Z 8144:2004
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,日本官能評価学会
(JSSE)/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出が
あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS Z 8144:1990は改正され,この規格に置き換えられる。
今回の改正は,日本工業規格を国際規格に整合させるため,ISO 5492:1992,Sensory analysis−Vocabulary
を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS Z 8144には,次に示す附属書がある。
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8144:2004
官能評価分析―用語
Sensory analysis―Vocabulary
序文 この規格は,1992年に第1版として発行されたISO 5492 Sensory analysis―Vocabularyを元に作成し
た日本工業規格であるが,技術的内容の一部を変更している。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧
表を,その説明を付けて,附属書1(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,官能評価分析において用いる主な用語とその定義について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO 5492:1992,Sensory analysis―Vocabulary (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS L 0220 繊維用語−検査部門
JIS Z 8103 計測用語
JIS Z 8105 色に関する用語
JIS Z 8106 音響用語
JIS Z 8113 照明用語
3. 分類 用語の分類は,次による。
a) 一般
b) 方法
c) 味覚・きゅう(嗅)覚
d) 触覚
e) 視覚
f) 聴覚
4. 用語及び定義 用語及び定義は,次による。
なお,参考として対応英語を示す。
備考1. 用語欄で二つ以上の用語を並べた場合,その順位に従って優先使用する。
2. 用語の丸括弧をつけてある部分は,紛らわしくない場合は,省略してもよい。
2
Z 8144:2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3. 用語の下の括弧内の仮名書きは,読み方を示す。
4. 対応英語のうちISO規格で規定している用語は,太字で示す。
3
Z 8144:2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 一般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1001 刺激
生理機能に一時的な変化をもたらすもの。
stimulus
1002 受容器
刺激を受け入れる細胞又は細胞群。
備考 視細胞,味らい(蕾)などの総称。
receptor
1003 感覚器官
受容器を含む生体組織。
備考 目,耳,口,鼻,皮膚などの総称。
sensory organ
1004 興奮
受容器に刺激が作用したとき,生体に生じる効果。
excitation
1005 応答
生体に刺激を与えることによって生じる外界の情報の認識,又はそ
れに伴う行動(JIS Z 8105参照)。
response
1006 順応
(じゅんのう)
連続又は断続的な刺激を与えることによって生じる受容器の感度
の一時的な変化。
(sensory)
adaptation
1007 疲労
順応の一種で,特に感度の低下を伴う場合。
(sensory) fatigue
1008 嫌悪
刺激に対する拒否的態度。
aversion
1009 感覚
受容器が受けた刺激によって生じる心理作用。
sensation
1010 知覚
感覚を通して脳の中枢に生じる意識。
perception
1011 属性
試料,製品,環境などがもつ固有の特性。
attribute
1012 官能特性
人の感覚器官が感知できる属性。
sensory
characteristics
1013 官能評価分析
官能特性を人の感覚器官によって調べることの総称。
sensory analysis
1014 官能評価
官能評価分析に基づく評価。
sensory evaluation
1015 官能試験
官能評価分析に基づく検査・試験。
sensory test
1016 心理物理学
刺激とその刺激から受ける感覚との数量的関係を明らかにする科
学。
備考 精神物理学ということもある。
psychophysics
1017 (感覚器官の)感度 感覚器官が刺激の種類を検知する,又は刺激の強弱を判定する能力。 sensitivity
1018 (感覚の)強度,
感覚量
感覚の強さの度合い,又は感覚の量。
intensity
1019 (感覚の)質
属性に対する感覚のうち,感覚の強度を除いたもの。
quality of sense
1020 相乗効果
同質の感覚を引き起こす二つの刺激が同時に存在するとき,それぞ
れ単独のときに現れる感覚の強度を単純に加算したものより大き
い強度が現れる現象。
synergism
1021 きっ(拮)抗効果
二つの刺激が同時に存在するとき,それぞれ単独のときに現れる感
覚の強度を単純に加算したものより小さい強度しか現れない現象。
antagonism
1022 マスキング
二つの刺激が同時に存在するとき,一方の刺激が部分的又は完全に
感知されなくなる現象。
masking
1023 持続性
刺激がなくなった後も,刺激が存在するときと同質の感覚が一定時
間存続すること。
persistence
1024 いき(閾)
刺激の存在又は二つの刺激の差異を識別できるかできないかの境
界となるような刺激の大きさ。刺激いき(閾),弁別いき(閾)な
どの総称。
threshold
1025 いき(閾)下の
(形容詞)
刺激がいき(閾)値以下であること。
sub-threshold
(adj.)
