Z 8503-6:2007 (ISO 11064-6:2005)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲 ························································································································· 1
2 引用規格 ························································································································· 2
3 用語及び定義 ··················································································································· 3
4 環境設計の一般原則 ·········································································································· 5
5 要求事項及び推奨事項 ······································································································· 8
5.1 温熱環境 ······················································································································ 8
5.2 空調環境 ······················································································································ 8
5.3 照明環境 ····················································································································· 10
5.4 音響環境 ····················································································································· 12
5.5 振動環境 ····················································································································· 14
5.6 内装及び美観 ··············································································································· 14
附属書A(参考)環境設計への推奨事項 ·················································································· 16
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,日本人間工学会(JES)及び財団法人日本規格
協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の
審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に係る確認について,責任は
もたない。
JIS Z 8503の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Z 8503-1 第1部:コントロールセンターの設計原則
JIS Z 8503-2 第2部:コントロールスウィートの基本配置計画の原則
JIS Z 8503-3 第3部:コントロールルームの配置計画
JIS Z 8503-4 第4部:ワークステーションの配置及び寸法
JIS Z 8503-6 第6部:コントロールセンターの環境
注記 JIS Z 8503,人間工学−精神的作業負荷に関する原則−設計の原則は,この規格群とは別の規格
である。
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日本工業規格 JIS
Z 8503-6:2007
(ISO 11064-6:2005)
人間工学−コントロールセンターの設計−
第6部:コントロールセンターの環境
Ergonomic design of control centres−
Part 6 : Environmental requirements for control centres
序文
この規格は,2005年に第1版として発行されたISO 11064-6を基に,技術的内容及び対応国際規格の構
成を変更することなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
劣悪な環境は,オペレーターの働きに深刻な影響を与えるため,人間−機械系の設計に当たっては,環
境的側面に特に注意を払わなければならない。コントロールセンターにかかわる環境要因とは,照明,湿
度,温度,振動,騒音などである。これらの要因には,交替勤務,時間的制約の元での実時間処理及びコ
ントロールセンターで用いられる特殊機器などを考慮する必要がある。
この規格は,安全性を高め,健康を損なわず,かつ,コントロールセンターでの作業効率を高めるよう
な方法で作業条件を最適にする環境要求事項について規定する。
この規格の規定は,国及び地域ごとに異なるそれぞれの強制法規(要求事項)に優先するものではない。
この規格の規定が国及び地域の要求事項を上回るような場合は,それぞれの分野の専門家(人間工学,照
明,音響,温熱環境など)に相談する必要がある。環境変数の特定な数値については,附属書Aを参照す
るか該当する国又は地域の法規類を参考にする。
1
適用範囲
この規格は, コントロールセンター内のコントロールルーム及び関連施設の人間工学的設計,改良又は
改築に対する環境面からの要求事項及び推奨事項について規定する。この規格は,次の各側面について適
用する。
− 温熱環境
− 空調環境
− 照明環境
− 音響環境
− 振動環境
− 美観及び内装
