Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
0.1 表の配列 ······················································································································ 1
0.2 量の表 ························································································································· 1
0.3 単位の表 ······················································································································ 1
0.4 この規格における数値の記述 ··························································································· 2
0.5 特記事項 ······················································································································ 2
1 適用範囲························································································································· 3
2 引用規格························································································································· 3
3 名称,記号及び定義 ·········································································································· 3
附属書A(参考)原子物理学及び核物理学で用いる非SI単位 ······················································ 66
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本計量振興協会(JAMP)及
び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出が
あり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
これによって,JIS Z 8202-9:2000及びJIS Z 8202-10:2000は廃止され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS Z 8000の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Z 8000-1 第1部:一般
JIS Z 8000-3 第3部:空間及び時間
JIS Z 8000-4 第4部:力学
JIS Z 8000-5 第5部:熱力学
JIS Z 8000-6 第6部:電磁気
JIS Z 8000-7 第7部:光
JIS Z 8000-8 第8部:音
JIS Z 8000-9 第9部:物理化学及び分子物理学
JIS Z 8000-10 第10部:原子物理学及び核物理学
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日本工業規格 JIS
Z 8000-10:2015
(ISO 80000-10:2009)
量及び単位−第10部:原子物理学及び核物理学
Quantities and units-Part 10: Atomic and nuclear physics
序文
この規格は,2009年に第1版として発行されたISO 80000-10を基に,技術的内容及び構成を変更する
ことなく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
0.1
表の配列
この規格の量及び単位の表は,量を左側のページに配列し,単位を対応する右側のページに配列する。
右のページの2本の横実線の間にある全ての単位は,左側のページの対応する実線の間の量に属する。
左側のページの量を表す番号の下には,括弧を付けて旧規格(JIS Z 8202-9,JIS Z 8202-10)で規定した
項目の番号を示す。
なお,旧規格にその番号がなかった場合には,“−(ダッシュ)”でそのことを示す。
0.2
量の表
この規格で扱う分野において最も重要な量について,その名称及び記号を示すとともに,ほとんどの場
合に,その定義を併せて示す。これらの名称及び記号は,推奨である。これらの定義は,国際量体系(ISQ)
における量の識別のためであり,左側のページに列挙している。これらの定義は,必ずしも完全なもので
はない。
量のスカラー文字,ベクトル文字又はテンソル文字は,特に定義のために必要な場合に示している。
多くの場合,ある量に対しては一つの名称と一つの記号とを示す。一つの量に対して二つ以上の名称又
は二つ以上の記号を併記し,特に区別をしていない場合には,互いに対等な関係にある。斜体の文字に2
種類の字体がある場合(例えば,ϑ及びθ,φ及びφ,a及びa,g及びg),いずれか一方だけを示してい
