Z 8124 : 2000
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本印刷産業連合会 (JFPI)/財団
法人日本規格協会 (JSA) から工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申し出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が制定した日本工業規格である。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8124 : 2000
印刷用語−取引関連
Graphic arts−Glossary-trading terms
1. 適用範囲 この規格は,印刷の取引関連に使用される用語及び定義について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8305 活字の基準寸法
3. 分類 用語9分類は,次による。
a) 全般
b) プリプレス
c) 印刷
d) 印刷物加工
4. 用語及び定義 この規格の用語及び定義は,次による。
なお,参考として対応英語を示す。
備考1. 用語の中で,括弧内の漢字はその直前の平仮名の意味を表す。
2. 用語の中で,用語の末尾に括弧内に平仮名で示したものは用語の読み方を示す。
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Z 8124 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 全般
番号
用語
定義
対応英語(参考)
01.01
色濃度
通常は赤,緑,青の色フィルタを通して測定した濃度。
color density
01.02
色の堅ろう(牢)
度
印刷物の色が時間の経過,光,熱その他の環境条件下で変化に抵
抗する程度を示す尺度。耐光性,耐候性,耐酸性,耐アルカリ性
などがある。
color fastness
01.03
解像度
画像の細部をどの程度まで表現できるかを示す尺度。例えば,1mm
当たりの表現本数で表す。
resolution
01.04
ガイドマーク
刷版の位置決め,用紙の中心合わせ,断裁,折作業などの目安と
するために,余白に付けたとんぼ及び裁ち線。
guide marks
01.05
カラーチャート
プロセスインキを様々な平網の組合せで重ね刷りした一連の色票
で構成する参照用印刷見本。
color chart
01.06
カラーマッチ
特定の照明下で,二つの色票を比較観察して,色相,彩度,明度
に目立った違いが認められない状態。
color match
01.07
シャープネス
画像が鮮明に見える程度。
sharpness
01.08
シャドウ
写真又は印刷画像の暗い部分。
shadow
01.09
中間調
写真又は印刷画像のハイライトとシャドウとの中間の部分。
midtones
01.10
ハイライト
写真又は印刷画像の明るい部分。
highlight
b) プリプレス
番号
用語
定義
対応英語(参考)
02.01
アウトライン
フォント
文字の輪郭を数式で表示したフォント。
outline font
02.02
青焼
(あおやき)
印刷版中の文字及び画像を確認するための校正用コピー。
備考 本来はジアゾ方式その他で作られた青写真。
blueprint
02.03
網階調
微小な画像構成要素(網点など)の面積率の変化によって画像の
濃淡を表現する手法。
halftone gradation
02.04
網点面積率
(あみてんめん
せきりつ)
網点複製物の所定面積中に占める網点面積の比率。通常,百分率
で表す。
dot values
02.05
網撮り
(あみどり)
連続階調で表現された画像を,相応する網階調に変換する作業。
網かけともいう。
screening,
dot generation
02.06
網ネガ
網階調で構成するネガ画像。
screen negative
02.07
網ポジ
網階調で構成するポジ画像。
screen positive
02.08
イエロー版
カラー印刷でイエローインキを使用する印刷版又は対応する原
板。
yellow printer
02.09
イラスト
印刷物に使用する図形,スケッチ,絵画などの類。
illustrations
02.10
色修正
プロセスインキ,色分解などの欠陥による色再現性の欠陥の補正,
又は色変更のために行われる修正作業。
color correction
02.11
エアブラシ
a) エア・ノズルによって,染料や顔料を画像に吹き付けながら,
手作業で画像の修整をする。
b) コンピュータ上で行う電子的画像修整。
airbrushing
02.12
カラーデュープ
製版の便宜のため,カラー透過原稿を複製する手法又はその複製
物。
color duplication,
dupes
02.13
カンプ
グラフィックデザイナが作成する文字や,イラストなどの最終配
置を示す正確なレイアウト。
comprehensive comp,
mock-up
02.14
脚注
ページの下部に,本文よりも小さな文字で組まれた注釈。
footnote
02.15
行長
(ぎょうちょ
う)
行そろえをして組まれた文字行の長さ。
line length
02.16
切り抜き
絵柄などの指定部分だけを残す作業。
cropping
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
02.17
組版指定
原稿上に文字の書体,サイズ,体裁,スペースなどを直接記入し
た指定。
markup
02.18
グレーバランス
イエロー,マゼンタ,シアンを刷り重ねたときに,無彩色が得ら
れる3色インキのつり合い。
