Z 8522:2006 (ISO 9241-12:1998)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 この規格の適用方法 ·········································································································· 7
4.1 提示する情報の特性 ······································································································· 7
4.2 推奨事項の適用 ············································································································· 8
4.3 製品の評価 ··················································································································· 8
5 情報の組織化 ··················································································································· 8
5.1 情報の表示位置 ············································································································· 8
5.2 ウインドウ使用が適切な場合 ··························································································· 8
5.3 ウインドウに関する推奨事項 ··························································································· 9
5.4 表示領域 ····················································································································· 10
5.5 入出力領域 ·················································································································· 11
5.6 グループ ····················································································································· 11
5.7 リスト ························································································································ 13
5.8 表 ······························································································································ 15
5.9 見出し ························································································································ 16
5.10 フィールド ················································································································· 17
6 図形オブジェクト ············································································································ 17
6.1 図形オブジェクトについての全般的推奨事項 ······································································ 17
6.2 カーソル及びポインタ ··································································································· 18
7 符号化手法 ····················································································································· 19
7.1 符号についての全般的推奨事項 ······················································································· 19
7.2 英数字符号化 ··············································································································· 20
7.3 英数字符号の略記 ········································································································· 21
7.4 図による符号化 ············································································································ 21
7.5 色彩符号化 ·················································································································· 22
7.6 標識 ··························································································································· 23
7.7 その他の符号化手法 ······································································································ 24
附属書A(参考)適用可能性及び適合を査定する手順例 ····························································· 26
附属書B(参考)関連規格 ···································································································· 45
Z 8522:2006 (ISO 9241-12:1998)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本人間工学会(JES)及び財団法人日本規格
協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8522:2006
(ISO 9241-12:1998)
人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−
情報の提示
Ergonomics-Office work with visual display terminals (VDTs)-
Presentation of information
序文
この規格は,1998年に第1版として発行されたISO 9241-12を基に,技術的内容及び対応国際規格の構
成を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
1
適用範囲
この規格は,オフィス作業で用いる,文字主体のユーザインタフェース及びグラフィカルユーザインタ
フェースにおける情報の提示方法及び提示情報の具体的特性について人間工学的な観点からの推奨事項を
規定する。この規格は,情報の視覚的表示を設計する及び評価する上の推奨事項を符号化手法をも含めて
規定する。この規格の各推奨事項は,例えば,設計するときの設計者向けの手引,経験に基づく評価を行
う場合の基準,及び使用性評価のための手引として設計プロセスのあらゆる場面で利用することができる。
色については,情報の強調表示及び情報分類のための色の使い方だけに限定する(その他の色の使い方に
ついての推奨事項は,JIS Z 8518参照)。
この規格では,情報の聴覚的な提示については扱わない。
インタフェースの設計は,仕事,ユーザー,環境及び利用可能な技術に依存する。したがって,この規
格を,設計全般に関する知識及びインタフェースを利用する状況の知識なしで適用することは不可能であ
る。また,この規格は,すべての項目をそのまま当てはめるべき規範的規則集として使うように意図した
ものではない。それよりも,設計者が,仕事の内容,及びユーザーの要求事項についての適切な知識をも
ち,利用可能な技術の使い方を理解していることを前提としている(これには,必要に応じて資格をもつ
人間工学専門家との相談又は,実際のユーザーで実験する場合もある。)。
注記1 この規格に対応する原規格は国際規格ではあるが,ラテン語系言語に基づいているため,推
奨事項の中には別の言語で用いるときに適用に当たって修正が必要なもの,又は適用できな
いものがある。例えば,“右から左”型の言語では“左から右読み”向けの推奨事項は,修正
及び翻案する必要がある。特定の言語に基づくと考えられる推奨事項(例えば,リスト項目
のアルファベット順配置)を適用する場合には,この規格の意図に添うように配慮すること
が望ましい。
注記2 インタフェースの設計では,ユーザーが各自の必要性に合わせてインタフェースを変更でき
るような,ソフトウエアが広く採用されてきている。しかしながら,ユーザーが自分で自分
に合うようにインタフェースを変更できるようにしたからといって,インタフェースの設計
に人間工学的見地からの配慮(例えば,ウインドウの位置,大きさ,色などの適切な既定値
2
Z 8522:2006 (ISO 9241-12:1998)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の設定)が不要になるわけではない。情報提示の仕方をユーザー自身で変更させることは,
この規格に外れる結果となり兼ねないことに留意すべきである。
注記3 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 9241-12:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−Part
12: Presentation of information (IDT)
なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格のうちで,西暦年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構成するもので
あって,その後の改正版・追補には適用しない。
JIS Z 8513:1994 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−視覚表示装置の要求事項
注記 対応国際規格:ISO 9241-3:1992,Ergonomic requirements for office work with visual display
terminals (VDTs)−Part 3: Visual display requirements (IDT)
JIS Z 8518:1998 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−表示色の要求事項
