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Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996) 

(1) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

まえがき 

この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日

本工業規格である。 

JIS Z 8736-2には,次に示す附属書がある。 

附属書A(規定) 音場指標の計算 

附属書B(規定) 必要な測定精度を得るための手順 

附属書C(参考) 気流が音響インテンシティ測定に及ぼす影響 

附属書D(参考) 測定面内の吸音の影響 

附属書E(参考) 測定面の設定及びスキャニングの方法 

附属書F(参考) 文献 

JIS Z 8736群は,規格名称の前づけ及び主題を,“音響−音響インテンシティによる騒音源の音響パワー

レベルの測定方法”とし,次の各部からなる。 

第1部:離散点による測定 

第2部:スキャニングによる測定

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 8736-2 : 1999 

(ISO 9614-2 : 1996) 

音響−音響インテンシティによる 

騒音源の音響パワーレベルの 

測定方法− 

第2部:スキャニングによる測定 

Acoustics−Determination of sound power levels of 

noise sources using sound intensity− 

Part 2 : Measurement by scanning 

序文 この規格は,1996年に第1版として発行されたISO 9614-2, Acoustics−Determination of sound power 

levels of noise sources using sound intensity−Part 2 : Measurement by scanningを翻訳し,技術的内容及び規格

票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。 

なお,この規格で点線の下線を施してある“参考”は,原国際規格にはない事項である。 

1. 適用範囲 

1.1 

この規格は,音響パワーレベルの測定対象とする騒音源を取り囲んで設定した測定面に垂直な音響

インテンシティ成分を測定する方法を規定する。 

測定面に垂直な音響インテンシティ成分の面積分は,測定面を連続した面要素に分割し,その各要素上

に設定した連続的な経路上をインテンシティプローブを掃引することによって近似する。1回の掃引ごと

のノーマル音響インテンシティの平均値及び二乗音圧の平均値は,測定器によって求められる。プローブ

の掃引は,手動によっても機械的な方法によってもよい。 

ノーマル音響インテンシティの測定結果から,オクターブバンド,1/3オクターブ又は帯域制限されたA

特性音響パワーレベルを求める。この測定方法は,物理的に固定した測定面が設定でき,その面上で3.13

に規定するように被測定音源及び主要な外部音源による騒音が時間的に定常であるようなすべての音源に

適用できる。被測定音源の定義は,測定面の設定による。この測定方法は,実際に音源が設置されている

現場,特殊な目的をもつ試験環境のいずれにおいても適用できる。 

測定精度を評価するために,この規格では音響パワーレベル測定に関する補足的な試験方法を附属書B

に規定する。それによって,測定精度の評価,及びグレードの区分を行う。測定結果がこの規格の要件を

満たさない場合には,指示されている方法に従って測定方法を変更する。 

この規格は,音源の音響パワーレベルが負の値として測定される周波数帯域に適用することはできない。 

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Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

1.2 

この規格は,音源の発生音の時間的変動が音響インテンシティの測定精度を著しく低下させるほど

大きくはなく,また,測定プローブが著しい速度及び変動を伴う気流にさらされることがない環境に設置

されている音源の測定に適用する(5.2.2, 5.3及び5.4参照)。 

外部騒音のレベルが測定器のダイナミック性能以上であったり,測定時間中の変化が大きすぎるなど,

測定条件がこの規格の要件を満たすことが不可能な場合もある。そのような場合には,この規格に規定す

る方法は,音源の音響パワーレベル測定に適用することはできない。 

備考 上記のような場合には,その他の方法,例えば,ISO/TR 7849に規定されている音源表面の振

動レベルから音響パワーレベルを求める方法などを適用してもよい。 

2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す

る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構

成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。 

JIS C 1515 音響校正器 

備考 IEC 60942 : 1988, Sound calibratorsが,この規格と一致している。 

IEC 61043 : 1993, Electroacoustics−Instruments for the measurement of sound intensity−Measurements with 

pairs of pressure sensing microphones 

参考 上記のIEC規格番号は,1997年1月1日から実施のIEC規格新番号体系によるものである。

これによって前に発行された規格については,規格票に記載された規格番号に60000を加えた

番号に切り替える。これは番号だけの切替えであり内容は同一である。 

3. 定義 定義は次による。 

3.1 

音圧レベル (sound pressure level)  

3.1.1 

音圧レベル (sound pressure level) Lp 基準音圧の二乗に対する平均二乗音圧の比の常用対数を10

倍した値で,単位はデシベル (dB) 。基準音圧は,20μPaとする。 

3.1.2 

面要素平均音圧レベル (segment-average sound pressure level) Lpi 基準音圧の二乗に対するi番目

の面要素上の空間平均二乗音圧の比の常用対数を10倍した値。単位はデシベル (dB) 。 

3.2 

瞬時音響インテンシティ (instantaneous sound intensity) Iρ(t) ある点における瞬時的な粒子速度の

方向に垂直な単位断面積を通過する単位時間当たりの音響エネルギー流の瞬時値 (W/m2) 。 

この量は,ベクトル量で,ある点の音圧と粒子速度の瞬時値の積に等しい。 

()

()()t

u

t

p

t

I

ρ

ρ

=

 ··········································································· (1) 

ここに, 

p (t): 音圧の瞬時値 (Pa) 

uρ (t): 粒子速度の瞬時値 (m/s)  

t: 時刻 (s)  

3.3 

音響インテンシティ (sound intensity) Iρ 時間的に定常な音場におけるIρ(t) の時間平均値 

()

=

T

T

dt

t

I

T

I

0

1

lim

ρ

ρ

 ····································································· (2) 

ここに, 

T: 積分(平均化)時間 

また,Iρの符号付き大きさをIで表す。符号は,向きを示し,エネルギー流の正の向きの取り方によっ

て決まる。 

|I|はIρの符号なし大きさ(絶対値)である。 

Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996) 

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3.4 

ノーマル音響インテンシティ (normal sound intensity) In 単位法線ベクトルnρで表される測定面に

対して垂直方向の音響インテンシティ成分。 

n

I

In

ρ

ρ

=

 ·················································································· (3) 

