2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8710-1993
温度測定方法通則
Temperature measurement−General requirement
1. 適用範囲 この規格は,温度を測定する一般的方法について規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 0903 一般用電気機器の防爆構造通則
JIS C 1604 測温抵抗体
JIS C 1606 シース測温抵抗体
JIS C 1612 放射温度計の性能表示方法通則
JIS Z 8103 計測用語
JIS Z 8706 光高温計による温度測定方法
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次に示すほか,JIS Z 8103による。
(1) 検出素子 測定量の直接の影響下にある検出器の受感部。例えば,熱電対の測温接点,測温抵抗体の
抵抗素子,放射検出用光電変換素子。
(2) 検出器 温度の測定量を計器又は伝送器に伝える信号に変換する器具。
(3) 検出部 検出器のうち,検出素子及び検出素子と同一の環境にあるべき部分。温度計の場合には,温
度検出素子と同じ温度にする必要がある部分。
(4) 接触方式 測定対象と温度計の検出部とを物理的によく接触させて同じ温度に保ち,温度を測定する
方式。
(5) 非接触方式 熱放射などを利用して,測定対象に触れることなくその温度を測定する方式。
3. 温度の単位 温度の単位は,ケルビン (K) (熱力学温度の単位)又はセルシウス度 (℃) (セルシウ
ス温度の単位)で表す。
備考1. 国際標準化機構 (ISO) では,七つの基本量と組立量とによって物理量の体系を表現する方法
を採用している。熱力学温度は,その基本量の一つとして扱われ,セルシウス温度は組立量
の一つとして扱われている。
2. 国際単位系 (SI) では,熱力学温度の単位(名称はケルビン,単位記号は,K)を基本単位と
し,“ケルビンは,水の三重点の熱力学温度の1/273.16である。”と定義している。セルシウ
ス温度の単位(名称はセルシウス度,単位記号は,℃)は固有の名称をもつ組立単位の一つ
として扱っている。
ケルビンで表した温度の数値Tとセルシウス度で表した温度の数値tとの関係は,
t=T−273.15
である。
2
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なお,温度差又は温度間隔はケルビン (K) で表現するが,温度をセルシウス度 (℃) で表
現した場合の温度差又は温度間隔は,セルシウス度 (℃) で表現してもケルビン (K) で表現
してもよい。
3. 温度は,熱力学温度 (K) 又はセルシウス温度 (℃) によって測定される。この値は,メート
ル条約に基づく国際協約によって制定された“1990年国際温度目盛” (ITS-90) によって得
られた温度値と等価である。温度標準はITS-90に基づいて設定,維持されており,この規格
の温度測定方法は,ITS-90及び計量法に整合している。
4. 測定方式の種類 温度測定法は,検出器の構造によって次に示す接触方式と非接触方式とに大別する。
(1) 接触方式の温度計の構成 接触方式に用いる温度計には,抵抗温度計,熱電温度計,ガラス製温度計
などがある。ガラス製温度計などの一部の温度計を除き,一般にこれらの温度計は,検出器,伝送器
及び表示器で構成する。現在実用化されている接触方式の温度計の特徴及び誤差要因を付表1に示す。
(2) 非接触方式の温度計の構成 放射を利用した非接触方式に用いる温度計は,被測定物からの放射を検
出素子に伝えるための光学系,放射を電気信号に変換するための検出素子(光電変換素子)及び電気
信号を温度情報に変換する信号処理回路の三つの基本要素で構成する。これらの基本要素の機能,性
能によって測定系の特性が決定される。測定可能な温度範囲は主として光電変換素子の波長に対する
感度特性によって決まる。
基本要素の組合せによって,2色放射温度計,走査形放射温度計など各種の放射温度計が構成でき
る。
放射を利用した非接触方式の温度計の特徴及び誤差要因を付表1に示す。
5. 温度計の種類及び特徴
5.1
温度計の種類及び使用範囲 現在使用されている主な温度計の種類及び使用範囲を付図1に示す。
5.2
温度計の特徴及び精度 各種の温度計及びその構成要素の性能及び特徴を付表2〜10に示す。
5.3
特殊な温度測定 測定対象の種類や測定の目的によっては,接触方式の温度計を測定対象に直接取
り付けたり,非接触方式の温度計で測定対象を直接観測することが不可能又は不都合な場合がある。この
ような場合に用いられる特殊な温度測定の手法の実例を次に示す。
(1) 熱流補償 測定対象が温度計の検出部に比べてあまり大きくない場合などに,温度計の検出部を接触
させることによって測定対象の温度を大きく乱してしまうことを防ぐために,適当な熱源を用いて温
度計の検出部を通して熱流を補償し,熱の損失がない状態で測定する手法。
この手法を応用し,検出器の内部に温度差検出素子とヒータとを組み込んだ表面温度計もある。
(2) 瞬間接触 温度計を常に接触させておくことが困難な測定対象に対して,温度検出部を瞬間的に接触
させて,そのときの検出素子の温度の時間的変化から測定対象の温度を推定する手法。
(3) 消耗形熱電対 持続的に接触することが困難な高温物体などに対して,測定の度ごとに検出部を消耗
し,更新する形の検出器を用いる手法。
(4) 示温塗料 温度によって色が変わる物質を測定対象に塗り付け,又ははり付けて,測定対象の温度を
推定する手法。
6. 温度測定上の注意事項
3
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6.1
一般的事項 測定方式並びに温度計及びその構成要素は,それぞれ4.及び5.によって,最も適当な
ものを選定する。
温度計は,必要に応じて校正を行い,トレーサビリティーを確保しておく。トレーサビリティーの確保
された温度計を使っても,測定条件によっては誤差を伴うため,付表11に示した対処方法などに応じて適
切な処置をとる。
また,実際の測定に当たっては,使用する温度計,測定方法の特徴及び制約条件を十分に理解しておく
必要がある。
6.2
接触方式に対する注意事項 接触方式によって温度を測定する場合には,次の事項に注意する。
(1) 検出器を取り付けるに際して,測定対象の温度及び温度分布をなるべく変えないようにする必要があ
り,次による。
(a) 検出部の熱容量を,測定対象の熱容量に比べて小さくし,伝導及び対流の熱的条件を変えないよう
にすることが望ましい。測定対象が小さい場合には特に注意する。
(b) 測定対象又はその付近の温度が一様でないときは,予想される等温線に沿って検出部を取り付け,
温度分布が変わらないようにする。
(c) 測定対象と周囲とに温度差があって放射熱の授受があるとき,熱放射の条件をなるべく変えないよ
うに検出部を取り付ける。検出部の表面に現れる部分は,測定対象と同じ放射率であることが望ま
しい。
(2) 検出素子は,測定対象と同じ温度にする必要があり,次によるのがよい。
(a) 測定対象と検出部とを物理的によく接触させる。
また,他の物体の温度の影響を受けないようにする。
(b) なるべく遅れが少ない検出器を使用する。遅れは,検出器の構造によるほか,測定対象の種類やそ
の条件によって変わる。例えば,熱容量の大きい検出器で静止している気体の温度を測る場合は,
遅れは非常に大きい。
(c) 測定対象の温度が変化している場合には,時定数が小さいほど検出部の温度が測定対象の温度に近
づき,遅れによる誤差は小さくなる。