注記 対応国際規格:ISO 9241-8:1997,Ergonomic requirements for office work with visual display
terminals (VDTs)−Part 8: Requirements for displayed colours (IDT)
JIS Z 8521:1999 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−使用性についての手引
注記 対応国際規格:ISO 9241-11:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display
terminals (VDTs)−Part 11: Guidance on usability (IDT)
JIS Z 8524:1999 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−メニュー対話
注記 対応国際規格:ISO 9241-14:1997,Ergonomic requirements for office work with visual display
terminals (VDTs)−Part 14: Menu dialogues (IDT)
JIS Z 8525:2000 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−コマンド対話
注記 対応国際規格:ISO 9241-15:1997,Ergonomic requirements for office work with visual display
terminals (VDTs)−Part 15: Command dialogues (IDT)
JIS Z 8527:2002 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−書式記入対話
注記 対応国際規格:ISO 9241-17:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display
terminals (VDTs)−Part 17: Form filling dialogues (IDT)
ISO/IEC 11581-3:2000,Information technology−User system interfaces and symbols−Icon symbols and
functions−Part 3: Pointer icons
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
領域 (area)
画面又はウインドウ内の区切られた部分又は区域。
3
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図1−各種領域の配置例
3.1.1
識別領域 (identification area)
表示される情報の標題を与える領域。その時点でのユーザーの状況及び仕事に関する情報を含む場合も
ある。
注記 識別領域でアプリケーション,ファイル,作業環境などを識別することもある。
3.1.2
入出力領域 (input/output area)
ユーザーからの情報を受け取る及び/又はユーザーに対して情報を提示する領域。
注記 input/outputは,用語では“入出力”としている。5.3.1でも“入出力領域”となっている。
3.1.3
制御領域 (control area)
制御情報を表示する領域及び/又はシステムとのやり取り,コマンド入力及びコマンド選択のためのコ
ントロールを表示する領域。
注記 制御情報を表示する領域をもたないが,ボタン,スライダ,チェックボックスなどのシステム
とのやり取りに用いるコントロールをもつウインドウアプリケーションがある。
3.1.4
メッセージ領域 (message area)
状況変化の情報及び/又はそのほかの情報(例えば,エラーメッセージ,進度情報,フィードバック)
を与える領域。
注記 メッセージは,OS,アプリケーションソフトなどで生成される。
3.2
符号化 (code)
情報を表現するための,英数字若しくは図的シンボルの体系化手法,又は視覚的手法(例えば,フォン
ト,色又は強調表示)。
注記1 一般に,ある情報内容を表現する英数字符号は,符号化前の文章より短くする。
注記2 “符号化 (code)”という用語は,コンピュータ科学領域で使われている“コード (code)”と
“コーディング (coding)”とを混同させない。コンピュータ科学領域では,“コード (code)”
は,実行できるソフトウエアプログラム中の命令系列をいい,“コーディング (coding)”は,
命令を組み立ててプログラムを作成する過程をいう。
注記3 この箇条の原文(ISO 9241-12)の表題は“code”であるが,記述内容は情報表現の手法である。
1
2
3
4
記号
1: 識別領域
2: 入出力領域
3: 制御領域
4: メッセージ領域
4
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そのため,JIS化に当たっては“符号化”という訳語を与えた。
3.2.1
記憶符号 (mnemonic code)
ユーザーにとって意味が分かりやすく,かつ,表わそうとする語を何らかの点で連想させる符号。
注記 記憶符号は,覚えやすく思い出しやすいような英数字列とすることが多い。記憶符号の多くは,
略号である。
3.3
コントロール (controls)
ダイヤル,ラジオボタンなどの物理的な操作具に似せた図形オブジェクトで,あるアプリケーション内
を行き来したり,表示してあるオブジェクト又はその属性を操作するのにユーザーが利用する。
3.4
カーソル (cursor)
文字を入力する位置を視覚的に示す指示。
3.5
フィールド (field)
データを入力するための又はデータを提示するための,範囲を定められた領域であり,一般に一定数の
文字又は空白からなる。
3.5.1
入力フィールド (entry field)
データを入力するのに,又は表示データを編集するのに利用できるフィールド(図2参照)。
3.5.2
読取り専用フィールド (read-only field)
データを表示するが,書き換えのできないフィールド(図2参照)。
氏名:青山___
入力フィールドの例(3.5.1)
読み取り専用フィールドの例(3.5.2)
図2−各種フィールドの例
3.6
グループ (group)
表示上で知覚的に区別できるフィールドの集まり。
3.7
強調表示 (highlighting)
重要な又は決定的な情報を強調し目立たせる表示手法。
注記 明暗反転表示,点滅表示,下線,色付け,コントラストの強調(輝度による符号化),図形の付
加(例えば,枠で囲む),大きさ変化などの手法がある。
読取り専用フィールドの例 (3.5.2)
入力フィールドの例 (3.5.1)
5
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3.8
アイコン (icon)
オブジェクト,動作又は機能を表す画面上の図形要素。
3.9
見出し (label)
入力フィールド,読取り専用フィールド,表,コントロール又はオブジェクトに付ける短い説明標題。
注記 アプリケーションによっては,見出しを読取り専用フィールド(保護フィールド)に分類して
扱うものがある。一般に,見出しには,題目,フィールド入力の催促,説明文(例えば,アイ
コンの見出し)などがある。
3.10
リスト (list)
データ項目を縦又は横方向に並べて提示したもの。通常,アプリケーションの状態に応じて内容及び数
は変化する。
3.11
標識 (marker)
状態を指摘したり,ある項目に注意をひ(惹)くために使用する記号(例えば,*など)。
3.12
ポインタ (pointer)
ポインティングデバイスの操作に応じて画面上を移動する図形記号。
注記 ユーザーは,画面上に表示された要素の位置までポインタを動かし,操作を開始することでそ
の要素とのやり取りを行う。
3.13
表 (table)
一定の規則に従った関係をもたせてデータを規則正しく表示したもの。リストを列として並べたり,又
は方形の配列とすることが多い。
3.14
ウインドウ (window)
個別に操作可能な表示面上の領域で,オブジェクトを提示したり,及び/又はユーザーと対話を行った
りするのに用いるもの(図3参照)。
注記 ウインドウは通常長方形で,境界枠をもつ。
図3−ウインドウの例
3.14.1
主ウインドウ (primary window)
6
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
オペレーティングシステム,アプリケーション,又はオブジェクトの状況を表示するウインドウ。
注記 同時に複数の主ウインドウを提示する場合もある。
3.14.2
派生ウインドウ (secondary window)
主ウインドウでのやり取りから派生し,ある対話の間表示されるウインドウ。
注記 システム側からの契機で,派生ウインドウを表示させる場合もある。
3.15
ウインドウの配置 (windowing format)
複数のウインドウを同時に表示するときの配置。
注記 タイル形,重なり形,混合形など幾つかのウインドウ配置がある。
3.15.1
タイル形ウインドウ配置 (tiled window format又はside-by-side window format)
ウインドウを重ならないように,かつすき間なく並べる配置(図4参照)。
1
2
3
4
1
2
3
4
1
2
3
4
図4−タイル形ウインドウ配置
3.15.2
重なり形ウインドウ配置 (overlapping window format)
ウインドウが,互いに一部又は全部重なり合うこともできるウインドウ配置(図5及び図6参照)。
図5−重なり形ウインドウ配置
1
2
3
1
2
3
1
2
3
記号
1: ウィンドウ1
2: ウィンドウ2
3: ウィンドウ3
4: ウィンドウ4
記号
1: ウィンドウ1
2: ウィンドウ2
3: ウィンドウ3
7
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図6−重なり形ウインドウ配置(規則的な配置)
3.15.3
混合形ウインドウ配置 (mixed format)
タイル形及び重なり形の両方が混在する配置(図7参照)。
注記 基本配置はタイル形で,催促,助言などの一時的な要素を表示する場合に重なり形も使われる
混合形と,反対に基本配置は重なり形だが,あるウインドウ内を分割して内部の部分ウインド
ウをタイル形で配置する混合形とがある。
図7−混合形ウインドウ配置
4
この規格の適用方法
4.1
提示する情報の特性
ユーザーが,提示した情報を効果的に,少ない負担で,快適にく(汲)み取って仕事(例えば,画面上
で情報を探す。)ができるように,情報を提示することが望ましい。これを実現するためには,視覚情報を
設計するときに,次の特性を考慮することが重要である。
− 明りょうさ(すなわち,情報内容が速く正確に伝わる。)
− 見分けやすさ(すなわち,表示した情報が,正確に区別できる。)
− 簡潔さ(すなわち,仕事達成に必要な情報だけを,ユーザーに与える。)
− 一貫性(すなわち,同じ情報は,ユーザーの期待に添うように,一つのアプリケーション中では同じ
ように提示する。)
− 気付きやすさ(すなわち,ユーザーの注意を必要な情報に向ける。)
− 視認性(すなわち,情報は,読み取りやすい。)
− 把握しやすさ(すなわち,意味が理解しやすく,あいまいでなく,解釈しやすく及び認識しやすい。)
1
2
3
1
2
3
記号
1: ウィンドウ1
2: ウィンドウ2
3: ウィンドウ3
1
2
3
4
5
1
2
3
4
1
2
3
4
5
記号
1: ウィンドウ1
2: ウィンドウ2
3: ウィンドウ3
4: ウィンドウ4
5: ウィンドウ5
8
Z 8522:2006 (ISO 9241-12:1998)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
視覚情報の設計では,システムの利用状況及びユーザー要求に照らして,上記の特性を満足することを
常に基本目標とすることが望ましい。視覚情報の設計では,次の様々な分野の知識を利用する。
− 生理学(例えば,感覚器官の特性)
− 心理学(例えば,精神的作業負担)
− 人間工学(例えば,利用の状況,JIS Z 8521参照)
− タイポグラフィ
注記 タイポグラフィとは,文字の視覚的表現に関する研究分野である。
− グラフィックデザイン
情報を適切に提示すると,ユーザーの視覚情報の把握能力が向上し,情報入力の速さと正確さが増大す
る。このことはユーザーの作業成績を向上させるので,人の能力発揮という観点からの利益をもたらす。
