Z 8117 : 2002
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人遠赤外線協会 (JIRA) から,工業標
準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業
大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比及び日本工業規格を基礎にした国際規格原案の提
案を容易にするため,IEC 60050-841 : 1983を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS Z 8117には,次に示す附属書がある。
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
Z 8117 : 2002
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 用語及び定義 ·················································································································· 1
3.1 基礎及び放射に関する用語 ······························································································ 2
3.2 測定及び量に関する用語 ································································································· 5
3.3 放射源,器具及び材料に関する用語 ·················································································· 7
3.4 加熱装置及び加熱炉に関する用語 ····················································································· 8
3.5 応用に関する用語 ·········································································································· 8
3.5.1 高温熱作用の応用に関する用語 ······················································································ 8
3.5.2 常温熱作用の応用に関する用語 ······················································································ 9
3.5.3 非熱作用の応用に関する用語 ························································································· 9
附属書(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ······································································· 9
索引 ·································································································································· 13
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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日本工業規格 JIS
Z 8117 : 2002
遠赤外線用語
Glossary of Far Infrared Radiation Terms
序文 この規格は,1983年に発行されたIEC 60050-841 : International Electrotechnical Vocabulary, Industrial
electroheatingを基に作成した日本工業規格であるが,遠赤外線を応用する分野で頻繁に用いられている用
語だけを採択して作成している。
なお,変更の一覧表をその説明を付けて,附属書(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,主な遠赤外線用語(以下,用語という。)と,その定義について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