るが,他方は対等に使用できないという意味ではない。このような異なる字体にそれぞれ異なる意味を与
えないことを推奨する。括弧内の記号は,予備の記号である。したがって,特別の関係の下で主要記号を
異なる意味で用いる場合には,これら予備の記号を用いる。
0.3
単位の表
0.3.1
一般
量に対する単位の名称を,記号及び定義とともに示す。これらの単位の名称は言語によって異なるが,
記号は国際的なものであり,また,全ての言語において同一である。詳細情報については,国際度量衡局
(BIPM:Bureau International des Poids et Mesures)から発行されているSI文書(2006年第8版)及びJIS Z
8000-1を参照する。
単位は,次のように配列している。
a) 一貫性のある国際単位系(SI:Système International d'Unités)を最初に示す。SI単位は,国際度量衡総
会(CGPM:Conférence Générale des Poids et Mesures)で採択されたものである。一貫性のあるSI単位
2
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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の使用を推奨する。明示的に記載していない場合であっても,SI接頭語を付した10進の倍量及び分
量を推奨する。
b) 次に,国際度量衡委員会(CIPM:Comité International des Poids et Mesures)若しくは国際法定計量機関
(OIML:Organisation Internationale de Métrologie Légale),又はISO及びIECがSI単位と併用するこ
とを認めている,一部の非SI単位を示す。
これらの非SI単位は,項目内を点線で区切って,SI単位と区別している。
c) 現在CIPMがSI単位との併用を認めている非SI単位は,“換算率及び説明”欄に小さい文字で示して
いる。
d) SI文書第8版[8]の表7に記載されている,原子物理学及び核物理学で用いる非SI単位を附属書Aに示
す。この附属書は,参考であって,規定の一部ではない。
0.3.2
次元1又は無次元量に関する注意事項
無次元量とも呼ばれる次元1のいかなる量に対しても一貫性のある単位は,数の1,記号は1である。
このような量の値を表すときには,一般に,単位の記号1は明示しない。
例1 屈折率 n=1.53×1=1.53
この単位の記号1の倍量又は分量を示すために接頭語を用いてはならない。接頭語の代わりに,10のべ
き乗を用いることが望ましい。
例2 レイノルズ数 Re=1.32×103
通常,平面角は二つの長さの比として,立体角は二つの面積の比として表されることを考慮して,CGPM
は1995年,SI単位においてラジアン(rad)及びステラジアン(sr)を無次元の組立単位とすることを規
定した。これは,平面角及び立体角という量は,次元1の組立量とみなせることを意味する。したがって,
ラジアン及びステラジアンの単位は次元1に等しい。これらは省略してもよいし,又は種類が異なるが同
じ次元をもつ量を区別しやすくするために,組立単位の表現に用いてもよい。
0.4
この規格における数値の記述
記号“=”は“〜に完全に等しい”ことを,記号“≈”は“〜にほぼ等しい”ことを,また,記号“:=”
は“〜に定義上等しい”ことを表している。
注記 国際規格では“≈”を用いることになっているが,我が国では“≒”を使用してもよい。
実験的に決定された物理量の数値は,常に測定の不確かさを伴っている。この不確かさは,常に明示す
ることが望ましい。この規格では,不確かさの度合いを次の例のように表している。
例 l=2.347 82 (32) m
この例では,l=a (b) m,すなわち,括弧書きで示した不確かさbの数値は,長さlの数値aの最終(及
び最下位)桁に当てはまるものと仮定している。この表し方は,bがaの最終桁の標準不確かさ(標準偏
差の推定値)を表している場合に用いる。上に示した数値の例は,長さl(lをメートル単位で表す場合)
の最良の推定数値が2.347 82であること,及び未知のlの値は,標準不確かさである0.000 32 mとl値の
確率分布によって決まる確率とによって,(2.347 82−0.000 32) mと (2.347 82+0.000 32) mとの間にあると
信じられることを意味すると解してよい。
0.5
特記事項
0.5.1
量
ISO 80000-10における基礎物理定数は,
“2006年CODATA推奨値”に記載された基礎物理定数から引用。
注記 JIS Z 8000-10における基礎物理定数は,“2010年CODATA推奨値”に記載された基礎物理定数
から引用。CODATAウェブサイト参照:http://physics.nist.gov/cuu/constants/index.html
3
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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0.5.2
特別な単位
科学者には,仕事上特定の科学的利点がある場合,非SI単位を使用することができる。このために,原
子物理学及び核物理学に関連する非SI単位を附属書Aに記載する。
1
適用範囲
この規格は,原子物理学及び核物理学の量及び単位に関する,名称,記号及び定義について規定する。
また,この規格は,必要に応じて換算率についても規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 80000-10:2009,Quantities and units−Part 10: Atomic and nuclear physics(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”こ