1026 いき(閾)上の
(形容詞)
刺激がいき(閾)値以上であること。
supra-threshold
(adj.)
1027 刺激いき(閾),
検出いき(閾)
刺激の存在を識別できる最小の刺激の大きさの差異。
備考 検知いき(閾)と表現することもある。
stimulus
threshold,
detection
threshold
4
Z 8144:2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1028 弁別いき(閾),
識別いき(閾)
二つの刺激を識別できる最小の刺激の大きさの差異。
difference
threshold
1029 認知いき(閾)
与えられた刺激の属性を認識するのに必要な最小の刺激の大きさ。 recognition
thereshold
1030 刺激頂
(しげきちょう)
刺激を更に増加しても感覚の強度がそれ以上増加しない刺激の大
きさ,又は感覚の種類が変化してしまう境界に対応する刺激の大き
さ。
terminal
threshold
b) 方法
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2001 試料,
サンプル
試験・検査の対象となるもの。
備考 テストサンプル (test sample) ともいう。
sample,
test sample
2002 コントロール
評価の基準となる試料。
備考 コントロールサンプル,対照試料 (control sample) ともいう。
control
2003 見本,
リファレンス
属性又は属性の感覚の強度を定義するために,試験する試料とは別
に用意した試料。評価に先立って決めるべきもの。
備考 リファレンスサンプル (reference sample) ともいう。
参考 コントロールは評価する試料の一部,見本は評価する試料と
は別に用意した属性を規定する試料である。
reference
2004 基準点
試料を格付けするために基準とする数値,又は複数個の見本の系列
で順序を与えるもの。
reference point,
anchoring point
2005 測定値
測定によって求めた値(JIS Z 8103参照)。
measured value
2006 真の値
ある特定の量の定義と合致する値(JIS Z 8103参照)。
true value
2007 バイアス,
かたより
測定値の母平均から真の値を引いた値(JIS Z 8103参照)。
bias
2008 誤差
測定値から真の値を引いた値(JIS Z 8103参照)。
error
(of assessment)
2009 偶然誤差
突き止められない原因によって起こり,測定値のばらつきとなって
現れる誤差(JIS Z 8103参照)。
random error
2010 コード化
官能評価分析において,呈示された試料の性質,来歴などを評価者
に知らせないようにするために,試料に乱数などの記号(コード)
を付与する作業。
備考 記号化ともいう。
coding
2011 重み
試料を総合的に評価するとき,その各属性の寄与の大きさを示す数
値。
weight
2012 受容性
製品の官能特性が優れているために,好ましいと評価され,受け入
れられる性質。
acceptability
2013 受容
当該の個人及び母集団での行為で,ある製品がその期待に十分満足
に応えているという状態。
acceptance
2014 し(嗜)好
試料を好ましいと感じること。
preference
2015 し(嗜)好調査
試料によって,評価者のし(嗜)好の程度及び受容性を調査するこ
と。
preference survey
2016 時間強度曲線
感覚の強度の時間的変化を曲線図形で表したもの。
time intensity
curve
2017 (官能)評価者
官能試験に参加する人。
(sensory) assessor
2018 選ばれた評価者
(適正評価者)
官能試験を遂行するだけの能力があるとして選ばれた評価者。
selected assessor
2019 パネル
官能試験に参加する評価者の集団。
備考 パネリスト (panelist) は単数形で個人を指す。
参考 パネラーという呼称は和製英語である。
panel
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2020 分析型形パネル
試料の官能特性を評価するパネル。
analytical panel
2021 し(嗜)好型形パネ
ル
試料のし(嗜)好特性を評価するパネル。
preference panel
