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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 原理······························································································································· 2
5 試薬及び溶媒 ··················································································································· 2
6 HPLC測定用試料溶液の調製 ······························································································ 2
7 試験装置························································································································· 3
7.1 基本構成 ······················································································································ 3
7.2 移動相送液部 ················································································································ 3
7.3 試料導入部 ··················································································································· 3
7.4 分離部 ························································································································· 3
7.5 検出部 ························································································································· 4
7.6 データ処理部 ················································································································ 4
8 移動相···························································································································· 4
8.1 移動相 ························································································································· 4
8.2 分離モード ··················································································································· 4
8.3 移動相の調製 ················································································································ 4
9 標準液の調製 ··················································································································· 4
9.1 標準試料 ······················································································································ 4
9.2 C60標準液の調製 ············································································································ 4
9.3 C70標準液の調製 ············································································································ 5
10 測定手順 ······················································································································· 6
10.1 一般事項 ····················································································································· 6
10.2 検量線の作成 ··············································································································· 6
10.3 C60及びC70の定量 ········································································································ 7
11 組成分析値の求め方 ········································································································ 7
11.1 C60の定量分析 ············································································································· 7
11.2 C70の定量分析 ············································································································· 7
12 測定回数 ······················································································································· 8
13 結果の報告 ···················································································································· 8
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まえがき
この規格は,工業標準化法に基づき,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本
工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格
JIS
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高速液体クロマトグラフィーによる
フラーレンC60及びフラーレンC70の分析方法
Quantitative analysis methods for [60]fullerene and [70]fullerene
by high performance liquid chromatography
1
適用範囲
この規格は,高速液体クロマトグラフィー(以下,HPLCという。)による混合フラーレン及び単離され
たフラーレンの分析方法について規定する。この規格は,フラーレンC60(以下,C60という。)及びフラ
ーレンC70(以下,C70という。)の定量分析に適用できる。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0124 高速液体クロマトグラフィー通則
JIS K 8680 トルエン(試薬)
JIS K 8891 メタノール(試薬)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0124によるほか,次による。
3.1
フラーレン
60個以上の炭素原子が共有結合して球殻状になった炭素分子の総称。
炭素原子60個からなるC60のほかに,炭素原子70個のC70,炭素原子76個のC76に代表される炭素原
子数が多い高次フラーレンと呼ばれるものがある。
3.2
混合フラーレン
C60,C70及び高次フラーレンの混合物。
注記 フラーレン合成法では,主にC60が生成される。C60,C70,及びC76に代表される高次フラーレ
ンは,合成された後にそれぞれ単離することができる。
2
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4
原理
含有量が,250 mg/L以下になるように調製した混合フラーレン及び/又は単離されたフラーレン(以下,
試料という。)のHPLC測定用試料溶液5 μLを,体積分率45 %〜55 %のトルエン及び残りがメタノールか
らなる一定組成の移動相に注入して,流量0.8 mL/min〜1.2 mL/minで送液してHPLC分析を行う。分離さ
れた各成分の波長325 nmにおける吸収強度を測定する。
HPLC測定用試料溶液中のC60及びC70は,あらかじめ調製した標準液を使った絶対検量線法によって定
量する。
5
試薬及び溶媒
試薬及び溶媒は,次による。
5.1
トルエン JIS K 8680に規定するもの。
