Z 8106 : 2000
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによって,JIS Z 8106-1988は改正され,JIS Z 8107-1984及びJIS Z 8109-1986は
廃止・統合され,この規格に置き換えられる。
今回の改正では,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成,及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC/ISO Directives−Part3 : 1989,
Drafting and presentation of International Standards(IEC/ISO専門業務用指針−第3部:1989,国際規格の起草
及び様式)を基礎として用いた。
今回の改正では,JIS Z 8106-1988[音響用語(一般)],JIS Z 8107-1984[音響用語(機器)],及びJIS Z
8109-1986[音響用語(聴覚・音声・音楽)]を統合して,JIS Z 8106 : 2000(音響用語)とした。これは,
元規格IEC 60050 (801) には,これまでのJISに含まれていた音響の分野の用語のほかに,建築音響及び
水中音響の分野の用語が含まれていることによる。また,音響用語の分類方法も,異なっているので,新
規格の番号及び名称を,JIS Z 8106 : 2000(音響用語)とした。
なお,音響用語のJISには,上記の規格のほかに,JIS Z 8108[音響用語(録音・再生)]がある。しか
し,JIS Z 8108に相当する用語については,現在,IEC/TC 100 Audio, video and multimedia systems and
equipmentで審議中なので,今回の改正の対象外とした。
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目次
ページ
0. 序文 ······························································································································ 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 用語及び定義 ·················································································································· 1
3.1 一般 ···························································································································· 2
3.2 レベル ························································································································· 4
3.3 伝搬 ···························································································································· 7
3.4 発振 ··························································································································· 10
3.5 変換器 ························································································································ 12
3.6 マイクロホン ··············································································································· 18
3.7 スピーカ ····················································································································· 20
3.8 機器 ··························································································································· 21
3.9 生理音響,聴覚 ············································································································ 22
3.10 音楽音響 ···················································································································· 26
3.11 建築音響 ···················································································································· 27
3.12 水中音響 ···················································································································· 31
用語索引 ··························································································································· 36
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 8106 : 2000
(IEC 60050-801 : 1994)
音響用語
International electrotechnical vocabulary
Chapter 801 : Acoustics and electroacoustics
0. 序文 この規格は,1994年第2版として発行されたIEC 60050 (801) , International electrotechnical
vocabulary Chapter 801 : Acoustics and electroacousticsを翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日
本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施した“参考”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲 この規格は,音響に関する一般的な主な用語について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格はその最
新版を適用する。
JIS C 1505 精密騒音計
IEC 60651 : 1979 Sound level meters
ISO 140-6 : 1978 Acoustics−Measurement of sound insulation in buildings and of building elements−Part
6 : Laboratory measurements of impact sound insulation of floors
ISO 389 : 1985 Acoustics−Standard reference zero for the calibration of pure-tone audiometers
ISO 532 : 1975 Acoustics−Method for calculating loudness level
ISO 3891 : 1978 Acoustics−Procedure for describing aircraft noise heard on the ground
3. 用語及び定義 用語及び定義は,次による。
3.1
一般
3.2
レベル
3.3
伝搬
3.4
発振
3.5
変換器
3.6
マイクロホン
3.7
スピーカ
3.8
機器
3.9
生理音響,聴覚
2
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.10 音楽音響
3.11 建築音響
3.12 水中音響
なお,参考のために原国際規格の対応英語を示す。
備考 上記用語の区分は,3.1は音響に共通な基本用語を,3.2から3.8までは音響機器用語を,3.9か
ら3.12までは音響に含まれる分野ごとの用語による。
3.1
一般
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-21-01
音響振動,
音
弾性媒質中の粒子がその平衡位置を中心として行う運
動。
acoustic oscillation,
acoustic vibration,
sound
801-21-02
可聴音,
音
a) 聴覚を引き起こさせる音響振動。
b) 音響振動によって引き起こされる聴覚。
audible sound
801-21-03
超低周波音
可聴音の下限周波数(およそ16Hz)以下の周波数の音響
振動。
infrasound
801-21-04
超音波音
可聴音の上限周波数(およそ16kHz)以上の周波数の音
響振動。
ultrasound
801-21-05
純音
正弦音響振動。
pure sound,
pure tone
801-21-06
複合音
単純な音響振動ではない音。
complex sound
801-21-07
震音
周波数が平均値を中心として周期的に変化する音。
warble tone
801-21-08a
雑音
不規則な又は統計的にランダムな振動。
noise
801-21-08b
騒音
不快な又は望ましくない音,その他の妨害。
noise
801-21-09
不規則雑音,
ランダムノイズ
時間的にランダムに生じる多数のじょう乱要素の集まり
による振動。
random noise
801-21-10
白色雑音,
ホワイトノイズ
本質的に周波数に依存しないパワースペクトル密度をも
つ雑音。
white noise
801-21-11
ピンクノイズ
周波数の逆数に比例するパワースペクトル密度をもつ雑
音。
pink noise
801-21-12
周囲雑音,
環境騒音
定められた場所で,それを取り囲む音。通常,その場所
にかかわりない多くの音源による音が混ざり合ったも
の。
ambient noise
801-21-13
背景雑音,
暗騒音
信号の生成,伝送,検出,測定又は記録に用いるシステ
ムの中にあるすべての音源からの妨害の全部。
background noise
801-21-14
残響
音源が停止した後に繰り返される反射又は散乱の結果と
して空間に持続する音。
reverberation
801-21-15
音響スペクトル
周波数の関数として複合音の成分の大きさ(場合によっ
ては位相も)を表したもの。
sound spectrum
801-21-16
線スペクトル
離散的な周波数成分だけを含む音響スペクトル。
line spectrum
801-21-17
連続スペクトル
ある周波数範囲にわたって連続的に分布する成分をもつ
音響スペクトル。
continuous spectrum
801-21-18
静圧
媒質中のある点で,音波のないときに存在する圧力。
static pressure
801-21-19
瞬時音圧
媒質中のある点で,対象とする瞬間に存在する圧力から
静圧を引いた値。
instantaneous sound
pressure
801-21-20
音圧
特に指定しない限り,ある時間内の瞬時音圧の実効値。 sound pressure
801-21-21
ピーク音圧
ある時間内で最大の絶対瞬時音圧。
peak sound pressure
3
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-21-22
基準音圧
習慣的に選ばれた音圧で,気体の場合には20μPa,液体及
び固体の場合には1 Pa。
参考 IEC 60050-801では,空気以外の媒質に対し
て,1μPaを基準の音圧としているが,誤りで
ある。
reference sound
pressure
801-21-23
音響暴露量,
騒音暴露量
指定された時間間隔中又は航空機の飛行のような事象に
ついて,A周波数特性で重み付けられた瞬時音圧の二乗
の時間積分。周波数の重み付けは,A特性以外の特性も
ある。
備考1. 積分時間は,暗黙のうちに積分に含まれて
おり,明示的に示す必要はない。
2. 騒音暴露の単位は,もし時間の単位が秒の
場合にはパスカル二乗秒 (Pa2s) ,千秒の
場合にはパスカル二乗千秒 (Pa2ks) ,時間
の場合にはパスカル二乗時間 (Pa2h) 。
sound exposure
801-21-24
粒子
体積が音波の波長に比べて短い寸法をもつ媒質の部分。 particle
801-21-25
瞬時粒子変位
弾性媒質中で,先端がある瞬間の粒子の位置にあり,か
つ,その原点が粒子の平衡位置であるベクトル。
instantaneous
particle
displacement
801-21-26
粒子変位
特に指定しない限り,ある時間内の瞬時粒子変位の実効
値。
particle displacement
801-21-27
ピーク粒子変位
ある時間内で,最大の瞬時粒子変位。
peak particle
displacement
801-21-28
瞬時粒子速度
瞬時粒子変位の時間微分。
instantaneous
particle velocity
801-21-29
粒子速度
特に指定しない限り,瞬時粒子速度の実効値。
particle velocity
801-21-30
ピーク粒子速度
ある時間内の瞬時粒子速度の最大値。
peak particle velocity
801-21-31
体積速度
表面に垂直な粒子速度成分とその微小面積との積の振動
面にわたる積分。
volume velocity
801-21-32
瞬時粒子加速度
瞬時粒子速度の時間微分。
instantaneous