情報の組織化に関する推奨事項は,情報の探索に役立ち,また,個々の情報及び情報のまとまりの区別を
容易にする。
4.2
推奨事項の適用
箇条5〜箇条7の各推奨事項が適用可能かを評価し,適用可能であれば,その推奨事項内容を実現する
ことが望ましい。ただし,推奨事項を適用することで,結果として設計目標から外れたり,全体としての
使用性を低下させるという確証があれば,必ずしも推奨事項を実装しなくてもよい。製品が推奨事項に適
合しているかを判定する場合,ユーザーが対話システムを使って仕事を行っているという状況下で製品を
評価すること,又はその製品の代表的ユーザーの利用状況を観察することが望ましい。適用可能性を決定
する場合及び推奨事項に従っているかを判定する場合の助けとなる見本の手順を,附属書Aに示す。
4.3
製品の評価
ある製品が,この規格中の適用可能な推奨事項に適合していると主張するには,その情報提示の要求事
項を設定するときに用いた手順,並びにその情報提示を開発する及び/又は評価するときに用いた手順を
明確に指定しなければならない。手順指定の詳細度は,関係者間の協議事項とする。
この規格の使用者は,附属書Aに示す手順を活用してもよいし,それぞれの開発及び/又は評価環境に
合わせた別の手順を作り上げてもよい。
5
情報の組織化
5.1
情報の表示位置
ユーザーの期待及び仕事上の要請に適合するように,情報の表示位置を決めることが望ましい(例とし
て,5.5及び5.8参照)。
注記 ユーザーの期待に添った場所にある情報は,その情報を探す所要時間が短くて済む。
5.2
ウインドウ使用が適切な場合
次の5.2.1及び5.2.2に規定する仕事の要求事項及びシステム能力項目に,より多く該当すればするほど
ウインドウの使用が適切である。
5.2.1
仕事の要求事項
− ユーザーは,同時に複数のシステム,アプリケーション若しくはプロセスを監視する又は扱う。
− ユーザーは,複数の情報を評価したり,比較したり,操作したりする。複数の情報には,異なる情報
源からの情報,又は一つの情報源の見方を変えた複数の情報(例えば,情報を一つのアプリケーショ
ンから他のアプリケーションに移動したりコピーしたりする。)がある。
− ユーザーは,仕事,システムアプリケーション,ファイル,文書部分,視点などを頻繁に切り替えな
がら作業する。
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− ユーザーは,個々の下位作業を行うときにも,上位の広範な仕事の状況を把握している必要がある(例
えば,客の注文に対応しながら,その客の信用情報を調べるなど。)。
− ユーザーは,本来業務にかかわる操作に進む前に,システム又はアプリケーションの事象に対処する
必要がある(例えば,ポップアップウインドウで,注意事項又はエラー通知を表示し,ユーザーに確
認させる。)。
− ユーザーは,補助的な対話部品(例えば,通知,メニュー)を,画面上の主要な作業場所の近くで時
折扱う必要がある(例えば,ユーザーがあるデータ入力欄を選択したときに,システムがその欄への
入力候補を隣接するウインドウで表示する。)。
5.2.2
システム能力
− 画面の大きさ及び解像度:ウインドウの移動,寸法調整,スクロール及び/又はページ切替えをユー
ザーが頻繁にしなくても,複数のウインドウで分かりやすい十分な量の情報をユーザーが見ることが
できるだけの画面の大きさ及び/又は解像度をもっている。
− システムの応答性:ウインドウを描画しても表示の速さが目立って遅くならないだけのグラフィック
性能をもっている。例えば,ウインドウの移動操作に対してのフィードバックを,操作中に絶えず又
は操作後すぐに与えるのに十分な速さの応答時間をシステムがもっている。
注記 ウインドウを使用することがユーザーとの対話の流れを著しく遅らせるおそれがある場合
は,ウインドウの利用は見合わせた方がよい。
5.3
ウインドウに関する推奨事項
この箇条の推奨事項は,情報を表示する働き及び/又は表示情報を操作する働きをもつ表示領域の使い
方に関する手引を与える。表示する情報としては,オペレーティングシステム,アプリケーション,アプ
リケーションで扱う各ファイル,ファイルの一部(例えば,ある文章ファイルの先頭部分,末尾部分),同
一情報の異なる形式による表示(例えば,文字による表示及び図による表示),又はあるアプリケーション
の各部分などがある。
5.3.1
複数ウインドウの使用
様々な情報源からの情報を表示又は扱う必要がある場合は,複数のウインドウ又は複数の入出力領域を
もつウインドウの使用を検討することが望ましい。
5.3.2
ウインドウ固有の識別名
それぞれのウインドウに固有のウインドウ識別名(例えば,ウインドウ名,ファイル名又はアプリケー
ション名)を付けることが望ましい。
注記 ウインドウの識別名中に,ユーザーの現在位置及び仕事を示す情報を含めることが有益な場合
がある。
例 あるオフィスアプリケーションでは,システム名,アプリケーション名,機能名,ファイル名な
どのシステム仕様の幾つかの名前を使って,ウインドウを識別している。
5.3.3
ウインドウパラメタの既定値
ユーザーが仕事を完了するのに実行しなければならない操作数が最小となるように,ウインドウの大き
さ及び位置の既定値を設計することが望ましい(例えば,他のウインドウ中の仕事上重要な情報を隠すこ
とのないような位置に,ウインドウを置く。)。
5.3.4
一つのアプリケーション中での一貫したウインドウの外観
仕事上適切であれば,一つのアプリケーション中では,同種のウインドウはすべて一貫した外観をもつ
ことが望ましい。
注記 ある種のウインドウでは,一部だけ異なるウインドウをもつものがある。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
例 特定のヘルプシステムに用いるウインドウは,すべて一貫した外観をもたせる。
5.3.5
複数アプリケーション環境での一貫したウインドウの外観
仕事上適切であれば,複数アプリケーション環境では,同時に利用する同種のウインドウは,すべて一
貫した外観をもつことが望ましい。
注記 ある種のウインドウでは,一部だけ異なるウインドウをもつものがある。
5.3.6
ウインドウの主・派生関係の識別
主ウインドウとそのウインドウからの派生ウインドウとの関係を,常に視覚的にはっきり分かるように
することが望ましい。
例1 あるオフィスアプリケーションでは,派生ウインドウを主ウインドウの中に表示している。
例2 主ウインドウ,及び派生ウインドウともに,ウインドウ境界枠,強調表示の仕方,色使いにつ
いて共通の方法を使用する。
例3 主ウインドウ,及び派生ウインドウともに,共通の識別用見出しを付ける。
5.3.7
ウインドウコントロールの識別
異なる機能を実行するウインドウコントロール(例えば,“ウインドウを閉じる”コントロール及び,“ウ
インドウの大きさを変える”コントロール)には,互いに見分けが付きやすい外観をもたせ,ウインドウ
の同じ位置に一貫して配置することが望ましい。
5.3.8
重なり形ウインドウ配置
重なり形ウインドウ配置は,次の場合に用いるとよい。
− ウインドウの種類,大きさ,数,表示内容及び/又は配置を,固定又は限定できない仕事内容である。
− 表示装置の寸法が小さい又は解像度が低いために,タイル形配置にした場合,各ウインドウ中に意図
を伝えるのに十分な意味のある量の情報を表示できない。
5.3.9
タイル形ウインドウ配置
タイル形ウインドウ配置は,次の場合に用いるとよい。
− ウインドウの大きさ,数,表示内容及び配置を固定しても,全く又はほとんど支障のない仕事内容で
ある。
− その時点で表示している情報[例えば,重要情報,仕事に必す(須)な情報]が,絶えず見えている
必要がある。
− 重なり形ウインドウにすると,ユーザーがウインドウを頻繁に切り替える,及びそれに応じてウイン
ドウを切替え表示する処理が増大して,システムの応答時間の増大又はユーザーの作業成績低下のお
それがある。
5.3.10 ウインドウ配置の選択
仕事上適切であれば,ユーザーが好きなウインドウ形式を選び,それを既定形式として確保できるよう
にすることが望ましい。
5.4
表示領域
この箇条の推奨事項は,表示領域相互の位置関係の決め方,及びどの程度複雑な情報を各領域にもたせ
るかの手引を,領域に表示する情報の組織化の観点から与える。
5.4.1
一貫した表示領域の位置
あるアプリケーション中の対話で使用する表示領域(すなわち,識別領域,入出力領域,制御領域及び
メッセージ領域)の位置は,一貫していることが望ましい。
注記1 識別領域は,入出力領域の上部に置くことが望ましい。
注記2 非ウインドウ環境では,コマンドを入力するための制御領域は,入出力領域の最下部に置く
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ことが多い。
5.4.2
表示情報の密度
表示する情報の密度は,ユーザーが乱雑であると感じない程度であることが望ましい。
注記1 多くのユーザインタフェースでは,40 %(画面に表示可能な総文字数に対する表示文字数の
割合)以内が適切である。
注記2 グラフィカルユーザインタフェースの場合は,線分,押しボタン,アイコンなどの図要素も,
表示する情報の密度を高める一因となる。
5.5
入出力領域
情報を組織化して入出力領域に表示する方法についての推奨事項は,仕事に必要な情報の提示の仕方,
必要な場合には表示する情報の分割の仕方,及び現在表示されている情報の相対的な位置の示し方に関す
る手引を与える。
5.5.1
必す(須)情報
ある仕事を遂行するのに必要なすべての情報を,可能であれば,入出力領域中に表示することが望まし
い。不可能な場合には,次による。
a) 必す(須)な情報を,各作業段階に応じて部分的な構成とするのがよい。
b) 構成の仕方は,各作業段階の遂行が促進され,ユーザーにとって分かりやすいものにするのがよい。
c) 仕事の成績の低下をもたらさない情報の分割の仕方にするのがよい。
5.5.2
スクロール及びページ換え
表示する情報の量が,入出力領域の範囲を超える場合には,そのとき見えていない部分の情報を見るこ
とができるようにする容易な手段(例えば,縦若しくは横方向のページ換え又はスクロール)をユーザー
に提供することが望ましい。
ユーザーが分割して表示した情報の組の間に何らかの関係を見出す必要がある場合には,二組の情報を
単一の画面に表示することが望ましく,スクロール及び/又はページ換えが常に最適とは限らない。
注記 二組の情報の概要を把握しやすくするために,ウインドウの利用,画面分割,キーワード,索
引などの手法が役立つ。
5.5.3
表示情報の位置関係の識別
表示する情報の量が,入出力領域の範囲を超える場合,そのとき見えている情報が情報全体のどの部分
であるか,及びどれ位の割合を占めているかを,情報の全体量との関連で明示することが望ましい(例え
ば,スクロールバー,スライダ,又は“ページx/y”形表示)。
5.6
グループ
グループについての推奨事項は,情報を整理してグループ化するための手引を与える。情報をグループ
化して画面に表示することは,ユーザーがより容易に情報を知覚する,探す,及び解釈するための助けと
なる。
5.6.1
グループの見分けやすさ
各グループは,適切に間隔取り及び位置取りを行って,見分けやすく表示することが望ましい(図8参
照)。必要な場合には,見分けやすさを向上させる他の手段を使用するのがよい(例えば,グループを枠で
囲む。)。
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図8−グループの例
注記 情報をグループ化する場合,次のゲシュタルト原理の適用は有益である。
a) 近接の法則(図9参照)
例
場所的に近い要素同士は,一つのまとまりであると感じられる。狭い間隔の二本の平行線に
この法則が当てはまる,同様に,例えば,欄とその見出し,ウインドウとその影などがある。
図 9−近接の法則
b) 類似の法則(図10参照)
例
類似した要素同士は,一つのまとまりであると感じられる。この例では,これを見る人に
は横方向の行ではなく,縦方向の列からなっていると感じられる。
図 10−類似の法則
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c) 閉包の法則(図11参照)
例
テキスト
テキスト
図中の欠けた部分を補う,又は不完全な図を補完する。この現象は,間隔を取って表示して
あるデータグループの全体を見たとき,それらのグループによって閉じた領域(すなわち,ま
とまった図)を作るような設計がなされていた場合に起こる。
図11−閉包の法則
5.6.2
作業順序
仕事が特定の作業順序に従う必要がある場合は,この作業順序に適合するように情報をグループ化し,
配置することが望ましい。
5.6.3
慣例の使用
情報のグループは,広くいきわたった形式,慣例及び習慣(例えば,住所の表記)に従うように配置す
るのがよい。
5.6.4
機能別のグループ化
仕事が特定の作業順序に従う必要がない場合は,その仕事に関連する情報は意味的な関連をもった[す