gray balance
02.19
毛抜き合せ
(けぬきあわ
せ)
a) 隣り合う絵柄をすき間なしに配置する。b)実際には印刷作業中
にわずかな見当ずれを起こしても,白いすき間が生じないように,
薄色,平網などで絵柄をわずかに大きくして色が重なるようにす
る。
a) butting
b) trapping
02.20
シアン版
カラー印刷でシアンインキを使用する印刷版又は対応する原板。 cyan printer
02.21
白抜き文字
背景の中に白く見える文字。
knockout
02.22
責了紙
(せきりょう
し)
わずかな修正箇所以外は満足すべきものと承認され,再度提出の
必要がない校正刷。
ok with corrections
02.23
センタぞろえ
各行の中央に文章を配置し,両端の余白が等しくなるようにする
組み方。
quad center
02.24
台割り
冊子の内容を折丁の単位でページ順の一覧表。
table of form
02.25
デュオトーン
原稿から階調の異なる二つの網画像を作って刷り重ねる技法。ダ
ブルトーンともいう。
duotone
02.26
トリミング
絵柄の必要部分を指定する行為。
trimming,
cropping
02.27
二段組み
上下又は左右二つの区画(段)で構成したページ。
double column
02.28
のどあき
背の折線から組版された文字の端までの長さ。
back margin
02.29
左ぞろえ
組版行の左側をそろえ,右側の余白は不ぞろいのままにしておく
組み方。
flush left
02.30
表組み
(ひょうぐみ)
数字,文字などから成るデータ項目を一覧しやすい形式に配列す
る。
table setting
02.31
平網
(ひらあみ)
全体が均一な面積率の網点で形成された画像領域。
halftone tint
02.32
ブラック版
カラー印刷で,ブラックインキを使用する印刷版又は対応する原
板。
black printer
02.33
プリプレスプル
ーフ
印刷機を使わないで作る校正刷。
prepress proof
02.34
ページ記述言語
文字,図形,画像などを含むページの構成を出力装置に伝えるた
めのプログラム言語。ポストスクリプトがその一例である。
page description
language (PDL)
02.35
ページ面付け
折ったときに正しい配列になるようにページの位置決めをする。
imposition
02.36
ベタ
網点がなく全面にわたって同じ濃度で印刷された部分。
solid
02.37
ポイント制
1ポイント=0.351 4mmを単位とする活字の大きさの表示方法
(JIS Z 8305)。DTPでは,0.352 8mmを用いる。
point size
02.38
ぼかし
濃度を滑らかに変化させる操作又は変化させた部分。
degrade
02.39
保存版
改正,更新又は再版のために保存している組版,刷版,原板又は
データ。
standing matter
02.40
本文
(ほんもん)
文字組の主要部分。
text
02.41
マゼンタ版
カラー印刷でマゼンタインキを使用する印刷版又は対応する原
板。
magenta printer
02.42
万線
(まんせん)
平行に並べた細線パターン。
parallel line tint
02.43
右ぞろえ
組版行の右側をそろえ,左側の余白は不ぞろいのままにしておく
組み方。
flush right
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
02.44
見開き
小冊子,書籍又は折丁の2ページにまたがる画像。
breakacross,
double spread
02.45
余白
印刷画像部の周辺から,仕上がり線又は折線までの空白部。
margin
02.46
ラフスケッチ
割付け,意匠,挿絵などの簡単なスケッチ。
rough sketch
02.47
リーダーけい
(罫)
点列で構成されるけい。
leader
02.48
連続階調
写真,絵画などのように,網点を用いないで表現した階調。
continuous tone
02.49
ロゴ
商標,社名,商品名などの特殊文字,マークなど。
logotype
c) 印刷
番号
用語
定義
対応英語(参考)
03.01
網グラビア
版材上に彫刻又は腐食で作られた小さな孔(セル)の面積,又は
面積及び深さの双方が変化するグラビア印刷方式。
halftone gravure
03.02
インキセル
グラビア版の表面にインキを保持するために作られた小さな孔。
ink cell
03.03
裏移り
印刷されたインキ表面の乾燥状態に問題があって,重ねられた紙
の裏面にインキが付着してしまう現象。
set off
03.04
オンデマンド印
刷
出版物,カタログなどをディジタルデータで保存しておき,必要
なときに必要な部数だけ必要な人に必要な情報を印刷する方法。
on-demand printing,
demand printing
03.05
くわ(咬)え代
(くわえしろ)
印刷機のくわえつめにくわえ込まれる部分の用紙寸法。
gripper bite
03.06
見当ずれ
(けんとうず
れ)
印刷で画像相互の位置関係又は用紙の縁に対する位置関係が正し
くない状態。
misregister
03.07
再生紙
古紙と新パルプとを混ぜて製造される紙。
recycled paper
03.08
しゃ(紗)
スクリーン印刷の版画像支持体として用いられる網状の素材。一
般には,天然繊維若しくは合成繊維,又はステンレスなどの細い
糸を編み合わせて作られる。
screen fabrics
03.09
ステンシル
スクリーン印刷用の型紙。印刷面の非画像部にインキが付着する
のを防ぐ目的で用いられる。
