について想定したものである。考慮する設備に関する要因が通

常でない場合,サージ防護の必要性が大きいことがある。これら要因の幾つかについては,

I.1.1.1

及び

I.1.1.2

に記載する。

侵入するサージの可能性,及び防護と効果との間の経済的なバランスに基づき,リスク解析を実施する

ことが望ましい。

JIS C 60364-4-44

の箇条

443

に規定するリスク解析に関しては,改正中である。

注記

JIS C 60364-4-44

は,2011 年 10 月 20 日付で,改正された。

I.1.1.1

雷活動

装置に加わる雷ストレスのリスクを決定する場合に用いる最も有用な数値は,地域での大地への雷撃密

度 N

g

である。ただし,N

g

が不明な場合,大まかな評価は,その地域の IKL(N

k

,IKL マップから得た 1

年当たりの雷雨日数)から簡素化した計算式 N

g

=0.04×N

k

1.25

を用いて判定できる。

N

g

は,特定の場所及び任意の入力回線沿いの場所の両方についての正確なリスク評価ができる,雷活動

についての高度な局部的情報である。さらに,通年の季節的変動及びサージの大きさによる変動を考慮し

ている。これらは N

k

の決定に含まれていない要因である。したがって,N

k

=25 の値は,単独で SPD の必

要性を決定するために用いることはできない。

I.1.1.2

設備の被雷

地下ケーブルで電源を供給している場合でも,特に

JIS C 60364-4-44

の箇条

443

で考慮していない直撃

又は近傍への落雷の場合,このケーブルでは,設備を防護するために必ずしも十分ではない。地下ケーブ

ルで電源供給をした場合でも,それだけでは SPD が必要かどうかを決定することはできない。

I.1.2

建築物内でのサージ電流の分流

建築物に直撃した場合の代表的なサージ電流の分流の例を,

図 I.1

に示す。詳細は,

附属書 D

を参照。

注記 1

  雷インパルス電流は,二つの重要なパラメータを組み合わせている。一つは,傾きの急な立

ち上がり時間で,誘導効果による電圧値を決定するために用いる。もう一つは,長い継続時

間で,基本的に雷撃のエネルギーを表す。この長い時間に対しては高周波効果が現れないの

で,電流分布の計算でオーム抵抗を用いる。

個々の評価(例えば,計算によって)ができないところでは,全体の雷電流(I)の 50 %が,考慮して

いる建築物の雷保護システムの接地接続部に分流すると仮定している。残りの電流 50 %(I

s

)は,建築物


92

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

に入る系統外導電部分,電力線,通信回線などに分流する。各供給線部分(I

i

)に流れる電流の値は,I

i

I

s

/nは供給線部分の数)を用いて評価することができる。遮蔽のないケーブルで,個々の導体に流れる

電流(I

v

)を評価するために,ケーブル電流(I

i

)を導体の数(m)で除して,I

V

I

i

/とし,これで評価す

ることができる。

遮蔽したケーブルの場合,遮蔽部分の両端は直接又は SPD を経由して接地する。この場合,ケーブルの

雷電流の主要な部分は,遮蔽部分(代表的に 50 %)を流れ,電流の僅かな部分が内部の導体に流れる。

全ての場合において,SPD は遮蔽ボンディング点にできるだけ接近して設置することが望ましい。

注記 2

 SPD の I

peak

又は I

max

の推奨値は,I

v

に相当する。

注記 3

  架空線路への直撃雷は,同様な方法で考慮してもよい。

注記  (  )内の値は,金属管がない場合に用いる。

図 I.1

外部供給線

TT

系統

への雷電流の分流例

この図は,建築物の接地に全体の雷電流の 50 %が流れ,50 %は外部供給線に流れるという,代表的な例

を示している。

I.2

開閉過電圧

4.1.2

参照)

開閉サージによって発生するストレスの詳細は,

C.3

を参照。

I.3

一時的過電圧 U

TOV

4.1.3

参照)

低圧系統の事故によって発生した一時的過電圧は,次の二つの要因で表すことができる。

−  k

1

は,公称系統電圧に対する最大電圧比で,通常 1.05∼1.1 の範囲である。この値は通常の電圧レベル

変動範囲を表している。

U

cs

k

1

×U

0


93

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

−  k

2

は,電力系統の U

cs

と発生する電力系統過電圧との最大比である。三相低圧配電系統上の事故の場

合,事故でないラインの電圧は,約 1.25 から理論値の 3 に変動する。

注記 1

  単相 3 線式系統の k

2

は,最大 2 となる。

一時的過電圧の合計は,次の式によって表す。

U

TOV (LV)

k

1

×k

2

×U

0

k

2

×U

cs

注記 2

  一時的過電圧は,通常,低圧配電系統の故障,コンデンサの開閉並びにモータ始動及び停止

時に発生し,これらの過電圧は,短時間である。三相配電系統上の事故によるものは,0.05

秒間程度から最大 5 秒間までの時間に発生する。不十分な中性点接地で単相モータを始動し

た場合,一般的に過大な過電圧が最大 5 秒間発生する。コンデンサの開閉及び電圧変動にお

いては,5 秒間以上の時間の過電圧を発生しないことが望ましい。したがって,一時的過電

圧の時間を,ここでは 0.05 秒間∼5 秒間に選定している。

注記 3

  幾つかのネットワークでは,高圧系統[U

TOV (HV)

]の事故によって,U

0

+1 200 V(

JIS C 

60364-4-44

参照)の短期(5 秒間未満)の一時的過電圧を考慮する。このような高電圧値で

は,SPD が破損することがある。この場合,この事故が,人,装置又は設備へいかなる危険

も及ぼさないように保証するため,適切な試験を実施する。5 秒間の最大持続時間に見合う

一時的過電圧の最大値は,U

0

+1 200 V である。低圧設備及び高圧系統の接地系統の方式に依

存して,この値を規定する又はしなくてもよい(

附属書 E

参照)

。さらに,

JIS C 60364-4-44

には,5 秒間よりも長い継続時間のある一時的過電圧を規定しており,これよりも長い継続

時間で故障を招くことがある。

この規格では,低圧系統の事故による TOV が U

TOV (LV)

で,高圧系統の事故によるものが U

TOV (HV)

として

いる。上記の一時的過電圧の合計の計算式で,ネットワーク中の U

TOV

の時間及び電圧の関係曲線を理論上

描くことができる。しかし,実際には,ネットワーク中の U

TOV

の値は,SPD の設置の場所で必ずしも分

かっているとは限らない。代表的に知られている数少ない値だけで,

(上に記載した)時間及び電圧の関係

曲線を描くことはかなり困難である。

一般には,標準的な最大値だけが分かっており,その曲線は,幾つかのポイントに減らしている。SPD

の選定に特別に関係する時間の値は,200 ミリ秒間及び 5 秒間である。

U

TOV

の最大標準値は,

図 4

を参照。


94

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

附属書 J

参考)

SPD

選定のための基準

注記

  この附属書は,本体の箇条

5

を補足している。情報が,この規格の特定の箇条に関係のあると

ころは,本体の箇条番号を(  )内に示す。

J.1

U

T

一時的過電圧特性

5.5.1.2

参照)

SPD の U

T

の代表的な曲線を,

図 J.1

に示す。

注記  一時的過電圧は,数秒間の持続時間の場合がある。5 秒間を超える持続時間の一時的過電圧

は,5 秒間以上の時間ではその曲線が一定値 U

c

に相当し,SPD に対する永久条件とみなす。

図 J.1

SPD

の U

T

の代表的な曲線

J.2

SPD

故障モード

5.5.4

参照)