とを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 8000-3 量及び単位−第3部:空間及び時間
注記 対応国際規格:ISO 80000-3,Quantities and units−Part 3: Space and time(IDT)
JIS Z 8000-4 量及び単位−第4部:力学
注記 対応国際規格:ISO 80000-4,Quantities and units−Part 4: Mechanics(IDT)
JIS Z 8000-5 量及び単位−第5部:熱力学
注記 対応国際規格:ISO 80000-5,Quantities and units−Part 5: Thermodynamics(IDT)
JIS Z 8000-6 量及び単位−第6部:電磁気
注記 対応国際規格:IEC 80000-6,Quantities and units−Part 6: Electromagnetism(IDT)
JIS Z 8000-7 量及び単位−第7部:光
注記 対応国際規格:ISO 80000-7,Quantities and units−Part 7: Light(IDT)
JIS Z 8000-9 量及び単位−第9部:物理化学及び分子物理学
注記 対応国際規格:ISO 80000-9,Quantities and units−Part 9: Physical chemistry and molecular
physics(IDT)
3
名称,記号及び定義
原子物理学及び核物理学の量及び単位に関する,名称,記号及び定義は,次による。
4
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-1.1
(9-1)
原子番号
(atomic number),
陽子数
(proton number)
Z
原子核中の陽子の数。
一つの核種は,特定の数の陽子
及び中性子をもつ。
同一のZの値をもち,異なるN
の値をもつ核種を同位体(同位
元素)という。
元素の周期表の原子番号は,陽
子数と同一である。
原子番号は電気素量(番号
10-5.1)の単位における,核の電
荷と等しい。
10-1.2
(9-2)
中性子数
(neutron number)
N
原子核中の中性子の数。
同一のNの値をもち,異なるZ
の値をもつ核種を同中性子体
(同調体)という。
N−Zを中性子過剰数という。
10-1.3
(9-3)
核子数
(nucleon number,
mass number)
A
原子核中の核子の数。
A=Z+N
同一のAの値をもつ核種を同重
体(同重元素,同重核)という。
10-2
(9-5.1)
(9-5.2)
(9-5.3)
静止質量
(rest mass),
固有質量
(proper mass)
m (X),
mX
粒子Xの静止状態の質量[JIS Z
8000-4(番号4-1)]
それぞれ,
電子について,
me=
9.109 382 91 (40)×10−31 kg:
陽子について
mp=
1.672 621 777 (74)×10−27 kg:
中性子について
mn=
1.674 927 351 (74)×10−27 kg
[2010年CODATA推奨値]
静止質量はm0と表記する場合
がある。
10-3
(−)
静止エネルギー
(rest energy)
E0
粒子1個について,次の式で定義さ
れる量。
2
0
0
0
c
m
E=
ここに, m0: その粒子の静止質量
(番号10-2)
c0: 真空中の光の速さ
[JIS Z 8000-7(番号
7-4.1)]
5
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-1.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-2.a
キログラム
(kilogram)
kg
10-2.b
ダルトン (dalton),
統一原子質量単位
(unified atomic mass
unit)
Da
u
1ダルトンは,静止基底状態にある
炭素12自由原子の1/12の質量に等
しい。
1 Da=1 u=
1.660 538 921 (73)×10−27 kg
[2010年CODATA推奨値]
10-3.a
ジュール (joule)
J
6
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-4.1
(9-4.1)
原子質量
(atomic mass),
核質量
(nuclidic mass)
m (X),
ma
基底状態にある中性原子又は核種
Xの静止質量[JIS Z 8000-4(番号
4-1)]
u
a
m
mを核種の相対質量という。
10-4.2
(9-4.2)
統一原子質量定数
(unified atomic mass
constant)
mu
静止基底状態における12Cの中性原
子の1/12の質量[JIS Z 8000-4(番
号4-1)]
mu=1.660 538 921 (73)×10−27 kg
[2010年CODATA推奨値]
10-5.1
(9-6)
電気素量
(elementary charge)
e
電子電荷[JIS Z 8000-6(番号6-2)]
の絶対値
e=1.602 176 565 (35)×10−19 C
[2010年CODATA推奨値]
10-5.2
(−)
電荷数
(charge number),
イオン化数
(ionization number)
c
粒子について,電気素量(番号
10-5.1)で除された電荷[JIS Z
8000-6(番号6-2)]
電荷数がゼロに等しければ,粒
子は電気的に中性であると言わ
れている。
