Z 8126-1 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日
本工業規格である。これによって,JIS Z 8126 : 1990は廃止され,このJIS Z 8126群に置き換えられる。
今回の制定によって,JIS Z 8126群は,ISO 3529 (Vacuum technology−Vocabulary) の各部に一致した規
格となる。
JIS Z 8126群は,規格の名称の前付け及び主題を“真空技術−用語”とし,次の各部からなる。
第1部:一般用語
第2部:真空ポンプ及び関連用語
第3部:真空計及び関連用語
JIS Z 8126-1には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定) 圧力の単位(従来単位とSI単位との比較)
附属書B(規定) 真空工学に関係のある量記号
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8126-1 : 1999
真空技術−用語−
第1部:一般用語
Vacuum technology−Vocabulary−
Part 1 : General terms
序文 この規格は,1981年に第1版として発行されたISO 3529-1, Vacuum technology−Vocabulary−Part 1 :
General termsを翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格に
規定されていない用語を日本工業規格として追加している。
なお,この規格で点線の下線を施してある部分は原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,真空技術・真空工業に関する主な真空計及び関連用語について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 3529-1 : 1981 Vacuum technology−Vocabulary−Part 1 : General terms
2. 用語及び定義 用語,定義及び対応する外国語は,次のとおりとする。
なお,対応する外国語のうち,独語はISO 3529-1で公用語である英語・仏語と同等としているが,ISO
の用語とみなしてはいない。
番号
用語
定義
対応する外国語
2.0.1
標準環境状態
温度20℃,相対湿度65%で,乾燥空気の
圧力が大気圧 (101 325Pa) の状態。
(英)standard ambient conditions
(独)Normalklima (n)
(仏)conditions normales ambiantes
2.0.2
気体の標準状態 気体論における気体の標準状態を与える
もので,温度0℃,圧力101325Pa(1標準
気圧)の状態。
(英)standard reference conditions for gases
(独)Normzustand (m) für Gase
(仏)conditions normales de référence pour les gaz
2.1.1
真空
通常の大気圧より低い圧力の気体で満た
された空間の状態。
備考1. 圧力そのものをいうのでは
ない。
2. 真空の領域は習慣的に2.1.1.1
〜2.1.1.4に示す圧力間隔で区
分する。
(英)vacuum
(独)Vakuum (n)
(仏)vide (m)
2.1.1.1
低(粗い)真空 圧力100kPa〜100Pa (105〜102Pa) の真空。
(英)low (rough) vacuum
(独)Grobvakuum (n) (GV)
(仏)vide grossier
2.1.1.2
中真空
圧力100Pa〜0.1Pa (102〜10−1Pa) の真空。
(英)medium vacuum
(独)Feinvakuum (n) (FV)
(仏)vide moyen
2
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番号
用語
定義
対応する外国語
2.1.1.3
高真空 (HV)
圧力0.1Pa〜10μPa (10−1〜10−5Pa) の真空。 (英)high vacuum (HV)
(独)Hochvakuum (n) (HV)
(仏)vide poussé
2.1.1.4
超高真空
(UHV)
圧力10μPa (10−5 Pa) 以下の真空。
参考 圧力1nPa (10−9 Pa) 以下の真空
を極高真空 (XHV) と呼ぶこと
もある。
(英)ultra-high vacuum (UHV)
(独)Ultrahochvakuum (n) (UHV)
(仏)ultra-vide
2.2.1
圧力
a) 境界面上の気体について:実際の表面
上のある面積に,気体によって作用さ
れる力の垂直成分をその面積の逆数
で乗じたもの(気体の流れが存在する
ときは,その質量流量ベクトルに対し
て面の方向を規定する。)。
