Z 8322:2003
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準
原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大
臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO 128-22:1999,Technical drawings -
General principles of presentation - Part 22 : Basic conventions and applications for leader lines and reference lines
を基礎として用いた。
JIS Z 8322には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考)他の規格に含まれている補助図記号
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
Z 8322:2003
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 1
3.1 引出線 (Leader line) ······································································································· 1
3.2 参照線 (Reference line) ···································································································· 2
4. 引出線の指示方法 ············································································································ 2
5. 参照線の表し方 ··············································································································· 3
6. 指示事項の表し方 ············································································································ 4
附属書A(参考)他の規格に含まれている補助図記号·································································· 6
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ··································································· 8
参考文献 ···························································································································· 10
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8322:2003
製図 ― 表示の一般原則 ―
引出線及び参照線の基本事項と適用
Technical drawings - General principles of presentation -
Basic conventions and applications for leader lines and reference lines
序文 この規格は,1999年に第1版として発行されたISO 128-22:1999,Technical drawings-General principles
of presentation - Part 22 : Basic conventions and applications for leader lines and reference linesを翻訳し,技術的
内容を変更して作成した日本工業規格である。ISO 128-22にはAnnex B (normative)(引出線に用いられる
補助記号“円”の意味と適用)があるが,ここでは引出線でない場合も示されており,間違いを引き起こ
すおそれがあること及び他の規格で規定されている内容であることから,これを削除した。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変
更の一覧表をその説明を付けて,附属書1に示す。
1. 適用範囲 この規格は,あらゆる種類の図面及び関連文書に含まれる引出線に関する規定だけでなく,
引出線及び参照線並びにその構成要素についての一般条項を規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide21に基づき,IDT(一致している),MOD(修
正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 128-22:1999,Technical drawings-General principles of presentation - Part 22 : Basic conventions
and applications for leader lines and reference lines (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS C 1082-1 電気技術文書−第1部:一般要求事項
備考 IEC 61082-1:1991,Preparation of documents used in electrotechnology - Part 1: General
requirements.からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8312 製図 − 表示の一般原則 − 線の基本原則
備考 ISO 128-20:1996,Technical drawings - General principle of presentation - Part 20 : Basic
conventions of linesが,この規格と一致している。
ISO 6428 Technical drawings - Requirements for microcopying.
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
3.1
引出線 (Leader line) 図示した形体を数値及び/又は指示事項(注記,技術的要求事項,アイテム)
とを結ぶ細い実線。
2
Z 8322:2003
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3.2
参照線 (Reference line) 引出線につなぐ水平又は垂直な直線で,その上側又は端に指示事項を表示
するための細い実線。
4. 引出線の指示方法 引出線は,JIS Z 8312に従い,細い実線で描く。この線は,関連する図や製図用
紙の枠に対し,ある角度で描くのが望ましい。また,例えば,ハッチング線のような近くにある線に対し
て平行にしない。関連する図の線とのなす角度は,15°以上とするのがよい(図1〜図13参照)。
