Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS Z 8503-3には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) コントロールルームの配置例
附属書B(参考) 世界人口を対象とした使用者母集団の人体寸法
この規格群は,“人間工学− コントロールセンターの設計”の主題部の下に,次に示す各部で構成する。
第1部 コントロールセンターの設計原則(予定)
第2部 コントロールスウィートの基本配置計画の原則(予定)
第3部 コントロールルームの配置計画
第4部 ワークステーションの配置及び寸法(予定)
第5部 表示器及び制御機器(予定)
第6部 コントロールルームの環境(予定)
第7部 コントロールセンターの評価の原則(予定)
第8部 特定用途に対する要求事項(予定)
Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. コントロールルームの配置計画 ·························································································· 5
4.1 コントロールルームの配置計画手順 ··················································································· 5
4.2 コントロールルームの配置計画についての一般的留意事項 ····················································· 7
4.3 建物に関する建築的推奨事項 ···························································································· 9
4.4 ワークステーションの配置······························································································ 12
4.5 ワークステーション外共用視覚表示器 ··············································································· 15
4.6 人の動線及び保守作業···································································································· 17
附属書A(参考) コントロールルームの配置例 ······································································· 22
附属書B(参考) 世界人口を対象とした使用者母集団の人体寸法 ··············································· 31
参考文献 [1] ······················································································································· 32
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8503-3 : 1999
(ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
人間工学−コントロールセンター
の設計−第3部:
コントロールルームの配置計画
Ergonomic design of control centres−Part 3 : Control room layout
序文 この規格は,1999年に発行したISO/FDIS 11064-3, Ergonomic design of control centres−Part 3 : Control
room layoutを翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格である。
この規格は,コントロールルーム配置計画のための人間工学上の要求事項,推奨事項及び指針を定めるも
のである。
この規格の中心的なテーマは,コントロールルームの使用者側からの要求事項であって,この規格で述べ
られている手順は,そのあらゆる段階において,使用者のニーズについて考慮するように意図している。
なお,この規格で,点線の下線を施してある“備考”は,原国際規格にはない事項である。
この規格の最大の受益者はオペレータとその他のコントロールルーム使用者であろう。使用者のニーズこ
そがこの規格の人間工学上の要求事項を規定している。最終的な使用者自身がこの規格を読み,又はその
存在を知る可能性は低いとしても,この規格を適用することによって,使用者に対して,より使いやすい
インターフェイス及び運用上の要請にいっそう合致した作業環境を提供することができ,結果として過誤
を最小限にし,生産性を高めることになる。
設計寸法値を決定するために,適切な使用者母集団が導入された実用的な公式を採用した。附属書Bに身
体計測データ表を掲載した。
1. 適用範囲 この規格は,コントロールルームの配置計画に関する人間工学的原則について規定する。
ここには,コントロールルームの配置計画,ワークステーションの配置,ワークステーション外視覚表示
器の使い方,及びコントロールルーム保守に関する要求事項,推奨事項及び指針を含む。
この規格は,プロセス産業,運輸業,緊急派遣業務のコントロールセンターを含むすべての種類のコン
トロールセンターに適用する。この規格は,主に非移動体のコントロールセンターを想定しているが,多
くの原則は,船舶,航空機など,移動体のコントロールセンターにも適用できるものとする。
備考 この規格の対応国際規格を次に示す。
ISO/FDIS 11064- 3 : 1999 Ergonomic design of control centres−Part 3 : Control room layout
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
ISO 7250 Basic human body measurements for technological design
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Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
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JIS Z 8513 人間工学−視覚表示装置を用いるオフィス作業−視覚表示装置の要求事項
ISO/FDIS 9241-5 Ergonomic requirements for office work with visual display terminals (VDTs) −Part 5 :
Workstation layout and postural requirements
ISO 11428 Ergonomics−Visual danger signals−General requirements, design and testing
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
備考 これら定義の理解を助けるために,図1及び図2を掲げる。
a) コントロールセンター (control centre) 機能的に関連し,すべて同一のサイト内にある,コントロ
ールルーム,コントロールスイート及び遠隔コントロールステーションの複合体(図1参照)。
b) コントロールコンソール (control console) 機器,作業面及び備品を保持するとともに全体としてコ
ントロールステーションを構成する構造的枠組。
c) コントロールパネル (control panel) 表示器及び制御器が埋め込まれた個別の表面。
参考 コントロールパネルは,ワークステーション又は壁面に埋め込まれる(図2参照)。
d) コントロールルーム (control room) 集中化された制御,監視,管理業務を行うために,オペレータ
が常駐する中核的機能の総体,及びそれに関連する物理的構造。
e) コントロールルームオペレータ (control room operator) コントロール機能の遂行を主な責務とす
る人。
参考 通常は,コントロールワークステーションに位置して,自身で,又はコントロールルーム内外
の他の人達と連携して業務を遂行する。
備考 以下,この規格では,この“コントロールルームオペレータ”を単に“オペレータ”と呼ぶ。
f)
コントロール関連施設郡 (control suite) コントロールルームと機能的に関連し,位置的にも密接し