particle
acceleration
801-21-33
単一音源,
モノポール
自由音場で音波をすべての方向に等しく放射する音源。 simple sound
source,
monopole
801-21-34
点音源
あたかも1点から音波を放射しているとみなせる音源。 point sound source
801-21-35
単一音源の強さ,
モノポールの強さ
時間的に正弦変動する音波を放射し,波長に比べて小さ
い単一音源から作られる最大の瞬時体積速度。
strength of a simple
sound source,
strength of a
monopole
801-21-36
音源の音響出力,
音源の音響パワー
ある時間の長さで,指定された周波数帯域の音源が放射
する全音響エネルギーをその時間で除した値。
sound power of a
source
801-21-37
音響エネルギー束,
面積要素を通過する
音響パワー
対象とする面を通過する瞬時音圧と体積速度の同相成分
の積の時間平均値。
sound energy flux,
sound power
through a surface
element
4
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-21-38
音響パワー密度,
音の強さ,
音響エネルギー束密
度,音響インテンシ
ティ
指定された方向に垂直な面を通過する音響エネルギー束
をその面積で除した値。
sound power density,
sound intensity,
sound energy flux
density
801-21-39
瞬時ポテンシャル音
響エネルギー密度
瞬時音圧の二乗を媒質の弾性係数で除した値の1/2。
instantaneous
potential sound
energy density
801-21-40
瞬時運動音響エネル
ギー密度
媒質の密度とその粒子速度の二乗との積の1/2。
instantaneous kinetic
sound energy
density
801-21-41
音響エネルギー密
度,
全エネルギー密度
瞬時ポテンシャル音響エネルギー密度と瞬時運動音響エ
ネルギー密度との和。
sound energy
density,
total energy
density
801-21-42
音響放射圧
音波が表面上に作用する一方向の定常圧力。
acoustic radiation
pressure
801-21-43
スペクトル密度
場の量の二乗平均値を帯域幅で除した値を,帯域幅をゼ
ロに近づけたときの極限値。場の量の種類は,音圧,粒
子速度,粒子加速度などのように指定しなければならな
い。
spectral density,
spectrum density
801-21-44
パワースペクトル密
度
音響パワーを帯域幅で除して,帯域幅をゼロに近づけた
ときの極限値。
power spectral
density,
power spectrum
density
801-21-45
時定数
時間とともに指数的に減少する場の量の振幅が,1/e=
0.3679…まで変化するのに必要な時間。
time constant
801-21-46
刺激,
励振
系に加えられる外力又はその他の入力。
stimulus,
excitation
801-21-47
応答,
レスポンス
指定された条件下で刺激(駆動)による機器又はシステ
ムの,運動又はその他の出力。用いられる入力及び出力
の種類を示すべきである。
response
801-21-48
ひずみ
波形の望ましくない変化。
備考 ひずみは,次によって生じる。
a) 入力と出力間の非線形関係
b) 異なる周波数での非均一性伝搬
c) 周波数に比例しない位相変化
distortion
3.2
レベル
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-22-01
レベル
ある量とその量の基準の量との比の対数。対数の底,基
準の量及びレベルの種類を明記する必要がある。
備考1. レベルの種類は,着目した量を表す用語と
組み合わせて示す。例えば,音圧レベル,
音響パワーレベルなど。
2. 基準の量は,着目する量が瞬時値,実効値
又はそれ以外の量であっても変わらない。
3. レベルに用いられる対数の底は,レベルの
単位によって明示される。
level
5
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-22-02
ベル
対数の底を10としたときの,パワーに比例する量のレベ
ルの単位。また,対数の底を10の平方根[10を底とす
る対数(常用対数)の値の2倍]としたときの場の量の
レベルの単位。
備考 パワーのような量の例には,音響パワー及び
音響エネルギーがある。場の量の例には,音
圧又は電圧がある。
bel
801-22-03
デシベル
ベルの1/10の値。
備考1. デシベルは,レベルの単位として,ベルよ
りも一般的に使われる。
2. デシベルは,対数の底を10の10乗根[10
を底とする対数(常用対数)の値の10倍]
としたとき,パワーのような量のレベルの
単位として定義される。また,デシベルは,
対数の底を10の20乗根[10を底とする対
数(常用対数)の値の20倍]としたときの
場の量のレベルの単位である。
decibel
801-22-04
ネーパ
対数の底をe=2.718…とする場の量のレベル単位。また,
対数の底を7.389…となるeの二乗としたときのパワー
のような量のレベル単位。
備考 デシネーパは,ネーパの1/10。1ネーパは,8.686dB。
neper
801-22-05
音響パワーレベル
ある音響パワーの基準の音響パワーに対する比の対数。
比の10を底とする対数(常用対数)をとり10倍すれば,
音響パワーレベルはデシベルで表される。単位記号は,
dB。
備考 特に指定がない限り,基準の音響パワーは,
1pW。
sound power level
801-22-06
音の強さのレベル,
音響インテンシティ
レベル
ある指定された方向の音の強さの基準の音の強さに対す
る比の対数。比の10を底とする対数(常用対数)を採り,
10倍すれば,音の強さのレベルはデシベルで表される。
単位記号は,dB。
備考 特に指定がない限り,基準の音の強さは,
1pW/m2。
sound intensity
level,
sound energy flux
density level
801-22-07
音圧レベル
ある音圧の基準の音圧に対する比の対数。比の10を底と
する対数(常用対数)を採り,20倍すれば,音圧レベル
はデシベルで表される。単位記号は,dB。
備考 特に指定がない限り,基準の音圧は,空中伝
搬音に対しては20μPa,空気以外の媒質に対し
ては1Pa。また,特に指定がない限り,音圧は
実効値で表されているものとする。
参考 IEC 60050-801では,空気以外の媒質に対し
て,1μPaを基準の音圧としているが,誤りで
ある。
sound pressure level
801-22-08
粒子速度レベル
ある速度と基準の速度に対する比の対数。比の10を底と
する対数(常用対数)をとり20倍すれば,粒子速度レベ
ルは,デシベルで表される。単位記号は,dB。
備考 特に指定がない限り,基準の粒子速度は,
1nm/s。また,特に指定がない限り,速度は実
効値で表されているものとする。
particle velocity level
6
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-22-09
(振動)加速度レベ
ル
ある(振動)加速度の基準の加速度に対する比の対数。
比の10を底とする対数(常用対数)をとり20倍すれば,
(振動)加速度レベルはデシベルで表される。単位記号
は,dB。
備考 特に指定がない限り,基準の加速度は,
1μm/s2。また,特に指定がない限り,加速度
は,実効値で表されているものとする。
参考 計量法は,基準の加速度は,10μm/s2。
(vibratory)
accel-eration level
801-22-10
ピークレベル
ある指定された時間内に生じる指定された量の最大の瞬
時レベル。
peak level
801-22-11
時間平均音圧レベ
ル,
等価音圧レベル
ある指定された時間内における音圧実効値の基準音圧に
対する比の対数。比の10を底とする対数(常用対数)を
とり20倍すれば,時間平均音圧レベルはデシベルで表さ
れる。単位記号は,dB。
備考 特に指定がない限り,空中伝搬音の基準音圧
は,20μPa。
time-average sound
pressure level,
equivalent
continuous sound
pressure level
801-22-12
帯域音圧レベル,
バンド(音圧)レベ
ル
ある特定された周波数帯域内の音圧レベル。
備考 周波数帯域は,低域及び高域の遮断周波数又
は幾何学的な中心周波数と帯域幅で特定して
よい。帯域幅は,1オクターブバンド(音圧)
レベル,1/2オクターブバンド(音圧)レベル,
1/3オクターブバンド(音圧)レベルのように,
バンドレベルに付随する接頭語で指定しても
よい。
band sound pressure
level
801-22-13
スペクトル密度レベ
ル,
スペクトルレベル
ある周波数帯域内に分布する指定された量のその周波数
帯域幅との比について,周波数帯域幅をゼロに近づけた
ときの極限値のレベル。
備考1. 量の種類は,(二乗)音圧スペクトルレベル
のように明示しなければならない。
2. 観測に用いるフィルタが有限な周波数帯域
幅をもつていることを考慮し,実際には着
目する周波数帯域の中心周波数における音
圧スペクトルレベルLpsは,次の式で得られ
る。
dB
)
/
(
)
/
(
log
10
0
20
2
10
ps
B
p
B
p
L=
ここに,pとp0は,それぞれ観測値と基
準値,BとB0は,フィルタの実効周波数帯
域幅と基準帯域幅1 Hzである。Lpをそのフ
ィルタによって観測されたバンド音圧レベ
ルとすれば,上の式は
Lps=Lp−10log10 (B/B0) dB
spectrum density
level, spectrum
level
7
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-22-14
サウンドレベル,
重み付け音圧レベ
ル,
騒音レベル
標準の周波数重み付けと指数形時間重み付けを施して得
られる音圧の基準音圧20μPaに対する比の対数。比の10
を底とする対数(常用対数)を採り,20倍すれば,重み
付け音圧レベルはデシベルで表される。単位記号は,dB。
備考1. 周波数重み付け特性A,B,Cと指数形時間
重み付け特性fast (F) ,slow (S) , impulse
(I) は,IEC 60651 : 1979“Sound Level
Meters”に規定されている。
2. 使用した時間と周波数の重み付け特性は,
明示するのが望ましい。特に指定がない場
合には,fast (F) 指数形時間重み付け特性と
A周波数重み付け特性が使用されているも
のとする。
参考 我か国て用いられている騒音レベルは,周波
数重み付けA特性とF又はS指数形時間重み
付け特性を用いた音圧レベル。
weighted sound
pressure level,
sound level
801-22-15
ピークサウンドレベ
ル
ある指定された時間内で,標準の周波数重み付け音圧レ
ベルの最大瞬時値。
備考 もし,周波数重み付け特性の指定がない場合
には,A周波数重み付け特性が指定されてい
るものとする。
peak
frequency-weighte
d sound pressure
level, peak sound
level
801-22-16
時間平均サウンドレ
ベル,
等価サウンドレベ
ル,
等価騒音レベル
ある指定された時間区間に与えられた標準の周波数重み
付け音圧の二乗時間平均値の基準音圧(20μPa)の二乗
に対する比の対数。デシベルで表した時間平均音圧レベ
ルは,比の10を底とする対数(常用対数)の10倍。単
位記号は,dB。
備考 もし,周波数重み付け特性の指定がない場合
には,A周波数重み付け特性が指定されてい
るものとする。
time-average sound
level, equivalent
continuous sound
level
801-22-17
音響暴露レベル,騒
音暴露レベル
A周波数特性で重み付けされた音圧の二乗値のある指定
された時間間隔にわたる又は飛行機の通過のような時間
事象にわたる時間積分の,基準音圧20μPaの二乗値に1
秒間の基準継続時間間隔を乗じた積に対する比の対数。
デシベルで表した音響暴露レベルは,その比の10を底と
する対数(常用対数)の10倍。単位記号は,dB。基準
の音圧と周波数重み付け特性は,指定があれば異なって
もよい。
sound exposure level
3.3
伝搬
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-23-01
波
媒質中のどの点においても時間の関数であるとともに,
ある時刻におけるある点では,その点の空間座標の関数
であるように媒質中をある定められた速度で伝搬するじ
ょう乱。
wave
801-23-02
波面
ある時刻において波のある特徴量が同位相で進行する面
の軌跡。
surface wavefront
801-23-03
自由進行波
媒質境界の影響を受けることなく,媒質中を進行する波。 free progressive
wave
8
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-23-04
圧縮波
弾性体内において,回転変形を伴わない微小領域の体積
変化によって引き起こされる波。
備考 数学的には,圧縮波は,速度場の回転がゼロ
となる波である。
compressional wave
801-23-05
縦波
媒質中の各点の粒子変位の方向が波面と直交する波。
longitudinal wave
801-23-06
平面波
波面がどこでも伝搬方向に垂直で,互いに平行な平面で
ある波。
plane wave
801-23-07
球面波
波面が同心球面である波。
spherical wave
801-23-08
円筒波
波面が同軸円筒面である波。
cylindrical wave
801-23-09
横波
媒質中の各点の粒子変位の方向が波面と平行な波。
transverse wave
801-23-10
すべり波
弾性体内において,体積変化を伴わない微小領域の変形
によって引き起こされる波。
備考 数学的には,滑り波の粒子速度の発散はゼロ
である。
rotation wave,
shear wave
801-23-11
屈曲波
圧縮波と滑り波とが結合した,板又は棒における横波。 bending wave
801-23-12
レイリー波
表面粒子が表面に垂直な方向を主軸とし,初期のじょう
乱がないときの表面上に中心をもつ,だ円を描きながら,
固体の自由境界面上を伝搬する表面波。
備考1. 初期のじょう乱がないときの表面からの最