IEC 60050-841 : Intermational Electrotechnical Vocabulary, Industrial electroheating (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。この規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8113 照明用語
3. 用語及び定義 用語及び定義は,3.1〜3.5のとおりとする。
備考1. 二つ以上の用語を並べた場合は,その順位に従って優先使用する。
2. 用語に付けた括弧の用い方は次による。
なお,定義欄に出てくる用語に付けた括弧の用い方もこれを準用する。
a) [ ] の部分は説明又は注記を示す。
b) 遠赤外(線)○○○○は,遠赤外○○○○と遠赤外線○○○○の二つの用語が並記されてい
ることを示す。
3. 読みにくい用語にはその読み方を示す。
4. 参考のために対応英語を示す。ここで,括弧の使い方は次による。
a) 英語と米語に区別がある場合には,(英),(米)で示す。また,これ以外の( )の中は省い
てもよいことを示す。
b) [ ] 内の部分は説明又は注記を示す。
5. 対応英語は,主としてIEC 60050-841及びIEC 60050-845,並びにUIE(国際電熱連合)の慣
用語によった。
なお,対応英語のないものは空欄とする。
2
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3.1
基礎及び放射に関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
1001
電磁波
(でんじは)
真空又は物質中を電界と磁界の変化が相伴って伝播する
現象。自由空間では光速度で伝播する。
electromagnetic wave
1002
光子
電磁波を量子化する場合の質量0の素粒子。光量子,フ
ォトンともいう。
photon
1003
放射
1. エネルギーが電磁波又は光子として放出され,伝搬
すること。
2. これらの電磁波又は光子。
備考 この用語規格では“電磁放射”の意味に用い
る。
[electromagnetic] radiation
1004
光放射
X線の波長より長く,電波の波長より短い波長をもつ放
射。
備考1. 赤外放射,可視放射,紫外放射の総称とし
て使用する。
2. X線との境界波長はおよそ1nm,電波との
境界波長はおよそ1mmである。
optical radiation
1005
可視放射
直接的に視感覚を起こすことができる光放射。
備考1. 可視放射の限界波長は,網膜に達する放射
束の量,観察者の応答度に依存し,明確に
は定まらない。一般に,短波長の限界は
360nmと400nmの間に,長波長の限界は
760nmと830nmとの間にとる。
2. 放射源の放射束中に含まれる可視放射を定
量評価する場合には,波長が400nmと
780nmとの間にある放射を可視放射とす
る。
visible radiation
1006
紫外線,紫外放射
波長が可視放射の波長より短い光放射。
備考1. 放射源の放射束中に含まれる紫外放射を定
量評価する場合には,波長が400nmより短
い放射を紫外放射とする。
2. UVともいう。
ultraviolet radiation
1007
赤外線,赤外放射
波長が可視放射の波長より長い光放射。
備考1. 放射源の放射束中に含まれる赤外放射を定
量評価する場合には,波長が780nmより長
い放射を赤外放射とする。
2. 熱線 (thermal rays) と通称することがある。
infrared radiation
1008
近赤外線,近赤外
放射
可視域に隣接した波長域の,光化学作用を生じる可能性
のある赤外放射。
備考
IEC
60050-841
(1983)
:
Intemational
Electrotechnical
Vocabulary,
Industrial
electroheatingでは,最大放射パワーを示す
波長が0.78μmから2μmの間に属する放射を
短波長赤外放射と定めている。
参考1. 日本電熱協会では,波長範囲を0.78μm〜
2μmとしている。
2. 遠赤外線協会では,波長範囲を0.78μm〜約
3μmとしている。
near infrared radiation,
short wave infrared
radiation
1009
中赤外線,中赤外
放射
通常の管球用ガラスの透過限界波長より短波長で,人間
の皮膚の透過限界波長より長波長の赤外放射。
備考 IEC
60050-841
(1983)
:
International
mean infrared radiation,
middle infrared radiation,
middle wave infrared
3
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
Electrotechnical
Vocabulary
,
Industrial
electroheatingでは,最大放射パワーを示す波
長が2μmから4μmの間に属する放射を中波長
赤外放射と定めている。
参考1. 日本電熱協会では,波長範囲を2μm〜4μm
としている。
2. 遠赤外線協会では中赤外線を定めていな
い。
radiation,
medium wave infrared
radiation,
intermidiate infrared
