2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 9102-1987
配管系の識別表示
Identification Marking for Piping Systems
1. 適用範囲 この規格は,工場・鉱山・学校・劇場・船舶・車両・航空保安施設その他において,配管
系に設けたバルブの誤操作を防止するなどの安全を図ること,配管系の取扱いの適性化を図ることを目的
に,配管に識別表示を行う場合の一般的事項について規定する。*
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語の意味は,次のとおりとする。
(1) 識別色 管内の物質の種類を外から見分けるために施す色。
(2) 物質表示 管内の物質の種類・名称の表示。
(3) 状態表示 管内の物質の状態の表示。
(4) 安全表示 安全を促すため管に施す安全色彩[JIS Z 9101(安全色彩使用通則)に規定した安全色彩
(以下,安全色彩という。)]による表示。次の三つの表示の総称。
(a) 危険表示 管内の物質が,危険物であることを示す表示。
(b) 消火表示 管内の物質が,消火に用いることができるものであることを示す表示。
(c) 放射能表示 管内の物質が,放射能をもつ危険物であることを示す表示。
3. 識別表示
3.1
物質表示 物質表示は,次による。
(1) 管内の物質の種類の識別は,表1に示す7種の色の識別色を用いて表示する(付図1参照)。
(2) 管内の物質の名称の表示は,次による(付図2参照)。
(a) 物質名を略さずそのまま示すか,又は化学記号を用いて表示する。
例1 :飲料水,硫酸
例2 :H2O, H2SO4
(b) 物質名称の文字及び物質の化学記号は,安全色彩の白又は黒をそれぞれ用いて,識別色の上に記載
する。
* 引用規格:6ページに示す。
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表1 物質の種類とその識別色
物質の種類
識別色
水
青
蒸気
暗い赤
空気
白
ガス
うすい黄
酸又はアルカリ
灰紫
油
茶色
電気
うすい黄赤
備考1. 識別色はJIS Z 8102(物体色の色名)によって表した
ものである。
2. 鉱山坑内のガス抜管などには,安全色彩の黄を用い
る。
3. 電気は物質でないが,電線管の識別は,他の配管と
同様に扱う。
4. その他の物質についての識別色を必要とする場合
は,ここに規定した識別色以外のものを使用する。
3.2
状態表示
3.2.1
流れ方向の表示 管内の物質の流れ方向を示すには矢印を用い,次による。
(1) 矢印は,白又は黒を用いて表示する。
(2) 表示する箇所は,3.1(1)による識別色が管に直接,環状又は長方形の枠内に表示されている場合は,そ
の付近に[付図3(a)参照],また,管に取り付けた札に識別色が付けてある場合は,その札に矢印を記
入する[付図3(b)参照]。
備考1. 物質の種類と流れ方向とを同時に表示する目的で,管に直接施す長方形の枠の識別色を矢羽
根の形とする方法を用いてもよい(付図4参照)。
2. 物質の種類と流れとを同時に表示する目的で,管に取り付ける識別色の色の札を矢羽根の形
とする方法を用いてもよい(付図5参照)。
3.2.2
圧力・温度・速さなどの特性の表示 管内の物質の圧力・温度・速さなどの特性を示す必要がある
場合は,その量を数値と単位記号で示す。この場合,表示方法は,3.1(2)(b)に準じる[付図6参照]。
例: 圧力の表示の例 0.2Mpa
温度の表示の例 80℃
速さの表示の例 0.5m/s
3.3
安全表示
3.3.1
危険表示 危険表示は,次による。
(1) 表示方法 黄赤の両側を黒で縁取りする。
(2) 表示箇所 3.1(1)による識別色を表示してある箇所の付近とする(付図7参照)。
3.3.2
消火表示 消火表示は,次による。
(1) 表示方法 赤の両側を白で縁取りする。
(2) 表示箇所 3.1(1)による識別色を表示してある箇所の付近とする[付図8(a),(b)参照]。
なお,管内の物質が消火専用のものであるときは,3.1による表示を省略して消火表示だけで表示して
もよい[付図8(c)参照]。
3.3.3
放射能表示 放射能表示は,次による。
(1) 表示方法 赤紫の両側を黄で縁取りする。
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(2) 表示箇所 3.1(1)による識別色を表示してある箇所の付近とする(付図9参照)。
備考 管に放射能表示を施す代わりに,JIS Z 9103(安全標識)の放射能標識を用いてもよい。
4. 色の指定 識別表示に用いる12種の色の指定は,表2による(付図10参照)。
表2 色の指定
色
色度座標の範囲
輝度率(1)
色の参考値(3)
①(2)
②(2)
③(2)
④(2)
x(1)
y(1)
x(1)
y(1)
x(1)
y(1)
x(1)
y(1)
赤(4)
0.690
0.310 0.595 0.315 0.569 0.341 0.655 0.345
0.07以上
7.5R 4/15
暗い赤
0.518
0.326 0.424 0.335 0.436 0.353 0.543 0.354 0.05〜0.09
7.5R 3/6
うすい黄赤
0.436