b) 空間内のある点を含む仮想の微小平
面を両側の方向から通過する分子に
よって,単位面積当たり,単位時間に
輸送される運動量の面に垂直な成分
の総和。空間内に定常的な気体の流れ
があるときは,流れの方向に対して面
の傾きを規定する。
(量記号:p,単位記号:Pa)
備考 “圧力”という用語は単独に用
いられるときは,静止している
気体中の圧力及び定常状態で
流れている気体の静圧を意味
している。
(英)pressure
(独)Druck (m)
(仏)pression (f)
2.2.2
パスカル
国際単位系の圧力単位の名称。
(単位記号:Pa) 1Pa=1 N・m−2
備考 他の圧力の諸単位については,
附属書Aを参照されたい。ただ
し,これらの単位は,可能な限
り使用を避けるべきである。
(英)pascal
(独)Pascal (n)
(仏)pascal (m)
2.2.3
分圧
混合気体中の特定成分の圧力。
(量記号:成分iに対してpi,単位記号:Pa)
(英)partial pressure
(独)Partialdruck (m)
(仏)pression partielle (f)
2.2.4
全圧
混合気体中の全成分の分圧の総和。
(量記号:p,単位記号:Pa)
(英)total pressure
(独)Totaldruck (m)
(仏)pression totale (f)
2.3.1
気体
見掛け上,分子が分子間力によって運動の
制限を受けないで空間を自由に満たせる
状態にある物質。
備考 真空技術・真空工業では“気体”
という用語は非凝縮性気体及
び蒸気の両方を表している。
(英)gas
(独)Gas (n)
(仏)gaz (m)
2.3.2
非凝縮性気体
温度がその物質の臨界温度以上になって
いて,圧力の増加だけでは凝縮相に変化さ
せることができない気体。
(英)non-condensable gas
(独)Gas (n)
(仏)gaz non condensable (m)
2.3.3
蒸気
温度がその物質の臨界温度以下になって
いて,圧力の増加だけで凝縮相に変化させ
ることができる気体。
(英)vapour; (米)vapor
(独)Dampf (m)
(仏)vapeur (f)
3
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番号
用語
定義
対応する外国語
2.3.4
飽和蒸気圧
その温度で凝縮相と熱力学的平衡に達し
ている蒸気が示す圧力。
(量記号:pL,単位:Pa)
(英)saturation vapour pressure
(独)Sättigungsdampfdruck (m)
(仏)pression de vapeur saturante (f)
2.3.5
飽和度
ある温度における蒸気の圧力とその飽和
蒸気圧との比。
(英)degree of saturation
(独)Sättigungsgrad (m)
(仏)degré (m) de saturation
2.3.6
飽和蒸気
ある温度において飽和蒸気圧に等しい圧
力を示す蒸気。
備考 蒸気は,対象とする物質の凝縮
相と熱力学的に平衡状態にあ
るときには,いつも飽和状態に
ある。
(英)saturated vapour
(独)gesättigter Dampf (m)
(仏)vapeur saturante (f)
2.3.7
不飽和蒸気
ある温度において飽和蒸気圧より低い圧
力を示す蒸気。
(英)unsaturated vapour
(独)ungesättigter Dampf (m)
(仏)vapeur séche (f)
2.4.1
気体分子密度
気体の中の特定の点において,またある瞬
間において,その特定の点を囲む適当に選
択された体積の中に,ある時間tにおいて
含まれる分子の数を,その体積の逆数で乗
じたもの。
(量記号:n,単位:m−3)
(英)number density of molecules
(独)volumenbezogene Teilchenanzahl (f) ;
Teilchenanzahldichte (f)
(仏)nombre volumique de molécules (m)
2.4.2
特定の成分の分
子の密度
混合気体において:ある時間(1)tにおいて,
特定の点を囲むある体積に含まれる特定
の気体成分の分子密度。
(特定の気体成分をBとすると,量記号:
nB,単位:m−3)
注(1) “時間”という言葉は,簡略化
するために用いるものである。
より正確には,適切な統計的平
均が得られるように,時刻tを
中心とした短い時間間隔⊿tに
おける時間平均がとられる。
(英)concentration of molecules of a given
component
(独)Teilchenanzahldichte einer
Komponente in einem Gasgemisch (f)
(仏)concentration moléculaire d'um constituant
donné
2.4.3
単位質量密度