radiation
1010
遠赤外線,遠赤外
放射
物質などに吸収されると,他の様態のエネルギーに変換
されることなく,直接的に分子や原子の振動エネルギー
や回転エネルギーに変換される波長域の赤外放射。
備考 IEC
60050-841
(1983)
:
International
Electrotechnical
Vocabulary,
Industrial
electroheatingでは,最大放射パワーを示す波
長が4μmから1mmの間に属する放射を長波
長赤外放射と定めている。
参考1. 日本電熱協会では,波長範囲を4μm〜1mm
としている。
2. 遠赤外線協会では,遠赤外線の波長範囲を
約3μm〜1mmとしている。
far infrared radiation,
long wave infrared radiation
1011
極端赤外放射,極
端赤外線
物質などに吸収されると,直接的に分子や原子の回転エ
ネルギーに変換される波長域の赤外放射。
備考 波長範囲については,いろいろな用例がある
が25μmから1mmまでとすることが多い。
extreme infrared radiation,
thermal infrared radiation
1012
放射エネルギー
放射の様態で伝播するエネルギー。
radiant energy
1013
放射熱伝達
放射の様態でエネルギーを移動させる熱伝達の一方式。 radiation heat transfer
1014
熱放射
1. 物質を構成する粒子(原子,分子,イオンなど)の
その温度と構造に対応して,熱エネルギーを放射エ
ネルギーに変換し放出する過程。
2. 1.の過程によって放出される放射。
thermal radiation
1015
ルミネセンス,
冷放射
物質を構成する粒子(原子,分子,イオンなど)が外部
からのエネルギーを吸収して励起,又はイオン化された
のち,そのエネルギーの全部又は一部を,特定の波長又
は波長帯域の放射として放出する,熱放射以外の過程。
[JIS Z 8113(照明用語)参照。]放電プラズマよりの放
射,蛍光,燐光,電界や固体内での電子・正孔の再結合
による放射,電気双極子放射,シンクロトロン放射,チ
ェレンコフ放射などがその実例である。
参考 以前は,熱放射に対応して,温度の低い放射
源からの放射という概念を含めて,冷放射も
使用されたが,温度に対応しない場合もある
ので,最近はルミネセンスが主に使用される。
luminescence
1016
黒体
すべての波長の放射を完全に吸収する仮想的な物体。黒
体から放射される熱放射が黒体放射であり,それはあら
ゆる波長,温度における熱放射の最大値である。
blackbody
1017
プランクの法則
絶対温度T (K) で放射平衡にある黒体から放射される放
射発散度の分光密度Me, λ (W/m2/μm) は次の式で与えら
れるという法則。
]1
)
/
[exp(
,
2
5
1
−
・
・
=
T
C
C
e
M
λ
λ
λ
ただし,λは波長 (μm) ,C1,C2は定数で,それぞれ次
Planck's law
4
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
のとおりである。
C1=3.741 8×108W・μm4/m2,
C2=1.438 8×104μm・K
1018
灰色体
放射率の値がすべての波長で一定,かつ表面が拡散性を
もつ仮想的な物体をいう。
(英)grey body
(米)gray body
1019
選択放射体
1. すべての波長範囲にわたって放射強度が,同温度の
黒体放射に対して,一定の割合でない放射体。黒体,
灰色体以外の物体。
2. 特定の波長範囲で熱放射の放射や吸収を行うような
物体。選択放射面 [selective surface] として,この概
念が一般的に用いられる。
selective emitter
selective radiator
1020
放射の形態係数
黒体面1から2(各々の面積はA1,A2,また,温度はT1,
T2)への直接的な放射伝熱量Q12は次の式のように表わ
すことができる。
Q12=σ・(T14−T24)・A1・F12
このF12を,黒体面1面から2面への放射の形態係数と
いう。形態係数は各々の面の形状や幾何学的位置関係に
よって決まる無次元量である。
なお,σはステファン・ボルツマン定数である。
geometric configulation
factor,
geometric view factor,
form factor,
1021
放射の交換係数
放射によって2面間をエネルギーが移動する場合,第3
面等の存在及び相互反射の影響も考慮にいれ,実際に2
面間を移動する放射伝熱量を決める係数。
radiation exchange factor
1022
照射
放射又は光子などの粒子線を物体に当てること。
irradiation
1023
入射
ある媒質中を進む放射が,他の媒質との境界面に到達す
ること。
incidence
1024
反射
ある媒質中を進む放射が,他の媒質又は何らかの不連続
的変化のある境界面に入射し,振動数(又は波長)を変
えないで進行方向を変え,元の媒質中を入射側の方向に
進むこと。
reflection
1025
正反射
反射する放射の方向が入射する方向と境界面の法線を含
