Z 8126-3:2018
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義··················································································································· 1
3.1 真空計の一般用語 ·········································································································· 2
3.2 真空計の一般的な分類 ···································································································· 3
3.3 真空計の特性 ················································································································ 3
3.4 全圧真空計 ··················································································································· 3
3.5 分圧真空計 ··················································································································· 6
附属書A(参考)真空計の分類 ······························································································· 8
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 10
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(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本
表面真空学会(JVSS)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格
を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格
である。
これによって,JIS Z 8126-3:1999は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS Z 8126の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Z 8126-1 第1部:一般用語
JIS Z 8126-2 第2部:真空ポンプ及び関連用語
JIS Z 8126-3 第3部:真空計及び関連用語
日本工業規格 JIS
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真空技術−用語−第3部:真空計及び関連用語
Vacuum technology-Vocabulary-Part 3: Vacuum gauges and related terms
序文
この規格は,2014年に第2版として発行されたISO 3529-3を基とし,国内の実情に合わせるため,技
術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,真空技術・真空工業に関する主な真空計及び関連用語について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 3529-3:2014,Vacuum technology−Vocabulary−Part 3: Total and partial pressure vacuum gauges
(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8126-1 真空技術−用語−第1部:一般用語
注記 対応国際規格:ISO 3529-1,Vacuum technology−Vocabulary−Part 1: General terms
JIS Z 8126-2 真空技術−用語−第2部:真空ポンプ及び関連用語
注記 対応国際規格:ISO 3529-2,Vacuum technology−Vocabulary−Part 2: Vacuum pumps and related
terms
3
用語及び定義
用語,定義及び対応する英語は,次のとおりとする。また,用語の番号の付け方は,図1による。番号
欄内の括弧内の数字は,対応するISOにおける番号である。真空計の分類を,附属書Aに示す。
2
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図1−用語の番号付けの規則
3.1