この規格は,プロセス産業,交通,給配送・救急サービスなどのコントロールセンターを含むあらゆる
タイプのコントロールセンターに適用できる。この規格は,主として非移動体のコントロールセンターを
2
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想定しているが,船舶,列車,航空機など,移動体のコントロールセンターにも適用できる。
この規格は,電磁界の影響については,規定しない。視覚ディスプレイの画像品質に対する電磁界の影
響についてのガイドラインは,JIS Z 8516に規定されている。
この規格は,コントロールルームの配置について規定しているJIS Z 8503-2及びJIS Z 8503-3と密接に
関連している。同時に,環境要因に影響を受ける機器のインタフェースデザインにも関係している。設計
者が,JIS Z 8516及びJIS Z 8517で規定されているディスプレイスクリーン機器を使用する一般的な環境
要求をも考慮すればいっそう効果的である。
注記1 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 11064-6:2005,Ergonomic design of control centres−Part 6 : Environmental requirements for
control centres (IDT)
なお,対応の程度を表す記号(IDT)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,一致していることを
示す。
注記2 箇条5以下で“コントロールルーム”と表記されている要求事項及び推奨事項は,例えばト
イレ,ロッカールームなど他の関連施設にも適用できる。ただし,この場合は,その使用状
況(人が常時いるか否かなど)に応じて,要求事項及び推奨事項を緩和してもよい(例えば,
常時は無人のロッカールームなどでは,騒音レベルや照度の要求は緩和できる)。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8503-1 人間工学−コントロールセンターの設計−第1部:コントロールセンターの設計原則
注記 対応国際規格: ISO 11064-1:2000,Ergonomic design of control centres−Part 1: Principles for the
design of control centres (IDT)
JIS Z 8503-2 人間工学−コントロールセンターの設計−第2部:コントロールスウィートの基本配置
計画の原則
注記 対応国際規格:ISO 11064-2:2000,Ergonomic design of control centres−Part 2: Principles for the
arrangement of control suites (IDT)
JIS Z 8503-3 人間工学−コントロールセンターの設計−第3部:コントロールルームの配置計画
注記 対応国際規格:ISO/FDIS 11064-3:1999,Ergonomic design of control centres−Part 3: Control
room layout (IDT)
JIS Z 8503-4 人間工学−コントロールセンターの設計−第4部:ワークステーションの配置及び寸法
注記 対応国際規格:ISO 11064-4:2004,Ergonomic design of control centres−Part 4: Layout and
dimensions of workstations (IDT)
JIS Z 8516 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−作業環境に関する指針
注記 対応国際規格:ISO 9241-6:1999 Ergonomic requirements for office work with visual display
terminals (VDTs)−Part 6: Guidance on the work environment (IDT)
JIS Z 8517 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−画面反射に関する表示装置の要求事項
注記 対応国際規格:ISO 9241-7:1998,Ergonomic requirements for office work with visual display
terminals (VDTs)−Part 7: Requirements for display with reflections (IDT)
ISO 13731 Ergonomics of the thermal environment−Vocabulary and symbols
3
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ISO/CIE 8995 Lighting of work places
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
騒音レベル (A-weighted sound pressure level)
音圧。20 μPaの基準音圧と与えられた音圧との比の常用対数。標準周波数荷重及び標準指数荷重時間平
均から得られる音圧。
注記 1 デシベルで表す音圧は,比の常用対数の20倍(IEC 60651参照)。
注記 2 A特性音圧レベル,等価騒音レベル(JIS Z 8731)とする訳語もある。
3.2
気流速度 (va) (air velocity)
空気の有効速度,すなわち,対象とする測定点での,ある時間間隔(測定期間)にわたる,流れの速度
ベクトルの大きさの平均値。メートル毎秒で表す。
3.3
明るさ (brightness)
ある面から発している光の強弱の見え方の基になる視感覚の属性。
注記1 主として関連する測光量は,輝度である。
注記2 ISO 8995参照。
注記3 JIS Z 8113の3.3(色に関する用語),03012(明るさ)参照。
3.4
主観的コントラスト (subjective contrast )
同時又は連続的に見える視野1)の二つの部分の主観的な差。
注記 明るさのコントラスト,色のコントラスト,同時的コントラスト,連続的コントラストなど。
注1) 同時に見える視野とは,例えば,文字とその背景のように,同時に見ている状態の視野をいい,
連続的に見える視野とは,画面の文字と原稿など,視野を移して見る視野のことをいう。
3.5
客観的コントラスト (objective contrast)
通常,輝度対比(通常は連続的コントラストL2/L1)として定義される量,又は同時に見える表面につい
て次の式で与えられる輝度対比。
1
1
2
L
L
L−
ここに,
L1: 暗いほう又は背景の輝度(背景輝度)