SPD が

5.5.4

に規定しているような故障モードに入った場合,設備に対する故障モードの影響を考慮す

る必要がある。SPD の故障モードが,SPD に内蔵している非線形素子によって開回路になる場合,又は SPD

に直列で電源に並列な内部及び外部分離器によって開回路になる場合には,SPD が故障した場合でもその

後の電源の連続給電を保証することがある。ただし,システムのバックアップ防護が動作する前に分離す

るためには,SPD の能力に特別な注意を払わなければならない。その場合は,SPD 分離器とバックアップ

防護との間の協調を注意深く検討する。

2 ポート SPD 又は電源に直列に接続する 1 ポート SPD について,

図 J.2

a

)及び

b

)のそれぞれに示すよ

うに,SPD 内の内部分離器の位置によって,電力を連続給電する場合又はしない場合がある。

時間

U

T

  U

c


95

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

a)

  内部分離器付 SPD1 

b)

  内部分離器付 SPD2 

D:分離器 
S:SPD 
L:電源線

図 J.2

2

ポート SPD の場合の内部分離器

図 J.2

a

)の場合の主な特徴は,分離器が動作した後でも機器に引き続き給電していることである。た

だし,機器をもはや防護していない。故障表示器(遠隔表示又は現品表示)がこの分離を表示しない場合,

機器をもはや防護していないので,侵入するサージに対してぜい弱になっていることに使用者は気づかな

い。

図 J.2

b

)の場合の主な特徴は,機器は分離器の動作後に電源系から分離しているが,サージの主な発

生源からも分離している。分離による電力又は防護のいずれかが欠落するリスクを低減するために,

図 J.3

に示すような分離器を装備した SPD を並列に使用できる。

a)

  並列例(1 

b)

  並列例(2 

D:分離器 
S:2 個の防護素子(バリスタ)及び 2 個に対応した分離器を組み込んだ一体形 SPD

図 J.3

並列の SPD の使用

SPD が(SPD 自身又は付加装置のいずれかによって発生する。)短絡する故障モードとなり,バックア

ップ防護が動作する場合,状況は,上記の

図 J.2

b

)の場合に類似する。

製造業者が特定の故障モードを指定しない場合,

SPD は前述の全ての故障モードになることを想定する。

単一の故障モード(短絡回路又は開回路状態)だけにするため,一般に,付加装置を用いる(

図 J.3

のよ

うな過電流分離器)

SPD の故障時に,一時的に不安定な状態が発生することがある。明確な状態(短絡回路又は開回路)に

するため,更に(温度分離器のような)追加装置が必要になる。

注記

JIS C 60364-4-41

には,適切な安全規定がある。

S
P
D

D

S
P
D

D

D

D

U

U

S

D

D

L

S


96

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

附属書 K

参考)

SPD

の適用

注記

  この

附属書 K

は,箇条

6

を補足している。情報が,この規格の特定の箇条に関係のあるところ

は,本体の箇条番号を(  )内に示す。

K.1

SPD

による防護及び位置

6.1

参照)

K.1.1

可能な防護モード及び設置

6.1.1

参照)

図 K.1

から

図 K.5

に,いずれかの接地方式の選択肢を示している(図内の 5a 及び 5b を参照)

注記 1

 SPD の共通接地点と PE 導体との間の接続(各図中の 5a 及び 5b)をできるだけ短くし,防護

レベルを低くするとともに,設備へのストレスを低くすることが,最もよい。

許容できる設置は,次の 5 段階で対応することが望ましい。

注記 2

  次に示す段階は,ラインと接地との間又は中性線と接地との間に接続している固定の SPD に

対して,主に有効である。その他の SPD には,その他の検討方式を要求することがある。

a

)  放電電流の経路を決定する。

b

)  機器端子に追加の電圧降下を引き起こす配線を確認する[

図 K.6

a

)及び

b

)]。

注記 3

図 K.6

内の U

res

は,クラス I 試験及びクラス II 試験で試験した SPD の残留電圧又は一般的

な制限電圧である。

c

)  不必要な誘導ループを避けるために,機器の各部分への導体配線を整える。

図 K.6

c

)及び

d

),並び

図 K.7

参照。

注記 4

  単一の接地点にできない場合は,

図 K.6

d

)のように二つの SPD が必要である。

d

)  機器と SPD との間の等電位ボンディングを確立する。

e

)  協調の要求事項によって SPD を選定する。

設備の非防護部分と防護部分との間の誘導結合を制限する対策を,用いることが望ましい。相互インダ

クタンスは,誘導源と被誘導回路との間の分離,ループ・エリアの制限及びループ角度の選定によって小

さくできる(

図 K.7

参照)

。電流が流れる SPD の配線がループ・エリアの一部分の場合,この SPD の配線

を電源ケーブルに近接することで,誘起電圧を小さくできる[

図 K.7

a

)参照]。

一般に,

SPD で防護していない電線から防護している電線を分離するほうが望ましい[

図 K.7

b

)参照]。

電力線と通信線との間の過渡的な相互結合を避けるように対策を行うことが望ましい。

EMC の観点から,許容できる幾つかの SPD の設置例については,

図 K.7

を参照する。


97

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

1

:電力供給点

2

:分電盤

3

:主接地端子又はバー

4

:低圧サージ防護デバイス

5a,5b :いずれかを SPD の接地に接続 
6

:被保護機器

F

:SPD の製造業者が指定する保護装置(例えば,ヒューズ,回路遮断器及び漏電遮断器)

R

A

:設備の接地極(接地抵抗)

R

g

:配電系統の接地極(接地抵抗)

図 K.1

TN

系統でのサージ防護デバイスの設置例


98

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

1

:電力供給点

2

:分電盤

3

:主接地端子又はバー

4

:低圧サージ防護デバイス

5a,5b :いずれかを SPD の接地に接続 
6

:被保護機器

7

:漏電遮断器

F

:SPD の製造業者が指定する保護装置(例えば,ヒューズ,回路遮断器及び漏電遮断器)

R

A

:設備の接地極(接地抵抗)

R

g

:配電系統の接地極(接地抵抗)

a)

  接続タイプ 

図 K.2

TT

系統

漏電遮断器の負荷側の SPD

での SPD の設置例


99

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

1

:電力供給点

2

:分電盤

3

:主接地端子又はバー

4

:低圧サージ防護デバイス

5a,5b :いずれかを SPD の接地に接続 
6

:被保護機器

7

:漏電遮断器

F

:SPD の製造業者が指定する保護装置(例えば,ヒューズ,回路遮断器及び漏電遮断器)

R

A

:設備の接地極(接地抵抗)

R

g

:配電系統の接地極(接地抵抗)

b)

  接続タイプ 

図 K.2

TT

系統

漏電遮断器の負荷側の SPD

での SPD の設置例

続き


100

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

1

:電力供給点

2

:分電盤

3

:主接地端子又はバー

4

:低圧サージ防護デバイス

4a

JIS C 60364-5-53534.2.3.2)による SPD 又はスパークギャップ

5a,5b :いずれかを SPD の接地に接続 
6

:被保護機器

7

:漏電遮断器

F

:SPD の製造業者が指定する保護装置(例えば,ヒューズ,回路遮断器及び漏電遮断器)

R

A

:設備の接地極(接地抵抗)

R

g

:配電系統の接地極(接地抵抗)

図 K.3

TT

系統

漏電遮断器の電源側の SPD

での SPD の設置例


101

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

1

:電力供給点

2

:分電盤

3

:主接地端子又はバー

4

:低圧サージ防護デバイス

5a,5b :いずれかを SPD の接地に接続 
6

:被保護機器

F

:SPD の製造業者が指定する保護装置(例えば,ヒューズ,回路遮断器及び漏電遮断器)

R

A

:設備の接地極(接地抵抗)

R

g

:配電系統の接地極(接地抵抗)

○/  :開放又は抵抗

図 K.4

中性線のない IT 系統での SPD の設置例


102

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

設備と引込口との間の距離が長い場合の追加 SPD のための可能な接続(6.1.4 参照)

a:SPD は,L-N 間及び N-PE 間に接続する。 
b:SPD は,L-PE 間及び N-PE 間に接続する。

図 K.5

TN C-S

系統の場合の設備引込口での代表的な SPD の設置例

a)