(d) 測定対象の温度が変わらない場合でも,検出素子が同じ温度になるためには,これらを十分に長い
時間接触させておかなければならない。例えば,時定数の3倍の時間をおけば,両者の温度差は初
めの温度差の1%程度になる。
(e) 保護管を用いる検出器は,保護管の十分な長さを測定対象に接触させなければならない。
高温の気体を測定する場合,金属保護管は直径の15〜20倍の長さ,非金属保護管は10〜15倍の
長さを挿入することが望ましい。
管内の流体の温度を測定する場合は,管内に保護管を挿入する。管が細くて挿入長が十分にとれ
ないときは,管の曲がった部分を利用し,曲がった部分から上流へ向かって保護管を挿入する。
(f) 表面温度を測定する場合は,その表面に十分な長さにわたって検出部を接触させ,測定対象と同じ
温度に保つことが望ましい。
(g) 気体の温度を測る場合で,検出部と外部との放射熱の授受が大きいときは,放射シールドによって
誤差を軽減する。
(3) 検出器は,物理的又は化学的に,周囲の物体を侵したり,周囲の物体によって侵されることがない安
定なものを使用する。
4
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6.3
非接触方式に対する注意事項 非接触方式による温度測定は,放射温度計又は光高温計(JIS Z 8706
参照)による方法(1)がほとんどであり,正確な温度測定を行うためには次の二つの条件を満たすようにす
る。
注(1) この方法では一般的には測定対象の表面温度が測定される。
(1) 測定対象の放射輝度を正しく測定すること。
このためには光路中の介在物を除き,さらに検出器から測定対象を見込む立体角が十分に大きくな
るようにする。
なお,次の事項にも注意する。
(a) 光路中の放射光の吸収及び散乱を防ぐ。赤外線を利用する場合は,大気中に存在する二酸化炭素,
水などの吸収帯を避けて検出波長を選択する。
また,霧状の水蒸気などは光を散乱し,大きな誤差が生じるのでこれらを除去する。
(b) 迷光の影響を除く。特に常温近傍の温度を測定する場合には,周囲の物体からの放射及び測定対象
によって反射される光が無視できなくなるので除去又は補正する。
(2) 測定対象の放射率が求められていること。
真温度は,放射温度計の出力に測定対象の放射率による影響を補正して求められる。安定した温度
測定をするためには,放射率が時間的にも空間的にも安定していることが必要である。
放射率の値が低い測定対象は,放射率変動によって相対的に誤差が大きくなり,また,迷光の影響
も大きくなる。
6.4
測定対象との関係についての注意事項 温度を測定する場合,温度計の検出素子と測定対象との熱
的及び空間的な関係について,次の事項に注意する。
(1) 固体内部の温度測定
(a) 固体内部の温度測定には,温度計の検出部を挿入できる程度の穴をあけ,接触方式の温度計を用い
る。検出部と固体との接触をよくするため,適当な液体を穴に入れるのがよい。固体の寸法が小さ
いときには,細い素線の熱電対を用い,電気的絶縁を確保しつつ,測温接点と固体とを熱的によく
接触させる。
熱伝導が悪い固体の場合には,細い素線の熱電対を用いるのがよい。素線の熱伝導による誤差を
少なくするため,検出素子の付近では固体の予想される等温線に沿わせることが望ましい。
(b) 固体に穴をあけ,非接触方式の温度計を用いて内部の温度を測る場合には,穴の中に生じる対流に
よって温度分布が変わることがある。
(2) 固体表面の温度測定 固体表面の温度は,これに接する物体(多くは気体)の温度の影響を受けてい
るので,一般には,内部の温度と異なる。表面温度の測定では,温度計を接触させることによっても
表面の熱的状態が変わりやすい。
接触方式の温度計では,検出素子が小さいものを用いることが望ましい。検出素子として熱電対を
用いるときには,次の方法がある。
(a) 固体表面との接触をよくするため,熱電対の測温接点を銅板(例えば,厚さ0.2〜0.5mm,長さ30mm)
にろう付けし,これを固体の表面に密着させる。
(b) 測定対象が相当に厚い場合には,表面に浅い溝を掘り,その中に埋め込んだ熱電対を用いて表面温
度を測定できる場合もある。
また,測定対象の表面から深さが異なる3点の温度を測り,外挿して表面温度を求めることもで
きる。
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(3) 液体の温度測定 液体は検出部との接触もよいので,次の事項に注意をすれば接触方式の温度計を用
いて良い精度で測定ができる。
(a) 液体の温度分布を求めるには,熱容量が小さい検出部を用いることが望ましい。
(b) 液体の平均温度は液体をよくかくはんすれば,液体内の1点で測定することができる。
(c) 接触長を十分に取りにくい管内での液体の温度を測定するには,検出部を十分にその液体と接触さ
せる工夫をする。
(4) 気体の温度測定 気体は,一般に比熱容量も熱伝導率も小さく,対流も生じやすいので,温度が一様
でない場合が多い。特に炎は熱平衡状態になく,一般に,時間的にも空間的にも温度変化が著しいた
め,温度の正確な測定は困難である。
接触方式の温度計は,検出部が小さいものを用い,検出部と気体との熱接触をよくするために両者
の接触面積を大きくすることが望ましい。測定対象の気体以外から熱放射を受ける場合には,検出部
を放射遮へいする。
また,一般に気体の温度測定では,検出器の熱容量のために測定の遅れが大きくなる。特に静止気
体の場合は,この遅れが著しいので,次の事項に注意する。
(a) 室内での気体の温度測定には,検出部を壁などから離して取り付ける。直射日光などを受けないよ
うに放射遮へいする。
(b) 平均温度の測定には,温度を一様にするために気体をかくはんする。
(c) 接触長さを十分に取りにくい管内での気体の温度測定には,検出部を十分にその気体と接触させる
工夫をする。
(d) 高温の気体の温度を正確に測定する場合には,耐熱性の閉端管を挿入し,その内面の底の温度を光
高温計又は放射温度計を使って測る方法もある。
6.5
安全に関する注意事項 温度測定を安全に行い,また,測定対象を安全に保つための主な注意事項
を,次に示す。
(1) 測定対象に関する注意
(a) 高温又は低温の物質の温度測定では,測定対象の流出,水分の凝縮などによる危険性を考慮して,
これらを防ぐ万全の措置をとる。万一流出したりした場合の人体への危険防止,発火防止などの配
慮を十分に行う。
(b) 測定対象の性質・状態をあらかじめよく把握しておく。検出器又はその保護管などに用いられてい
る物質についても十分な知識をもって,危険な反応や汚染を避ける対策を講じる。
(c) 食品,医療品などの温度測定には,水銀などの有害物質を含む温度計を避け,やむを得ず使用する
ときは,安全な保護管などに入れて使用する。
(d) 測定対象中に爆発性気体が含まれている場合には,必ずJIS C 0903に規定する防爆構造の温度計を
用いるか,又は,JIS C 0903に規定する本質安全防爆システムとして設計・製作された測定系を用
いる。
(2) 計測システムに関する注意 計測システムの一部が故障した場合に,測定対象の状態が安全方向へ移
行するような機構,すなわち,フェイルセーフ機構の採用を心掛ける。例えば,熱電対では断線の確
率が高いので,この場合に,測定対象の状態が危険方向へ移行することがないように配慮する。
温度計が安全上重要な役割を果たしている場合は,測定システムの信頼性を向上させるために,冗
長性をもたせることが必要である。例えば,2個又は3個の検出素子を備えた検出器の採用,伝送,
制御及び表示のシステムの多重化又は並列化,電源バックアップ機能の採用などを行う。
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7. 温度計の校正方法