L2: 視対象の輝度
注記1 輝度の異なる部分の面積がほぼ同じ大きさで,平均値を取ったほうがよい場合は,上の式の
代わりに次の式を用いてもよい。
(
)
1
2
1
2
5.0
L
L
L
L
+
−
注記2 ISO 8995参照。
4
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3.6
等価騒音レベル (LAeq,T ) (equivalent continuous A-weighted sound pressure level)
次の式で与えられる,デシベル表示のA荷重音圧レベル。
()
∫12
d
1
log
10
2
0
2
A
1
2
,
Aeq
t
t
T
t
p
t
p
t
t
L
−
=
ここに,
t2−t1: 開始時点t1と終了時点t2間の時間
注記 JIS Z 7779参照。
3.7
グレア (glare)
目が順応している周辺全体の明るさに比べて,視野内の幾つかの部分が極端に明るいときに経験する不
快感又は視覚能力の減退。
注記 ISO 8995の4.4参照。
3.8
照度 (E) (illuminance)
ある点に入射する光束(φ)の密度。ルクス(lx)で表す。(1 lx = 1 lm/m2)
注記1 実際には,ある与えられた表面の平均照度は,そこに入射する光束を,照らされている面の
面積(A)で除したものとして次の式で求める。
A
Eφ
=
注記2 ISO 8995参照。
3.9
輝度 (L) (luminance)
明るさの興奮を引き起こす刺激の物理的尺度。ある方向(通常は観測者の方向)への光度εの,放射,
透過及び反射面の単位面積当たりの量。平方メートル当たりのカンデラで表す。
注記1 これは,ある要素表面からある与えられた方向へ放射又は反射された光の光度を,同じ方
向に放射している要素表面の面積で除したものである。
注記2 完全マット表面の輝度L(平方メートル当たりのカンデラ)は,次の式で求める。
×πE
L
ρ
=
ここに,
E: 照度[ルクス(lx)]
ρ: 対象表面の反射率
注記3 ISO 8995参照。
3.10
輝度バランス (luminance balance)
表示された画像の輝度とそれに隣接する周辺の輝度との比,又は逐次的に視野に入る表面の輝度の間の
比(JIS Z 8516,3.13参照)。
3.11
反射率 (ρ) (reflectance)
ある表面から反射される光束(rφ)の,その表面に入射する光束(0φ)に対する比。
5
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注記1 反射率は,マット表面以外の入射光の方向,及びそのスペクトル分布による。
注記2 反射率
0
r
φ
φ
ρ=
注記3 ISO 8995参照。
3.12
反射グレア (reflected glare)
磨かれた又は光沢のある表面からの鏡面反射によるグレア。
注記 ISO 8995の4.4.3参照。
3.13
相対湿度 (RH) (relative humidity)
空気中の水蒸気分圧の,同じ温度及び全圧における飽和水蒸気圧に対する比(×100)(ISO 13731:2001,
2.96参照)。
3.14
残響 (reverberation)
音源を停止した後で密閉空間に持続して残る音。これは部屋の境界表面からの音反射の結果として起こ
る(JIS Z 8516,3.21参照)。
3.15
室温 (ta) (air temperature)
居住者を取り巻く空気の乾球の温度(ISO 13731:2001,2.2参照)。
注記 摂氏(℃)で表す。
4
環境設計の一般原則
良好な環境を設計するためには,この規格と密接に関係するJIS Z 8503-1,JIS Z 8503-2,JIS Z 8503-3
及びJIS Z 8503-4によるほか,次の9項目の人間工学的一般原則に従わなければならない。
注記1 一つの環境原則に係る設計条件は,他の原則に影響を与え得るということをよく認識してお
くことが重要である。
原則1:コントロールセンターの環境設計に当たっては,オペレーターのタスク要求及び快適さを第一の
目的としなければならない。
原則2:オペレーターの作業の成果及び快適さを最適なものにするために,照明及び室温は,オペレータ
ーの要求に応じて調節可能なものとしなければならない。
原則3:異なる環境要件(すなわち,温熱,空調,照明,音響,振動の条件並びに内装及び美観)の間に
矛盾する要求がある場合には,運用上のニーズをバランスよく実現しなければならない。
注記2 上記を達成する一つの方法は,人間工学の専門家に相談することである。これによって,例
えば,改造したコントロールセンター内で新旧両方の機器を使用している場合の照明システ
ム設計のような,矛盾する要求に対する最適な妥協点を見極める。
原則4:コントロールセンターの設計には,運転情報にかかわる外的要因(例えば,安全面及び気候条件)
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も考慮しなければならない。
原則5:環境要因は組合せで作用するので,全体を見通した方法−すなわち,すべての環境の要素を考慮
した方法−を考えなければならない(例えば,騒音発生源である空調設備及び音響環境)。
原則6:環境設計は,例えば,早朝の気温の上昇といったような,交替勤務に都合の悪い影響を低減する
ものでなければならない。
注記3 これを補う方法としては,交代勤務のスケジュールを改善することも考えられる。
原則7:環境システムの設計には,将来の変更(例えば,機器,ワークステーションの配置,作業組織な
どの変更)を考慮しなければならない。
原則8:作業環境の諸特性の検討は,図1に示すように,コントロールセンターの全体的設計過程の一部
として組み込まれていなければならない。
注記4 図1のステップは,JIS Z 8503-1に規定されている,より広範な過程の一部である。
原則9:設計は,建物,機器とコントロールセンター環境との間で適切なバランスが保たれるように,繰
り返し,かつ,多部門参加で進めなければならない。こうした進め方は,設計の進展とともに照
査し,評価しなければならない。
注記5 建物及び機器の設計結果は,コントロールセンターの環境設計に大きな影響を与えかねない
ので,原則9のような進め方が必要である。例えば,照明機器の放熱は,空調システムに影
響する。
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図1−コントロールセンター環境設計の全体過程
目 的
設計ステップ
特定の要求
運用目標
環境設計にかかわる運用上
の要求事項の明確化
ユーザー母集団
オペレーターの特性運用
の実態
人間工学的
初期環境仕様書
環境の人間工学的
許容範囲の特定
運用目標
潜在的矛盾の見直し
提示された
建屋設計案
人間工学的に
許容できる妥
協案か?