引出線は,折り曲げてもよい(図5参照)。また,2本以上の引出線を一点にまとめてもよい(図2,図
5,図7,図8及び図11参照)。これらの線は,他の引出線,参照線,図記号又は寸法数値のような指示と
交差しないようにする。
引出線が形体に接する先端は,次のようにする。
− 引出線が外形線又は部品のエッジ,平面に図示された配管又は配線,図表又は線図に結び付けられる
場合には,開いた矢印,塗りつぶした矢印又は白抜きの矢印(頂角30°)のいずれかを付ける。また,
矢印は,引出線と他の線との交点,例えば,中心線との交点に結び付ける(図1〜図7参照)。
備考 数本の平行線を明示しなければならない場合には,矢印の代わりに斜線の端末記号を用いても
よい(IEC 61082-1参照)図8参照。
− 引出線を対象物の外形線の内側に結び付ける場合には,小さな黒丸(d=5×線の太さ)を付ける(図9
〜図11参照)。
− 引出線を寸法線と結び付ける場合には,端末記号は付けない(図12参照)。
− 引出線を中心線の交点と結び付ける場合には,矢印を付ける(図13参照)。
参考 ISO128-22:1999では,引出線を中心線の交点と結び付ける場合には,端末記号をつけないと規
定している。
図1
図2
図3
図4
3
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図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
5. 参照線の表し方 参照線は,JIS Z 8312に従って,細い実線で描く。参照線は,それぞれの引出線に
つなぐ。参照線は,図面を読む方向に描く。
参照線は,次に示すいずれかによって描く。
− 一定の長さ,例えば,参照線の線の太さの20倍(図15及び図16参照)
− 指示項目に合った長さ(図14,図17,図21及び図22参照)
4
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図14
図15
図16
図17
特別な指示をする場合(例えば,複数の引出線によって指示する場合)には,参照線を用いなければなら
ない(図15参照)。
しかし,引出線が図面を読む方向に描かれている場合,指示事項が引出線と同じ方向に書かれている場
合(図18参照)及び参照線が適用できない場合(図12,図19及び図20に描いた例を参照)には,参照
線を省いてもよい。
図18
図19
図20
参考 ISO 128-22:1999の図19は,引出線が水平に引き出されており,4.(引出線の指示方法)に反する
ので変更した。
6. 指示事項の表し方 引出線により指示する事項は,次のように表示する。
− 参照線の上側(図14,図17,図21,図22及び附属書A参照)
− 引出線又は参照線の後側(図16及び図18参照)
− 他の規格に従った図記号の周辺,内側又は後側(図21,図22及び附属書A参照)
指示事項は,ISO 6428に規定するマイクロフィルムに対する要求事項を考慮して,参照線の上側又は下
側に参照線の太さの約2倍の距離を空けて記入する。指示事項を参照線上に記入してはならない。また,
参照線に接してもいけない。
M20 × 2 - LH
5
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図21
異なった層(積層)及び組付けられた部品を1本の引出線で指示する場合には,指示事項の順序は積層や
部品の順序に合わせなければならない(図22参照)。
図22
6
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附属書A(参考)他の規格に含まれている補助図記号
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
No
補助図記号
JIS規格
対応国際規格
適用
1
JIS Z 3021
ISO 2553
溶接に関連する追加情報,
例えば,溶接工程の数の表
示
2
JIS Z 3021
ISO 2553
現場溶接の指示
3
JIS Z 3021
ISO 2553
溶接個所の指示
4
JIS B 0022
ISO 5459
データムターゲット記入枠
5
ISO 6433
アイテムの指示(ISO 6433
は,この方法だけを規定し
ているわけではない)
6
JIS B 0021
ISO/DIS1101
公差記入枠
7
JIS B 0021
ISO/DIS 1101
複数の幾何公差付き形体の
指示
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
No
補助図記号
JIS規格
対応国際規格
適用
8
JIS Z 8317
ISO 129
円弧の指示
9a
JIS B 0021:1998
表2
JIS B 0021:1998
10.1
ISO/DIS 1101:−
表2
ISO/DIS 1101:−
9.1
ISO
1302:1992
4.6
ISO 1302:1992
D.4
ISO
2553:1992
7.1
ISO 10135:1994
6.2
ISO 10135:1994
6.4
ISO 13715:1994
4.2
この記号“○”は,下記の
国際規格では次の意味を持
っている。
−輪郭全体の幾何(輪郭度)
公差
−横断面の全外周の幾何公
差
−部品の全周の表面性状
−全表面の表面粗さ
−部品全体の周縁溶接
−部品全体の形体,例えば
バリ
−全表面に適用する加工許
容値
−部品全体のエッジの同一
状態
a: 記号“○”は上記国際規格では異なった意味に使用されている。例えば,“全周(輪郭)”(ISO 1101) 及び“全表面
/エッジ”(ISO 1302/ISO 13715)。この残念な状況は,適用する総ての場合に対するあいまい性のない方法で置き換
えられるべきである(附属書A参照)。いかなる要求も部品の全表面/エッジに対して有効であれば,何の記号も必
要としないことを考慮にいれるべきである。この場合,一般的に有効な要求事項は,その部品の図形又は断面図の近
傍,表題欄の中かその付近又は一般注記用に設けたスペースに注記することにより規定されていなければならない。
参考 JIS B 0021:1998は,ISO/DIS 1101:1996と一致する。
8
Z 8322:2003
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS番号:年号
JIS Z 8322:2003
名称
製図−表示の一般原則−引出線及び参照線の基本事項
と適用
国際規格番号:年号
ISO 128-22:1999
名称和訳
Technical drawings ‒ General principles of presentation ‒ Part
22: Basic conventions and applications for leader lines and
reference lines
製図−表示の一般原則−第22部 引出線及び参照線の基本事
項と適用
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ)
(Ⅲ) 国際規格の規定 (Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごと
の評価及びその内容
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理
由及び今後の対策
国際規格
番号
表示個所:本文及び附属書
表示方法:図の変更及び削除
項目番号
内容
項目
番号 内容
項目ごとの評価 技術的差異の内容
1.適用範囲
あらゆる種類の図面及
び関連文書に用いる引
出線及び参照線並びに
その構成要素に関する
一般条項を規定
ISO 128-22 1.