気体の質量密度をその圧力で除したもの。
(量記号:Du,単位:kg・m−3・Pa−1)
(英)unitary mass density
(独)druckbezogene Massendichte (f)
(仏)masse volumique unitaire (f)
2.4.4
平均自由行程
気体(一般には粒子の集合系)の中を自由に
動き回る粒子(分子・原子・電子・イオン・
中性子など)が同種又は異種の粒子と次々に
衝突する場合,相続く衝突間に粒子が飛行し
た距離の平均。
(量記号:λ,l,単位:m)
備考 平均をとると当たっては,統計
的に意味のある値が得られる
ように,十分大きな数の分子数
を取り,また十分長い時間に対
して平均を取るものとする。
(英)mean free path
(独)mittlere freie Weglänge (f)
(仏)libre parcours moyen (m)
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番号
用語
定義
対応する外国語
2.4.5
衝突頻度
気体(一般には粒子の集合系)の中を自由
に動き回る粒子が単位時間に受ける衝突
の平均回数。
(量記号:ψ,単位:s−1)
備考 衝突に関与する粒子の種類を
指定することがある。また,こ
の平均衝突回数は,統計的に意
味のある値を得るために,十分
大きい数の分子に対し,また十
分長い時間間隔に対して,平均
化するものとする。
(英)Collision rate
(独)Stoßrate (f)
(仏)taux de collision (m)
2.4.6
体積衝突頻度
気体(一般には粒子の集合系)の中で起こ
る粒子間衝突の単位時間,単位体積当たり
の平均回数。
(量記号:x,単位:m−3・s−1)
備考 1個の粒子に関する量ではな
い。
(英)volume collision rate
(独)volumenbezogene Stoßrate (f) ;
Volumenstossrate
(仏)taux volumique de collision (m)
2.4.7
気体の量,pV値 気体の体積と圧力の積。このように定義さ
れたこの物理量は気体の質量をその単位
質量密度の逆数で乗じた値に等しい。
(量記号:G,単位:Pa・m3)
備考 この積の値は常温 (20℃) にお
ける値に換算するか,又は気体
の温度を示す必要がある。ま
た,この量は,気体が占める体
積における気体の内部エネル
ギーの3分の2に等しい。
(英)quantity of gas
(独)pV-Wert (m)
(仏)quantité énergétique de gaz (f)
2.5.1
拡散
気体が媒質中における濃度こう配によっ
て移動する現象。
備考 媒質は,他の気体(この場合を
相互拡散という。)又は凝縮相
である。
(英)diffusion of gas
(独)Gasdiffusion (f)
(仏)diffusion d'un gaz (f)
2.5.2
拡散係数
拡散の分子流量密度を密度のこう配で除
した値。
(量記号:D,単位:m2・s−1)
(英)diffusion coefficient ; diffusivity
(独)Diffusionkoeffizient (m)
(仏)coefficient de diffusion (m)
2.6.1
粘性流
気体分子の平均自由行程が導管断面の寸
法よりも十分に小さい場合に起こる導管
内の気体の流れ。
備考 流れは気体の粘性に依存し,層
流又は乱流となる。
(英)viscous flow
(独)viskose Strömung (f)
(仏)écoulement visqueux (m)
2.6.2
ポアズイユの流
れ
円形断面の長い導管を通る粘性層流(レイ
ノルズ数が小さい場合)。
(英)Poiseuille flow
(独)Poiseuille Strömung (f)
(仏)écoulement de Poiseuille (m)
2.6.2.1
レイノルズ数
流れの特性を表す無次元量の一つであっ
て,流れを特徴づける代表的な長さ(例え
ば,管の直径),流れの速度,気体の密度,
気体の粘度の関数。
(量記号:Re)
(英)Reynolds number
(独)Reynoldssche Zahl (f)
(仏)nombre de Reynolds (m)
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番号
用語
定義
対応する外国語
2.6.3
分子流
気体分子の平均自由行程が,導管断面の最
大寸法よりも十分に大きい場合(クヌーセ
ン数が大きい場合)の導管内の気体の流
れ。
(英)molecular flow
(独)Molekularströmung (f)
(仏)écoulement moléculaire (m)
2.6.3.1
クヌーセン数
流れの特性を表す無次元量の一つであっ
て,流れを特徴づける代表的な長さ(例え
ば,管の直径)に対する分子の平均自由行
程の比。