5.2
メタノール JIS K 8891に規定するもの。
6
HPLC測定用試料溶液の調製
HPLC測定用試料溶液の調製は,次による。
a) 最小目盛が0.1 mgの電子天びんを用いて,試料25 mgを精ひょう(秤)し,三角フラスコ(100 mL)
に入れる。
b) 溶媒としてトルエン1)を約80 mL加える。
注1) 溶媒として,トルエンのほかにプソイドクメン(1, 2, 4-トリメチルベンゼン),キシレンなど
の芳香族化合物がある。
c) 三角フラスコ(100 mL)を,室温で15分間,超音波洗浄器にかける。
なお,溶媒として加えたトルエンによってHPLC測定用試料が溶解した場合には,超音波洗浄を行
わなくてもよく,c)及びd)の操作を省くことができる。
d) 超音波洗浄液の温度が30 ℃以下であることを確認した後,更に15分間,超音波洗浄を継続する。洗
浄液の温度が30 ℃を超えていれば,超音波洗浄器に水を追加して温度を下げた後,超音波洗浄を行
う。
e) 三角フラスコ(100 mL)内の液を混合した後,室温まで放冷する。
f)
三角フラスコ(100 mL)内の液をすべて全量フラスコ(100 mL)に移した後,トルエンを標線まで加
える。
g) 孔径0.5 μm又はそれより孔径の小さいメンブランフィルタ(以下,MFという。)を用いて,メスフラ
スコ内の液をろ(濾)過する。MFは,トルエンに対して耐性をもつものを使用する。
h) 約1 mLのろ(濾)液をバイアル瓶又は密閉できる容器に保存し,これをHPLC測定用試料溶液とす
る。
i)
HPLC測定用試料溶液の希釈率は,次による。
x
x
w
v
D=
ここに,
D: HPLC測定用試料溶液の希釈率(mL/mix-mg)
vx: 全量フラスコ(100 mL)標線の容量(mL)
wx: 試料はかりとり質量(mix-mg)
j)
a)〜i)の操作を3回繰り返し,HPLC測定用試料溶液を3個調製する。
3
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7
試験装置
7.1
基本構成
高速液体クロマトグラフの基本構成は,移動相送液部(脱気装置及び送液ポンプ),試料導入部(試料導
入装置),分離部(カラム・カラム槽),検出部(検出器),データ処理部(データ処理装置及び記録計)な
どからなる。装置の基本構成の例を,図1に示す。
1
移動相(溶離液)
2
脱気装置
3
送液ポンプ
4
試料導入装置
5
カラム槽
6
カラム
7
吸光光度検出器
8
データ処理装置
9
廃液槽
図1−高速液体クロマトグラフの基本構成例
7.2
移動相送液部
移動相送液部は,JIS K 0124の7.1(移動相送液部)のa),b) 及びc) による。
7.3
試料導入部
試料導入部は,JIS K 0124の7.2(試料導入部)による。
7.4
分離部
7.4.1
カラム
カラムの仕様は,表1による。クロマト管は十分な強度をもち,内面が平滑で移動相及び分析対象試料
に対して不活性なステンレス鋼とする。
表1−カラムの仕様
単位 mm
クロマト管の材質
ステンレス鋼(SUS316相当品)
長さ
75〜250
内径
4.6
7.4.2
カラム充てん(填)剤
カラム充てん(填)剤は,オクタデシル基化学結合型シリカ(ODS)で,粒子径が3 μm〜5 μmのもの
とする。
7.4.3
カラム槽
カラム槽は,30 ℃〜50 ℃の範囲で恒温を保持できる機能をもつものとする。
1
2
4
5
6
7
8
9
3
4
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7.5
検出部
検出部は,紫外吸光光度検出器による[JIS K 0124の7.4(検出部)のa)参照]。
7.6
データ処理部
データ処理部は,JIS K 0124の7.5(データ処理部)及び7.6(附属装置)による。
8
移動相
8.1
移動相
移動相は,トルエン及びメタノールとする。
8.2
分離モード
分離モードは,逆相分配クロマトグラフィー2)による。
注2) 液体とみなす固定相と移動相との間における溶質成分の分配係数の差を利用して分離する方法
であり,他の分離モードと比較して,炭化水素・多環芳香族などの非イオン系化合物,水溶性
ビタミン・アミノ酸などのイオン性化合物などの種々の種類の成分を,移動相を変えるだけで
容易に分析することができる。
8.3
移動相の調製
移動相の調製は,トルエンを体積分率で45 %〜55 %,メタノールを体積分率でトルエンと合わせて100 %
になるように調製する。
注記 例えば,トルエンを体積分率48 %及びメタノールを体積分率52 %で混合する。トルエンの割
合が多くなれば検出時間は短くなる。
9
標準液の調製
9.1
標準試料
フラーレン含有量が質量分率99.5 %以上の精製したC60及びC70を用いて,2種類のHPLC用標準液をそ
れぞれ3段階の濃度に調製して,絶対検量線法によってC60及びC70の定量に供する。
注記 溶媒を含むものがあるため,精製したC60及びC70は,昇華精製したものが望ましい。
9.2
C60標準液の調製
C60標準液の調製は,次による。
a) 三角フラスコ(100 mL)1個,全量フラスコ(100 mL)1個及び全量フラスコ(50 mL)2個を用いる。
b) 最小目盛が0.1 mgの電子天びんを用いて,C60精製品25 mgを精ひょう(秤)し,三角フラスコ(100
mL)に入れる。
c) 溶媒としてトルエンを約80 mL加える。
d) 三角フラスコ(100 mL)を,室温で15分間,超音波洗浄器にかける。