む面内にあり,入射角と反射角とが等しいような反射。
備考 規則反射 [regular reflection],鏡面反射 [mirror
reflection] ともいう。
specular reflection
1026
拡散反射
反射する放射の強度がどの方向にも一様であるような反
射。乱反射 [irregular reflection] ともいう。
diffuse reflection
1027
拡散面
拡散反射を行うような面。
diffuse surface
1028
完全拡散面
反射する半球空間内のすべての方向に一様な強度をもつ
拡散反射面。
perfect diffuse surface
1029
透過
放射がその波長(又は振動数)を変えないで媒質中を通
過すること。
transmission
1030
吸収
媒質中を放射が進行する際に,その媒質との相互作用に
よって,そのエネルギーが,他のエネルギーに変換され
ること。
absorption
1031
浸透
放射が直接内部に透過して熱エネルギーに変換されるか
変換された熱エネルギーが内部へ伝導して伝熱するかに
よって,熱エネルギーが内部へ伝達されること。
penetration
1032
分子振動
分子の内部自由度に対応して,構成原子がその平衡位置
の近傍で行う周期的運動。
molecular vibration
1033
伸縮振動
分子の基準振動のうち,主として分子を構成する原子間
の結合の長さ(結合距離)が変化する振動。
stretching vibration
5
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
1034
変角振動
分子の基準振動のうち,主として分子を構成する原子間
の結合角が変化する振動。
deformation vibration
1035
格子振動
結晶(格子)を構成する原子又はイオンがそれぞれの平
衡位置近傍で行う周期的運動。
lattice vibration
1036
振動領域
物質に吸収された放射のエネルギーが,主として分子の
振動エネルギーに変換される放射の波長領域。主として
2.5〜30μmである。
vibration (al) region
1037
回転領域
物質に吸収された放射のエネルギーが,主として分子の
回転エネルギーに変換される放射の波長領域。主として
30〜1 000μmである。ほぼ極端遠赤外域に相当する。
rotation (al) region
1038
スペクトル
物質の光学的,電磁波的な特性を,広い波長範囲にわた
って(各波長ごとに;単色光成分に分解して),波長や振
動数の関数として示したもの。
spectrum
1039
吸収帯,吸収バン
ド
吸収スペクトルにおいて,複数の吸収波長域が狭い間隔
で隣接して帯状をなしているか,又は特定の波長範囲に
わたり,連続して広がっている波長範囲。
absorption band
1040
透過帯,透過バン
ド
複数の透過波長域が狭い間隔で隣接して帯状をなしてい
るか,又は特定の波長範囲にわたり,連続的に広がって
いる波長範囲。
transmission band
1041
赤外活性
分子,結晶が赤外放射場において放射エネルギーを吸収
し,直接その分子振動,格子振動等を励起する性質。
infrared active
1042
赤外不活性
物質が赤外放射の照射を受けても,直接には何らかの分
子,結晶等の運動を励起されない性質。
infrared inactive
1043
光子エネルギー
光子1個がもつエネルギーで,光の振動数をv,プラン
クの定数をhとすると,hvで表わされる。
photon energy
3.2
測定及び量に関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2001
放射束
単位時間当たりの放射エネルギー。
radiation fIux,
radiant power
2002
全放射束
一つの放射源から放出される放射束の総和。
total radiant flux
2003
分光分布
単位波長(波数又は振動数)幅当たりの放射の強度分布
を波長(波数又は振動数)の関数として表わしたもの。
spectral distribution
2004
赤外放射スペクト
ル
赤外域に現れる物質の発光スペクトル。
infrared radiation spectrum
2005
赤外吸収スペクト
ル
赤外域に現れる物質の吸収スペクトル。
infrared absorption
spectrnm
2006
全−[修飾語]
注目する波長領域にわたる光強度の全量を表す修飾語。
又はすべての方向に放出されるエネルギーの総量を表わ
す修飾語。
total−
2007
分光−[修飾語]
光をその波長成分ごとに分けることをいい,成分ごとに
分けて物質量を表す際に使う。
spectral−,spectro−
2008
放射強度
放射源からある方向に向けて放射する単位立体角当たり
の放射束。
radiant power,
power of radiation
2009
放射照度
単位面積当たりに入射するか又は単位面積を通過する放
射束。
irradiance
2010
放射輝度
ある方向についての単位投射面積当たりの放射強度。
radiance
2011
放射発散度
