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Z 8792:2011  

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

目 次 

ページ 

序文 ··································································································································· 1 

1 適用範囲 ························································································································· 1 

2 引用規格 ························································································································· 1 

3 用語及び定義 ··················································································································· 1 

4 原理······························································································································· 2 

5 測定方法 ························································································································· 3 

5.1 一般事項 ······················································································································ 3 

5.2 座標系の定義 ················································································································ 3 

5.3 ホログラムの記録環境 ···································································································· 4 

5.4 測定装置及び器具 ·········································································································· 4 

5.5 露光特性曲線の測定方法 ································································································· 5 

5.6 半値露光量の測定方法 ···································································································· 6 

5.7 R値の測定方法 ············································································································· 7 

5.8 屈折率変調量の測定方法 ································································································· 7 

6 測定結果の記載 ················································································································ 8 

6.1 一般事項 ······················································································································ 8 

6.2 測定対象に関する情報の記載···························································································· 8 

6.3 露光特性曲線及び半値露光量の測定結果の記載 ···································································· 8 

6.4 R値の測定結果の記載····································································································· 9 

6.5 屈折率変調量の測定結果の記載························································································· 9 

附属書A(参考)二光束干渉によるホログラムの記録光学系の組立手順及び安定性の確認 ················· 11 

附属書B(参考)ホログラムの記録手順 ··················································································· 13 

附属書C(参考)二光束干渉によるホログラムの干渉じまと入射角度との関係 ································ 14 

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(2) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,独立行政法人産業技術総合研究所(AIST)

から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経

て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。 

この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。 

この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意

を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実

用新案権に関わる確認について,責任はもたない。 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格 

      JIS 

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ホログラムの記録特性測定方法 

Methods for measurement of hologram recording characteristics 

序文 

ホログラムは,光の干渉及び回折の現象を利用した光学素子であり,多くの分野で利用されている。ホ

ログラムを作製するための記録材料に関してその記録特性を測定するためには,共通の条件によってホロ

グラムの記録材料を露光し,かつ,得られるホログラムの回折効率を測定する必要がある。ホログラムの

用語,及び光学特性に係る重要な評価項目(回折効率,角度選択性及び波長選択性)の測定方法はJIS Z 8791

に規定しているが,ホログラムの記録に関する規定は別途規定する必要がある。そこで,この規格によっ

てホログラムの記録にかかわる光学的な記録特性を測定する方法を提供する。 

適用範囲 

この規格は,ホログラムの記録にかかわる光学的な記録特性(露光特性曲線,半値露光量,R値及び屈

折率変調量)の測定方法について規定する。ただし,ホログラムの記録材料を構成する物質は,限定しな

い。 

引用規格 

次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの

引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。 

JIS Z 8120 光学用語 

JIS Z 8791 ホログラムの回折効率及び関連する光学特性の測定方法 

用語及び定義 

この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 8120及びJIS Z 8791によるほか,次による。 

3.1 

露光量(exposure) 

ホログラムの記録材料にホログラムを記録するときの,記録材料面でのレーザ光放射照度と露光時間と

の積。マイクロジュール毎平方センチメートル(μJ/cm2),又はミリジュール毎平方センチメートル(mJ/cm2)

の単位で表す。 

注記 放射照度の測定のとき,光検出器に対して物体波又は参照波が斜めに入射すると光検出器の受

光表面における反射によって正しく放射照度の測定ができないときがある。そのときには,光

検出器を物体波又は参照波にほぼ垂直に入射させて放射束を測定した後に,その値を記録材料

面における光束の断面積で除すればよい。 

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3.2 

(ホログラムの)露光特性曲線(exposure characteristic curve) 

横軸を露光量,縦軸を回折効率として測定値をグラフにしたホログラムの記録材料の特性を表す曲線。 

注記 η−E特性曲線とも呼ぶ。 

3.3 

(ホログラムの)半値露光量(exposure at half maximum) 

露光特性曲線において,最も高い回折効率の50 %を達成し得る最も少ない露光量。 

注記 ホログラムの記録材料のホログラムの記録に関する感度を表す尺度の一つ。数字が小さいほど,

少ない露光量でホログラムが記録できることを示す。 

3.4 

R値(R-value) 

ある空間周波数の干渉じまを記録したホログラムの回折効率。干渉じまの空間周波数には,空気中にお

いて観測される値を用いる。 

注記 ホログラムにおける空間的に識別できる細かさに関する記録材料の解像力を示す指標。細かな

干渉じまにおいても,高いR値(回折効率)を達成できる記録材料は,ホログラムにおいて高

い解像力をもつ記録材料といえる。例えば,干渉じまの空気中における空間周波数が1 000本

/mmである条件において記録されたホログラムの回折効率が30 %とすると,R (1 000)=30とな

る。 

3.5 

(ホログラムの)空間周波数(spatial frequency) 

干渉じまの単位長さ当たりの数。 

注記 干渉じまが示す周期的パターンの密度を指し,単位長さ当たり繰り返される干渉じまの本数(本

/mm)で表す。干渉じまの間隔の逆数に比例する。 

3.6 

(ホログラムの)屈折率変調量(amplitude of refractive index modulation) 