なわち,ユーザーが意味をく(汲)み取りやすい]グループ化をするのがよい。
5.6.5
視覚的に区別の明りょうなグループ−“チャンク”
仕事を行う上で迅速な視覚的探索が必要な場合は,グループの数は最小限にとどめること,及び各グル
ープは,視角で5度の範囲に収めることが望ましい。より多くの情報をグループにもたせようとして文字
寸法を小さくすることは,読みやすさを損なうことになるため,避けることが望ましい(JIS Z 8513の5.4
〜5.6及び5.8〜5.12参照)。
文字主体のユーザインタフェースの場合,グループの推奨する領域は,およそ縦方向5〜6行,横方向7
〜10文字である。この範囲を超えるグループでは,目をより多く動かす必要が生じ,探索に要する時間が
増大する。
注記 厚生労働省の“VDT作業における労働衛生管理のためのガイドライン”(平成14年4月5日発
表)によると,文字の大きさについて視距離50 cmの推奨値は,英数字の場合20分〜22分,
漢字の場合25分〜35分(いずれも視角)となっている。原文の横方向の領域(10〜12文字)
の視角を英数字の推奨値で推定すると4度となり,それを漢字の推奨値で除すと,横方向の領
域は7〜10文字(正確には6.9〜9.6文字)となる。
5.7
リスト
リストは,一覧列挙の形に情報をまとめるのに使用する。リストについての推奨事項は,情報の順序の
付け方,情報の番号の振り方及び情報の配置の仕方,見出しの使い方についての慣例,並びに表示領域を
はみ出すリストに対しての手引を与える。
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5.7.1
リスト構造
リストは,作業に適した合理的な順序又は自然な順序で並べるのがよい。
注記 もし作業に適切な順序がなければ,アルファベット順を検討してみるのもよい。
5.7.2
項目間の分離
リスト中の項目又は項目群は,目で見て探しやすいように,互いに見分けやすいことが望ましい。
5.7.3
文字情報
文字情報のリスト形式は,言語慣習に依存する。例えば,文字情報のリストを縦に表示する場合,左横
書きの言語では,各項目は左寄せにするのがよい(図12参照)。
注記 階層形リストの場合,上位,下位関係を示すのに段付けを用いる場合もある。
都市名
北海道札幌市
北海道函館市
東京都世田谷区
群馬県高崎市
神奈川県横浜市
静岡県静岡市
鹿児島県国分市
都市名
北海道札幌市
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図12−左寄せ表示した文字リストの例
5.7.4
数値情報(図13参照)
数値情報は,小数点を,もたない場合は右寄せとし,もつ場合は,小数点の位置をそろえるのがよい。
345 34.50
45 4.5
344 566
3,445.6600
図13−数値情報のそろえ方の例
5.7.5
固定フォントサイズ
数値リストでは,同一サイズの一定幅の字体を用いることが望ましい。
5.7.6
リスト項目の番号付け
リスト項目に番号を振る場合,ユーザーの期待に反しない限り,番号は0ではなく,1から始めるのが
よい。
5.7.7
項目番号の連続性
番号を振った項目をもつリストが入出力領域をはみ出して,そのはみ出した部分を見ようとしてページ
換え又はスクロールをしなければならない場合,項目の番号の振り方は,初めの入出力領域での先頭番号
を基準とした続き番号とするのがよい。
メニューで数字を選択肢指示子として用いて,選択肢の選択及びその実行指示を行うとする場合には,
この推奨事項は適用しない(JIS Z 8524の7.2.6及び7.2.7参照)。
5.7.8
リストが続いていることの明示(図14参照)
リストが表示領域を超えて続く場合,見えている他にもリストが続いていることを示すのがよい(例え
ば,見えているリストの最後の項目の後に,“次へ”と表示する,“2/3ページ”と表示する,又はスクロー
ルバーで示す。5.5.3参照)。
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頁2/3
図14−リストが続いていることの明示
5.8
表
表は,情報を区分して見やすく表示するのに適している。表の形に情報を編成することについての推奨
事項は,表情報の適切な形式及び配置の仕方についての手引を与える。
5.8.1
リストの表形式編成(図 15参照)
情報を表の形で編成する場合は,ユーザーの期待に反しない限り,ユーザーにとって最も関心が高い,
又は優先するべき事柄ほど左方の列に,それより重要度の低い関連事項を右方の列に表示することが望ま
しい。
この推奨事項は,左横書きをする言語に対して当てはまる。
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図15−リストの表形式編成例
5.8.2
紙文書形式との一貫性
紙文書を使用する仕事の場合,情報の表示書式と紙文書の書式とは,可能な限り互いに整合するよう設
計することが望ましい。データ入力を行う仕事の場合については,JIS Z 8527を参照する。
5.8.3
列及び行見出しの常時表示
列及び行見出しをもつ表が,表示領域を超えて続く場合,列及び行の見出しは,常に見えていることが
望ましい。
5.8.4
見やすさへの配慮
見やすくするために,リスト表示の工夫をすることが望ましい。例えば,ほぼ5行ごとに空行を入れる
(図16参照)。見やすくする又は表の領域を示すために,色又は線を用いてもよい。
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図16−空行を入れて見やすくした例
5.8.5
列の間隔
表の列は,列としてはっきり見えるようにするのがよい。列としてはっきり見えるようにする手法には,
各列の左方に3〜5文字分の空白を置く,列間に線を引く,色分けをするなどがある。
5.9
見出し
見出しを用いて,表示している情報項目が何であるかを示す。見出しの付け方についての推奨事項は,
情報を見分けやすく表示するための,及び見出し語の付け方に関する手引を与える。
5.9.1
画面要素の見出し
各画面要素(例えば,フィールド,項目,アイコン及びグラフ)には,その意味が自明で,想定してい
るユーザーが明確に理解できる場合を除いて,見出しを付けることが望ましい。アイコンの見出しについ
ては,JIS Z 8524の8.4.1参照。
アイコンに見出しを付けることが実用上困難であれば(例えば,表示の余地がない。),オブジェクトの
識別をシステム側から自動的に与える方法(例えば,“tool tip”,“quick info”,“balloon help”)を,代替手
段として検討してもよい。
5.9.2
見出し語の付け方
見出しは,対象となる情報項目の用途及び内容を説明するものがよい。
5.9.3
見出しの構文
見出しは,構文的に一貫している(例えば,“名詞−動詞”の組合せを一貫して用いる。)のがよい。
5.9.4
見出しの位置
見出しは,対象とする情報項目に隣り合った場所に,一貫して置くのがよい。
例1 あるアプリケーションでは,フィールドの見出しはすべてそのフィールドの左に置いている。
例2 あるアプリケーションでは,アイコンの見出しはすべてそのアイコンの下に付けている。
例3 あるアプリケーションでは,ラジオボタンの見出しはすべてその右に付けている。
5.9.5
見出しと関連情報との見分けやすさ
見出しとその見出しが説明しようとする情報(例えば,入力フィールド,項目,アイコン及びグラフ)
とが,見分けが付きやすいことが望ましい。
例 あるアプリケーションでは,見出しと見出しの対象との間に空白を置いて,区別を付けている。
5.9.6
見出しの書式及び整列法
見出し及びその対象となるフィールドは,書式(例えば,字体,大きさ及び字形)及び整列法(右寄せ
又は左寄せ)を一貫したものにすることが望ましい(整列法に関しては,JIS Z 8527の5.2.7及び5.2.8参
照)。
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5.9.7
単位表示見出し
想定しているユーザーにとって単位が自明でない限り,表示情報の単位は,見出し中に含めるか,又は
読取り専用フィールド若しくは入力フィールドの右側に置くのがよい。
例1 距離 (km):1.5
例2 距離:1.5 (km)
5.10 フィールド
この推奨事項では,フィールドの形に情報を編成する場合の手引を与える。推奨事項は,フィールドの
長さ,フィールドの書式,項目の置き方,入力フィールドと読取り専用フィールドとの区別について扱う。
書式記入対話の中での入力フィールドについては,JIS Z 8527の5.3で更に規定している。
5.10.1 種類の異なるフィールドの区別
入力フィールドと読取り専用フィールドとの区別が付きやすいことが望ましい(例えば,見出し,書式,
形状,色など)。作業上必要であれば,ユーザーが入力したデータは,システムが入力フィールドに自動的
に生成挿入したデータ(例えば,既定値)と区別しやすいことが望ましい。
5.10.2 長い情報項目の分割
長い情報項目は,入力及び表示で一貫して用いている文字グループに分けて表示するのがよい。
例1 10けたの電話番号を,10 00 33 45 35又は100 033 4535のように表す。
既存の慣習又はユーザーの期待に反しない限り,空白文字を区切り記号として用いるのがよい。
例2 6けたの銀行コードを,339 456のように表す。
慣習上そうしていない限り,文字と数字とを一つの区分中に混在させないのがよい。
5.10.3 入力フィールドの書式
データ入力フィールドに特定の書式をもたせる必要があれば,自明でない限りは,この書式を明示する
(催促情報又はフィールドのヘルプとして)ことが望ましい(図17参照)。
この推奨事項は,フィールドの書式に慣れていないユーザーに対して特に意味をもつ。
日付:yyyy-mm-dd
日付:yyyy-mm-dd
図17−書式表示の例
5.10.4 入力フィールドの長さ
スクロールしない固定長の入力フィールドの長さは,図18に示すように明示することが望ましい。
参照番号:_____
参照番号:_____
図18−入力フィールドの長さ表示の例
6
図形オブジェクト
6.1
図形オブジェクトについての全般的推奨事項
6.1.1
図形オブジェクトの状態の明示
図形オブジェクトの状態の違いを,何らかの符号化手法を用いて表示することが望ましい。
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例1 ウインドウ境界枠の模様を変えて,アクティブなウインドウとその他のウインドウとの見分け
を付ける。
例2 押しボタンの影の付け方を変えて,押された状態と押されていない状態との見分けを付ける。
6.1.2
同種のオブジェクト間の区別
同一の図形表現(アイコン)を,幾つかの同種のオブジェクトに用いる場合,文字見出しによって各図
形表現それぞれを識別できるようにすることが望ましい。
例 プリンタのアイコンにそれぞれ異なる名称を付けて,3台のプリンタを区別する。
6.2
カーソル及びポインタ
ここでの推奨事項は,カーソル及びポインタの使い方についての手引を与える。ポインタの外観,形状
などについては,ISO/IEC 11581-3参照。
6.2.1
カーソル及びポインタ位置の明示
カーソル及びポインタは,目立つ特徴(例えば,形状,点滅,色及び輝度)によって,その位置を明確
に指し示すことが望ましい。
6.2.2
カーソルによる文字視認の妨げ
カーソルの位置にある文字を,カーソルが見えにくくしないことが望ましい。
6.2.3
カーソル及びポインタの位置
カーソル又はポインタは,ユーザーがその位置を変更しようとしない限り,同一の位置に静止している
ことが望ましい。
注記 ある種の仕事では,カーソルを次の段階の作業に適した位置に自動的に置くと効率がよい場合
がある。
6.2.4
カーソルの“基準”位置
カーソルを戻す基準位置をあらかじめ決めることができる場合は,どの入出力領域にもその同じ基準位
置をもたせるのがよい。
6.2.5
入力フィールドでのカーソルの開始位置
入力フィールドを最初に表示するときには,ユーザーが遂行中の仕事及びユーザーの期待に最も適した
位置に,カーソルを自動的に置くのがよい。カーソルがどこにあるかがユーザーにとって明確にするのが
よい。
注記 他により適切な入力欄がなければ,普通,左上端の入力欄をカーソルの既定位置にとる。
6.2.6
位置指定の正確さ
図形を扱う操作のように,正確な位置決めが求められる場合,指示点を明確に示す特徴(例えば,十字
線又はV字形記号)をポインタにもたせて表示することが望ましい。
6.2.7
カーソル及びポインタの区別
機能の異なる(例えば,文字入力,直接操作)カーソル及びポインタは,違いが見て分かるものである
ことが望ましい(図19参照)。
19
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図19−上:文字入力用カーソルの例