7.1
温度計の校正 温度計の校正とは,使用する温度計の示度と真温度との関係を決定する作業である。
示度と真温度との関係は,温度計ごとに個別に調べるのが原則であるが,一般には,同種類の温度計の代
表的な特性を幾つかの温度について求め,それらを使って補間する方法で行われる。
校正を行うには,必要な温度範囲で示度と温度との関係を決定するのに十分な数の基準温度を実現し,
その温度における温度計の示度を読み取る。接触式温度計と非接触式温度計とでは,測定原理の相違から
基準温度の実現法が異なる。
7.2
接触式温度計の校正方法
7.2.1
校正方法の種類 接触式温度計の校正法には,7.2.2に規定する比較法と7.2.3に規定する定点法と
がある(附属書及び参考参照)。
7.2.2
比較法 比較法は,所定の一定かつ均一な温度に保った恒温槽,電気炉などの比較装置を用いる方
法である。この方法では,必要とする精度で既に校正されている温度の標準器(以下,標準温度計という。)
を用いて比較装置の温度を決定し,この値を基準温度とする。
接触方式の温度計を比較法によって校正するには,比較装置の中に標準温度計と校正する温度計の検出
部とを入れて示度を比較する。比較装置には,一般に付表12に示す恒温槽を用いるが,熱電対の校正では
電気炉を用いることもできる。
現場で使用している温度計を校正する場合には,定点法より比較法のほうが同時に多数の温度計を校正
できる点で便利である。比較法による校正には,現場で使用している温度計の近くに標準温度計を設置し
て比較する方法と,現場で使用する温度計を取り外して比較装置で比較する方法とがある。
比較法に用いる標準温度計を付表13に示す。
7.2.3
定点法 定点法は,温度値が与えられている温度定点を実現し,その温度を基準の温度として校正
を行う方法である。
接触式の温度計を定点法によって校正するには,所定の温度定点を実現し,校正しようとする温度計の
検出素子を温度定点の温度に一致させ,示度を測定する。温度定点は,主として物質の相変化を利用した
ものであり,その相変化の温度値がITS-90で規定されているもの,又は氷点,水の沸点など国際的に統一
された温度値が与えられたものである。この方法は,一般に比較法に比べ良い精度で校正できる。
定点法に使われる温度定点を付表14に示す。
7.3
非接触方式の校正
7.3.1
光高温計 光高温計は,輝度温度で目盛定めされた光高温計用標準電球を用いて校正する。その方
法は,JIS Z 8706の9.4(校正)による。
7.3.2
放射温度計の校正 一定の温度に制御された空洞黒体の温度を,校正しようとする放射温度計と標
準温度計とで測定し,相互の示度を比較する。その校正方法は,JIS C 1612の附属書1(校正)及び附属
書2(標準放射温度計)による。
放射温度計の校正に用いる標準温度計及び黒体炉は,次による。
(a) 標準温度計 ガラス製温度計,白金抵抗温度計,標準放射温度計又は光高温計を用いる。
(b) 黒体炉 標準黒体炉(2)及び比較黒体炉(3)との2種類とし,使用する標準温度計の種類によって分類
する。
注(2) 標準温度計にガラス製温度計又は白金抵抗温度計を用いる黒体炉
(3) 標準温度計に標準放射温度計又は光高温計を用いる黒体炉
黒体炉の種類,校正できる温度範囲及び使用する標準温度計を付表15に示す。
7
Z
8
7
1
0
-1
9
9
3
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付図1 各種温度計の使用温度範囲の概略
参考 JPt100は,JIS C 1604では,将来廃止する予定である。
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付表1 各種温度計の特徴及び誤差要因
方式
種類
特徴
誤差要因
接触
方式
抵抗温度計
(1) 測定値は,数cm3(検出素子の大きさ)
程度の温度の平均値となる。
(2) 約−273〜+500℃で精度の良い温度
測定に適する。
(3) 強い振動がある対象には適さない。
温度の変化速度
検出器の経年変化
熱履歴による変化
自己加熱
測定導線からの熱の流出入
サーミスタ温度計
(1) 測定値は,数mm3(検出素子の大き
さ)程度の温度の平均値となる。
(2) 導線抵抗に比べて検出器の抵抗が大
きい。
(3) 一つの検出器での使用温度範囲が狭
い。
(4) 衝撃に弱い。
検出器の経年変化
自己加熱
測定導線からの熱の流出入
熱電温度計
(1) 原理的には,接点の大きさ程度の空
間の温度を測定することができる。
(2) 応答がよい。
(3) 振動・衝撃に強い。
(4) 温度差が測定できる。
(5) 高温での測定ができる。
(6) 基準接点が必要である。
基準接点の安定度
補償導線の影響
寄生起電力
検出器の経年変化
熱履歴による変化
熱電対線などからの熱の流出入
ガラス製温度計
水銀封入ガラス製温度計
水銀以外液体封入ガラス製温度計
ガラス製隔温度計
(1) 簡便で信頼度が高い。
(2) 衝撃に弱い。
(3) 高精度の温度測定も可能である。
液切れ
露出部影響
経年変化
充満式温度計
液体充満圧力式温度計
蒸気圧式温度計
(1) 振動・衝撃に強い。
(2) 簡便に使用できる。
導管からの熱の流出入
熱履歴による変化
導管部の露出部の影響
経年変化
非接
触方
式
放射温度計
(1) 高温域の温度測定に適する。
(2) 遠隔測定が可能である。
(3) 移動又は回転している物体の表面温
度が測定できる。
(4) 被測定物の温度を乱すことが少な
い。
(5) 原理的に遅れが少ない測定が可能で
ある。
放射率の不正確さ
放射率の変動
光路中の吸収,散乱
迷光(外来光・反射光)
経年変化
9
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付表2 測温抵抗体の種類,主な性能及び特徴
種類
使用温度範囲 (℃)
特徴
トレーサブルな温度範囲
及び精度
白金測温
抵抗体
ITS-90
−260〜+960
使用範囲が広い。
温度と抵抗との関係がよく調べられている。
安定性が良く標準用として使える。
4導線式:−183〜+600℃
±0.03℃
3導線式:−183〜+600℃
±0.05℃
JIS Pt100
−200〜+650
JPt100 −200〜+500
銅測温抵抗体
0〜180
使用温度範囲が狭い。
ニッケル測温抵抗体
−50〜+300
使用温度範囲が狭い。
−50〜+300℃
±0.05℃
サーミスタ測温体
−50〜+350
ただし,一つの素子
で測定できる範囲
は,温度差で20〜
150℃
検出素子が小さく遅れが少ない。
狭い場所の温度や微小温度差が測定できる。
測定目的に合わせた各種形状のものが作
られている。
備考 白金測温抵抗体の形式などによる分類とその特徴は,次のとおりである。
(1) 巻線の形式によって
ストレインフリー形:高精度が得られる。抵抗素子が大きい。衝撃に弱い。ITS-90に規定されている。
抵抗線固定形:熱によるひずみを受けやすく安定度はやや劣る。衝撃には強い。
(2) 導線の形式によって
2導線式:導線抵抗による誤差を伴う。
3導線式:導線抵抗による誤差の補償が実用的には十分な精度で行える。
4導線式:導線抵抗による誤差を補償できる。
(3) 保護管の形式によって
カプセル形:熱伝導誤差を小さくできる。低温用(l00℃以下)。比較的小さな空間の測定に適する。
ステム形:一般に用いる。挿入のための真直な空間が必要である。
シース形:曲げて設置できる。ステム形より熱伝導誤差を小さくできる。
参考 JPt100は,JIS C 1604では,将来廃止する予定である。
付表3 白金測温抵抗体の種類(JIS C 1604及びC 1606参照)
記号
0℃と100℃
の抵抗比