た部屋の総体。コントロールルームそれ自体,及びコントロールルームを支援するための事務室,機
器室,休憩室,訓練室などを含む(図1参照)。
g) コントロールワークステーション (control workstation) コンピュータ,通信端末,じゅう器類など,
制御,監視機能を遂行するためのすべての機器を含む単独の,又は複合された作業場所。
備考 以下,この規格では,この“コントロールルームワークステーション”を単に“ワークステー
ション”と呼ぶ。
h) 直接オペレータ統括 (direct operator supervision) 直接的な監視や会話によって,オペレータや他の
スタッフを統括すること。
i)
表示器 (display) 情報を可視化,可聴化,触覚又は固有受容器を介した知覚などを識別可能にする
ための機器。
j)
機能集合 (functional groups) 職務遂行上,密接,かつ,直接的な連携が要求され,そのためには互
いに接近していることが便利なワークステーションの集合。
k) 機能配置 (functional layout) コントロールルーム内における,異なるコントロール機能それぞれの
位置の概要を示す配置。
l)
総延べ床面積 (gross area) コントロールルームに割り当てられた全面積 (m2) 。
m) 障害 (disability) 諸活動を完壁に行えなくするような精神的又は身体的要因による通常能力の低下。
n) 密接領域 (intimate zone) 他人の存在が,視,臭,聴覚,体温などの感覚入力のすべてと密接に結び
つき,はっきりととらえられる距離。
o) 遠隔コントロールステーション (local control station) 監視又は制御の対象である装置,若しくはシ
3
Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
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ステムの近くに置かれたコントロールインターフェイス。
p) ワークステーション外表示器 (off-workstation display) コントロールワークステーションには埋め
込まれていない,オペレータによって使われる表示器。これらの表示器は,主に可視的なものであっ
て,ディスプレイパネル,モザイク(ミミック)パネル,監視窓などが該当する(図2参照)。
q) 主要情報 (primary information) コントロール機能を満足に実行するために最も重要な情報。
r) 主ワークステーション (primary workstation) 主要なコントロールエリアにあって,常時人がいる
ワークステーション。
s)
補足情報 (secondary information) コントロール機能にとって二義的な重要性をもち,オペレータに
とって今すぐに必要のない情報。
t)
補助ワークステーション (secondary workstation) 支援的な作業又は作業のピーク時に負荷を分担
するためのワークステーション。
u) 共通視覚表示装置 (shared visual display device) 複数のオペレータが各自のワークステーションに
居ながら同時に使用できる,各ワークステーション上の視覚表示器。
v) 身長〈身体高さ〉 (stature <body height>) 床面から頭部の最高点(頂点)までの垂直距離(ISO 7250
参照)。
w) 統括者 (supervisor) コントロールルームでのコントロール機能の満足な遂行,スタッフと装置の統
括,及び必要な場合には,コントロールタスク自体の指揮を主な責務とする人。
x) タスク分析 (task analysis) 人々が装置を操作するとき,又は作業するときに必要となる,特定の行
動を決定するための分析手法。
y) 有効面積 (usable area) 総延べ面積から柱周り,活用しにくい部屋の角,出入口付近などの使用不可
能な面積を除いた面積。
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Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
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図1 コントロールルーム,コントロールスイート及びコントロールセンターの図的表現
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図2 コントロールワークステーション及びワークステーション外視覚表示器の定義の図的表現
4. コントロールルームの配置計画
4.1
コントロールルームの配置計画手順 次に示すフローチャートに,コントロールルームの配置計画
の一般的手順(その主要なステップ)を要約する(図3参照)。
コントロールルームの多くの特性は既に整理されていて,この規格では,このフローチャートに示され
ている手順にそれら特性が入力されることを前提とする。これらの中には,人間工学上の特性,すなわち
作業の記述,組織と配員,機器の仕様及び全般的な管理運営方針を含む。しかし,現実のコントロールル
ームプロジェクトでは,配置案を考える段階でこれら人間工学上の特性を確定していることは少ないので,
この規格に沿って人間工学的設計を進めるためには,最終情報が手もとになくても仮の条件を設け,合意
したこの情報と人間工学上の特性を運用仕様書又は機能仕様書として文書化しておく。
フローチャートが示すように,機能配置の準備段階で,種々の情報を必要とする。この情報は,コント
ロールワークステーションの数,その配置などを含む。それらのグループ化は,機器の共有,直接的な目
視や会話の必要性など機能的な関連性に基づいて行うことが望ましい。
望ましいコントロールルームの配置計画は,次のように行う。まず機能連関分析で要約された運用上の
要求事項に基づいて,ワークステーションの組合せと配置案を使用可能な空間内に準備するのがよい。こ
れらの配置案には,機能連関分析で注目したような,対面会話やワークステーション外の共用概要視覚表
示器への視線などの機能的な関連性を考慮するのがよい。運用仕様書で要求される種々のレベルの要求に
合うような種々の配置案を用意する。ワークステーションの床面積の似通ったグループを入れ替えたり,
必要な動線や保守空間を変えないで配置を調整することで,機能配置を実現可能な室内配置へと変更する。
コントロールルームの空間が決められていない場合の配置案も同様の方法で決定する。この場合には,機
能配置と室内配置を利用して機能的に必要な空間を指定する。
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Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
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こうしてコントロールルームの配置案が幾つか決まった場合,運用仕様書の要求事項に照らして,コン
トロールルームのオペレータや使用者と一緒になって検証する。こうした過程を繰り返して最良のコント
ロールルーム配置案を見つけ出すのがよい。
最終的に決まったコントロールルームの配置案については,文書化された評価基準に照らして実際に運
用できるかどうか検証し,コントロールルームのもつべき機能に合致していること,又は現実と妥協した
点などを記録に残すことが望ましい(4.2.6参照)。
参考 設計のフィードバックはあらゆる段階で起こり得る。
図3 コントロールルーム配置計画の一般手順
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Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
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4.2
コントロールルームの配置計画についての一般的留意事項 この箇条では,コントロールルームの
配置計画についての幾つかの一般原則を要約する。これらの詳細は,コントロールルームについてのその
他の要求事項とともにこの規格で後述する。
4.2.1
建築面からの留意事項
4.2.1.1 入口/出口 主出入口は,オペレータが特にスタッフの出入りを確認する特定の義務がない限り,
オペレータの作業視野内にないほうがよい(4.4.1参照)。
出入口は,コントロールルームオペレータの背後にないほうがよい(4.3.3参照)。
4.2.1.2
人的安全 コントロールルーム内の危険を最小限にするために,ガードレール,手すりなどを設
けることが望ましい(4.3.2参照)。
4.2.1.3
将来の拡張性 コントロールルームは,コントロールルームの寿命,予測される作業量,経営戦
略などの観点によって影響されるので,拡張できることが望ましい。
参考 経験的には,作業場所及び機器について通常25%の増加を見込むのが実際的である(4.3.2参照)。
4.2.2
運用面からの留意事項
4.2.2.1