2022 専門家
特に能力があるとして選ばれた評価者,又は対象物についての知識
があり,評価能力が通常の人より優れた評価者。
備考 官能評価分析では,二通りの専門家が存在する。“専門評価
者”及び“特定専門評価者”である。
expert
2023 専門評価者
感覚の感受性の程度が高く,また,官能評価分析の経験がある選ば
れた評価者のことで,多様な試料を評価するのに一貫した反復可能
な能力をもつ評価者。
expert assessor
2024 消費者
製品を使用する人。
consumer
2025 客観的(測定)方法 理化学機器を用いた測定方法。
objective method
2026 主観的(測定)方法 感覚的・心理的な測定方法。
subjective method
2027 予備選別
官能試験に先立って行う,評価者及び試料の選抜手続き。
screening
2028 分類(法)
あらかじめ用意されたカテゴリーに従って試料を仕分ける方法及
び行為。
classification
2029 識別
二つ以上の刺激間の質的・量的,又はその両方の差異を示す行為。 discrimination
2030 順位法
指定した官能特性について,強度又は程度の順序に試料を並べる方
法。
ranking
2031 格付け法
あらかじめ用意され,かつ,順位をもったカテゴリーに試料を分類
する方法。
rating
2032 採点法
あらかじめ用意された基準に従って試料に点数を付与する方法。
scoring
2033 選択法
多種類の試料の中から,実験目的への適合度が高いものを,最上位
又は上位から数個選ぶ方法。
choice method
2034 1点試験法
1個の試料を評価者に呈示し,その属性を判定する試験方法。
monadic test
2035 2点試験法
2種類の試料を評価者に呈示し,それらの属性又は優劣を比較する
試験方法。
paired
comparison test
2036 3点試験法
同じ試料 (A) 2点と,それとは異なる試料 (B) 1点とをコード化し
て同時に評価者に呈示し,性質が異なる1試料を選ばせる試験方
法。
triangle test,
triangular test
2037 振分け試験法
2種類の試料をそれぞれ数個ずつ同時に評価者に呈示し,同質の2
グループに分ける試験方法。
sorting test
2038 1対2点試験法
(いったいにて
んしけんほう)
基準となる試料 (A) を評価者に呈示し,一方で,これと同じ試料
(A) 及びこれと比較すべき試料 (B) をそれぞれコード化して呈示
し,これらコード化された試料の中から基準となる試料と同一のも
のを選ばせる試験方法。
duo-trio test
2039 2対5点試験法
(にたいごてん
しけんほう)
同じ試料 (A) 2点と,それとは異なる試料 (B) を3点,合計5点
をコード化して同時に評価者に呈示し,Aグループに属するものと
Bグループに属するものとに分類させる試験方法。
“two-out-of-five”
test
2040 A非A試験法
試料 (A) の属性を評価者に理解させるために,同一の評価者又は
複数の評価者に試料 (A) 及び試料(非A)をコード化して呈示し,
Aか非Aかを判断させる試験方法。
“A”or“not A”
test
2041 希釈(試験)法
試料を段階的に希釈して行う試験方法。
dilution method
2042 マッチング,
配偶(試験)法
多種類の試料があるとき,それらをコード化してから1種類ずつ含
む二組のグループを作成して評価者に呈示し,対になる同一種類の
試料を選ばせる試験方法。
備考 “マッチングテスト (matching test)”ともいう。
matching
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2043 一対比較法
(いっついひか
くほう)
数個の試料が存在するとき,それらを2個ずつ組にして評価者に呈
示し,比較判断によって評価する試験方法。
method of paired
comparisons
2044 尺度
感覚の質・強度,し(嗜)好及び受容性を測定するために用意され
た言語又は数値の集合で,分類又は順序付けが可能なもの。
備考 測定方法によって,尺度は,名義尺度 (nominal scale),順序
尺度 (ordinal scale),間隔尺度 (interval scale),比率尺度 (ratio
scale)に分けられ,それぞれ許容される演算が決まってくる。
scale
2045 し(嗜)好尺度
好き嫌いの程度を表現するための尺度。