なお,溶媒として加えたトルエンによってHPLC測定用試料が溶解した場合には,超音波洗浄を行
わなくてもよく,d)及びe)の操作を省くことができる。
e) 超音波洗浄液の温度が30 ℃以下であることを確認した後,更に15分間,超音波洗浄を継続する。洗
浄液の温度が30 ℃を超えていれば,超音波洗浄器に水を追加して温度を下げた後,超音波洗浄を行
う。
f)
三角フラスコ(100 mL)内の液を混合した後,室温まで放冷する。
g) 三角フラスコ(100 mL)内の液をすべて全量フラスコ(100 mL)に移した後,トルエンを標線まで加
える(以下,C60標準液1という。)。
5
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
h) C60標準液1のC60含有量は,次による。
1
0
1
v
m
R=
ここに,
R1: C60標準液1のC60含有量(mg/mL)
m0: C60精製品はかりとり量(mg)
v1: 全量フラスコ(100 mL)標線の容量(mL)
i)
ホールピペットを用いて,C60標準液1を25 mL取り,全量フラスコ(50 mL)に移した後,トルエン
を標線まで加える(以下,C60標準液2という。)。
j)
C60標準液2のC60含有量は,次による。
2
1
2
25
v
R
R
×
=
ここに,
R2: C60標準液2のC60含有量(mg/mL)
R1: C60標準液1のC60含有量(mg/mL)
v2: 全量フラスコ(50 mL)標線の容量(mL)
k) ホールピペットを用いて,C60標準液1を5 mL取り,全量フラスコ(50 mL)に移した後,トルエン
を標線まで加える(以下,C60標準液3という。)。
l)
C60標準液3のC60含有量は,次による。
3
1
3
5
v
R
R
×
=
ここに,
R3: C60標準液3のC60含有量(mg/mL)
R1: C60標準液1のC60含有量(mg/mL)
v3: 全量フラスコ(50 mL)標線の容量(mL)
m) a)〜l)の操作を3回繰り返し,合わせて3種9個のC60標準液3)(C60標準液1,C60標準液2及びC60
標準液3それぞれ3個)を調製した後,10.2.1に従ってC60の検量線を作成する。
注3) この3種の標準液は,HPLC測定用試料のC60の組成がそれぞれ,100 %(質量分率),50 %
(質量分率)及び10 %(質量分率)に相当する。
9.3
C70標準液の調製
C70標準液の調製は,次による。
a) 三角フラスコ(100 mL)1個,全量フラスコ(100 mL)1個及び全量フラスコ(50 mL)2個を用いる。
b) 最小目盛が0.1 mgの電子天びんを用いて,C70精製品25 mgを精ひょう(秤)し,三角フラスコ(100
mL)に入れる。
c) C70精製品の溶解は,9.2のc)〜f)による。
d) 三角フラスコ(100 mL)内の液をすべて全量フラスコ(100 mL)に移した後,トルエンを標線まで加
える(以下,C70標準液1という。)。
e) C70標準液1のC70含有量は,次による。
1
0
1
v
m
S=
ここに,
S1: C70標準液1のC70含有量(mg/mL)
m0: C70精製品はかりとり量(mg)
v1: 全量フラスコ(100 mL)標線の容量(mL)
f)
ホールピペットを用いて,C70標準液1を25 mL取り,全量フラスコ(50 mL)に移した後,トルエン
を標線まで加える(以下,C70標準液2という。)。
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
g) C70標準液2のC70含有量は,次による。
2
1
2
25
ν
S
S
×
=
ここに,
S2: C70標準液2のC70含有量(mg/mL)
S1: C70標準液1のC70含有量(mg/mL)
v2: 全量フラスコ(50 mL)標線の容量(mL)
h) ホールピペットを用いて,C70標準液1を5 mL取り,全量フラスコ(50 mL)に移した後,トルエン
を標線まで加える(以下,C70標準液3という。)。
i)
C70標準液3のC70含有量は,次による。
3
1
3
5
ν
S
S
×
=
ここに,
S3: C70標準液3のC70含有量(mg/mL)
S1: C70標準液1のC70含有量(mg/mL)
v3: 全量フラスコ(50 mL)標線の容量(mL)
j)
a)〜i)の操作を3回繰り返し,合わせて3種9個のC70標準液4)(C70標準液1,C70標準液2及びC70
標準液3それぞれ3個)を調製した後,10.2.2に従ってC70の検量線を作成する。
注4) この3種の標準液は,HPLC測定用試料のC70の組成がそれぞれ,100 %(質量分率),50 %
(質量分率)及び10 %(質量分率%)に相当する。
10 測定手順
10.1 一般事項
混合フラーレン中のC60及びC70の定量は,波長325 nmにおけるクロマトグラムからピーク面積を求め,
絶対検量線法によって行う。
10.2 検量線の作成
10.2.1 C60の検量線
C60の検量線の作成は,次による。
a) 箇条7に規定した脱気装置,送液ポンプ,試料導入装置,カラム槽,吸光光度検出器及びデータ処理
装置の電源を入れる。
b) 箇条8に規定した移動相を,0.8 mL/min〜1.2 mL/minの範囲の一定流量で30分間以上送液するか,又
は安定したベースラインが得られるまで送液する。
c) カラム温度が設定した温度になっていることを確認する。
d) C60の標準液5 μLをクロマトグラフに導入して,波長325 nmにおけるクロマトグラムを記録してピー