真空計の一般用語
番号
用語
定義
対応する英語
3101
(2.1.1)
(気体の)圧力計
気体・蒸気の圧力を測定する計器。
pressure gauge
3102
(2.1.2)
真空計
気体・蒸気の大気圧より低い圧力を測定する計器。
注記1 真空計は,圧力計の一種である。
注記2 真空計には,圧力を直接には測定せず,特定の条件
の下で圧力に関連した他の物理量を測定しているも
のが多い。
注記3 真空計は,測定子と制御器とが一体になり圧力を信
号出力するトランスデューサ真空計,測定子,制御
器と表示器とが一体になっている真空計など様々な
タイプがある。
vacuum gauge
3103
(2.1.2.1)
測定子,
センサ部
真空計において,感圧素子を備え,真空系に取り付ける真空
計の構成部品。
gauge head
3104
(2.1.2.1.1)
ヌードゲージ
外筒がない測定子。
注記1 ヌードゲージの感圧素子は,真空系に直接挿入する。
注記2 ヌードゲージは,裸真空計(裸測定子)とも呼ばれ
る。
nude gauge
3105
(2.1.2.2)
制御器,
コントローラ
測定子を作動し,計測するために必要な真空計の制御回路。
control unit,
controller
3106
(2.1.2.2.1)
表示器
出力信号を,通常は圧力の単位で表示する真空計の構成部品。 indicator,
indicating unit
3107
複合真空計
測定子内に,二つ以上の異なる測定原理の感圧素子を内蔵し
た真空計。
注記 ピラニ真空計,水晶摩擦真空計などの低真空側を対象
とする真空計と,熱陰極電離真空計,冷陰極電離真空
計などの高真空側を対象とする真空計とを組み合わせ
た真空計。
combination vacuum
gauge,
combined vacuum
gauge
3
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3.2
真空計の一般的な分類
番号
用語
定義
対応する英語
3201
(2.2.1)
差圧真空計
圧力差を測定する真空計。例えば,弾性変形の範囲内で隔膜
又は液柱を用いる。
differential vacuum
gauge
3202
(2.2.2)
絶対真空計
物理量の測定だけから圧力が求められる真空計。
absolute vacuum
gauge
3203
(2.2.3)
全圧(真空)計
気体の全圧を測定する真空計。
total pressure vacuum
gauge
3204
(2.2.4)
分圧(真空)計
混合気体の成分の分圧に関係する量を測定する真空計。
注記1 分圧計の感度は気体の種類によって異なる。
注記2 この種のゲージは,“残留ガス分析計”とも呼ばれる。
partial pressure
vacuum gauge,
partial pressure
analyser,
residual gas analyser
3.3
真空計の特性
番号
用語
定義
対応する英語
3301
(2.3.1)
測定範囲
真空計を所定の条件で動作させたとき,真空計の指示値の測
定不確かさが規定の値以下のときの最小圧力と最大圧力との
間の圧力範囲。
注記 真空計によっては,測定範囲は気体の種類に依存する
場合がある。このような真空計では,窒素を用いた場
合の測定範囲を用いる。
measurement range
3302
(2.3.2)
感度係数
真空計に指示された読みの変化と対応する圧力変化との比。
真空計によっては,読みの変化と,圧力変化及び圧力に依存
しない定数の積との比。
注記1 真空計によっては,感度係数は気体の種類に依存す
る場合がある。この場合,窒素を用いた感度係数を
記載することが望ましい。
注記2 感度係数は,温度にも依存する。
sensitivity coefficient,
sensitivity
3303
(2.3.3)
比感度係数
真空計のある気体に対する感度を,その真空計の同一条件下
における同一圧力の窒素に対する感度で除した値。
relative sensitivity
factor
3304
(2.3.5)
窒素相当圧,
窒素換算値
窒素に対する感度で補正した圧力値。窒素に対して校正され
た真空計の場合は,その真空計の読み値。
注記 熱伝導真空計,電離真空計などの感度は,測定する気
体の種類に依存する場合があるので,そのような真空
計については,通常,窒素相当圧を表示する。
equivalent nitrogen
pressure
3305
(2.3.6)
X線限界
熱陰極電離真空計で,集電子電極から放出される軟X線によ
って,主として集イオン電極から放出される光電子による残
留電流に対応する窒素相当圧。
注記 冷陰極電離真空計の場合,通常,X線限界は大きな影
響を与えない。
X-ray limit
3.4
全圧真空計
3.4.1
機械的現象に基づく真空計
番号
用語
定義
対応する英語
3401
(2.4.1.1)
液柱差真空計
液体を用いる差圧真空計。通常は,U字管状である。
注記 液面の高さの差を測定することで差圧を測定する。
liquid level
manometer
3402
U字管真空計
U字管を用いる液柱差真空計。
U-tube manometer
4
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番号