ここに, 

nρ: 測定面から外向きの単位法線ベクトル 

3.5 

ノーマル音響インテンシティレベル (normal sound intensity level) LIn ノーマル音響インテンシテ

ィの絶対値|In|をレベル表示した値で,式(4)で定義される。単位はデシベル (dB)。 

dB

I

I

L

n

In

=

0

10

log

10

 ··································································· (4) 

ここに, I0: 音響インテンシティの基準値 (=10-12W/m2)  

Inが負の場合には,δpI0(3.11参照)の評価に用いる場合を除いて,レベルは(−)XX dBと表示する。 

3.6 

音響パワー (sound power)  

3.6.1 

部分音響パワー (partial sound power) Pi 測定面上の一つの面要素を通過する単位時間当たりの

音響エネルギー流の時間平均値で,式(5)で定義される。 

Pi=〈Ini〉Si ··············································································· (5) 

ここに, 〈Ini〉: 測定面上のi番目の面要素上で測定された面要素平均ノーマ

ル音響インテンシティの符号付き大きさ 

Si: i番目の面要素の面積 

また,|Pi|はPiの絶対値を表す。 

3.6.2 

音響パワー (sound power) P この規格で規定する方法によって測定される音源の全放射音響パワ

ー(音響出力)で,式(6)及び式(7)で表される。 

=

=

N

i

iP

P

1

 ················································································· (6) 

=

=

N

i

iP

P

1

 ··············································································· (7) 

ここに, |P|: Pの絶対値 
 

N: 測定面上の面要素の総数 

3.6.3 

部分音響パワーレベル (partial sound power level) LWi 測定面上のi番目の面要素を通過する音響

パワーのレベル表示値で,式(8)で表される。単位はデシベル (dB)。 

dB

P

P

L

i

Wi

0

10

log

10

=

 ···································································· (8) 

ここに, P0: 基準の音響パワー (=10-12W) 

Pが負の場合には (−) XX dBと表示する。 

3.6.4 

音響パワーレベル (sound power level) Lw この規格で規定する方法によって測定される音源の音

響パワーをレベル表示した値で,次式で定義される。単位はデシベル (dB)。 

dB

P

P

LW

0

10

log

10

=

 ··································································· (9) 

Pが負の場合には,記録の便宜上, (−) XX dBと表示する。 

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Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996) 

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3.7 

測定面 (measurement surface)  音響インテンシティ測定を行うための仮想的な面で,音源を完全に

包み込むように設定する。音響的に剛な連続的な面と一体となって音源を囲んでもよい。剛な面をもつ物

体が仮想面を貫通する場合には,物体と仮想面との交差部分を測定面の端部とする。 

3.8 

面要素 (segment)  面を幾つかに分割したうちの一つの面。 

3.9 

外来インテンシティ (extraneous intensity)  測定面の外部にある音源の寄与による音響インテンシ

ティ。 

3.10 プローブ (probe)  センサを含んだ音響インテンシティ測定システムの一部。 

3.11 音圧−残留インテンシティ指数 (pressure-residual intensity index) δpI0 音場内でプローブを音響イ

ンテンシティが0となるような向きに設置したときに測定されるLpとLIの差。単位はデシベル (dB)。 

δpI0=(Lp−LI)  ········································································· (10) 

δpI, 0の測定方法はIEC 61043に詳しく規定されている。 

3.12 ダイナミック性能指数 (dynamic capability index) Ld 式(11)で定義される量で,単位はデシベル 

(dB) 。 

Ld=δpI0−K ············································································· (11) 

K(バイアス誤差係数)は必要とする測定精度に応じて,表1に示す値とする。 

表1 バイアス誤差係数K 

測定精度(1) 

バイアス誤差係数dB 

実用級(グレード2) 

10 

簡易級(グレード3) 