ホログラムの記録材料の屈折率差によって位相を変調する位相型ホログラムにおいて,干渉じまの明暗

に相当する部分の屈折率が記録材料の平均屈折率からどれだけ変化しているかを示す数値。 

注記 ホログラムの記録材料の位相変調能力を示す指標。∆nとも表記する。 

原理 

図1のようなホログラムの記録光学系を用い,平面波同士の二光束干渉によってホログラムの記録を行

い, かつ,JIS Z 8791の5.5(回折効率の測定方法)によって求めた回折効率の値と露光条件との関係か

ら,露光特性曲線,半値露光量,R値及び屈折率変調量を得る。 

なお,この規格では,平面波の二光束干渉によって作製したホログラムの回折効率を測定することで,

ホログラムの記録における記録特性を測定する。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 透過型ホログラム 

b) 厚い反射型ホログラム 

図1−ホログラムの記録光学系 

測定方法 

5.1 

一般事項 

ホログラムの記録特性には,露光特性曲線,半値露光量,R値及び屈折率変調量があるが,ホログラム

の記録特性の測定は,JIS Z 8791によって測定される回折効率を基に次の方法に従わなければならない。 

露光特性曲線,又は半値露光量の測定に当たっては,露光量を変化させながら複数のホログラムを作製

し,かつ,それぞれのホログラムの回折効率を測定する。R値の測定に当たっては,特定の空間周波数を

もつ干渉じまが得られるように二光束の入射角度を調整し,一つ又は複数のホログラムを作製し,かつ,

それぞれのホログラムの回折効率を測定する。屈折率変調量の測定に当たっては,JIS Z 8791の5.5(回折

効率の測定方法)に規定するいずれかの測定方法によって回折効率を測定し,回折効率の測定に用いた光

の波長,ホログラムの厚さ,二光束の入射角度,ホログラムの平均屈折率,及び測定された回折効率を関

係式に代入して値を算出する。 

5.2 

座標系の定義 

座標軸及び光波の角度は,次による。 

a) 記録材料面をxy平面とし,かつ,垂直な方向をz軸とする。 

b) z軸は,物体波又は再生波の進行する方向を正とする。 

c) 入射角度θ[度(°)又はrad]は,図2のように,z軸正方向と光波の延長線とがなす角度(符号は,

反時計回りが正)とする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) 光波が+z方向に進むとき 

b) 光波が−z方向に進むとき 

図2−ホログラムの記録特性の測定のための座標系と光波との角度の取り方 

5.3 

ホログラムの記録環境 

ホログラムの記録は,常温かつ常湿の暗室で行い,機械的な振動及び空気の乱れに対して,十分な対策

がとられた条件下で行わなければならない。 

注記 例えば,機械的な振動に対しては,防振装置をもった光学定盤上に,レーザも含んだ全ての機

器を搭載することで振動を防ぐ対策をとり,空気の乱れに対しては,光学定盤全体をプラスチ

ック製のカバー,暗幕カーテンなどで囲うことで,エアコンディショナなどからの空気の流れ

を遮断するなどの対策をとる。空冷タイプ又は水冷タイプのレーザのときは,レーザ自身から

発する空気の乱れ,振動などにも注意する。 

5.4 

測定装置及び器具 

ホログラムの記録材料の記録特性の測定に当たっては,図1に示す光学系を用いなければならない。光

学系は,次の要素(部品)で構成される。 

注記 推奨されるホログラムの記録光学系の組立手順及び安定性の確認方法については附属書Aを,

ホログラムの記録手順については附属書B,二光束干渉によるホログラムの干渉じま間隔と物

体波及び参照波の入射角度との関係については附属書Cを参照。 

5.4.1 

レーザ 出力の経時安定性が十分高いもの(例えば,30分間で出力変動が±5 %以下)であること

が望ましい。 

5.4.2 

対物レンズ コリメータレンズに照射されるレーザ光の放射照度がコリメータレンズの有効径内

でほぼ均一になるようにビーム直径を拡大できるもの(例えば,10倍〜40倍の倍率)を適宜選択する。 

5.4.3 

ピンホール 使用するレーザの波長,対物レンズなどの焦点距離に応じて,適切な大きさの孔径の

もの(例えば,5〜25 μm)を用いる。 

注記 対物レンズの焦点位置におけるビーム直径dの理論式は,式(1)で与えられるので,この値の2

倍程度をピンホール孔径の目安としてもよい。 

πω

λ

f

d

4

=

≒NA

π

λ

4

 ········································································ (1) 

ここに, 

f: 対物レンズの焦点距離(μm) 

λ: 空気中におけるレーザの波長(μm) 

ω: 入射光のビーム直径(ビーム強度が最大値の1/e2となる幅)

(μm) 