タスク分析 室の配置計画は,運用実績のフィードバック(もしあれば),タスク分析,及び障
害者を含む作業者母集団のデータなどについて合意した一連の原則に基づいて行うのが望ましい。これら
基本原則は,すべて文書化しなければならない(4.1参照)。
4.2.2.2
チーム作業 このチーム作業や人的交流こそがコントロールルームで達成されるべき主要な任
務にとって重要なものであるとみなされているので,多数のオペレータが働くコントロールルームの配置
は,チーム作業やオペレータの人的交流が容易に行えるものであることが望ましい。
4.2.2.3
管理運用上の要因 コントロールルームの配置計画は,統括者の責任と,それを果たすための条
件を反映したものであることが望ましい。
4.2.2.4
運転管理上の連携 コントロールルーム配置計画の目的は,視線,直接対話など運転管理上のか
ぎとなる連携動作を最も効果的に行えるようにする(4.4.1参照)。
4.2.3
ワークステーションの配置
4.2.3.1
室配置計画 コントロールルームでは,それぞれの作業位置間が極端に密,又は疎でないほうが
よい。配置は,実際的な範囲で,オペレータ同士が直接対話でき,かつ,オペレータ同士の間が極端に狭
すぎないほうがよい(4.4.1参照)。
4.2.3.2
一貫性 意思決定及びチーム作業を促進するために,コントロールセンター,同一プラント又は
施設内にあり,かつ,類似機能をもった複数のコントロールルームの室内配置計画は,同一の人間工学上
の原則を適用することが望ましい。
4.2.3.3
身体障害者 身体障害をもつオペレータや一般的障害をもつ来訪者が予測される場合には,コン
トロールルームは,それに対して適切な設備を備えていることが望ましい(4.4.5参照)。
参考 国内法規が,この規格に優先する場合もある。
4.2.3.4
姿勢変換 一連の作業中に姿勢を変えることは,人間工学的に見てもよいことであり,もしそれ
が実際的であるならば,オペレータがときどき姿勢を変えたり,ときどきワークステーションから離れた
りできるような配置や作業手順にしておくことが望ましい(ISO/FDIS 9241-5参照)。
参考 これは,主責務及び緊急時対応を阻害しない限りにおいて,ワークステーション外の機器を主
たる作業位置から離れたところに置くことで実現できる。
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Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
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4.2.3.5
身体寸法 コントロールルームやワークステーション配置の寸法,諸元は,座った位置でのワー
クステーションの視野などのように,それを利用する人々の体格によるので,これら諸元がオペレータた
ちの身体寸法の範囲を含むように考慮しなければならない(4.5.1参照)。
4.2.3.6
窓 視覚表示器を使用するオペレータは,窓を通してしか基本的な情報を得られないのでない限
り,窓に向かって位置しないほうがよい。オペレータの背後に窓があるようなワークステーションの配置
も表示画面に反射を生じることがあるので,避けるほうがよい。万一オペレータが視覚表示器を使ってい
ながら窓に向かわざるを得ないときは,輝度差によるげん惑(グレア)が生じないようにすることが望ま
しい(附属書A図A.4参照)。
4.2.4
ワークステーション外共用視覚表示器 コントロールルームは,オペレータの作業に必要なすべて
のワークステーション外視覚表示器が,関連するすべてのワークステーションから確実に見えるように配
置しなければならない(4.5.1参照)。
4.2.5
人の動線及び保守作業 コントロールルームスタッフ,保守要員,来訪者(見学者)の通行が極力
オペレータの作業の邪魔にならないようにすることが望ましい(4.6.1参照)。
統括者の位置が新たにコントロールルーム外からの動線を生じる可能性があるときは,これらは主出入
口近くに置くことが望ましい(4.6.1参照)。
運用にかかわる区域には一般的な通行を制限する手段を講じることが望ましい(4.6.1参照)。
コントロールルームの配置計画に当たって,保守作業に関する要求事項を考慮しなければならない(4.6.2
参照)。
4.2.6
コントロールルーム配置計画の検証及び妥当性確認 検証 (Verification) とは,あるものが定めら
れた仕様に基づいて設計され建設されたことを確認する一連の作業とする。妥当性確認 (Validation) とは,
開発又は建設された対象が意図した作業を進め得るものであることを確認する一連の作業とする。
検証及び妥当性確認は,一連の設計の過程に組み込まれているのがよく,設計初期段階,詳細設計段階,
試作品開発段階のそれぞれにおいても併行的に行われることが望ましい。検証及び妥当性確認は,設計を
進めていく過程で繰返し行われることが望ましい。
参考 検証及び妥当性確認は,設計者に最もよい解決法に至るフィードバックを与える作業である。
検証及び妥当性確認のための手法や技法にはいろいろなものがある。
それらは,例えば,次のものである。
− 指針による評価(チェックリストの利用)。すなわち,設計審査のためにヒューマンファク
ター指針及び規格を利用すること。
− リンク分析又は時系列分析など,異なるタスク分析技法。これらによってコミュニケーシ
ョン及びコーディネーションを検証・確認できる。
− “ウォーク・トーク スルー”技法の利用。これによって,新しい設計に際して意図した
ことが,あらかじめ立てた筋書き・順序立てに沿って起こることを検証・確認する。
こうした技法のためには,新しい設計を描き出すのにふさわしい,次のような表現方法を必
要とする。
− 図面及び写真による表現
− 旧知の原寸モックアップ又は縮尺模型
− CADによるコンピュータモデル
さらには,より進んだツールとして,バーチャルリアリティー技法を用いたモックアップも
可能である。
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Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
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4.2.7
文書化 人間工学的原則や規範に基づいて決定された事柄は,将来の更新計画に際してもそれらが
正しく反映されるように,文書化し,確実に保存することが望ましい(図3参照)。
4.3
建物に関する建築的推奨事項 以下の推奨事項は,コントロールルームを含む建物内の空間への配
慮に関するものとする。
4.3.1
平面空間計画
4.3.1.1
空間の選定 次の点を考慮する。
− コントロールルーム空間は,総延べ床面積ではなく,有効面積に基づいて決定することが望ましい。
− 提案又は計画されたコントロール領域内に,柱など構造上必要なもの,及び予期しない障害物がある
と,有効な空間が狭められ,配置が最適なものとならない結果に終わる。
− 床面積配分を見積もる際の目安となる経験値は,一作業場所当たり9m2〜15m2,最低でも9m2である。
これは,1人以上のオペレータが常駐する,通常の大きさの機器,座席,保守作業などを考慮した空
間として十分と考えられる。より詳細な所要空間は,タスク分析に基づかなければならない。この空
間計画は,“利用可能な”面積を基本とする。
参考 上記の数値は,人間工学的設計手法に基づいた運転管理室で実際に使われている空間の調査結
果によるものである。一作業位置当たり9m2〜15m2という数値は,ワークステーション一組(又
は一連)を含み,大形のワークステーション外共用視覚表示器を含まないコントロールルーム
についてのものである。大形の共用概要表示器が運用上主要な要素となるようなコントロール
ルームにおいては,その空間が50m2にもなることもある。
− 通常運転時以外にコントロールルーム内に追加要員が必要な場合には,これら人員のために十分な空
間を用意しておくのが望ましい。
− シフト(直)交替時に要員が多くなる場合には,通常のオペレータ席の側に予備の席を取っておくこ
とが望ましい。
− 機能的なグループの組合せは,正方形,円形,六角形などの空間が最も融通がきく(図4参照)。狭く
細長い空間は,選択の余地をはなはだ狭めるので避けるのがよい。
参考1. 室の形状によっては,騒音が集中しやすく,しばしば問題を生じることがある。六角形や円
形構造はこのうちに入る。
2. 曲面の壁は,将来のワークステーションの配置替えに際してしばしば制約となる。
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図4 室の形状及び機能的配置
4.3.1.2
将来の拡張 次の点を考慮する。
− 空間計画に当たっては,コントロールルームの寿命をも十分吟味したうえでの要求事項を考慮するの
がよく,作業量,要員数,機器台数などの将来の増加を見込むことが望ましい。寿命を10年〜20年
と見込むとすれば,これらの拡張のために25%くらいの余裕空間をとっておく。