下:直接操作用のポインタの例
6.2.8
アクティブなカーソル及び/又はポインタ
複数のカーソル及び/又はポインタを同時に表示する場合(例えば,コンピュータ支援による協同作業),
そのときに有効なカーソル・ポインタを,有効でないものと見分けが付くように表示することが望ましい。
6.2.9
複数のカーソル及び/又はポインタ
影響しあう複数のユーザー又は作業員が同時に同じ表示情報を使う場合,各ユーザーの扱うカーソル及
び/又はポインタをはっきりと見分けが付くようにすることが望ましい。
7
符号化手法
符号の構成又は符号化の規則は,想定しているユーザーを常に念頭に置いて,ユーザーの仕事及び期待
に適しているように設計することが望ましい。付加的な符号が必要な場合,ユーザーによる確認を受ける
ことが望ましい。概して,符号構成の規則をユーザーに説明するのがよい。
符号を用いることによって,設計者は,情報を文字及び/又は図形を用いる場合の短縮形(又は略記形)
で表現できるので,それは,視覚表示面上の乱雑さ[整とん(頓)のなさ,間隔取りのまずさ,不必要な
情報の表示]を改善する助けとなる。符号の利用は,また,情報入力の速度を高め,誤りを減らすことで
ユーザーの作業成績を向上させることにもつながる。符号化の仕方がまずいと,ユーザーとシステムとの
対話は遅くなり,誤りやすくなる。
7.1
符号についての全般的推奨事項
ここで推奨事項は,情報をどのように符号化して表現するかについての手引を与える。どんな種類の符
号を使用するかは,想定するユーザー,ユーザーの仕事,及び/又はアプリケーションとの関係で決める
のがよい。符号の適切さは,想定ユーザーの技能水準を初めとする多くの要因によって異なる。
7.1.1
符号の見分けやすさ
用いる符号は,お互いに見分けやすいものがよい。
例 あるアプリケーションでは,どの符号にも共通する余分な部分を削って,符号同士を見分けやす
くしている(A13404,A13402とせず,に,A-04,A-02とする。)。
7.1.2
符号化方式の一貫性
符号には,一貫して同じ意味,又は同じ機能をもたせて使用するのがよい。
注記 一人のユーザーが幾つかのアプリケーションを使用する場合,どのアプリケーションでも同じ
意味又は同じ働きをもたせた符号を一貫して使用すると,作業成績の向上に役立つ。
7.1.3
符号の意味の分かりやすさ
参照番号: _ _ _ _ _
20
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符合には,できる限り分かりやすい意味もたせるのが望ましい。符号表現した情報とその意図した意味
との間で明確な連想が成立するときに,符号の分かりやすさは向上する。記憶符号は意味が分かりやすい
ので,任意に付けた符号を使うよりも記憶符合を用いるのがよい。符号の意味が分かりやすいと,作業成
績は,速く正確なものとなる。
UN
-United Nations
-Copyright
C
UN
-United Nations
-Copyright
CC
図20−意味の分かりやすい符号
7.1.4
符号の説明の得やすさ
符号の意味がユーザーにとって自明でない場合,符号の意味についての説明を得やすくするのがよい。
7.1.5
規格又は慣習的な意味の利用
符号の割り当ては,確立した規格又は想定したユーザー集団が,慣習的に用いる意味に従っているのが
よい(例えば,郵便番号)。
例1 米国では,下がったスイッチは“Off”の意味をもつ。
英国では,上がったスイッチは“Off”の意味をもつ。
例2 横方向のスライダでは,右端を最大値としている。
7.1.6
符号化の規則
具体的に符号を決める上での規則を確立することが望ましい。この規則を一貫して,あいまいさのない
ように適用するのがよい。
7.1.7
情報がないことを表す符号の積極的利用
ユーザーの仕事において,情報のないことが意味をもつならば,その情報を表す符合を表示しないより
も,情報がないことを示す何らかの符号を使用するのがよい。
例 ネットワークとの接続が切れたとき,ネットワーク接続を表現するアイコンを画面から消すので
はなく,その上に“×”印を付けて表示しておく。
7.2
英数字符号化
推奨事項7.2.1〜7.2.3は,情報の英数字を用いた符号化についての手引を与える。
7.2.1
文字列の長さ
英数字列は,なるべく6文字以下で,短い方がよい(分かりやすく,一意性があり,更に補助的な符号
を追加する余地をもったものがよい。)。
注記 短さ,分かりやすさなどの要因間で,折り合いを付けることは避けられない(例えば,文字数
を最小限にとどめようとすると,補助的な符号を追加する余地はなくなる。)。
7.2.2
英字符号・数字符号
想定したユーザーのある仕事で数字符号の方が分かりやすいことが明確でない限り,一般に数字符号よ
りも英字符号を用いる方がよい。
例 http://123.45.78.112ではなく,http://www.iso.ch/を用いる。
7.2.3
大文字の使用
英字符号を入力に使用するときは,ユーザーの期待に反しない限り,大文字と小文字とを区別しないこ
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
とが望ましい。
7.3
英数字符号の略記
略記に関する推奨事項7.3.1〜7.3.5は,入力する情報に主に適用する。各推奨事項は,情報を簡潔に短縮
表現するための,及び混同を避けるための手引を与える(JIS Z 8525の6.2参照)。
7.3.1
略記の長さ
略記は,できるだけ短いものがよい。長さは,略記しようとする語の数及びそれらの類似性によって決
まる。
7.3.2
不ぞろいな長さの略記
同一の長さの略記符号のうち,ある略記符号を更に短くしても混同を生じるおそれがなければ,必要打
けん(鍵)数を減らせるように,略記符号の短縮を許すことが望ましい。
7.3.3
切り詰め
混同を生じない場合は,切り詰めによる符号化を検討する。
例 コマンドの先頭3文字を使う(例えば,abbreviationをabbと略記する。)。
7.3.4
符号化規則の例外
略記符号が,情報の符号化に用いた規則から外れる場合(例えば,同一語,誤解を生じやすい符号),そ
の例外を最小限にとどめるのがよい。規則に外れる略記が,10 %を超える場合,情報符号化の規則を変更
することが望ましい。
7.3.5
慣習上の及び仕事と結びついた略記
ユーザーの期待に合わせるため,必要な場合,慣習的な及び仕事と結びついた略記を用いるのがよい。
7.4
図による符号化
この箇条の図による符号化に関する推奨事項7.4.1〜7.4.6は,記号の設計の仕方及び図による符号化の有
効性を高めるための手引を与える。
7.4.1
図形符号の段階数
段階又は等級を図形で符号化する場合,表現しようとする段階の数は最小限にとどめるのがよい。
例 大きさによる符号化は3段階までとする。
7.4.2
アイコンの作り方
アイコンは分かりやすく,かつ,見分けやすいように作ることが望ましい。表しているものが容易に,
かつ,明確に理解できることが望ましい。
注記 ISO 11581-1は,アイコンの作り方を扱っている。アイコンの例は,ISO 11581-2を参照。
7.4.3
三次元符号化
情報の種類の違いをユーザーが見分けやすいように,奥行きを感じるような三次元図形手法を用いるこ
とを検討するのがよい。
7.4.4
幾何図形
グラフィックディスプレイ上の情報の種類の違いを,ユーザーが見分けやすいように,幾何図形による
符号化を検討するのがよい。
表示する情報の種類ごとに,独特な見分けやすい幾何図形を用いるのがよい。表示する情報の種類は,
最小限にとどめるのがよい。
7.4.5
線分による符号化
線分の外観を用いて符号化する場合,線形状の種類(例えば,実線,破線,点線)及び線幅(太さ)は,
はっきりと区別できることが望ましい。
注記 線分による符号化は,例えば,地図及びグラフで使われる。線の形状と幅とを組み合せた場合,
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
8種類程度は区別できる。
7.4.6
線の向き(図21参照)
方角又は数値を表すのに線の向きを用いる場合には,方角又は数値が正確に識別できるように,関係付
けのワクとなる情報を添えることが望ましい。
300 km/h
0 km/h
300 km/h
0 km/h
図21−線の向きを見分けやすくする枠組み情報の例
7.5
色彩符号化
色による符号化に関する推奨事項7.5.1〜7.5.10では,色を用いた画面設計及び色の使い方に関する手引
を与える。この箇条では,色の使い方を扱い,JIS Z 8518では,主として色の見え方に影響する要因を扱
う。
7.5.1
補助的な色彩符号
幾つかの特定の色が区別しにくい人,又は全く色に基づく区別のできない人がいるので,色を符号化の
唯一の手段として用いないことが望ましい。色は,補助的な符号として用いるのに適している。色は,そ
の他の符号化手法と組み合わせて,重複して使用するのがよい。
7.5.2
色使いの意図の明示
色の見境いのない使用は,画面を乱雑にし,画面上の色による他の符号化の有効性を低下させるおそれ
があるため,避けた方がよい(JIS Z 8518の箇条6参照)。
7.5.3
情報分類の補足説明
色を主要な符号として用いる場合,各色は,一つの種類の情報だけを表現するのがよい。もし,同じ色
を複数の種類の情報を表すのに用いた場合には,想定した意味をユーザーが理解しにくくなる場合がある。
例 特別なシステムでは,危険な状況を示すメッセージすべてを一つの範ちゅうとして扱っているも
のがある。それらのメッセージでは,すべて背景色として赤を用いている。
7.5.4
色の慣習的使用
なじみのある色を用いる符号化の方式を採用することが望ましく,その場合,全体の関連を考慮に入れ
る必要がある(例えば,赤=警告,黄=注意,緑=順調又は稼動中)。色使いは,仕事上の慣例及び文化的
慣習と両立していることが望ましい。
7.5.5
使用する色数
色彩符号化を使用する場合,用いる色は,ユーザーが確実に見分けることができるものがよい。白,黒
の他に最大6色までが,適切な色数である(JIS Z 8518の箇条6参照)。この最大数は,同じ画面上のイメ
ージ及び図形表示に使われる色は含まない。
7.5.6
彩度の高い青
暗い背景上に文字及び記号を表示する場合,彩度の高い青を避けることが望ましい(面積が小さく彩度
の高い青は,背景と区別しにくく,目の焦点を合わせにくい場合が多い。)(JIS Z 8518の6.7参照)。
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7.5.7
単色の装置上で用いる色の選択
情報をカラーVDT及び単色VDTの両方で表示する場合,単色VDTに表示した場合でも情報が見分けら
れるような輝度をもつ色を選ぶことが望ましい。
7.5.8
色による立体視
赤,青などの可視波長領域の両端近くにある彩度の高い色は,予期しない奥行き知覚を生じたり,目の
調節を過度に必要とするため,文字を読み取る作業においては,文字の近くに置いたり,背景色として用
いないことが望ましい(JIS Z 8518の6.7参照)。
7.5.9
前景色
無地の背景(すなわち,白,灰及び黒,JIS Z 8518の3.1参照)上で使う前景色として,ユーザーが前
景色と背景色とを見分けやすいように,1976 CIE UCS色度図上で背景色と離れた位置にある色を選ぶのが
よい。
例 明るい黄を青と組み合せて使う。
7.5.10 背景色
高い彩度の色及び明るい白は,背景色としては避けるのがよい。
注記 適切な背景色は,例えば明るい灰。
7.6
標識
この箇条中の標識を用いた英数字情報の強調表示に関する推奨事項7.6.1〜7.6.4は,標識として利用する
特殊記号の選び方及び置き方についての手引を与える。
7.6.1
特殊記号の標識としての利用
特定の英数字項目に対して注意を向ける手段として,標識(例えば,*印)を検討してみるとよい(図
22参照)。
注記 標識は,永続的な選択を表すためにも使われる。
地域
都道府県
市区
北海道
北海道
*札幌市
北海道
函館市
関東
東京都
*世田谷区
群馬県
高崎市
神奈川県
*横浜市
東海
静岡県
静岡市
九州
鹿児島県
国分市
*印は重点化地域
図22−標識使用の例
7.6.2
選択されていることを表す標識
単一選択と複数選択とで異なる標識を使用するのがよい。
7.6.3
標識記号の独特で一貫性のある使い方
標識の使い方は一貫していることが望ましい。標識として用いる記号は,標識以外の他の目的に使用し
ないこと,及び他の標識との混同が生じかねない状況下では,使用しないことが望ましい。
7.6.4
標識を付ける位置(図23参照)
標識を付ける位置は,対象となる項目の近くがよい。しかし,標識は,表示項目の一部であるかのよう
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に見えない方がよい。ユーザーが両者を明確に識別できるように,標識とその標識を付ける項目とを設計