注(1) ISO 12001で定義されている。 

3.13 定常信号 (stationary signal)  測定面上のそれぞれの面要素上における測定時間について得られる

時間平均値が,平均化時間を測定面上のすべての面要素における測定に要する時間に延長した場合にその

面要素上で測定される値と等しい信号。 

備考 周期的に変動する信号でも,個々の面要素における測定時間を信号の変動周期の少なくとも10

倍以上にとれば,定常とみなしてよい。 

3.14 音場指標 (field indicators) FpI及びF+/- 附属書A参照。 

3.15 スキャニング (scan)  測定面上の面要素上に設定された経路に沿ってインテンシティプローブを

連続的に移動すること。 

3.16 スキャニング線の密度 (scan line density)  隣接するスキャニング線の平均間隔の逆数。 

4. 一般測定条件 

4.1 

騒音源の大きさ 騒音源の大きさは制限しない。音源の大きさは,測定面の設定によって決まる。 

4.2 

騒音源の発生音の特性 被測定音源の発生音は,定常(3.13参照)でなくてはならない。音源の作

動状態が周期性をもって段階的に変化し,その段階ごとに明確な定常的な状態があれば,この規格によっ

て,その作動条件ごとに音響パワーレベルを測定することができる。非定常的な外部の騒音源の作動が予

測できる場合には,その作動時間中には測定を避ける(附属書Bの表B.1参照)。 

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4.3 

測定の不確かさ この規格に規定する方法によって測定される騒音源の音響パワーレベルは,真の

値とは異なる可能性がある。その差そのものを求めることはできないが,多数回の測定によって得られる

結果が真値の周りに正規分布するという仮定に基づけば,測定結果が真値の周りのある範囲にある確度を

評価することはできる。ある測定場所に置かれたある一つの音源について,同一の測定手順及び測定器に

よる同一の測定条件で繰り返して測定を行うことによって,測定の繰返し性 (repeatability) を示す統計的

データが得られる。一方,ある一つの音源について,異なる測定場所で異なる測定器を用いて測定を行う

ことによって,測定の再現性 (reproducibility) を示すデータが得られる。再現性は,測定場所の環境条件

及び測定技術の違いの影響を受ける。この規格で規定する測定方法に関して,再現性に関する標準偏差の

最大値を表2に示す。ただし,これらの標準偏差は,音源の作動条件(回転速度,電源電圧など)及び設

置条件の違いによる音響パワーの変化を考慮していない。 

備考1. 熟練した測定者が,ある特定の場所に置かれたある特定の音源の音響パワー測定を類似の装

置・測定器を用いて行った場合,その結果の標準偏差は,表2に示す値よりも小さい値となる

はずである。 

2. 類似の寸法及びパワースペクトル特性をもつ類似の音源を類似の環境条件で作動させ,ある

特定の規格に従って測定した場合,再現性の標準偏差は,表2に示す値よりも小さい値とな

るはずである。同種の機械類のばらつきを評価する統計的手法は,ISO 7574-4に規定されて

いる。 

3. この規格に規定する測定方法及び表2に示す標準偏差は,ある特定の音源を対象とした測定

に適用することができる。同系列又は同じ形の一団の音源の音響パワーレベル評価の場合に

は,信頼区間を定めた無作為抽出法を適用し,結果は統計的上限値で表示する。これらの方

法を適用する場合,ISO 7574-1に規定されているように,一団の機械の中の個々の機械の発

生音響パワーのばらつきを評価する指標である製品上の標準偏差を含む標準偏差は,既知で

あるか,又は何らかの方法で予測する必要がある。 

この規格では,表2に示す2段階の測定精度が設定されている。この表に示されている不確かさは,所

要の測定精度のグレードに応じてバイアス誤差係数K(表1参照)を決めることによって制限されるバイ

アス誤差の最大値と,測定に伴うランダム誤差を考慮して設定されている。ただし,これらの値には,IEC 

61043で規定されている測定器の性能の許容誤差,被測定音源の設置方法及び作動条件の変化などによる

影響は含まれていない。 

備考 50Hz以下については,精度を決めるデータが十分でない。そこでこの規格では,A特性の通常

の範囲は,オクターブバンドで63Hz〜4kHzまで,1/3オクターブバンドで50Hz〜6.3kHzまで

である。31.5〜40Hzまで及び8〜10kHzまでの周波数範囲に著しく高いレベルの成分が含まれ

ていなければ,オクターブバンドで63Hz〜4kHzまで,1/3オクターブバンドで50Hz〜6.3kHz

までの帯域ごとの値から計算したA特性の値は正しいと考えてよい。これを確認するためには,

上記の帯域外でA特性の重み付けをしたバンドレベル値が合成計算で求めたA特性の値から

6dB減じた値以上となっていないことを確かめる。上記の範囲より狭い周波数範囲についてA

特性音響パワーレベルを求める場合には,その周波数範囲を明記する必要がある[10.6b)参照]。 

騒音源の音響パワーレベルの測定値の不確かさは,音源の近傍音場,外部音場の性質,被測定音源自体

の吸音性,及び音響インテンシティ場のサンプリングの仕方と用いられた測定方法による。そのため,こ

の規格では,設定した測定面上の音場の特性を表す指標を調べるための初期測定を規定する(附属書A参

照)。この初期測定の結果に基づいて,所定の精度を確保するために必要な方法を表B.1によって選ぶ。 

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表2 音響パワーレベル測定における不確かさ 

オクターブバンド 

中心周波数 

Hz 

1/3オクターブバンド 

中心周波数 

Hz 

標準偏差 (s)  

実用級(グレード2) 

dB 

簡易級(グレード3) 

dB 

63〜 125 

 50〜 160 

− 

250 

200〜 315 

500〜4 000 

400〜5 000 

1.5 

− 

6 300 

2.5 

− 

A特性(2) 

− 

1.5(3) 

備考 1/3オクターブバンドで400〜5000Hzまでの帯域以外の周波数帯域におけるA特性音

響パワーレベル(合成値)が,この周波数帯域におけるA特性音響パワーレベル(合
成値)よりも大きい場合には,上記のA特性音響パワーレベルに対する標準偏差を
適用することはできず,それぞれの帯域ごとの標準偏差を適用しなければならない。 

注(2) 63Hz〜4kHz又は50Hz〜6.3kHz 

(3) A特性音響パワーレベルの真値は,95%の信頼度で測定結果を中心として±3dBにあ

ると期待される。 

A特性音響パワーレベルの値だけを求める場合には,A特性の重み付けをした帯域ごとのパワーレベル

のうち,最大の値よりも10dB以上小さい帯域は無視して計算してもよい。そのような帯域が二つ以上あ

る場合には,それらの帯域のA特性音響パワーの和のレベルが最大値よりも10dB以上小さい場合には無

視してもよい。A特性音響パワーレベルの値だけを求める場合,A特性の重み付けをしたバンドパワーレ

ベルがA特性のオーバーオール値よりも10dB以上小さい帯域は測定精度に影響しない。 

5. 音響環境条件 

5.1 

測定環境条件 測定環境は,IEC 61043に規定され,用いられる個々の測定器による音響インテンシ

ティ測定の原理に適合する条件を備えていなければならない。また,5.2〜5.5に規定する条件を満たさな

ければならない。 

5.2 

外来インテンシティ 

5.2.1 

外来インテンシティのレベル 測定精度の低下を防ぐために,外来インテンシティのレベルを最小

にする[附属書Bの式(B.2)参照]。測定面を適切に設定し,外来インテンシティを抑えることによって,

音場指標FpI(附属書AのA.2.1)が10dB以下となるようにする。 

備考 被測定音源の一部が吸音性材料でできている場合には,外来インテンシティによって音響パワ

ーレベルが小さめに測定されることがある。被測定音源の音を停止させることができる場合に

ついては,この種の測定誤差の評価の方法を附属書Dに示す。 

5.2.2 

外来インテンシティの変動性 測定中の外来インテンシティの変動が最小となるように,測定に先

立って適切な処置(被測定音源の作動に関係のない外部の音源が自動的に作動することがないようにする,

機械のオペレータに問題点を知らせておくなど)をとり,測定時間を適切に設定する。 

5.3 

風及び気流 音響インテンシティ測定に対する気流の乱れの影響については,附属書Cに詳しく述

べる。測定面上で気流がある場合には,プローブにウインドスクリーンを装着しなければならない。 

プローブの近傍における風及び気流の条件が,測定システムが十分な性能を発揮するために必要な製造

業者が指定する限界以上となっている場合には,測定を行ってはならない。測定によって測定面上のすべ

ての場所で風速の時間平均値の最大値が4m/s未満であることが確認できない場合には,音響パワーレベル

測定を開始する前に,次の方法によって測定環境条件を確かめる。 

風又は気流の乱れが最大となっていると思われる面要素を選ぶ。面要素上の平均ノーマル音響インテン

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シティレベルLInを設定したスキャニングの方法(8.1)によって続いて2回測定し,B.1.3の基準3が満たさ