大粒子変位点では,粒子の運動方向は波の
伝搬方向と反対になる。
2. レイリー波の伝搬速度は,固体中のすべり
波のそれよりもわずかに遅い。レイリー波
の振幅は,深さとともに指数関数的に減少
する。
参考 IEC規格では,“固体又は液体の自由境界面
上を”としているが,液体を含めるのは誤り
である。
Rayleigh wave
801-23-13
干渉
同一周波数で位相又は伝搬方向が異なる二つ以上の波が
重畳して生じる現象。
interference
801-23-14
うなり
周波数の異なる二つ以上の同種の波が線形又は非線形結
合して生じる現象。
beat
801-23-15
定在波
同一周波数の同種の進行波の干渉によって生じる空間的
にある固定した分布をもつ周期的な波。
備考 このような波は,空間的に固定した節又は部
分節及び腹によって特徴付けられる。
standing wave
801-23-16
節
定在波において,波のある指定された量の振幅がゼロと
なる点,線又は面。
備考1. 実際には,この振幅は一般にゼロにはなら
ず最小値となるだけである。このとき節は,
部分節と呼ばれる。
2. 節となる量を明確に指定するために,変位
の節,粒子速度の節,音圧の節のように,
節という用語の前に接頭語を施して用いる
のがよい。
node
9
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-23-17
腹
定在波において,波のある指定された量の振幅が最大と
なる点,線又は面。
備考 腹となる量を明確に指定するために,変位の
腹,粒子速度の腹,音圧の腹のように,腹と
いう用語の前に接頭語を施して用いるのがよ
い。
antinode
801-23-18
音の速さ
自由進行音波の位相速度の大きさ。
speed of sound
801-23-19
音の速度,音速
音波が伝搬する方向と速さを示すベクトル。
参考 音速は,音の速さの意味に用いることもある。
sound wave velocity
801-23-20
位相速度
一定位相の面が伝搬する方向の速度。
phase velocity
801-23-21
群速度
非正弦的なじょう乱の包絡線で表される特徴量の伝搬速
度。
備考1. 群速度は,分散性媒質においてだけ位相速
度と異なる。
2. 群速度は,通常,じょう乱にかかわるエネ
ルギーの伝搬速度。
group velocity
801-23-22
分散
音の速さが周波数によって異なるために生じる,波の正
弦波成分の分離。
dispersion
801-23-23
屈折
音の速さが場所によって変わるために,音波の伝搬する
方向が変化する現象。
refraction
801-23-24
鏡面反射
二つの媒質の境界面から,その境界面の法線方向に対し
て対称で入射角と等しい角度で元の媒質中を音波が進行
する現象。
specular reflection
801-23-25
回折
媒質中の障害物又は不均一性によって,音波の進行方向
が変化する現象。
diffraction
801-23-26
散乱
多くの方向に生じる音波の不規則な回折及び反射。
scattering
801-23-27
音場
音波の存在する弾性体内の領域。
sound field
801-23-28
自由音場
等方性,かつ,均質の媒質中で境界の影響を無視できる
音場。
free sound field
801-23-29
近距離音場
音源に十分近くに作られる瞬時音圧と瞬時粒子速度とが
同相にならない音場。
near sound field
801-23-30
遠距離音場
音源から十分遠方に作られる瞬時音圧と瞬時粒子速度と
を同相とみなすことができる音場。
far sound field
801-23-31
拡散音場
ある区域内で音響エネルギー密度の統計分布が一様で,
かつ,その区域内のどの点においても音響エネルギーの
伝搬方向がすべての方向に対して等確率である音場。
diffuse sound field
801-23-32
残響音場
ほとんどすべての音波がすでにその媒質境界から多数回
反射を繰り返している音場。
reverberant sound
field
801-23-33
伝搬定数
一様な系において系が無限の長さをもつとみなせると
き,単位の長さだけ隔たった2点において測定される二
つの粒子速度(又は音圧)間の複素数比の自然対数。
linear exponent of
sound
propagation,
sound propagation
coefficient
801-23-34
要素伝搬定数
周期的な構造をもつ系において,系が無限の長さをもつ
とみなせるとき,相隣る対応する2点において測定され
る二つの粒子速度(又は音圧)間の複素数比の自然対数。
elementary exponent
of sound
propagation
801-23-35
減衰定数
伝搬定数の実数部。
備考 単位記号は,Np/m。
attenuation
coefficient
10
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-23-36
要素減衰定数
要素伝搬定数の実数部。
elementary
attenuation of
propagation
801-23-37
位相定数
伝搬定数の虚数部。
備考 単位記号は,rad/m。
acoustic phase
coefficient
801-23-38
要素位相定数
要素伝搬定数の虚数部。
elementary
dephasing of
sound propagation
801-23-39
伝搬損失
音が伝搬する媒質中における,ある指定された2点間の
音圧レベルの減衰。しばしばどちらか一方の点を音源か
らある基準の距離だけ離れた地点に採る。
transmission loss,
propagation loss
801-23-40
吸収損失
伝搬損失のうち,媒質中又は反射に伴う音響エネルギー
の消散又は変換によるもの。
absorption loss
801-23-41
発散損失
伝搬損失のうち,発散すなわち系の構成に基づく音波の
広がりによるもの。
備考 発散損失は,例えば,点音源から放射される
球面波に存在する。
参考 距離減衰ともいう。
divergence loss,
spreading loss
801-23-42
屈折損失
伝搬損失のうち,媒質の不均一性によって生じる屈折に
よるもの。
refraction loss
801-23-43
音響流
音波によって引き起こされる流体中の一方向の流れ。
acoustic streaming
3.4
発振
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-24-01
強制振動
外部からの励振によって引き起こされる振動。
forced oscillation
801-24-02
固有振動
外部からの励振を取り去った後に持続している振動。
free oscillation
801-24-03
過渡振動
外部からの励振の変化の結果生じる振動。
transient oscillation
801-24-04
自励振動
非周期的エネルギーが供給されたときに系の中に生じる
持続した振動。
self-induced
oscillation,
self-excited
oscillation
801-24-05
共振,
共鳴
励振周波数のわずかな増減によっても系の応答が減少す
るような強制振動系の現象。
備考 例えば,速度の共振のように何の量に対する
応答かを示すのがよい。
resonance
801-24-06
共振周波数
共振を起こす周波数。
備考 混乱を起こす可能性があるときは,例えば,
速度の共振周波数のように,共振の種類を示
さなければならない。
resonance frequency
801-24-07
反共振
励振周波数のわずかな増減によっても系の応答が増加す
るような,強制振動系の現象。
備考 例えば,速度の反共振のように何の量に対す
る応答かを示すのがよい。
anti-resonance
801-24-08
固有振動数
系の固有振動の周波数。多自由度系においては,固有振
動数は固有振動モードの周波数である。
参考 自由振動数ともいう。
natural frequency
801-24-09
不減衰自由周波数,
不減衰固有振動数
系の弾性力又は慣性力だけによって決まる固有振動の周
波数。
undamped natural
frequency
801-24-10
減衰自由周波数,
減衰固有振動数
減衰線形系の固有振動数。
damped natural
frequency
11
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-24-11
基本周波数,
基本振動数
a) ある周期性の量において,それと同じ周期をもつ正
弦波成分の周波数。
b) 振動系において,最も低い固有振動数。
fundamental
frequency
801-24-12
Q(きゅう)
1周期の間に蓄えられる最大エネルギーの消費されるエ
ネルギーに対する比の2π倍で表される,系の共振の鋭さ
の測度。
備考 歴史的には,Qという文字は回路のリアクタ
ンスの抵抗に対する比を示すために適宜に選
ばれたものである。英語の“quality factor”と
いう名前は,後から導入された。
quality factor
801-24-13
振動モード
各粒子の動きが同一周波数で単純調和している振動系が
とる特徴的なパターン。
備考 多自由度系では,二つ以上のモードが同時に
存在する。
mode of oscillation
801-24-14
固有振動モード
非制動系の固有振動のモード。
備考 一般的に,系のどのような複合された動きも
それぞれが全く独立に振動する固有モードの
和に分解できる。
参考 振動の正規モードともいう。
normal mode of
oscillation
801-24-15
モード番号
系の固有振動モードを周波数順に並べて付けた整数の
組。
modal numbers
801-24-16
基本振動モード
最も低い固有振動数をもつ振動モード。
fundamental mode of
oscillation
801-24-17
連成モード
互いに独立でなくエネルギーの移動によって影響し合う
振動モード。
参考 結合モードともいう。
coupled modes
801-24-18
非連成モード
他のモードと独立に振動する固有モード。
参考 非結合モードともいう。
uncoupled mode
801-24-19
ダンピング,
制動減衰
時間又は距離とともに振動系からエネルギーが失われる
こと。
damping
801-24-20
臨界制動
変位した系が振動することなしに,初期位置へ戻るよう
にするための最小限の制動。
critical damping
801-24-21
制動比
実際の制動の臨界制動に対する比。
damping ratio
801-24-22
粘性減衰
振動系の粒子が粒子速度に比例した大きさをもち,粒子
の動きと逆方向の力によって抵抗を受けるときに生じる
減衰。
viscous damping
801-24-23
対数減衰率
単一周波数の振動が減衰するとき,振動の最大値の同じ
向きの相続く最大値に対する比の自然対数。
logarithmic
decrement
801-24-24
定常振動
変動なしに続いている振動。
steady-state
oscillation
801-24-25
サブハーモニックレ
スポンス
励振周波数の約数の周波数における系の周期的な応答。 subharmonic
response
801-24-26
力積
力が加えられている期間にわたる力の時間積分。
impulse
801-24-27
衝撃パルス
系のどの振動モードの半周期と比べても短い時間内に立
ち上がり,立ち下がるという特徴をもつ励振。
shock pulse
801-24-28
衝撃パルスの持続時
間
励振の瞬時値が,その最大値に対する所定のある割合か
ら立ち上がり,同じ値まで減少するために必要な時間。
duration of shock
pulse
801-24-29
パルス立上がり時間
パルスの立上がり部において,パルスの最大値に対して
所定のある小さな割合から,ある割合まで立ち上がるた
めに必要な時間。
pulse rise time
12
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3.5
変換器
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-25-01
音響系
音響信号を発生,伝送又は受信することができる系。
acoustical system
801-25-02
機械系
機械信号を発生,伝送又は受信することができる系。
mechanical system
801-25-03
複素パラメータ
(音圧,振動速度,電圧などのように)時間とともに正
弦的に変化する実際の量を表現する複素量又は同じ周波
数におけるそのような二つの複素量の商であり,それら
は実数部αと虚数部bとによって(a+jb)の形で表現す
るか又は大きさAと位相θとによって指数形式Aejθと表
現することができる。
備考1. この項を通じて(機械的,音響的,電気的
な)すべてのパラメータは,特に断りがな
い限り複素数と考える。
2. ここでは,+jの慣例は,それによって正方
向に進む正弦波をRe[ej(wt−kx)],質量による
リアクタンスを+jwM,スチフネスによるリ
アクタンスを−jS/wと表現するように守ら
れている。ここに,波数k=w/cは,角周波
数wを音の速さcで除した値,質量は,M,
スチフネスは,Sである。
complex parameter
801-25-04
変換器
ある種類の入力信号を受け,これを別の種類の信号とし
て供給するが,入力信号の必要とされる特徴が出力信号
に現れるように設計されたデバイス。
transducer
801-25-05
受動変換器
出力信号のエネルギーがもっぱら入力信号から与えられ
る変換器。
passive transducer
801-25-06
能動変換器
出力信号のエネルギーの少なくともその一部が入力信号
以外の供給源から与えられる変換器。
active transducer
801-25-07
可逆変換器
電気信号を音響信号又は機械信号に変換でき,またその
逆も可能な変換器。
reversible transducer
801-25-08
相反変換器
どちらの方向の変換においても同じ結合係数をもつよう
な,線形で受動的で可逆な電気機械変換器又は電気音響
変換器。
reciprocal transducer
801-25-09
伝達関数
線形の系において,出力信号のフーリエ変換又は初期条
件をゼロとしたラプラス変換を入力信号の同様の変換で
除した値。
transfer function
801-25-10
(変換器の)感度
変換器の出力信号を記述する所定の量を,それに対応す
る入力信号を記述する別の所定の量で除した値。
sensitivity (of a
transducer)
801-25-11
(変換器の)相対感
度
ある条件下における変換器の感度の同じ種類の所定の基
準感度に対する比。
relative sensitivity