NA: 対物レンズの開口数 

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5.4.4 

コリメータレンズ 使用するレーザの波長に対して球面収差補正をしたレンズであり,レンズマウ

ントに設置したもの。 

5.4.5 

ミラー 面精度は,十分高いもの(例えば,1/10波長程度を超えるもの)であることが望ましい。

ミラー類を搭載するステージは,回転及びあおり機構の微動が可能で,その微動機構もマイクロメータを

用いたものが望ましい。 

5.4.6 

ハーフミラー 反射光と透過光との比率を1:1にできるものを用いる。 

注記 例えば,誘電体多層膜又はクロム反射膜をコーティングしたもの,裏面反射による干渉ノイズ

を避けるためにくさび角が1°[π/180(rad)]程度のくさび形状をしたもの,反射防止コート

をしたものなどがある。 

5.4.7 

試験片ホルダ ホログラムの記録材料を装着した状態で,試験片サイズ程度の可動範囲をもって移

動可能であることが望ましい。ただし,可動機構を設けるときは,振動に強い構造のものを選択する。 

注記 記録材料の着脱は,暗室の明かりのないところで行わなければならないので,暗所でも容易に

着脱が行える形態であることが望ましい。例えば,保持具として,試験片サイズとほぼ同サイ

ズで,縁取りした金枠(枠幅10 mm程度で,黒つや消し塗装する。)を用意し,試験片の押さ

えには,ばね板(クレンメル)を用いることが望ましい。 

5.4.8 

光検出器 測定対象とする光強度に対して十分なダイナミックレンジ及び応答性をもち,校正され

たもの。 

5.5 

露光特性曲線の測定方法 

露光特性曲線の例を,図3に示す。 

露光特性曲線(露光量と回折効率との関係を示す。η−E特性曲線)の求め方は,次による。 

a) ホログラムの記録に用いる光源の波長,並びに物体波及び参照波の入射角度を適宜定め,図1の光学

系を用いて,露光量を変化させて露光した記録材料に,記録材料ごとに定められた規定の処理(現像,

漂白など)をする。 

b) 次にJIS Z 8791の5.5(回折効率の測定方法)に規定するいずれかの測定方法によって回折効率を測

定する。 

回折効率には複数の種類があり,それらの値は一般に異なるので,回折効率の測定は測定対象に応

じて,適宜測定方法を選択しなくてはならない。厚い反射型ホログラムにおいては,JIS Z 8791の5.5.4

(分光透過回折効率の測定方法)に規定する分光透過回折効率又は5.5.5(分光反射回折効率の測定方

法)に従った測定を用いるのがよい。 

c) 露光特性曲線は,横軸を露光量(μJ/cm2),縦軸を回折効率(%)として測定結果をプロットする。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

a) ピークを呈する露光特性曲線 

b) 飽和値に漸近する露光特性曲線 

図3−露光特性曲線(η−E特性曲線)の例 

5.6 

半値露光量の測定方法 

半値露光量は,5.5によって得られた露光特性曲線(図3)における最も高い回折効率の50 %(又は飽

和したとみなせる回折効率の50 %)となる露光量(μJ/cm2)のうち,最も少ない露光量を図4のグラフか

ら読み取る。 

注記 数字が小さいほど,少ない露光量でホログラムが記録できることを示す。半値露光量は,ホロ

グラムの記録材料のホログラムの記録に関する感度を表す尺度として利用できる。 

なお,この半値露光量は,露光量を決定する一つの目安であり,必ずしもホログラムの記録

時の最適な露光量を示すものではない。 

a) ピークを呈する露光特性曲線 

b) 飽和値に漸近する露光特性曲線 

図4−露光特性曲線の例及び半値露光量の読取方法 

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5.7 

R値の測定方法 

R値は,ホログラムの記録材料の解像力を示す指標であり,次によって求める。 

a) コリメートされた二光束の入射角度θを変えてホログラムを記録する。  

このとき,透過型ホログラムでは,物体波の入射角度をθ,参照波の入射角度を2π−θとして二光

束を入射させる。反射型ホログラムでは,物体波の入射角度をθ,参照波の入射角度をπとして二光

束を入射させる。また,記録材料の位置での空気中(n=1.0)の干渉じまの空間周波数が,例えば,

500本/mm,1 000本/mm,2 000本/mm,3 000本/mm,4 000本/mmとなるよう,入射角度θを設定す

る[透過型のとき:式(C.4),反射型のとき:式(C.8)を参照]。 

b) JIS Z 8791の5.5(回折効率の測定方法)に規定するいずれかの測定方法によって,それぞれのホログ

ラムの回折効率を測定する。 

c) 空気中におけるそれぞれの空間周波数,例えば,500本/mm,1 000本/mm,2 000本/mm,又は3 000

本/mmの回折効率をR値とする。 

例 ある記録材料に空気中での空間周波数1 000本/mmの透過型ホログラムを記録した場合の回折

効率が30 %であったとき,空間周波数1 000本/mmにおけるR値は30であり,R (1 000)=30

と表す。 

5.8 

屈折率変調量の測定方法 

5.8.1 

一般事項 

厚い位相型ホログラムの屈折率変調量は,透過型ホログラム又は反射型ホログラムの回折効率の測定を

通じて求められる。 

5.8.2 

透過型ホログラムによる測定方法 

透過型ホログラムを用いた屈折率変調量の測定は,次の手順による。 

a) コリメートされた二光束を用い,物体波の入射角度をθ,参照波の入射角度を2π−θとしてホログラ

ムを作製する。 

b) 5.5によって得られた露光特性曲線(図3)における最も高い回折効率の値(又は飽和したとみなせる

回折効率の値)を求める。 

c) 式(2)によって,屈折率変調量(∆n)を算出する。 

100

arcsin

cos

B

η

θ

π

λ

=

T

n

 ··························································· (2) 