れているかどうかを調べる。基準3が満たされない周波数帯域については,この規格による音源の音響パ

ワーレベル測定は不可能である。上記の測定作業を基準3が満たされるまで繰り返して行ってはならない。 

5.4 

温度 周囲の空気に比べて著しく温度が異なる物体に対して20mm以内にプローブを近づけてはな

らない。 

備考 プローブの軸方向に温度こう(勾)配が生じている場合,二つのマイクロホンの特性は時間と

ともに異なる変化をし,それによってインテンシティ測定にバイアス誤差を生じる。 

5.5 

周囲の状況 測定環境は,測定の時間内でできるだけ一定の条件に保たなければならない。この条

件は,音源が純音成分を含んでいる場合に特に重要である。測定中に周囲の環境の変化が避けられない場

合には,その旨を報告する。いずれの測定点についても,できるだけ測定中に測定者がプローブ軸の方向

又は近傍に立たないようにする。被測定音源の近くにあるものはできるだけ移動する。 

5.6 

大気の条件 気圧及び温度によって空気の密度及び音速が変化する。したがって,測定器の校正値

に対するこれらの要因の影響を十分考慮し,指示値に対して適切な補正を行う必要がある(IEC 61043参

照)。 

6. 測定器 

6.1 

一般事項 IEC 61043の規定に適合する音響インテンシティ測定器及びプローブを用いること。グレ

ード2の精度の測定にはクラス1の測定器,グレード3の精度の測定にはクラス1又はクラス2の測定器

を用いなければならない。IEC 61043に従って,大気圧及び気温に応じて測定器の感度を調節する。使用

する測定器のIEC 61043に定義されている音圧−残留音響インテンシティ指数を測定周波数帯域ごとに記

録しておく。 

6.2 

校正及び測定現場におけるチェック プローブを含む測定器は,IEC 61043に適合していなければな

らない。IEC 61043に適合していることを確認するために,少なくとも1年に1回,又は音響パワーレベ

ル測定ごとにインテンシティ校正器を使用する場合には,少なくとも2年ごとに,認定された校正機関に

おいてIEC 61043に適合していることを確認する。その結果は,10.5によって記録しておく。 

それぞれ一連の測定に先立って,測定器が正常に作動していることを確かめるために,測定器製造業者

の指示によって現場における点検を行う。そのような方法が指定されていない場合には,次の方法によっ

て運搬中などに起こる測定器の異常の有無を調べる。 

6.2.1 

音圧レベル JIS C 1515に規定するクラス0又はクラス1,0L又は1Lの音圧校正器を用いて,イ

ンテンシティプローブを構成する二つのマイクロホンの音圧感度を校正する。 

6.2.2 

音響インテンシティ 測定面上で,ノーマル音響インテンシティが測定面全体の平均値よりも大き

い位置にインテンシティプローブをその軸が面に垂直になるように置く。その状態で,すべての測定周波

数帯域におけるノーマル音響インテンシティレベルを測定する。次に,インテンシティプローブを測定軸

に対して180°回転させる。その場合,プローブの音響中心は前と同じ点に保つ。この状態でインテンシ

ティを再び測定する。回転の際にプローブが同じ位置を保つようにスタンドに取り付ける。測定器が適合

しているためには,すべての周波数帯域で二つのInの符号が反対で両者のレベル差が1.5dB以下でなけれ

ばならない。 

7. 騒音源の設置及び作動 

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7.1 

一般事項 被測定音源を通常の使用状態に近い形で適切に設置する。特殊な機械又は装置で特別の

試験要項がある場合には,その試験要項に従って設置する。被測定音源,外部音源及び測定環境に関する

変動要因を特定できるようにしておく。 

7.2 

被測定音源の作動条件 試験要項で指定されている作動条件に従う。特に試験要項が定められてい

ない場合には,次の条件の中から適切なものを選ぶ。 

a) 規定された負荷及び作動条件 

b) 最大負荷の条件[a)と異なる場合] 

c) 無負荷(アイドリング)の条件 

d) 通常の使用状態で音の発生が最大となる条件 

e) 条件をよく考えた疑似負荷条件 

f) 