  構成(1 

b)

  構成(2 

c)

  構成(3 

d)

  構成(4 

Eq:機器 
a)

c)及び d)は許容できる。

b)

は,U

w1

及び U

w2

が十分に低い場合は許容できる(6.1.3 参照)

注記  a)及び b)において,電流 が SPD を流れ,この電流による磁界は,機器端子へのリード線によって形成するル

ープ内に入る。この効果によって,SPD の残留電圧に誘導電圧が加わる。この合成電圧は,機器端子間に現れ
る。

図 K.6

1

ポート SPD を設置する一般的な方法


103

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

a)

電磁結合の場合

1)

悪い実施例−ループ・エリアが大きい場合は,dI/dによって高い d

ϕ

/dを引き起こす。

2)

ややよい実施例−ループ・エリアが小さい場合は,より低い d

ϕ

/dを引き起こす。

3)

最良の実施例−ケーブルをシールドする場合は,シールド内で d

ϕ

/dt≒0 になる。

b)

誘導結合の場合

1)

悪い設置−誘導結合が*点で発生する。

2)

よい設置−SPD の電源側及び負荷側のケーブルはよく分離している。

図 K.7

EMC

の観点から許容できる及び許容できない SPD の設置例

a) 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 
b) 


104

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

K.1.2

防護距離に対する振動現象の影響

6.1.2

参照)

一般に,防護は,機器に近接して SPD を用いるだけでは不十分である。EMC の理由(サージ電流によ

る電磁障害を回避するために,建築物の引込口で電流を分流するほうがよいという)から,設備の引込口

に SPD を設置し,設備を防護する(導体間のフラッシオーバを回避するために)ほうがはるかによい。引

込口に設置した SPD の防護距離外に機器があり,必要な場合,機器に近接して別の SPD を設置する。そ

の場合には協調の検討が必要である(

6.2.6

を参照)

追加のサージ防護が必要な理由は,サージインパルスによって発生する振動又は進行波が,被保護機器

で想定した電圧よりも高くなることがあるためである。このようなシステムの構成及び電気回路例を,

K.8

に示す。

a)

  SPD と被保護機器との間の距離(d 

b)

  電気回路例 

図 K.8

被保護機器が SPD の防護範囲から離れている場合の構成及び電気回路例

機器に加わる電圧は,サージの周波数及び導体の長さに依存する。の値によって と との間の振動

は,機器端子部での電圧 u'を ku まで増加させる。の値は,多くのパラメータに依存する。機器が高イン

ピーダンスの負荷の場合,実際には,の値は 2 未満である。

5 nF の静電容量負荷をもつ機器から離れている酸化亜鉛バリスタ形 SPD に,8/20 で 5 kA のインパルス

を印加するサージ発生器の回路を,

図 K.9

に示す。この回路で模擬した結果を,

図 K.10

に示す。これは

防護する機器の端子での電圧が,SPD 端子の電圧の 2 倍に達することを示している。

図 K.9

酸化亜鉛バリスタ形 SPD と被保護機器との間の振動


105

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

V

SPD

  :SPD での電圧

V

eq

:機器の端子での電圧

図 K.10

電圧倍加の例

K.1.3

保護ゾーンの概念

6.1.6

参照)

直撃雷に関する

JIS Z 9290-4

に従った保護ゾーン内の建築物の配電系統の分割及び SPD の配置例を,

K.11

に示す。

LPZ  :雷保護ゾーン 
PZ

:保護ゾーン

PDS  :配電系統 
SPD  :低圧サージ防護デバイス

図 K.11

保護ゾーン内での建築物の分割


106

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

保護ゾーンは,次のように定義する。

a

)

雷保護ゾーン O

A

JIS Z 9290-4

参照)  対象物が直撃雷を受けるため全雷電流が流れることのある領

域。ここで減衰のない電磁界が発生する。

b

)

雷保護ゾーン O

B

JIS Z 9290-4

参照)  対象物が直撃雷を受けないが電磁界は減衰しない領域。伝搬

した減衰のない雷電流及び開閉サージが発生する。

c

)

保護ゾーン 1

  対象物が部分的な直撃雷を受ける領域。伝搬したインパルス雷電流及び/又は開閉サ

ージは,雷保護ゾーン O

A

又は O

B

に比べて減少する。

d

)

保護ゾーン 2

  残りのインパルス雷電流,及び/又は開閉サージは,保護ゾーン 1 に比べ減少する。

e

)

保護ゾーン 3

  振動の影響によって生じたサージ,電磁結合及び内部開閉サージは,保護ゾーン 2 に

比べ減少する。

伝搬し脅威を与えるパラメータは,保護ゾーン境界に SPD を設置することで減少する。これらの SPD

間の協調は,

6.2.6

に従って行うことが望ましい。これらのデバイスの特性パラメータは,設置場所に伝搬

してくる脅威のパラメータと適合する(

6.2.1

及び

6.1.5

参照)

注記

JIS Z 9290-4

附属書 JA

附属書 JF

に従ってクラス I 試験で試験した SPD を用いる場合は,

雷保護ゾーン 1 の境界である LPZ O

B

側に,この SPD を設置することが望ましい。

6.1.4

によって SPD を設置するごとに,新しい保護ゾーンを設定する。

K.2

SPD

の選定

K.2.1

U

c

の選定

6.2.1

参照)

ほとんどの SPD の場合,5 秒間以上継続する一時的過電圧を,永久ストレスとみなす。したがって,U

c

は,正常な条件及び 5 秒間以上続く故障条件(一時的過電圧)を考慮して,次のように選定する。

a

)

正常な条件

  この場合は,次による。

1

)

ラインと中性線との間

  ラインと中性線との間の SPD の U

c

は,U

cs

よりも高い方が望ましい[一般

には,U

0

の 1.10 倍(10 %の電圧変動)であり,又は SPD の起こりうる劣化及びその他の系統異常

によるマージンを 5 %と考慮する場合は,1.15 倍である。

2

)

ライン間

  ライン間の SPD の U

c

は,U

cs

よりも高い方が望ましい(一般には, 3 U

0

の 1.10 倍)

注記 1

  幾つかの実例で,電圧変動範囲(例えば,電圧変動をメータ部だけで設定する非常に大

きなビル)によっては,U

cs

は,上記に規定する一般的な範囲(それぞれ 10 %及び 3 倍

の 10 %)以上になることがある。

ある例では,電圧変動はより小さいことがある(例えば,5 %)

。この場合,小さい値としてもよ

い[例えば,U

c

は,U

0

の 1.05 倍(又は 1.05× 3 ×U

0

)よりも高くなるだけの場合がある。

3

)

ラインと接地との間又は中性線と接地との間

  この場合は,次による。

− TT 系統及び TN 系統の場合,ラインと接地との間又は中性線と接地との間の SPD の U

c

は,U

cs

(一般に,U

0

の 1.10 倍)よりも高くする。

− IT 系統では,次の特殊条件がある。

注記 2

  変圧器の二次側にセンタータップのある変圧器から給電している回線では,U

c

は,二つ

の値になる。U

c

の一つの値は U

cs

の 1 倍,もう一つの値は U

cs

の 3 /2 倍である。

高調波の発生によって供給電圧の最大値は増加するので,これらの高調波がないときの U

c

の選定と

比較して,U

c

の値を増加することがある。

b

)