(量記号:Kn)
(英)Knudsen number
(独)Knudsen-Zahl (f)
(仏)nombre de Knudsen (m)
2.6.4
中間流
粘性層流と分子流の中間の条件下にある
導管内の気体の流れ。
(英)intermediate flow
(独)Knudsen-Strömung (f)
(仏)écoulement intermédiaire (m)
2.6.5
分子の噴き出
し,分子噴流
厚さを無視できるオリフィスにおいて,気
体分子の平均自由行程が,オリフィス開口
の最大寸法より十分に大きい場合の気体
の流れ。
(英)molecular effusion ; effusive flow
(独)Molekulareffusion (f)
(仏)effusion moléculaire (f)
2.6.6
遷移
多くの穴があいている(ポーラス状態の)
固体の中を気体の圧力差によって通過す
る流れ。
(英)transpiration
(独)Transporisation (f) ;
Porendurchtritt (m)
(仏)transporisation (f)
2.6.7
熱遷移,
サーマルトラン
スピレーション
温度が異なる二つの容器が導管で結ばれ
ている場合に,分子流領域において圧力差
を生じる現象。
(英)thermal transpiration
(独)thermische Effusion (f)
(仏)effusion thermique (f)
2.7.1
分子流量,
分子束
空間内のある面を単位時間に通過する気
体分子の正味の数。
(量記号qN,単位:s−1)
備考 正味の数とは,ある方向に面を
通過する気体分子の数と反対
方向に通過する気体分子の数
との差。
(英)molecule flow rate ; molecular flux
(独)Teilchendurchfluß (m)
(仏)débit-molécules (m) ; flux de molécules
2.7.1.1
分子流量密度
単位面積当たりの分子流量。
(単位:m−2・s−1)
(英)molecule flow rate density ; density of
molecular flux
(独)Teilchendurchflußdichte (f)
(仏)débit-molécules surfacique (m) ;
densité du flux de molécules
2.7.2
(気体の)流量 導管のある断面又はオリフィスを単位時
間に通過する気体の量(pV値)。
(量記号qG,単位:Pa・m3・s−1)
(英)throughput
(独)pV−Durchfluß (m) ; Saugleistung (f)
(仏)flux gazeux (m)
2.7.3
質量流量
空間内のある面を単位時間に通過する気
体の質量。
(量記号:qm,単位:kg・s−1)
(英)mass flow rate
(独)Massendurchfluß (m)
(仏)débit-masse (m)
2.7.4
体積流量
空間内のある面を単位時間に通過する気
体の体積。
(量記号:qv,単位:m3・s−1)
(英)Volume flow rate
(独)Volumendurchfluß (m) ;
Saugvermogen (n)
(仏)débit-volume (m)
2.7.5
モル流量
空間内のある面を単位時間に通過する気
体のモル数。
(量記号:qν,単位:mol・s−1)
(英)molar flow rate
(独)molarer Durchfluß (m) ;
Stoffmengendurchfluss (f)
(仏)débit-molaire (m)
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番号
用語
定義
対応する外国語
2.8.1
マックスウェル
の速度分布
マックスウェル・ボルツマンの速度分布関
数に相当する速度分布。またこれはある温
度において,また壁からの距離が気体分子
の平均自由行程に比べてずっと大きい状
態で,熱平衡に達している気体分子の速度
分布。
(英)Maxwellian velocity distribution
(独)Maxwellsche Geschwindigkeitsverteilung (f)
(仏)distribution Maxwellienne des vitesses (f)
2.8.2
通過確率,
クラウジング係
数
導管の入口に入射した分子が出口を通過
する確率。
(量記号:Pc)
(英)transmission probability ;
Clausing's factor
(独)Durchlaufwahrscheinlichkeit (f) ;
Clausingshe Faktor (m)
(仏)probabilité de passage (f)
2.8.3
分子コンダクタ
ンス
分子流量を,オリフィスの両側,導管など
の二つの断面における平均気体分子密度
の差で除した値。