ク面積を測定する[JIS K 0124の14.4(絶対検量線法)参照]。
e) 9.2のm)で調製したC60の3種(9個)の標準液についてd) の操作を繰り返す。
f)
C60標準液のC60含有量を横軸に,ピーク面積値を縦軸にして測定点を代表するように検量線を引く。
10.2.2 C70の検量線の作成
C70の検量線の作成は,次による。
a) 10.2.1のa)〜c) による。
b) C70の標準液5 μLをクロマトグラフに導入して,波長325 nmにおけるクロマトグラムを記録してピー
ク面積を測定する(JIS K 0124の14.4参照)。
c) 9.3のj) で調製したC70の3種(9個)の標準液についてb) の操作を繰り返す。
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) C70標準液のC70含有量を横軸に,ピーク面積値を縦軸にして測定点を代表するように検量線を引く。
10.3 C60及びC70の定量
HPLC測定用試料溶液のC60及びC70の定量分析は,次による。
a) 10.2と同じ条件の下で,箇条6のHPLC測定用試料溶液を導入して,クロマトグラムを記録する。
b) 測定時間は,10.2でC60のピークが現れた時間の5倍の長さとする。
c) 測定は,箇条6のj) で調製した3個のHPLC測定用試料溶液についてそれぞれ1回行う。
d) 測定終了後,分析対象物のピーク面積が適切なベースラインに引かれているか,また,リテンション
タイムが標準液の分析対象物と大きく離れていないかのデータの確認を行う。混合フラーレンの代表
的なクロマトグラムを参考として図2に示す。
e) C60及びC70のピーク面積から,10.2の検量線によって,分析対象物の含有量Rx及びSxをそれぞれ求
める。RxからC60の組成Xを求める方法は,11.1による。また,SxからC70の組成Yを求める方法は,
11.2による。
0
100
200
300
400
500
600
700
800
900
0
2
4
6
8
10 12 14 16 1820
溶出時間 min
吸
光
度
任
意
単
位
C70
C60
注入
ショック
0
2
4
6
8
10
12
14
16
2
4
6
8
10
12
14
16
溶出時間 min
吸
光
度
任
意
単
位
C60
C70
C78C82C86
C84
C76
a) 測定のまま
b) 拡大図
装置
カラム
移動相
流速
温度
検出器
注入量
サンプル
:A社製高速液体クロマトグラフ
:YMC-Pack ODS-AM 100×4.6 mm I.D. (3 µm, 12 µm)
:トルエン/メタノール=48/52(体積分率%)
:0.8 mL/min
:40 ℃
:UV 325 nm
:5 µL(約 400 mg/L溶液)
:混合フラーレン 約 400 mg/L−トルエン溶液
図2−混合フラーレンの代表的なクロマトグラム(一例)
11 組成分析値の求め方
11.1 C60の定量分析
試料中のC60の組成Xは,次による。
X=100×D×Rx
ここに,
X: 試料中のC60組成(質量分率%)
D: HPLC測定用試料溶液の希釈率(mL/mix-mg)
Rx: 検量線で求めたC60の量(mg/mL)
11.2 C70の定量分析
混合フラーレン中のC70の組成Yは,次による。
Y=100×D×Sx
C60
C70
C60
C70
C76
C78
C84
C82
C86
溶出時間 分
溶出時間 分
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
Y: 試料中のC70組成(質量分率%)
D: HPLC測定用試料溶液の希釈率(mL/mix-mg)
Sx: 検量線で求めたC70の量(mg/mL)
注記 この定量分析は,精製したC60製品及びC70製品の純度測定にも適用できる。
12 測定回数
C60及びC70の定量分析は,同一分析室において3回繰り返して行う。測定回数及び結果の表示は,C60
の測定値に基づいて,次による。
a) C60の3回の測定値の範囲(最大値−最小値)が表2の許容差(n=3)0.9 %以下の場合には,その3
個の平均値の小数第1位を四捨五入して整数で表示する。
b) 3回の測定値の範囲が許容差(n=3)0.9 %を超える場合には,更に1回分析を追加する。4回の測定
値の範囲が許容差(n=4)1.0 %以下の場合には,その4個の平均値の小数第1位を四捨五入して整数
で表示する。
c) 4個の測定値の範囲が許容差(n=4)1.0 %を超える場合は,2個の中央値の平均値の小数第1位を四
捨五入して整数で表示する。
表2−C60の許容差
単位 %
許容差(n=3)
許容差(n=4)
0.9
1.0
13 結果の報告
測定結果については,次の事項を報告する。
a) 試料名称
b) 分析年月日
c) C60及びC70の定量分析値(質量分率%)
d) 分析条件
1) カラム充てん(填)剤の種類及び粒度
2) クロマト管の内径及び長さ
3) カラム温度
4) 移動相(溶離液)の種類,流量及び組成
5) 試料の導入方法,導入量及び希釈倍率
6) 検出器の種類
7) データ処理部(データ処理装置及び記録計)
8) 測定時間範囲(データ取込み時間)
e) 成分の確認方法 代表的なクロマトグラム例を示す。ただし,クロマトグラムには分析条件,ピーク
の成分名,保持時間及び検出器の出力信号のスケールを付記しなければならない。
f)
定量方法
1) ピーク面積の測定方法
2) 定量方法の種別及び分析回数
3) 定量分析に用いた物質