4.3.2
垂直方向の空間計画 次の点を考慮する。
− 将来の変更,機器や人員,特に障害者の移動に関しては,段差のない床仕上げによるコントロールル
ームがより融通がきく。
− 設定されたコントロールエリアについては,天井高さも均一であることが望ましい。
− 経験的には,床スラブから天井スラブまでの高さは,床下,天井裏,間接照明,ワークステーション
外共用視覚表示器などの取付けを含めて最小4mが望ましい。
参考 実際にはそのような設計では,床仕上面から天井仕上面まで少なくとも3mになるであろう。
備考 図5に示す寸法表示は,男性99%値を基準としている。適宜,適切な使用者母集団を利用する
ことが望ましい。
− 照明光の散乱や乱反射を避けるために,凹凸のない天井が望ましい。同様に,壁やその他の内装材も
平面仕上げのものが望ましい。
− 床面の高さを変えることは,全体を見渡せること,統括監視のため,及び“共用区域”を区画確保す
ることに便利なこともある。ただし,つまずきなど安全上の障害を避け,人や機器の移動を容易にす
るためにスロープを考慮することが望ましい。
参考 複数のオペレータによるワークステーション外共用視覚表示器の視認性は,床面の高さを変え
ることで状況が改善されることが多い。
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注1) 使用者母集団の99%値
備考 諸寸法は,例として示す。
図5 垂直方向の空間条件
4.3.3
出入口及び通路 次の点を考慮する。
− 出入口の位置と数に関しては,オペレータの人数,コントロールルーム外の区域との機能的なつなが
りなどの要因を考慮することが望ましい。
− 保安及びスタッフ管理のために,主出入口は1か所にすることが望ましい。ただし,他の非常口の設
置が必要なこともある。
− 入口の位置は,洗面所,休憩室,統括者オフィスなど,コントロールルーム周辺の支援機能との関連
性を考慮することが望ましい。
− 出入口の大きさは,オペレータ,障害のある来訪者や,機器の移動,コントロールルームで使用する
保守用機器の搬入用台車が通行できるものであることが望ましい。機器搬入用入口の大きさがあれば,
車いすも通ることができる。
− “作業許可書”,キー,文書の受渡しなどのためにコントロールルームへの出入りが必要な場合には,
通行順路や一時的な待合い場所も考慮に入れることが望ましい。
− “作業許可書”などの書類受渡しのためのカウンターを設ける場合は,入口近くか特定の作業場所に
近いところに設けることが望ましい。
− 出入口に関連して床に段差を付けるときは,危険防止のために適切な手段を講じることが望ましい(ガ
ードレール,手すり,滑り止めなど。)。
参考 国内法規が,この規格に優先する場合もあり得る。
4.3.4
窓 ワークステーションに用いられている視覚表示器とその周囲で大きな輝度の差があってはな
らない。順次頻繁に見渡す作業領域(例えば,スクリーン,書類,窓)内での輝度の比は,10 : 1以下が
望ましい。
二つの領域の輝度の比が100 : 1となると,大きくはないが明らかに効率低下が起こり得るので,表示器
12
Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
のげん惑防止策は,確実に行わなければならない(JIS Z 8513参照)。
ここでは,次の状況について述べる。
参考1. コントロールルームの窓は,明かり取りのためよりも,運用上,心理的,及び生活習慣上の
理由から設けられるものである。
2. 静止視野の範囲内では,作業領域とその周辺(例えば,表示器の外枠と壁面)の輝度の比は
ずっと大きくても許されるし,逆効果もない。
3. 窓について計画する際には,しばしば(安全又は保安上の理由で)コントロールルームから
窓を除こうとする,ある矛盾した要請が生じ得る。一方オペレータの業務には,コントロー
ルルーム外から直接何らかの視覚情報を取り込むということが含まれていることもあり,こ
の場合はオペレータの視野内に窓が必要となる。
− 既設のコントロールルームに既に窓がある場合。
− 情報取込みのために窓を必要としない場合。
− 情報取込みのために窓を必要とする場合。
− コントロールルームの配置を確定した後でも窓を設けられる場合。
コントロールルームに窓がある場合,次の点を考慮する。
− 窓が基本的情報源でない限り,ワークステーションは窓に面してはならない。
− 表示器へのげん惑や邪魔な反射を避けるため,オペレータの背後に窓を配してはならない。
− 窓に操作可能なブラインドを付ける。
− ワークステーションの左右に窓を配置する場合は,ワークステーションから最小3m以上の間隔をと
る。
− 運転管理上の情報を窓を通して得る場合には,この情報の具体的内容をしっかりと定めておく。
− 会議や休憩のための空間には,コントロールルームとは違った視覚環境をもたせるために窓を設ける。
− 主要なワークステーションは,コントロールスイート内の運転管理に関係のない領域内にある窓から
見えないようにする。
− 窓は,コントロールルームの使用者が外の様子を一見して分かる大きさとする。空のまぶしさを減ら
すために淡い自然な色付けをするのはよい。
参考 暗すぎると外界が陰うつに見えてしまう。
4.3.5
来訪者 次の点を考慮する。
− 作業ロードが低いときに,オペレータが本を読んでいたり軽飲食するという“私的な行為”が,来訪
者(見学者)の目に触れないようにすることが望ましい。このためには,来訪者が自由に立ち入れる
領域からワークステーションの作業面が簡単に見えないように遮へいすることが望ましい。
− 来訪者のための施設は,コントロールスイートとして当然備えるべきものとして計画の当初から考慮
に入れることが望ましい。
− 機密的な情報が表示されているときは,公開の見学場所からは見えないほうがよい。
− 公開の見学場所は,オペレータに,来訪者の“見世物”にされていると感じさせないように設計する
ことが望ましい。
− コントロールルーム内に一段高い見学用ギャラリーを設ける場合は,それがコントロールルーム内の
自然・人工光に影響するかもしれないことも考慮することが望ましい。
4.4
ワークステーションの配置 コントロールルーム内でのワークステーションの水平及び垂直方向の
配置に関する要求事項と推奨事項は,次による。
13
Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.4.1
平面配置 次の点を考慮する。
− ワークステーションの配置に先立って,オペレータの音声伝達,視線,又は会話などの作業リンクを
リンク連関表で文書化し,複数の配置案を査定できる基準を設定しておくのが望ましい(図3参照)。
この連関表には,直接視覚リンク,メッセージ伝達リンク,共用機器を介したリンクなどの要求条件
を第一位及び第二位の運用上の手段として入れておく。
− 多数のワークステーションの配置案を考えるときには,次の要素を考慮することが望ましい。
a) ワークステーションは,各個人の専用か,共用か。
b) 各ワークステーションは同じものか。
c) すべての操作は一つのワークステーションで実行できるか,仕事は幾つかのワークステーションに分
散されるか。
参考 ワークステーション群をまとめて一つの単位を形成する場合,ワークステーションの周りのオ
ペレータの配置いかんによって得られる効果は異なる(附属書A参照)。
− ある場所から別の場所にオペレータを移動させることも容易になり,研修期間や間違いを減らすこと
ができるので,同じシステムで動いている幾つかのコントロールルームを様々な場所や国に設置する
場合は,いずれにも同様の配置を採用することが望ましい。
− ワークステーションの配置では,正常及び異常モードのシステム操作を考慮しなければならない。例
えば,紙又は他の非電気的手段を用いた情報伝達の代替システムを用意しておく。
− 空調システム,照明機器,窓が既に取り付けられているところでは,ワークステーションの配置は,
これらを考慮して,すき間風,まぶしい光など視覚表示画面のげん惑を避けるよう考慮することが望
ましい。
− オペレータが,グループで集まってコントロールルーム内で雑談することを考慮したほうがよい。そ
れによって,オペレータが効率を落とさずに各個人間で(コントロールルームでの操作にかかわりの
ない)非公式な会話ができる。大きなコントロールルームでは,暇な時間帯で在室するスタッフの数
が減っているときにも,このような非公式なつながりを保てるように特別な配慮をすることが望まし
い。
− ワークステーションの配置は,スタッフの数が最大のときにも最小のときにも,運用上満足できる作
業環境が確保されることが望ましい。
− ワークステーションの配置は,オペレータが職務の一環として必要な資料や,緊急時に必要な資料な
ど,あらゆる必要な参照資料が使いやすく保管され,表示されるようになっていることが望ましい。
− 立っているオペレータに対しては,資料の適切な収納場所や表示器,及びその使い方について特別に
配慮することが望ましい。
− ワークステーションが一つにまとめられているところでは,隣接した人との最短距離は,各個人が互