(of a transducer)
801-25-12
(変換器の)感度レ
ベル
所定の種類の出力レベルと,その出力レベルから生じさ
せる所定の種類の入力レベルを差し引いた値。
備考 入力レベルと出力レベルの基準値が基準感度
を決める。それらは,適宜選ぶべきである。
sensitivity level (of a
transducer)
13
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-25-13
インピーダンス
ある周波数において,(力又は音圧といった)力の量を
(振動速度又は粒子速度といった)運動の場の量で除し
た値。又は電圧を電流で除した値。
備考1. インピーダンスという用語は,一般的には,
線形系,かつ,定常な正弦信号に対して適
用される。
2. 過渡的な場合には,周波数の関数としての
インピーダンスは,それぞれのフーリエ変
換又はラプラス変換した量の商である。
3. インピーダンスは,その積がパワー又は単
位面積当たりのパワーの単位をもつような
二つの量の商である。
impedance
801-25-14
共役インピーダンス
実数部(抵抗)は等しく,虚数部(リアクタンス)は大
きさが等しく符号が逆であるようなインピーダンス。
備考 共役インピーダンスは,共役複素数によって
表される。
conjugate impedance
801-25-15
アドミタンス
所定の種類のインピーダンスの逆数。
admittance
801-25-16
イミタンス
インピーダンス又はアドミタンスを示す一般用語。
immittance
801-25-17
駆動点インピーダン
ス
系のある点における力の場の量を,その結果生じる同じ
点における運動の場の量で除した値。
driving-point
impedance
801-25-18
伝達インピーダンス
系のある点における力の場の量を,同じ系の異なる点に
おけるそれに対応する運動の場の量で除した値。
transfer impedance
801-25-19
短絡インピーダンス
機械又は音響信号を電気信号へ変換する変換器におい
て,出力側を短絡したときの入力の機械又は音響インピ
ーダンス。
short-circuit
impedance
801-25-20
自由インピーダンス
電気信号を機械又は音響信号へ変換する変換器におい
て,出力側にインピーダンスがゼロの負荷をつないだと
きの入カインピーダンス。
free impedance
801-25-21
負荷時インピーダン
ス
変換器において,出力に所定の負荷を接続したときの,
所定の種類(電気,機械又は音響)の入力インピーダン
ス。
loaded impedance
801-25-22
開放インピーダンス
機械又は音響信号を電気信号へ変換する変換器におい
て,出力に無限大のインピーダンスの負荷を接続したと
きの入力の機械又は音響インピーダンス。
open-circuit
impedance
801-25-23
制止インピーダンス
電気信号を機械又は音響信号へ変換する変換器におい
て,出力に無限大インピーダンスの負荷を接続したとき
の入カインピーダンス。
blocked impedance
801-25-24
モーショナルインピ
ーダンス
変換器において,負荷時電気インピーダンスから機械的
制止負荷をかけたときの電気インピーダンスを差し引い
た値。
備考 この定義は,ジャイレータ結合の変換器に最
も適している。
motional impedance
801-25-25
モーショナルアドミ
タンス
変換器において,負荷時電気アドミタンスから機械的制
止負荷をかけたときの電気アドミタンスを差し引いた
値。
備考 この定義は,トランス結合の変換器に最も適
している。
motional admittance
14
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-25-26
(ある点の)機械イ
ンピーダンス
線形の機械系において,ある1点に加えられた力を,そ
の結果生じた速度の,力と同じ方向成分で除した値。
備考 ねじれ機械インピーダンスの場合は,力及び
速度をトルク及び角速度で置き換える。
mechanical
imped-ance (at a
point)
801-25-27
機械抵抗
機械インピーダンスの実数部。
mechanical
resistance
801-25-28
機械リアクタンス
機械インピーダンスの虚数部。
mechanical reactance
801-25-29
見掛けの質量
正弦波運動をしているとき,力をその結果生じる加速度
の同相成分で除した値。
備考 この用語は,慣性が主である周波数帯に適す
る。
apparent mass
801-25-30
スチフネス
摩擦と慣性が無視できる系において,正弦波運動をして
いるときに1点に加わる力をその結果生ずる変位の同相
成分で除した値。
備考 ねじれスチフネスの場合は,力と変位をトル
クと回転角で置き換える。
stiffness
801-25-31
コンプライアンス
スチフネスの逆数。
compliance
801-25-32
電気機械変換器
電気信号を受けて機械信号を出力するように設計された
変換器又はその逆。
electromechanical
transducer
801-25-33
電気機械結合係数
(1)
次のいずれかの値。
a) 電気信号を機械信号に変換する場合に,電気系の駆
動電流によって制止機械系に生じる力を,駆動電流
で除した値。
b) 機械信号を電気信号へ変換する場合に,機械系にお
ける駆動速度によって生じる電気系の短絡電流を,
駆動速度で除した値。
備考 これらの定義は,ジャイレータ結合をする相
反電気機械変換器。例えば,電磁変換器の場
合に適する。この場合,両者は等しい大きさ
となる。
参考 一般に“電気機械力係数”とよばれている。
また,“電気機械統合係数”の用語は,電気機
械変換器の能率として定義されることもあ
る。
electromechanical
coupling
coefficient(1)
801-25-34
電気機械結合係数
(2)
次のいずれかの値。
a) 電気信号を機械信号に変換する場合に,電気系の駆
動電圧によって制止機械系に生じる力を,駆動電圧
で除した値。
b) 機械信号を電気信号へ変換する場合に,機械系にお
ける駆動速度によって生じる電気系の短絡電流を,
駆動速度で除した値。
備考 これらの定義は,トランス結合をする相反電
気機械変換器,例えば,静電又は圧電変換器
の場合に適する。この場合,両者は等しい大
きさとなる。
参考 一般に“電気機械力係数”とよばれている。
また,“電気機械統合係数”の用語は,電気機
械変換器の能率として定義されることもあ
る。
electromechanical
coupling
coefficient (2)
15
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-25-35
比音響インピーダン
ス
音場内の1点において,音圧を粒子速度で除した値。
specific acoustic
impedance
801-25-36
比音響抵抗
比音響インピーダンスの実数部。
specific acoustic
resistance
801-25-37
比音響リアクタンス
比音響インピーダンスの虚数部。
specific acoustic
reactance
801-25-38
比音響アドミタンス
比音響インピーダンスの逆数。
備考 この実数部は比音響コンダクタンス,虚数部
は比音響サセプタンスである。
specific acoustic
admittance
801-25-39
媒質の特性インピー
ダンス
平衡状態における媒質の密度と音の速さの積。
備考 非分散性の媒質内を進行する平面音波では,
比音響インピーダンスは,媒質の特性インピ
ーダンスに等しい。
参考 固有音響抵抗ともいう。
characteristic
impedance of a
medium
801-25-40
音響インピーダンス
指定された面において,音圧をその面を通過する体積速
度で除した値。
acoustic impedance
801-25-41
音響抵抗
音響インピーダンスの実数部。
acoustic resistance
801-25-42
音響リアクタンス
音響インピーダンスの虚数部。
acoustic reactance
801-25-43
音響質量,
イナータンス
慣性が主である周波数において,正弦波運動をしている
とき,音圧をその結果生じる同相の体積加速度で除した
値。
備考 音響質量は,質量を面積の2乗で除した次元
をもつ。
acoustic mass,
inertance
801-25-44
音響スチフネス
摩擦と慣性が無視できる正弦波運動をしている系におい
て,音圧をその結果生じる同相の体積変位で除した値。
acoustic stiffness
801-25-45
音響コンプライアン
ス
音響スチフネスの逆数。
acoustic compliance
801-25-46
音響アドミタンス
音響インピーダンスの逆数。
acoustic admittance
801-25-47
電気音響変換器
電気信号を受けて音響信号を出力するように設計された
変換器又はその逆。
electroacoustic
transducer
801-25-48
電気音響結合係数
(1)
次のいずれかの値。
a) 電気信号を音響信号に変換する場合に,電気系の駆
動電流によって制止音響系に生じる音圧を駆動電流
で除した値。
b) 音響信号を電気信号へ変換する場合に,音響系にお
ける駆動体積速度によって生じる電気系の開放電圧
を駆動体積速度で除した値。
備考 これらの定義は,ジャイレータ結合をする相
反電気音響変換器。例えば,電磁変換器の場
合に適する。この場合,両者は等しい大きさ
となる。
参考 電気音響力係数又は単に力係数ともいう。
electroacoustic
coupling
coefficient(1)
16
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-25-49
電気音響結合係数
(2)
次のいずれかの値。
a) 電気信号を音響信号に変換する場合に,電気系の駆
動電圧によって制止音響系に生じる音圧を駆動電圧
で除した値。
b) 音響信号を電気信号へ変換する場合に,音響系にお
ける駆動体積速度によって生じる電気系の短絡電流
を,駆動体積速度で除した値。
備考 これらの定義は,トランス結合をする相反電
気音響変換器,例えば,静電又は圧電変換器
の場合に適する。この場合,両者は等しい大
きさとなる。
参考 電気音響力係数又は単に力係数ともいう。
electroacoustic
coupling
coefficient(2)
801-25-50
基準点
変換器の電気音響特性のよりどころとするため,その変
換器の形状に対応して指定された点。主軸上にとった極
座標系の原点とするのが望ましい。
reference point
801-25-51
主軸,
基準軸
電気音響変換器の指向特性を表すための極座標系の定義
に用いられる,基準点を通る軸。
備考 幾何学的な対称軸を主軸とすることが多い。
principal axis,
reference axis
801-25-52
実効音響中心,
仮想音響中心
音を発生する電気音響変換器に関する,指定された周波
数,指定された方向及び距離範囲における,音圧がその
点からの,距離に反比例するような仮想の点音源の位置。
備考 可逆変換器を受音に用いるときの実効音響中
心は,音の発生に用いるときの音響中心と一
致する。
参考 単に,音響中心ともいう。
effective acoustic
centre,
virtual acoustic
centre
801-25-53
音圧感度,
電圧感度
受音のための電気音響変換器に関する,指定された周波
数における,開放出力電圧を変換器の受音部に印加され
る音圧で除した値。
備考 負荷インピーダンスが端子開放での値と異な
るときは,これを明示しなければならない。
pressure sensitivity,
voltage sensitivity
801-25-54
自由音場感度
受音のための電気音響変換器に関する,指定された周波
数及び指定された音波入射方向における,開放出力電圧
を無じょう乱平面進行波自由音場の音圧で除した値。
備考 負荷インピーダンスが端子開放での値と異な
るときは,これを明示しなければならない。
free-field sensitivity
801-25-55
回折係数
指定された周波数及び指定された音波入射方向におけ
る,変換器の受音部に印加される音圧のその変換器が置
かれていないときのその点での自由音場音圧に対する
比。
diffraction factor
801-25-56
自由音場電流感度
受音のための電気音響変換器に関する,指定された周波
数及び指定された音波入射方向における,変換器の出力
端短絡電流を無じょう乱平面進行波自由音場の音圧で除
した値。
参考 負荷インピーダンスが端子短絡での値と異な
るときは,これを明示すること。
free-field current
sensitivity
17
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-25-57
対電圧感度,
音源の電圧感度
音を発生する電気音響変換器に関する,指定された周波
数における,実効音響中心から指定された距離,指定さ
れた方向での自由音場音圧を入力信号電圧で除した値。
備考 変換器の実効音響中心が簡単に決められない
ときには,変換器の基準点から距離を測定す
る。
sensitivity to voltage
801-25-58
対電流感度,
音源の電流感度
音を発生する電気音響変換器に関する,指定された周波
数における,実効音響中心から指定された距離,指定さ
れた方向での自由音場音圧を入力信号電流で除した値。
備考 変換器の実効音響中心が簡単に決められない
ときには,変換器の基準点から距離を測定す
る。
sensitivity to current
801-25-59
対電力感度,
音源の電力感度
音を発生する電気音響変換器に関する,指定された周波
数における,実効音響中心から指定された距離,指定さ
れた方向での自由音場音圧の2乗の時間平均値を入力信
号電力で除した値。
備考 変換器の実効音響中心が簡単に決められない
ときには,変換器の基準点から距離を測定す
る。
sensitivity to electric
power
801-25-60
相反定理
線形,受動,かつ,可逆の電気音響変換器に関する次の
ような原理:
a) 変換器が受音(すなわち,マイクロホンとして)動
作するときの電圧感度と,その変換器が音を発生す
るときの電流感度との関係,及び
b) 変換器が受音(すなわち,マイクロホンとして)動
作するときの電流感度と,その変換器が音を発生す
るときの電圧感度との関係は,変換器の配置,周波
数及び媒質の物理的性質だけに依存する。
reciprocity pricnciple
801-25-61
相反係数
可逆電気音響変換器に関する,指定された周波数におけ
る,
a) 変換器が受音(すなわち,マイクロホンとして)動