し,配置するのがよい。
ゴシック
明朝
等幅ゴシック
等幅明朝
行書体
ポップ体
6ポイント
9ポイント
12ポイント
16ポイント
24ポイント
ゴシック
明朝
等幅ゴシック
等幅明朝
行書体
ポップ体
6ポイント
9ポイント
12ポイント
16ポイント
24ポイント
図23−標識を付ける位置
7.7
その他の符号化手法
その他の符号化手法に関する推奨事項では,情報の提示に採用できる幾つかの符号化手法について規定
する。
7.7.1
点滅による符号化
符号としての点滅は,表示する項目にユーザーの注意を向けることが仕事上重要である場合に,適用を
検討するとよい。点滅するカーソルを使用する場合は,同時に使用する点滅符号は,一つだけとするのが
よい。点滅させる速さについては,JIS Z 8513の5.22参照。
7.7.2
点滅による強調表示
点滅によって強調表示を行うとしていて,項目の読み取りが重視される場合,強調表示には,点滅によ
る弊害を緩和する他の方法を検討するのがよい。
注記 点滅する項目は,読みにくく,多用すると疲労のもととなる。
例 項目をある記号で標識付けし,項目ではなく標識の方を点滅させる。この手法によれば,視認性
を損なわずに注意を引くことができる。
7.7.3
大きさによる符号化
大きさによる符号化,すなわち,表示文字又は記号の大きさ(高さ及び幅)を変えることによる符号化
手法は,表示画面の密度が低い場合にだけ検討するのがよい。
注記 2,3種の大きさの違いであれば,通常,情報分類のためにはすぐに見分けが付きやすい。
7.7.4
輝度による符号化
輝度による符号化は,二種類の表示項目を見分ける必要があるアプリケーションに対してだけ使用する
ことが望ましい(すなわち,明るさを高輝度及び通常輝度の二値符号として扱う。)(JIS Z 8513の5.21参
照)。
7.7.5
明暗反転
明暗反転を使用する場合には,ユーザーの注意をひく必要のある項目に対して使用するのがよい。明暗
反転は,常に一貫した目的で使用するのがよい(JIS Z 8513の5.19参照)。
7.7.6
下線
下線を付ける場合には,項目の強調及び/又は明示用とするのがよい。項目の視認性を低下させないよ
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うな下線付けが望ましい。
7.7.7
図中領域の符号化 (coding of areas)
もし,図中において領域の区別が必要な場合,対象領域を色分けするのではなく,他の符号化法(ハッ
チング,濃淡,網掛けなど)を用いて塗りつぶすことを検討するとよい。色と模様とを組み合わせた冗長
な符号化も,検討するのがよい。
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附属書A
(参考)
適用可能性及び適合を査定する手順例
序文
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
A.1 一般
この附属書は,この規格中の適用可能な推奨事項が,満たされているかを決める手順の例を示す。記載
してある手順は,手引として提供するものであり,この規格そのものの代用として使用すべき厳密な手順
ではないことを留意することが望ましい。この手順は,二つの段階からなる。
1) どの推奨事項が該当するかを判定する。
2) 該当する推奨事項へ適合しているかを判定する。
インタフェースの設計は,仕事,ユーザー,環境及び利用可能な技術に依存する。したがって,この規
格は,インタフェースの設計及び利用の状況の知識なしには適用不可能であって,全部をそのまま当ては
める規範的規則群として使うように意図したものではない。それよりも,設計者が,仕事の内容,及びユ
ーザーの要求事項についての適切な知識をもち,技術の使い方を理解していることを前提としている(こ
れには,必要に応じて資格をもつ人間工学専門家との相談又は,実際のユーザーで実験する場合もある。)
評価手順は,代表的ユーザーの分析,その代表的及び重要な仕事の分析,並びに代表的利用環境の分析
に基づくことが望ましい。評価は,一般に次の二つの場合に分けられる。
a) どんなユーザーがどんな仕事で用いるかが分かっている場合,代表的な利用環境で,かつ,代表的な
及び重要な仕事を行っている状況下で,評価者が製品を評価する又は製品の典型的ユーザーを観察す
る。
b) どんなユーザーがどんな仕事で用いるかが具体的に分からない場合,評価対象となる製品中の情報の
提示について,状況を限定せずすべての観点から,評価者が評価する。
評価対象となっている製品が,ある推奨事項を満たしているかどうかの判定は,上記の評価の中で情報
の提示を扱った状況に基づくのがよい。この規格中の推奨事項を満たすもの以上に優れたものであること
を示すことのできる情報提示のあり方も,この規格の推奨事項を満たすものとして受け入れる。
この規格を使用する場合,次の項目を列挙して,対象とする情報の提示が,推奨事項を満たしているか
を示してもよい。
− 適用可能かを判定するのに用いた方法(A.3に記載),
− 適合しているかを判定するのに用いた方法(A.5に記載),
− その結果。
A.2 適用可能性
推奨事項の適用可能性は,次の二つの要因に基づく。
a) 条件部分が含まれていれば,その条件部分の条文が成立するかどうか。条件部分の条文が成立すると
きにはその推奨事項を適用し,成立しないときにはその推奨事項を適用しない。
b) 設計環境 ユーザー集団が未知である,仕事に差異がある,オフィスに騒音が多い,画面の解像度が
異なる,ポインティングデバイスが用意されていないなどの,ユーザー,仕事,環境及び技術上の制
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
約で,ある推奨事項が必ずしも適用できるとは限らない場合がある。しかし,設計環境が,ある推奨
事項で言及しているユーザー特性,仕事,又は技術上の特徴に該当すれば,その推奨事項は,適用可
能とする。
ある推奨事項が,適用可能であるかを決める上で利用できる方法には,次のものがある。
− システム資料の分析
− 資料的論拠
− 観察
− 分析的評価
− 経験的評価
A.3では,適用可能性の判定手法について詳しく記載する。
A.3 適用可能性の判定手法
A.3.1 システム資料の分析
システム資料の分析とは,情報の提示について全般的又は具体的に記述する文書の分析を指す。それら
には,システム及びユーザー要求事項を含んだ設計資料,操作説明書,ユーザーの手引などが含まれる。
A.3.2 資料的論拠
資料的論拠とは,仕事の要求事項若しくは特性,作業の流れ,ユーザーの技能・適性・習慣又は癖,類
似システムの設計からの試験データなど,資料化された関連する情報すべてを指す。このような情報は,
ある推奨事項が適用可能かどうかの判定に役立つ情報として使えることもある。
A.3.3 観察
観察とは,ある観察可能な特徴をもつかについて,情報の提示を検討又は点検することを意味する。観
察は,情報の提示を系統立てて調べ,ある条件付き推奨事項の適用可能性に関連する特徴をもつかを判定
するのに必要な技能をもっていれば,だれにでも可能である。もともと自明であり,観察結果は,別の人
間によって直ちに確認できる。
A.3.4 分析的評価
分析的評価とは,適切な専門家による情報の提示についての“有識者的”判断のことである。この方法
は,一般に,他の情報及び知識の文脈の下でだけ判断できるような特徴の評価に使われる。他にも,分析
的評価は,システムが設計文書の形でだけ存在したり,経験的評価に適したユーザー母集団が得られなか
ったり,時間及び資源に限りがある場合に適切であろう。分析的評価は,ある推奨事項が適用可能かどう
かを決定するのに使うことができる。
分析的評価は,情報の提示に関連する特徴を判断できる技能及び経験をもつ適切な資格者ならだれでも
行うことができる。それらの特徴が人間工学的原理の適用にかかわる場合は,専門家はソフトウエアでの
人間工学の問題を扱うことに通じている必要がある。特徴が,作業環境,システム特性及びその他の設計
の側面にかかわる場合は,判定者は,その関連領域の専門家である必要がある。
A.3.5 経験的評価
経験的評価とは,代表的な最終ユーザーを用いた推奨事項の適用可能性を判定するための試験手続の適
用を指す。この方法は,プロトタイプ又は実システムが利用でき,予想される又は実際のユーザー層を代
表するユーザーが参加できる場合に最適である。多種の試験手続を使用できるが,どの場合でも,被験者
は,ユーザーの母集団を代表するもので,結果をユーザーの母集団全体に一般化できるほど十分な人数と
する必要がある。
経験的評価は,試験方法とその評価方法に関する適切な技能をもつ者が実施すべきであることを留意す
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るのがよい。
A.4 適合性
ある推奨事項が,A.2に記載した判定基準に基づき適用可能な場合,次にその推奨事項が満たされてい
るか否かを判定する必要がある。適合性は,次に挙げる幾つかの方法を用いて決定する。
注記 各推奨事項について適合性を決める上で適した方法は,表A.1のチェックリスト中に推奨事項
ごとに掲げてある。
a) 測定
b) 観察
c) 資料的論拠
d) 分析的評価
e) 経験的評価
適用可能性の判定結果は,しばしば適合性を判定する上で重要であることを注意しておく。A.5に種々
の適合性の判定手法について詳しく記載する。
A.5 適合性の判定手法
A.5.1 測定
測定とは,情報の提示に関する何らかの変量を測定すること,又は算出することを指す。このような特
性の例として,システム応答時間がある。適合性は,測定から得られた値を,推奨事項での値と比較する
ことで判定する。
A.5.2 観察
観察とは,ある観察可能な条件が満たされているかを確認するため,情報の提示を検討又は点検するこ
とを意味する。観察は,情報の提示を系統立てて調べ,観察可能な特徴についての条文に従っているかを
判定できる技能をもつ者であればだれでも可能である。観察された特徴と推奨事項とを比較して,適合性
を判定する。
A.5.3 資料的論拠
適合性を判定する場合の資料的論拠とは,条件付き推奨事項に対して,情報の提示が適合しているかに
関連した資料化された情報すべてを指す。そのような情報には,ユーザーの習慣又は癖,プロトタイプで
の試験データ,類似システムの設計からの試験データなどが含まれる。
A.5.4 分析的評価
A.3.4に記載したように分析的評価とは,情報の提示についての適切な専門家による“有識者的”判断の
ことである。この方法は,他の情報及び知識の文脈でだけ判断できるような特徴の評価に用いる。他にも,
分析的評価は,システムが設計文書の形でだけ存在したり,経験的評価用にユーザー母集団が得られなか
ったり,時間及び資源に制約がある場合に,適合性を判定する適切な方法となる。
A.3.4に記載したように分析的評価は,情報の提示に関連する特徴を判断できる技能及び経験をもつ適切
な資格者ならだれでも行うことができる。適合性を判定する場合には,専門家は,設計案の適切さ及び使
いやすさを確実に判断するのに必要な,技能及び知識をももたねばならない。分析的評価は,設計の筋道
の正しさを検証できても設計結果の正当性を検証できないことを注意するとよい。結果の正当性は,経験
的評価を用いてだけ検証できる。
A.5.5 経験的評価
経験的評価とは,推奨事項の適合性を代表的なユーザーを用いて判定する試験手続である。A.3.5に記載
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したようにこの方法は,試作品又は実際のシステムが利用でき,予想される又は実際のユーザー層を代表
するユーザーが被験者として参加できる場合に最適である。多種の試験手続を使用できるが,どの場合で
も,被験者は,ユーザーの母集団を代表するもので,結果をユーザー母集団全体に向けて一般化できるほ
ど十分な人数とする必要がある。情報の提示を用いるユーザーの仕事の成績を分析して,条件付き推奨事
項に適合しているかを決めることができる。
通常,経験的評価では,そのテスト結果と情報の提示に関する推奨事項との比較によって適合性を判定
する。しかし,有効性の観点から,テスト結果を評価することも時々必要である。
図A.1−決定の手順(評価の状況)
A.6 手順
あるアプリケーションをこの規格中の推奨事項に照らして評価する場合に,図A.1の手順に従って行っ
てもよい。
ユーザー,
仕事,技術,
及び環境に
ついての
資料
適合しているかを検討する部分
次の要求事項へ
次の箇条へ
適合を検討する方法
を決め,記載する
決めた方法で適合を
判定する
適用可能と判断した方法を
記載する
成立しない理由と適用
しないこととを記載
適用できないと判
断した方法を記載
その理由を
記載する
可能
否
しない
否
含む
成立する
該当する
否
この箇条は
該当するか?
要求事項は適
用可能か?
要求事項は条
件部を含む?
条件は成立
するか?