ここに, 

λ: 空気中の波長(μm) 

T: ホログラムの厚さ(μm) 

θ'B: ブラッグ回折角(ホログラム内での角度)(rad) 

η: 回折効率(%) 

注記 ブラッグ回折角θ'Bと二光束の入射角度θとの関係は,スネルの法則によって,次の式で与え

られる。 

)

/

arcsin(sin

B

n

θ

θ=

ここに, 

n: ホログラムの平均屈折率 

arcsinの値は,度(°)単位ではなくラジアン単位で算出する。 

ホログラムの平均屈折率は,作製されたホログラムについて測定された値を用いることが

望ましいが,一般には正確な測定が容易ではないため,ホログラムを構成する物質の組成に

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

基づいて計算される値を用いてもよい。 

例 厚さ7 μmの銀塩乳剤を使用し,波長0.532 μm,θ=π/8 (rad) でホログラムを記録し回折効率50 %

を得たとき,このときの屈折率変調量は,nを1.63とすれば,∆n=0.018と見積もることがで

きる。ただし,この値は,回折効率−露光量特性を示す図3 a) の透過型ホログラムの例におい

て,回折効率が最初に50 %になるときの屈折率変調量を示す。 

5.8.3 

反射型ホログラムによる測定方法 

反射型ホログラムを用いた屈折率変調量の測定は,次の手順による。 

a) コリメートされた二光束を用い,物体波及び参照波の入射角度をそれぞれ,0 (rad) 及びπ (rad),又は

θ (rad)及びπ−θ (rad)としてホログラムを作製する。 

b) JIS Z 8791の5.5.4(分光透過回折効率の測定方法)によって測定された回折効率を基にして露光特性

曲線(図3)を描き,当該曲線における最も高い回折効率の値(又は飽和したとみなせる回折効率の

値)を求める。 

c) 式(3)によって,屈折率変調量(∆n)を算出する。 

100

/

1

100

/

1

log

cos

2

B

η

η

θ

π

λ

+

=

T

n

 ····················································· (3) 

ここに, 

λ: 空気中の波長(μm) 

T: ホログラムの厚さ(μm) 

θ'B: ブラッグ回折角(ホログラム内での角度)(rad) 

η: 回折効率(%) 

測定結果の記載 

6.1 

一般事項 

測定報告書には,表1に示す報告事項を記載する。露光特性曲線又は半値露光量のいずれかを記載する。

また,測定対象としたホログラムの作製の手順及び条件についても併せて記載する。 

6.2 

測定対象に関する情報の記載 

測定対象に関する情報の記載は,次による。 

a) 記録材料の名称(例えば,商品名,開発コード番号など識別できる情報を指す。) 

b) 露光前のホログラムの記録材料の厚さ(ただし,基板又は支持体部分は,含めない。)(μm) 

c) 基板(又は支持体部分)の種類(ガラス,ポリマーフィルムなどの区別) 

d) ホログラムの記録時に使用したレーザ光の特徴[波長(μm),及び連続発振レーザか,又はパルス発

振レーザかの区別] 

e) 現像,漂白などの記録時に行った処理方法(該当する場合)。他者が再現可能な情報を最低限報告しな

ければならない。 

6.3 

露光特性曲線及び半値露光量の測定結果の記載 

露光特性曲線及び半値露光量の測定結果の記載は,次による。 

a) 記録特性は,5.5によって得られた露光特性曲線(η−E特性曲線),若しくは5.6によって得られた半

値露光量の値(μJ/cm2若しくはmJ/cm2)のいずれか,又はその両方で示す。 

b) 露光特性曲線の記載に当たっては,次の情報についても併せて記載する。 

1) ホログラムの記録時の物体波及び参照波の入射角度[度(°)又はrad] 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

2) JIS Z 8791の5.5(回折効率の測定方法)に規定する測定方法のうち,どの方法(一つ又は複数)に

基づいて測定されたか。 

3) 回折効率の測定時の照明波の入射角度[度(°)又はrad] 

4) 照明波の波長(μm)[回折効率の測定にJIS Z 8791の5.5.2(絶対回折効率の測定方法),又は5.5.3

(相対回折効率の測定方法)を用いたときは,使用レーザの波長。JIS Z 8791の5.5.4(分光透過回

折効率の測定方法)を用いたときは,透過率が最小となる位置の波長。JIS Z 8791の5.5.5(分光反

射回折効率の測定方法)を用いたときは,反射率が最大となる位置の波長。] 

c) 半値露光量の記載に当たっては,次の情報についても併せて記載する。 

1) 回折効率の最大値(%) 