階級の種類
規定電流の種類
(mA)
使用温度による
区分の記号 (℃)
導線形式の種類
Pt100
1.3850
A級,B級 1,2,5
L:−200〜+100
M:0〜350
H:0〜650
2線式,3線式,
4線式
JPt100
1.3916
A級,B級 1,2,5
L:−200〜+100
M:0〜350
H:0〜500
2線式,3線式,
4線式
備考 階級による許容差は,次のとおりである。
A級:± (0.15+0.002 |t|) ℃
B級:± (0.3+0.005 |t|) ℃
ここに,|t|は,℃で表した温度の数値の絶対値である。
参考 JPt100は,JIS C 1604では,将来廃止する予定である。
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付表4 JIS C 1602に規定されている熱電対の種類,主な性能及び特徴
記号
階級
素線径
(mm)
常用限度
(℃)
過熱使用
限度 (℃)
特徴
トレーサブルな温
度範囲及び精度(4)
B
0.5級
0.50
1 500
1 700
常温での熱起電力が極めて小さい。
安定性がよい。
酸化性雰囲気に適する。
水素,金属蒸気に弱い。
わずかに熱履歴変化がある。
補償導線の誤差が大きい。
特性の差が大きい場合もある。
0〜1 100℃
±10μV
R
S
0.25級 0.50
1 400
1 600
安定性がよい。
標準熱電対に適する。
酸化性雰囲気に適する。
水素,金属蒸気に弱い。
熱起電力が小さい。
わずかに熱履歴変化がある。
補償導線の誤差が大きい。
K
0.4級
0.75級
1.5級
0.65
1.0
1.6
2.3
3.2
650
750
850
900
1 000
850
950
1 050
1 100
1 200
起電力の直線性が良い。
酸化性雰囲気に適する。
金属蒸気に強い。
やや熱履歴変化がある。
0〜1 100℃
±50μV
E
0.4級
0.75級
1.5級
0.65
1.0
1.6
2.3
3.2
450
500
550
600
700
500
550
650
750
800
熱起電力が大きい。
非磁性である。
K熱電対より安価。
やや熱履歴変化がある。
0〜700℃
±50μV
J
0.4級
0.75級
0.65
1.0
1.6
2.3
3.2
400
450
500
550
600
500
550
650
750
750
熱起電力がやや大きい。
熱起電力の直線性がよい。
還元性雰囲気に適する。
安価,特性,品質のばらつきが大きい。
さびやすい
高温で熱履歴変化がある。
0〜600℃
±50μV
T
0.4級
0.75級
1.5級
0.32
0.65
1.0
1.6
200
200
250
300
250
250
300
350
低温での特性がよい。
均質性がよい。
安価,還元性雰囲気に適する。
熱伝導誤差が大きい。
0〜300℃
±30μV
注(4) トレーサブルな温度範囲及び精度とは,トレーサビリティーの確立されている温度範囲及び精度の
ことをいい,公設機関で試験できるもの(標準器としてだけ使用されるものは除く。)については,
その試験の温度範囲及び精度,その他のものについては,公設機関で試験された精度が良い温度計
を基準にして校正し得る温度範囲及び精度を示す。
付表5 熱電対の許容差
熱電対の記号
階級
許容差
R
0.25級 0〜600℃は±1.5℃,
600℃を超え1 600℃以下は±0.002 5 | t | ℃
S
B
0.5級 600〜800℃は±4℃,
800℃を超え1 700℃以下は±0.005 | t | ℃
K
0.4級 −40〜+375℃は±1.5℃,
375℃を超え1 000℃以下は±0.004 | t | ℃
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
熱電対の記号
階級
許容差
0.75級 −40〜+330℃は±2.5℃,
330℃を超え1 200℃以下は±0.0075 | t | ℃
1.5級 −167〜+40℃は±2.5℃,
−200℃以上−167℃未満は±0.015 | t | ℃
E
0.4級 −40〜+375℃は±1.5℃,
375℃を超え800℃以下は±0.004 | t | ℃
0.75級 −40〜+333℃は±2.5℃,
333℃を超え900℃以下は±0.007 5 | t | ℃
1.5級 −167〜+40℃は±2.5℃,
−200℃以上−167℃未満は±0.015 | t | ℃
J
0.4級 −40〜+375℃は±1.5℃,
375℃を超え750℃以下は±0.004 | t | ℃
0.75級 −40〜+333℃は±2.5℃,
333℃を超え750℃以下は±0.007 5 | t | ℃
T
0.4級 −40〜+125℃は±O.5℃,
125℃を超え350℃以下は±0.004 | t | ℃
0.75級 −40〜+333℃は±2.5℃,
333℃を超え350℃以下は±0.007 5 | t | ℃
1.5級 −167〜+40℃は±2.5℃,
−200℃以上−167℃未満は±0.015 | t | ℃
備考 | t | は,℃で表した温度の数値の絶対値である。
付表6 JISに規定されていないが実用化されている熱電対
名称
構成材料
使用温度範囲
特徴
+脚
−脚
白金ロジウム ロジウム20%を含む白
金ロジウム合金
ロジウム5%を含む白金
ロジウム合金
300〜1 800℃
高温度で使用できる。
熱起電力が小さい。
安定性がよい。
標準熱電対に適する。
酸化性雰囲気に適する。
水素,金属蒸気に弱い。
わずかに熱履歴変化がある。
補償導線の誤差が大きい。
N熱電対
(ナイクロシ
ル/ナイシ
ル)
ニッケル,クロム及びシ
リコンを主とした合金
ニッケル,シリコンを主
とした合金
−200〜+1 300℃
耐酸化性が優れている。
ショートレンジオーダリン
グによる誤差が生じない。
磁界の影響が少ない。
タングステン
/レニウム
レニウム5%を含むタン
グステンレニウム合金
レニウム26%を含むタン
グステンレニウム合金
0〜3 000℃
還元性雰囲気,不活性気体に
適する。
機械的にもろい。
レニウム3%を含むタン
グステンレニウム合金
レニウム25%を含むタン
グステンレニウム合金
クロメル/金
鉄
ニッケル及びクロムを主
とした合金(クロメル)
鉄0.3又は0.7mol%を含
む金鉄合金
1〜300K
20K以下で熱起電力が大きい。
熱起電力の直線性がよい。
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付表7 ガラス製温度計の種類,主な性能及び特徴
種類
使用温度範囲 (℃)
特徴
トレーサブルな温度範
囲及び精度
水銀封入ガラス製温度計
−50〜+650
簡易に,比較的精度良く,長期間安
定した測定ができる。
破損しやすく,振動,衝撃に弱い。
標準用としても使える。
−50〜+550℃
±1目量
精密級:0〜100℃
±0.03℃
水銀以外の液体
封入ガラス製温度計
−200〜+200
低温用。
水銀封入温度計より見やすいが,精
度が劣る。
−100〜+200℃
±2目量
特
殊
な
ガ
ラ
ス
製
ペックマン温度計
0〜200℃の任意の
温度で最大6
微少な温度差測定が可能。
測定温度が任意に選べる。
20℃
±0.0l℃
最高最低温度計
−30〜+200
一定期間中の最高温度,最低温度の
測定ができる。
−30〜+200℃
±1目量
ガラス製隔測温度計
−100〜+200
屈曲自在な導管が付いており,取付
けが容易。
−100〜+200℃
±2目量
備考 ガラス製温度計の形式などによる分類及びその特徴は,次のとおりである。
(1) 形状によって
二重管:高精度が得られ,標準器として用いられる。衝撃に弱い。
棒状:二重管より衝撃に強いが,精度がやや劣る。実用,はん(汎)用向き。