特殊条件

故障条件

)  ラインと接地との間に接続している SPD の U

c

の選定には,場合によって特定


107

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

の故障条件を考慮することがある。これは,系統に故障が起きた場合,多くの SPD の破壊を避けるた

めに行う。IT 系統の場合には,このような故障条件を考慮することが重要である。

TT 系統及び TN 系統の地絡状況下では,ラインと接地との間の電圧が U

cs

を超えることがある。こ

れは,高圧配電系統又は低圧配電系統のうちいずれかの故障条件に依存し,電圧の最大振幅について

は接地方式に依存する。詳細については,

4.1.3.2

を参照する。U

c

の選定は,このような故障条件によ

る実際の電圧値に依存する。系統の故障で SPD に損傷を及ぼさないことを保証するために,十分に高

い U

c

の値を用いることは,防護レベルを高くするために現実的ではない。一般にシステム構成とは無

関係に,1.5 U

0

よりも高い U

c

を用いるのが適切である。

IT 系統における地絡状況下では,ラインと接地との間の電圧は,一般に U

0

3

倍になる。低圧配

電系統でのこのような故障は,十分に長い継続時間になることがあり,永久条件としてみなすことが

ある。この場合,ライン間の電圧よりも高い U

c

を用いることがより望ましい。SPD の U

c

と電力系統

の公称電圧との関係例を,

附属書 B

に示す。

K.2.2

協調問題

6.2.6.2

参照)

この問題についての詳細を説明するため,インダクタンスで分離した 2 個の酸化亜鉛バリスタの代表的

な協調例を,

図 K.12

に示す。SPD2 は,SPD1 よりも低い U

p

及び低い I

n

値をもっている。サージの立ち上

がり部のインダクタンス効果によって,ほとんどの電流は SPD1 に流れ,SPD2 の電流は,SPD2 の特性及

びインダクタンスによる時定数で徐々に増加する。このように,全体の電流の多くがかなりの時間 SPD2

に流れることになる。全体の電流,SPD1 及び SPD2 を流れる電流,並びに SPD1 及び SPD2 の電圧を,

K.12

に示す。


108

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

U

1

  前段の SPD 端子の残留電圧

U

2

  後段の SPD 端子の残留電圧

a)

  バリスタの残留電圧 

I

T

  全電流

I

1

  前段の SPD の電流

I

2

  後段の SPD の電流

b)

  個のバリスタ間の分流 

図 K.12

2

個のバリスタの協調

次の事項に留意する。

−  この規格では,この最大エネルギー耐量(E

max

)を,SPD が劣化しないで耐えることができる最大の

エネルギーとして定義している。これは試験結果(クラス I 試験の I

imp

又はクラス II 試験の I

max

で動

作責務試験中に測定したエネルギー)から得るか,又は製造業者の情報の I

max

(クラス II 試験)及び

U

res

I

max

)又は I

peak

(クラス I 試験)及び U

res

I

peak

)を考慮し算出することができる。

インピーダンス に相当する 2 個の SPD 間の距離 の配線は,次のような減結合素子として用いてもよ

い。

a

)  電圧制限形 SPD の場合,この減結合インピーダンスは,一般に短い波形(例えば,8/20)にだけ効果


109

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

的である。長い波形(例えば,10/350)では,ケーブルの線路長による減結合インピーダンスでは不

十分である。適切な協調のため,追加の減結合素子が必要となることがある。

b

)  前段の SPD が電圧スイッチング形 SPD の場合には,次の二つの特性を考慮する。

−  I

imp

よりも低い電流では,ギャップの端子間の電圧がかなり低くなることがあり,ギャップが放電し

ないため,後段の SPD を防護できないというブラインドスポットをもつことがある。ギャップは,

サージの立ち上がり部分で放電を開始することが重要である。

−  立ち上がり時間が長い場合,減結合素子は,8/20 又は 10/350 の波形のときほど効果的ではない。こ

のような立ち上がり時間が長い場合は,

IEC/TC81

の中で現在検討中である。

一般に,次の 2 種類のサージに対する協調を考慮する。

−  長いサージ波形(クラス I 試験のために用いる波形)での協調

−  短いサージ波形(クラス II 試験のために用いる波形)での協調

注記

  2 個の協調した SPD の最大エネルギー耐量は,必ずエネルギー耐量の低い SPD の値と同等以上

になる。既に SPD(SPD1)のあるシステムに新しい SPD(SPD2)を接続する場合,適切に協

調することを保証する必要がある。

K.2.3

実施例

6.2.6.3

参照)

実際に設置するに当たって,協調についての検討事項は,

K.2.2

に示した単純な例よりも,次のように

かなり複雑になる。

a

)  リード線がある又は分離器のような付加装置がある場合,回路内にインダクタンスが加わることがあ

る。多くの SPD 間の分流を更に検討する必要がある。したがって,実際の設置回路が必要になる。

b

) SPD 内に用いている素子の特性の許容差によって,ある電流で残留電圧の実測値がばらつくことがあ

る。さらに,製造業者から通常入手する値は,実際には,表示値よりも 25 %以下となるようなマージ

ンを考慮した防護レベル U

p

である。

c

) SPD のエネルギー耐量 E

max

は,長い波形又は短い波形に対して異なることがある。この値は,一般に

一つの試験クラス(クラス I 試験は長い波形及びクラス II 試験は短い波形)だけに対して規定する。

このエネルギー耐量を規定していない場合には,算出する必要がある。


110

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

附属書 L

参考)

リスク解析

防護のための費用(

L.5

のグループ E で決定)が,防護していない設備(

L.1

のグループ A から

L.4

グループ D で決定)内でサージによって発生する必要な費用よりも少ない場合は,SPD を用いることが得

策である。

L.1

グループ A−環境

“グループ A−環境”は,次による。

a

)

A1

:雷発生率及び厳しさ N

g

(年間大地雷撃密度 N

g

は,1 年間の 1 km

2

当たりの雷撃回数で,

4.1.1

I.1

を参照。

)  “A1:雷発生率及び厳しさ N

g

”は,次による。

−  建築物の雷保護システム(LPS)又は電力線,及び通信回線への直撃雷

−  抵抗結合又は誘導結合

雷保護システム,引込み配電線,金属性通信線,データケーブル,無線周波ケーブル,導波管,水

道管などの系統外導電部品を経由して侵入する,雷の直接的及び間接的なエネルギーを誘起する全て

の状況についてのリスクアセスメントを考慮することが必要である。一般に光ケーブルは,防護した

エリアを通過する金属導体がない場合は影響を受けない。

b

)

A2

:電力スイッチングの発生率及び厳しさ

  モータ・コントローラのような電力スイッチング機器と

同じ回路又は近くの電子機器は,負荷で発生した過渡現象によって損傷又は劣化することがある。さ

らに,過渡現象は,電力設備の開閉,システム事故又は内部障害のうちいずれによっても発生するこ

とがある。

c

)

A3

:周囲の建築物の LPS の被雷及び結合

  損傷は,雷電流による大地電位上昇を含め,近くの建築

物又は施設の LPS に流れる雷電流からの過渡的な結合によって発生する。このようなエネルギー分布

は,通常電力設備の配電線を経由して発生し,使用者によって直接制御することはできない。エネル

ギーの消費は,局部的ネットワークのそれぞれ異なる接地抵抗の大きさに関係する。

d

)

A4

:設備又は建築物の位置

  “A4:設備又は建築物の位置”は,次による。

−  地形

−  近隣の建築物及び樹木による遮蔽

高い丘,山の頂上又は中腹の施設は,谷間及び低い場所にある類似した施設よりも直撃雷を受けや

すい。同様に,高い通信塔などを備えた設備は,被雷の危険が増大する傾向にある。小規模で低層の

施設は,近隣のより高い建築物などによって直撃雷から遮蔽できる。ただし,このような遮蔽は,施

設に引き込むケーブルを経由するエネルギーの侵入に影響を及ぼさない。

L.2

グループ B−設備及び施設

“グループ B−設備及び施設”は,次による。

a

)

B1

:設備の耐インパルスカテゴリ及びイミュニティレベル

  製造業者は,電気機器及び電子機器を

様々なインパルス耐電圧レベルに設計してもよい。レベルが低いほど危険度はより高い。製造業者か

ら特に情報がない場合は,その機器は特定のイミュニティレベルを組み込んでいないと仮定すること


111

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

が望ましい。正しく防護を設計すれば,引込口のケーブル部でエネルギー分流を最大にして,機器へ

の伝搬を最小にする。

b

)

