Z 8802:2011
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 一般事項························································································································· 2
5 pH計の種類及び形式 ········································································································ 2
5.1 種類 ···························································································································· 2
5.2 形式 ···························································································································· 2
6 pH計の構成 ···················································································································· 3
7 pH標準液 ······················································································································· 3
7.1 pH標準液の種類及び品質・組成 ······················································································· 3
7.2 pH標準液の各温度におけるpH値 ···················································································· 3
7.3 調製pH標準液の調製方法 ······························································································· 5
7.4 pH標準液の保存方法 ······································································································ 5
8 操作方法························································································································· 6
8.1 pH計の試験 ·················································································································· 6
8.2 測定方法 ······················································································································ 6
9 測定結果の記録 ················································································································ 8
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人計測
自動制御学会(SICE)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改
正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ
る。
これによって,JIS Z 8802:1984は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
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pH測定方法
Methods for determination of pH of aqueous solutions
1
適用範囲
この規格は,ガラス電極を用いたpH計で0 ℃〜95 ℃の水溶液のpH値を測定する方法について規定す
る。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 0050 化学分析方法通則
JIS K 0211 分析化学用語(基礎部門)
JIS K 0213 分析化学用語(電気化学部門)
JIS K 8474 二しゅう酸三水素カリウム二水和物(試薬)
JIS K 8514 臭化ナトリウム(試薬)
JIS K 8622 炭酸水素ナトリウム(試薬)
JIS K 8625 炭酸ナトリウム(試薬)
JIS K 8809 フタル酸水素カリウム(試薬)
JIS K 8866 四ほう酸ナトリウム十水和物(試薬)
JIS K 9007 りん酸二水素カリウム(試薬)
JIS K 9020 りん酸水素二ナトリウム(試薬)
JIS Z 8805 pH測定用ガラス電極
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS K 0211,JIS K 0213及びJIS Z 8805によるほか,次による。
3.1
pH
この規格に規定したpH標準液のpH値を基準とし,ガラス電極pH計によって測定される起電力から求
められる値。
注記 ピーエッチ又はピーエイチと読む。
3.2
認証pH標準液
CIPM(国際度量衡委員会)のCCQM(物質量諮問委員会)の定める一次測定法によってpH値が測定
されたpH標準液,又はそれにトレーサブルなpH標準液であって,95 %の信頼区間を与える拡張不確か
2
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さがおよそ0.015以内のもの。
注記 例えば,JCSS(計量標準供給制度)のしゅう酸塩pH標準液,フタル酸塩pH標準液,中性り
ん酸塩pH標準液,りん酸塩pH標準液,ほう酸塩pH標準液及び炭酸塩pH標準液がある。
3.3
調製pH標準液
表2の組成で,7.3によって調製したpH標準液。
3.4
pH標準液
認証pH標準液及び調製pH標準液の総称。
3.5
ゼロ校正
ガラス電極内部液に近い組成の標準液を用いて,電位を調整して,その温度における標準液のpHを指
すようにすること。
注記 ゼロ点調整と呼ぶこともある。
3.6
スパン校正
ゼロ校正の後にゼロ校正に用いたものとは異なるpHの標準液を用いて,pHに対する電位の傾きを調整
して,その温度におけるpHを指すようにすること。
注記 感度調整と呼ぶこともある。
4
一般事項
一般事項に関する一般条件は,JIS K 0050による。
5
pH計の種類及び形式
5.1
種類
pH計は,その使用目的によって,次の3種類とする。
a) 携帯用
b) 卓上用
c) 定置用
5.2
形式
pH計は,その性能によって,表1に示す4形式とする。性能は,8.1の試験の結果によるものとする。
表1−pH計の形式
形式
繰返し性
直線性
0
±0.005
±0.03
I
±0.02
II
±0.05
±0.06
III
±0.1
±0.1
3
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6
pH計の構成
pH計は,検出部,増幅部及び指示部からなり,その構成例を図1に示す。
a) 携帯用及び卓上用の場合
b) 定置用の場合
図1−pH計の構成例
a) 検出部 検出部は,ガラス電極,比較電極,温度補償用感温素子及びこれらを保持するホルダーから
なる。
なお,温度補償用感温素子を含まない場合もある。
b) 増幅部 増幅部は,検出部の起電力を増幅し,かつ,温度補償のための演算を行い,指示部に必要な
レベルの電気信号に変換する能力をもつ。
c) 指示部 指示部は,測定結果を表示する指示計若しくは記録計のいずれか,又は両方を用いるもの。
指示方式は,アナログ式若しくはデジタル式のいずれか,又は両方を用いるもの。
7
pH標準液
7.1
pH標準液の種類及び品質・組成
pH標準液の種類及び品質・組成は,表2による。
表2−pH標準液の種類及び品質・組成
種類
品質
pH標準液の組成
認証pH標準液
調製pH標準液
しゅう酸塩pH標準液
例えば,JCSSの
pH標準液
7.3によって調
製したもの
0.05 mol/kg二しゅう酸三水素カリウム水溶液
フタル酸塩pH標準液
例えば,JCSSの
pH標準液
0.05 mol/kgフタル酸水素カリウム水溶液
中性りん酸塩pH標準液 例えば,JCSSの
pH標準液
0.025 mol/kgりん酸二水素カリウム,
0.025 mol/kgりん酸水素二ナトリウム水溶液
りん酸塩pH標準液
例えば,JCSSの
pH標準液
0.008 695 mol/kgりん酸二水素カリウム,
0.030 43 mol/kgりん酸水素二ナトリウム水溶液
ほう酸塩pH標準液
例えば,JCSSの
pH標準液
0.01 mol/kg四ほう酸ナトリウム(ほう砂)水溶液
炭酸塩pH標準液
例えば,JCSSの
pH標準液
0.025 mol/kg炭酸水素ナトリウム,
0.025 mol/kg炭酸ナトリウム水溶液
注記 mol/kgは,溶媒1 kg中の溶質の物質量を示す質量モル濃度である。
7.2