2) JIS Z 8791の5.5(回折効率の測定方法)に規定する測定方法のうち,どの方法(一つ又は複数)に

基づいて測定されたか。 

6.4 

R値の測定結果の記載 

R値の測定結果の記載は,次による。 

a) R値は,5.7によって測定された値をもって示す。 

b) R値の記載に当たっては,次の情報についても併せて記載する。 

1) 測定対象が,透過型ホログラム又は反射型ホログラムのいずれであるか。 

2) ホログラムの記録時の物体波及び参照波の入射角度[度(°)又はrad] 

3) ホログラムの記録時の露光量(μJ/cm2又はmJ/cm2) 

4) JIS Z 8791の5.5(回折効率の測定方法)に規定する測定方法のうち,どの方法(一つ又は複数)に

基づいて測定されたか。 

5) 回折効率の測定時の照明波の入射角度[度(°)又はrad] 

6) 照明波の波長(μm)[回折効率の測定にJIS Z 8791の5.5.2(絶対回折効率の測定方法),又は5.5.3

(相対回折効率の測定方法)を用いたときは,使用レーザの波長。JIS Z 8791の5.5.4(分光透過回

折効率の測定方法)を用いたときは,透過率が最小となる位置の波長。JIS Z 8791の5.5.5(分光反

射回折効率の測定方法)を用いたときは,反射率が最大となる位置の波長。] 

6.5 

屈折率変調量の測定結果の記載 

屈折率変調量の測定結果の記録は,次による。 

a) 屈折率変調量は,5.8に基づいて算出された値をもって示す。 

b) 屈折率変調量の記載に当たっては,次の情報についても併せて記載する。 

1) ホログラムの記録時の物体波及び参照波の入射角度[度(°)又はrad] 

2) 回折効率の測定時の照明波の入射角度[度(°)又はrad] 

3) 照明波の波長(μm)[JIS Z 8791の5.5.4(分光透過回折効率の測定方法)に規定する分光透過回折

効率において,透過率が最小となる位置の波長。] 

4) ホログラムの平均屈折率の測定又は算出(推定を含む。)の方法 

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Z 8792:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1−報告事項の一覧 

項目 

記載情報 

記載の必要性 

a) 測定対象に関
する情報 

・記録材料の名称(例:商品名,開発コード番号など識別できる情報) 
・露光前の記録材料の厚さ(基板,支持体部分などは,含めない。)(μm) 
・基板(又は支持体部分)の種類(ガラス,ポリマーフィルムなどの区別) 

・ホログラムの記録時に使用したレーザ光の特徴[波長(μm),及び連続発振

レーザか,又はパルス発振レーザかの区別] 

・現像,漂白などの記録時に行った処理方法(該当の場合)。他者が再現可能

な情報を最低限報告しなければならない。 

必須 

b) 露光特性曲線 

・露光特性曲線(η−E特性曲線)のグラフ 
・ホログラムの記録時の物体波及び参照波の入射角度[度(°)又はrad] 
・回折効率の測定方法(JIS Z 8791の5.5.2〜5.5.5のうちのいずれか,又は複

数) 

・回折効率の測定時の照明波の入射角度[度(°)又はrad] 
・照明波の波長(μm)(回折効率の測定方法がJIS Z 8791の5.5.2又は5.5.3

のときは,使用レーザの波長。JIS Z 8791の5.5.4のときは,透過率が最小
となる位置の波長。JIS Z 8791の5.5.5のときは,反射率が最大となる位置
の波長。) 

必須a) 

c) 半値露光量 

・半値露光量の値(μJ/cm2又はmJ/cm2) 
・回折効率の最大値(%) 
・回折効率の測定方法(JIS Z 8791の5.5.2〜5.5.5のうちのいずれか,又は複

数) 

必須a) 

d) R値 

・R値 
・測定対象が,透過型ホログラム又は反射型ホログラムのいずれであるか。 
・ホログラムの記録時の物体波及び参照波の入射角度[度(°)又はrad] 
・回折効率の測定方法(JIS Z 8791の5.5.2〜5.5.5のうちのいずれか,又は複

数) 

・回折効率の測定時の照明波の入射角度[度(°)又はrad] 
・照明波の波長(μm)(回折効率の測定方法がJIS Z 8791の5.5.2又は5.5.3

のときは,使用レーザの波長。JIS Z 8791の5.5.4のときは,透過率が最小
となる位置の波長。JIS Z 8791の5.5.5のときは,反射率が最大となる位置
の波長。) 

任意 

e) 屈折率変調量 

・屈折率変調量 
・ホログラムの記録時の物体波及び参照波の入射角度[度(°)又はrad] 
・回折効率の測定時の照明波の入射角度[度(°)又はrad] 
・照明波の波長(μm)(JIS Z 8791の5.5.4に規定する分光透過回折効率にお

いて,透過率が最小となる位置の波長。) 

・ホログラムの平均屈折率の測定又は算出(推定を含む。)の方法 

任意 

注記 それぞれの項目の記載情報が同一であるときは,参照関係を示した上で,記載を省略してもよい。また,測

定年月日,測定環境,測定者,規格番号などを記載することが望ましい。 

注a) 報告事項の項目のうち,b) 又はc) のうち少なくとも一方を必須とする。 

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Z 8792:2011  

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附属書A 

(参考) 