作するときの電圧感度を,その変換器が音を発生す
るときの電流感度で値,又は,
b) 変換器が受音(すなわち,マイクロホンとして)動
作するときの電流感度を,その変換器が音を発生す
るときの電圧感度で除した値。
reciprocity
coefficient
801-25-62
接話感度
マイクロホンに関する,指定された周波数における,開
放出力電圧のそのマイクロホンの基準点での音圧に対す
る比。ここに,音圧は,人の口及び頭部又はその音響特
性を模擬する指定された音源によって発生された,マイ
クロホンを取り除いた後の無じょう乱音場における値と
する。
備考1. 負荷インピーダンスが開放負荷の値以外の
場合は,明示しなければならない。
2. この定義は,口の近傍で使用されるマイク
ロホンだけに適用する。
close-talking
sensitivity
801-25-63
正面感度
指定された周波数における,主軸に沿って基準点に向か
って伝搬する平面進行音波に対するマイクロホンの自由
音場感度
axial sensitivity
18
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-25-64
ランダム入射感度
受音のための電気音響変換器に関する,指定された位置,
指定された周波数における,すべての方向から同じ確率
で相次いで入射する同じ音波による開放出力電圧の2乗
平均値の平方根を,変換器が置かれていないときに,そ
の音波の一つがその位置に自由伝搬して入射するときの
音圧で除した値。
random-incidence
sensitivity
801-25-65
拡散音場感度
受音のための電気音響変換器に関する,指定された位置,
指定された周波数における,すべての方向から同じ確率
で入射するおおむね同時に入射する音波群による開放出
力電圧の2乗平均値の平方根を,変換器が置かれていな
いときのその位置での同じ音波群による音圧の2乗平均
値の平方根で除した値。
diffuse-field
sensitivity
801-25-66
指向性パターン
指定された平面内,指定された周波数において,電気音
響変換器の感度レベルを音波の放射又は入射方向の関数
として表した図。通常は,極座標図として描かれる。
directional pattern
801-25-67
指向係数
a) 音の発生のための電気音響変換器に関する,指定さ
れた周波数における,主軸上の決められた点におけ
る自由音場音圧の2乗と変換器の実効音響中心を中
心として上記の決められた点を通る球面上での音圧
の2乗平均値に対する比。
b) 受音のための電気音響変換器に関する,指定された
周波数における,主軸に沿って入射する音波に対す
る自由音場感度の2乗とすべての方向から同じ確率
で相次いで入射する音波群に対する感度の2乗平均
値に対する比。
direcitivity factor
801-25-68
指向性利得,指向指
数
変換器の指向係数の10を底とする対数(常用対数)の
10倍。
備考 指向性利得は,特に指定された主軸以外の方
向に対しても与えられる。
directional gain,
directivity index
801-25-69
角度偏り損失
変換器の主軸に対する感度レベルから,その変換器の指
定された方向に対する感度レベルを減じた値。
angular deviation
loss
3.6
マイクロホン
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-26-01
マイクロホン
音響振動から電気信号を得る電気音響変換器。
microphone
801-26-02
標準マイクロホン
一次校正法で感度が正確に校正されているマイクロホ
ン。
standard microphone
801-26-03
音圧マイクロホン
音圧に応答する電気出力をもつマイクロホン。
pressure microphone
801-26-04
音圧傾度マイクロホ
ン
音圧傾度に応答する電気出力をもつマイクロホン。
pressure-gradient
microphone
801-26-05
全指向性マイクロホ
ン
音波の入射方向に,実用上独立な感度をもつマイクロホ
ン。
omnidirectional
microphone
801-26-06
指向性マイクロホン
音波の入射方向に,依存する感度をもつマイクロホン。 directional
micro-phone
801-26-07
単一指向性マイクロ
ホン
一方向の音波に,顕著な最大感度をもつ指向性マイクロ
ホン。
unidirectional
microphone
801-26-08
ラインマイクロホン
直線上に配列した電気音響変換素子アレイ,又はこれと
音響的に等価な働きをするアレイで構成した指向性マイ
クロホン。
line microphone
801-26-09
組合せマイクロホン
指向性効果を得るために,二つ又はそれ以上の素子で構
成したマイクロホン。
multiple microphone
19
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-26-10
プローブマイクロホ
ン
その付近の音場をあまり乱すことなく測定するマイクロ
ホン。
probe microphone
801-26-11
防騒音マイクロホ
ン,
雑音消去マイクロホ
ン
一定の方向又は距離からの周囲雑音を消去するマイクロ
ホン。
anti-noise
microphone,
noise-cancelling
microphone
801-26-12
カーボンマイクロホ
ン
炭素粒間の接触抵抗の変化で動作するマイクロホン。
carbon microphone
801-26-13
コンデンサマイクロ
ホン,
静電マイクロホン,
静電容量マイクロホ
ン
静電容量の変化に応じて動作するマイクロホン。
condenser
microphone,
electrostatic
microphone,
capacitor
microphone
801-26-14
エレクトレットマイ
クロホン
静電容量を形成する電極のいずれか一方に,電荷を永久
的に蓄え,これによって得られる電界を利用するコンデ
ンサマイクロホン。
electret microphone
801-26-15
圧電マイクロホン
物質の圧電特性によって動作するマイクロホン。
piezoelectric
microphone
801-26-16
マグネチックマイク
ロホン
磁気回路の磁気抵抗の変化で動作するマイクロホン。
electromagnetic
microphone
801-26-17
ダイナミックマイク
ロホン,
動電マイクロホン
磁界中に置かれた導体の運動によって生じる起電力で動
作するマイクロホン。
moving-conductor
microphone,
electrodynamic
microphone
801-26-18
リボンマイクロホン
磁界中に置かれた導体が薄いリボンで,そのリボンが音
波によって直接駆動されるダイナミックマイクロホン。
ribbon microphone
801-26-19
ムービングコイルマ
イクロホン,
可動コイルマイクロ
ホン
磁界中に置かれた導体が,コイル形状をしているダイナ
ミックマイクロホン。
moving-coil
microphone
801-26-20
磁気ひずみマイクロ
ホン
物質の磁気ひずみ特性によって動作するマイクロホン。 magnetostriction
microphone
801-26-21
電子マイクロホン
真空管又はトランジスタの一つの電極の動きによって生
じる電子流の変化によって動作するマイクロホン。
electronic
microphone
801-26-22
イオンマイクロホン
イオンプラズマ及び周囲の空気の相互作用によって動作
するマイクロホン。
ionic microphone
801-26-23
熱マイクロホン,
熱線マイクロホン
音波の冷却又は加熱効果によって生じる熱線の抵抗変化
によって動作するマイクロホン。
thermal microphone,
hot-wire microphone
801-26-24
接話マイクロホン
話者の口に近づけて使用するように,特に設計したマイ
クロホン。
close-talking
microphone
801-26-25
リップマイクロホン
話者の唇に接触して使用するように設計したマイクロホ
ン。
lip microphone
801-26-26
ラペルマイクロホン
使用者の衣服に付けるように設計したマイクロホン。
lapel microphone
801-26-27
マスクマイクロホン
呼吸マスクの内側で使用するように設計したマイクロホ
ン。
mask microphone
801-26-28
スロートマイクロホ
ン
喉頭に近い咽喉部に接触させて使用するマイクロホン。 throat microphone
801-26-29
骨導マイクロホン
頭骸に接触して使用するマイクロホン。
bone-conduction
microphone
20
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-26-30
送話器,
小形送話器
電話システム用マイクロホン。
telephone
microphone,
capsule telephone
microphone
3.7
スピーカ
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-27-01
スピーカ
電気信号の波から音波を得る機能をもち,音響パワーを
周囲の媒体に放射するように設計された電気音響変換
器。
備考 “スピーカ”という用語は,スピーカユニッ
ト及びこれを含むエンクロージャの両者に用
いられる。
loudspeaker
801-27-02
スピーカユニット
音響エネルギーを周囲の媒体に放射するように設計され
た,エンクロージャ又はバフルなどの付加物をもたない
電気音響変換器。
loudspeaker unit
801-27-03
コンデンサスピー
カ,
静電スピーカ
静電力によって動作するスピーカ。
electrostatic
loudspeaker
801-27-04
圧電スピーカ
圧電材料の変形によって動作するスピーカ。
piezoelectric
loudspeaker
801-27-05
マグネチックスピー
カ
磁気回路の磁気抵抗の変化によって動作するスピーカ。 electromagnetic
loudspeaker
801-27-06
ダイナミックスピー
カ,
可動コンダクタスピ
ーカ,
可動コイルスピーカ
静磁界中に置かれたコイル又は導体を流れる電流の変化
で生じる運動によって動作するスピーカ。
moving-conductor
loudspeaker,
moving-coil
loudspeaker,
electrodynamic
loudspeaker
801-27-07
磁気ひずみスピーカ
材料の磁気ひずみ変形によって動作するスピーカ。
magnetostriction
loudspeaker
801-27-08
イオンスピーカ
イオンプラズマとその周囲の空気との相互作用によって
動作するスピーカ。
ionic loudspeaker
801-27-09
気流スピーカ
空気流の流量制御によって動作するスピーカ。
pneumatic
loud-speaker
801-27-10
コーンスピーカ
コーン形放射素子をもつスピーカ。
cone loudspeaker
801-27-11
ドームスピーカ
球形の放射素子をもつスピーカ。
dome loudspeaker
801-27-12
(音響)ホーン
音響インピーダンスの整合のため及び場合によっては指
向性を与えるために用いる,一端の面積に比べ他端の面
積が大きくなるように途中の断面積が変化している管。
(acoustic) horn
801-27-13
ホーンスピーカ
ホーンによって媒質及び結合した放射素子をもつスピー
カ。
horn loudspeaker
801-27-14
マルチセルラスピー
カ
併置された二つ以上のホーンによって媒質と結合した放
射素子をもつスピーカ。
multicellular
loudspeaker
801-27-15
マルチチャネルスピ
ーカ,複合スピーカ
個々の周波数範囲で音を同時に放射するように設計され
た,二つ以上のスピーカの複合装置。通常,デバイディ
ングネットワークを用いる。
multichannel
loudspeaker,
composite
loudspeaker
801-27-16
音響バフル
スピーカの前後間の実効的な音響経路を長くするため,
スピーカと結合して用いる遮へい用具。
acoustic baffle
21
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-27-17
音響エンクロージャ
一つ以上のスピーカユニットと,フィルタ,トランスな
どの受動素子とを箱に囲い込んで構成した装置。
acoustic enclosure
801-27-18
イヤホン
耳に音響的に密結合し,電気信号から音響信号を得る電
気音響変換器。
earphone
801-27-19
受話器
電話システム用に設計されたイヤホン。
telephone earphone
801-27-20
ヘッドホン
一つ又は二つのイヤホンをヘッドバンドで結合した装
置。
headphone
801-27-21
ヘッドセット
マイクロホンと一つ又は二つのイヤホンとを結合した装
置。
headset
801-27-22
挿入形イヤホン
外耳道に直接挿入され又は外耳道挿入用イヤモールドの
ようなものと直接結合されて装用される小形イヤホン。
insert earphone
801-27-23
耳載せ形イヤホン
外耳の外側に装着される構成のイヤホン。
supra-aural earphone
801-27-24
耳覆い形イヤホン
耳及びその周囲を十分に覆うことができる空洞をもつイ
ヤホン。
circumaural
earphone
801-27-25
変換器カートリッジ
イヤホン,マイクロホン又はピックアップヘッドのため
の変換器素子。
transducer cartridge
801-27-26
骨伝導振動子,
骨導受話器
頭部の骨状部分,通常は,乳様突起部と結合して電気振
動を機械振動に変換する電気機械変換器。
bone-conduction
vibrator
3.8
機器
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-28-01
サウンドレベルメー
タ,
騒音計
標準の周波数重み付けと標準の時間重み付けをした音圧
レベルを測定するための機器。
sound level meter
801-28-02
オージオメータ
聴覚の特性,特に聴覚域値レベルを測定するための機器。 audiometer
801-28-03
音響カプラ
例えば,イヤホン又はマイクロホンの校正のために,そ
の中に生じる音圧を測定するために取り付ける校正され
たマイクロホンとともに使用する,所定の形状及び容積
の空洞。
acoustic coupler
801-28-04
メカニカルカプラ
骨導振動子を校正するための装置。規定された押付力で
取り付けられた骨導振動子に対して規定された機械イン