用語
定義
対応する英語
3403
(2.4.1.2)
弾性真空計
弾性体(板,管など)を隔離媒体とした差圧真空計。
例 ブルドン管真空計,隔膜真空計,静電容量型隔膜真空計。
注記 差圧は,弾性体の変位から求める方法及びその変位を
ゼロにするために必要な力から求める方法がある。
elastic element gauge
3404
(2.4.1.2.1)
ブルドン管真空計
隔離媒体にブルドン管を用いる弾性真空計。
Bourdon gauge
3405
(2.4.1.2.2)
隔膜真空計
隔離媒体に隔膜を用いる弾性真空計。
例 ピエゾ型隔膜真空計,静電容量型隔膜真空計,シリコン
レゾナント型圧力計。
diaphragm gauge,
membrane gauge
3406
(2.4.1.2.3)
静電容量型隔膜真
空計
静電容量の変化で隔膜の変位を測定する隔膜真空計。
注記 静電容量型隔膜真空計は,キャパシタンスマノメータ
とも呼ばれる。
capacitance
diaphragm gauge,
capacitance
manometer
3407
(2.4.1.3)
圧縮真空計
水銀などの液体を用いて気体を既知の比率で圧縮し,その圧
力を測定して圧縮前の圧力を求める真空計。
注記 ボイルの法則が適用できる場合にだけ用いる。
compression gauge
3408
(2.4.1.3)
マクラウド真空計
水銀を移動することによって気体を圧縮し,その気体の圧力
を液柱差によって求める圧縮真空計。
McLeod gauge
3409
(2.4.1.4)
圧力天びん
断面積が既知のピストンに質量が既知の分銅を載せて圧力と
重力とをバランスさせて圧力を発生させる機器。
pressure balance,
piston gauge
3.4.2
気体の輸送現象に基づく真空計
番号
用語
定義
対応する英語
3410
(2.4.2.1)
粘性真空計
低圧気体の運動量輸送が気体の圧力に依存することを利用す
ることによって,物体の表面に働く応力の変化を計測して圧
力を求める真空計。
viscosity gauge
3411
(2.4.2.1.1)
スピニングロータ
真空計
真空中に回転子を磁気浮上させ,その回転の減衰速度から圧
力を測定する粘性真空計。
spinning rotor gauge
3412
(2.4.2.1.2)
水晶摩擦真空計
水晶振動子の共振周波数又はインピーダンスが圧力に依存す
ることを利用し測定する粘性真空計。
注記 音さ(叉)形振動子を用いる場合,音さ(叉)形真空
計と呼ばれる。
quartz friction
vacuum gauge
3413
(2.4.2.2)
熱伝導真空計
異なる温度に保たれている加熱素子を含む二つの素子間の熱
の移動量から圧力を求める真空計。
注記1 気体の熱伝導は,分子流域では圧力に依存すること
を利用している。
注記2 粘性流域では熱対流を利用して,測定範囲を大気圧
付近まで伸ばした熱伝導真空計もある。
例 ピラニ真空計,サーミスタ真空計,熱電対真空計,バイ
メタル真空計。
thermal conductivity
gauge
3414
(2.4.2.2.1)
熱電対真空計
加熱素子の温度を熱電対で測定する熱伝導真空計。
thermocouple gauge
3415
(2.4.2.2.2)
ピラニ真空計
加熱素子がホイートストンブリッジの一部を構成しており,
その加熱素子の抵抗又は加熱素子から散逸する電力の圧力依
存性を利用して計測する熱伝導真空計。
注記 加熱素子として,金属細線が一般的に使われる。加熱
素子を一定温度に保つために必要な電力が圧力に依存
することを利用するピラニ真空計が,ピラニ真空計の
原理に最も忠実な定温度法である。そのほか定電圧法
(ピラニが開発した方式),定電流法がある。
Pirani gauge
5
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番号
用語
定義
対応する英語
3416
(2.4.2.2.3)
サーミスタ真空計
加熱素子がサーミスタであり,その電気抵抗の変化を利用し
て計測する熱伝導真空計。
thermistor gauge
3417
(2.4.2.2.4)
クヌーセン真空計
気体分子の平均自由行程に比べて十分小さい間隔を保って配
置され,かつ,異なった温度に保たれている,2面間での単
位時間当たりの運動量輸送量を測定することによって圧力を
求める真空計。
thermo-molecular
gauge
3.4.3
気体中の電離現象に基づく真空計
番号
用語
定義
対応する英語
3418
(2.4.3.1)
電離真空計
気体分子の電離によって生じたイオン電流を測定して圧力を
求める真空計。
注記 圧力は,気体分子密度に比例する。
ionization vacuum
gauge
3419
放射線真空計
放射線源によって気体を電離する電離真空計。
注記 放射線障害防止法に基づきその使用に制限がかかるこ
とから,現在,我が国では放射線真空計は使われてい
ない。
radioactive ionization
gauge
3420
冷陰極電離真空計
電磁界中の冷陰極放電によって気体を電離する電離真空計。
cold cathode
ionization gauge
3421
(2.4.3.2.1)