二光束干渉によるホログラムの記録光学系の組立手順及び安定性の確認 

A.1 ホログラムの記録光学系の組立手順 

推奨されるホログラムの記録光学系(図1)の組立手順は,次による。 

a) 光学系の基準高さの設定 レーザビームが光学定盤面に対して水平になるようにレーザ本体のレベル

を調整することが望ましい。光学定盤面から,このビームの高さを光学系の基準高さとすることが望

ましい。レーザビームの高さを合わせるには,例えば,細線で十字マークを付けたガラス板を用意し,

それをスタンドに着けて十字マークの中心を基準高さに合わせる“基準高さとするスタンド”などを

用いると容易になる。 

b) 光学系の設定 対物レンズ,ピンホール,コリメータレンズを入れない状態で,レーザビームをミラ

ー,ハーフミラー,試験片ホルダなどの光学系に通す。“基準高さとするスタンド”を順次,それぞれ

の部品の間に挿入し,それぞれのミラーの回転,あおり機構などを使って,それぞれの光路間のビー

ム高さが基準高さに一致するように調整することが望ましい。最終的に試験片ホルダ面で2ビームを

基準高さで合致させることが望ましい。 

c) 角度の設定 ミラー,ハーフミラーの反射角度及び試験片ホルダ面への入射角度の設定は,b) と同時

に行い,次のように行うことが望ましい。 

1) それぞれのミラー類にレーザビームを入射させるとき,その手前に“基準高さとするスタンド”を

置いて,十字線の中心をビームの中心に合わせておく。ビームがミラーに入射している状態で,ミ

ラーを回転し,その反射ビームが元に戻るように,すなわち,反射ビームの中心が十字線の中心に

合うようにミラーを調整し,角度を設定する基準とする。 

2) 図1のハーフミラーは,ミラー1からの光束をミラー2の方向にそのまま透過させるとともに,ミラ

ー3の方向に反射させる役目をもっている。ハーフミラーの角度設定は,ミラー1とハーフミラーと

の間に“基準高さとするスタンド”を置いて,上記のビームを元に戻す調整を行い,次にハーフミ

ラーを45゜回転させることによって,角度設定を行う。他のミラーに関しても同様の調整を行う。 

3) 試験片ホルダの材料面に対するビームの入射角度の設定及び測定は,次のように行う。 

試験片と同サイズのガラス板をホルダにセットし,試験片ホルダとミラー2との間,及び試験片

ホルダとミラー3との間に“基準高さとするスタンド”を置き,それぞれ十字線の中心とビームの

中心とを合わせておく。 

まず,ホルダにセットしたガラス板面で2ビームが一致するようにホルダを前後に動かして位置

調整をする。 

次に,ミラー2からのビームをガラス板で反射させて,元に戻るようにホルダを回転して,角度

のゼロ点合わせを行う。さらに,この反射ビームが試験片ホルダとミラー3との間に置かれた十字

線に合うようにホルダを回転させる。この回転角が図1 a) に示すθ1角に相当する。 

d) コリメータレンズの設定 コリメータレンズの設定において重要なことは,レーザビームをコリメー

タレンズの中心部(光軸)に通すこと,及びコリメータレンズの中心部のレンズ面に垂直に入射させ

ることである。 

1) 中心部を通っているかどうかの確認は,コリメータレンズを置く場所から,ミラー1の方向にその

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Z 8792:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

焦点距離だけ離れたところに“基準高さとするスタンド”を置き,十字線の中心をビームの中心に

合わせる。 

2) コリメータレンズを規定の場所に置き,コリメータレンズによって収束されるビームのスポットが

十字線の中心に合うようにコリメータレンズの高さ,横ずれなどを調整する。 

3) レンズ面に垂直に入射しているかどうかの確認は,“基準高さとするスタンド”をレーザ側にコリメ

ータレンズの焦点距離のところに置き,十字線の中心をビームの中心に合わせる。次に,コリメー

タレンズ中心部から反射される光線の中心部分が十字線の中心に合うように,コリメータレンズの

回転,あおり機構などで調整することによってコリメータレンズの向きを調整する。 

e) 対物レンズ及びピンホールの設定 対物レンズとピンホールとを一体化した部品(スペイシャルフィ

ルターユニット)があるのでそれを利用することが望ましい。この部品のピンホール位置がコリメー

タレンズの前側焦点距離のところにくるように置く。ピンホールを抜いて,ビームと対物レンズとの

光軸合わせを行い,きれいな球面波が出ていることを確認するとともに,その球面波の中心がコリメ

ータレンズの中心にくるように調整する。その後,ピンホールを入れ,ピンホールを前後上下左右に

微動して,対物レンズで収束される光がピンホールを完全に通るように調整する。 

f) 