いの“密接領域”内に座ることにならないようにすることが望ましい。時折の接近作業は許されると
しても,長時間にわたる作業位置は,オペレータが互いの密接領域を侵さないことが望ましい。
− オペレータ間の間隔については,共用する装置を考慮することが望ましく,その場合,どちらからも
手が届く範囲,又は騒音による干渉の可能性について配慮する。
− 最初の室内配置計画のために,ワークステーションの概略的なサイズを決めるには,装置の大きさ,
作業平面,ワークステーションの収納場所条件,及び障害をもつ作業者のための便宜などの要素を考
慮することが望ましい。いかなる配置でも,最終決定する前に,ワークステーションと部屋について
の試行を通じて十分に検討することが望ましい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
− 通常のオペレータに近接して置く装置のための付加的な空間や,分離した個別の訓練用ワークステー
ションなどの室内配置の選定に当たっては,オペレータの訓練のための要求事項に注意を払うことが
望ましい。
− 配置には,保守上の要求事項,技能者の作業空間及び機器搬出入のための作業空間を考慮することが
望ましい。かさばるものを扱う場所では,特に配慮が必要である。
− 一般にワークステーションは,通常動線から枝線を作れないような配置が望ましい。ただし,このた
めに実際に物理的な障壁を設けることは望ましくない。
− ワークステーションは,運用上必要のない限り,視覚的に気が散らないように,通常の操作位置から
は,入口や出口ができるだけ見えないように配置することが望ましい。
4.4.2
統括用ワークステーション コントロールルームによっては,あるワークステーションは統括用と
して設定される。次の幾つかの付加的な要求事項は,コントロールルーム内でのそれらの位置に関連する
ものとする。
− 統括用ワークステーションには,ときどきその位置で保管,表示及び使用する必要のある,付加的な
参照資料のことを十分に考慮することが望ましい。
− 統括用ワークステーションの配置に当たっては,統括者の主な職務が,システム,オペレータ,又は
その両方の管理のうちのどれであるかを早めに決定するのが望ましい。システム監視のためには,装
置の位置を最優先した配置とする。直接的なオペレータ統括のためには,各ワークステーションの室
内での位置とワークステーション相互の位置関係がより大切になる。
− 配置には,統括者の周りの付加的な動線や来訪者のための一時的な便宜を考慮することが望ましい。
− 重大な事態が統括領域において取り扱われる場合は,地図,図表,又は作業手順を表示するための特
別な垂直表示画面の設置を考慮するのが望ましい。一時的に増加する支援要員をこの領域内に収容す
るために必要となる追加空間についても考慮することが望ましい。
− 重大事態をコントロールルーム内の統括領域で扱わないときは,コントロールスイート配置計画のな
かで,重大事態を扱う別の領域を用意することが望ましい。
4.4.3
垂直方向の配置 高低のある床面という解決法を採ろうと考えるときには,次のような欠点もある
ことを考慮したほうがよい。
− 直接視線を交わすこと,会話を交わすこと,及び雑談することを妨げることがある。
− 人々の移動の障害となることがある。
− 大形機器の移動に制約が生じることがある。
− 将来,部屋の配置変更がやりにくくなり,柔軟性が乏しくなることがある。
− ワークステーションの高さやオペレータの位置がばらばらだったりすると,照明及び空調の管理に特
別な注意が必要となることがある。
− 車いすでの通行のために,スロープ又はリフトを用意しなければならず,余分な空間が必要になる。
参考 コントロールルーム内で床の高さを変えることで,共用の概要視覚表示器を見やすくしたり,
オペレータ同士が視線を交わしやすくしたりできる。こうした利点は,コントロールルームの
注意深い配置,又は概要視覚表示器の重複というような,別の方法によっても達成できる。
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4.4.4
補助ワークステーション 通常のワークステーションにすべての機器を装備すること,又は参照資
料を保管することが実用的でないような部分(作業のピーク時に負荷を分担する部分)については,補助
ワークステーションを設けることが望ましい。そのような補助ワークステーションの配置や設計は,タス
ク分析に基づいた主ワークステーションの位置やそれらの配置に用いたのと同じ人間工学的原則に従うこ
とが望ましい。
4.4.5
ワークステーション配置計画についての追加留意事項 次の点を考慮する。
− ワークステーションの配置計画については,将来的な要求事項をも考慮することが望ましい。コント
ロールルームのワークステーション配置計画は,当初の運用と同様に,計画した寿命の最終段階にお
いて求められるであろう要求事項をも考慮することが望ましい。このような考慮とは,機器類や追加
の作業場所及び運用手順の変更などの面から,最も起こることがある改良を含んだものをいう。
− コントロールルーム配置計画の過程では,身体障害者に関する要求事項を考慮することが望ましい。
これらは,例えば,動線領域を広げたり,車いす通行のためのスロープを設けたりすることである(附
属書A.5参照)。
参考 国内法規がこの規格に優先する場合もあり得る。
− ハードコピー情報は,それがコントロールルーム内で最も便利に使えるように分類して保存されてい
ることが望ましい。表1はその分類例を示す。
表1 コントロールルームでの保管:分類
保管上の要求事項
代表的な場所
例
即時利用
主ワークステーション
操作手順
優先電話番号
緊急手順
診断リスト
大形図表
補助利用
補助ワークステーション
近接ワークステーション
内線電話帳
補助操作手順
建築/設計図面類
臨時利用
書架
重大でない装置の故障対応手順
− 私物を保管するために,コントロールルーム内のワークステーション(かばんや財布),及びコントロ
ール領域外のロッカールーム(衣類など)の双方に,適切な場所を設けることが望ましい。
− ときとして,一時的にコントロールルームで作業する必要がある現場オペレータ及び補助オペレータ
のような,二次的な使用者に関する要求事項も考慮されることが望ましい。これはしばしば,文書業
務のための作業台や,適当な座席及びコートやヘルメットの置き場所を含む。これらの要求事項はす
べて,適切なタスク分析を行ってきちんと決定されることが望ましい。
4.5
ワークステーション外共用視覚表示器 コントロールルーム内でワークステーションの外にある大
形の共用視覚表示器の設置場所に関する要求事項は,次による。概要視覚表示器としては,CCTVによる
多景観モニタ,映像プロジェクタ,固定配線式モザイク,諦止描画配置図,図表など種々の技法が利用で
きる。コントロールルームの配置設計に当たって,これらの多様な技法のどれかを採用しようとするなら
ば,それぞれの技法のもつ制約をもまた,考慮することが望ましい。これら制約とは,視角の限界,輝度
比,画面構成などをいう。
これら制約条件のために大形の共用表示器が配置できない場合には,同じ情報を各ワークステーション
に小さく表示することを検討するのが望ましい。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.5.1
水平及び垂直方向の視距離 次の点を考慮する。
− ワークステーション外共用視覚表示器を,通常的又は連続的に使用する場合は,それらがオペレータ
の正面にあって,ワークステーションから視線を上げたときすぐに視野に入り,また,視線を振るだ
けで全体が見渡せることが望ましい(ISO 11428及び図6参照)。
備考 この平面図は,配置の一般概念を示す。
図6 ワークステーション外視覚表示器の好ましい配置例
− ワークステーション外共用視覚表示器に提示されている情報が,ワークステーション操作中には読み
取る必要がないものであったり,単に二次的情報であったりする場合は,表示器はワークステーショ
ンの横方向に配置してもよい。この場合,その位置は,オペレータが通常の作業位置から単にいすを
回して体を向けるだけで,必要な情報が確実に読み取れるところが望ましい。
− 非常に大形のワークステーション外視覚表示器を常時連続して監視する必要のある場合には,共通の
表示をする各区画は,その情報を必要とするオペレータが,効果的,かつ,容易に監視できるよう割
り付けることが望ましい。
− オペレータがワークステーション外概要視覚表示器上の情報を常時使用する場合,その視覚表示器の
設計,及びコントロールルームの配置は,オペレータの通常の作業位置から表示データが縦横両方向
ともに全部読み取れるものであることが望ましい。
− 共用概要視覚表示器上の情報は,身体の大きさが5%〜95%値に分布するオペレータの通常作業位置か
ら読み取れなければならない(附属書B参照)。安全上重要な情報を表示する必要がある場合には,
この分布を超えている人も対象とすることが望ましい。
− ワークステーション外視覚表示器の最下段に表示される運転情報は,身体の大きさが5%値のオペレ