(量記号:CN,UN,単位:m3・s−1)
(英)molecule conductance
(独)Teilchenströmungsleitwert (m)
(仏)conductance-molécules (f)
2.8.4
コンダクタンス 流量をオリフィスの両側,導管などの二つ
の断面における圧力差で除した値。この場
合,等温状態を仮定している。
(量記号:C,U,単位:m3・s−1)
(英)conductance
(独)Strömungsleitwert (m)
(仏)conductance (f)
2.8.5
固有コンダクタ
ンス
マックスウェルの速度分布が支配的な状
態にある二つの容器が,導管(又はオリフ
ィス)によって接続されているような特殊
な場合におけるコンダクタンス。分子流の
場合,この値は入口のコンダクタンスと通
過確率との積に等しい。
(量記号:Ci,Ui,単位:m3・s−1)
(英)intrinsic conductance
(独)Strömungseigenleitwert (m) ;
charakteristischer Strömungsleitwert (m)
(仏)conductance intrinséque (f)
2.8.6
抵抗
コンダクタンスの逆数。
(量記号:w,単位:m−3・s)
(英)resistance
(独)Strömungswiderstand (m)
(仏)résistance (f)
2.9.1
吸収
気体又は蒸気分子が固体又は液体の内部
に取り込まれる現象。
備考 この場合の気体又は蒸気分子
を吸収質 (absorbate),固体又は
液体を吸収媒 (absorbent) とい
う。
(英)absorption
(独)Absorption (f)
(仏)absorption (f)
2.9.2
吸着
気体又は蒸気分子が固体又は液体の表面
にとどまっている現象。
備考 この場合の気体又は蒸気分子
を吸着質 (adsorbate),固体又は
液体を吸着媒 (adsorbent) とい
う。
(英)adsorption
(独)Adsorption (f)
(仏)adsorption (f)
2.9.2.1
物理吸着
化学結合を伴わない物理的な力による吸
着。
(英)physisorption
(独)Physiosorption (f)
(仏)phisisorption (f)
2.9.2.2
化学吸着
化学結合を伴う吸着。
(英)chemisorption
(独)Chemisorption (f)
(仏)chimisorption (f)
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番号
用語
定義
対応する外国語
2.9.3
収着
固体又は液体による気体又は蒸気分子の
取り込み。吸着及び吸収の二つの現象を含
んでいる。
備考 この場合の固体又は液体を収
着媒 (sorbent),気体(又は蒸気)
分子を収着質 (sorbate) とい
う。
(英)sorption
(独)Sorption (f)
(仏)sorption (f)
2.10.1
熱適応係数
入射粒子と表面との間の熱エネルギーの
授受の程度を表す係数。実際に授受される
平均エネルギーと,入射粒子が表面と熱平
衡に達して表面から空間に戻ると仮定し
た場合に授受される平均エネルギーとの
比。
(量記号:α)
(英)accommodation factor
(独)Akkommodationswahrscheinlichkeit (f)
(仏)facteur d'accommodation (m)
2.10.2
入射頻度
表面の単位面積当たりに単位時間に入射
する分子の数。
(量記号:ν,単位:m−2・s−1)
(英)impingement rate
(独)flächenbezogene Stoßrate (f) ;
Flächenstoßrate (f)
(仏)taux (surfacique) d'incidence (m)
2.10.2.1
入射速度
表面の単位面積当たりに単位時間に入射
する物質の量。
(英)impingement rate
(独)Flächenstoßrate (f)
(仏)taux (surfacique) d'incidence (m)
2.10.3
凝縮速度
表面の単位面積当たりに単位時間に凝縮
する分子の数又は物質の量。
(英)condensation rate
(独)flächenbezogene Kondensationsrate (f) ;
Flächenkondensationsrate (f)
(仏)taux (surfacique) de condensation (m)
2.10.3.1
凝縮係数
凝縮速度と入射頻度又は入射速度との比。
無次元量である。
(量記号:c)
(英)condensation coefficient
(独)Kondensations Koeffizient (m)
(仏)facteur de condensation (m)
2.10.4
付着速度
表面の単位面積当たりに単位時間に化学