板付:目盛が見やすい。精度は良くない。
(2) 浸没の形式によって
全浸没:精度よく測定できるが,示度が読み取り難い。
浸没線付:示度は読み取りやすいが,精度は良くない。浸没条件は測定に応じて決める。
(3) 目盛
目盛範囲は使用目的に応じて各種温度範囲のものが作られている。
目量(最小目盛)は,水銀封入ガラス製温度計では,0.01,0.02,0.05,0.1,0.2,0.5,1,2,5℃,水銀
以外の液体封入ガラス製温度計では,0.5,1,2℃のものがある。基準ガラス製温度計など精密測定用には,
目盛範囲に関係なく0℃の目盛線が付けられたものを用いる。
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付表8 バイメタル式及び充満式温度計の種類,主な性能及び特徴
種類
使用温度範囲 (℃)
特徴
トレーサブルな温度範
囲及び精度
バイメタル式温度計
−50〜+500
簡便で堅固。
簡単な温度制御や記録ができる。
遠隔指示ができない。
−50〜+500℃
±1目量
充
満
式
温
度
計
水銀充満圧力式温度計
−50〜+600
振動,衝撃に対して堅固。
遠隔指示,温度制御,記録ができる。
目盛間隔が均一である。
−50〜+600℃
±1目量
液体充満圧力式温度計
−100〜+400
振動,衝撃に対して堅固。
遠隔指示,温度制御,記録ができる。
目盛間隔が均一である。
−100〜+400℃
±1目量
蒸気圧式温度計(5)
−20〜+200
測定温度範囲が狭い。
特定温度範囲のものが製作できる。
目盛間隔が不均一である。
精度は液体充満圧力式よりやや低い。
−20〜+200℃
1目量
注(5) 水,液体酸素,液体窒素,液体ヘリウムなどの蒸気圧を利用したものがある。
付表9 その他の温度計の種類と特徴
温度計の種類
使用温度範囲 (℃)
特徴
水晶温度計
−80〜+250
分解能が高い。
安定性がよい。
出力が周波数で得られディジタル処理に適する。
衝撃などで指示変化を生じることがある。
わずかに熱履歴現象がある。
トランジスタ温度計
−50〜+150
小形。
精度が良く経時変化も小さい。
一点校正ができる。
安価。
IC温度計
−50〜+150
トランジスタセンサと増幅器とを一体にした
集積回路を用いたセンサ。
同一特性の信号が得られる。
ダイオード温度計
−272〜+200
感度,再現性に優れる。
低温用。
磁場の影響がある。
白金コバルト温度計
−270〜+50
低温域で白金抵抗温度計より感度が良い。
磁場の影響がある。
ロジウム鉄温度計
−273〜+50
ゲルマニウム温度計
炭素温度計
−273〜−200
低温域で感度が良い。
磁場の影響がある。
負の温度特性をもつ。
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付表10 熱放射を利用した温度計の種類及び特徴
分類
使用温度範囲 (℃)
特徴
量子形検出器を用
いた放射温度計
シリコン放射温
度計
300〜3 500
波長帯域0.2〜1.1μm。
光起電力形。
応答性及び安定性良好。
比較的安価。
精密測定,標準用にも使われている。
ゲルマニウム放
射温度計
250〜1 500
波長帯域0.3〜1.8μm。
光起電力形。
応答性良好。
比較的安価。
高温特性はシリコン放射温度計の方がよい。
PbS放射温度計
50〜1 200
波長帯域0.3〜3.3μm。
光導電形。
応答性は比較的よい。
感度が周囲温度に影響されやすく,経年変化もやや大きい。
InSb放射温度計
40〜1 000
波長帯域1〜5.5μm。
応答性は比較的よい。
素子を冷却する必要がある。
HgCdTe放射温度
計
−20〜+1 000
各種波長帯域のものが作られている。
応答性は比較的よい。
素子を冷却する必要がある。
比較的高価。
熱形検出器を用
いた放射温度計
サーモパイル放
射温度計'
200〜1 500
波長帯域0.5〜20μm。
応答性はやや悪い。
光路の水蒸気の影響がある。
比較的安価。
焦電形放射温度計
−50〜+1 000
波長帯域1〜15μm。
光学フィルターを内蔵したものが多い。
応答性は比較的よい。
サーミスタボロメ
ータ放射温度計
−50〜+1 000
波長帯域0.5〜20μm。
光学フィルターを内蔵したものが多い。
応答性はやや悪い。
2色放射温度計
180〜3 000
各種測定波長のものがある。
灰色滅光の影響を受けにくい。
視野欠けの影響が少ない。
反射光の影響は比較的受けやすい。
光高温計
700〜3 500
肉眼観測による。
比較的安価。
標準電球による校正が可能。
走査形放射温度計 機械走査形放射
温度計
−20〜+1 000
ミラー,プリズムの振動,回転によって走査を行う。
InSb,HgCdTeなどの素子を用いたものが多い。
中低温の測定に適する。
電子走査形放射
温度計
600〜3 000
シリコンCCDを用いた可視近赤外域の放射温度計が多い。
応答性がよく,高速測定に適する。
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付表11 測定対象によって考慮するべき誤差要因及び対処方法
測定対象
誤差要因
対処方法
固体 一般
検出器取付けによる熱の流出入
保護管,導線からの熱の流出入を減らす。
平均温度 温度検出器と固体との熱接触
物理的な接触を強める。
表面温度 検出器取付けによる熱的状態の変化 表面温度計,放射温度計を使う。
温度変化 検出器の応答
熱電対,サーミスタ測温体が適する。
熱容量が小さい検出部の温度計を使う。
高温
迷光による影響
迷光を除去するか,又はその影響を補正する。
液体 一般
検出器取付けによる熱の流出入
保護管,導線からの熱の流出入を減らす。
平均温度 液体内の温度分布
液体をかくはんする。
温度変化 検出器の応答
熱電対,サーミスタ測温体を使う。
熱容量の小さい検出部をもつ温度計を使う。
気体 一般
検出器の熱容量
熱電対,サーミスタ測温体を使う。
熱容量が小さい検出部をもつ温度計を使う。
気体から検出器への熱伝達
流速を増加させるなど気体と検出器との接触を良くする。
放射の影響
放射シールドを設ける。
平均温度 気体内の温度分布
気体をかくはんするか,又は多数点の測定をする。
付表12 比較法による校正に用いる恒温槽
恒温槽の種類 温度範囲 (℃)
恒温槽に使用する主な液体
低温槽
−100〜0
石油ベンジン(液体窒素などによる冷却)
−70〜0
石油ベンジン,アルコール(ドライアイスなどによる冷却)
水温槽
0〜100
水
油温槽
100〜300
シリコンオイル
硝石温槽
300〜650
硝酸カリウム (KNO3) と硝酸ナトリウム (NaNO3) の混合物(質量比1 : 1)
備考1. 恒温槽を用いる部屋は,換気扇などを用いて有害な蒸気などを排出する。
2. 低温槽ではアルコール・石油ベンジンを用いるため,火気に注意する。
冷却には,冷凍機,ドライアイス,又は液体窒素を用い,液体空気,液体酸素は使用しない
こと。低温槽の液体には水分が凝縮するため,粘度が増加した場合には交換する。
3. 油温槽に用いる油は,粘度,引火点などによって使用できる温度範囲が異なる。
また,使用温度,使用時間によって油の粘度が変化する。
4. 硝石温槽の温度は,650℃を超えてはならない。容器には,ステンレス鋼を用い,耐熱性の床
に置く。近くに可燃性物があってはならない。
内部から先に溶けると液が噴出するおそれがあるので,表面が先に溶けるように加熱する。
ほこり,炭素,油,水などが高温になった液体に接触すると,爆発するおそれがある。特に
ほこりは,次第にたまることがあるから,ときどき500℃以上に上げて燃やし,内部にほこり
が蓄積するのを防止する。
アルミニウムなどの酸化しやすい物質を液槽内で使ってはならない。