B2

:接地システム

  “B2:接地システム”は,次による。

−  接地抵抗及びインピーダンス

−  配置及び接近性

−  その他の接地システムへの結合

最も重要なことは,直接接続又は SPD 結合によって接地等電位ボンディングを実施することである。

分離している接地システムは,特に注意する。

c

)

B3

:電力系統の配置

  “B3:電力系統の配置”は,次による。

−  架空線

−  地中配線

−  架空線及び地中配線

地中配線の低圧配電ケーブルは架空線よりも危険度は低くなるが,地中配線ケーブルの近傍への直

撃雷は,特に高い大地抵抗率の場合,かなり高い過電圧を引き起こす。設計者は,地中配線ケーブル

の長さ,架空配線がサイトからある程度離れているかどうか,及び中圧配電設備のネットワークが架

空配線であるかどうかを考慮する必要がある。低圧及び中圧配電線の両方については,総延長及び高

さが関連するパラメータになる。より長くて高い回線は落雷の危険が大きくなり,施設又は建築物へ

雷エネルギーを伝搬する危険がより大きくなる。

L.3

グループ C−経済活動及びサービスの中断

“グループ C−経済活動及びサービスの中断”は,次による。

a

)

C1

:サービスの悪化又はサービスの停止

  回線障害及び損傷は,ビジネスの運用に障害をもたらす。

サービスの悪化は,直接的な金銭損失に加え質的な問題を発生することがある。例えば,広範囲に自

動化又はコンピュータ処理をしている場合,手動操作への切り替えは事実上不可能である。

b

)

C2

:業務の停止

  業務の停止は,機器,コンピュータ,通信及び情報技術システムの稼動停止による

実時間の費用,並びにビジネス生産性及び/又は運用収益に関連する損失を含む。緊急業務及び特定

の中央情報システムのような重大なシステムは,供給停止に関連する直接及び間接経費が非常に高額

になることがある。営利会社は,供給の停止時間によって直接収入を失う。供給の修理,回復のため

の推定時間は,スタッフ,予備品,手順及び情報の有効性に依存する。

c

)

C3

:機器又は施設の修理又は交換

  これは,機器の交換並びに直接及び再設置の間接経費を含めた実

質的な損害の費用である。小振幅パルスの繰り返しによる機器内素子の緩やかな劣化が,不定期的な

故障を発生することがある。このような現象は,故障時において雷雨又は開閉現象と直ちに又は直接

的に関係しないことがある。このような累積的な影響によって,定期的な又は予防的な維持費が増加

することがある。

d

)

C4

:緊急業務

  機器の損傷又は人の負傷の場合,会社,人又は社会が費用を負担する消防,救急,警

察などの緊急業務を必要とすることがある。火災警報システム及び緊急通信サービスの故障は,この

ような業務の能率が低下する。通常,緊急業務は高レベルの防護が必要である。

L.4

グループ D−安全性

絶縁破壊による人体への危険性がある場合,SPD の使用を考慮することが望ましい。人の安全性は,設


112

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

計者及び施工者の重要な問題である。労働安全に関連する法規を守る必要がある。

L.5

グループ E−防護費用

“グループ E−防護費用”は,次による。

−  設備設計

−  材料及び装置

− SPD の設置

防護の費用は,SPD,技術設計及び管理,並びに電気工事を含んでいる。

IEC 62305-2

は,雷サージに関

連するリスク評価の方法を規定する。開閉サージに関連するリスクの評価方法は,検討中である。


113

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 M

参考)

イミュニティに対する絶縁耐力

JIS C 61000-4-5

は,電子機器及びシステムに対する電圧及び電流サージからのイミュニティを決定する

ための試験について規定する。試験用の機器又はシステムは,ブラックボックスとして取り扱い,試験結

果は,次の基準によって判定する。

a

)  正常な性能

b

)  操作者を必要としない一時的な機能損失,又は一時的な性能劣化

c

)  操作者を必要とする一時的な機能損失,又は一時的な劣化

d

)  機器が永久故障となる機能損失(試験の不合格を意味する。)

JIS C 61000-4-5

の試験は,機器及びシステムの永久故障及び破壊を含む影響範囲の全てを,比較的低い

電流サージによって調査するのに対し,機器の一時的な機能損失にはそれほど関係ないが,実際の損傷又

は破壊に多く関係するその他の関連する試験規格がある。

JIS C 60664-1

は,低圧電源システム内の機器の絶縁協調に関するものであり,

JIS C 5381-11

は低圧配電

システムに接続する低圧サージ防護デバイスに対する試験規格である。さらに,両規格は,機器への一時

的過電圧の影響を考慮している。

JIS C 61000-4-5

及び

JIS C 61000

規格群のその他の規格は,機器及びシ

ステムへの一時的過電圧の影響を考慮していない。

永久故障は,システムの停止時間及び修理又は交換費用が発生するため,常に許容できない。このタイ

プの不具合は,一般にサージ保護がない又は不適切なためで,機器の回路に高圧及び大きなサージ電流が

侵入し,動作の中断,素子の故障,永久的絶縁破壊,及び火災,煙又は感電の危険の原因となるものであ

る。特に重要な機器及びシステムが,サージ侵入間に動作を継続しなければならない場合,機能の損失,

又は機器及びシステムの破壊を生じることは望ましくない。

JIS C 61000-4-5

に規定する試験に対し,適用試験電圧レベル(設置クラス)及び結果として発生するサ

ージ電流の振幅は,機器の応答に直接影響を与える。簡単にいえば,機器が適切なサージイミュニティを

備えるように設計していない場合,サージの電圧レベルが高いほど,機能の損失又は破壊の可能性は高く

なる。

低圧配電システムに用いる低圧サージ防護デバイス(SPD)を試験するため,

JIS C 5381-11

のクラス III

試験は,8/20 短絡回路電流波形及び 1.2/50 開回路電圧波形を発生するような内部インピーダンス 2 Ω のコ

ンビネーション波形発生器を規定する。

JIS C 61000-4-5

は,電力用機器及びシステムに対するサージイミ

ュニティ試験のために同じコンビネーション波形発生器を使用するが,異なる結合素子を用い,また,直

列インピーダンスを時々追加して用いる。この規格の試験電圧レベル(設置クラス)及び

JIS C 5381-11

の開回路電圧の波高値 U

oc

は,等価である。この電圧は,発生器の端子部でのピーク短絡回路電流の波高

値を決定する。試験方法の違いによって試験結果は,直接比較できない。

機器又はシステムのサージイミュニティは,内蔵したサージ防護素子,デバイス(SPD)

,又は外付けの

SPD によって達成する。SPD に対する最も重要な選定基準は,

JIS C 5381-11

に規定する電圧防護レベル

U

p

である。

このパラメータは,

JIS C 60664-1

による機器の耐電圧 U

w

と協調が取れていることが望ましく,

規定する条件で試験中に SPD の端子間で想定できる最大電圧である。電圧防護レベル U

p

は,この規格内

では機器の耐電圧 U

w

との協調だけ用いる。電圧防護レベルの値は,

JIS C 61000-4-5

で試験した機器の電


114

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

圧イミュニティレベル以下であることが望ましいが,現時点で言及していない。特に波形は,二つの規格

との間で常に比較できないためである。

一般に,

JIS C 61000-4-5

による機器のサージイミュニティレベルは,

JIS C 60664-1

による絶縁耐力レベ

ルよりも低い。ただし,非常に低い防護レベルをもつ SPD(又は組込み形サージ防護素子)は,

JIS C 

60364-4-44

による一時的過電圧の影響を考慮することが望ましい。機器を故障から防護し,サージ侵入中

に動作を継続し,大きな一時的過電圧に耐えることができる SPD の選定が可能である。


115

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 N 

参考)