ピーダンスとなるように作られ,骨導振動子とメカニカ
ルカプラとの間の接触表面での振動力レベルを求めるた
めの電気機械変換器とともに使用される。
mechanical coupler
801-28-05
人工耳,
擬似耳
イヤホンを校正するための装置。音圧を測定するための
校正されたマイクロホンと,ある周波数帯域内において
全音響インピーダンスを正常な人間の耳に類似させた音
響カプラとからなる。
artificial ear,
ear simulator
801-28-06
人工口,
擬似口
平均的な人間の口の放射パターンをもつような形状とし
たバフル又はエンクロージャに取り付けられたスピーカ
ユニットからなる装置。
artificial mouth,
mouth simulator
801-28-07
人工音声,
擬似音声
平均的な人間の音声に一致したスペクトルをもつ複合
音。通常,人工の口から放射される。
artificial voice, voice
simulator
801-28-08
人工マストイド,
疑似マストイド
骨導振動子を校正するために,それが当てられる平均的
な人間のマストイド(乳様突起)の機械インピーダンス
を模擬した装置。
artificial mastoid,
mastoid simulator
801-28-09
サーモホン
入力電流に応答して温度が変化する導体に接した空気の
膨張収縮によって,計算可能な大きさの音波を発生する
電気音響変換器。
thermophone
22
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-28-10
静電駆動器
マイクロホンの校正のための,金属又は金属を蒸着した
振動板に静電的な駆動力を与える補助電極からなる装
置。
electrostatic actuator
801-28-11
ピストンホン
小さな寸法の閉空洞内に既知の音圧を発生させるため
の,既知の周波数と既知の振幅で往復運動する剛なピス
トンをもつ装置。
pistonphone
801-28-12
レイリー(円)板
流体中の粒子速度を測定するために作られた,ねじれ支
持された円板。
Rayleigh disk
801-28-13
放射圧計
音響放射圧を測定するための装置。
acoustic radiometer
801-28-14
音響分析器
音のスペクトルを求めるための装置。
sound analyser
801-28-15
振動計
振動体の変位,速度又は加速度を測定するための機器。 vibration meter
801-28-16
音源探査器
音源探査のための電気音響装置。
sound locator
801-28-17
立体音響系
音源の空間分布感を受聴者に与えるように,複数のマイ
クロホン,伝送路,及びスピーカ又はイヤホンを配置し
た音響系。
stereophonic sound
system
801-28-18
ボコーダ
音声信号の独特の分析のための装置。対応する合成器が
接続される。
備考 その名称は,VOiceCODERからなる。チャネ
ルボコーダ又はフォルマントボコーダのよう
な様々な種類がある。
vocoder
801-28-19
音声可視化装置,
サウンドスペクトロ
グラフ
音声のスペクトルを時間の関数として表示する装置。音
声を可視化するために使用され,音声の認識を助けるこ
とができる。
visible speech
appa-ratus, sound
spectrograph
801-28-20
補聴器
聴覚障害者の聴覚を補助することを目的とした携帯用装
置。通常,マイクロホン,増幅器,及びイヤホン又は骨
導振動子からなる。
hearing aid
801-28-21
聴覚保護具,
イヤプロテクタ,
イヤデイフェンダ,
防音保護具
聴覚器を騒音から保護するために,外耳道内,耳介内若
しくは耳を覆って又は頭の大部分を覆って取り付けられ
る装置。
hearing protector, ear
protector, ear
defender
3.9
生理音響,聴覚
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-29-01
音の高さ,
ピッチ
聴覚にかかわる音の属性の一つで,低から高に至る尺度
上に配列される。
備考1. 複合音の音の高さは,主として刺激の周波
数成分に依存するが,音圧,波形にも関係
する。
2. 音の高さは,人がその音と同じ高さである
と判断した純音の周波数で表すことがあ
る。純音の音圧レベルは,別途指定する。
pitch
801-29-02
メル
音の高さの単位。正面から提示された,周波数1 000Hz,
音圧レベル40dBの純音の高さを1 000メルとする。
備考 被験者が1 000メルのn倍の高さと判断する音
の高さがn×1 000メルである。
mel
801-29-03
音の大きさ,
ラウドネス
聴覚にかかわる音の属性の一つで,小から大に至る尺度
上に配列される。
備考 音の大きさは,主として刺激の音圧に依存す
るが,周波数,波形及び継続時間にも依存す
る。
loudness
23
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-29-04
ソン
音の大きさの単位。1ソンは,平面波として前方から提
示された音圧レベル40dB,周波数1 000Hzの純音の大き
さに等しい。
備考 評定者によって1ソンのn倍と判断された音
の大きさが,nソンである。
sone
801-29-05
音の大きさのレベ
ル,
ラウドネスレベル
ある音について,正常な聴力をもつ人がその音と同じ大
きさであると判断した自由進行波の1 000Hzの純音の音
圧レベルに等しい値。指定された回数の判断を行い,そ
の中央値を採る。単位は,フォン。
備考 音の提示方法,例えば,ヘッドホン再生か拡
散音場で再生したのかなどを記述する必要が
ある。音の提示方法は,その音の特性の一つ
である。
loudness level
801-29-06
算定ラウドネスレベ
ル
指定された方法によって計算された音の大きさのレベ
ル。
備考 計算方法は,ISO 532 : 1975による。
calculated loudness
level
801-29-07
フォン
ラウドネスレベルの単位で,“ラウドネスレベル”又は
“算定ラウドネスレベル”の定義で指定されている方法
によって判断又は計算される値に付して用いる。
phon
801-29-08
音の大きさの等感曲
線
正常聴覚をもつ評定者に,ある特定の種類の音を特定の
方法で提示したときに,同じ大きさの感覚を生じさせる
音の音圧レベルを,横軸に周波数をとって結んだ曲線。
equal-loudness
contour
801-29-09
音色(ねいろ)
聴覚に関する音の属性の一つで,物理的に異なる二つの
音が,たとえ同じ音の大きさ及び高さであっても異なっ
た感じに聞こえるとき,その相違に対応する属性。
備考 音色は,主として音の波形に依存するが,音
圧,音の時間変化にも関係する。
timbre
801-29-10
主観的知覚騒音レベ
ル
その音と同じ程度にうるさいと判断した継続時間2秒,
中心周波数1 000Hzの1オクターブピンクノイズの正面
から提示された音の音圧レベル。単位は,デシベル,単
位記号は,dB。
judged perceived
noise level
801-29-11
知覚騒音レベル
中心周波数が50Hzから10kHzまでの24個の1/3オクタ
ーブごとの音圧レベルを,指定された方法で加算した周
波数重み付け音圧レベル。単位は,デシベル,単位記号
は,dB。
備考1. 指定された方法は,ISO 3891 : 1978による。
2. 知覚騒音レベルは,主観的知覚騒音レベル
の近似を意図している。
perceived noise level
801-29-12
音のうるささ,
ノイジネス
知覚騒音レベルの計算に用いた中心周波数が50Hzから
10kHzまでの24の1/3オクターブごとの音圧レベルで規
定された関数。
備考 規定された関数は,ISO 3891 : 1978による。
noisiness
801-29-13
ノイ
音のうるささの単位。帯域音圧レベル40dB,中心周波数
1 000Hzの1/3オクターブバンドノイズのうるささを1
ノイとする。
noy
24
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-29-14
純音補正知覚騒音レ
ベル
航空機騒音において,隣り合う1/3オクターブごとの音
圧レベルの不規則性に基づく補正を行った知覚騒音レベ
ルを加算することによって得られる音圧レベル。単位は,
デシベル,単位記号は,dB。
備考1. 補正方法は,ISO 3891 : 1978による。補正量
は,0dBから6.7dBまでの範囲である。
2. 補正量は,プロペラ,圧縮機,タービン又
はファンなどで生じる特異音(主として純
音成分)の主観的な音のうるささの増分で
ある。
tone-corrected
perceive noise
level
801-29-15
実効知覚騒音レベル
航空機が通過するときの純音補正知覚騒音レベルの1/10
の逆対数(真数)の時間積分値。単位は,デシベル,単
位記号は,dB。基準の継続時間は,10秒。
備考1. 積分値は,航空機が通過するときの騒音レ
ベルのピークから10dB以内のレベル値をと
る時間で,0.5秒おきに純音補正知覚騒音レ
ベルの1/10の逆対数を合計した値の1/2であ
る。
2. 実効知覚騒音レベルは,主観的な音のうる
ささを表すと称されている。
3. 航空機が通過するときの実効知覚騒音レベ
ルは,A特性音圧レベルよりも2又は3dB
大きい傾向がある。
effective perceived
noise level
801-29-16
気導
音が外耳と中耳を通して内耳へ伝えられること。
air conduction
801-29-17
骨導
音が頭がい(蓋)骨と軟部組織の機械振動を通して内耳
へ伝えられること。
bone conduction
801-29-18
聴覚域値,
最小可聴値
指定された音が,評定者の聴覚を起こし得るときのその
音の最小音圧レベル。他の音源から出て両耳のいずれか
に達した音は,無視されると仮定している。
備考 測定条件は,明記されなければならない。単
耳聴,両耳聴,自由音場,イヤホン使用,持
続音か断続音か,検査回数など。
参考 最小可聴値は,心理測定法としては不適当な
用語。IEC/ISOにおいて使われている分野は,
測定器であるオージオメータの部分であり,
聴覚域値が適当。
threshold of hearing,
threshold of
audibility
801-29-19
マスキング下の域値
他音の存在する(マスキング)ときの特定の音の聴覚域
値。
masked threshold
801-29-20
正常聴覚域値,
正常最小可聴値
耳科学的に正常な18歳から30歳までの多数の評定者の
聴覚域値の最頻値。
normal threshold
of hearing
801-29-21
標準聴覚域値,
標準最小可聴値
標準として採用された聴覚域値。
備考 この標準聴覚域値は,ISO 389 : 1985に示され
ている。
standard threshold of
hearing
801-29-22
(聴覚の)痛覚域値
ある個人において,明らかな痛みを耳に引き起こす指定
された音の最小音圧レベル。
備考 測定条件は,聴覚域値の検査と同様に明記さ
れなければならない。
threshold of pain (in
electroacoustics)
801-29-23
正常痛覚域値
耳科学的に正常な18歳から30歳までの多数の人間の聴
覚域値の最頻値。
normal threshold of
pain
25
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-29-24
聴覚域値レベル,
聴力損失
片側又は両側耳で聞いた提示音に対するある人の聴覚域
値から基準とされている聴覚域値を差し引いた値のデシ
ベル表示。
参考 聴力損失は,オージオメータの旧規格で使用
していたが,基準レベルの変更に伴って,新
規格では使わない。
hearing threshold
level,
hearing loss
(deprecated in this
sense)
801-29-25
聴力レベル
ある音において,定められた形のイヤホンにおいて,ま
たその装置方法において,指定されたカプラないし人工
耳でそのイヤホンによって得られたその音の音圧レベル
から定められた標準聴覚域値に対応するイヤホンで得ら
れた音圧レベルを差し引いた値。
hearing level
801-29-26
純音オージオグラム
周波数の関数として聴力レベルを示したグラフ。
pure tone audiogram
801-29-27
聴野
周波数の関数として聴覚域値を結んだ線と痛覚域値を結
んだ線に囲まれた領域。
auditory sensation
area
801-29-28
正常聴野
周波数の関数として正常聴覚域値と正常痛覚域値を結ん
だ線に囲まれた領域。
normal auditory
sensation area
801-29-29
感覚レベル,
域値上レベル
個々の人と指定された音の,その音の聴覚域値を超えた
音圧レベルの量。
sensation level
801-29-30
リクルートメント,
補充
ある種の聴覚障害において,例えば,内耳由来の障害に
おいて,正常者の場合よりも大きな割合で,刺激音の増
加に対応する音の大きさが増大すること。
recruitment
801-29-31
マスキング
a) 他の(マスクする)音の存在によって,ある音の聴
覚域値が上昇する現象。
b) a)の現象による聴覚域値の上昇量。単位は,デシベ
ル,単位記号は,dB。
masking
801-29-32
マスキングオージオ
グラム
指定されたマスキング音による純音又は狭帯域雑音の聴
覚域値の上昇量を,純音又は狭帯域雑音の周波数の関数
としてデシベルで表示したグラフ。
masking audiogram
801-29-33
(聴覚の)臨界帯域
a) 帯域音圧レベルが一定の帯域雑音の音の大きさが,
帯域幅に関係なく一定であるときの最大の周波数帯
域。
b) 帯域雑音のスペクトルレベルを一定に保った状態で
帯域幅を増していくとき,帯域雑音の中心周波数に
等しい純音がちょうど聞こえる音圧レベルとなる帯
域雑音の最小の周波数帯域幅。
備考 “ちょうど聞こえる”とは,指定された聴取
方法を用いたとき,指定された割合で聞こえ
るということである。
auditory critical band
801-29-34
(音の)検出
信号の存在を検知すること。
detection (in
acoustics)
801-29-35
検出レベル差,
認識ディファレンシ
ャル
指定された聴覚の検出システムにおいて,定められた検
出確率となる場合の,耳に提示された信号レベルから雑
音レベルを差し引いた値。
備考 信号と雑音が提示,測定されたシステムの帯
域幅を記述しなければならない。
detection differential,
recognition
differential
801-29-36
音の大きさの弁別限
指定された周波数の音及び聴取条件で,音の大きさが変
