Z 8908 : 1998
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS Z 8908 : 1994は改正され,この規格に置き換えられる。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8908 : 1998
集じん用ろ布
Filter fabrics for dust collection
1. 適用範囲 この規格は,乾式ろ過集じん装置に用いる集じん用織布(以下,織布という。)及び集じん
用不織布(以下,不織布という。)の表示方法と品質の表し方について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版を適用する。
JIS B 7503 ダイヤルゲージ
JIS L 1096 一般織物試験方法
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS L 1096によるほか,次による。
a) 乾式ろ過集じん装置 ろ布によって含じんガスから粒子を分離捕集する装置。バグフィルタともいう。
b) 織布 織物のろ布。
c) 不織布 織物のように織ることなく繊維を結合させたろ布。
d) 組織 たて(経)糸とよこ(緯)糸とを一定の規則に従い互いに交錯させた織物の状態。
e) 短繊維 木綿のように一本の長さが短い繊維。
f)
長繊維 絹のように連続した長い繊維。フィラメント糸をいう。
g) 番手 糸の太さを表す単位。綿番手は,453.59g当たりの糸の長さをハンク数(1ハンク=768.1m)で
表したもの。
h) 密度 織布の2.54cm当たりのたて糸及びよこ糸の数。
i)
基布 不織布のしん地となる布。
j)
ウェブ 不織布を構成する繊維層。
k) 目付 ろ布の単位面積当たりの質量。通常,1平方メートル当たりの質量 (g/m2) で表す。
l)
通気性 ろ布の前後の圧力差を一定にしたときに,ろ布を通過する空気量を (cm3/s) /cm2で表した値。
m) 帯電対策 導電性繊維を混入するなどし,静電気の発生の抑制又は静電気障害の防止を行うこと。
n) 表面加工 ろ過特性を改善するための,ろ布表面などの加工。
o) テックス 長さ1km当たりの,糸の質量をグラム数で表したもの。
4. ろ布の区分及び記号 ろ布は,織布,不織布の区別,材料,組織,基布の有無,繊維の長短,帯電対
策及び表面加工の有無によって,次のとおり区分する。
a) 織布,不織布の区別 ろ布は,織布か,不織布かによって,表1のとおり区分する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表1 織布,不織布の記号
記号
構造
W
織布
N
不織布
b) 材料 ろ布は,糸又はウェブの材料によって表2のとおり区分する。ただし,2種類以上の材料で構
成されているものについては,主な材料で区分する。
表2 材料の記号
記号
材料
A
アクリル
C
木綿(コットン)
E
ポリエステル
F
四ふつ化エチレン
G
ガラス
H
芳香族ポリアミド(アラミド)
I
ポリイミド
N
ポリアミド(ナイロン66,ナイロン6)
P
ポリプロピレン
S
ポリフェニレンサルファイド (PPS)
Z
その他(セラミックス,金属など)
c) 組織 織布は,組織によって,表3のとおり区分する。
表3 組織の記号
記号
組織
P
平織
T
あや(綾)織
S
しゅす(朱子)織
Z
その他
d) 基布の有無 不織布は,基布の有無によって,表4のとおり区分する。ただし,基布がある場合は材
料によって区分する。
表4 基布の記号
記号
基布の有無
表2による あり
O(オー) なし
e) 繊維の長短 ろ布は,繊維の長短によって,表5のとおり区分する。
なお,織布の場合は2個の記号で表し,たて糸,よこ糸の順に示す。
また,不織布の場合は,ウェブの種類を示す。
表5 繊維の長短を表す記号
記号
種類
F
長繊維
S
短繊維
M
長繊維と短繊維の混合
Z
その他
f)
帯電対策の有無 ろ布は,帯電対策の有無によって,表6のとおり区分する。
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表6 帯電対策の有無を表す記号
記号
帯電対策
E
あり
O
なし
g) 表面加工 ろ布は,表面加工の種類によって,表7のとおり区分する。不織布については,2種類の
加工が複合して行われることがあるので,2個の記号で表示することとし,表面加工が1種類の場合