ータが普通に座った位置から読み取れなければならない。この寸法決定のためには,次の式を推奨す
る。
(
)
d
D
H
H
d
D
H
H
c
c
e
c
+
−
+
−
=
1
···························································· (1)
ここに,
H1: 表示器の可視最低位置
He: 床から眼球外側までの設計眼高位置;5%値を採用する。
備考 Heは,調整済のいす座面高と“座眼高”(附属書B参照)
の和である。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
Hc: コンソール上端の高さ
D: コンソール前端からパネルまでの水平距離
Dc: コンソールの奥行き
d: 視点からコンソール前端までの水平距離
各部寸法の説明は,図7を参照。
図7 ワークステーションの高さと下方視界の関係
備考 オペレータの人体寸法値については,適切なものを採用することが望ましい。附属書Bに参考
データを示す。
4.5.2
共用視覚表示器とその他の設備との関係 次の点を考慮する。
− 窓は,共用視覚表示器の隣り,又は同一視野内にないことが望ましい。
− 室内人工照明は,共用視覚表示器のいかなる部分の視認性をも妨げないことが望ましい。
− 共用視覚表示器周辺の仕上げは,その表示装置のいかなる部分の視認性をも妨げないように,注意深
く調整することが望ましい。
− 出入口は,主な共用視覚表示器の視野の外にあることが望ましい。
4.6
人の動線及び保守作業 一般的な動線や保守作業及び清掃のために適切な空間を確保することに関
する要求事項と推奨事項は,次による。
4.6.1
人の動線 次の点を考慮する。
− 一般的に監視・制御作業を視覚的,聴覚的に妨害しないような動線が望ましい。
− シフトの引継ぎが長引き,二つのチームが同時に居合わせる場合も,動線が適切になるよう空間を配
慮することが望ましい。
− コントロールルームは,整然と部屋から退避できるように配置しなければならない。
− コントロールルームの動線は,交差しないように配置することが望ましい。
− 天井高に制限がある場合は,その旨,表示することが望ましい。この場合,警告表示は天井に取り付
ける。
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− 一人の人間が直立姿勢で前進する際,次の公式で必要な最小空間寸法を算出するのが望ましい(図8
参照)。
道具箱を持っているときは余分な空間を必要とする。
図8 人の最小移動空間
緊急性のない出口:
A=h (P95) +x ·········································································· (2)
B=a (P95) +y ·········································································· (3)
非常口:
Aem=h (P99) +x ········································································ (4)
Bem=a (P99) +y ········································································ (5)
ここに,
A: 開口高さ(非常口:Aem)
B: 開口幅(非常口:Bem)
h: 身長(体の高さ)
a: ひじからひじの幅
x: 高さ余裕(ヘルメット,帽子,靴の高さといった項目のた
めの適切な余裕をとるため)
y: 幅余裕(かさばった服などの適切な余裕をとるため)
P: %値
P95: 使用者母集団の95%値
P99: 使用者母集団の99%値
参考 人間の身体計測の定義については,ISO 7250を参照。さらに国内法規がこの規格に優先する場
合もあり得る。
− 非常口は,使用者母集団の99%値を利用しなければならないが,非常口でない場合は95%値を利用し
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てもよい。
参考 これらの値は,使用者母集団から引き出されるものである。ただし,歩行を考えて余裕をとっ
た場合は,95%値と99%値の違いは,それほど大きくはならない。
− 二人の人間が移動するための空間幅は,道具箱や携帯品を想定した余裕も含めて上の公式の2倍とす
ることが望ましい。
− 固定物は,ドアが挟まないようにそのドアの回転範囲から十分に離すことが望ましい。ドアの動きを
設計する際には,人が火,煙又は有毒ガスによって意識を失って倒れ,ドアの動きを邪魔してしまう
恐れを考慮することが望ましい。
− 車いすの利用者のためには,最も大きい車いすの最大幅,及び車いすを推進させる両ひじのための余
裕をとる必要がある(図9参照)。
− 車いすの利用者は,方向転換のためにさらに空間を必要とする。コントロールルーム内の適切な場所
にこのための空間を確保することが望ましい。附属書Aは,指針となる幾つかの寸法を示している。
備考 寸法は,附属書Aを参照
図9 車いすのための必要空間
4.6.2
保守作業空間 次の点を考慮する。
− 保守作業中にうっかり機器やシステムを動作させないように,ゆとりのある空間を確保しなければな
らない。
− 経験的には,モザイクパネル上の機器類は,視認性及び保守性を確保するために,床から700mm以
上の高さに取り付けるのが望ましい。
− 運転業務を邪魔しないように,ワークステーションの背面から保守作業ができることが望ましい。ワ
ークステーションの後には,保守要員がひざをついて作業できるように,適切な空間を確保すること
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が望ましい。
指針として,全世界使用者母集団を基にした推奨空間寸法を図10に示す。
− ワークステーション外の盤や表示器は,ときとして背面からの保守作業を必要とし,盤の裏側の機器
に対しては,使用者母集団の95%値(附属書B参照)の大きな保守要員が,脚立を使ったり道具箱を
運んだりすることを考慮して,適切な空間を確保しなければならない。
− 重い物や容積の大きな装置を移動しなければならない場合は,手動で扱えるような適切な指針を考え
ておくのがよい。すなわち,ときとして機械的補助装置やホイストのつり下げ具を備えておくこと。
空調などの設備ダクトやそれにつながる装置への保守作業は,可能ならば,コントロールルームの
外からできることが望ましい。
備考 寸法は,表2と附属書Bを参照
図10 コントロールパネルの保守に必要な最小空間
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表2 考慮すべき最小空間及び余裕
項目a
最小必要空間 mm
考慮すべき余裕
A
1 910
一番大きい保守作業員
95%値b
30
靴
B
700
一番大きい保守作業員
95%値
C
760
一番大きい保守作業員
95%値
D
1 500
一番大きい保守作業員
95%値
E
760
一番大きい保守作業員
95%値
F
1 370
一番大きい保守作業員
95%値
30
靴
G
760
一番大きい保守作業員
95%値
H
1 220
一番大きい保守作業員
95%値
注a これらの項目は保守作業姿勢に関係しており,図10に示
す。
b
P95:使用者母集団の95%値
備考 この表は全世界使用者母集団のデータであり,よりふさわ
しい使用者母集団のデータがあれば,それを使用すること
が望ましい。
4.6.3
清掃 次の点を考慮する。
− 清掃中のうっかりした挙動で,安全上重要な制御器が作動してはならない。
− 電気のコンセントは,オペレータの邪魔をしないように,また,電気的な障害を引き起こさないよう
に,使用する清掃用機器や必要な保守作業で使うのに十分な数を用意することが望ましい。
− 機器又はじゅう器にすき間がある場合は,清掃作業ができるように適切な間隔を確保することが望ま
しい。
− 清掃作業は,コントロールルームでの仕事を妨げないようにすることが望ましい。
− コントロールルーム内で,気分転換のための飲食などが許可されている場合は,時として適切な特別
な配慮を必要とする。
− 清掃中,不適切な作業姿勢や動作が起こらないように,コントロールルーム内の配置を計画すること
が望ましい。
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附属書A(参考) コントロールルームの配置例
この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
A.1. 一般 A.2及びA.3に示す図入りの表は,ワークステーションのいろいろな配置法を示している。配
置に際して行うべき検討要因は,ワークステーション外共用視覚表示器の視認性,コントロールルームオ
ペレータ同士の連携,監督者とオペレータの連絡がある。この図のねらいは,コントロールワークステー
ションの各種配置構成の長所,短所を示すものであり,必ずしもこのようにしなければならないというも