適用した人間工学的基準
及び妥協点の文書化
人間工学的
最終環境仕様書
建屋・機器
などの見直し
はい
いいえ
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5
要求事項及び推奨事項
5.1
温熱環境
5.1.1
適切な温熱環境設計には,建屋の設計,オペレーターの活動,気候要因などの因子を考慮する必要
がある。次の事項を考慮するのがよい。
− オペレーターの行動の性質及びその範囲(座位又は歩行)
− オペレーターが着用する代表的な服装(特殊防護服を含む。)
− オペレーターの人数及び交替勤務形態
− 機器及び照明からの総発熱量
− 日射からみたコントロールルームの立地
− 必要な場合,加圧室についての要求事項
− 外壁部からの熱伝導
− ドア及び窓の数
− 建材の熱遮へい(蔽)性能
− 直射日光の遮へいの必要性
− 建屋の地理的位置
5.1.2
ふく射熱又は高温空気によるコントロールルーム内の局所的温度上昇は,室温条件を適切に制御し
て避けるのがよい。
5.1.3 暖房・換気・空調(HVAC)システムは,屋外の気温条件がどうあろうと,適切な室内環境条件(例え
ば,室温,湿度及び気流速度)を提供するものでなければならない。
注記1 推奨値は,附属書Aに示す。
注記2 非温帯地域のコントロールルームは,大気環境の性質(例えば,高温気候)によって,別の
要求事項を必要とすることがある。
5.1.4
HVACが適切な室内環境条件を整備できないときは,オペレーターが手動で温度を制御・監視でき
る機器を備えなければならない。
5.1.5
熱量を指定する場合,温熱環境に関する次の変量について附属書Aに記載する範囲を考慮するの
がよい。
− 室温(ta)
− 平均放射温度
− 空気流速(va)
− 湿度
注記 温熱環境,空気の質及び音響の関係を,図2に示す。
5.2
空調環境
5.2.1
室内の空気の流れは,人が直接悪影響を受けないように制御しなければならない。このために,空
気の流速を確認しなければならない。
注記 給排気口を注意深く配置すれば,空気の流れを適正にあん(按)配できる。
5.2.2
給排気グリルは,給排気の短絡経路にならず,部屋全体に空気が均等に流れるように配置するのが
よい。
5.2.3
空調システムは,振動を避け,騒音が最小になるように設計するのがよい。
5.2.4
良質な空気を維持するために,換気回数(HVACの容量とコントロールセンターの物理的容積の関
係)を調整できるようにする。
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注記 参考文献に参考情報がある。
5.2.5
天井及び床材からのほこり及び他の固体粒子のHVACへの侵入を防ぐのがよい。(HVACの給排気
口の物理的配置,部屋の清掃など)
5.2.6
ダクトの配置は,清掃上及び保守上の要求事項を配慮するのがよい。
5.2.7 トイレ,食堂,ロッカールーム,喫煙室などの部屋は,臭気の流出を防ぐため,他の領域より低い
圧力に保つのが望ましい。
5.2.8 オペレーターは,供給系を介した空気の汚染に対し保護するのがよい。
注記 参考文献に限界いき値(TLV)に関する情報がある。
5.2.9
砂,建設資材,プラントの化学物質など,外部発生源からの固体粒子の混入の可能性については,
空気処理システムの設計段階から気を付けて管理するのがよい。
5.2.10 安全上及び警備上の問題がある場合,空気供給システムへの有害物の投入も考慮したほうがよい。
5.2.11 水蒸気加湿器などの加湿プラントは,レジオネラ感染症の原因となるバクテリアを含む微生物及び
菌類の増殖を最小限にするように設計するのがよい。
5.2.12 コントロールルーム環境の空気供給システムの設計には,次の防護策を考慮するのがよい。
− 非毒性建材(特に火災時)の選定
− オペレーターエリアと環境汚染を発生するおそれのある機器(例えば,複写機/オゾン,バッテリー
室)エリアとの分離
− 不純物の蓄積を減らす適切な換気回数
− 想定する特定のリスク(例えば,化学物質汚染)に対する特別な安全手順及び人員保護機器の常備
− 例外的に危険で汚染された作業区域に対する気密コントロールルームの利用
− ガス検知システムの設置
− 非毒性原料を使った消火システムの設置
適切な空調の仕様に関する要素を,図2に示す。
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図2−温熱環境,空調環境及び音響環境設計の主要因子
5.3
照明環境
5.3.1 照明は,次のように設計するのがよい。
考慮すべき要因
影響
手段
目標
コントロール
ルームの容積
オペレーター
の人数
機器(照明を含む)
の全電力量
地勢条件
コントロール
ルームデザイン
(窓,ドアなど)
作業領域
化学的
汚染区域
環境汚染
臭気
再生装置,吸収装置
フィルター装備
加圧又は密閉の
コントロールルーム
の要求
TLV(限界いき値)
標準
緩衝容積
一般的に発生する
熱量・水分量
熱量・騒音・振動
の発生量
入射・放射
熱量
熱交換
一般的に発生する
熱量・水分量の再
配分
空調機器
の容量,
建物の断熱
コントロー
ルルームの
容積の設計
快適性:
温度
湿度
空気の流れ
について
要求される
標準
