B 4414 : 1998 (ISO 522 : 1975)
(1)
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって,JIS B 4414-1990 は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,国際整合化を図るため,ISO 522 : 1975, Special tolerances for reamers(リーマの寸法公
差の決め方)を翻訳し基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
日本工業規格
JIS
B
4414
: 1998
(ISO 522
: 1975
)
リーマの寸法公差の決め方
Reamers
−Special tolerances for reamers
序文 この規格は,1975 年に発行された ISO 522, Special tolerances for reamers を翻訳し,技術的内容及び
規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格の中で,点線の下線を施してある箇所は,原国際規格にはない事項である。
1.
適用範囲 この規格は,ハンドリーマ (JIS B 4405) ,マシンリーマ (JIS B 4413) 及びチャッキング
リーマ (JIS B 4402) を含むリーマの直径の公差の決め方について規定する。
参考 JIS B 4402,JIS B 4405,JIS B 4406 及び JIS B 4413 では,m5 を A 級,m6 を B 級と規定して
いるが,これらの対応国際規格では,m6 だけを規定している。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS B 4402
チャッキングリーマ
備考 ISO 521 : 1975, Machine chucking reamers with parallel shanks or Morse taper shanks からの引用
事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS B 4405
ハンドリーマ
備考 ISO 236/I : 1976, Hand reamers からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS B 4406
シェルリーマ
備考 ISO 2402 : 1972, Shell reamers with taper bore (taper bore 1: 30 (included))with slot drive and arbors
for shell reamers
からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS B 4413
マシンリーマ
備考 ISO 236/II : 1976, Long fluted machine reamers, Morse taper shanks からの引用事項は,この規格
の該当事項と同等である。
3.
寸法公差の決め方 JIS B 4402,JIS B 4405,JIS B 4406 及び JIS B 4413 において,リーマの直径の許
容差を m5(A 級)又は m6(B 級)と規定しているが,これらのリーマが保証する穴径公差を前もって推
察することは不可能である。
リーマ仕上げされる穴の実寸法は,現実には非常に多くの要因に左右される。これらの要因として次の
ようなものがあげられる。
a)
被削材の材質とリーマ代
b)
リーマの食付き角
c)
使用時のリーマの状態
2
B 4414 : 1998 (ISO 522 : 1975)
d)
取付け方法及び加工方法
e)
切削油剤
ある公差の穴を仕上げるリーマの製作寸法を決定するときに,これらの様々な要因を考慮するのが望ま
しい。
したがって,すべての条件において,加工精度を保証できる標準的な
特別
な公差を設定することは
不可能である。
しかしながら,
画一性を得るため,
加工される穴径公差に対応したリーマの寸法公差を決定するために,
次に示す方法を採用することが望ましい。
3.1
リーマの寸法公差の決め方
IT
公差の穴の場合
− リーマ直径の最大許容寸法は,穴径の最大許容寸法から 0.15×IT を引いたものに等しい。
0.15
×IT の値はすべて 0.001mm 単位で切り上げて丸める。
− リーマ直径の最小許容寸法は,リーマの最大許容寸法から 0.35×IT を引いたものに等しい。
0.35
×IT の値はすべて 0.001mm 単位で切り上げて丸める。
図 1 リーマの寸法公差
3.2
備考 3.1 で決められた寸法公差以内であれば,この規格よりも厳しい精度のリーマを製作してもよ
い。
3.3
具体例
3.3.1
12H7
の穴の場合
IT7
=0.018mm
穴の大きさ:最大 12.018mm 最小 12.000mm
リーマ直径の最大許容寸法は,穴の最大許容寸法より 0.15×IT 小さい値である。
0.15
×0.018mm=0.002 7mm
これは,0.003mm に丸められる。
3
B 4414 : 1998 (ISO 522 : 1975)
リーマ直径の最大許容寸法=12.018mm−0.003mm=12.015mm
リーマ直径の最小許容寸法は,穴の最大許容寸法より 0.35×IT 小さい値である。
0.35
×0.018mm=0.0063mm
これは,0.007mm に丸められる。
リーマ直径の最小許容寸法=12.015mm−0.007mm=12.008mm
参考 1T7 及び IT8 公差の穴を加工するリーマの寸法公差を,主要寸法について計算し参考表 1 及び
参考表 2 に示す。IT7 公差の穴を加工するリーマの公差は,m5 にほぼ一致する。
参考表 1 IT7 公差の穴を加工するリーマの寸法公差
単位 mm
穴径 IT7 公差
リーマの最小許容寸法 リーマの最大許容寸法
参考 m5 許容差
3 0.010 3.004 3.008
3.002
〜 3.006
6 0.012 6.005 6.010
6.004
〜 6.009
10 0.015 10.006 10.012
10.006
〜 10.012
18 0.018 18.008 18.015
18.007
〜 18.015
30 0.021 30.009 30.017
30.008
〜 30.017
参考表 2 IT8 公差の穴を加工するリーマの寸法公差
単位 mm
穴径 IT8 公差
リーマの最小許容寸法 リーマの最大許容寸法
参考 m6 許容差
3 0.014 3.006 3.011
3.002
〜 3.008
6 0.018 6.008 6.015
6.004
〜 6.012
10 0.022 10.010 10.018
10.006
〜 10.015
18 0.027 18.012 18.022
18.007
〜 18.018
30 0.033 30.016 30.028
30.008
〜 30.021
4
B 4414 : 1998 (ISO 522 : 1975)
国際整合化調査研究委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
村 田 良 司
東京理科大学理工学部
中 嶋 誠
通商産業省機械情報産業局
本 間 清
工業技術院標準部
伊 藤 哲
工業技術院機械技術研究所
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
野 上 彰
株式会社不二越
羽 山 隆 貫
日立ツール株式会社
片 桐 泰 典
株式会社不二越
日下部 祐 次
神鋼コベルコツール株式会社
宮 林 光 行
株式会社彌満和製作所
倉 持 建
日本高周波鋼業株式会社
舞 田 靖 司
社団法人日本機械工業連合会
岡 安 英 雄
社団法人日本工作機械工業会
西 村 欣 也
社団法人日本歯車工業会
石 川 侑 男
社団法人日本金型工業会
安 武 昭 彦
社団法人日本工作機器工業会
手 取 正 輝
いすゞ自動車株式会社川崎工場
小 峰 武 夫
コベルコツールエンジニアリング株式会社
白
秀 明
オーエスジー株式会社
佐 藤 直 彦
理研製鋼株式会社
木 村 育 夫
株式会社三興製作所
(事務局)
平 野 武 治
日本工具工業会
西 垣 吉麻呂
日本工具工業会