hedonic scale
2046 記述的尺度
目盛を言語で表した尺度。
備考 言語尺度と呼ばれていたものである。
descriptive scale
2047 単極尺度
原点(ゼロ)を一端とする尺度。
unipolar scale
2048 両極尺度
正負の両端をもつ尺度。
bipolar scale
2049 総合評価
試料がもつ属性を総合的に評価する方法。
overall judgement
2050 独立評価,
独立査定,
絶対評価
直接的な比較を行わず,評価者各自がもつ基準によって評価する試
料呈示方法。
備考 絶対評価は日本固有の表現である。
independent
assessment
2051 比較評価,
比較査定,
相対評価
比較対象との直接的な比較によって評価する試料呈示方法。
備考 相対評価は日本固有の表現である。
comparative
assessment
2052 マグニチュード推定
感覚の強度に比例した数値を与えて評価する方法。
magnitude
estimation
2053 識別試験法
感覚の強度又は質の相違の有無を判定する目的で行われる試験方
法。
difference test,
discrimination test
2054 し(嗜)好試験法
消費者のし(嗜)好及び受容性を調べる目的で用いられる試験方法。 preference test
2055 記述的試験法
ある試料の官能的な属性又はそれぞれの属性の強度を評価するの
に,専門家が記述的な用語を用いる官能試験方法の総称。
備考 次の二つの試験方法の使い分けが必要である。
1. 備考定量的記述用語を収集するための試験方法。
2. 1で用意した用語で試料を記述する試験方法。
descriptive test
2056 順序効果
二つ以上の試料を連続して評価するとき,最初の試料の影響を受け
て次の試料の評価が偏るという心理的効果。
order effect
2057 対比効果
二つ以上の刺激を同時に,又は前後して呈示したとき,それらの刺
激の差を実際より大きく感じるという心理的効果。
contrast effect
2058 期待効果
先入観によって評価結果が左右されるという心理的効果。
備考 “期待のかたより (expectation bias)”ともいう。
expectation effect
c) 味覚・きゅう(嗅)覚
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3001 味覚
化学物質が味らい(蕾)を刺激することによって引き起こされる感
覚。
taste,
gustation
3002 味覚障害
障害による味覚の異常又は欠如。
ageusia
3003 テイスティング
食品を口に入れて味わい,評価すること。
tasting
3004 食欲
食品を摂取したいという生理的及び心理的欲求。
appetite
3005 風味
(ふうみ),
フレーバー
食品を口内に入れたときの味覚,きゅう(嗅)覚などの総合的感覚。 flavour
3006 口あたり
舌,歯茎及び歯を含む口内で知覚される触覚などの総合的感覚。
mouthfeel
3007 基本味
(きほんみ)
味覚の質を表す最も基本的な要素。
basic taste
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3008 酸味
(さんみ)
くえん酸,酒石酸などを代表とする物質によって引き起こされる味
覚。
acidity
3009 苦味
(にがみ)
キニーネ,カフェインなどを代表とする物質によって引き起こされ
る味覚。
bitterness
3010 塩味
(しおあじ)
食塩などを代表とする物質によって引き起こされる味覚。
saltiness
3011 甘味
(あまみ)
しょ糖などを代表とする物質によって引き起こされる味覚。
sweetness
3012 うま味
(うまみ)
L−グルタミン酸ナトリウム,5′−イノシン酸ナトリウムなどを代表
とする物質によって引き起こされる味覚。
umami
3013 辛味
(からみ)
とうがらしのカプサイシンなどを代表とする物質によって口内に
引き起こされる感覚。
pungency
3014 アルカリ味
(あるかりみ)
炭酸水素ナトリウムなどを代表とする物質によって口内に引き起
こされる感覚。
alkalinity
3015 渋味
(しぶみ),
収れん味
しぶがきのタンニンなどを代表とする物質によって口内に引き起
こされる感覚。
astringency
3016 おいしさ
食品を摂取したとき,快い感覚を引き起こす性質。
palatability