溶融石英製の温度計を直接挿入すると表面が侵されるので,保護管を使用する。
付表13 比較法による校正のための標準温度計
単位℃
種類
温度範囲
精度
ガラス製温度計
目量 0.1以下 0〜100
±0.03
−50〜0, 100〜300 ±0.05
300〜360
±0.1
0.2
0〜100
±0.05
−50〜0, 100〜300 ±0.06
300〜360
±0.1
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単位℃
種類
温度範囲
精度
0.5
0〜100
±0.2
−50〜0, 100〜300 ±0.3
300〜360
±0.5
白金抵抗温度計
−260〜+660
±0.02〜±0.005
温度定点において
±0.01〜±0.001
熱電温度計(R熱電対)
0〜1 100
±1
1 100〜1 500
±3
温度定点において
±0.2
付表14 一般に用いられている定点法
定点
温度値
(℃)
装置・方法
適用する主な
温度計の種類
特徴
期待できる精度
窒素の沸点
−195.798
魔法瓶
白金抵抗温度計 比較装置として利用されている。
精度は良くない。
酸素の沸点
−182.954
氷点
0
魔法瓶
白金抵抗温度計
ガラス製温度計
実現が容易である。
±0.003〜±0.01℃
水の沸点
99.974
沸点装置
気圧の影響がある。
±0.01℃
水の三重点
0.01
定点セル
白金抵抗温度計
熱電温度計
準備に時間を要する。
±0.000 2〜±0.001℃
ガリウムの
融解点
29.764 6
定点セル及
び恒温槽
準備に時間を要する。
±0.001〜±0.005℃
すずの凝固点 231.928
金属の凝固点
(るつぼ法)
精度の推定が容易。
±0.001〜±0.1℃
亜鉛の凝固点 419.527
アルミニウ
ムの凝固点
660.323
標準の維持,素線の受入れ検査
などにも利用できる
±0.1〜±0.3℃
銀の凝固点
961.78
金の融解点
1 064.18
金属線溶融法 熱電温度計
(B熱電対,R
熱電対,消耗形
熱電対)
実現が容易。
±0.5〜±2℃
パラジウム
の融解点
1 554
白金の融解点 1 768
付表15 果体炉の種類,温度範囲及び標準温度計の種類
種類
温度範囲
(℃)
標準温度計の種類
標準黒体炉 低温域
−50〜+300 ガラス製温度計
白金抵抗温度計
中温域
300〜500
白金抵抗温度計
比較黒体炉 中温域
400〜500
0.9μm単色放射温度計
高温域
800〜1 500
0.9μm単色放射温度計
0.65μm単色放射温度計
超高温域 1 000〜3 000 0.65μm単色放射温度計
光高温計
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附属書 接触式温度計の校正方法
1. 適用範囲 この附属書は,接触式温度計の校正方法について規定する。
2. 用語の定義 この附属書で用いる用語の定義は,本体による。
3. 比較法による温度計の校正 比較法には,温度範囲によって次の方法がある。
(1) −l00〜+650℃の温度範囲では,本体付表12に示す恒温槽内に標準温度計と校正しようとする温度計
とを入れ,均一な温度になるようにかくはんして校正する。
(2) −100℃未満の温度範囲では,液体温槽を用いることが容易でないため,真空容器中に保持した銅塊を
冷凍機,液体窒素などを用いて冷却し,この銅塊に設けた温度計用の穴に温度計の検出部を挿入して
校正する。この場合,銅塊と検出部との間に良い熱接触が得られるようにする。
(3) 酸素の沸点近傍の温度では,温度計用の穴をあけた銅塊を魔法瓶につるし,液体酸素又は液体窒素を
使って徐々に冷却する。十分に冷却した後,液体酸素又は液体窒素を魔法瓶に満たし,温度計の検出
部を銅塊の穴に挿入して校正する。
なお,液体窒素は減圧することによって,約−200℃まで校正できる。液体酸素を減圧することは危
険である。
(4) 熱電対は,200℃以上の温度では,温度の均一な管状電気炉を用いて校正することができる。この場合
は,標準熱電対と校正しようとする熱電対との測温接点を熱的によく接触させる。ただし,貴金属熱
電対と卑金属熱電対とを同じ保護管に入れてはならない。
4. 定点法による温度計の校正 定点法では,本体付表14に示す温度定点の幾つかを実現して温度計を校
正する。温度定点は,使用する試料物質の純度,実現装置及び実現方法が適切であることが必要である。
これらの条件は,複数の試料を用いて定点を実現したり,実現条件を変えることなどによって推定する。
簡便な方法としては,標準温度計を用いて実現した定点の温度値を確認しておく方法もある。
比較的実現しやすく,一般的に採用されている定点及びその実現方法を次に示す。
(1) 氷点 氷点 (0℃) は,標準大気圧下にある水と氷の平衡状態である。取扱いを注意することによって,
±0.003℃の精度が得られる。氷点は容易に実現でき,ほとんどの温度計に対して用いることができる。
氷点を簡便で,良い精度で実現するには例えば次の方法がある。
市販の氷の透明な部分をよく洗い,細かく削り,適当な大きさの魔法瓶に詰める。この氷にほぼ0℃
に冷やした蒸留水を加え,その水面の高さを温度計の検出部の上端より少し高めにする。
なお,氷点を良い精度で実現するためには,次の注意が必要である。
(a) 水に不純物が溶け込まないようにする。特に素手で氷や水を扱わない。
(b) 魔法瓶の上部では熱の流入のために氷がと(融)け,温度計の周囲にすき間が生じることがあるた
め,適宜氷を追加する。
(c) 魔法瓶の下部には氷が溶けた水がたまるため,適宜取り除く。
(2) 水の沸点 水の沸点 (99.974℃) は101.325kPaの水蒸気と水との平衡状態である。一般に動的な方法,
すなわち,容器内で水を定常的に沸騰させる方法が用いられている。沸点を良い精度で実現するため
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には,次の注意が必要である。
(a) 蒸留水を用い,最初は強く沸騰させ,装置内の空気と水の中の空気を十分に除去する。
(b) 測定時には沸騰の強さを調節し,検出部の位置及び沸騰の強さを変化させても指示値が変化しない
状態にする。
(c) 装置内の蒸気の圧力を直接測定するか,この蒸気の圧力と平衡した気体(空気など)の圧力を測定
する。
(d) 温度計の検出部が過熱状態の蒸気に直接触れないようにする。
(3) 水の三重点 水の三重点 (0.01℃) は,純粋な水の液相,気相,固相が共存する温度である。一般に水
の三重点セルと呼ばれるガラス製セルで実現され,±0.001℃より良い精度が得られる。
水の三重点セルは,一般に次の手順で準備して使用する。
(a) セル全体を約0℃にする。
(b) 温度計を挿入するウェルの水分を取り除き,ドライアイスの粉末をウェルに入れ,三重点セルの水
面まで満たす。
(c) 過冷却の後,ウェルの周囲に氷が付き始める。この状態で常にドライアイスの粉末がウェルを満た
すように補給しながら,必要量の氷がセル内にできるまで継続する。
(d) この過程でセルの上部の水面が凍るため,常時監視しながら,この氷を溶かすようにする。
(e) 使用する際には,0℃の水をウェルに入れ,0℃より少し温度の高い温度計などをウェルに入れ,ウ
ェルに沿って薄い液相を作る。
なお,三重点の状態はセルの上部の部分であり,温度計の検出部はウェルの底にある。この部分
は液相と固相との平衡状態であり,三重点の温度とは異なる。ウェルに沿っての温度tは,液深h
に対して,
t=A+B・h
で近似できる。ここで,A=0.01℃,B=−7.3×10-4K・m-1である。
(4) 金属の凝固点(るつぼ法) 標準大気圧下での金属の液相と固相との熱平衡状態である。この熱平衡