0.365 0.371 0.348 0.378 0.362 0.443 0.390 0.35〜0.49
2.5YR 7/6
黄赤(4)
0.631
0.369 0.551 0.359 0.516 0.394 0.584 0.416
0.25以上
2.5YR 6/14
茶色
0.486
0.408 0.401 0.375 0.403 0.391 0.481 0.434 0.15〜0.24
7.5YR 5/6
うすい黄
0.429
0.421 0.373 0.379 0.368 0.392 0.419 0.444 0.49〜0.67
2.5Y 8/6
黄(4)
0.519
0.480 0.468 0.442 0.427 0.483 0.465 0.534
0.45以上
2.5Y 8/14
青
0.184
0.227 0.230 0.269 0.246 0.258 0.208 0.216 0.15〜0.25
2.5PB 5/8
灰紫
0.294
0.251 0.265 0.243 0.285 0.279 0.302 0.283 0.15〜0.24
2.5P 5/5
赤紫(4)
0.358
0.090 0.330 0.236 0.388 0.263 0.506 0.158
0.07以上
2.5RP 4/12
白(4)
0.350
0.360 0.300 0.310 0.290 0.320 0.340 0.370
0.75以上
N9.5
黒(4)
0.385
0.355 0.300 0.270 0.260 0.310 0.345 0.395
0.03以下
N1
注(1) 色度座標x,y及び輝度率は,JIS Z 8722(物体色の測定方法)に規定する照明及び受光の幾何学的条
件a(45°照明,垂直受光)で,標準の光D65及びXYZ表色系によって求めた値である。ただし,輝度
率は,完全拡散反射面の値を1.00とした値で示す。
(2) 色度座標の範囲の角を表す。
(3) JIS Z 8721(三属性による色の表示方法)によったもので標準の光Cによるものである。
(4) JIS Z 9101に規定したものである。
5. 識別表示の位置と実施方法 識別表示は,配管のバルブ・管継手,隔壁などに近接した位置・部分に,
塗装によるか,必要事項を表示するステッカを張り付けるか,又は必要事項を表示する札を管に取り付け
て表示する。
なお,特に必要な場合は,配管全体に識別色を施して識別表示してもよい。
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Z 9102-1987
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図1 識別色による物質表示の例(水の場合)
付図2 物質名称の表示の例(空気の場合)
付図3 流れ方向の表示の例(硫酸の場合)
付図4
流れ方向の表示の例(矢印の形の識別色
による場合)
付図5 流れ方向の表示の例(矢印の識別色の札による場合)
付図6 圧力・温度・速さなどの特性の表示の例(識別色の札による場合)
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Z 9102-1987
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図7 危険表示の例(硫酸の場合)
付図8 消火表示の例(水の場合)
付図9 放射能表示の例(空気又は水の場合)
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Z 9102-1987
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図10 色度図
備考 斜線のものは識別色を示す。その他は安全色彩で安全表示に用いる。ただし,白は識別色及び安全表示に
用いる。
引用規格:
JIS Z 8102 物体色の色名
JIS Z 8721 三属性による色の表示方法
JIS Z 8722 物体色の測定方法
JIS Z 9101 安全色彩使用通則
JIS Z 9103 安全標識
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Z 9102-1987
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考 色見本は,次のとおりとする。
色名
色見本
色名
色見本
赤
黄
暗い赤
青
うすい黄赤
灰紫
黄赤
赤紫
茶色
白
うすい黄
黒
基本部会 配管識別専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
東 堯
社団法人照明学会名誉会員
石 田 清
高圧ガス保安協会
石 山 賢 三
千代田化工建設株式会社
川 上 元 郎
東京工芸大学
黒 田 宏
株式会社ユニット企画販売
児 玉 晃
日本色彩学会
小 林 貞 夫
日本反射シート工業協議会
笹 谷 勇
工業技術院
柴 山 和 彦
三井石油化学工業株式会社
須 賀 蓊
スガ試験機株式会社
関 亮
独協医科大学
高 橋 貞 雄
東芝電材株式会社
内 藤 栄治郎
社団法人日本保安用品協会
西 島 茂 一
中央労働災害防止協会
長谷川 正
労働省
渡 辺 靖 朗
株式会社日立製作所
(事務局)
鬼 束 忠 人
工業技術院標準部材料規格課
永 井 裕 司
工業技術院標準部材料規格課