適用可能性
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A.6.1 “もし−の場合”型の条件付き推奨事項
a) 適用可能性 条件付き推奨事項は,推奨事項の本文中に,又は箇条の標題部に,“もし−の場合”型の
条件をもつ。各条件付き推奨事項では,“もし−の場合”型の条件が成立するかを調べる方法として表
A.1“適用可能性”欄中に提案されている方法を用いて,“もし−の場合”型の推奨事項が適用できる
かどうかを決める。さらに,複数の条件付き推奨事項が該当する場合,そのうちどれを選択するかは,
提案されている方法によって決めるのがよい。
b) 適合性 a)によって適用すると決めたすべての推奨事項に対し,表A.1“適合”欄中に提案された方法
によって適合の検討を行う。
A.6.2 他の条件付き推奨事項
a) 適用可能性 “もし−の場合”型でない条件付き推奨事項は,一般にすべての情報の提示に当てはま
る。多くの推奨事項の箇条は,その箇条が当てはまる情報提示にだけ適用可能である。
注記 例えば,図形オブジェクトに関する推奨事項は,図形オブジェクトを表示する場合だけ適用
可能であり,図形オブジェクトを表示しない場合には適用可能ではない。
b) 適合性 a)で適用可能と判定された“もし−の場合”型でない推奨事項では,A.6.1 b)に記載したよう
な推奨事項への適合についての情報が必要である。推奨事項に従わないそれなりの理由がある場合,
その理由及び選択設計案は,この規格を使用する上で重要である。
上に記載した手順を適用する手助けとして,表A.1にチェックリストを記載する。
A.7 チェックリスト
表A.1のチェックリストは,この規格中の各条件付き推奨事項の適用可能性と適合とを決定する場合に,
情報の提示を扱う設計者と評価者との補助となるよう意図したものである。このチェックリストは,この
規格中のすべての推奨事項の縮約版を含み,適用可能性を決定する上での助けとなる論理的構造を提供す
る。条件付き推奨事項の多くは,複数の代替的解決案を認めている。チェックリストでは,そのような相
互依存性を,論理接続詞を表す“及び”,“又は”という語で記載している。この記載は,箇条中の条件付
き推奨事項についてだけ行い,箇条間の関係については記載しない(箇条には,その箇条に適用可能な度
合いに応じて固有の“及び”が付けられているとみなす。)。選択が互いに排他的でない場合には,“及び/
又は”を用いる。
A.7.1 チェックリストの説明
A.7.1.1 推奨事項の列
チェックリストの先頭列は,縮約版の条件付き推奨事項からなり,箇条ごとに分かれ,“及び”などの語
で結ばれている。各条件付き推奨事項には,箇条の番号が付けられているので,ユーザーは,容易に各条
件付き推奨事項の全文を本体の箇条で参照することができる。
A.7.1.2 適用可能性の列
チェックリストの適用可能性部分の先頭2列は,適用可能かどうかの結果を,“可”,“否”欄にチェック
マークで示し記録する。さらに,各条件付き推奨事項に対する適用可能性を調べるにはどの方法が適切か
を示し,設計者又は評価者が用いた方法にチェックマークを付ける列を提供する。ある推奨事項の適用可
能性を調べるのに適切ではない方法の欄に網掛けを施して,使いやすくしてある。
適用可能性を調べる方法の記号は,
S=システム文書の分析
D=資料的論拠
O=観察
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A=分析的評価
E=経験的評価
DM=その他の方法
他の方法を使用した場合(DMにマークした場合)は,その方法を注釈列に記載してもよい。用いた手
法列にマークを記入することは,このチェックリストでは任意とする。
A.7.1.3 適合の列
チェックリストの適合の部分は,各条件付き推奨事項に適合するか決定するのに,どの方法が適切かを
示し,設計者又は評価者が用いた方法にチェックマークを付ける列を提供する。推奨事項に該当しない方
法には網掛けを施して,使いやすくしてある。適合しているかどうかの検査結果が,肯定的な場合には“適”
列にチェック,否定的な場合には“否”列に印を付ける。
適合を調べる方法の記号は,
M=測定
O=観察
D=資料的論拠
A=分析的評価
E=経験的評価
DM=その他の方法
注記 この規格を用いる場合,チェックリストの本来の意図に外れない限り,附属書中のチェックリ
ストを自由に複製してよいし,記入完了したチェックリストを出版してもよい。
適用可能性と同様,他の方法を使用した場合(DMにマークした場合)は,その方法を注釈列に記述す
る。適用可能性で指摘したように,用いた手法列にマークを記入することは,このチェックリストでは任
意とする。
A.7.1.4 注釈
注釈列は,各条件付き推奨事項に関する付加的な意見及び注釈を記入する。また,別の方法を使用した
場合(DMにマークした場合),その方法の説明を記入する,査定時の情報(専門家の名前,資料的論拠の
表題など)を示すなどに使ってもよい。適切な方法が複数該当する状況の場合,どの方法をどんな理由で
採用したかを注釈列で説明するとよい。この説明には,情報の提示の推奨事項,及び該当する対話の原則
と関連付けて採用理由を述べるとよい。
A.7.2 要約データ
このチェックリストの利用の仕方として,評価結果を適合指数(AR:Adherence Rating)値で要約してもよ
い。ARは,適用可能な推奨事項のうちの,適合している項目の割合である(すなわち,“適”欄のチェッ
ク数を“可”欄のチェック数で除したもの)。AR値だけでなく,その他のデータ(すなわち,“適”の数
及び“可”の数)をも報告することを強く推奨する。しかし,AR値は,計数値に基づく算術的な結果に
過ぎず,各項の重み(それ自体での,及び利用の状況下での)を考慮しなければ,適用可能な推奨事項が,
どれほど適合しているかの信頼すべき測定値とはなり得ないことに注意するとよい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.1−適用性及び適合のチェックリスト
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
5
情報の組織化
5.3
ウインドウに関する推奨事項
5.3.1
複数ウインドウの使用
多種の情報源の情報を扱う場合,複
数のウインドウ,又は複数の入出力
領域をもつ単一ウインドウを用い
る。
5.3.2
ウインドウ固有の識別名
各ウインドウに独特なウインドウ
名称を与える(例えば,扱うファイ
ル名,アプリケーション名)。
5.3.3
ウインドウパラメタの既定値
作業する上での操作量を減らせる
ようなウインドウの大きさ及び位
置。
5.3.4
一貫したウインドウの外観
(アプリケーション内)
同種のウインドウには,一貫した外
観をもたせる。
5.3.5
一貫したウインドウの外観
(アプリケーション間)
同時に使う同種のウインドウには,
一貫した外観をもたせる。
5.3.6
ウインドウの主・派生関係の識別
主ウインドウ・派生ウインドウ間の
関係を見て分かるようにする。
5.3.7
ウインドウコントロールの識別
働きが異なる(例えば,閉じる,大
きさを変える)ウインドウの制御要
素は,互いに見分けやすいものと
し,一貫した位置に置く。
5.3.8
重なり形ウインドウ配置
次の場合に採用する。
ウインドウの大きさ,数,内容,並
べ方などが作業上限定されている。
及び/又は
表示寸法が小さい,解像度が低いな
どで,タイル形では適切な情報が与
えにくい。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
5.3.9
タイル形ウインドウ配置
次の場合に採用する。
ウインドウの大きさ,数,内容,並
べ方などが作業上限定されていな
い。
及び/又は
表示情報を絶えず目にする必要が
ある(重要情報,仕事に必すな情
報)。
及び/又は
重なり形ウインドウを表示処理す
る負担が大きく,システムの応答が
遅くなり,ユーザーの作業達成が妨
げられる。
5.3.10
ウインドウ配置の選択
仕事に適していれば,好みの配置形
式を選べるように。
5.4
表示領域
5.4.1
一貫した表示領域の位置
アプリケーション中の対話で使う
表示領域(識別,入力/出力,制御
及びメッセージ領域)の位置は,一
貫している。
5.4.2
表示情報の密度
表示する情報の密度は,乱雑と感じ
ない程度である。
5.5
入出力領域
5.5.1
必す(須)情報
ある仕事に必要な情報すべてを,可
能なら,入出力領域中に表示する,
それには:
a) 必すな情報を各作業段階に応じ
て区分する。 及び/又は
b) 作業の進行が容易で,分かりや
すいように情報を区分する。
及び/又は
c) 仕事の成績を低下させないよう
に,情報を区分する。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
5.5.2
スクロール及びページ換え
情報の量が,入出力領域の範囲を超
える場合は,見えていない部分をユ
ーザーが容易に見ることができる
手段(縦/横方向のページ換え,ス
クロール)を提供する。
5.5.3
表示情報の位置関係の識別
情報の量が,入出力領域の範囲を超
える場合は,今見えている情報は全
体のどの部分か,及びどれ位の割合
かを,情報の全体量との関連で明示
する(例えば,スクロールバー,ス
ライダ,又は“ページx/y”形表示。)。
5.6
グループ
5.6.1
グループの見分けやすさ
適切に間隔及び位置をとって,各グ
ループを見分けやすく表示する。
及び
必要なら,より見分けやすくする他
の手段を使用する(例えば,枠で囲
む。)。
5.6.2
作業順序
特定の作業順序がある場合は,その
作業順序に適した情報のグループ
化,配置をする。
5.6.3
慣例の使用
情報のグループは,普及した形式,
慣例,習慣(例えば,住所の表記)
に従うように配置する。
5.6.4
機能別のグループ化
特定の作業順序がない場合は,その
仕事に関連する情報は,意味的に関
連させた(ユーザーが意味をくみ取
りやすい)グループ化をする。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
5.6.5
視覚的に区別の明りょうなグループ
−“チャンク”
仕事を行う上で,目で素早く探す必
要がある場合は,グループの数は最
小限にとどめる。 及び
各グループは,視覚で5度の範囲に
収める。 及び
読みやすさを損なうので,文字寸法
を小さくすることは避ける。
5.7
リスト
5.7.1
リスト構造
リストは作業に適した合理的な又は
自然な順序で並べる。
5.7.2
項目間の分離
リストの項目又は項目群は,探しや
すいように,互いに見分けやすくす
る。
5.7.3
文字情報
文字情報のリスト形式表示は,言語
慣習に従う。例えば,リストを縦に
表示する場合,左横書きの言語では,
各項目は左寄せにする。
5.7.4
数値情報
小数点のない数値情報は,右寄せに
表示する。 及び
小数点があれば,小数点でそろえる。
5.7.5
固定フォントサイズ
数値リストでは,同一サイズの字体
を同一間隔で用いる。
5.7.6
リスト項目の番号付け
リストの項目に付ける番号は,ユー
ザーの期待に反しない限り,0ではな
く,1から始める。
5.7.7
項目番号の連続性
番号付き項目をもつリストが,入出
力領域の範囲を超えていて,見えて
ない部分を見るためページ換え/ス
クロールをする場合,項目の番号の
振り方は,初めの入出力領域での先
頭番号を基準とした続き番号とす
る。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
5.7.8
リストが続いていることの明示
リストが表示領域を超えて続く場
合,見えている他にも,更にリスト
が続いていることが分かるようにす
る。
5.8
表
5.8.1
リストの表形式編成
情報を表の形で編成する場合,ユー
ザーの期待に反しない限り,ユーザ
ーの関心の高い又は最優先するべき
ことがらほど左方の列に,より重要
度の低い関連事項をその右方の列に
表示する。
5.8.2
紙文書形式との一貫性
紙文書を使う作業では,情報の表示
書式と紙文書の書式とは,可能な限
り互いに整合するよう設計する。
5.8.3
列及び行見出しの常時表示
列及び行見出しをもつ表が,表示領
域を超えて続く場合,列及び行の見
出しが,常に見えているようにする。
5.8.4
見やすさへの配慮
見やすくするために,リスト表示の
工夫をする。
5.8.5
列の間隔
表の列は,はっきり列として見える
ようにする。
5.9
見出し
5.9.1
画面要素の見出し
各画面要素(フィールド,項目,ア
イコン,グラフなど)には,その意
味が自明で,ユーザーが明りょうに
理解できる場合以外は,見出しを付
ける。
5.9.2
見出し語の付け方
見出しは,対象となる情報項目の用
途及び内容を説明するものにする。
5.9.3
見出しの構文
見出しは,構文を一貫させる(“名詞
−動詞”構文を一貫して用いる。)。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