粒子の電荷数は,正,負又はゼ
ロであり得る。粒子の電荷は,
その粒子の記号に上付き添字と
して提示できる。例えば,
H+,He++,Al3+,Cl−,S−−,
N3−のように表記する。
10-6.1
(9-7)
プランク定数
(Planck constant)
h
作用[JIS Z 8000-4(番号4-37)]の
基本的な量子
h=6.626 069 57 (29)×10−34 Js
[2010年CODATA推奨値]
周波数fの調和振動のエネルギ
ーEは,ΔE=hf=ћωの倍数の値
だけで変化し得る。
10-6.2
(−)
換算プランク定数
(reduced Planck
constant)
ћ
π
2
h
=
η
ここに,h:プランク定数(番号
10-6.1)
ћ=1.054 571 726 (47)×10−34 Js
[2010年CODATA推奨値]
ћは,エイチ・バー又はディラ
ック定数と呼ばれることもあ
る。
7
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-4.a
キログラム
(kilogram)
kg
10-4.b
ダルトン
(dalton),
統一原子質量単位
(unified atomic mass
unit)
Da
u
1ダルトンは静止基底状態にある炭
素12自由原子の1/12の質量に等し
い。
1 Da=1 u=
1.660 538 921 (73)×10−27 kg
[2010年CODATA推奨値]
10-5.a
クーロン
(coulomb)
C
10-6.a
ジュール秒
(joule second)
J・s
8
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-7
(9-8)
ボーア半径
(Bohr radius)
a0
2
e
2
0
0
π
4
e
m
ε
a
η
=
ここに, ε0: 電気定数[JIS Z
8000-6(番号6-14.1)]
ћ: 換算プランク定数
(番号10-6.2)
me: 静止質量(番号10-2)
e: 電気素量(番号
10-5.1)
a0=0.529 177 210 92 (17)×10−10
m
[2010年CODATA推奨値]
原子のボーアモデルで基底状態
のH-原子の軌道の半径はa0で
ある。
10-8
(9-9)
リュードベリ定数
(Rydberg constant)
R∞
0
0
0
2
π
8
hc
a
e
R
ε
=
∞
ここに, e: 電気素量(番号
10-5.1)
ɛ0: 電気定数[JIS Z
8000-6(番号6-14.1)]
a0: ボーア半径(番号
10-7)
h: プランク定数(番号
10-6.1)
c0: 真空中の光の速さ
[JIS Z 8000-7(番号
7-4.1)]
R∞=10 973 731.568 539 (55) m−1
[2010年CODATA推奨値]
量Ry=R∞・hc0をリュードベリエ
ネルギーと呼ぶ。
10-9
(9-10)
ハートリーエネル
ギー
(Hartree energy)
EH,Eh
0
0
2
H
π
4
a
e
E
ε
=
ここに, e: 電気素量(番号
10-5.1)
ε0: 電気定数[JIS Z
8000-6(番号6-14.1)]
a0: ボーア半径(番号
10-7)
EH=4.359 744 34 (19)×10−18 J
[2010年CODATA推奨値]
基底状態の水素原子の電子のエ
ネルギーは,−EHである。
EH=2 R∞・hc0
9
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-7.a
メートル (metre)
m
オングストローム(Å),
1 Å :=10−10 m
10-8.a
毎メートル
(metre to the power
minus one)
m−1
10-9.a
ジュール (joule)
J
10
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-10.1
(9-11.1)
磁気双極子モーメ
ント
(magnetic dipole
moment)
μ
粒子又は核で,磁束密度B[JIS Z
8000-6(番号6-21)]の外部磁界で
エネルギーW[JIS Z 8000-5(番号
5-20.1)]に増分
ΔW=−μ・B
を引き起こすベクトル量。
原子又は核で,このエネルギー
は,量子化され,次の式で表さ
れる。
W=gμx MB
ここに, g: 適切なg-因子(番
号10-15.1又は番
号10-15.2)
μx: 多くはボーア磁子
(番号10-10.2)又
は核磁子(番号
10-10.3)
M: 磁気量子数(番号
10-14.4)
B: 磁束密度の大きさ
JIS Z 8000-6(番号6-21)参照。
10-10.2
(9-11.2)
ボーア磁子
(Bohr magneton)
B
μ
e
B
2m
eη
=
μ
ここに, e: 電気素量(番号10-5.1)
me: 静止質量(番号10-2)
=
B
μ
927.400 968 (20)×10−26 J T−1
[2010年CODATA推奨値]
B
μは,その軌道運動による軌道
量子数l=1(番号10-14.3)の状
態の電子の磁気モーメント。
10-10.3
(9-11.3)
核磁子
(nuclear magneton)
N
μ
p
N
2m
eη
=
μ
ここに, e: 電気素量(番号10-5.1)
mp: 陽子の静止質量(番号
10-2)
=
N
μ
5.050 783 53 (11)×10−27 JT−1
[2010年CODATA推奨値]
下付き添字Nは,核を表す。中
性子磁気モーメントには下付き
添字nを使用する。
陽子又は中性子の磁気モーメン
トは,それぞれのg-因子(番号
10-15.2)によって,量が異なる。
10-11
(−)
スピン (spin)
s
粒子又は粒子系の内部角運動量