のではない。
図を含んだこれらの表には,それぞれの配置計画の運用上の特徴を一覧にした。表には考えられる限り
の幅広い配置例を示した。最も適切な配置はタスク分析によって決定されることが望ましい。
2
3
Z
8
5
0
3
-3
:
1
9
9
9
(I
S
O
/F
D
IS
1
1
0
6
4
-3
:
1
9
9
9
)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.2 ワークステーションの一般的な配置構成
附属書A表A.1 ワークステーションの一般的な配置構成
ワークステーションのグループ化
直線配列 1列
円弧配列 1列
オペレータは円弧の内
円弧配列 1列
オペレータは円弧の外
直線又は円弧配列
2列 (1A)
直線又は円弧配列
2列 (1B)
直線又は円弧配列
2列 (1C)
凡例
特徴
オペレータ間
オペレータグループ間
ワークステーションの共有化
0
+
−
−
−a
−
視覚表示器の共有化
+
+
0
−
−c
+b
直接的な視線交差
−
−
0
+
−
−
発声による伝達
0
−
0
+
−a
−a
ノイズの介入
0
+
0
−
+
0
伝達のための文書受注
0
+
−
−
0a
−a
書類による作業における収集及び分配
+
+
+
+
−
−
チームによる作業
0
0
0
+
−
−
グループの分割
−
−
−
+
+
+
装置の保守作業
+
+
0
−a
+
0
凡例
+:良い
0:普通
−:悪い
a オペレータは振り向くか又は動かなければならない。
b オペレータグループによる視覚表示器の共有性を確保するために,ワークステーションの慎重な位置決めが要求さ
れる。
c
それぞれのオペレータグループはそれぞれ別の表示器を共有する可能性がある。
d 配置の正碓性に依存する−オペレータがその外側にいる円弧配列の場合は良い。オペレータがその内側にいる円弧
配列の場合は悪い。
2
4
Z
8
5
0
3
-3
:
1
9
9
9
(I
S
O
/F
D
IS
1
1
0
6
4
-3
:
1
9
9
9
)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ワークステーションのグループ化
直線配列 1列
円弧配列 1列
オペレータは円弧の内
円弧配列 1列
オペレータは円弧の外
直線又は円弧配列
2列 (1A)
直線又は円弧配列
2列 (1B)
直線又は円弧配列
2列 (1C)
例
直線配列
円弧配列
オペレータは円弧の内側
円弧配列
オペレータは円弧の外側
2
5
Z
8
5
0
3
-3
:
1
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9
9
(I
S
O
/F
D
IS
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1
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6
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-3
:
1
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9
9
)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.3 統括用ワークステーションを含むワークステーションの配置構成
附属書A表A.2.1 統括用ワークステーションを含むワークステーションの配置構成
統括用ワークステーションの位置
直線又は円弧配列
1列 (2A)
直線又は円弧配列
1列 (2B)
直線又は円弧配列
1列 (2C)
直線又は円弧配列
1列 (2D)
直線又は円弧配列
1列 (2E)
直線又は円弧配列
1列 (2F)
特徴
統括者及びオペレータ間
ワークステーションの共有化
+a
−
−
−
−
−a
視覚表示器の共有化
+
−
0
−b
−b
+b
直接的な視線交差
−
0c
+c
−
+c
−
発声による伝達
−a
+c
0c
−
+c
−d
ノイズの介入
0
−
0
−
0
+
伝達のための文書受渡
+
+
0
0
−
−
書類による作業における収集及び分配
+
+
+
−
+
0
統括者の代役
+e
−
0e
−e
−
−
統括者によるオペレータの訓練
+e
0e
0e
0e
−
−
装置の保守作業
+
+
+
−
+
0
凡例
+:良い しやすい
0:普通
−:悪い しにくい
a 配置の正確性に依存する−オペレータがその内側にいる円弧配列の場合は良い。オペレータがその外側にいる円弧
配列の場合は悪い。
b オペレータグループによる視覚表示器の共有性を確保するために,ワークステーションの慎重な位置決めが要求さ
れる。
c
配置の正碓性に依存する−オペレータがその外側にいる円弧配列の場合は良い。オペレータがその内側にいる円弧
配列の場合は悪い。
d オペレータは振り向くか又は動かなければならない。
e
オペレータが統括者に近接している場合は,良い又はしやすい。
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:
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)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
統括用ワークステーションの位置
直線又は円弧配列
1列 (2A)
直線又は円弧配列
1列 (2B)
直線又は円弧配列
1列 (2C)
直線又は円弧配列
1列 (2D)
直線又は円弧配列
1列 (2E)
直線又は円弧配列
1列 (2F)
例
直線配列
円弧配列
オペレータは円弧の内側
円弧配列
オペレータは円弧の外側
2
7
Z
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1
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(I
S
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/F
D
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:
1
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)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A表A.2.2 統括用ワークステーションを含むワークステーションの配置構成
統括用ワークステーションの位置
直線又は円弧配列
2列 (2G)
直線又は円弧配列
2列 (2H)
直線又は円弧配列
2列 (2I)
直線又は円弧配列
2列 (2J)
直線又は円弧配列
2列 (2K)
直線又は円弧配列
2列 (2L)
特徴
統括者及びオペレータ間
ワークステーションの共有化
−
−
−
+
−
−
視覚表示器の共有化
−
−
−a
−b
−a
+a
直接的な視線交差
+b
0
−
−
+b
−
発声による伝達
+d
0c
0cd
−
+
−c
ノイズの介人
−
−
0
+
−
+
伝達のための文書受渡
+
0
+
+
0
−c
書類による作業における収集及び分配
+
0
−
0
−
−
統括者の代役
0d
−
+d
0d
0
−
統括者によるオペレータの訓練
0d
−
−d
+d
−
0
装置の保守作業
−b
−b
0
+
0
0
凡例
+:良い しやすい
0:普通
−:悪い しにくい
a オペレータグループによる視覚表示器の共有性を確保するためにワークステーションの慎重な位置決めが要求さ
れる。
b 配置の正碓性に依存する−オペレータがその外側にいる円弧配列の場合は良い。オペレータがその内側にいる円弧
配列の場合は悪い。
c
オペレータ又は統括者は振り向くか又は動かなければならない。
d オペレータが統括者に近接している場合は,良い又はしやすい。
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Z
8
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:
1
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(I
S
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/F
D
IS
1
1
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:
1
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9
)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
統括用ワークステーションの位置
直線又は円弧配列
2列 (2G)
直線又は円弧配列
2列 (2H)
直線又は円弧配列
2列 (2I)
直線又は円弧配列
2列 (2J)
直線又は円弧配列
2列 (2K)