状態は,融解しつつある状態又は凝固しつつある状態で実現できるが,試料純度の影響が少ない凝固
過程を利用することが多い。
温度計用の穴を中央部に備えたるつぼに高純度の試料金属を入れて,電気炉中で加熱又は冷却する
ことによって,融解曲線又は凝固曲線を観測して,その平たん部を融解点又は凝固点とする。融解点
と凝固点との温度差は,試料の純度が99.99%以上である場合は,±0.03℃で一致する。
通常は,内径30〜50mm,長さ150〜200mm程度の高純度黒鉛製のるつぼを用い,測定時の加熱又
は冷却の速さは1℃/min以下で融解又は凝固曲線を観測する。
なお,実際に温度計を校正するには,できる限り検出部の近くに液相と固相との境界面を作り,検
出部を囲むように工夫する。
また,凝固点を良い精度で実現するためには,次の注意が必要である。
(a) 試料金属によっては凝固の際に著しい過冷却を起こすので,試料の一部を急冷するなど適当な刺激
によって固体の生成を促進する。
(b) 一般に,試料金属が酸化すると融解点,凝固点とも降下するため,不活性気体などを用いて酸化を
防止する。
(c) 温度計の挿入長さを変えることによって,温度計の検出部が相平衡温度と熱平衡にあることを確認
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Z 8710-1993
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する。
(5) 金属線溶融法 これは,金属の融解を利用した熱電対の校正方法の一つである。校正しようとする熱
電対の素線の先端間に金属線を接続し,この測温接点を温度分布が一様で温度が上昇中の電気炉に入
れ,試料金属が融解する際に熱電対の熱起電力の変化が一定になることを利用して校正する方法であ
る。
金属線溶融法は,特に,金又はパラジウム点でR熱電対を校正する際に用いられ,±2℃より良い
精度が得られる。純度99.99%以上の金又はパラジウムの細線(長さ4〜5mm,線径0.5mm程度)を校
正しようとする熱電対の素線(線径約0.5mm)の先端間に接続し,この測温接点を温度が一様な電気
炉に入れて温度を上げる。試料金属の融解点に近づいたら,温度の上昇速度を10℃/min以下にする。
温度が試料金属の融解点に達すると試料金属は溶ける。この間に観測される熱起電力が一定となる状
態が試料金属の融解点である。
なお,この方法を精度良く実現するためには,次の注意が必要である。
(a) 電気炉の炉心管は,高アルミナ質などを用い,有害な気体による熱電対及び金線又はパラジウム線
の汚染を防ぐ。
(b) 熱電対の汚染変質を少なくするため,あらかじめ炉の温度を上げ,融解点より100℃程度低い温度
に達したときに熱電対を炉内に入れる。
(c) 熱電対の測温接点の接続は,線を平行に保ち,酸素を過剰にした炎による溶接,電気溶接又は圧着
による。
(d) 炉の温度が1 000〜1 600℃の範囲で,炉のほぼ中央では軸方向20mmの範囲において3℃以下の温
度差であること。
関連規格 JIS B 7410 石油類試験用ガラス製温度計
JIS B 7411 ガラス製棒状温度計(全浸没)
JIS B 7412 ガラス製二重管温度計
JIS B 7413 浸没線付ガラス製水銀棒状温度計
JIS B 7527 温度計(木製板付)
JIS B 7528 水銀充満圧力式指示温度計
JIS B 7529 蒸気圧式指示温度計
JIS B 7542 工業用バイメタル式温度計
JIS C 1601 指示熱電温度計
JIS C 1602 熱電対
JIS C 1603 指示抵抗温度計
JIS C 1605 シース熱電対
JIS C 1610 熱電対用補償導線
JIS C 1611 サーミスタ測温体
JIS R 1401 熱電対用非金属保護管
JIS R 1402 熱電対用非金属絶縁管
JIS Z 8203 国際単位系 (SI) 及びその使い方
JIS Z 8703 試験場所の標準状態
JIS Z 8704 温度測定方法−電気的方法
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JIS Z 8705 ガラス製温度計による温度測定方法
JIS Z 8707 充満式温度計及びバイメタル式温度計による温度測定方法
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参考 1990年国際温度目盛について
この参考は,本体及び附属書の規定に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
国際温度目盛は,1927年に制定されて以来,実際の温度測定の基準として国際的に広く用いられている。
1990年国際温度目盛(以下,ITS-90と略す。)は,1987年国際度量衡総会 (CDPM) の決議に基づき,1989
年国際度量衡委員会 (CIPM) で採択された。ITS-90は,参考付表1に示す定義定点と参考付表2に示す
補間方法とで構成されている。
通常の場合,測定値が国際温度目盛によって表されていることを明確に意識しないでいることが多いが,
用いた温度測定装置がどのようにして校正されているかをたどれば,必ず国際温度目盛につながっている。
もしそうなっていなければ,得られた温度値の客観性に疑問があるといわなければならない。
国際温度目盛がこのように重要な役割をもっているのは,第1にはそれが技術的見地から現在最も優れ
た温度測定法であり,第2にはそれがメートル条約に基づく国際的に統一された標準となっているからで
ある。
なお,参考付表1〜3では,ITS-90であることを明確にするため,熱力学温度及びセルシウス温度に相
当する量記号に添字を付け,T90, t90と表してある。
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参考付表1 定義定点
番号
物質
状態(2)
T90/K
圧力効果
10-8K/Pa(3)
mK/m(4)
1
He
V
3〜5
2
e-H2(1)
T
13.803 3
34
0.25
3
e-H2
V
約17
4
e-H2
V
約20.3
5
Ne
T
24.556 1
16
1.9
6
O2
T
54.358 4
12
1.5
7
Ar
T
83.805 8
25
3.3
8
Hg
T
234.315 6
5.4
7.1
9
H2O
T
273.16
−7.5
−0.73
10
Ga
M
302.914 6
−2.0
−1.2
11
In
F
429.748 5
4.9
3.3
12
Sn
F
505.078
3.3
2.2
13
Zn
F
692.677
4.3
2.7
14
Al
F
933.473
7.0
1.6
15
Ag
F
1 234.93
6.0
5.4
16
Au
F
1 337.33
6.1
10
17
Cu
F
1 357.77
3.3
2.6
注(1) e-H2:オルト/パラ水素の平衡組成
(2) 記号の説明
V:蒸気圧測定による定点。ヘリウムに関しては参考付表2参照。
水素に関しては次式を使う。
T90/K=17.035+ (p/kPa−33.321 3) /13.32 (17.025K≦T90≦17.045K)
及び
T90/K=20.27+ (p/kPa−101.292) /30 (20.26K≦T90≦20.28K)
ここに,p:水素の蒸気圧 (kPa)
なお,17Kと20.3Kは,参考付表2の定積気体温度計から得られ
た温度値を使用することができる。
T:気相,液相,固相の平衡状態(三重点)
M及びF:標準大気圧下での液相,固相の平衡状態(Mは融解点,
Fは凝固点を意味する。)
(3) ミリケルビン毎標準気圧と考えてよい。
(4) 静水圧補正。