特徴的な作動周期における作動条件 

8. ノーマル音響インテンシティレベルの測定 附属書Bの図B.1に一般的な方法を示す。 

8.1 

スキャニング プローブのスキャニングは,手動又は機械式移動装置を用いて行う。プローブが感

知する機械式移動装置による外来インテンシティの大きさは,測定面上のインテンシティよりも20dB以

上低くなくてはならない。 

インテンシティプローブを各面要素上にあらかじめ設定した経路に沿って連続的に移動する。音響イン

テンシティ及び音圧の平均値を求めるための測定装置の積分(平均化)時間を各面要素上にスキャニング

に要する時間Tに設定する。設定した経路に沿って,測定面に対してプローブの軸が常に垂直になるよう

に,また,プローブの移動速度が一様になるように注意してスキャニングを行う。機械式移動装置を用い

る場合,測定面の形状がいかなる場合にも,これらの条件を満たすことが技術的には可能である。 

手動でスキャニングを行う場合には,不規則又は三次曲面の測定面上で上記の条件を満たすことは難し

い。したがって,単純で規則的な面を設定することが望ましい(附属書E参照)。スキャニング経路の基

本的な要素は1本の直線である。スキャニング経路は,一様な移動速度でそれぞれの面要素をカバーする

ようなものでなければならない。図1にその一例を示す。隣接するスキャニング線の平均的な間隔は一様

で,初期測定の際に設定する測定面の上では,音源の表面から面要素までの平均距離以下でなければなら

ない。スキャニング線の密度は,3.16で定義されている。 

図1 スキャニングパターンの一例 

手動スキャニングによる場合,移動速度は0.1〜0.5m/sまでの範囲とする。一方,機械式スキャニングに

よる場合の掃引速度は,1m/s以下とする。 

一つの面要素上における1回のスキャニングの時間は20秒間以上とする。平均化時間は,各面要素上に

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

おけるスキャニングの開始時点から終了時点までとする(附属書E参照)。 

備考 スキャニング経路上に障害物がある場合には,時間平均操作を一時中断してもよい。 

手動のスキャニングによる場合,測定者は対象としている面要素に直面する位置に立たず,音源から放

射音を妨げないように側方に立つ。機械式スキャニングによる場合には,移動装置があることによって生

じる音の干渉の影響を小さくするために,音を散乱させる移動装置の各部位の断面積をできるだけ小さく

する。 

備考 FpIが10dB以上となっている場合,スキャニング速度を0.25m/s以上とすると,音場の定常性

にかかわらずB.1.3の基準3を満たすことが難しくなる。 

8.2 

初期測定のための測定面 被測定音源を取り囲んで,初期測定のための測定面を設定する。測定面

の一部は,コンクリートや石ばりなどの反射性の面(残響室法吸音率0.06以下)であってもよい。ただし,

そのような面についてはインテンシティ測定は行わず,式(6)による音響パワーレベルの計算からも除外す

る。 

測定面は最小でも四つの面要素に分割する。各面要素は,設定したスキャニング経路に沿ってプローブ

を面に垂直に保って移動しやすく,また,その面積が特定しやすい形状とする(附属書E参照)。手動ス

キャニングによる場合には,平面又は一次曲面とすることが望ましい。附属書Eの図E.1に,平面形状を

もつ面要素の例を示す。 

面要素は,できるだけ形状,材質,接合部,開口部などで区別される音源の各部位又は部品ごとに設定

する。全体の音響パワーの大部分が測定面上又は音源の特定の範囲から放射されていることが明らかな場

合には,できるだけ平均パワー以上となっている範囲とそれ以下となっている範囲とを区別するように面

要素を設定する。面要素は,被測定音源と強い外部音源との間の測定面などで,負の部分音響パワーが卓

越している範囲と正の部分音響パワーが卓越している範囲とを分けて設定する。各面要素の最大寸法は,

設定した経路に沿ってプローブを面に垂直に保ちながら一定の速度及び密度でスキャニングできるように

設定する。 

被測定音源が広い平板又はシェルの形状をしている場合,音源と面要素の平均距離が200mm以上とな

るように設定する。音源が小さく,まとまった形をしている場合には,その距離は100mmまで縮めても

よい。その場合,表B.1及び図B.1に示す対応策aの方法は適用しない。 

8.3 

初期測定 音響パワーレベルを求めるすべての周波数帯域について,面要素ごとに平均ノーマル音

響インテンシティレベル及び平均音圧レベルを測定する。 

8.3.1 

部分音響パワーの繰返し性 グレード2の精度の測定では,各面要素上でスキャニングを2回行い,

すべての測定周波数帯域について,3.6.3によって部分音響パワーレベルLWi(1),LWi(2) を別々に求める。

その場合,2回のスキャニング経路は直交(スキャニングパターンを90°回転)するように設定すること

が望ましい(図1参照)。B.1.3の式(B.3)によって,部分音響パワーの差を求める。その結果,基準3が満

たされていない場合には,その原因を探り,できるだけ差が小さくなるようにする。もし,それが効果が

ない,又は実際的でない場合には,B.2に従って改善手段をとる。 

それでもいずれかの周波数帯域で基準3が満たされない面要素がある場合には,この規格に基づく部分

音響パワーレベルの測定は不可能とし,それらの周波数帯域における音響パワーレベル測定の精度は,表

2に示されている値よりも低いことが分かるように報告書に明記する。ある一つの周波数帯域で,基準3

を満足しない面要素を通過する部分音響パワーが,基準3を満足するその他の面要素を通過する部分音響

パワーから計算した音源の音響パワーに比べて1/10未満と推定される場合には,この規格によって音源の

音響パワーレベルを求めてもよい。 

10 

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8.3.2 

測定器の性能の検討 すべての測定周波数帯域について,A.2.1の式(A.1)によって音場指標FpIを

求め,B.1の方法によって評価する。FpIが10dB以下となるようにあらゆる努力をする。 

8.3.3 

負となる部分音響パワーの検討 すべての測定周波数帯域について,A.2.2の式(A.2)によって指標

F+/-を求め,B.1.2によって評価する。グレード3の精度の測定では,F+/-による評価は必す(須)条件では

ない。 

8.4 

追加試験 グレード2の精度の測定では,全周波数帯域で基準1,2及び3のすべてが満たされてい

れば,初期測定で求められた音響パワーレベルを最終結果としてよい。グレード3の精度の測定では,基

準1と3が満たされていればよい。これらの条件が満たされていない場合には,B.2に示す方法の中から

適切な改善手段を選ぶ。変更した測定条件で,ノーマル音響インテンシティレベルと音圧レベルを測定す

る。その結果について,FpIとF+/-を再び求め,B.1に従って評価し,必要に応じてB.2に従って適切な手

段をとる。B.1に示す条件が満たされるまで,以上の手順を繰り返す。それでも必要な基準を満足しない

場合には,測定不可能とし,その理由を記録する。 

9. 音響パワーレベルの算出 

9.1 

面要素ごとの部分音響パワーの計算 それぞれの面要素ごとに,式(12)によって周波数帯域ごとに部

分音響パワーを計算する。 

Pi=〈Ini〉Si ············································································ (12) 

ここに, Pi: i番目の面要素の部分音響パワー 

()

()

[

]