pH標準液の各温度におけるpH値
調製pH標準液の各温度におけるpH値の典型値を表3に示し,認証pH標準液の各温度におけるpH値
の典型値を表4に示す。表3又は表4に記載されていない温度におけるpH値は,なだらかに補間して求
検出部
増幅・指示部
検出部
増幅部
指示部
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めることができる。
表3−調製pH標準液の各温度におけるpH値の典型値
温度
℃
pH値
しゅう酸塩
フタル酸塩
中性りん酸塩
ほう酸塩
炭酸塩a)
0
1.67
4.01
6.98
9.46
10.32
5
1.67
4.01
6.95
9.39
(10.25)
10
1.67
4.00
6.92
9.33
10.18
15
1.67
4.00
6.90
9.27
(10.12)
20
1.68
4.00
6.88
9.22
(10.07)
25
1.68
4.01
6.86
9.18
10.02
30
1.69
4.01
6.85
9.14
(9.97)
35
1.69
4.02
6.84
9.10
(9.93)
38
−
−
−
−
9.91
40
1.70
4.03
6.84
9.07
−
45
1.70
4.04
6.83
9.04
−
50
1.71
4.06
6.83
9.01
−
55
1.72
4.08
6.84
8.99
−
60
1.73
4.10
6.84
8.96
−
70
1.74
4.12
6.85
8.93
−
80
1.77
4.16
6.86
8.89
−
90
1.80
4.20
6.88
8.85
−
95
1.81
4.23
6.89
8.83
−
注a) 括弧内の値は,二次補間値を示す。
表4−認証pH標準液の各温度におけるpH値の典型値(参考)
温度
℃
pH値
しゅう酸塩
フタル酸塩
中性りん酸塩
りん酸塩
ほう酸塩
炭酸塩
第1種 第2種 第1種 第2種 第1種 第2種 第1種 第2種 第1種 第2種 第2種
0
1.666
1.67
4.003
4.00
6.984
6.98
7.534
7.53
9.464
9.46
10.32
5
1.668
1.67
3.999
4.00
6.951
6.95
7.500
7.50
9.395
9.40
10.24
10
1.670
1.67
3.998
4.00
6.923
6.92
7.472
7.47
9.332
9.33
10.18
15
1.672
1.67
3.999
4.00
6.900
6.90
7.448
7.45
9.276
9.28
10.12
20
1.675
1.68
4.002
4.00
6.881
6.88
7.429
7.43
9.225
9.22
10.06
25
1.679
1.68
4.008
4.01
6.865
6.86
7.413
7.41
9.180
9.18
10.01
30
1.683
1.68
4.015
4.02
6.853
6.85
7.400
7.40
9.139
9.14
9.97
35
1.688
1.69
4.024
4.02
6.844
6.84
7.389
7.39
9.102
9.10
9.92
38
1.691
1.69
4.030
4.03
6.840
6.84
7.384
7.38
9.081
9.08
−
40
1.694
1.69
4.035
4.04
6.838
6.84
7.380
7.38
9.068
9.07
9.89
45
1.700
1.70
4.047
4.05
6.834
6.83
7.373
7.37
9.038
9.04
9.86
50
1.707
1.71
4.060
4.06
6.833
6.83
7.367
7.37
9.011
9.01
9.83
55
1.715
1.72
4.075
4.08
6.834
6.83
−
−
8.985
8.98
−
60
1.723
1.72
4.091
4.09
6.836
6.84
−
−
8.962
8.96
−
70
1.743
1.74
4.126
4.13
6.845
6.84
−
−
8.921
8.92
−
80
1.766
1.77
4.164
4.16
6.859
6.86
−
−
8.885
8.88
−
90
1.792
1.79
4.205
4.20
6.877
6.88
−
−
8.850
8.85
−
95
1.806
1.81
4.227
4.23
6.886
6.89
−
−
8.833
8.83
−
注記 第1種はOIML recommendation (R054-e81) に記載の値であり,第2種はそれを小数点以下2桁に丸め
たものである。
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7.3
調製pH標準液の調製方法
7.3.1
原料
調製pH標準液を調製する場合に用いる水及び試薬は,次による。
a) 水 導電率2×10−6 S/cm(25 ℃)以下のもの。ほう酸塩調製pH標準液及び炭酸塩調製pH標準液の
場合には,特に二酸化炭素を除去したものを使用しなければならない。