ペニング真空計
一対の平行平板陰極間に環状陽極を置き,それらの軸に平行
に磁界をかける冷陰極電離真空計。
Penning gauge
3422
(2.4.3.2.2)
マグネトロン真空
計
同軸円筒状に電極を配置し,陰極を内側に配置し,電界に垂
直に磁界をかける冷陰極電離真空計。
magnetron gauge,
cold cathode
magnetron gauge
3423
(2.4.3.2.3)
逆マグネトロン真
空計
同軸円筒状に電極を配置し,陽極を内側に配置し,電界に垂
直に磁界をかける冷陰極電離真空計。
inverted magnetron
gauge
3424
ガイスラ管
一対の電極をもち,その間の真空放電の色及び形状によって
気体の圧力及び種類の概略を表す放電管。
注記 放電時にX線を放出することから,ほとんど使われて
いない。
discharge tube
indicator
3425
(2.4.3.3.1)
熱陰極電離真空計
熱陰極から放出された電子によって気体を電離する電離真空
計。
hot cathode
ionization gauge
3426
(2.4.3.3.2)
三極管形電離真空
計
一般的な真空管の構造をもつ,熱陰極(フィラメント)を管
の軸上に置き,グリッド状陽極及びプレート状集イオン電極
をフィラメントと同軸的に配置した熱陰極電離真空計。
triode gauge
3427
(2.4.3.3.3)
高圧力電離真空計
一般の三極管形電離真空計の圧力範囲に比べて高い圧力の中
真空で動作する熱陰極電離真空計。
注記 電極間距離を短くすることによって,高い圧力までを
測定可能とした。
例 シュルツゲージ
high pressure
ionization gauge
3428
(2.4.3.3.4)
ベアード−アルパ
ート真空計,
B-A真空計
同筒状グリッドの外側に熱陰極を,かつ,中心軸上に細線の
集イオン電極を配置して,X線限界を低下させた熱陰極電離
真空計。
Bayard-Alpert gauge
3429
(2.4.3.3.5)
モジュレータ真空
計
モジュレータとしての補助電極を設け,その電位変化による
集イオン電極電流の変化を測定し,残留電流の影響を見積も
ることができるようにしたベアード−アルパート真空計。
modulator gauge
3430
(2.4.3.3.6)
サプレッサ真空計
サプレッサ電極を集イオン電極の近傍に設け,集イオン電極
からの二次電子放出の影響を抑えてX線限界を低下させた熱
陰極電離真空計。
suppressor gauge
6
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番号
用語
定義
対応する英語
3431
(2.4.3.3.7)
エキストラクタ真
空計
集イオン電極を円筒状グリッドの軸上の外側に置くことと同
時にグリッドから遮蔽してX線限界を低下させた熱陰極電離
真空計。
extractor gauge
3432
(2.4.3.3.8)
イオンエネルギー
分離型真空計
X線限界を低減させるとともに,空間で発生したイオンと電
子刺激脱離イオンとを分離させることで,電子刺激脱離イオ
ンの影響を低減させて圧力測定下限を改善させた熱陰極電離
真空計。
例 ヘルマーゲージ,イオンスペクトロスコピーゲージ,軸
対称透過型電離真空計,湾曲ビーム真空計
注記 この種の真空計は,主に超高真空のうち,特に10−9 Pa
以下の圧力を測定することに目的が置かれている。
ion energy analysing
gauge
3433
(2.4.3.3.9)
オービトロン真空
計
電子軌道が長くなるように円筒状の集イオン電極とその軸上
に細線の集電子電極とを配置し,少ない電子で多くのイオン
を発生してX線限界を低下させた熱陰極電離真空計。
orbitron gauge
3434
(2.4.3.3.10)
熱陰極マグネトロ
ン真空計,
ラファティゲージ
単純な円筒状マグネトロン構造をもつ真空計に熱陰極を付加
した熱陰極電離真空計。
hot cathode
magnetron gauge,
Lafferty gauge
3.5
分圧真空計
番号
用語
定義
対応する英語
3501
(2.5.1)
質量分析計
質量電荷比の異なるイオン化された粒子を選別し,それぞれ
のイオン電流を測る機器。
注記 質量分析計は,ある特定の気体の分圧を測定する用途,
混合気体の組成を分析する用途,及び漏れ探しにおい
てトレーサガスだけを検出する用途に使われる。質量
分析計は,イオンを選別する方法で分類される。
mass spectrometer
注記 対応国際規格と構成を合わせるために,3.5.1はなしとした。
3.5.2
電界を利用する質量分析計
番号
用語
定義
対応する英語
3502
(2.5.2.1)
高周波型質量分析
計
一対のグリッドによって正負交互に形成される高周波電界に
よって,イオンを選択的に加速して分離する質量分析計。
radio frequency mass
spectrometer
3503
(2.5.2.2)
四極子形質量分析
計,
四重極(形)質量
分析計
4本の柱状電極によって形成される一定比の直流電界及び高
周波電界によってイオンを分離保持する質量分析計。
quadrupole mass
spectrometer
3504
(2.5.2.3)