放射の発散面の単位面積当たりに発散する放射束。物体
の単位面積から出る放射束。
radiant exitance,
radiant emittance
6
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番号
用語
定義
対応英語(参考)
2012
放射エネルギー密
度
単位面積当たりの放射エネルギー。
radiant energy density
2013
放射率
放射体の放射発散度と,その放射体と同温度の黒体の放
射発散度との比。
emissivity
2014
分光放射率
放射率を各波長(波数又は振動数)成分の関数として表
したもの。
spectral emissivity
2015
全放射率
放射の注目する波長領域すべてについて,分光放射率を
平均したもの。
total emissivity
2016
全方向放射率,
指向方向放射率
360°方向にわたって放出された放射束を積分した放射
発散度を同温度の黒体の放射発散度で割ったもの。また
はある方向に放出された放射束の放射発散度を同温度の
黒体の放射発散度で割ったもの。
angular emissivity,
directional emissivity
2017
半球放射率
180°方向にわたって放出された放射束を積分して求め
た放射発散度を同温度の黒体の放射発散度で割ったも
の。
hemispherical emissivity
2018
垂直放射率
物質から垂直(法線)方向に放射される放射束の放射率。 vertical emissivity,
normal emissivity
2019
反射率
物質面における入射放射束に対する反射放射束の比。
reflectance,
reflectivity
2020
透過率
物質の入射放射束に対する透過放射束の比。
transmittance
2021
吸収率
物質へ入射する放射束に対する吸収される放射束の比。 absorbance,
absorptivity
2022
吸収係数
電磁波が物質中を進行中に,その物質に吸収されていく
度合を表す値。吸収に関する減衰定数。ベールの法則の
比例定数に当たる。
absorption coefficient
2023
浸透深さ,
侵入深さ,
浸透深度
物質への入射放射束の強度が1/eになる深さ。
penetration depth
2024
波長
電磁波の空間的な周期。すなわち,電磁波の進行方向に
沿って位相が2πrad異なる2点間の距離。
wavelength
2025
波数
単位長さの間に繰り返される波の数。
wavenumber
2026
背景放射
対象となる放射体以外の背景から放出される放射。
background radiation
2027
放射計
放射量及びそれに関連する量を測定する器具又は装置。 radiometer
2028
分光放射計
あるスペクトル範囲にわたって,狭い波長幅内に含まれ
る放射の放射量を測定する器具又は装置。
spectroradiometer
2029
放射温度計
物体からの特定波長帯域の放射を測定して,その温度を
求める器械。
radiation thermometer
2030
サーモグラフィー
物体が放射する赤外放射を利用し,物体面の熱分布を,
ディスプレイ上に可視像として表示する方式。
thermography
2031
分光光度計
二つの放射の,同一波長,同一波長幅における放射量の
比を測定する器械又は装置。
spectrophotometer
2032
FTIR
マイケルソン干渉計などからの信号を検出して,これを
フーリエ変換することによってスペクトルを得る分光光
度計。
Fourier transform infrared
spectrophotometer
2033
CVF,波長可変型
円板フィルタ
円板上に,スペーサの膜厚を連続可変に蒸着した干渉フ
イルタ。
備考 フィルタの回転角と透過波長が直線的に変化
しフィルタを回転させることによって,高い
透過率で狭帯域の単色光を取り出すことがで
きる。
circular variable fitter
7
Z 8117 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
番号
用語
定義
対応英語(参考)
2034
基準放射源
放射の分光測定において,試料の放射するエネルギーの
対比光源として使用する黒体放射(近似的)の分光分布
をもつ標準光源。
standard radiation source
2035
黒体炉
黒体放射を放出する装置。
備考 実際例として金属,黒鉛,セラミックスなど
でできた空洞を300〜1 500K程度の温度に維
持し,その開口から放射される放射束を取り
出す構造のものがある。
blackbody furnace
2036
遠赤外センサ,遠
赤外検出器
遠赤外放射の入射によって,何らかの(定量測定が可能
な)物理的反応(応答)を示す素子。
備考1. 素子単体だけでなく,入射用光学系などの
附属的な装置を含めたもの全体をいうこと
もある。
2. 検出器は定量測定可能なもの,センサは定
量評価はできないが定性的検知はできるも
のを含めるとすることもある。
3. 代表的なものとしてサーモパイル
[thermo-pile],焦電形検出器 [pyroelectric
detector],量子形検出器 [quantum detector]