[JIS Z 8000-4(番号4-12)]
スピンは,付加的なベクトル量。
11
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-10.a
アンペア平方メー
トル
(ampere square
metre)
A・m2
10-11.a
キログラム平方メ
ートル毎秒
(kilogram metre
squared per second)
kg・m2・s−1
12
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-12
(−)
全角運動量
(total angular
momentum)
J
角運動量Λ[JIS Z 8000-4(番号
4-12)]とスピンs(番号10-11)と
で構成された微少量子系のベクト
ル量。
原子物理学及び核物理学では,
軌道角運動量は通常,Λの代わ
りにl又はLを用いる。
J 2=ћ2 j ( j+1) が成立するよう
に,Jの大きさが量子化される。
ここに, j:全角運動量量子数
(番号10-14.6)
全角運動量及び磁気双極子モー
メントは,同じ向きである。
jは,全角運動量Jの大きさでは
なく,ћによって分割された量
子化軸へのその投影像である。
10-13.1
(9-12)
電子の磁気回転比
(gyromagnetic ratio
for electron,
magnetogyric ratio
for electron),
電子の磁気回転係
数
(gyromagnetic
coefficient for
electron)
γe
μ=γe J
ここに, μ: 磁気双極子モーメン
ト(番号10-10.1)
J: 全角運動量(番号
10-12)
10-13.2
(9-12)
磁気回転比
(gyromagnetic ratio,
magnetogyric ratio),
磁気回転係数
(gyromagnetic
coefficient)
γ
μ=γJ
ここに, μ: 磁気双極子モーメン
ト(番号10-10.1)
J: 全角運動量(番号
10-12)
系統的には“磁気回転係数”で
あるが,“磁気回転比”はより一
般的である。
陽子の磁気回転比は,γpと表記
する。
γp=
2.675 222 005 (63)×108 s−1 T−1
[2010年CODATA推奨値]
13
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-12.a
ジュール秒
(joule second)
J・s
10-13.a
アンペア平方メー
トル毎ジュール毎
秒
(ampere square
metre per joule
second)
A・m2/(J・s)
1 A・m2/(J・s)=
1 A・s/kg=1 T−1・s−1
14
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-14.1
(−)
量子数
(quantum number)
n,l,m,
j,s,F
微少量子系の特定の状態を記述す
る数。
原子の結合エネルギー
E=E (n, m, j, s) を決定する電子
状態。通常,大文字L,M,J,S
は全体のシステムに使用され
る。
電子の空間確率分布は,|ψ|2によ
って与えられる。ψは,その波
動関数である。H-原子の電子の
非相対論近似において,
ψ (r, ϑ, φ)=Rnl (r)・
m
l
Y(ϑ, φ)
ここに, r, ϑ, φ: 核及び特定の
(量子化)軸の
球座標[ISO
80000-2(番号
2-16.3)]
Rnl (r): 動径分布関数
m
l
Y(ϑ, φ): 球面調和関数
1電子原子のボーアモデルで
は,n,l及びmは核の周辺の電
子の可能な軌道を決定する。
10-14.2
(9-23)
主量子数
(principal quantum
number)
n
1電子波動関数の半径方向ノードの
n−1数に関連する原子量子数。
ボーアモデル,n=1, 2, …∞は電
子の結合エネルギー及び球面軌
道の半径[だ(楕)円軌道の主
軸]に関連する。
H-原子の電子の軌道の準古典的
な半径は,rn=a0 n2
結合エネルギーは,
En=EH/n2
10-14.3
(9-18)
軌道の角運動量量
子数
(orbital angular
momentum quantum
number)
l,li,L
1電子状態の軌道角運動量lに関連
する原子量子数。
l 2=ћ2 l (l+1),l=0, 1, …, n−1
liは,特定の粒子iに関連し,L
は,全体のシステムに用いる。
l=0の状態のH-原子の中の電子
は,球面雲として現れる。ボー
アモデルでは,それは軌道の形
状に関連する。
15
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-14.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
16
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-14.4
(9-24)
磁気量子数
(magnetic quantum
number)
m,mi,M
軌道,全角運動量又はスピン角運動
量のlz,jz,又はszのz成分に関連
する原子量子数。
lz=mlћ,jz=mjћ,及びsz=msћ
は,それぞれ,−l〜l,−j〜j,
及び±1/2の値を取る。
miは一つの粒子iに使用し,M
は系全体に使用する。
下付き添え字l,s,jなどは,該
当する角運動量を示すために加
えることができる。
10-14.5
(9-19)
スピン量子数
(spin quantum
number)
s
スピン角運動量sに関連する,粒子
の特性量子数:
s2=ћ2 s (s+1)
フェルミ粒子は,s=1/2又はs
=3/2の値をとる。
観測されたボソン粒子は,s=0