3017 あと味
(あとあじ),
残味
食品を摂取した後,口内が空になったときにもなお口内に残る感
覚。
aftertaste,
residual taste
3018 ボディ
試料のもつ風味の豊かさ,又は口内の触覚器官への刺激で検出され
る試料の流動特性に対する感覚。
body
3019 きゅう(嗅)覚
化学物質がきゅう(嗅)上皮(鼻こう内の感覚細胞)を刺激するこ
とによって引き起こされる感覚。
備考 仮名表記で“におい”と記述することもある。
odour,
olfaction
3020 芳香,
アロマ
好ましいにおい。
aroma
3021 悪臭
好ましくないにおい。
malodour
3022 きゅう(嗅)覚障害 障害によるきゅう(嗅)覚の異常又は欠如。
anosmia
3023 オフフレーバー
製品又は試料に本来備わっていない異質な風味。
off−flavour
3024 異臭
製品又は試料に本来備わっていない異質なにおい。
off−odour
3025 腐敗
微生物の作用による好ましくない変質。
taint
3026 ノート
試料がもつ特徴的なにおい。
備考 香調ともいう。
note
d) 触覚
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4001 触覚
皮膚又は粘膜を刺激することによって引き起こされる感覚。
touch
4002 筋感覚
押したり,歯でかんだりするときに筋肉で感じる感覚。
kinaesthesis
4003 温覚
32 ℃以上の温度で刺激されたとき,引き起こされる感覚。
sense of warmth,
sense of warm
4004 冷覚
25 ℃以下の温度又はメントールなどの化学的刺激で引き起こされ
る感覚。
sense of cold
4005 痛覚
皮膚又は粘膜に物理的又は化学的刺激が加えられたときに引き起
こされる痛いと感じる感覚。
pain
4006 (表面の)テクス
チャー
材質,表面構造などによって生じる,物体表面に関する触覚の属性。 texture
4007 (食品の)テクス
チャー
口内で知覚できる食品の物理的特性,又は触覚,視覚及び聴覚によ
って判断できる食品の構造若しくは組成に関する特性。
texture
8
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4008 風合
(ふうあい)
硬軟性,弾性,粘性,目の粗さなどの組み合わされた性質の視覚,
触覚などによる官能的な品質評価(JIS L 0220参照)。
備考 繊維及び繊維製品の感覚による評価特性。
feeling
4009 ハンドリング
品位を触覚などで評価する方法(JIS L 0220参照)。
備考 繊維及び繊維製品の感覚による評価方法。
handling
4010 かたさ
試料の変形又は破壊に対する抵抗力の大きさの程度。
hardness
4011 やわらかさ
試料の変形又は破壊に対する抵抗力の小ささの程度。
softness
e) 視覚
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5001 視覚
眼に放射が入ることによって生じる外観の明るさ,色,形状,動き
などを認める感覚及び知覚(JIS Z 8113参照)。
備考 必要に応じて“視感覚”及び“視知覚”を用いてもよい。
vision,
visual perception
5002 色感覚
有彩色成分と無彩色成分との組合せからなる視知覚の属性(JIS Z
8105参照)。
colour sensation
5003 色知覚
色感覚に基づいて対象の色の状態を知ること。
colour perception
5004 外観
視覚によって感知できる属性。
appearance
5005 明るさ
ある面から発している光の強弱の見え方の基になる視覚の属性
(JIS Z 8105参照)。
brightness
5006 色相
ある面が,純粋な赤,黄,緑,青,若しくはそれらの隣り合った,
二つの間の知覚色と同類に見えるという視感覚の属性又はそれを
尺度化した値(JIS Z8105参照)。
hue
5007 明度
ある面について,それと同様に照明された白又は透明な面と比較し
て,相対的に判断される明るさの度合い。
lightness
5008 彩度
ある面について,それと同様に照明された白又は透明な面と比較し
て,相対的に判断される色みの度合い。
備考 色みとは,ある面の知覚色について,有彩色の度合いが強い
か弱いかの基になる視感覚の属性(JIS Z 8105参照)である。
また彩度については,一般にはマンセルの尺度である,クロ