2

2

1

ni

ni

ni

I

I

I

+

=

 i番目の面要素で測定されたノーマル音響インテンシ

ティ成分の面上の平均値 

Si: i番目の面要素の面積 

〈Ini(1)〉,〈Ini(2)〉: i番目の面要素について,2回のスキャニングによって測定さ

れた〈Ini〉の値 

面要素iについてのノーマル音響インテンシティレベルLIniがXX dBと表される場合,Iniの値は,Ini=I0

×10xx/10によって計算する。また,面要素iについてのノーマル音響インテンシティレベルLIniが(−)XX dB

と表される場合,Iniの値は,Ini=−I0×10xx/10によって計算する。ここに,I0は,基準の音響インテンシテ

ィ (=10-12W/m2)。 

備考1. 〈Ini(1)〉,〈Ini(2)〉がレベル値で与えられた場合,B.1.3の基準3を満足する場合には,これら

の量の算術平均値を〈Ini〉の計算に用いてもよい。 

2. A特性音響パワーレベルを求める場合には,ノーマル音響インテンシティレベルLI, niはA特

性の重み付けをした値とする。 

9.2 

騒音源の音響パワーレベルの計算 周波数帯域ごとに,音源の音響パワーレベルLwを式(13)によっ

て計算する。 

dB

P

P

L

N

i

i

W

=

=

1

0

log

10

 ································································· (13) 

ここに, 

N: 面要素の総数 

Pi: 式(12)で計算されたi番目の面要素の部分音響パワー 

P0: 基準の音響パワー (=10-12W) 

もし,いずれかの周波数帯域で∑

=

N

i

iP

1の値が負となる場合には,その周波数帯域についてはこの規格を適用

することはできない。 

11 

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10. 報告事項 この規格による測定では,次の事項をまとめて報告する。 

10.1 測定 測定日時・場所 

10.2 被測定音源 

a) 形式 

b) 技術データ 

c) 寸法 

d) 製造業者 

e) 製造番号 

f) 

製造年月 

g) 被測定音源の仕様(諸元及び表面の材質なども含む。) 

h) 周期性,純音性の有無,変動性などを含む被測定音源の定性的な特性 

i) 

設置条件 

j) 

作動条件 

10.3 音響環境 

a) 測定環境: 

− 室内の場合には,周壁の位置及び特性を記述する。 

− 屋外の場合には,周囲の地形を示すスケッチを付け,試験環境を物理的に記述する。 

b) 気温 (℃),気圧 (Pa),及び相対湿度 (%)  

c) 必要な場合には,平均風速及び風向 

d) 試験環境における変動要因,並びに外来インテンシティ及び過度の残響の影響を抑えるために用いた

装置又は方法 

e) 気流に関する定性的記述 

10.4 測定器 

a) 使用した測定器(名称,形式,製造番号,製造業者,プローブの構成などを含む。) 

b) 測定器の校正及び現場での点検方法 

c) 測定器の校正及び確認を行った場所及び日時 

d) 使用したウインドスクリーンの形状 

e) IEC 61043に従った音圧−残留インテンシティ指数 

10.5 測定方法 

a) スキャニング装置及びプローブの設置又は支持方法 

b) 幾何学的配置及び速度を含むスキャニングの方法 

c) 測定面及びそれを分割した面要素の定量的記述。各面要素については番号及び面積を示し,更に図を

添付する。 

d) 個々の面要素上における平均化時間 

e) 測定精度を向上させるためにとった方法 

10.6 音響データ 

a) 音響パワーレベルを求めた各測定周波数帯域における測定面上の一連の測定結果から算出した音場指

標FpI(グレード2,グレード3)及びF+/-(グレード2)の表 

b) 被測定音源の全測定周波数帯域における音響パワーレベルを示す表。A特性音響パワーレベルを求め

12 

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る場合には,基準1及び基準2の両方又は一方を満たさない周波数帯域の寄与は計算の際に除外する。

その場合,4.3によってその寄与を無視してもよい場合以外は,その旨を明記する。 

c) 必要と思われる場合には,6.2.2に示したプローブを反転させる方法による現場での検討の結果 

10.7 音響パワーレベル測定精度のグレード 最終的な測定における測定精度を必ず明記する(表2参照)。

限られた周波数範囲でだけ音響パワーレベルの測定精度がいずれかのグレードに適合している場合には,

10.6 b)によってその旨を報告する。 

13 

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附属書A(規定) 音場指標の計算 

A.1 一般事項 各測定面及び面要素について,音響パワーレベルを求める各測定周波数帯域について,

音場指標FpI及びF+/-をA.2に示す計算式によって求める。 

備考 グレード3の精度の測定の場合,F+/-は評価する必要はない。 

A.2 音場指標の測定 

A.2.1 符号付き音圧−インテンシティ指標 (sound field pressure-intensity indicator)  式 (A.1) によって

音圧−インテンシティ指標FpIを計算する。 

[]

dB

S

S

L

L

F

W

p

pI

+

=

0

log

10

···················································· (A.1) 

ここに, []

dB

S

S

L

N

i

Lpi

i

p

=

=1

1.0

10

10

1

log

10

S: 測定面の全面積

=∑

=

N

i

iS

1

S0: 基準の面積 (=1m2)  

備考 すべての面要素の面積が等しい場合には,FpIはJIS Z 8736-1におけるF3に相当する。 

A.2.2 負性音響パワー指標 (negative partial power indicator)  

dB

P

P

F

i

i

∑∑

=

+

10

/

log

10

 ···························································· (A.2) 

ただし,Pi及び|Pi|は3.6.1の方法で求める。 

備考 すべての面要素の面積が等しい場合には,F+/-はJIS Z 8736-1におけるF3−F2に相当する。 

background image

14 

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附属書B(規定) 必要な測定精度を得るための手順 

B.1 

必要とされる条件 この規格による測定で,初期に設定した測定面上での音場の条件に大きなばら

つきが見られる場合もあり得る。音響パワーレベル測定における不確かさの上限を保証するために,音場

及び周囲環境条件との関連で,測定器及び設定した各種の条件(測定面,距離,スキャニングの方法など)

の妥当性を調べておく必要がある。その一般的な手順を図B.1に示す。 

B.1.1 測定装置の検討 測定面がこの規格による音源の音響パワーレベル測定に適しているためには,各

周波数帯域で,3.12に規定した測定器のダイナミック性能指数Ldの値が附属書AのA.2.1に定義した指標

FpIの値よりも大きくなくてはならない。 

基準1 Ld>FpI ········································································ (B.1) 

設定した測定面がこの基準を満たさない場合には,表B.1及び図B.1によって適切な改善方法をとる。 

B.1.2 負となる部分音響パワーの限度 グレード2の精度の測定では,次の条件を満たす必要がある。 

基準2 F+/-≦3dB ··································································· (B.2) 