又はs=1である。
原子の全量子数Sは,電子のス
ピンの合計である全スピン(角
運動量)に適用する。
スピン量子数の取り得る値は,
偶数Zに対し,S=0, 1, 2, …
奇数Zに対し,S=
Κ
,23
,21
の
値である。
10-14.6
(9-20)
全角運動量量子数
(total angular
momentum quantum
number)
j,ji,J
全角運動量J(番号10-12)の大き
さを記述する,原子の量子数。
jiは一つの粒子iに使用し,Jは
系全体又は全体系に使用する。
量子数は,対応する量とは区別
しなければならない。例えば,
全角運動量量子数Jは,全角運
動量J(番号10-12)とは異なる。
jの二つの値は,l±1/2である。
(番号10-14.3参照)
ここで,全角運動量は対象とす
る体系全体(例えば原子)の角
運動量を意味しているわけでは
ない。
10-14.7
(9-21)
核スピン量子数
(nuclear spin
quantum number)
I
状態にかかわらず核の全角運動量J
に関連する量子数,通常核スピンと
呼ばれる:
I 2=ћ2 I (I+1)
核スピンは,核子(陽子及び中
性子)のスピンとそれらの(軌
道)運動とで構成される。
通常,核スピン量子数の上限は
ない。それは,偶数Aに対し,
I=0, 1, 2, …
奇数Aに対し,I=
Κ
2
5,23
,21
の
値をとる。
核物理学及び粒子物理学では,J
がよく使用される。
17
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-14.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
18
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-14.8
(9-22)
超微細構造量子数
(hyperfine structure
quantum number)
F
軌道電子によって生じた磁界で与
えられた量子化軸に関して,核スピ
ンの傾きを記述する原子の量子数。
Fの間隔は |I−J|,|I−J|+1, …, I
+Jとなる。
これは,電子と核磁気モーメン
トとの相互作用による原子エネ
ルギーレベルの超微細分割に関
連する。
10-15.1
(9-13.1)
原子又は電子のラ
ンデのg-因子
(Landé factor of
atom or electron),
原子又は電子のg-
因子
(g-factor of atom or
electron)
g
B
μ
μ
J
g=
ここに, μ: 磁気双極子モーメン
ト(番号10-10.1)の
大きさ
J: 全角運動量量子数
(番号10-14.6)
B
μ: ボーア磁子(番号
10-10.2)
これらの量はg-値とも呼ばれ
る。
ランデ要素は,次の式によって
計算できる。
g (L, S, J)=1+(gs−1)・
(
)
(
)
(
)
(
)1
2
1
1
1
+
+
−
+
+
+
J
J
L
L
S
S
J
J
ここに,gsは,geの絶対値で
ge=−2.002 319 304 361 53 (53)
は電子のg-因子
[2010年CODATA推奨値]
10-15.2
(9-13.2)
核又は核粒子のg-
因子
(g-factor of nucleus
or nuclear particle)
g
N
μ
μ
I
g=
ここに, μ: 磁気双極子モーメン
ト(番号10-10.1)の
大きさ
I: 核スピン量子数(番
号10-14.7)
N
μ: 核磁子(番号
10-10.3)
核又は核子のg-因子は測定結果
から得ることができる。
例えば,陽子のg-因子は,
gp=5.585 694 713 (46)
[2010年CODATA推奨値]
19
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び分子物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-14.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-15.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
20
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-16.1
(9-14.1)
ラーモア角周波数
(Larmor angular
frequency)
ωL
B
m
e
e
L
2
=
ω
ここに, e: 電気素量(番号10-5.1)
me: 電子の静止質量(番号
10-2)
B: 磁束密度[JIS Z
8000-6(番号6-21)]
量
νL=ωL/2π
は,ラーモア周波数という。
10-16.2
(9-14.2)
核の歳差角周波数
(nuclear precession
angular frequency)
ωN
ωN=γ B
ここに, γ: 磁気回転係数(番号
10-13.2)
B: 磁束密度[JIS Z
8000-6(番号6-21)]
10-17
(9-15)
サイクロトロン角
周波数
(cyclotron angular
frequency)
ωc
B
m
q
=
c
ω
ここに, q: 粒子の電荷[JIS Z
8000-6(番号6-2)]
m: 質量[JIS Z 8000-4(番
号4-1)]
B: 磁束密度[JIS Z
8000-6(番号6-21)]
の大きさ
量
νc=ωc/2π
は,サイクロトロン周波数とい
う。
10-18
(9-16)
核四極子モーメン
ト
(nuclear quadrupole
moment)
Q
場の方向(z)における核スピンを
伴った,量子状態の量,
Q=(1/e) ∫(3z2−r2) ρ (x, y, z) dV