単極子形質量分析
計
V形の電極及び1本の柱状電極によって形成される一定比の
直流電界及び高周波電界によってイオンを分離する質量分析
計。
monopole mass
spectrometer
3505
(2.5.2.4)
イオントラップ質
量分析計
適切に設計された静電界,電磁界,高周波電界又は高周波電
磁界内にイオンを閉じ込めた後,交流電圧及びその周波数を
変化させて,イオンを分離する質量分析計。
ion trap mass
spectrometer
3.5.3
電界及び磁界を利用する質量分析計
番号
用語
定義
対応する英語
3506
(2.5.3.1)
磁界偏向型質量分
析計
静電界で加速されたイオンの軌道を磁界で偏向することによ
ってイオンを分離する質量分析計。
magnetic deflection
mass spectrometer
3507
(2.5.3.2)
二重収束型質量分
析計
放射状の静電界及び磁界でイオンの軌道を二重に偏向するこ
とによって,イオンの速度分散を小さくした質量分析計。
double focusing mass
spectrometer
7
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番号
用語
定義
対応する英語
3508
(2.5.3.3)
トロコイド形質量
分析計
直交した静電界及び静磁界の中におけるイオンがトロコイド
軌道になることを利用して,イオンを分離する質量分析計。
trochoidal focusing
mass spectrometer
3509
(2.5.3.4)
オメガトロン型質
量分析計
直交した高周波電界及び静磁界の中でのイオンのサイクロト
ロン共鳴現象を利用して,イオンを分離する質量分析計。
omegatron mass
spectrometer
3.5.4
飛行時間を利用する質量分析計
番号
用語
定義
対応する英語
3510
(2.5.4.1)
飛行時間型質量分
析計
既知の等しい運動エネルギーをもつイオン又は中性粒子が,
既知の距離を飛ぶときに要する時間が,それらの飛行速度に
よって差が生じることを利用する質量分析計。
time of flight mass
spectrometer
3511
(2.5.4.1.1)
リフレクトロン飛
行時間型質量分
析計
イオンの飛行方向を反転させるための減速電場を備えた飛行
時間型質量分析計。
注記 リフレクトロンはこの方法の名称であり,飛行時間型
質量分析計の質量分解能を向上させる。リフレクトロ
ンを備えた飛行時間型質量分析計が,リフレクトロン
飛行時間型質量分析計である。
reflectron (time of
flight) mass
spectrometer
3512
(2.5.4.1.2)
遅延引き出し飛行
時間型質量分析
計
イオンの生成と加速とを二段階に分けることで生成されたイ
オンの質量の違いによる初速の違いをそろえた飛行時間型質
量分析計。
注記 この方法は遅延引き出し法と呼ばれ,飛行時間型質量
分析計の質量分解能を向上させる。遅延引き出し法を
備えた飛行時間型質量分析計が,遅延引き出し飛行時
間型質量分析計である。
なお,我が国では,この方法は“二段階加速法”と
も呼ばれる。
Wiley-McLaren mass
spectrometer,
delayed extraction
(time of flight)
mass spectrometer
8
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附属書A
(参考)
真空計の分類
3102
真空計
3204
分圧(真空)計
機械的現象に基づく真空計
気体の輸送現象に基づく真空計
3401
液柱差真空計
3402
U字管真空計
3403
弾性真空計
3404
ブルドン管真空計
3405
隔膜真空計
3406
静電容量型隔膜真空計
3407
圧縮真空計
3408
マクラウド真空計
3409
圧力天びん
3410
粘性真空計
3411
スピニングロータ真空計
3413
熱伝導真空計
3414
熱電対真空計
3415
ピラニ真空計
3416
サーミスタ真空計
3417
クヌーセン真空計
3412
水晶摩擦真空計
気体中の電離現象に基づく真空計
3418
電離真空計
3419
放射線真空計
3425
熱陰極電離真空計
3426
三極管形電離真空計
3427
高圧力電離真空計
3428
ベアード−アルパート真空計
3430
サプレッサ真空計
3420
冷陰極電離真空計
3431
エキストラクタ真空計
3432
イオンエネルギー分離型真空計
3433
オービトロン真空計
3434
熱陰極マグネトロン真空計
3203
全圧(真空)計
3429
モジュレータ真空計
3421
ペニング真空計
3422
マグネトロン真空計
3423
逆マグネトロン真空計
3424
ガイスラ管
8
Z
8
1
2
6
-3
:
2
0
1
8
9
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3102
真空計
3204
分圧(真空)計
電界を利用する質量分析計
電界及び磁界を利用する質量分析計
3506
磁界偏向型質量分析計
3507
二重収束型質量分析計
3509
オメガトロン型質量分析計
3508
トロコイド形質量分析計