備考 グレード3の精度の測定では,この基準は必ずしも必す(須)条件ではない。 

B.1.3 部分音響パワーの繰返し(再現)性の検討 

基準3 |LWi (1)−LWi (2) |≤s ························································ (B.3) 

ただし,sの値は,表2に示すとおりである。 

B.2 

測定精度向上のための手段 表B.1は,設定した測定面又は面要素がB.1の条件を満たさない場合

にとるべき改善手段を示したものである。 

表B.1 測定精度を向上させるためにとるべき方法 

基準 

方法の記号 

方法 

FpI>Ld 

かつ 

F+/->3dB 

又は 

又は 

音源から測定面までの平均距離を半分にする(ただし,100mm以上。)。
また,スキャニング線密度を2倍にする。 
遮音板を用いて,強い外部音源から測定面を遮へいする。 
測定音場内で音源から離れた場所に吸音を付加して,残響音場の影響を減
少させる。 

FpI>Ld 

かつ 

F+/-≦3dB 

又は 

音源から測定面までの平均距離を半分にする(ただし,100mm以上。)。
また,スキャニング線密度を2倍にする。 
測定音場内で音源から離れた場所に吸音を付加して,残響音場の影響を減
少させる。 

|LWi (1) −Lwi (2) |>s 


音場の時間的変動の原因を調べ,それを減少させる。それが不可能な場合
には,同じ面要素上で,スキャニング線密度を2倍にする。 

|Lwi (1) −LWi (2) |>s 

かつ 

F+/-≦1dB 

スキャニング線密度は同じに保って,音源から測定面までの平均距離を2
倍にする。 

background image

15 

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図B.1 測定精度を確保するための方法 

16 

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附属書C(参考) 気流が音響インテンシティ測定に及ぼす影響 

風のある屋外,冷却ファンの気流に近い場所などでの測定では,音響インテンシティプローブが気流に

さらされる。原理的には,定常的な気流の中でp-p形プローブを用いて音響インテンシティ測定を行うこ

とは不可能である。しかし,低マッハ数 (Ma<0.05) の気流中では,極めてリアクティブな音場を除いて,

測定誤差は無視できる程度である。それよりも,非定常な気流(乱れ)の影響によってより大きな誤差が

生じる。 

プローブに当たる気流は乱れを含んでおり,プローブの存在自体が乱れを発生させる。気流の乱れに伴

う流体の運動量の変動によって圧力が変動する。これらは音響現象ではなく,その音場の音圧の変動とは

無相関である。しかし,これらの変動は,気流中に置かれた圧力に感度をもつトランスデューサによって

同時に検知され,その出力信号から音響的な圧力変化だけを区別することはできない。気流の乱れは,気

流の平均速度にほぼ近い速度で移動し,その中には可聴周波数の音の波長に比べて寸法がはるかに小さい

渦が含まれており,それによって気流の乱れの中の空間的な圧力こう(勾)配は音波の中の圧力こう(勾)

配に比べてはるかに大きい。したがって,気流の乱れによる粒子速度は,音波による粒子速度よりもはる

かに大きい。このようにして,気流の乱れによって擬似的な音響インテンシティが生じる。 

ウインドスクリーンを装着することによって,圧力トランスデューサを気流から守ることができる。気

流の乱れの移動速度が小さいことから,ウインドスクリーンの外表面に作用する気流の乱れの圧力及び速

度の変動は,圧力トランスデューサが装着されている中心部に伝搬しにくい。一方,それに比べて音波の

減衰ははるかに小さい。このような原理によって,ウインドスクリーンが気流に対して効果を発揮する。 

しかし,ウインドスクリーンの効果にも限界があり,極めて強い気流の乱れの影響まで除去することは

できない。また,低い周波数で寸法が大きな乱れは,高い周波数で寸法が小さい乱れに比べて減衰が小さ

い。自然風及びファンが発生する気流の乱れは,周波数が高くなるに連れて急速に小さくなるので,イン

テンシティ測定に対する影響は低周波数(おおよそ200Hz以下)で大きい。 

気流の乱れの大きさ及び周波数成分は,その発生過程に大きく依存するので,現場におけるインテンシ

ティ測定の際に生じる様々な不安定な気流の流れをすべて制御することは不可能である。気流の乱れによ

る圧力変動の実効値は,平均流速の二乗に比例して増加するので,平均流速に対して一律の安全側の限界

を設定する。 

一般的な目安として,オクターブ又は1/3オクターブバンドごとのインテンシティレベル又は粒子速度

レベルが大きい状態が続くか,又は低周波数(100Hz以下)で大きくなる場合,音圧レベルも同様の傾向

を示すか,耳で聞いても低周波数成分が大きいことがはっきり分かる場合以外は,気流の影響を受けてい

る危険性がある。インテンシティレベル及び粒子速度レベルの不安定性を見ることも,音響インテンシテ

ィが気流の乱れによる擬似的なインテンシティの影響を含んでいるかどうかを判断する定性的な方法であ

る。低周波数の大きな規模の気流の乱れによる圧力変動は,インテンシティプローブの二つのマイクロホ

ンの距離では強い相関性をもっているので,二つのマイクロホンの出力のコヒーレンスを調べてみても,

気流の乱れによる影響の有無を調べることは難しい。気流の乱れによる重大な悪影響として,音響インテ

ンシティの測定におけるダイナミックレンジを狭くすることがあり,その影響は特にオートレンジ方式の

測定器を用いる場合に著しい。 

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附属書D(参考) 測定面内の吸音の影響 

断熱処理,吸音処理などによって,被測定音源が大きな吸音性をもっている場合,及び音場指標FpIが

3dB以上となっている場合には,測定される全体のパワーに対する吸収される音響パワーの影響を調べる

必要がある。 

被測定音源を停止させることができる場合には,これを直接調べることができる。音源を停止したとき

に,その他の外来騒音には変化がないとすれば,被測定音源を取り囲んで設定した測定面上の音響インテ

ンシティをこの規格によって測定し,式(9)によって計算すれば,音源によって吸収される音響パワーレベ

ルLw, absが直接測定できる。被測定音源を停止させたときに,外来騒音が変化してしまう場合には,測定

面上のレベルが本来の外来騒音による場合と同じ程度になるような外来騒音を人為的に付加することによ

って,音源によって吸収される音響パワーを近似的に求めることができる。 

次の条件が満たされていれば,音源自体による吸音の影響は無視できる。 

Lw−Lw, abs≧KdB ····································································· (D.1) 