ここに, ρ (x, y, z): 核の電荷密度
[JIS Z 8000-6
(番号6-3)]
e: 電気素量(番号
10-5.1)
r2=x2+y2+z2
dV: 体積素分
dx dy dz
電気核四重極モーメントは,eQ
この値は,四極子モーメントの
対角化テンソルのz-成分と等し
い。
21
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-16.a
ラジアン毎秒
(radian per second)
rad/s
0.3.2参照。
10-16.b
毎秒
(second to the power
minus one)
s−1
10-17.a
ラジアン毎秒
(radian per second)
rad/s
10-17.b
毎秒
(second to the power
minus one)
s−1
10-18.a
平方メートル
(metre squared)
m2
22
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-19
(9-17)
核半径
(nuclear radius)
R
物体としての核が占める球の協定
半径。
この量は,厳密なものではない。
基底状態の核について,概数は
R=r0 A1/3
ここに, r0: ≈1.2×10−15 m
A: 核子数
10-20
(9-25)
微細構造定数
(fine-structure
constant)
α
0
0
2
π
4
c
e
η
ε
α=
ここに, e: 電気素数(番号10-5.1)
ɛ0: 電気定数[JIS Z
8000-6(番号6-14.1)]
ћ: 換算プランク定数(番
号10-6.2)
c0: 真空中の光の速さ
[JIS Z 8000-7(番号
7-4.1)]
α=7.297 352 569 8 (24)×10−3
α−1=137.035 999 074 (44)
[2010年CODATA推奨値]
これは,歴史的に,相対論的効
果による原子エネルギーの変化
及び分裂に関連する。
10-21
(9-26)
電子の半径
(electron radius)
re
2
0
e
0
2
e
π
4
c
m
e
r
ε
=
ここに, e: 電気素数(番号
10-5.1)
ε0: 電気定数[JIS Z
8000-6(番号6-14.1)]
me: 電子の静止質量(番
号10-2)
c0: 真空中の光の速さ
[JIS Z 8000-7(番号
7-4.1)]
この量は,あたかも電子の全静
止エネルギー(番号10-3)
2
0
ec
m
E=
が電磁気のエネルギー
に由来するかのように,半径re
の球内に分布する電荷の静電エ
ネルギーEを対応させたもので
ある。
re=2.817 940 3267 (27)×10−15 m
[2010年CODATA推奨値]
10-22
(9-27)
コンプトン波長
(Compton
wavelength)
λC
0
C
mc
h
=
λ
ここに, h: プランク定数(番号
10-6.1)
m: 粒子の静止質量(番
号10-2)
c0: 真空中の光の速さ
[JIS Z 8000-7(番号
7-4.1)]
自由電子から散乱する電磁放射
(コンプトン散乱)の波長は,
入射波長よりも大きく,その差
の最大値は2λC
23
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-19.a
メートル (metre)
m
通常,核半径はフェムトメート
ルで表す。
1 fm=10−15 m
10-20.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-21.a
メートル (metre)
m
10-22.a
メートル (metre)
m
24
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-23.1
(9-28.1)
質量過剰
(mass excess)
Δ
Δ=ma−Amu
ここに, ma: 原子の静止質量(番
号10-2)
A: 核子数(番号10-1.3)
mu: 統一原子質量定数
(番号10-4.2)
10-23.2
(9-28.2)
質量欠損
(mass defect)
B
B=Zm (1H)+Nmn−ma
ここに,
Z: 原子の陽子数(番
号10-1.1)
m (1H): 1Hの原子質量(番
号10-4.1)
N: 中性子数(番号
10-1.2)
mn: 中性子の静止質
量(番号10-2)
ma: 原子の静止質量
(番号10-2)
原子内電子の結合エネルギーを
無視すれば,
2
0
Bcは,原子核の
結合エネルギーに等しい。
10-24.1
(9-29.1)
相対質量過剰
(relative mass
excess)
Δr
∆r=∆/mu
ここに, Δ: 質量過剰(番号
10-23.1)
mu: 統一原子質量定数
(番号10-4.2)
10-24.2
(9-29.2)
相対質量欠陥
(relative mass
defect)
Br
Br=B/mu
ここに, B: 質量欠損(番号
10-23.2)
mu: 統一原子質量定数
(番号10-4.2)
10-25.1
(9-30.1)
パッキング・フラ
クション,相対質
量偏差
(packing fraction)
f
f=Δr/A
ここに, Δr: 相対質量過剰(番号
10-24.1)
A: 核子数(番号10-1.3)
10-25.2
(9-30.2)
バインディング・
フラクション
(binding fraction)
b
b=Br/A
ここに, Br: 相対質量欠陥(番号
10-24.2)
A: 核子数(番号10-1.3)
25
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-23.a
キログラム
(kilogram)
kg
10-23.b
ダルトン
(dalton),