5.9.4
見出しの位置
見出しは,対象の情報項目に隣り合
った場所に一貫して置く。
5.9.5
見出しと関連情報との見分けやすさ
見出しとその見出しが説明しようと
する情報とが,見分けがつきやすい。
5.9.6
見出しの書式及び整列法
見出しとその対象の欄は,書式及び
整列法(右又は左寄せ)を一貫させ
る。
5.9.7
単位表示見出し
ユーザーにとって単位が自明でない
限り,表示情報の単位は,見出し中
に含める。 又は
読み取り専用フィールド又は入力フ
ィールドの右方側に置く。
5.10
フィールド
5.10.1 種類の異なるフィールドの区別
入力フィールドと読取り専用フィー
ルドとの区別を付けやすくする(例
えば,見出し,書式,形状,色など)。
及び
作業上必要なら,ユーザーの入力し
たデータと,システムが自動的に生
成挿入したデータ(例えば,既定値)
とを見分けやすくする。
5.10.2 長い情報項目の分割
a) 長い情報項目は,入力及び表示に
常用しているある文字数に分けて表
示する。 及び
b) 既存の慣習又はユーザーの期待
に反しない限りは,空白文字を区切
り記号として用いる。 及び
c) 慣習に反しなければ,文字と数字
とを一つの区分中に混在させない。
5.10.3 入力フィールドの書式
データ入力欄に特定の書式がある場
合,自明でない限り,この書式を明
示する。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
5.10.4 入力フィールドの長さ
スクロールしない固定長の入力欄の
長さを明示する。
6
図形オブジェクト
6.1
全般的推奨事項
6.1.1
図形オブジェクトの状態の明示
図形オブジェクトの状態を,符号化
の手法を用いて明示する。
6.1.2
同種のオブジェクト間の区別
同種の幾つかのオブジェクトを表す
同じアイコンを,文字見出しで識別
できるようにする。
6.2
カーソル及びポインタ
6.2.1
カーソル及びポインタ位置の明示
カーソル及びポインタは,目立つ特
徴(例えば,形状,点滅,色,輝度)
によって,その位置を明確に指し示
す。
6.2.2
カーソルによる文字視認の妨げ
カーソルの位置にある文字を,カー
ソルが見えにくくしない。
6.2.3
カーソル及びポインタの位置
カーソル又はポインタは,ユーザー
が変えない限り同じ場所にとどめ
る。
6.2.4
カーソルの“基準”位置
カーソルの基準位置を規定できる場
合,どの入出力領域にもその同じ基
準位置をもたせる。
6.2.5
入力フィールドでのカーソルの開始
位置
入力欄を最初に表示するとき,ユー
ザーの仕事及びユーザーの期待に最
も適した位置に,カーソルを自動的
に置く。 及び
カーソルがどこにあるかをユーザー
に明らかにする。
6.2.6
位置指定の正確さ
図形操作などの正確な位置決めが必
要な場合,指示点を明示する特徴(十
字線など)をポインタにもたせる。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
6.2.7
カーソル及びポインタの区別
働きが異なる(例えば,文字入力,直接
操作)カーソル及びポインタは,見て違
いが分かるものにする。
6.2.8
アクティブなカーソル及び/又はポ
インタ
複数のカーソル又はポインタを表示
する場合(例えば,コンピュータ支援
による協同作業),有効なカーソル・
ポインタと,有効でないものとの見
分けが付くように表示する。
6.2.9
複数カーソル及び/又はポインタ
同時に影響しあう複数のユーザーが
同じ表示情報を使う場合,各ユーザ
ーのカーソル及び/又はポインタを
見分けが付くようにする。
7
符号化手法
7.1
全般的推奨事項
7.1.1
符号の見分けやすさ
互いに見分けやすい符号を用いる。
7.1.2
符号化方式の一貫性
符号には一貫して同じ意味,同じ機
能をもたせて使用する。
7.1.3
符号の意味の分かりやすさ
符合には,できる限り分かりやすい
意味をもたせる。 及び
記憶符号を用いる。
7.1.4
符号の説明の得やすさ
符号の意味が自明でない場合,符号
の意味の説明を得やすくする。
7.1.5
規格又は慣習的な意味の利用
確立した規格又は想定したユーザー
が,慣習的に用いる意味に従って符
号を割り当てる。
7.1.6
符号化の規則
具体的な符号を決める上での情報符
号化の規則を設ける。 及び
規則を一貫して,あいまいさがない
ように適用する。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
7.1.7
符号の除去
ユーザーの仕事で,情報がないこと
に意味があるならば,その情報を表
す符合を消すよりも,情報がないこ
とを示す何らかの符号を使用する。
7.2
英数字符号化
7.2.1
文字列の長さ
英数字列は,なるべく6文字以下で
短い方がよい(分かりやすく,一意
性があり,更に補助的な符号を追加
する余地をもつものがよい。)。
7.2.2
英字符号・数字符号
ユーザーの仕事で,数字符号の方が
分かりやすいことが確実でない限
り,数字符号よりも英字符号を用い
る。
7.2.3
大文字の使用
英字符号を入力に使用するときは,
ユーザーの期待に反しない限り,大
文字と小文字とを区別しない。
7.3
英数字符号の略記
7.3.1
略記の長さ
略記はできるだけ短いものがよい。
7.3.2
不ぞろいな長さの略記
等長の略記符号のあるものを更に短
くしても混同がなければ,打けん
(鍵)数を減らせるように短縮して
扱えるようにする。
7.3.3
切り詰め
混同を生じなければ,切り詰めによ
る符号化を検討する。
7.3.4
符号化規則の例外
略記符号が略記規則から外れる場合
(同一語,誤解を生じやすい符号),
その例外を最小限にとどめる。及び
例外となる略記は,10 %以内に。
7.3.5
慣習上の及び仕事と結びついた略記
ユーザーの期待に応じるなら,慣習
上の及び/又は仕事と結びついた略
記を用いる。
7.4
図による符号化
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
7.4.1
図形符号の段階数
見分ける必要のある図形符号の段階
数は,最小限にとどめる。
7.4.2
アイコンの作り方
分かりやすく及び見分けやすく,表
すものが容易に,明確に理解できる
こと。
7.4.3
三次元符号化
情報の違いを見分けやすいよう,奥
行きを与える図形手法を用いる。
7.4.4
幾何図形
ディスプレイ上の情報の種類の違い
を,見分けやすくするために,幾何
図形による符号化を検討する。
7.4.5
線分による符号化
線の外観で符号化する場合,線形状
及び線幅は,明確に区別が付くこと。
7.4.6
線の向き
線の向きで方角又は数値を表す場合
には,方角又は数値が正確に識別で
きるように,参照基準となる情報を
添える。
7.5
色彩符号化
7.5.1
補助的な色彩符号
色は符号化の補助手段として用い
る。
7.5.2
色使いの意図の明示
色は統一的に使用する。
7.5.3
情報分類の補足説明
主として色による符号を用いる場
合,各色と情報の種類を対応させる。
7.5.4
色の慣習的使用
なじみのある色を使って符号化す
る。 及び
色使いは,仕事上の慣例及び文化的
慣習と両立させる。
7.5.5
使用する色数
色彩符号化を使う場合,ユーザーが
確実に見分けることができる色を用
いる。白,黒の他に最大6色までが
適切な色数である。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
7.5.6
彩度の高い青
暗い背景に文字又は記号を表示する
場合,高い彩度の青色を避ける。
7.5.7
単色の装置上で用いる色の選択
情報をカラーVDTと単色VDTの両
方で表示する場合,単色VDTで表示
しても見分けが付く輝度の灰色に表
示される色を選ぶ。
7.5.8
色による立体視
赤,青などの可視波長領域の両端に
ある彩度の高い色は,文字を読み取
る作業においては文字の近くに置い
たり,背景色として用いない。
7.5.9
前景色
無地の背景(白,灰色及び黒)上で
使う前景色は,背景色と見分けやす
いように,1976 CIE UCS色度図上で
離れた位置にある色を選ぶ。
7.5.10 背景色
高い彩度の色及び明るい白色は,背
景色としては避ける。
7.6
標識
7.6.1
特殊記号の標識としての利用
特定の英数字項目に対して注意を向
ける手段として,標識(例えば,*印)
を検討する。
7.6.2
選択されていることを表す標識
単一又は複数選択とで別の標識を使
用する。
7.6.3
標識記号の独特で一貫性のある使い
方
標識として用いる記号は,標識以外
の目的に使用しない,及び他の標識
との混同が生じる状況下で使用しな
い。 及び
標識は一貫して用いる。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
7.6.
4
標識を付ける位置
標識の位置は,対象の項目の近くに
付ける。 及び
標識とその標識を付ける表示項目と
が混同されないようにする。 及び
明確に両者を識別できるように,標
識とその標識を付ける項目とを設計
し,配置する。
7.7
その他の符号化手法
7.7.
1
点滅による符号化
a) 符号としての点滅は,表示する項
目にユーザーの注意を向けること
が,仕事上重要である場合に適用を
検討する。
及び
b) 採用するにしても,二つ以上の点
滅符号は使用しない。
7.7.
2
点滅による強調表示
点滅で強調表示する場合,項目の読
み取りが重要なら,点滅による弊害
を緩和する他の強調の工夫を検討す
る。
7.7.
3
大きさによる符号化
表示文字又は記号の大きさ(高さ及
び幅)を変えることによる符号化手
法は,表示画面の密度が低い場合に
だけ検討する。
7.7.
4
輝度による符号化
輝度による符号化は,二種類の表示
項目を見分ける必要がある場合だけ
に使用する(明るさを高輝度及び通
常輝度の二値符号として扱う。)。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
44
Z 8522:2006 (ISO 9241-12:1998)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.1−適用性及び適合のチェックリスト(続き)
本体の項番及び推奨事項
適用可能性
適合
注釈
(資料源を含む)
結果
用いた手法
用いた手法
結果
可 否 S D O A E DM M O D A E DM 適 否
7.7.5 明暗反転
ユーザーの注意をひく必要のある
項目に対して使用する。
及び
明暗反転は常に一貫した目的で使
用する。
7.7.6 下線
下線を付ける場合には,項目の強調
及び/又は明示用とする。
及び
項目の視認性を低下させないよう
な下線付けが望ましい。
7.7.7 領域の符号化
図中の区域に区別を付ける必要が
ある場合,区域を,色を使わずにそ
の他の符号化法(斜線,明暗付け,
網掛けなど)で塗ることを検討す
る。
及び
色と組み合わせた模様による符号
化を冗長な符号化として検討する。
記号
可=適用可能
S=システム文書の分析
A=分析的評価
M=測定
否=適用外
D=資料的論拠
E=経験的評価
適=適合
O=観察
DM=その他の方法
否=不適合
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Z 8522:2006 (ISO 9241-12:1998)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
関連規格
序文
この附属書は,本体及び附属書に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
JIS Z 8511:1999 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−通則
注記 ISO 9241-1:1997,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−
part 1:General introduction(IDT)
JIS Z 8520: 1999 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−対話の原則
注記 ISO 9241-10:1996,Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs)−
part 10:Dialogue principles(IDT)
ISO 11581-1:2000,Information technology−User system interfaces―Icon symbols and functions−part 1:Icons
−General
ISO 11581-2:2000,Information technology−User system interfaces−Icon symbols and functions−part 2:Object
icons