JISと同じ。
IDT
2.引用規格
JIS Z 8312
2.
ISO 128-20
IDT
3.定義
3.1 引出線 3.2 参照線
3.
JISと同じ
IDT
4.引出線の指示方
法
引出線の指示方法を規
定
4.
JISと同じ
MOD/変更
図4を変更。
引出線を中心線の交点と結
ぶ場合は,矢印の端末記号を
付けるように変更。図13を
変更。
原国際規格では,“ハッチング線のよう
な近くにある線に対して平行にしない。”
と規定(4.)しており,この規定に準拠した
図例に変更。
従来のJISの方法を残した。
5.参照線の表し方 参照線の表し方を規定
5.
JISと同じ
MOD/変更
図19を変更。
原国際規格では,“引出線は関連する図
や製図用紙の枠に対し,ある角度で描く
のが望ましい。”と規定(4.)しており,こ
の規定に準拠した図例に変更。
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Z
8
3
2
2
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.指示事項の表し
方
引出線により指示する
事項の表示方法を規定
6.
JISと同じ
MOD/変更
図22を変更
形鋼の断面形状の表示方法をJIS B 0001
に準拠した図に変更。
附属書A (参考) 他の規格に含まれてい
る補助記号を例示
Ann
ex A JISと同じ
IDT
Ann
ex B
引出線に用い
られる補助図
記号“○”の
意味と適用
MOD/削除
削除
Annex B(規定)は,“引出線に用いられる
補助記号“○”の意味と適用”となって
いるが,原国際規格で示してある図は,
当該規格が対象とする引出線及び参照線
以外の線に補助図記号”○”を付した例で
ある。したがって,間違いを引き起こす
恐れがあるため削除した。また,下記の
各規格で規定している内容である。
図B.1:JIS Z 3021(ISO 2553)
図B.2:JIS B 0021(ISO 1101)
図B.3:ISO 13715
JISと国際規格との対応程度の全体評価: MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
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2
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0
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] ISO 129:1985, Technical drawings - Dimensionig - General principles, definitions, methods of execution
and special indications.
参考 JIS Z 8317:1999の中で,ISO 129:1985からの引用事項は,この規格の該当箇所と同等である。
[2] ISO 1101:-1), Geometrical Product Specifications (GPS) - Geometrical tolerancing - Tolerances of form,
orientation, location and run-out.
参考 JIS B 0621:1999の中で,ISO 1101:1985からの引用事項は,この規格と同等である。
[3] ISO 1302:1992, Technicaal drawings - Method of indicating surface texture.
参考 JIS B 0031:1994の中で,ISO 1302:1992からの引用事項は,この規格の該当箇所と同等である。
[4] ISO 2553:1992, Welded, brazed and soldered joints - Symbolic representation on drawings.
参考 JIS Z 3021:2000の中で,ISO 2553:1992からの引用事項は,この規格の該当箇所と同等である。
[5] ISO 5459:1981, Technical drawings - Geometrical tolerancing - Datums and datum-systems for geometrical
tolerances.
参考 JIS B 0022:1984の中で,ISO 5459:1981からの引用事項は,この規格の該当箇所と同等である。
[6] ISO 6433:1981, Technical drawings - Item references.
[7] ISO 10135:1994, Technical drawings - Simplified representation of moulded, cast and forged parts.
[8] ISO 13715:1994, Technical drawings - Corners - Vocaburaly and indication on drawings.
1) ISO 1101:1983の改訂版