一部の国における電源用分電盤内の SPD 設置例

一部の国における電源用分電盤内への SPD の代表的な設置例を,

図 N.1

図 N.5

に示す。この規格で既

に規定したように,リード線は最短とし,SPD の短絡電流耐量は,分電盤の位置での推定短絡回路電流と

協調を取ることが重要である。

1

電源引込口

2

主開閉器(一部の国では断路器)

3 SPD 及びその分離器(SPD 外郭内に組込み可能)

図 N.1

−(

SPD

外郭内に組込み可能な

分離断路器経由で主開閉器の負荷側に接続した SPD の配線図

SPD のためのこのような分離器の使用は,例えば,装置の絶縁抵抗試験のために SPD を断路する必要が

あるため,主開閉器の断路なしで,ユニットを断路できるよい方法である。

注記

  装置の耐電圧試験を,ある国では絶縁抵抗試験という。

SPD

1

2

3


116

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

1

分電盤

2

主開閉器[主断路器又は主遮断器(MCCB)

3

主接地端子

4

中性点端子

5 SPD のケース 
6

第 1 分岐ヒューズブロック

7

追加の第 1 分岐ヒューズブロック

8

分電盤のきょう(筐)体への接続

図 N.2

電源引込口に最も近い利用可能な分岐用 MCCB に接続した SPD

イギリスでの代表的な TNS 設備

MCCB は SPD のヒューズとして便利な手段で,断路の手段も備えている。分電盤内では十分なスペース

がないため,電気安全のため分離したきょう(筐)体に収納する。このきょう体は,接続線を短く配線す

るために,分電盤に直接隣接して設置する。追加の接地のボンディングは,接続線での電圧降下を更に小

さくするようにする。


117

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

1

電源引込口

2

主開閉器[主断路器又は主遮断器(MCCB)

3

第 1 分岐ヒューズブロック

4

追加の第 1 分岐ヒューズブロック

5

ヒューズ(又は MCCB)

図 N.3

ヒューズ

又は MCCB

経由で分電盤の第 分岐に並列に接続した SPD の単線結線図

適切なヒューズ(又は MCCB)の使用は,SPD の設置のため便利であり,例えば,装置の耐電圧試験で

SPD を断路する必要があるため,主開閉器の断路なしで,ユニットを断路できるよい方法である。ヒュー

ズの大きさは,SPD が通電するサージ電流容量を低減しないで,電源引込口の電源用ヒューズと協調の取

れたものを選定する。

SPD

1

2

3

4

5


118

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

1

主分電盤

2

主遮断器

3

主接地端子バー

4

中性点端子バー

5 G-N ボンディング 
6 SPD の外郭

図 N.4

電源引込口に最も近い利用可能な遮断器に接続した SPD

米国の三相 線+GTN-C-S 設備

MCCB の負荷側は,限流ヒューズ経由の SPD を接続するためには便利な場所である。この配置は,保守

時の絶縁手段にもなる。分電盤内に十分なスペースがないため,電気安全のため分離したきょう(筐)体

に収納する。このきょう体は,接続線をできるだけ短く配線するために,分電盤に直接隣接して設置する。 


119

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

1

主分電盤

2

主遮断器

3

主接地端子バー

4

中性点端子バー

5 G-N ボンディング 
6 SPD の外郭

図 N.5

電源引込口に最も近い利用可能な遮断器に接続した SPD

米国の単相 線+G120/240 V システム,住宅及び小事務所に適用

MCCB の負荷側は,限流ヒューズ経由の SPD を接続するためには便利な場所である。この配置は,保守

時の絶縁手段にもなる。分電盤内に十分なスペースがないため,電気安全のため分離したきょう(筐)体

に収納する。このきょう体は,接続線をできるだけ短く配線するために,分電盤に直接隣接して設置する。

注記

  米国では,アメリカ電信コード(NEC: National Electric Code)によって規定する SPD の短絡電

流容量が,設置場所における推定故障電流と協調が取れていなければならないことを,NEC で

規定している。


120

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

附属書 O 

参考)

信号及び電源端子をもつ機器の協調

機器の二つのポートを,協調の取れていない SPD で保護した場合に発生する問題を検討するために,モ

デムを装備したパソコン(PC)を例に取り上げている。

代表的なシステムは,それぞれ協調の取れていない部位で構成し,これらは,サージ防護のための協調

が取れていないため危険になる。各電源系統及び通信システムは,サージに対する防護を備えていたとし

ても,PC の電源と通信ポートとの間で,サージ防護システムを通過するサージ電流によって,電位差が発

生する。PC/モデムの性質及びそれらのイミュニティレベルによって,この電位差が,PC/モデムを破損

する又はこの機器の誤動作を招くことがある。

最初の例は,どのようにしてこの問題が発生するかを示している。この例は,電源及び通信系統を基本

としている。

図 O.1

では,PC は,接地導体を含む 3 心コードの分岐回路から電源を供給しているモデムを装備してい

る。接地導体は,安定した電位の電源盤のきょう(筐)体に接続している。モデムの通信ポートは,その

位置で金属製の通信ソケットに接続し,通信用端子に配線している。きょう(筐)体は,通常,建築物の

引込口に位置し,電話用 SPD を設置している。

1

モデム又は電源及び通信用の異なるポートのある同様の電子デバイスをもつコンピュータ

2

遮断器及び電源用 SPD のある主分電盤

3

通信用 SPD のある通信用の引込端子

4

単相 3 線式の電源ライン

5

架空通信線

6

等電位ボンディングシステム

図 O.1

米国での電源及び通信システムにおけるモデム付き PC の例

協調の取れていないサージ防護の影響,及び推奨する解決案の利点を明らかにするため,

図 O.2

で示す

ように,電源及び通信並びに等電位ボンディングシステムをもつ家庭内配線の実物大の模型で,測定を実


121

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

施した。通信線は,等電位ボンディングシステムから少し離れた距離で,代表的なルートで配線した。

 1  モデム又は電源及び通信用の異なるポートのある同様の電子デバイスをもつコンピュータ(PC) 
 2  遮断器及び電源用 SPD のある主分電盤 
 3  通信用 SPD 
 4  単相 3 線式の電源ライン 
 5  架空通信線 
 6  電源用 SPD 素子(バリスタ) 
 7  等電位ボンディングシステム 
 8  配電用変圧器 
 9  複数の接地のある共通中性点(MGCN) 
10  通信用 SPD 素子(GDT)

図 O.2

実験に使用した図 O.1 の回路構成

通信回路に発生するサージが,通信線の引込口にあるガス入り放電管(GDT)の動作によって,PC に

どのように電圧(電位差)U

diff

が誘起するかの例を

図 O.2

に示す。通信線の引込口で GDT が動作した場合,

等電位ボンディングシステムに流れるサージ電流によって,PC の通信ポートと電源ポートとの間に電位差

が発生する。これは,サージ電流 I

surge

が水道管の内部を流れ,そのインダクタンス によるものである。

水道管通過時の電圧降下は,水道管を通過する電流の変化率を dI

surge

/dとした場合,式 UR×I

surge

L×

dI

surge

/dで表すことができる。係数 及び は,水道管及び通信線の引込口と等電位ボンディングシステ

ムとの間の接地線の抵抗及びインダクタンスである。

通信関係の規格に規定するようなサージが,通信線の引込口から上流に侵入した場合に得られた記録を

図 O.3

に示す。サージ電流の変化率 75 A/µs に対し 4.3 kV のピーク値がループ内に誘起した。この電圧は,

PC の 2 ポート間に発生することになる(ただし,実験では PC は接続していない。PC を無駄に危険状態

に置かないため,ループを開放状態として測定した。

注記

  通信関係で用いる標準的なパルスは,8/20 だけではない。ITU では,約 20 A/µs の電流インパ

ルスの 5/300(100 A)となる電圧インパルス 10/700 を用いている。

JIS C 5381-21

では,同様に

U

diff


122

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

多くの異なる波形を用いている。

I

通信用 SPD への電流  50 A/目盛:di/dt=75 A/µs

U  通信ポートと保護導体(PE)との間の電圧  2 kV/目盛:最大 4.3 kV 
水平軸  2

μs/目盛

図 O.3

サージ中の PC/モデムに対し関連する点で記録した電圧の例

二つ目の例は,

図 O.4

に示した課題を説明するために用いた。これは,通信回線に接続した設備に供給

している電源(TT,相及び中性線)を表している。二つの回路網を局所接地へ等電位ボンディングするた

めに,SPD をこれらの回路網の引込口に設置する。この検討では,二つの接続点を別にし,これら 2 点間

を(この距離に等価な)インダクタンスによって分離したときの,実際的な場合を模擬した。また,機器

直前の通信線に,直接他の SPD(ダイオードなど)を設置した。距離 L2 は,GDT と SPD(ダイオードな

ど)との間,及び距離 L1 は,通信ラインの接続点と電源ラインとの間である。

  時間(

μs)