b) 二しゅう酸三水素カリウム二水和物 JIS K 8474に規定するもの。
c) フタル酸水素カリウム JIS K 8809に規定するpH標準液用のもの。
d) りん酸二水素カリウム JIS K 9007に規定するpH標準液用のもの。
e) りん酸水素二ナトリウム JIS K 9020に規定するpH標準液用のもの。
f)
四ほう酸ナトリウム十水和物 JIS K 8866に規定するpH標準液用のもの。
g) 炭酸水素ナトリウム JIS K 8622に規定するpH標準液用のもの。
h) 炭酸ナトリウム JIS K 8625に規定するpH標準液用のもの。
7.3.2
調製方法
各調製pH標準液の調製方法は,次による。体積は,25 ℃におけるものとする。試薬のはかりとり量は,
海面に近い高度でのひょう量時の空気の浮力を補正しない天びん(密度8 g/cm3の分銅で校正したもの)の
表示値とする。
a) しゅう酸塩調製pH標準液 二しゅう酸三水素カリウム二水和物をめのう乳鉢ですりつぶし,シリカ
ゲルを入れたデシケーター中に18時間以上保存する。その12.606 gをとり,少量の水に溶かし,全量
フラスコ1 Lに移し入れ,水を標線まで加える。
b) フタル酸塩調製pH標準液 あらかじめフタル酸水素カリウムを120 ℃で約1時間加熱し,シリカゲ
ルを入れたデシケーター中で放冷する。その10.119 gをとり,少量の水に溶かし,全量フラスコ1 L
に移し入れ,水を標線まで加える。
c) 中性りん酸塩調製pH標準液 あらかじめりん酸二水素カリウムを105 ℃±2 ℃で2時間,りん酸水
素二ナトリウムは110 ℃で2時間それぞれ加熱し,シリカゲルを入れたデシケーター中で放冷する。
りん酸二水素カリウム3.390 gと,りん酸水素二ナトリウム3.536 gとをとり,少量の水に溶かし,全
量フラスコ1 Lに移し入れ,水を標線まで加える。
d) りん酸塩調製pH標準液 あらかじめりん酸二水素カリウムを105 ℃±2 ℃で2時間,りん酸水素二
ナトリウムは110 ℃で2時間それぞれ加熱し,シリカゲルを入れたデシケーター中で放冷する。りん
酸二水素カリウム1.179 gと,りん酸水素二ナトリウム4.302 gとをとり,少量の水に溶かし,全量フ
ラスコ1 Lに移し入れ,水を標線まで加える。
e) ほう酸塩調製pH標準液 四ほう酸ナトリウム十水和物をめのう乳鉢ですりつぶし,臭化ナトリウム
溶液(飽和)に,更にJIS K 8514に規定する臭化ナトリウムを加えた溶液を入れたデシケーター中に
放置して恒量とする。その3.804 gをとり,二酸化炭素を含まない少量の水に溶かし,全量フラスコ1
Lに移し入れ,二酸化炭素を含まない水を標線まで加える。
f)
炭酸塩調製pH標準液 炭酸水素ナトリウムを,シリカゲルを入れたデシケーター中で約3時間放置
し,その2.92 gをとる。別に炭酸ナトリウムを白金るつぼに入れ,600 ℃で加熱して恒量とし,その
2.640 gをとる。両者を二酸化炭素を含まない少量の水に溶かし,全量フラスコ1 Lに移し入れ,二酸
化炭素を含まない水を標線まで加える。
7.4
pH標準液の保存方法
調製pH標準液は,上質の硬質ガラス又はポリエチレン製の瓶中に密閉して保存する。調製pH標準液は,
6
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長期間の保存によってpH値が変化する1) ことがあるから,調製後長期にわたるものは新しく調製したも
のと比較して,pH値が同一であることを確かめて使用しなければならない。また,認証pH標準液につい
ては,それぞれの個別の認証書又は校正証明書による。pH標準液は,一度使用したもの及び大気中に開放
して放置したものは再度使用してはならない。
注1) 例えば,ほう酸塩調製pH標準液及び炭酸塩調製pH標準液は,二酸化炭素などを吸収してpH
値が低下する。
8
操作方法
8.1
pH計の試験
pH計の試験は,次のように行う。
a) 繰返し性試験 8.2.1及び8.2.2に従って準備したpH計の検出部を任意の1種類のpH標準液に浸し,
10分後にpH計の指示を読む。次に検出部を水で十分洗い,水分を拭って再び同じpH標準液に浸し,
10分後にpH計の指示値を読む。このように操作してpH標準液について3回測定し,これら指示値
が全て各pH計の形式に対して表1の規定を満足しなければならない。
b) 直線性試験 8.2.1に従って準備した検出部を中性りん酸塩pH標準液及びフタル酸塩pH標準液を用
い8.2.2に準じてpH計を校正した後,検出部を水で十分洗い水分を拭って,ほう酸塩pH標準液に浸
してその値を読む。次に,検出部を再び水で十分洗い水分を拭って,再び同じほう酸塩pH標準液に
浸し,指示値を読む。このように操作してほう酸塩pH標準液について3回測定し,平均する。この
平均値と用いたほう酸塩pH標準液のpH値との差が,各pH計の形式に対して表1の規定を満足しな
ければならない。
なお,直線性試験に使用するpH標準液は,表5による。
表5−直線性試験に使用するpH標準液
形式
使用するpH標準液
0
認証pH標準液で小数点以下3桁の表示のある