化したと気付く音圧レベルの最小変化量。
difference limen for
loudness
801-29-37
音の高さの弁別限
指定された周波数の音及び聴取条件で,音の高さが変化
したと気付く周波数の最小変化量。
difference limen for
pitch
26
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-29-38
音の高さの弁別比
継時的に提示された二つの純音の周波数の差が知覚でき
る最小周波数差のその周波数に対する比。
relative difference
limen for
frequency
801-29-39
聴覚高調波
与えられた刺激によって聴覚機構で新たに生成され,知
覚される高調波。
aural harmonic
801-29-40
電気音効果
適切な周波数と振幅の交流電流が外部から体の中を通過
するときに生じる,音が聞こえたと感じる感覚。
electrophonic effect
801-29-41
瞬時音声パワー
音声源から放射される単位時間当たりの瞬時音響エネル
ギー。
instantaneous speech
power
801-29-42
最大音声パワー
ある時間内での瞬時音声パワーの最大値。
peak speech power
801-29-43
平均音声パワー
ある時間内での瞬時音声パワーの相加平均値。
average speech
power
801-29-44
ホルマント
複合音において,音響スペクトルが局所的に大きくなっ
ている周波数範囲。
備考 局所的に大きくなっている周波数をホルマン
ト周波数という。
formant
801-29-45
明りょう度,
了解度
正しく聞き取れた音声の百分率。
備考1. “明りょう度”という用語は,評価用の音
声が無意味な音節か又は素片である場合に
用い,“了解度”という用語は,評価用の音
声が意味のある単語,句又は文章の場合に
用いる。
2. 評価用の音声の種類としては,音素,音節,
単語,文章などを記述することが重要であ
る。形容詞節の明りょう度,母音(又は子
音)明りょう度,単音節単語了解度,単独
単語了解度,文章了解度の,どの評価をす
るのかによって評価に用いる音声は,決ま
る。
articulation,
intelligibility
801-29-46
音声了解度の域値
比較的やさしい単語の50%が,容易に聞き取れる音声の
音圧レベル。指定された周波数帯域で,指数形時間重み
付け特性F(速い動特性)を用いて測定する。
備考 指数形時間重み付け特性Fについては,IEC
651 : 1979参照のこと。
threshold of speech
intelligibility
3.10 音楽音響
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-30-01
基音,
基本音
周期的な音波において,その周期と同じ周期をもつ正弦
波成分。
fundamental tone,
fundamental
801-30-02
部分音
複合音を構成する正弦波成分。
partial
801-30-03
調波,
ハーモニック
複合音を構成する正弦波成分で,その周波数が基本波の
周波数の整数倍であるもの。
harmonic
801-30-04
音の高調波列
各音の基本周波数が最小の基本周波数の整数倍である音
の系列。
harmonic series of
sounds
801-30-05
ビブラート
一つ又は二つ以上の音波の特徴(例えば,周波数,位相,
振幅)を約6Hzの周期で変化させた場合に感じられる音
楽における音響効果の一種。
備考 トレモロは,主として振幅の変化である。
vibrato
801-30-06
音符
a) 音階中の位置で音楽における音の高さ,周波数,継
続時間を図式的に表示する記号。
b) 音の感覚又はその感覚を生じさせる物理的振動。
note
27
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-30-07
周波数間隔
二つの周波数の比。
frequency interval
801-30-08
対数周波数間隔
二つの周波数の比の対数。
logarithmic
frequency interval,
interval
801-30-09
オクターブ
基音の周波数の比が2である二つの音の対数周波数間
隔。
備考 オクターブは,対数周波数間隔の単位として
も用いられる。
octave
801-30-10
全音
基本周波数の比が,2の1/6乗根である二つの音の対数周
波数間隔。
備考1. 1オクターブは,6全音である。
2. 全音は,対数周波数間隔の単位として用い
られる。
tempered whole tone,
whole step
801-30-11
半音
基本周波数の比が,2の1/12乗根である二つの音の対数
周波数間隔。
備考1. 1オクターブは,12半音である。
2. 半音は,対数周波数間隔の単位として用い
られる。
tempered semitone,
half step
801-30-12
サバール
基本周波数の比が,10の1/1 000乗根である二つの音の
対数周波数間隔。
備考1. 1オクターブは,約300サバールである。
2. サバールは,対数周波数間隔の単位として
も用いられる。
savart
801-30-13
セント
基本周波数の比が,2の1/1 200乗根である二つの音の対
数周波数間隔。
備考1. 1オクターブは,1 200セントである。
2. セントは,対数周波数間隔の単位としても
用いられる。
cent
801-30-14
音階
周波数が上昇又は下降するように周波数間隔を指定され
た方法で配列した音の系列。
musical scale
801-30-15
ピタゴラス音階
周波数間隔が,3と2との整数のべき乗の比で表される
音階。
Pythagorean scale
801-30-16
純正律音階
周波数間隔が長三和音又は短三和音に設定されて作られ
た音階。長三和音の周波数の比は4 : 5 : 6,短三和音の周
波数の比は10 : 12 : 15である。
just scale
801-30-17
平均律音階
1オクターブを等比級数的に12等分して作られた音階。 equal tempered scale
801-30-18
楽器用標準周波数
ト音記号の音名“イ”の音の周波数で440Hz。
standard tuning
fre-quency,
standard musical
pitch
3.11 建築音響
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-31-01
吸音
材料又は物体によって音響エネルギーが熱に変換される
現象。媒質中における音の伝搬過程又は二つの物質の境
界面に音波が入射したときに生じる。
sound absorption
801-31-02
吸音率
ある面に音が入射したときの入射音響パワーに対する反
射されない音響パワーの比率。これは,周波数,音の入
射条件などによる。
備考 特別の場合を除き,通常は拡散音場を仮定す
る。
sound (power)
absorption
coefficient
28
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-31-03
統計吸音率
平面波がランダムな角度で入射する条件で測定又は計算
される吸音率。
statistical sound
(power)
absorp-tion
coefficient
801-31-04
音響(パワー)反射
率
ある面に音が入射したときの入射音響パワーに対する反
射される音響パワーの比率。これは,周波数,音の入射
条件などによる。
備考 特別の場合を除き,通常は,ランダム入射条
件を仮定する。
sound (power)
reflection
coefficient
801-31-05
音圧反射率
平面波が入射したときの入射音の音圧振幅に対する反射
音の音圧振幅の比率。これは,周波数,入射角度による。
sound pressure
reflection
coefficient
801-31-06
等価吸音面積
拡散音場の残響室内で,物体又は面と同じ音響パワーを
吸収する1の吸音率をもつ面の面積。面の場合には,そ
の面積と吸音率との積に等しい。吸音力ともいう。
equivalent absorption
area of an object
or of a surface
801-31-07
残響時間
室内において,音源を停止した後,音圧レベルが60dB
減衰するのに要する時間。これは,周波数,周波数帯域
による。
reverberation time
801-31-08
減衰率
例えば,残響室内のように,音圧レベルが時間とともに
減衰する割合。これは,周波数による。
備考 減衰率の単位は,デシベル/秒,単位記号は,
dB/s。
decay rate
801-31-09
アイリング吸音率
アイリングの残響時間式によって計算される面の吸音
率。
備考 アイリングの残響時間式は,次の式のとおり
である。
)
1
ln(
)
10
ln
24
(
α
−
−
=
cS
V
T
ここに,
T:残響時間
V:室容積
c:室内の空気中における音速
S=ΣSi:室内総表面積
S
S
i
i
/
α
αΣ
=
:面積の重みつけをした平均
アイリング吸音率
Si: i-番目の面の面積
αi: i-番目の面のアイリング吸音率
i-番目の面の等価吸音面積は,Si/αi
Eyring absorption
coefficient
801-31-10
セイビン吸音力
セイビンの残響時間式で計算される吸音力。
備考1. セイビンの残響時間式は,次の式のとおり
である。
V
cA
cA
V
T
3.
55
)
10
ln
24
(
=
=
ここに,
T:残響時間(秒)
V:室容積 (m3)
c:室内の空気中における音速 (m/s)
A:室内におけるセイビン吸音力の総和
(m2)
2. セイビン吸音力の単位は,平方メートルで,
メーターセイビンということもある。単位
記号は,m2。
Sabine absorption
29
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-31-11
室の吸音力
室内の物体,表面及び空気の音響エネルギー吸収による
セイビン吸音力の総和。
備考1. i-番目の面,物体又は空気の音響エネルギー
吸収によるセイビン吸音力をAiとすると,
室の吸音力はA=ΣAiである。
2. 容積Vの室内における空気の音響エネルギ
ーの吸収による吸音力は,次の式で与えら
れる。
V
V
Am
α
α
921
.0
e
log
10
4
10
=
=
ここに,
α:空気の音響エネルギー吸収による音の
強さの減衰係数 (m-1)
room absorption
801-31-12
セイビン吸音率
ある面のセイビン吸音力をその面の面積で除した値。
備考 i番目の面がセイビン吸音率αi及びSiの面積を
もつ場合,その面のセイビン吸音力は,
Ai=Siαiである。
sound absorption
coefficient
801-31-13
残響室
できるだけ拡散性が高い音場を実現するために特に設計
された長い残響時間をもつ室。
備考 残響室は,材料の吸音率及び音源の音響パワ
ーの測定に用いられる。
reverberation room
801-31-14
ライブな室
比較的吸音力が少ない室。
live room
801-31-15
平均自由行程
室内であらゆる方向に放射された音波が反射を繰り返す
際の連続した2回の反射の間に伝搬する距離であり,多
数回の反射についての平均値。
mean free path
801-31-16
ランダム入射
音波がすべての方向から等しい確率で入射すること。
random incidence
801-31-17
拡散音場距離
音源が設置された室内において,音源の音響中心から,
直接音の音圧の二乗平均値と残響音の音圧の二乗平均値
が等しくなる点までの距離。これは,方向による。
参考 直接音距離ともいう。
diffuse-field distance
801-31-18
無響室
境界に入射したすべての音が吸収されることによって,
内部で自由音場の条件が成り立つ室。
free-field room,
anechoic room
801-31-19
デッドな室
比較的吸音力が多い室。
dead room
801-31-20
聴覚検査室
外部騒音を遮断し,内部を吸音処理した聴覚の検査をす
る室。
audiometric room
801-31-21
エコー
直接音の後に,それとは分離して聞こえる程度の強さと
遅れ時間をもって到達する反射音。
echo
801-31-22
多重エコー
一つの音源から放射され,分離して聞こえる連続したエ
コー。
multiple echo
801-31-23
フラッタエコー
同じ音源から放射され,間隔が短く連続的に聞こえるエ
コー。
flutter echo
801-31-24
境界面の比音響イン
ピーダンス
境界面における音圧の粒子速度の法線方向成分に対する
比。
specific wall
impedance
801-31-25
境界面の比音響アド
ミタンス
境界面における粒子速度の法線方向成分の音圧に対する
比。
specific wall
admit-tance
801-31-26
放射係数
ある面積をもち,ある実効速度で振動している板が放射
する音響パワーと,それと同じ面積をもち,同じ振動速
度で一様な位相で振動している板が平面波として放射す
る音響パワーとの比。
radiation factor
30
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-31-27
放射指数
放射係数の10を底とする対数(常用対数)に10を乗じ
た値。単位は,デシベル。単位記号は,dB。
radiation index
801-31-28
ヘルムホルツ共鳴器
比較的大きな容積及び小さな開口部をもつ共鳴器(レゾ
ネータ)。
Helmholtz resonator
801-31-29
消散
音のエネルギーが熱に変わる現象。
dissipation
801-31-30
消散係数
熱となって消散される音のエネルギーの入射音のエネル
ギーに対する比。
dissipation factor
801-31-31
多孔質吸音材料
内部に連続した空げき(隙)部をもち,気体又は液体の
流れに抵抗を示す材料。
porous absorber
801-31-32
空げき(隙)率,
ポロシティ
多孔質吸音材料の全体の体積に対する空げき(隙)部の
容積の比。
porosity
801-31-33
流れ抵抗
層状の多孔質材料の表裏の気圧差を,材料を通して流れ
る空気の体積速度で除した値。
flow resistance
801-31-34
比流れ抵抗
層状の多孔質材料の表裏の気圧差を,材料を通して流れ
る空気の粒子速度で除した値。
specific flow
resistance
801-31-35
比流れ抵抗率
比流れ抵抗を多孔質材料の厚さで除した値。
flow resistivity
801-31-36
室内平均音圧レベル
室内の音圧の二乗の空間・時間平均値の基準音圧の二乗