電圧

(kV)

電流 
I (A)

  (U

(I


123

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

図 O.4

模擬実験に用いた代表的な TT システム

図 O.2

の通信回路に印加したサージ電流の影響は,計算機シミュレーションで解析したが,それは実際

の試験と同様な結果であった。変圧器の高周波モデル及び回線(両ラインで 200 m)への伝搬の影響を用

いている。電源用 SPD は,バリスタタイプ(電圧制限形素子)で,通信線用 SPD は,ガス入り放電管タ

イプ(電圧スイッチング形素子)である。接地抵抗 R

b

は,GDT の放電電圧(U

am

)と同様にこの検討のパ

ラメータであった。電源用 SPD(三つの防護モード)は,公称放電電流 10 kA 及び電圧防護レベル 1.5 kV

である。

次に例を示す。

L

1

L

2

=10 m の場合,リード線長さ L

1

に発生する電圧降下は,観測値として電力網に落雷した場合は

12.5 kV,通信線網に落雷した場合は 35 kV となった。このレベルは,機器内部でフラッシオーバが発生す

るのに十分な値である。両方の配線網を SPD で防護し,同一の接地システムでボンディングした場合でも,

内部のフラッシオーバは,まだ発生する可能性がある。これらの結果を一般化するために,両方の配線網

に負荷を追加して,シミュレーションを実施した結果は,同じであった。さらに,その他のタイプの配線

網(TN 及び IT)及び各種サージ波形のシミュレーションも実施した。

結果を

表 O.1

にまとめた。

表 O.1

シミュレーション結果

単位  kV

システムの種類

侵入サージ条件

L

1

に発生する電圧降下

電源側からの侵入

通信線側からの侵入

TN システム 8/20 で 10 kA

12

35

IT システム, 
中性点インピーダンス:1 000

Ω

8/20 で 10 kA

8

35

TT システム 10/350 で 10 kA

8

23

機器のフラッシオーバの危険に関する結果は,

全てのタイプの電源システムで同じであることが分かる。

機器のサージ耐電圧は,一般に最大 2.5 kV のオーダであり,弱いサージ(10 kA だけ)によって発生する

電圧は,このサージ耐電圧を超過する(8 kV∼35 kV)

注記

 10/350 で 10 kA は,通信線では現実的ではない。通信線は,約 2 kA で溶断し,通信線網での測


124

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

定では,100 A 程度の値を示す。このような値は,電源側と通信線側との間の比較のために用

いた。

可能な解決策

上記の問題点を避けるためには,次の二つの対策がある。

−  各種ライン間(上記記載例の通信線及び電源ラインの場合)のループ面積を低減するために,別のケ

ーブル経路を見つけ,インダクタンス を少なくする。ただし,これは,既存の建築物に対しては容

易ではない。新築建築物では,引込口での単一ボンディングが,最高の解決策である。

−  機器の近傍で,電源システム端子と共通ボンディング点との間に SPD を設置し,その他のシステム(例

えば,通信)端子と共通ボンディング点との間にも同様に実施する。一般に,これらの SPD は,電源

用 SPD 及び通信用 SPD を一つのパッケージに収納しており,

多用途 SPD という。

このような複合 SPD

は,共通ボンディング点と機器の全ての接続部との間を最短のリード線で接続して,サージ防護を行

っている。この共通ボンディング点は,PE に接続しなければならない。PE に接続する場合,この共

通ボンディング点は,被保護機器のきょう(筐)体とすることができる。

図 O.1

に示す実験による SPD の効果を,

図 O.5

に示す。

図 O.5

は,

図 O.3

と比較することが望ましい。

I

通信用 SPD への電流:di/dt=75 A/

μs

U  通信ポートと保護導体(PE)との間の電圧  200 V/目盛:最大 200 V 
水平軸  2

μs/目盛

図 O.5

多用途 SPD を図 O.1 の回路に適用したときの電圧及び電流波形

電圧

U (V)

電流 
(A)

  (U)

  時間(

μs)

(I


125

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

附属書 P

参考)

短絡バックアップ保護及びサージ耐量

P.1

まえがき

サージ電流は,SPD だけではなく,回路のその他デバイスにも流れる。これらその他デバイスは,バッ

クアップ保護及びその他の事故電流保護をもっており,不要な動作又は溶断が発生することがある。これ

らの構成部品が,設備のサージ処理能力を制限するのを防ぐために,これらデバイスの耐量を知ることが

必要である。ヒューズ以外の技術に対しては,サージ耐量の実際の結果が,デバイスの種類に非常に関係

するので,この附属書では,ヒューズに関する情報だけを取り扱う。これは,これら機械的回路遮断器を

この附属書で取り扱わなくとも,SPD 又は回路遮断器製造業者が,回路遮断器(MCB,MCCB,RCD など)

のようなその他のデバイスと SPD との間の協調に対する情報を提供できるからである。

注記

  日本では,回路遮断器の MCCB は配線用遮断器で,RCD は ELCB と同等の製品である。

P.2

ヒューズの 8/20 及び 10/350 の単発インパルスに対する耐量の情報

サージ波形から I

2

の計算を行い,ヒューズ製造業者によるヒューズの I

2

t(1 ms)と比較することで,

単発インパルスのサージ耐量を,推定することが可能である。

サージ波形の I

2

は,サージのピーク値及び波形ごとの式を用いることで推定できる。

a

) 10/350 の波形に対しては,次の式を用いる。

2

crest

2

3

.

256

I

t

I

×

=

b

) 8/20 の波形に対しては,次の式を用いる。

2

crest

2

01

.

14

I

t

I

×

=

ここに,

I

2

t: サージの I

2

t(A

2

s)

I

crest

サージの電流波高値(kA)

例 1

  サージ電流 8/20 で 9 kA,単発インパルスに耐えるためには,バックアップヒューズは,次の

値よりも大きな最小 I

2

をもたなければならない。

I

2

t=14.01×9

2

=1 134.8 A

2

s

注記

 32

A 筒形ヒューズ(gG タイプ)の代表的な I

2

t:1 300 A

2

s

例 2

  サージ電流 10/350 で 5 kA の単発インパルスに耐えるためには,バックアップヒューズは,

次の値よりも大きな最小 I

2

をもっていなければならない。

I

2

t=256.3×5

2

=6 407.5 A

2

s

注記

 63

A

NH ヒューズ(gG タイプ)の代表的な I

2

t:6 500 A

2

s

例 3

  I

2

が 24 000 A

2

s の新しいヒューズ(100 A 筒形ヒューズ gG タイプ)は,8/20 の単発インパル

スで次の電流値に耐えることができる。

kA

4

.

41

01

.