飛行時間を利用する質量分析計
3510
飛行時間型質量分析計
3511
リフレクトロン飛行時間型質量分析計
3512
遅延引き出し飛行時間型質量分析計
3203
全圧(真空)計
3502
高周波型質量分析計
3503
四極子形質量分析計
3505
イオントラップ質量分析計
3504
単極子形質量分析計
9
Z
8
1
2
6
-3
:
2
0
1
8
10
Z 8126-3:2018
附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS Z 8126-3:2018 真空技術−用語−第3部:真空計及び関連用語
ISO 3529-3:2014,Vacuum technology−Vocabulary−Part 3: Total and partial pressure vacuum
gauges
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3 用語及び
定義
図1−用語の番号
付けの規則
−
−
追加
JISでの用語の番号を規定するために追加
した。
JISを理解しやすくするためで
あり,ISO規格に反映させる予定
はない。
3107 複合真空計
−
−
追加
近年,複合真空計が広く普及していること
から,この項目を追加した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
−
2.3.4
ionization sensitivity
[(電離真空計の)
感度係数]
削除
ionization sensitivityはJIS Z 8129:2014にお
いても定義されていることから,混乱を避
けるためにこの項目を削除した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
3402 U字管真空
計
−
−
追加
改正前のJISにおいても定義されていたこ
と,真空技術の中でも重要な真空計である
ことから,この項目を追加した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
3408 マクラウド
真空計
−
−
追加
改正前のJISにおいても定義されていたこ
と,真空技術の中でも重要な真空計である
ことから,この項目を追加した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
3412 水晶摩擦真
空計
2.4.2.1.2
quartz friction
vacuum gauge
追加
実際の計測では,共振周波数ではなくイン
ピーダンスを測定することが多いため追
加した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
3419 放射線真空
計
−
−
追加
改正前のJISにおいても定義されていたこ
と,真空技術の中でも重要な真空計である
ことから,この項目を追加した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
−
2.4.3.2
crossed field
ionization gauge
削除
調査の結果,国内外での使用例がほぼ見ら
れず,無用の混乱を避けるため削除した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
1
0
Z
8
1
2
6
-3
:
2
0
1
8
11
Z 8126-3:2018
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
3用語及び
定義(続き)
3420 冷陰極電離
真空計
−
−
追加
改正前のJISにおいても定義されていたこ
と,真空技術の中でも重要な真空計である
ことから,この項目を追加した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
3424 ガイスラ管
−
−
追加
改正前のJISにおいても定義されていたこ
と,真空技術の中でも重要な真空計である
ことから,この項目を追加した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
−
2.4.3.3
emitting cathode
ionization gauge
削除
調査の結果,国内外での使用例がほぼ見ら
れず,無用の混乱を避けるため削除した。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
附属書A
(参考)
真空計の分類
Annex A
(Informative)
真空計及び分圧計
の分類図
追加
ISO 3529-3では,全項目の中から選択され
た真空計の分類図になっているが,JISで
は全項目を含めた分類図としただけであ
り,技術的差異はない。
今後ISO規格に反映させること
を提案する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 3529-3:2014,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
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