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参考付表2 補間方法
温度範囲
指定された装置,方法
T90を求める式
1 234.93K
以上
黒体放射
Lλ:黒体の分光放射輝度
[
]
[
]
[
]
1
exp
1
)
(
exp
)
(
)
(
1
90
2
1
90
2
90
90
−
−
=
−
−
〕
〔
〕
〔
T
c
x
T
c
x
T
L
T
L
λ
λ
λ
λ
1 234.93K
白金測温抵抗体(5)
条件:
W (29.764 6℃) ≧1.118 07
又は
W (−38.834 4℃) ≦0.844 235
及び
961.78℃まで使用するとき
は,W (961.78℃) ≧4.284 4
基準関数Wr (T90) は参考付
表3に示す。
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1]2+c [W (T90) −1]3
+d [W (T90) −W (660.323℃)]2
a,b,cは,d=0として,すず,亜鉛,アルミニウムの凝固点での抵抗
比から決定する。dは,このa,b,cの値を使って,銀の凝固点での抵
抗比から決定する。
〜
273.15K
933.447 3K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1]2+c [W (T90) −1]3
a,b,cは,すず,亜鉛,アルミニウムの凝固点での抵抗比から決定す
る。
〜
273.15K
692.677K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1]2
a,bは,すず,亜鉛の凝固点での抵抗比から決定する。
〜
273.15K
505.078K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1]2
a,bは,インジウム,すずの凝固点での揖抗比から決定する。
〜
273.15K
429.748 5K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1]
aは,インジウムの凝固点での抵抗比から決定する。
〜
273.15K
302.914 6K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1]
aは,ガリウムの融解点での抵抗比から決定する。
〜
273.15K
302.914 6K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1]2
a,bは,ガリウムの融解点,水銀の三重点での抵抗比から決定する。
〜
234.315 6K
273.16K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1] 1n [W (T90)]
a,bは,水銀,アルゴンの三重点での抵抗比から決定する。
〜
83.805 8K
273.16K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1]2
+c1 [1n [W (T90)]2
a,b,c1は,水銀,アルゴン,酸素の三重点での抵抗比から決定する。
〜
54.358 4K
273.16K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1]2+∑
=
2
1
i
ci [1n [W
(T90)]i
a,b,c1,c2は,水銀,アルゴン,酸素,ネオンの三重点での抵抗比か
ら決定する。
〜
24.556 1K
273.16K
W (T90) =Wr (T90) +a [W (T90) −1] +b [W (T90) −1]2+∑
=
5
1
i
ci [1n [W
(T90)]i+2
a,b,ciは,水銀,アルゴン,酸素,ネオン,平衡水素の三重点,平衡
水の蒸気圧点での抵抗比から決定する。
〜
13.803 3K
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温度範囲
指定された装置,方法
T90を求める式
24.556 1K
定積気体温度計
V
N
T
B
cp
bp
a
T
x
/
)
(
1
90
2
90
+
+
+
=
(3.0K〜24.556 1K)
又は
T90=a+bp+cp2
(4.2K〜24.556 1K)
a,b,cは,ネオン,平衡水素の三重点,ヘリウムの蒸気圧点での圧力
から決定する。ここに,ヘリウムの蒸気圧点の温度は,4.2K〜5.0Kとす
る。
〜
3.0K
5.0K
ヘリウムの蒸気圧と温度の
関係式
[
]
∑
=
−
+
=
9
1
0
90
/)
)
/
ln(
/
i
i
i
C
B
Pa
p
A
A
K
T
定数A0,Aiは下記による。
〜
0.65K
注(5) W (T90) =R (T90) /R (273.16K) ここに,R (T90) は,温度T90での白金測温抵抗体の抵抗値である。
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参考付表3 基準関数:Wr (T90)
温度領域
基準関数
13.803 3K≦T90≦273.16K
i
i
i
T
A
A
T
Wr
]
5.1
5.1
)]
K
16
.
273
/(
[
ln
[
)]
(
[
ln
90
12
1
0
90
+
+
=
∑
=
参考 基準関数の逆関数(6)は,次のとおりである。
i
i
i
T
Wr
B
B
K
T
]
35
.0
65
.0
)
(
[
16
.
273
/
6
/1
90
15
1
0
90
−
+
=
∑
=
273.15K≦T90≦1234.93K
i
i
i
T
C
C
T
Wr
)
481
15
.
754
K
/
(
)
(
90
9
1
0
90
−
+
=
∑
=
参考 基準関数の逆関数(6)は,次のとおりである。
i
i
T
Wr
D
D
T
]
64
.1
64
.2
)
(
[
15
.
273
K
/
90
0
90
−
+
+
=
∑
注(6) 逆関数の精度は,±0.10〜±0.13mKである。
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JIS Z 8704, 8710改正原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
豊 田 弘 道
成蹊大学工学部
板 東 一 彦
通商産業省機械情報産業局
池 田 要
工業技術院標準部材料規格課
黒 木 勝 也
財団法人日本規格協会
(第1分科会主査)
① 藤 村 貞 夫
東京大学工学部
(第2分科会主査)
② 島 田 道 彦
法政大学工学部
(第1分科会幹事)
①② 櫻 井 弘 久
工業技術院計量研究所
(第2分科会幹事)
①② 小 川 実 吉
横河電機株式会社
② 河 村 昭 利
東京都立工業技術センター
① 渡 辺 一 郎
日本電気計器検定所
① 河 原 俊 治
日本酸素株式会社
① 清 水 節 郎
昭和電工株式会社
① 田 村 洋 一
住友金属工業株式会社
② 田 中 敏 夫
三菱化成株式会社
② 吉 成 正 博
日立エンジニアリング株式会社
② 脇 田 忠 良
東京電力株式会社
(徳 平 真)
② 佐 藤 裕 典
株式会社岡崎製作所
② 則 武 利 一
山里産業株式会社
② 重 野 守 男
株式会社チノー
① 桑 原 敏 久
山武ハネウエル株式会社
① 堀 内 健 二
株式会社東芝
① 渡 部 勉
株式会社渡部計器製作所
①② 塚 本 正 仁
社団法人日本電気計測器工業会
(石 川 隆 一)
(事務局)
斉 藤 保 孝
社団法人計測自動制御学会
備考 ○印の数字は所属分科会を示し,括弧内は前任者を示す。