失敗
騒音・振動
取り除くべき望
ましくない結果
11
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− 年齢などの異なるそれぞれのオペレーターによる様々な視覚タスク(例えば,紙ベース,電子ベース
のタスク)に対しても柔軟性をもたせる。
− 作業場所での視覚的能力を最適化する。
− 人間の能力低下を最小にする。
− 安全性を高める。
− 情報を読み取りやすくする(能動的及び受動的表示のいずれからも)。
− オペレーターの監視作業を改善する。
− オペレーターの快適性及び健康を増進する。
− 必要な場合,ワークステーション上の垂直又は水平な印刷物を読みやすくする。
− 壁掛けの図表類,参照図などを読みやすくする。
− CCTV(閉回路テレビ)モニター,視覚表示器,警報指示器,状態表示盤など発光式機器を読みやす
くする。
− コントロールコンソール上の発光式表示器を読みやすくする。
− ワークステーション外の表示器を読みやすくする。
5.3.2
照明の配置は,作業環境内で行われるタスクの視覚的要求に適したものがよい。また,人工光及び
自然光の影響並びに定常時及び緊急時作業の要求を考慮したものがよい。
注記 オペレーターの重要な仕事が多数の発光式機器を扱う場合,作業位置に局部照明が必要になる
かもしれない。この場合は,全般照明を暗くできるようにする必要がある。
5.3.3
オペレーターが調節できる作業用照明は,同室者に対してグレア源となってはならない。
5.3.4
オペレーターが,それぞれのワークステーションごとの局所光源を調節できるのがよい。
5.3.5
照明は,光幕反射及びスクリーン外反射グレアを避けるのがよい。
5.3.6
照明システムは,機器,ワークステーションの配置,運用手順,共同作業などの将来の変更を考慮
しておくのがよい。また,照明再配置の代替案を検討するのがよい。
5.3.7
窓,明取り,固定照明などは,反射及びグレアを最小限にするような位置に設けるのがよい。
5.3.8
コントロールルームのスタッフが屋外とのつながりを維持するために,窓及び植栽からの自然光な
ど自然にかかわるものを用いるのがよい。
5.3.9
強い自然光の弊害を避けるために,自然光に対しても適切な調節装置を備えなければならない。
注記 窓は心理的に有用なものである。
5.3.10 電子スクリーン上に表示されたデータの知覚(例えば,テキストの読取り及びグラフの視認)及び
スクリーンベースでない情報の知覚(例えば,図面上のテキストの読取り及び壁の表示を見ること)は,
どちらも同じ作業環境内で行われることがあるが,それぞれに異なる視覚的要求があることを考慮するの
がよい。
5.3.11 照度のレベルが指定された場合,これらのレベルはその光源の寿命の間の“維持レベル”であるこ
とがよい。
5.3.12 よい視覚条件を得るために,視野内の輝度のバランス比を探るのがよい。
5.3.13 グレアは,その原因が例えば発光源であれ,反射であれ,視野内の輝度の極端な差であれ,避けな
ければならない。照明設備のグレアの程度は,CIEグレア評価法(ISO/CIE 8995参照)を用いて決定しな
ければならない。照明設備のUGR値は,ISO/CIE 8995に規定された値を超えてはならない。
5.3.14 窓,天窓などの明取りは,共用ワークステーション表示器を見るときにグレアを生じないような位
置に設けなければならない。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
5.3.15 仕様決定に際しては,視覚障害者のニーズを考慮するのがよい。
5.3.16 照明システムには,可能な限り異なる光源,自然光及び人工光の両方を用いるのがよい。
注記 附属書Aにコントロールルームに適合した光環境向け数値のガイダンスがある。
コントロールルームの照明設計のかぎとなる主要因子を,図3に示す。
図3−照明環境設計の主要因子
5.4
音響環境
5.4.1
音響環境を最適化するために,コントロールルームを次のように設計するのがよい。
− コントロールルーム周辺の全般的環境の雑音の大きさを下げる。
− コントロールルーム内の騒音の大きさを下げる。
考慮すべき要因
ワークステーション
の配置
天井−壁反射
照明
−エリア
−照度
−照明標準設計
−照明位置
作業用照明
コントラスト・
グレア制御
グレア回避
目標
手段
照明
−自然
−人工
−混合
視覚的快適性
オペレーターの行動
−移動
−読字
−スクリーン判読
−周辺機器看視
−文書取扱い
コントロールルーム配置
−窓
−ワークステーション数
−機能エリア
ワークステーション機器
−VDU(視覚表示機器)
−ダイアル
−警報器
−制御機器
−ワークステーション外表示器
−記録作業
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− 残響時間を減らす。
5.4.2 音響設計には,次の運用上のニーズを考慮するのがよい。
− オペレーター間の口頭による意思伝達
− 電話の会話
− 警報音聞き取り
− 能率低下
− 認知機能への妨害,例えば,構内放送
− オペレーターのいら立ちの最小化,例えば,食堂などからの騒音
− 重要な聴覚情報の喪失
5.4.3 内外の機器による騒音及びその他の騒音発生源について音響調査を考慮するのがよい。