14

000

24

crest

=

=

I

P.3

前処理試験及び動作責務試験によってヒューズが影響

低減

する係数

JIS C 5381-11

に規定する試験を実施中に,ヒューズは,単発インパルスだけでなく全試験(前処理試験


126

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

及び動作責務試験)に耐えなければならない。これらのインパルスによってヒューズが劣化し,その結果

単発インパルスの耐量(

P.2

参照)に比べて,その耐量が低くなることがある。

前処理試験及び動作責務試験の全試験に合格するために,単発インパルス耐量値に対して 0.5∼0.9 の係

数を適用することを実験的に示す。

次の三つの主な係数を検討する。

a

)

I

n

と,I

max

又は I

imp

との間の比率

  動作責務試験を I

max

又は I

imp

I

max

又は I

imp

の 0.1,0.25,0.5,0.75

及び 1 倍)で実施する場合は,前処理試験は,I

n

(15 回のインパルス)で実施する。I

n

値が I

max

又は

I

imp

のピーク値よりも低い場合は,I

n

での前処理試験による劣化は,I

max

及び I

imp

のストレスに比べ無

視することができる。それに対し,I

n

値が I

max

又は I

imp

のピーク値に近い又は高い場合は,前処理試験

のストレスは無視できない。

b

)

ヒューズの単発インパルス耐量に比較する値

  I

n

I

max

又は I

imp

値が最大 I

crest

値に近い場合

P.2

参照)

ヒューズは,各インパルスによって劣化する。それに対し,最大 I

crest

値が十分に大きい場合には,影

響は無視できる。

c

)

ヒューズの許容値

  ヒューズの製造業者は,一般にヒューズ規格を満たす許容値を指定している。こ

の許容値は,正確なサージ耐量に関連していないため,この計算に用いることはできない。

P.4

ヒューズの単発インパルス耐量の低減に関する係数の推定範囲の規定例

筒形 100 A gG ヒューズは,波形 8/20 のサージ電流 41.4 kA の単発インパルスに耐えると思われる。

I

max

=40 kA 及び I

n

=20 kA のタイプ 2 SPD の試験に対して,経験上,このヒューズは,全ての前処理試

験及び動作責務試験に合格できない。

最適なバックアップヒューズは,最低溶断値 40 000 A

2

s の 125 A gG である。

P.2

から,最低溶断値 40 000

A

2

s のヒューズは,波形 8/20 の 53.4 kA の単発インパルスに耐えることができる。

このヒューズの波形 8/20 単発インパルスピーク値と,全試験に対する実際の耐量との間の比率は,この

場合 0.75 である。

I

max

が,タイプ 2 SPD の I

n

の 2 倍で,I

n

値がタイプ 1 SPD の I

imp

と同等とした場合,同様な解析による幾

つかの特性値を,

表 P.1

に示す。


127

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

表 P.1

単発インパルス耐量と前処理試験及び動作責務試験との間の比率の例

ヒューズの

代表的な

定格電流

代表的な溶断値,P.2 の簡易式によって計算した電流波高値及び実際の試験値

筒形 gG ヒューズ NH

gG ヒューズ

溶断値

計算値

試験値

比率

溶断値

計算値

試験値

比率

A

I

2

t

A

2

s

8/20

kA

8/20

kA

I

2

t

A

2

s

10/350

kA

10/350

kA

25 800

7.6 5

0.66

32 1

300

9.6  7 0.73 −

40 2

500

13.4 10 0.75 −

50 4

200

17.3 15 0.87 −

63 7

500

23.1 17 0.73 −

80 14

500

32.2  25  0.78  −

100

24 000

41.4

30

0.72

20 000

8.8

5

0.57

125

40 000

53.4

40

0.75

33 000

11.3

7

0.62

160

− 60

000

15.3  10 0.65

200

− 100

000

19.75  15  0.76

250

− 200

000

27.93  20  0.72

315

− 300

000

34.21  25  0.73

注記  −:適用しない。


128

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

   

附属書 JA

参考)

参考文献

注記

  この規格の関連する附属書又は箇条番号を,次の(  )内に示す。

JA.1

関連規格

JA.1.1

全般

JIS C 5381-21

:2014  低圧サージ防護デバイス−第 21 部:通信及び信号回線に接続するサージ防護デバ

イス(SPD)の要求性能及び試験方法

注記

  対応国際規格:

IEC 61643-21

:2009,Low-voltage surge protective devices−Part 21: Surge protective

devices connected to telecommunications and signalling networks−Performance requirements and

testing methods(IDT)

JIS C 5381-22

:2007  通信及び信号回線に接続するサージ防護デバイスの選定及び適用基準

注記

  対応国際規格:

IEC 61643-22

:2004,Low-voltage surge protective devices−Part 22: Surge protective

devices connected to telecommunications and signalling networks−Selection and application principles

(IDT)

JIS C 60364-4-42

:2006  建築電気設備−第 4-42 部:安全保護−熱の影響に対する保護

注記

  対応国際規格:

IEC 60364-4-42

:2001,Electrical installations of buildings−Part 4-42: Protection for

safety−Protection against thermal effects(IDT)

JIS C 60364-4-43

:2006  建築電気設備−第 4-43 部:安全保護−過電流保護

注記

  対応国際規格:

IEC 60364-4-43

:2001,Electrical installations of buildings−Part 4-43: Protection for

safety−Protection against overcurrent(IDT)

IEC 60038

,IEC standard voltages

IEC 60999-1

,Connecting devices−Electrical copper conductors−Safety requirements for screw-type and

screwless-type clamping units−Part 1: General requirements and particular requirements for clamping units

for conductors from 0.2 mm

2

 up to 35 mm

2

 (included)

IEC/TR 61000-5-6

:2002,Electromagnetic compatibility (EMC)−Part 5-6: Installation and mitigation guidelines

−Mitigation of external EM influences, under consideration.

IEC/TR 62066

:2002,Surge overvoltages and surge protection in low-voltage  a.c. power systems−General

basic information

IEEE C62.41.1

,IEEE guide on the surge environment in low-voltage (1000 V and less) AC power circuits

IEEE C62.41.2

,IEEE recommended practice on characterization of surges in low-voltage (1000 V and less) AC

power circuits

JA.1.2

情報

附属書 A

IEC 60099-4

:1998,Surge arresters−Part 4: Metal-oxide surge arresters without gaps for a.c. systems

JA.1.3

環境

附属書 C

IEEE C 62-41

:1991,Recommended practice on surge voltages in low-voltage a.c. power circuits


129

C 5381-12

:2014 (IEC 61643-12:2008)

JA.1.4

適用基準

附属書 G

IEC 60099-5

:1995,Surge arresters−Part 5: Selection and application recommendations

JA.2

参考文献

JA.2.1

建築物への直撃雷の電流分流

附属書 I

I.1.2

A. ROUSSEAU, P. AURIOL, A. RAKOTOMALALA, Lightning distribution through earthing systems, Hobart

Lightning Protection Workshop, 1992.

H. ALTMAIER, D. PELZ, K. SCHEIBE, Computer simulation of surge voltage protection in low voltage systems,

ICLP, 1992.

JA.2.2

一時的過電圧

4.1.3

M. CLEMENT, J. MICHAUD, Overvoltages on the low voltage distribution networks, CIRED, 1993.

JA.2.3

SPD

及び漏電遮断器又は過電流保護器との間のサージ協調

6.2.4.3

J. SCHONAU, F. NOACK, R. BROCKE, Coordination of fuses and overvoltages protection devices in low

voltage mains. Fifth International Conference on Electrical Fuses and their Applications, 1995.

JA.2.4

SPD

の協調

6.2.6

P. HASSE, P. ZAHLMANN, J. WIESINGER, W. ZISCHANK, Principle for an advanced coordination of surge

protective devices in low voltage systems, ICLP 1994.

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JA.2.5

リスク解析

(箇条

7

A. ROUSSEAU, Choice of low voltage surge arresters based on risk analysis, Power Quality, 1995.

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