に対する比の10を底とする対数(常用対数)を採り,そ
れに10を掛けた値。単位は,デシベル。空間平均は,音
源からの直接放射音が優勢な範囲又は境界面の近傍音場
を除いた全体について行う。
average sound
pressure level in a
room
801-31-37
室間音圧レベル差
2室のうちの一方の室内に一つ又はそれ以上の音源をお
いたときの,それぞれの室内における音圧レベルの空
間・時間平均値の差。単位は,デシベル。単位記号は,
dB。
level difference,
sound isolation
between rooms
801-31-38
標準化レベル差
室間音圧レベル差に,受音室内の残響時間の基準残響時
間に対する比の10を底とする対数(常用対数)の値の
10倍を加えた値。単位は,デシベル。単位記号は,dB。
備考 住宅の場合には,標準化残響時間は,0.5s。
standardized level
difference
801-31-39
音響透過損失
隔壁で仕切られた2室間のレベル差に,受音室内のセイ
ビン吸音力の総和に対する隔壁の面積の比の10を底と
する対数(常用対数)の10倍を加えた値。これは,周波
数帯域による。
sound reduction
index,
transmission loss,
sound insulation
801-31-40
側路伝搬
隣接する2室間で,共通の壁以外の部分を通して音が透
過する現象。
flanking transmission
801-31-41
床衝撃音レベル
測定対象の床を標準衝撃源で加振したときの受音室内に
おける周波数帯域ごとの平均音圧レベル。
備考 標準衝撃源は,ISO 140-6 : 1978で規定してい
るタッピングマシンで,これは実効質量0.5kg
のハンマーを40mmの高さから毎秒10回の割
合で落下させる装置。
impact sound
pressure level
801-31-42
規準化床衝撃音レベ
ル
周波数帯域ごとに,標準衝撃源で加振したときの受音室
内の平均音圧レベルに,基準吸音力 (10dBm2) に対する
受音室内のセイビン吸音力の比の10を底とする対数(常
用対数)の値の10倍を加えた値。単位は,デシベル。単
位記号は,dB。
normalized impact
sound pressure
level
801-31-43
現場における標準化
床衝撃音レベル
周波数帯域ごとに,床衝撃音レベルから標準化残響時間
(0.5s) に対する受音室内の残響時間の比の10を底とす
る対数(常用対数)の10倍を差し引いた値。単位は,デ
シベル。単位記号は,dB。
field standardized
impact sound
pressure level
31
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-31-44
吸音材料
比較的大きな吸音効果をもつ材料。
sound absorbing
material
801-31-45
遮音材料
音の透過を防ぐために用いられる材料。
acoustical insulating
material
801-31-46
床衝撃音防止材料
衝撃又は振動が加えられたときの発生騒音が小さく,衝
撃音又は振動の伝搬を減衰させる効果が高い材料。
impact-sound
reducing material
3.12 水中音響
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-32-01
ソーナー
水中音波を用いて,海中の物体に関する情報を得るため
の技術又は装置。
備考 この用語は,SOund NAvigation and Rangingの
頭字語である。
sonar
801-32-02
アクティブソーナー
装置によって放射された音波がある離れた物体によって
受ける影響を評価し,その物体に関する情報を得るため
の技術又は装置。
active sonar
801-32-03
パッシブソーナー
ある離れた物体が発生する音を分析し,その物体に関す
る情報を得るための技術又は装置。
passive sonar
801-32-04
ソーナー背景雑音
必要な信号の受信を妨害し,記録器又は聴音する人の耳
のような最終受信要素に現れるすべての雑音。
sonar background
noise
801-32-05
ソーナー自己雑音
ソーナー背景雑音のうち,ソーナー又は機器類及びソー
ナーを搭載した船又はプラットホームの運行によって発
生するもの。
備考 自己雑音は,通常,変換器の最大感度方向か
ら入る等価平面波で表される。
sonar self-noise
801-32-06
放射雑音
船舶,水上航走体,潜水艦又は固定設備などによって水
中に放射される音。
radiated noise
801-32-07
海中雑音
熱じょう乱,風,波浪,海潮流,雨のような自然の発生
源によって海中に放射された音。
sea noise
801-32-08
相対残響レベル
音源の主軸上の1点における残響の音圧レベルから直接
波の音圧レベルを差し引いた値。
relative reverberation
level
801-32-09
残響制限領域
アクティブソーナーによる検出が,ソーナー背景雑音の
うちの残響によって制限される状態。
reverberation-limited
condition
801-32-10
雑音制限状態
検出が残響以外のソーナー背景雑音によって制限される
状態。
noises-limited
condition
801-32-11
アクティブソーナー
の良さの指数
音源から1m離れた点における放射パルスの音圧レベル
から,与えられた条件のもとで検出可能なエコーの最小
音圧レベルを差し引いた値。
figure of merit of an
active sonar
801-32-12
伝搬アノマリー
ある与えられた距離で,実際の伝搬損失から,同じ経路
について球面発散とした場合又は他の指定された伝搬モ
デルで計算された損失を差し引いた値。
propagation anomaly
801-32-13
クロスオーバーレン
ジ
発散による伝搬損失と吸収による伝搬損失とが等しくな
る距離。
Cross-over range
801-32-14
水温鉛直分布図
海水の温度分布を深さの関数として描いた図。
bathythermogram
801-32-15
水温躍層
深さに対し急激に水温が変化する表面近くの海水層。
thermocline
801-32-16
等温層
実質的に温度一定の特性をもつ海水層。
isothermal layer
801-32-17
限界音線
伝搬速度が極大の水平面に接する音線。
limiting ray
801-32-18
収束帯
深海における屈折によって,音源から遠く離れた海面近
くで音線が収束する領域。
convergence zone
801-32-19
シャドーゾーン
屈折によって音線が到達できなくなる海中の領域。
shadow zone
32
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-32-20
サウンドチャネル
深さとともに音速が変わっていくとき,途中で音速の極
小部をもつような海洋中の領域。
sound channel
801-32-21
深海散乱層
ある深さにあり,エコーを生じる散乱体群の層。
deep scattering layer
801-32-22
クェンチングウォー
タ
浅い海又は船体近く,特に荒れた海にみられ,多くの気
泡を含んでいることを特徴とする海の状態。
quenching water
801-32-23
ソーナードーム
水中における運動で起こる乱流又はキャビテーションを
減少させることによって,雑音をできるだけ少なくする
ために用いられる音響的に透明な流線形の覆い。
sonar dome
801-32-24
ソーナードーム挿入
損失
ソーナードームを挿入することによる損失。これは,指
定された変換器の電気端子と送波又は受波での外部の音
場の1点との間の伝送損失の増加に等しい。
sonar dome insertion
loss
801-32-25
ソーナードーム損失
指向性パターン
ソーナードーム挿入損失を,音の透過方向の関数として
表示したもの。
sonar dome loss
directivity-pattern
801-32-26
ハイドロホン
水中音響信号に応答して電気信号を得る変換器。
hydrophone
801-32-27
シェーデッド変換器
駆動面の位相と振幅の分布を制御して指向性レスポンス
を修正した変換器。
shaded transducer
801-32-28
(水中)送波器
電気信号を水中音響信号に変換する電気音響変換器。
underwater sound
projector
801-32-29
ソーナー送波レベ
ル,
正面送波レベル
送波器の実効的な音響中心から1mの基準距離(別に指
定されたものがなければ)にある送波器の軸上の音圧レ
ベル。その基準量は,基準距離における基準音圧である。
sonar source
level,axial source
level
801-32-30
物体又は体積の散乱
断面積
ある物体又は特定の体積中にある散乱体によって,すべ
ての方向に散乱された音響パワー量に等しい,平面進行
波音響パワーの断面積。
scattering
cross-section of an
object or volume
801-32-31
物体又は体積の後方
散乱断面積
4πと,後方散乱音圧の二乗と散乱体の音響中心からの距
離の二乗との積を,その体積中にある散乱体に入射する
音圧の二乗で除した値。入射角及び後方でない場合の散
乱角は,明記しなければならない。
backscattering
crosssection of an
object or a volume
801-32-32
海面又は海底の散乱
断面積
ある特定の海面又は海底から半球域に散乱された音響パ
ワー量に等しい,平面進行波音響パワーの断面積。
scattering
cross-section of a
surface or a
bottom
801-32-33
海面又は海底の後方
散乱断面積
半球面域に等方的に散乱し,実際の散乱体からのエコー
に等しいエコーを返す海面又は海底の散乱断面積。
backscattering
cross-section of a
surface or a
bottom
801-32-34
体積散乱係数
対象とする体積についての散乱断面積を,その体積で除
した値。
volume scattering
coefficient
801-32-35
海面又は海底の散乱
係数
海面又は海底について,散乱断面積の,その海面又は海
底の面積に対する比。
surface or bottom
scattering
coefficient
33
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-32-36
物体の後方散乱ディ
ファレンシャル,
ターゲットストレン
グス
物体の後方散乱断面積の基準球面積4πr02に対する比に
ついて,10を底とする対数(常用対数)をとり,10倍し
てデシベルで表したレベル。ここに,r0は基準距離で,
1mに採ることが望ましい。どのような基準面積を用いる
かは,指定する必要がある。
備考1. 後方以外の指示された方向に対する,物体
の散乱ディファレンシャルは同様に定義さ
れる。
2. 別の表現で記述すれば,物体の後方散乱デ
ィファレンシャルは,散乱物体の音響中心
からr0の基準距離における後方散乱音圧レ
ベルから物体に入射する平面波の音圧レベ
ルを差し引いたもの。
3. 文字記号で表せば,次の式のように定義さ
れる。
dB
4
log
10
20
ob
10
i
sc
ts
r
A
L
L
N
π
=
−
=
ここに,
Nts:物体の後方散乱ディファレンシャル
又はターデットストレングス
Lsc:基準距離における後方散乱音圧レベ
ル
Li:入射音圧レベル
Aob:物体の後方散乱断面積
r0:基準距離
20
4r
π:物体の後方散乱デイフアレンシャ
ルの基準面積
object
backscatter-ing
differential, target
strength
34
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
IEV番号
用語
定義
対応英語(参考)
801-32-37
体積後方散乱ディフ
ァレンシャル,
体積散乱強度
ある体積の後方散乱係数の基準体積後方散乱係数4π/r0
に対する比について,10を底とする対数(常用対数)を
採って10倍したデシベルで表したレベル。ここで,r0
は基準距離で,1mに採ることが望ましい。どのような基
準係数を用いるかは,明記する必要がある。
備考1. 後方以外の指定された方向に対する体積散
乱ディファレンシャルは,同様に定義され
る。
2. 別の表現をすれば,体積後方散乱ディファ
レンシャルは,散乱体を含む体積の中心か
らr0の基準距離における後方散乱音圧レベ
ルから散乱体に入射する平面波の音圧レベ
ルを差し引いたものである。
3. 文字記号で表せば,次の式のように定義さ
れる。
0
20
10
i
sc
v
/
4
v/
log
10
V
r
V
A
L
L
N
π
=
−
=
0
10
/
4
log
10
r
m
π
=
ここに,
Nv:体積後方散乱ディファレンシャル又
は体積散乱
強度
Lsc:基準距離における後方散乱音圧レベ
ル
Li:入射音圧レベル
Av:体積中の散乱の後方散乱断面積
r0:基準距離
30
0
r
V=
:基準体積
m=Av/V:体積後方散乱係数
0
20
o
/
4
/
4
V
r
r
π
π
=
:基準体積後方散乱係数
volume
backscattering
differential,
volume scattering
strength
801-32-38
海面又は海底の後方
散乱ディファレンシ
ャル,
海面又は海底の散乱
強度
海面又は海底の散乱要素の音響中心から単位距離の位置
における値に換算した後方散乱音圧レベルから散乱海面
又は海底に入射する平面波の音圧レベルを差し引いたも
の。
surface or bottom
backscattering
differential,
surface or bottom
scattering strength
35
Z 8106 : 2000 (IEC 60050-801 : 1994)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS整合化推進委員会音響用語分科会 構成表
氏名
所属
(主査)
吉 川 昭吉郎
長岡技術科学大学名誉教授
(幹事)
三 浦 甫
静岡理工科大学
(委員)
青 戸 邦 夫
今 井 章 久
武蔵工業大学
漆 原 清
海洋音響学会
大 賀 寿 郎
株式会社富士通研究所
小 島 順 治
日本電信電話株式会社
佐 藤 宗 純
工業技術院電子技術総合研究所
設 楽 哲 也
日本聴覚医学会
橘 秀 樹
東京大学
東 山 三樹夫
工学院大学
宮 坂 栄 一
日本放送協会放送技術研究所
田 仲 信 夫
工業技術院標準部
橋 本 繁 晴
財団法人日本規格協会
(事務局)
後 藤 健 次
社団法人日本音響学会