もの。例えば,JCSSの第1種
I
認証pH標準液又は調製pH標準液
II
III
c) a)及びb)の試験はpH標準液の液温10 ℃〜40 ℃で行い,各pH標準液の温度の安定性は,表6に示
す値を超える変動があってはならない。
8.2
測定方法
8.2.1
準備
使用前にあらかじめpH計の電源を入れておき,検出部は水で繰り返し3回以上洗い,きれいなろ紙,
脱脂綿などで拭っておく。ただし,特に汚れている場合には,必要に応じて洗剤,0.1 mol/L塩酸などで短
時間洗い,更に流水で十分に洗う。長く乾燥状態にあったガラス電極は,あらかじめ一夜(例えば,12時
間)水中に浸した後使用する。
8.2.2
pH計の校正
pH計の校正は,ゼロ校正とスパン校正とで行う。ゼロ校正とスパン校正とを交互に行い,形式0,I,II
及びIIIのpH計において,それらのpH値がそれぞれ±0.005,±0.02,±0.05及び±0.1で,調製pH標準
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液を用いた場合は表3,認証pH標準液を用いた場合は認証書又は校正証明書の値と一致するまで校正する。
校正する場合には,pH標準液を表2から選定し,pH標準液の温度の測定精度及び校正中のpH標準液
の温度の安定性は表6による。ただし,測定目的又は個別規格の指定によって,認証pH標準液又は調製
pH標準液のいずれかを選定するが,トレーサビリティが必要な場合には,認証pH標準液を用いなければ
ならない。
表6−pH標準液の温度の測定精度及び校正中のpH標準液の温度の安定性
形式
pH標準液の温度の測定精度 校正中のpH標準液の温度の安定性
0
±0.1 ℃
±0.2 ℃
I
±0.5 ℃
±0.5 ℃
II
±2 ℃
III
a) ゼロ校正 ゼロ校正は,検出部を中性りん酸塩pH標準液に浸し,pH標準液の温度に対応する値に調
整して校正する。この場合,調製pH標準液を用いた場合は表3,認証pH標準液を用いた場合は認証
書又は校正証明書の値で校正する。
なお,温度補償用ダイヤル又はデジタルスイッチの設定があるものは,目盛値をpH標準液の温度
に合わせる。
b) スパン校正 スパン校正は,次による。
1) 試料溶液のpH値が7以下の場合 検出部をフタル酸塩pH標準液又はしゅう酸塩pH標準液に浸し,
pH標準液の温度に対応する値に調整して校正する。この場合,調製pH標準液を用いたときは表3,
認証pH標準液を用いたときは認証書又は校正証明書の値で校正する。
2) 試料溶液のpH値が7を超える場合 検出部をりん酸塩pH標準液,ほう酸塩pH標準液又は炭酸塩
pH標準液に浸し,その後の操作は1)と同様に行う。
注記 試料溶液のpH値が11以上の場合 pH値が11以上のための調製pH標準液に準じた溶液と
して,炭酸塩を含まない0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液及び飽和(25 ℃における)水酸化
カルシウム溶液を使用することができる。この水溶液の各温度におけるpH値を,表7に示
す。
表7−0.1 mol/L水酸化ナトリウム溶液及び飽和水酸化カルシウム溶液の各温度におけるpH値(参考)
温度
℃
0.1 mol/L水酸化ナ
トリウム溶液
飽和水酸化カルシ
ウム溶液
温度
℃
0.1 mol/L水酸化ナ
トリウム溶液
飽和水酸化カルシ
ウム溶液
0
13.8
13.43
35
12.6
12.14
5
13.6
13.21
40
12.4
11.99
10
13.4
13.00
45
12.3
11.84
15
13.2
12.81
50
12.2
11.70
20
13.1
12.63
55
12.0
11.58
25
12.9
12.45
60
11.9
11.45
30
12.7
12.30
8.2.3
測定
pH計を校正した後電極を洗浄し,直ちに試料溶液のpH測定を行う。試料溶液の量は,測定値が変化し
ない程度に十分にとる必要がある。
8
Z 8802:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
なお,温度補償用ダイヤル又はデジタルスイッチの設定があるものは,測定中液温は表6の値を超える
変動があってはならない。
注記 pH値が11以上の測定に対しては,通常のガラス電極ではアルカリ誤差を生じ,その測定値が
低く出るおそれがある。特に,アルカリ金属イオン濃度が高い場合には,誤差が大きくなる。
したがって,アルカリ誤差の少ない電極を使用し,かつ,必要な補正をすることが望ましい。
9
測定結果の記録
測定結果の記録には,次の事項を記載する。
a) 試料溶液の温度
b) pH計(電極を含む。)の形式
c) 試料名
d) pH標準液の品質(種類,供給者及び特性値)
e) 測定値
f)
装置の名称(製造業者名及び形式名)
g) 測定年月日
h) 測定者名
i)
測定不確かさ
j)
その他の必要な事項
参考文献 OIML recommendation (R054-e81),pH SCALE for AQUEOUS SOLUTIONS