参照波と物体波との放射照度比の確認 光検出器を用いて参照波と物体波の放射照度とを別々に測定

し,それぞれが等しくなっていることを確認することが望ましい。もし,等しくないときは,a)〜e) の

手順を再度見直す。 

なお,ここでは定盤上に一般的な光学部品を用いてホログラムの記録光学系を構築する手順の例を

示したが,十分に調整され,かつ,安定した平面波同士の二光束干渉によって作製するホログラムの

記録光学系であれば,この限りでない。 

A.2 光学系の安定性の確認 

光学系でマッハツェンダー干渉計を構成し,かつ,光学系の安定性を確認することが望ましい。具体的

には,図1 b) の試験片ホルダの替わりにハーフミラー2を置き,ミラー2からきた光のハーフミラー2に

よる反射光と,ミラー3からきた光のハーフミラー2による透過光との干渉光をスクリーン上に投影し,ス

クリーンに映った干渉じまを観察する。想定される露光時間中,干渉じまの動きが十分に少なければ光学

系は安定していると判断できる。光学系が安定していないと,記録材料中に記録される干渉じまのコント

ラストが低くなり,ホログラムの回折効率が低下するので,ホログラムの記録前に,光学系の安定性を確

認することを推奨する。 

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Z 8792:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書B 

(参考) 

ホログラムの記録手順 

B.1 ホログラムの記録手順 

ホログラムの記録手順は,次による。 

a) 暗室内に設置した図1の光学系に,記録材料を固定し,露光を行う。 

b) 露光時の暗室の照明は,完全に消灯するか,又は記録材料が感度をもたない波長の光とする。 

c) 露光を行うときの記録材料面での放射照度,露光時間などを記録する。 

d) 露光量を変化させながら,複数のホログラムを記録することで,5.5及び5.6によってホログラムの記

録材料の記録特性を測定することができる。 

e) 記録材料によっては,露光前,露光中及び露光後に処理が必要なものがあるため,記録材料の処方に

従って実施する。 

なお,露光中にホログラムの記録装置に振動が生じないようにする。これらの振動は,シャッター

の開閉時の動作,音,空気の揺らぎ,熱変形などによっても生じることがあるので,十分な注意が必

要である。 

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Z 8792:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書C 
(参考) 

二光束干渉によるホログラムの干渉じまと入射角度との関係 

C.1 透過型ホログラム 

図1 a) に示すように,二光束が記録材料の表面の垂線に対してθ1及びθ2で,更に記録材料の表面に対

して同じ側から入射する方法で記録したホログラムは,透過型ホログラムとなる。この光学系で記録され

る記録材料の表面の干渉じま間隔(d)は,式(C.1)で表される。 

)

sin

(sin

2

1

θ

θ

λ

=

d

 ·································································· (C.1) 

ここに, 

d: 干渉じま間隔(μm) 

λ: 空気中の波長(μm) 

なお,厚いホログラムのときのホログラム中の干渉じま間隔aは,ホログラムの屈折率を考慮すること

が望ましい。式(C.2)で表される。 

)

2

sin(

2

2

1

P

'

'

a

θ

θ

λ

=

 ···································································· (C.2) 

n

λ

λ=

P

ここに, 

λP: 記録材料中の波長(μm) 

λ: 空気中の波長(μm) 

n: 記録材料の平均屈折率 

θ1': 記録材料中の参照波の入射角度(rad) 

θ2': 記録材料中の物体波の入射角度(rad) 

また,スネルの法則によって, 

n

'

/

sin

sin

1

1

θ

θ=

n

'

/

sin

sin

2

2

θ

θ=

の関係がある。 

ここで,二光束が垂線に対して対称に入射,すなわち,θ1=θ,θ2=2π−θで入射したとすると,式(C.1)

は,式(C.3)で表される。 

)

sin

2

/(

θ

λ

=

d

 ········································································ (C.3) 

このときの干渉じまは,記録材料の表面に対して垂直方向の細かいしまとなる。 

式(C.3)を空間周波数(ν)で表すと,式(C.4)になる。 

λ

θ

ν

/

sin

2

=

·········································································· (C.4) 

なお,透過型ホログラムの記録特性の測定では,記録材料の膨張,収縮などによる影響をできるだけ排

除するため,二光束が垂線に対して対称に入射,すなわち,θ1=θ,θ2=2π−θで入射させて記録を行うこ

とが望ましい。ただし,例えば,実際の使用環境での光線角度を利用したいとき,膨張,収縮などが生じ

ることを特徴とする記録材料の評価をするようなときなどには,入射角度は対称でなくてもよい。 

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15 

Z 8792:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

C.2 厚い反射型ホログラム 

図1 a) の試験片ホルダを反時計方向に90度回転すると,図1 b) に示す光学配置となる。このように二

光束が記録材料に対して表裏両方向から入射する方法で記録したホログラムは,厚い反射型ホログラムと

呼ばれる。この方法で記録される干渉じまは,記録材料の表面に対してほぼ平行な(条件によっては完全

に平行な)層状のしまとなる。 

厚い反射型ホログラムに記録される干渉じま間隔は,次に示す手順によって求められる。 

図C.1のように,二光束は,表面から参照波がθ1,裏面から物体波がθ2の角度で入射し,材料中では,

それぞれθ1',θ2' の角度で入射する。 

式(C.1)と同様に,記録材料の表面の干渉じま間隔(d)は,隣り合うしまの間の最短距離であり,式(C.5)

で表される。 

'