5.4.4 建屋内のコントロールスウィートの位置を決めるときは,JIS Z 8503-2に従って,潜在的な外部の
騒音(例えば,道路,駐車場,車庫又は機械用具置き場,空港,プロセス装置)を最小化しなければなら
ない。
5.4.5 製鉄所の運転開始時のように,外部の騒音によってプロセスに関する情報が分かる場合は,コント
ロールスウィートの配置に際してこのことを考慮するのがよい。
5.4.6 コントロールルーム内で,例えば,来訪者,世間話,メンテナンスチームから発生する音声会話の
影響も考慮したほうがよい。
5.4.7 音響警報は,暗騒音から特に区別して,それらが確実に聞き取れるようにしなければならない。
5.4.8 警報の優先度と警報源とを区別するために,種々の周波数及び音量レベルを使うのがよい。
注記 音響に関する具体的数値のガイドを,附属書Aに示す。
5.4.9 騒音を出す機器が特定できるときは,音響環境を改善した部屋に別置するか遮音カバーで覆うのが
よい。
5.4.10 機器からの騒音は,その機器をコントロールルームから撤去するか,又はその干渉を最小にする手
段によって最小化するのがよい。
注記 騒音低減の手段には,その音源での騒音減少,遮音及び残響時間の減少を含む。
5.4.11 コントロールルーム内の騒音の大きさは,聴覚障害を起こすようなものであってはならない。
5.4.12 仕様を決める際には,聴覚障害者の要請も考慮するのがよい。
注記 附属書Aに,コントロールルームにふさわしい幾つかの基本数値を示す。これらはJIS Z 8516
に規定している。
音響環境に関連する主要因子を,図4に示す。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図4−音響環境設計の主要因子
5.5
振動環境
5.5.1 コントロールルームは,予備発電機,圧縮機などのような振動源からできるだけ離れて位置するの
がよい。
5.5.2 コントロールルームのオペレーター及び関連機器を一般的な環境から伝わってくる振動から遮へい
して守らなければならない。
5.5.3 必要な場合,コントロールルームの床,壁及び天井を,振動吸収材によって,振動している構造物
から隔離するのがよい。
注記 使用者,光学機器及び操作機器(制御装置)への機械的振動の影響については,JIS Z 8516に
規定している。
5.6
内装及び美観
5.6.1 コントロールルームの計画時には,全体のスペースを決める各種寸法の比率を考慮するのがよい。
注記 全体の計画面積に比して極端に低い天井は,閉所恐怖症を引き起こすことがある。
5.6.2 コントロールルームの内装は,そこで行われる主な運転作業の助けになるものがよい。色調,質感
及び材質は,そこでの管理活動に心地よい労働環境及び落ち着いた環境景観を与えるものがよい。
5.6.3 最終的な内装案の選定には,できれば最終使用者及びその上司が参加するのがよい。ひとたび運用
オペレーターの行動
−対話コミュニケーション
−電話コミュニケーション
−移動
−オペレーターの人数
コントロールルーム配置
−内外の騒音源
−加温・換気
−空調システム
コントロールルーム機器
−機器からの騒音低減(プリンタ
ーなど)
−注意・確認信号の音響レベル
(警報,注意報など)
−娯楽設備(ラジオなど)
考慮すべき要因
く(躯)体要素(壁,
天井,窓など)に
よる遮音
機器からの騒音の
低減
信号対ノイズ(S/N)
比の最適化
反響の低減
目標
手段
音響的快適性
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
上の人間工学的要求事項に矛盾しない条件が見つかったら,その案だけを提案するのがよい。
5.6.4
家具及びコントロールルームの仕上げは,プラントの他の“機械的な”場所とは対照的に,作業環
境を“人間味のあるもの”にするのがよい。
例 壁の基部を保護する幅木,及び天然物の堅木の使用によって環境に温かみが増す。
5.6.5
オペレーターの座席は,人間工学の原理に沿ったものであるのがよい。色及び仕上げの選択は,長
期間及び24時間の使用も考え,飽きのこないものがよい。
例 いすの生地は,単色のものより模様のある,やや暗色のものが長時間の使用に向いている。
5.6.6
壁の仕上げは,明るいものより淡いものがよく,心理的な影響を避けた色を選ぶのがよい。布風の
仕上げは反射グレアを低減する。
注記 色調によって環境が重苦しくなることもあり,また,机上のスクリーン又はオーバービューデ
ィスプレイ視認などの視覚作業を妨げることもある。
5.6.7 建屋の構造又は家具に明るい仕上げと暗い仕上げとの両方を,過度に使うことは避けたほうがよい。
注記 仕上げのバランスは,オペレーターの全体的視野の一部であり,コントロールルーム作業にか
かわる視覚作業についてのすべての要求を考慮する必要がある。
5.6.8 視覚表示器又は他の制御機器に見られるような極端に強いパターンは,避けたほうがよい。
5.6.9 カーペットを使う場合は,高級品で,色調変化のほのかな細かい模様のものがよい。大きな模様及
び幾何学的デザインのものは避けたほうがよい。
5.6.10 ワークステーション,戸だな(棚),オーバービューディスプレイ,天井格子などによる堅い幾何