ーマ(chroma)が用いられることが多い。
saturation
(of a colour)
5009 無彩色
色相をもたない色。白,灰及び黒の色名が普通に用いられ,透過性
物体には,無色及び中性が用いられる。
achromatic colour
5010 有彩色
色相をもつ色。日常会話では,多くの場合,色はこの意味で,白,
灰及び黒と対比して用いられる。
chromatic colour
5011 光沢
表面の方向選択特性のために,諸物体の反射ハイライトが,その表
面に映りこんで見えるような見えのモード(JIS Z 8105参照)。
gloss
5012 (視覚の)テクス
チャー
材質,表面構造などによって生じる物体表面に関する視覚の属性。 texture
f) 聴覚
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6001 聴覚
音波が耳に入ることによって引き起こされる音の大きさ,音の高
さ,音色などの感覚(JIS Z 8106参照)。
auditory sense
6002 音の大きさ
音の強さに関する聴覚上の属性(JIS Z 8106参照)。
loudness
6003 音の高さ
聴覚にかかわる音の属性の一つで,低から高に至る尺度上に配列さ
れる(JIS Z 8106参照)。
pitch
6004 音色
(ねいろ)
聴覚にかかわる音の属性の一つで,物理的に異なる二つの音が同じ
音の大きさ及び高さであっても異なった感じに聞こえるとき,その
相違に対応する属性(JIS Z 8106参照)。
timbre
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Z 8144:2004
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
6005 単耳聴
(たんじちょう)
音の刺激が片方の耳だけに与えられるような音の聴取状態。
monotonic hearing,
monaural hearing
6006 両耳聴
(りょうじちょう)
音の刺激が両方の耳に与えられるような音の聴取状態。
binaural hearing
6007 定位
音場において,聴覚によって感じる距離感と方向感とを伴った音源
の位置感覚。
localization
附属書1(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS Z 8144:2004 官能評価分析−用語
ISO 5492:1992 官能評価分析−用語
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異
の項目ごとの評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:該当する用語及び定義
に点線の下線を付す。
(Ⅴ) JISと国際規格との技術的差異の理由
及び今後の対策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用
範囲
官能評価分析に関する用語を
定義。
ISO 5492
官能評価分析に関する
用語を定義。
IDT
国際規格は適用分野を
食品に限定している
が,JISは適用分野を
限定していない。
国際規格の作成母体はISO/TC 34
Food Products の分科会に位置づけら
れている。この体制に変化がない限り,
技術的差異は今後も継続する。
2.引用
規格
この規格に引用した24用語
を収載したJIS
JIS L 0220
JIS Z 8103
JIS Z 8105
JIS Z 8106
JIS Z 8113
−
引用規格なし。
MOD/追
加
国際規格には引用規格
の項目がない。
食品以外の分野で官能評価分析にかか
わる用語を収載するJIS 5件を引用規
格として採択。
3.用語
及び
定義
145用語を収載。
166用語を収載。
MOD/削
除及び
追加
国際規格に収載されて
いる165用語から97
用語を採択し,別に48
用語を追加。
改正の都度,食品以外の工業製品の官
能評価分析にかかわる用語を追加。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
2.
JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
1
0
Z
8
1
4
4
:
2
0
0
x
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。