吸着される分子の数又は物質の量。
(英)sticking rate
(独)flächenbezogene Haftrate (f)
(仏)taux (surfacique) de collage (m) ;
taux (surfacique) de sorption (m)
2.10.5
付着確率
付着速度と入射頻度又は入射速度との比。
無次元量である。
(量記号:ps)
(英)sticking probability
(独)Haftwahrscheinlichkeit (f)
(仏)probabilité de collage (f) ;
probabilité de sorption (f)
2.10.6
(平均)滞留時
間,
(平均)滞在時
間
分子が表面に収着状態で束縛されている
時間の平均。
(量記号:τ,単位:s)
(英)residence time
(独)Verweildauer (f)
(仏)temps de séjour (m)
2.11
表面移動
表面上における分子の移動。
(英)migration
(独)Oberflächenwanderung (f)
(仏)migration (f)
2.12.1
脱離,
離脱
収着されていた気体又は蒸気分子の放出。 (英)desorption
(独)Desorption (f)
(仏)désorption (f)
2.12.2
気体放出
物質からの気体の放出。
(英)outgassing
(独)Gasabgabe (f)
(仏)dégagement de gaz (m)
8
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番号
用語
定義
対応する外国語
2.12.3
脱ガス
人為的な操作による物質からの気体の放出。 (英)degassing
(独)Entgasung (f)
(仏)dégazage (m)
2.13.1
蒸発速度
表面の単位面積から単位時間に蒸発する
分子の数又は物質の量。
(単位:m−2・s−1,kg mol・m−2・s−1,g・
m−2・s−1)
(英)evaporation rate
(独)flächenbezogene Verdampfungsrate (f) ;
Flächenverdampfungsrate (f)
(仏)taux (surfacique) d'évaporation (m)
2.13.2
気体放出速度,
脱離速度,
脱ガス速度
物質の単位面積から単位時間に放出され
る気体の量(pV値)又は分子の数。
(量記号:qGU,単位:Pa・m・s−1,m−2・
s−1)
(英)desorption (or outgassing, or degassing) rate
(独)flächenbezogene Desorptionsrate (f) ;
Flächendesorptionsrate (f) ;
flächenbezogene Entgasungsrate (f) ;
flächenbezogene Gasabgaberate (f)
(仏)taux (surfacique) dedésorption (dedégazage)
(m)
2.14.1
透過
気体が吸着,溶解,拡散,脱離などに基づ
いて固体内を通過する現象。
(英)permeation
(独)Permeation (f) ; Gasdurchgang (m)
(仏)perméation (f)
2.14.2
透過率
固体内を通過する気体の流量を,壁の各々
の側において存在する圧力の関数である
ような物理量で除した値。この関数の形
は,実際の透過に伴う物理的諸過程に依存
する。
(量記号:P)
(英)permeability
(独)Gaspermeabilität (f) ;
Gasdurchlässigkeit (f)
(仏)perméance (f)
2.14.3
透過係数
透過率と障壁の厚さとの積をその面積で
除した値。
(量記号:P)
(英)permeability coefficient
(独)Koeffizient der Gaspermeabilität (m) ;
Koeffizient der Gasdurchlässigkeit (m)
(仏)coefficient de perméance (m)
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Z 8126-1 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(規定) 圧力の単位(従来単位とSI単位との比較)
標準気圧 (atm)
1atm=101 325Pa
工学単位 (at)
1at=1kgf・cm−2=98 066.5Pa
トル (Torr)
1Torr≒133.322Pa*
バール (bar)
1bar=105Pa
ダイン毎平方センチメートル (dyn・cm−2)
1dyn・cm−2=10−1Pa
水銀柱ミリメートル (mmHg)
1mmHg≒133.322Pa*
水柱メートル (mH2O)