などがある。
far infrared sensor,
far infrared detector
3.3
放射源,器具及び材料に関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
3001
放射体
遠赤外放射などの電磁波又は光子を放出する物体。
radiator
3002
放射素子
放射器具における放射体を利用し,放射を行う基本的な
構成部品である発熱体。
radiating element
3003
遠赤外(線)放射
体
遠赤外域において高い全放射率をもつ放射体。
備考 一般的に遠赤外(線)放射素子も同義語とし
て使われる場合がある。
far infrared radiator
3004
発熱体
放射体を昇温させるために熱を生じる物体。
heating element
3005
遠赤外(線)ヒー
タ
定格条件のもとで,放射エネルギーの大半が遠赤外域に
属するヒータ。
far infrared heater
3006
セラミックヒータ
放射体や熱体の放射面にセラミックスが用いられている
ヒータ。
ceramic heater
3007
ガス遠赤外(線)
ヒータ
放射体を燃焼ガスによって加熱し,放射エネルギーの大
半が遠赤外域に属するヒータ。
far infrared gas heater
3008
触媒ヒータ
触媒の酸化反応によってセラミックスなどを加熱し遠赤
外線を放射するヒータ。
catalytic combustion heater
3009
放射効率[放射源
の]
放射体からの放射エネルギーと,これに供給された消費
エネルギーとの比。
radiant efficiency [of a
source]
3010
寿命[遠赤外(線)
ヒータの1
遠赤外線ヒータの所定の持性が,経時変化によって失わ
れるまでの使用時間。
life [of a far infrared heater]
3011
遠赤外(線)反射
板
金属等の遠赤外放射を反射する物質で作られ,放射体か
らの遠赤外放射を所定の方向に反射させることを目的と
した器具。
far infrared reflector
8
Z 8117 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.4
加熱装置及び加熱炉に関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
4001
遠赤外(線)炉
主として遠赤外放射によって被加熱物を加熱する炉。
備考 熱源として遠赤外線ヒータと熱風を併用して
加熱する炉の場合は,熱風併用遠赤外(線)
炉という。
far infrared heating furnace,
far infrared (heating)
furnace with hot air
4002
遠赤外(線)乾燥
装置,
遠赤外(線)乾燥
炉
主として遠赤外放射によって被加熱物を加熱し,乾燥す
る装置又は炉。
far infrared drying furnace
4003
遠赤外(線)焙煎
機
熱源に遠赤外線ヒータを用いて,被加熱物を焙煎する装
置。
far infrared roaster
4004
遠赤外(線)リフ
ロー炉
熱源に主として遠赤外線ヒータを用いてハンダ付けする
炉。
far infrared reflowing
furnace
3.5
応用に関する用語
3.5.1
高温熱作用の応用に関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5001
放射暖房
室内に設置した放射体からの,主に放射によって加熱す
る暖房方式。
radiant heating
5002
遠赤外(線)加熱
主として遠赤外放射を利用した加熱。
far infrared heating
5003
遠赤外(線)乾燥
主として遠赤外放射を利用した乾燥。
far infrared drying
5004
遠赤外(線)暖房
主として遠赤外放射を利用した暖房。
far infrared warming
5005
遠赤外(線)加熱
殺菌
遠赤外放射を物質に照射し,加熱殺菌する方法。
far infred heating
sterilization
5006
温熱効果
生体に温熱及び温熱感が加わることによって生じる効
果。
far infrared warming effect
5007
遠赤外(線)融雪
主として遠赤外放射を利用した融雪。
far infrared snow melting
5008
遠赤外(線)放射
暖房器
主として遠赤外放射を利用した暖房器。
far infrared radiant heater
5009
遠赤外(線)調理
器
熱源に遠赤外放射体を用いた調理器。
far Infrared cooking
apparatus
5010
ガス遠赤外(線)
調理器
放射体を燃焼ガスによって加熱し,遠赤外放射を放射す
る調理器。
gas far infrared cooking
apparatus
5011
遠赤外(線)サウ
ナ
熱源に遠赤外放射体を用いたサウナ風呂。
far infrared sauna
5012
遠赤外(線)こた
つ
熱源に遠赤外ヒータを用いたこたつ。
far infrared foot warmer
5013
遠赤外(線)スト
ーブ