ここに, 

Lw: 音源が作動しているときの全音響パワーレベル[式(13)によ

る。] 

Lw, abs: 停止した音源が吸収する音響パワーレベル[式(13)による。] 

K: 表1によって与えられる値 

上記の条件が満たされていない場合には,外来インテンシティのレベルを下げる,又は外部の音源から

測定面を遮へいするなどの手段をとる必要がある。 

background image

18 

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附属書E(参考) 測定面の設定及びスキャニングの方法 

音響インテンシティ法による音響パワーレベル測定における被測定音源を取り囲む測定面上での,その

面に垂直なインテンシティ成分の測定である。この方法による場合の測定誤差は,測定システムと信号処

理に伴う誤差,及び音場のサンプリング(スキャニング)の際の誤差が主要なものである。この附属書で

は,音場のサンプリングの一般的な方法を示す。これらの方法及びこの規格で規定するスキャニングの方

法によれば,測定誤差を最小に抑えることができ,表2に示す測定精度が得られる。 

測定面は,スキャニングが容易になるように,また,外来インテンシティ及び音源の近距離音場の影響

が最小になるように設定することが望ましい。円筒ダクトの周辺のように,二次曲面上でスキャニングを

行う場合には,図E.1に示すように,プローブをダクトの軸に平行に移動させるとよい。その場合,スキ

ャニング経路は直線とし,プローブの向きは各直線区間のスキャニングの間中,一定に保つ。測定面を曲

面にすると,スキャニングの間中,プローブの向きを連続的に変えなければならないので,このような経

路の設定はできるだけ避けるべきである。 

測定面とそれを分割した面要素及びスキャニングパターンは,被測定音源の形状及び周囲の条件を考え

て,本体の7.2の規定の範囲で適切に設定する。図E.1に示すように,平面からなる各面要素が,全体と

して面上のすべての点が音源の表面から等距離に近くなるように測定面を設定するとよい。 

図E.1 

すべての面要素は,スキャニング線の密度が一様となり,プローブの軸を常に測定面に垂直に保って一

定の速度で容易に楽にスキャニングできるように設定する。直線スキャニング経路端の曲線は,端部の寄

与が過大となり,面上の平均化において誤差を生む。スキャニング経路上全体で,速度が一定になるよう

に万全の注意を払う必要がある。 

積分時間をあらかじめ離散的な値に設定する方式の測定システムを使用する場合,一つの面要素上での

スキャニングの終了時点と積分の終了時点の時間差がなるべく短くなるようにする。 

それと同時に,設定された経路を正しく守る,プローブの移動速度を一定に保つ,スキャニング線の密

度を一様にする,プローブの向きを面に垂直に保つ,などにも細心の注意を払わなければならない。しか

し,これらのうちの一つの条件にあまり注意しすぎると,他の点がおろそかになりがちとなるので,この

点にも注意する必要がある。 

19 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

附属書F(参考) 文献 

[1] ISO 3740 : 1980, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources−Guidelines for the use of 

basic standards and for the preparation of noise test codes 

[2] ISO 3741 : 1988, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources−Precision methods for 

broad-band sources in reverberation rooms 

[3] ISO 3742 : 1988, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources−Precision methods for 

discrete-frequency and narrow-band sources in reverberation rooms 

[4] ISO 3743-2 : 1994, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound pressure−

Engineering methods for small, movable sources in reverberant fields−Part 2 : Methods for special 

reverberation test rooms 

[5] ISO 3744 : 1994, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound pressure−

Engineering method in an essentially free field over a reflecting plane 

[6] ISO 3745 : 1977, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources−Precision methods for 

anechoic and semi-anechoic rooms 

[7] ISO 3746 : 1995, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound pressure−

Survey method using an enveloping measurement surface over a reflecting plane 

[8] ISO 3747 : 1987, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources−Survey method using a 

reference sound source 

[9] ISO 5725-1 : 1994, Accuracy (trueness and precision) of measurement methods and results−Part 1 : General 

principles and definitions 

[10] ISO 7574-1 : 1985, Acoustics−Statistical methods for determining and verifying stated noise emission values 

of machinery and equipment−Part 1 : General considerations and definitions 

[11] ISO 7574-4 : 1985, Acoustics−Statistical methods for determining and verifying stated noise emission values 

of machinery and equipment−Part 4 : Methods for stated values for batches of machines 

[12]  ISO/TR 7849 : 1987, Acoustics−Estimation of airborne noise emitted by machinery using vibration 

measure-ment 

[13]  ISO 9614-1 : 1993, Acoustics−Determination of sound power levels of noise sources using sound intensity

−Part1 : Measurement at discrete points 

[14]  ISO 12001 : 1996, Acoustics−Noise emitted by machinery and equipment−Rules for the drafting and 

presentation of a noise test code 

20 

Z 8736-2 : 1999 (ISO 9614-2 : 1996) 

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

JIS化整合化推進委員会 

氏名 

所属 

(主査) 

子 安   勝 

千葉工業大学 

○ 今 井 章 久 

武蔵工業大学 

今 泉 八 郎 

株式会社小野測器 

○ 押 野 康 夫 

財団法人日本自動車研究所 

君 塚 郁 夫 

日本アイ・ビー・エム株式会社 

○ 鈴 木 英 男 

オンテックR&D株式会社 

○ 瀧 浪 弘 章 

リオン株式会社 

○ 橘   秀 樹 

東京大学 

田 中 俊 光 

株式会社神戸製鋼所 

○ 東 山 三樹夫 

工学院大学 

三 浦   甫 

静岡理工科大学 

○ 矢 野 博 夫 

千葉工業大学 

○ 山 田 英 美 

松下インターテクノ株式会社 

矢 野 友三郎 

工業技術院材料規格課 

橋 本 繁 晴 

財団法人日本規格協会 

(事務局) 

後 藤 健 次 

社団法人日本音響学会