学的風景に色調と質感との面で変化を与えるために,植物など,見てくつろぐための物を置くのがよい。
5.6.11 反射率こう配は,天井は全般的には壁より明るく,壁は床の仕上げより明るいというような自然な
感覚に合っているのがよい。
5.6.12 仕上げは24時間操業でも飽きのこないことを考えて選ぶのがよい。その表面は掃除しやすく,き
ずなども補修しやすいのがよい。
5.6.13 ワークステーション,一般的な家具・じゅう(什)器及びワーステーション外共用ディスプレイを
含む機器類の仕上げは,グレアを生じないようにするのがよい。
5.6.14 ワークステーション,一般的な家具・じゅう器及び機器類の仕上げには,色のコントラストの大き
な差は避けたほうがよい。
5.6.15 コントロールセンターの設計時には,マット又は無反射表面及び光源用低輝度器具の使用を考慮す
るのがよい。
5.6.16 窓からのグレアが避けられない場合は,例えば,調節可能なブラインド又は薄い着色など,グレア
の影響を最小にするような手段を講じなければならない。
5.6.17 コントロールルームの仕上げは,良好な会話及び音響警報伝達に必要な特定残響時間を達成するよ
うに選ぶのがよい。
注記 残響時間の値は,JIS Z 8516に規定している。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
環境設計への推奨事項
序文
この附属書は,環境設計への推奨事項について記載するものであって,規定の一部ではない。
A.1 全般
この附属書に示す数値は,単に一般的なガイドとして示されているものである。それぞれのコントロー
ルルーム設計プロジェクトに最も適した数値は,オペレーターのタスクにかかわる個々の人間工学的要求
事項を考慮する必要がある。必要に応じ専門家の助言を求めるのがよい。
A.2 温熱環境
推奨事項として個々に示す次の数値は,ISO 7730に規定している要求事項に基づくものである。
a) 冬季の座ってする作業
1) 執務温度は,20 ℃と24 ℃との間で22 ℃±2 ℃がよい。
2) 床上1.1 mと0.1 m(頭の高さとくるぶしの高さ)との垂直方向の温度差は,3 ℃以下がよい。
3) 床の表面温度は,通常19 ℃〜26 ℃がよいが,床暖房システムは29 ℃まで可能なように設計する。
4) 平均空気流速は,0.15 m/s以下がよい。
5) 窓又は垂直な低温表面から非対称方向へのふく射温度は,(床上0.6 mの小さな垂直面で)10 ℃以
下がよい。
6) 相対湿度は,30 %〜70 %がよい。
b) 夏季の座ってする作業
1) 執務温度は,23 ℃と26 ℃との間で24.5 ℃±1.5 ℃がよい。
2) 床上1.1 mと0.1 m(頭の高さとくるぶしの高さ)との垂直方向の温度差は,3 ℃以下がよい。
3) 平均空気流速は,0.15 m/s以下がよい。
4) 相対湿度は,30 %〜70 %がよい。
c) 一日のリズムを調整するために,早朝にオペレーターがコントロールルームの温度を1 ℃か2 ℃昇温
できることがよい。
d) コントロールルームの内外を行き来する人の温熱ショックを抑えるために,中間温度のバッファゾー
ンを考慮するのがよい。
e) 保守要員及びその他の人々が機器室で長時間作業する場合は,温熱及び照明環境に関する彼らの要求
に配慮するのがよい。
A.3 空気の質
コントロールルームには,内部で発生する汚染物質を薄めるために,十分な量の戸外の空気を供給する
のがよい。
注記 英国HSE (Health and Safety Executive)によれば,禁煙環境では,一人当たり8 L/s (29 m3/h) の外
気供給という現行のガイドラインで十分としている。
コントロールルームに全員がいる場合,二酸化炭素濃度は,1.8 g/m3 (=910 ppm)を超えないことがよい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.4 照明
a) 記録作業をしている作業面の照度は,視覚表示器(VDU)を使っている場合は上限を500 lxとして,200
lx〜750 lxのレベルに維持するのがよい。これは,環境照明とタスク照明との組合せである。
b) 減光は,どんな場合にも作業面の200 lxの下限維持照度を保つのがよい。
c) ペーパーワークが主たる仕事の作業エリアでは,照度は500 lxを維持するのがよい。
d) 電灯照明は,すべての作業位置においてグレア指数(UGR)19以下がよい。
e) 電球は,一般演色評価数80超のものを用いることがよい。
f)
ちらつきを避けるために高周波制御器を使用するのがよい。
g) 発光式機器を使用する場合,それに接する周囲とのコントラスト比は3:1以下,視野の周辺部とのコ
ントラスト比は10:1以下であることがよい。
h) 発光体及び明るい室内表面の平均輝度は,クラスI及びクラスIIのスクリーンに対しては1 000 cd/m2
未満,クラスIIIのスクリーンに対しては200 cd/m2未満がよい(JIS Z 8517による)。
i)
直接照明については,最大輝度は,次によるのがよい(JIS Z 8516による)。
表A.1−直接照明の最大照度
スクリーンタイプ
白地に黒文字又は黒地に白文字使用時の最大輝度
クラスⅠ及びII