直線又は円弧配列
2列 (2L)
例
直線配列
円弧配列
オペレータは円弧の内側
円弧配列
オペレータは円弧の外側
29
Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.4 視覚表示器と窓の位置関係
附属書A図A.1 外を直接見る場合の推奨視界限界
附属書A図A.2 外光によるグレアを低減するための日よけの利用
備考 通常は,窓の手前にワークステーション,すなわち画面表示器を設置することは避ける。
しかし,運用上の理由から,視常表示器を使いながら外を兄る場合もあり得る。
附属書A図A.3 配置の種類
30
Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.5 車いす使用者に関しての指針となる寸法 動力源のない手動車いすの最小移動余裕は,車いすの幅に
加え,車輪を回転させるためのひじ余裕をみた余裕空間である[附属書A図A.4のb)参照]
次に幾つかの典型的な余裕を示す。
余裕
記号a
備考
最小限界値mm
好ましい最小値mm
B
車いすの全長+フットレスト+余裕
1 100
1 200
C
車いすの幅+ひじ余裕
750
900
注a 図9参照
附属書A図A.4 車いすの転回空間
31
Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B(参考) 世界人口を対象とした使用者母集団の人体寸法
この附属書(参考)は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
人体寸法a)
5%値b)mm
95%値c)mm
身長
1 390
1 910
座高
740
1 000
座面眼距離
620
880
肩幅(三角筋間幅)d)
320
500
肩幅(肩峰点幅)
285
430
腰幅(立位)
260
410
ひざ高
405
600
下脚長(ひかがみ高)
320
505
ひじ−握りこぶし長
270
410
しり(でん)−しょう(くびす,つぐ)長
450
670
しり(でん)−かかと長
830
1 190
腰幅(座位)
260
440
足の長さ
200
300
注a) Hans W. Jungens, Iver A. Aune, Ursula Pieper : International data on anthropometry,
Occupational satety and health series N・65 (the International labour office, Geneva, 出版)
による。
(ISO 7250も参照のこと)
b) 5%値“小形”母集団から導かれる物理的サイズの代表値。すなわち,この下限値より
下には5%の値しかない(すなわち,この下限値より下には母集団の5%しか含まれな
い。)。
c) 95%値“大形”母集団から導かれる物理的サイズの代表値。すなわち,この上限値より
上には5%の値しかない(すなわち,この上限値より上には母集団の5%しか含まれな
い。)。
d) 概算値としてこの寸法は,もし使用者母集団にとって有効な数値が特にない場合に,
“ひじ・ひじ間”寸法値として使われる。“ひじ・ひじ間”幅は,自然に上腕がまっす
ぐ下りており,手が大たい上にある状態での座位における最大幅であり,それはひじ
高さにある。
備考 上表は世界母集団を基としている。同等な使用者母集団が得られる場合は,それに基
づくデータを使うことが望ましい。
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Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] The Hidden Dimension. Edward Hall, The Bodley Head, Great Britain (1966).
[2] Human Factors Guide for Nuclear Power Plant Control Room Development. Final Report 1984, EPRINP-3659.
Essex Corporation.
[3] WOODSON, W. E. Human Factors Design Handbook. McGraw Hill (1991).
[4] JURGENS, Hans W., AUNE, lvar A. and PIEPER, Ursula. International data on anthropometry. Occupational
safety and health series, No.65, International Labour Office, Geneva. English edition of the research report
“internationaler anthropometrischer Datenatlas”,published by the Federal Institute for Occupational Safety and
Health, Dortmund, Federal Republic of Germany. ISBN 92-2-106449-2. ISSN 0078-3129. First published 1990.
[5] The Guide to Reducing Human Error in Process Operations, The SRD Association, ISBN 0-85356-357-8.
(November 1991).
[6] AINSWORTH, L. K. and KIRWAN, B. , A Guide to Task Analysis. Taylor and Francis (1992).
[7] Nondiscrimination on the Basis of Disability by Public Accommodations and in Commercial Facilities : Final
Rule. Federal Register, Vol.56, No.144, 26 July, 1991, pp.35544 to 35691.
[8] STRAMLER, James H., Jr., The Dictionary for Human Factors Ergonomics. ISBN 0-8493-4236-8.
[9] PHEASANT, S. Bodyspace : Anthropometry, Ergonomics and Design. Taylor and Francis. ISBN
0-85066-352-0(1986).
[10] EN 547-1 : 1996, Safety of machinery−Human body measurements−Part 1 : Principles for determining the
dimensions required for openings for whole body access into machinery.
[11] EN 547-2 : 1996, Safety of machinery−Human body measurements−Part 2 : Principles for determining the
dimensions required for access openings.
[12] EN 547-3 : 1996, Safety of machinery−Human body measurements−Part 3 : Anthropometric data.
[13] IEC 964 : 1989, Design for control rooms of nuclear power plants.
[14] ISO/DIS 14738, Anthropometric requirements for the design of workstations at machinery.
33
Z 8503-3 : 1999 (ISO/FDIS 11064-3 : 1999)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS Z 8503-3(人間工学−コントロールセンターの設計−第3部:コントロールルームの配置計画)
原案作成委員会(第三分科会) 構成表
氏名
所属
(分科会主査)
森 剛 志
日揮株式会社
(幹事)
磯 野 誠
横河マーチャンダイジングデザイン株式会社
(委員)
宮 崎 正 浩
工業技術院標準部
橋 本 進
財団法人日本規格協会
河 野 龍太郎
東京電力株式会社
堀 野 定 雄
神奈川大学
中 込 常 雄
中込技術士事務所
出 家 任
プロセス計装制御技術協会
(東洋エンジニアリング株式会社)
藤 本 英 雄
計測自動制御学会(名古屋工業大学)
鳴 尾 孝 信
日本産業機械工業会(石川島播磨重工業株式会社)
西 村 正 秀
日本電機工業会(株式会社日立製作所)
有 光 隆 也
日本光電工業株式会社
富 松 脩
株式会社NECデザイン
山 岡 俊 樹
和歌山大学
若 井 正 一
日本建築学会(日本大学)