'

d

2

1

P

2

1

sin

sin

/

sin

sin

/

θ

θ

λ

θ

θ

λ

=

=

 ········································ (C.5) 

n

λ

λ=

P

ここに, 

λP: 記録材料中の波長(μm) 

λ: 空気中の波長(μm) 

n: 記録材料の平均屈折率 

θ1': 記録材料中の参照波の入射角度(rad) 

θ2': 記録材料中の物体波の入射角度(rad) 

図C.1−厚い反射型ホログラムの記録における干渉じまの形成 

記録される干渉じまの傾き角は,α=(θ1'+θ2')/2で与えられるので,記録材料中の干渉じまの間隔(a)

は,式(C.6)で表される。 

)

2

sin(

2

cos

2

1

P

'

'

d

a

θ

θ

λ

α

=

=

 ························································ (C.6) 

式(C.4)と同様に空間周波数(ν)で表すと,式(C.7)になる。 

background image

16 

Z 8792:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

P

2

1

)

2

sin(

2

λ

θ

θ

ν

'

'−

=

 ······························································ (C.7) 

なお,記録材料の位置における空気中(n=1.0)での空間周波数(νair)は,式(C.8)で表される。 

λ

θ

θ

ν

)

2

sin(

2

2

1

air

=

 ····························································· (C.8) 

なお,反射型ホログラムの特性測定では,記録材料の表面での正反射光と回折光とを分離するため,二

光束のうちの一方を記録材料の表面に対して垂直に入射させて記録することが望ましい。そのときは,図

C.2に示すように,ミラー2からの光束(参照波)を垂直に入射(θ1=π)させ,ミラー3からの光束(物

体波)を任意の角度θ2で入射させる方法が用いられる。 

図C.2−厚い反射型ホログラムの記録光学系 

C.3 二光束干渉によるホログラムの干渉じまの空間周波数と入射角度との関係 

ホログラムの記録によく使われるレーザの波長に関して,空気中で代表的な空間周波数を与える入射角

度θを,表C.1及び表C.2に示す(透過型のとき:θ1=θ,θ2=2π−θ,反射型のとき:θ1=π,θ2=θ)。 

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17 

Z 8792:2011  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表C.1−干渉じまの空間周波数(ν)と入射角度(θ)との関係(透過型ホログラムのとき) 

単位 rad 

レーザの種類 

波長 

(μm) 

空間周波数 

(本/mm) 

500 

1 000 

2 000 

3 000 

半導体レーザ 

0.405 

0.101 

(5.81) 

0.204 

(11.68) 

0.417 

(23.89) 

0.653 

(37.41) 

ヘリウムカドミウム 
(He-Cd)レーザ 

0.441 6 

0.111 

(6.34) 

0.223 

(12.76) 

0.457 

(26.21) 

0.724 

(41.48) 

半導体励起固体(DPSS)
レーザ 

0.473 

0.119 

(6.79) 

0.239 

(13.68) 

0.493 

(28.23) 

0.789 

(45.19) 

アルゴンイオン(Ar+)
レーザ 

0.488 

0.122 

(7.01) 

0.246 

(14.12) 

0.510 

(29.21) 

0.821 

(47.05) 

0.514 5 

0.129 

(7.39) 

0.260 

(14.91) 

0.540 

(30.96) 

0.882 

(50.51) 

半導体励起固体(DPSS)
レーザ 

0.532 

0.133 

(7.64) 

0.269 

(15.43) 

0.561 

(32.14) 

0.924 

(52.94) 

ヘリウムネオン(He-Ne)
レーザ 

0.632 8 

0.159 

(9.10) 

0.322 

(18.45) 

0.685 

(39.26) 

1.25 

(71.66) 

クリプトンイオン(Kr+)
レーザ 

0.647 1 

0.162 

(9.31) 

0.329 

(18.88) 

0.704 

(40.32) 

1.33 

(76.08) 

注記 表中下段の括弧内数値の単位は,度(°)である。 

表C.2−干渉じまの空間周波数(ν)と入射角度(θ)との関係(反射型ホログラムのとき) 

単位 rad 

レーザの種類 

波長 

(μm) 

空間周波数 

(本/mm) 

3 000 

4 000 

半導体レーザ 

0.405 

− 

(−) 

1.25 

(71.62) 

ヘリウムカドミウム 
(He-Cd)レーザ 

0.441 6 

− 

(−) 

0.976 

(55.92) 

半導体励起固体(DPSS)
レーザ 

0.473 

− 

(−) 

0.660 

(37.82) 

アルゴンイオン(Ar+)
レーザ 

0.488 

1.50 

(85.94) 

0.439 

(25.15) 

0.514 5 

1.38 

(79.07) 

− 

(−) 

半導体励起固体(DPSS)
レーザ 

0.532 

1.29 

(73.91) 

− 

(−) 

ヘリウムネオン(He-Ne)
レーザ 

0.632 8 

0.640 

(36.67) 

− 

(−) 

クリプトンイオン(Kr+)
レーザ 

0.647 1 

0.486 

(27.85) 

− 

(−) 

注記 表中下段の括弧内数値の単位は,度(°)である。