熱源に遠赤外放射体を用いたストーブ。
far infrared stove
5014
遠赤外(線)オー
ブソトースタ
熱源に遠赤外ヒータを用いたオーブントースタ。
far infrared oven toaster
5015
遠赤外(線)炊飯
器
遠赤外放射体を用いた炊飯器。
far infrared rice cooker
5016
遠赤外(線)グリ
ル,
遠赤外(線)グリ
ラ
熱源に遠赤外ヒータ又はガス遠赤外ヒータを使用したグ
リラ。
far infrared griller
9
Z 8117 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.5.2
常温熱作用の応用に関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5101
低温遠赤外放射
1. 常温以下の温度域にある材料からの遠赤外放射。
2. 冷放射のうち,放射波長の主体が遠赤外域に属する
もの。
low temperature far infrared
radiation
5102
常温域
日常の生活環境の中で得られる温度領域。通常,0℃付近
から40℃付近までの温度範囲をいう。
ordinary temperature region
5103
常温遠赤外放射
常温域にある材料からの遠赤外放射。
far infrared radiation at
ordinary temperature
reglon
5104
[遠赤外線の]加
熱作用
周囲の環境温度より高い温度に加熱された材料からの遠
赤外放射によって生じる作用。
heating function [of far
infrared radiation]
5105
[遠赤外線の]加
熱効果
周囲の環境温度より高い温度に加熱された材料からの遠
赤外放射によって得られる効果。効果の得られる場又は
手段が加熱環境下にある。
heating effect [of far
infrared radiation]
5106
[遠赤外線の]熱
的作用
分子又は原子格子が局部的に遠赤外放射を吸収して熱振
動状態が変化すること。まず局部的な温度変化が生じ二
次的な変化へと導かれる。
thermal function [of far
infrared radiation]
5107
[遠赤外線の]熱
的効果
遠赤外放射の放射・吸収によって引き起こされる効果の
うち,温度変化を伴う熱的作用によって得られる効果。
thermal effect [of far
infrared radiation]
5108
蓄熱保温効果
熱源をもたない常温域にある材料の遠赤外域の放射特性
吸収特性又は反射特性を利用して得られる実測上及び体
感上の効果。主として繊維製品,衣料品,寝具などで利
用される。
thermally absorptive and
radiative property
5109
放射冷房
室外から室内に流入する熱や室内熱負荷を室内の壁・天
井などに設ける冷却パネルによって,放射熱伝達で除去
する冷房方式。
radiant cooling
3.5.3
非熱作用の応用に関する用語
番号
用語
定義
対応英語(参考)
5110
[遠赤外線の]非
熱(的)作用
遠赤外放射の放射・吸収に伴う振動状態の変化によって
二次的に引き起こされる作用のうち,熱的作用には該当
しないもの。
non-thermal function [of far
infrared radiation]
5111
[遠赤外線の]非
熱(的)効果
遠赤外放射の放射・吸収によって引き起こされる効果の
うち,温度変化及びそれによって二次的に引き起こされ
る変化以外の作用機構(過程)によって得られる効果。
non-thermal effet [of far
infrared radiation]
関連規格 JIS Z 8120 光学用語
IEC 60050-841 : International Electrotechnical Vocabulary, Industrial electroheating
IEC 60050-845 : International Electrotechnical Vocabulary, Industrial Lighting
日本電熱協会規格:赤外加熱用語集
1
0
Z
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11
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:
2
0
0
2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS Z 8117:: 2002 遠赤外線用語
国際規格 IEC 60050-841: 1983 IEV Industrial electroheating
和訳:IEC国際電気標準用語:電気加熱
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ご
との評
価
技術的差異の内容
1.適用
範囲
遠赤外放射に関連
する専門用語を採
択。
IEC
60050-841
−
電気加熱全般に関する専門用
語を採択。
MOD/
削除
JISは,国際規格の一部の範
囲を詳細に規定している。
IECは電気加熱全般を取り扱ってい