(スクリーン処理が良又は普通)
1 000 cd/m2
クラスIII
(スクリーン処理なし)
200 cd/m2
j)
間接照明
− 天井又は直接照らされているその他の表面の平均輝度は,500 cd/m2未満がよい。
− 最高輝度は,1 500 cd/m2未満がよい。
− 輝度は,照らされている表面全体を通じて除々に変化するのがよい。
A.5 音響環境
コントロールルームの周囲騒音は,45 dB LAeq, T以下がよい。暗騒音は,会話のプライバシーを維持する
ために, その場のS/N比を低減して,30 dB〜35 dB LAeq, Tの範囲にあるのがよい。
一般に,周囲の雑音の大きさは,30 dB(A荷重)より小さくないのがよいと考えられている。
音響警報は,可聴のためには,コントロールルームのバックグランド音声スペクトラムより約10 dB高
いのがよく,スタッフを驚かせたり会話に影響するのを避けるためには,バックグランドより15 dB以上
高くならないのがよい。(ISO 7731:1986参照)中間周波数の残響時間は,部屋にもよるが,0.75 s未満,
できれば0.4 s近くであることがよい。必要なら,専門家の助言を求めるのがよい。
A.6 内装設計
コントロールエリアの材料及び仕上げの選定に当たっては,次のことを考慮するのがよい。
a) 床仕上げの反射値は,0.2〜0.3がよい。
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b) 壁の仕上げは,表面反射率0.50〜0.60がよい。これ以下の値になると天井と壁とのコントラストが増
大して環境を陰うつ(鬱)にし,照明電力消費が増大するので,表面反射率は0.50未満としないのが
よい。
c) 仕切りのはめ込みガラス及び固定部分は,周囲の壁への反射値と同等 (0.5〜0.6) にするのがよい。
d) 間接照明にする場合は,天井は白いマット仕上げとし,表面反射値を最低0.8とするのがよい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
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IEC 60651 Sound level meters
[2]
JIS Z 8731 環境騒音の表示・測定方法
[3]
JIS Z 8113 照明用語
[4]
JIS X 7779 音響−情報技術装置から放射される空気伝搬騒音の測定
注記 対応国際規格:ISO 7779:1999,Acoustics−Measurement of airborne noise emitted by
information technology and telecommunications equipment (IDT)
[5]
ISO 7730:1994,Moderate thermal environments−Determination of the PMV and PPD indices and
specification of the conditions for thermal comfort
[6]
ISO 7731,Ergonomics−Danger signals for public and work areas−Auditory danger signals
[7]
ISO 1996-1:1982,Acoustics−Description and measurement of environmental noise−Part 1: Basic
quantities and procedures
[8]
ISO 1996-3:1987,Acoustics−Description and measurement of environmental noise−Part 3: Application
to noise limits
[9]
ISO 7726:1998,Ergonomics of the thermal environment−Instruments for measuring physical quantities
[10] ISO 8996:1990,Ergonomics−Determination of metabolic heat production
[11] CIE 115:1995,Recommendations for the lighting of roads for motor and pedestrian traffic
[12] IEC Publication 651:1993,Amendment of IEC Publication 651: 1979, Sound level meters
[13] Quality of the Indoor Environment, IAI, LESTER, J.N., PERRY, R., REYNOLDS, G.L., Selper Ltd.,
London
[14] Volatile Organic Compounds in the Environment, Edited by KNIGHT, J.J and PERRY, R.Proceedings of
the Second International Conference, London, November 1995