stencil
03.10
刷り順
印刷機で印刷される色の順序。
color sequence
03.11
損紙
印刷及び印刷物加工中に,不良品として廃棄される用紙。
waste paper
03.12
台
(だい)
折丁のどちらかの片面。印刷作業の単位。
form
03.13
中性紙
酸性物質,酸などを生成する化学物質を含まない紙。
acid-free paper
03.14
坪量
用紙1平方メートル当たりの質量をg単位で表示した値。
grammage
03.15
通し数
1色1回印刷を単位とした印刷作業量。
impression
03.16
本刷り
印刷の本番作業。
pressrun
03.17
連量
用紙1連(=1 000枚)の質量をkg単位で表示したもの。
備考 板紙の場合は,1連(=100枚)の質量である。
basis weight
d) 印刷物加工
番号
用語
定義
対応英語(参考)
04.01
後付け
書籍の巻末に付けられる付録,補遺,語い(彙)解説,索引,文
献。
back matter
04.02
奥付
(おくづけ)
書名・著者名・発行者名・印刷者名・刊行年月日などを記載した
もの。本の初め又は終わりに付ける。
colophon
04.03
折り見本
ページの天,のど,くわえ代,横針側,ページ配置を示す見本。 folder dummy
04.04
観音開き
雑誌類の目次のように,見開きページの両端を内側に折り畳む製
本様式。一方だけを折り畳む場合を“片観音”という。
備考 図1参照
gatefold
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
04.05
逆目折り
(ぎゃくめお
り)
紙目方向と直角に折る折り方。
fold against paper
grain
04.06
経本折り
(きょうぼんお
り)
アコーディオンの蛇腹のように,平行,かつ,交互に繰り返して
折る方法。
備考 図2参照
accordion fold
04.07
ケース
完成した書籍を,背が見えるように収納するための箱。
slip case
04.08
小口
(こぐち)
書籍の開く側の縁。
thumb edge
04.09
仕上り寸法
仕上げ裁ちした印刷物の寸法。
trim size
04.10
順目折り
紙目方向と平行に折ること。
with the grain
04.11
背
本をとじて固めた面。
備考 図3参照
spine
04.12
背標
(せひょう)
折丁の背に印刷された識別記号。丁合いの正しい順序を示す。
collating mark
04.13
せり出し
中とじの場合に折丁ののどの部分で用紙が重なるため,内側のペ
ージの小口が外側のページからはみ出す現象。
creep,
shingling
04.14
裁ち代
(たちしろ)
シート又はページの縁を仕上げ裁ちするときに裁ち落とされる部
分。
bleed
04.15
丁合い
(ちょうあい)
製本の一工程で,ペラ丁,折丁などを集めてページを正しい順序
にそろえる作業。
assembling
04.16
つか(束)見本
書籍の仕上がり厚さを確かめるために,使用する用紙で製本した
見本。
bulking dummy
04.17
とじ
丁合いされた印刷物をとじる作業。糸とじ,平とじ,中とじ,無
線とじなどがある。
binding
04.18
ヒートシール
熱圧着で二つの面を融着させる加工技術。
heat sealing
04.19
ペラ丁
(ぺらちょう)
本を構成する折られていない一葉の紙。
leaf
04.20
前付け
書籍の本文に先立つページで,まえがき,序文,目次,挿絵一覧,
献辞。
front matter
04.21
見返し
本の中身と表紙を結合するための丈夫な紙。
end leaf,
end sheet
04.22
ミシン入れ
用紙を切り離したり,折丁から空気を抜いたり,折る際のしわを
防止したりするために,用紙中に小孔,切り目などの列を開ける。
perforating
04.23
溝付け
厚紙に溝形を押し付けて折り目を付けること。
crease score
6
Z 8124 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 観音開き
図2 経本折り
図3 背
関連規格 JIS X 0013 情報処理用語(図形処理)
JIS Z 8123 印刷用語−基本用語
JIS Z 8208 印刷校正記号
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Z 8124 : 2000
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(印刷用語−取引関連用語)原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
高 橋 恭 介
東海大学
(委員)
福 井 雅 輝
通商産業省生活産業局
橋 本 進
財団法人日本規格協会
○ 伊勢崎 幸 一
元株式会社アート光村
○ 大豆生田 章
大日本印刷株式会社
○ 古 田 春 男
元凸版印刷株式会社
○ 尾 林 多 郎
共同印刷株式会社
○ 山 本 聰 憲
元株式会社東京印書舘
○ 北 村 雅 一
図書印刷株式会社
成 冨 恭 久
富士写真フイルム株式会社
丸 山 喜美夫
株式会社写研
平 林 利 文
大日本スクリーン製造株式会社
○ 国 司 龍 郎
元千葉大学
○ 甘 利 武 司
千葉大学
○ 井 上 謙
育英工業高等専門学校
○ 竹 原 悟
社団法人日本印刷技術協会
(事務局)
織 本 文 雄
社団法人日本印刷産業連合会
松 尾 誠
社団法人日本印刷産業連合会
片 野 恵 昭
社団法人日本印刷産業連合会
大 石 正 雄
社団法人日本印刷産業連合会
備考 ○印は,小委員会委員を示す。