は,最初の記号が加工の種類を表し,最後の記号はO(オー)と表示する。
例 不織布で表面加工が1種類の場合 MO
不織布で表面加工が2種類の場合 DS
表7 表面加工の記号
記号
加工の種類
C
コーティング加工
D
ディッピング加工
F
膜加工(ラミネート加工など)
M
平滑加工(カレンダー加工など)
S
毛焼加工
Z
その他
O
加工なし
5. 品質
5.1
品質の表し方 ろ布の品質の表し方は,糸の太さ,密度,目付,厚さ,通気性,引張強さ及び伸び
率で表し,表8のとおりとする。
なお,各項目の試験は,5.2によって行う。
表8 ろ布の品質の表し方
品質項目 試験方法
品質の表し方
糸の太さ
−
テックス (tex) の数値
密度
5.2b)
織布の2.54cm当たりのたて糸及びよこ糸の数
目付
5.2c)
g/m2の数値
厚さ
5.2d)
mmの数値
通気性
5.2e)
(cm3/s) /cm2の数値
引張強さ
5.2f)
Nの数値
伸び率
5.2f)
%4の数値
5.2
試験方法
a) 試験場所 ろ布の試験場所は,JIS L 1096の4.1(試験場所)による。
b) 密度 織布の密度は,JIS L 1096の6.6(密度)によって試験する。
c) 目付 ろ布の目付は,JIS L 1096の6.4.2(標準状態における単位面積当たりの質量)によって1gの
単位まで読み取り,10のけたまで求める。
d) 厚さ ろ布の厚さは,JIS L 1096の6.5(厚さ)によってmmの単位で測定する。
なお,厚さ測定器は,JIS B 7503のダイヤルゲージ又はスナップゲージを用いる。
e) 通気性 ろ布の通気性は,JIS L 1096の6.27.1(A法)又はこれに準じる方法によって試験し,124.5Pa
の圧力差を与えたときの通過空気量を (cm3/s) /cm2で表す。
f)
引張強さ及び伸び率 ろ布の引張強さ及び伸び率は,JIS L 1096の6.12.1(1)のA法によって試験する。
なお,試験片の幅は,織布の場合3cm,不織布の場合5cmとする。
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5.3
外観及び包装
a) 外観 ろ布の外観は,使用上障害となる織りむら,糸むら,汚れ,きず,あな(孔)などの欠陥があ
ってはならない。
b) 包装 ろ布の包装は,ぬれ,損傷のないような適切な方法で行う。
6. ろ布の呼び方及び表示
6.1
ろ布の呼び方 ろ布の呼び方は,表示記号による。表示記号は,次のように10個の記号及び数字で
構成する。
a) 織布 織布の表示記号は,織布を表すWに続き,材料,組織,繊維の長短,目付,通気性,帯電対策,
表面加工の順とする。
なお,繊維の長短を表す記号については,最初の記号がたて糸,次の記号がよこ糸を表す。
注(1) 目付の表示は,表8によって行い,10未満の数値は切り捨てる。ただし,990g/m2以上の数値は
99と表示する。
(2) 通気性の表示は,表9による。
表9 ろ布の通気性の表し方
記号
通気性 (cm3/s) /cm2
A
1未満
B
1以上
5未満
C
5以上
10未満
D
10以上
20未満
E
20以上
30未満
F
30以上
50未満
G
50以上
−
b) 不織布 不織布の表示記号は,不織布を表すNに続き,材料,基布,繊維の長短,目付,通気性,帯
電対策,表面加工の順とするが,表面加工については,2種類の加工が複合して行われることがある
ので2個の記号で表す。加工が1種類の場合は,最後のけたはO(オー)とする。
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6.2
表示 ろ布の表示は,次の例のように表す。
a) 織布 W-E T S S 3 2 C E F
b) 不織布 N-E O S 5 0 C E M O
関連規格 JIS L 0206 繊維用語(織物部門)
JIS L 0208 繊維用語−試験部門
JIS L 0217 繊維製品の取扱いに関する表示記号及びその表示方法
JIS L 1013 化学繊維フィラメント糸試験方法
JIS L 1015 化学繊維ステープル試験方法
JIS L 1085 不織布しん地試験方法
JIS L 1095 一般紡績糸試験方法
JIS L 1906 一般長繊維不織布試験方法
JIS L 3201 羊毛長尺フェルト
JIS R 3420 ガラス繊維一般試験方法
JIS R 3421 集じん用処理ガラスクロス