1mH2O≒9 806.65Pa*
重量キログラム毎平方センチメートル (kgf・cm−2)
1kgf・cm−2=98 066.5Pa
barye
1barye=10−1Pa
水柱フィート (ftH2O)
1ftH2O≒2 989.07Pa*
水柱インチ (inH2O)
1inH2O≒249 089Pa*
水銀柱インチ (inHg)
1inHg≒3 386.39Pa*
ダイン毎平方センチメートル(省略形:dyn・cm−2)
1dyn・cm−2=10−1Pa
ピーズ (pz)
1pz=103Pa
ポンド毎平方フィート (pdl・ft−2)
1pdl・ft−2≒1.488 16Pa*
重量ポンド毎平方フィート (lbf・ft−2)
1lbf・ft−2≒47.880 3Pa*
重量ポンド毎平方インチ (lbf・in−2, psi)
1lbf・in−2≒6 894.76Pa*
注*
有効数字6けたに丸めた。
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Z 8126-1 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B(規定) 真空工学に関係のある量記号
量記号
番号
用語
英語
α
2.10.1
熱適応係数
accommodation factor
C, U
2.8.4
コンダクタンス
conductance
D
2.5.2
拡散係数
diffusion coefficient ; diffusivity
λ, l
2.4.4
平均自由行程
mean free path
n
2.4.1
気体分子密度
number density of molecules
p
2.2.1
圧力
Pressure
pL
2.3.4
飽和蒸気圧
saturation vapour pressure
qG
2.7.2
(気体の)流量
throughput
qGu
2.13.2
気体放出速度
outgassing rate
脱離速度
desorption rate
脱ガス速度
degassing rate
qm
2.7.3
質量流量
mass flow rate
qN
2.7.1
分子流量
molecule flow rate
分子束
molecular flux
qv
2.7.4
体積流量
volume flow rate
qν
2.7.5
モル流量
molar flow rate
ν
2.10.2
入射頻度
impingement rate
ps
2.10.5
付着確率
sticking probability
τ
2.10.6
(平均)滞留時間
residence time
(平均)滞在時間
x
2.4.6
体積衝突頻度
volume collision rate
ψ
2.4.5
衝突頻度
collision rate
Ci, Ui
2.8.5
固有コンダクタン
ス
intrinsic conductance
CN, UN
2.8.3
分子コンダクタン
ス
molecule conductance
G
2.4.7
気体の量,pV値
quantity of gas
P
2.14.3
透過係数
permeability coefficient
P
2.14.2
透過率
permeability
Pc
2.8.2
通過確率,クラウ
ジング係数
transmission probability, Clausing's factor
w
2.8.6
抵抗
resistance
Du
2.4.3
単位質量密度
unitary mass density
c
2.10.3.1
凝縮係数
condensation coefficient
Re
2.6.2.1
レイノルズ数
Reynolds number
Kn
2.6.3.1
クヌーセン数
Knudsen number
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Z 8126-1 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS Z 8126-1国際整合化委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
平 田 正 紘
工業技術院電子技術総合研究所
大 嶋 清 治
工業技術院標準部
和 田 隆 光
財団法人日本規格協会
赤 石 憲 也
核融合科学研究所
門 芳 生
株式会社芝浦製作所
金 戸 成
株式会社大阪真空機器製作所
木 村 和 幸
大亜真空株式会社
○ 榊 原 正 二
日本酸素株式会社
○ (長 岡 隆 司)
株式会社日立製作所
中 村 静 雄
日本真空技術株式会社
成 田 潔
株式会社島津製作所
橋 爪 寛 行
橋爪技術士事務所
福 山 泰 弘
神港精機株式会社
○ 堀 越 源 一
高エネルギー物理学研究所(名誉教授)
森 本 勝 直
アネルバ株式会社
柳 橋 輝 雄
大亜真空株式会社
(事務局)
(石 川 三 郎)
日本真空協会
小 林 廣 子
日本真空協会
備考 ○印は分科会委員も兼ねる。