るのに対し,このJISは遠赤外放射だ
けに範囲を絞って規定しているため,
適用範囲もおのずと異なってくる。
2.引用
規格
JIS Z 8113
IEC
60050-841
−
規定なし。
MOD/
追加
JISでは,引用規格を明確に
している。
JISとIECとの整合化にさほど影響を
及ぼす内容ではない。
3.用語
及び定
義
全採択語数:121語
内訳
遠赤外放射関
係:121語
IEC
60050-841
03
全採択語数:424語
内訳
電気加熱全体:424語
赤外加熱関係:18語
(遠赤外加熱関係:4語)
MOD/
削除
・IECは電気加熱全般につい
て用語を規定しているが,JIS
は遠赤外放射関連の用語だけ
規定している。
・IECでは,遠赤外放射関連
の用語は4語だけである。一
方,JISでは,その4語以外
に117語を追加して規定して
いる。
規格の市場適合性を向上させるため,
JISでは遠赤外線業界で必要な用語に
ついて詳細に規定している。
なお,このJISで規定されている用語
のうち,IECに規定されていないもの
については,将来,IECへの提案を検
討する。
MOD/
追加
1007 赤外線,
赤外放射
03-02赤外線,赤外放射
IDT
−
−
1008 近赤外線,
近赤外放射
03-03近赤外線,近赤外放射
MOD/
変更
IECは,波長範囲を明確に
0.78μm〜2μmと定義してい
るが,JISでは明確にしてい
ない。
現時点においては,波長範囲が国際的
に統一されているとはいえないため。
なお本件については,将来IECと調
整する予定。
11
Z
8
11
7
:
2
0
0
2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の項
目ごとの評価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術的差異の
理由及び今後の対策
項目番号
内容
項目
番号
内容
項目ご
との評
価
技術的差異の内容
1009 中赤外線,
中赤外放射
03-04中赤外線,中赤外放射
MOD/
変更
IECは,波長範囲を明確に
2μm〜4μmと定義している
が,JISでは明確にしていな
い。
現時点においては,波長範囲が国際的
に統一されているとはいえないため。
なお本件については,将来IECと調
整する予定。
1010 遠赤外線,
遠赤外放射
03-05遠赤外線,遠赤外放射
MOD/
変更
IECは,波長範囲を明確に
4μm〜1mmと定義している
が,JISでは明確にしていな
い。
現時点においては,波長範囲が国際的
に統一されているとはいえないため。
なお本件については,将来IECと調
整する予定。
上記4語以外の残り
117語
−
規定なし。
MOD/
追加
JISでは,遠赤外線業界で頻
繁に用いられている用語を詳
細に規定している。
将来,IECへの提案を検討する。
JIS(原案)と国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− IDT ………………技術的差異がない。
− MOD/削除………国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− MOD/追加………国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− MOD/変更………国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
− MOD………………国際規格を修正している。
12
Z 8117 : 2002
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS Z 8117原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
菊 地 眞
防衛医科大学校
(分科会主査)
池 田 正 樹
松下電器産業株式会社研究本部
(分科会主査)
河 本 康太郎
東芝ライテック株式会社技術本部
(分科会主査)
高 田 紘 一
日本軽金属株式会社技術開発本部
伊 藤 文 一
財団法人日本消費者協会
井 上 信 之
日本バイリーン株式会社
木 野 卓 哉
株式会社ポッカコーポレーション
木 村 嘉 孝
東海高熱工業株式会社
佐々木 完
日本電熱協会
中 山 信 夫
通商産業検査所
長 沢 佳 克
株式会社東レリサーチセンター
宮 永 俊 之
財団法人電力中央研究所
宮 重 忠
東京ガス株式会社首都圏営業本部
平 野 正 樹
通商産業省生活産業局
岡 林 哲 夫
通商産業省工業技術院標準部
(事務局)
相 田 勝 利
社団法人遠赤外線協会
池 上 良 一
社団法人遠赤外線協会
塩 田 政 利
社団法人遠赤外線協会
日本工業標準調査会標準部会 窯業技術専門委員会 構成表
氏名
所属
(委員会長)
松 尾 陽太郎
東京工業大学
(委員)
植 松 敬 三
長岡技術科学大学
井 田 全 彦
板硝子協会
小 田 喜 一
独立行政法人産業技術総合研究所
黒 木 俊 之
東邦テナックス株式会社
阪 井 博 明
日本ガイシ株式会社
佐 々 正
石川島播磨重工業株式会社
長 恵 祥
株式会社大林組
松 尾 晃
品川白煉瓦株式会社
松 田 邦 男
川崎製鉄株式会社
山 川 正 行
株式会社マグ