統一原子質量単位
(unified atomic
mass unit)
Da
u
番号10-2.b参照。
1 Da=1 u=
1.660 538 921 (73)×10−27 kg
[2010年CODATA推奨値]
通常,量10-23.1及び10-23.2は,
ダルトンで表す。
10-24.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-25.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
26
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-26
(9-36)
壊変定数
(decay constant),
崩壊係数
(disintegration
constant)
λ
N個の原子又は核からなる一つの
系において,これらの原子又は核の
自然放射によって無限小の時間内
に引き起こされる相対変化d N/Nを
その継続時間dt[JIS Z 8000-3(番
号3-7)]によって除したもの。
t
N
Nd
d
1
−
=
λ
指数関数的壊変において,この
数値は,一定である。
複数の壊変経路がある場合,
∑
=
aλ
λ
となる。
ここに, λa: 特定された経路
の壊変定数
総和(Σ): 全ての最終状態
への経路につい
て行われる。
さらに,平均寿命(番号10-27)
と次の関係が成り立つ。
τ
λ1
=
10-27
(9-31)
平均寿命
(mean lifetime,
mean life)
τ
λ
τ1
=
ここに,λ:壊変定数(番号10-26)
平均寿命は,不安定な粒子又は
励起粒子の寿命(全体の初期粒
子数が1/eに減衰するのに要す
る時間)の期待値。
10-28
(9-32)
準位幅
(level width)
Γ
τη
=
Γ
ここに, ћ: 換算プランク定数(番
号10-6.2)
τ: 対象とする励起準位
の平均寿命(番号
10-27)
準位幅は,ハイゼンベルグの不
確定性原理による,システム中
の励起状態又は不安定粒子のエ
ネルギーの不確かさである。
10-29
(9-33)
(10-49)
放射能
(activity)
A
放射性核種試料において,特定の状
態にある核の数Nが無限小の時間
に自然遷移に基づいて変化すると
き,その変化分dNをその間の時間
dt[JIS Z 8000-3(番号3-7)]で除
した量。すなわち,
t
N
A
d
d
−
=
指数関数的壊変の場合,A=λN
ここに, λ:壊変定数(番号
10-26)
10-30
(9-34)
比放射能
(specific activity),
質量放射能
(massic activity)
a
m
A
a=
ここに, A: 試料の放射能(番号
10-29)
m: その質量[JIS Z
8000-4(番号4-1)]
10-31の説明を参照。
27
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-26.a
毎秒
(second to the
power minus one)
s−1
10-27.a
秒 (second)
s
10-28.a
ジュール (joule)
J
10-28.b
電子ボルト
(electronvolt)
eV
真空中1 Vの電位差を通り抜ける
ときに電子が得る運動エネルギー。
1 eV=
1.602 176 565 (35)×10−19 J
[2010年CODATA推奨値]
10-29.a
ベクレル
(becquerel)
Bq
1 Bq := 1 s−1
ベクレルは,放射能のSI単位と
して与えた秒のマイナス1乗を
意味する単位の固有の名称。
キュリー(Ci),
1 Ci := 3.7×1010 Bq
10-30.a
ベクレル毎キログ
ラム
(becquerel per
kilogram)
Bq/kg
28
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-31
(9-35)
放射能密度
(activity density),
体積放射能
(volumic activity),
放射能濃度
(activity
concentration)
cA
V
A
c=
A
ここに, A: 試料の放射能(番号
10-29)
V: その体積[JIS Z
8000-3(番号3-4)]
計量法では,“10-30”と“10-31”
とを併せて“放射能濃度”と呼
ぶ。
10-32
(−)
放射能面密度
(surface activity
density),
表面放射能
(areic activity)
as
as=A/S
ここに, S: 試料の表面の全面積
[JIS Z 8000-3(番号
3-3)]
A: その放射能(番号
10-29)
通常,この値は平面線源用に定
義する。そこでは,Sは線源の
片側の半面の表面の総面積に対
応する。
10-33
(9-37)
半減期
(half-life)
T1/2
原子又は核の1/2が壊変するのに要
する平均継続時間[JIS Z 8000-3(番
号3-7)]。
指数関数的壊変の場合,
T1/2=(ln2)/λ
10-34
(9-38)
アルファ壊変エネ
ルギー
(alpha disintegration
energy)
Qα
壊変前の静止した原子核を基準と
した座標系で,壊変過程で生成され
るα粒子の運動エネルギー[JIS Z
8000-4(番号4-27.3)]と生成される
原子の反跳エネルギー[JIS Z
8000-5(番号5-20.1)]との和。
基底状態のα壊変エネルギー
Qα, 0は,娘核種生成に従って起
こる,あらゆる核遷移エネルギ
ーを含む。
10-35
(9-39)
最大ベータエネル
ギー
(maximum beta-
particle energy)
Eβ
β壊変過程におけるエネルギースペ
クトルの最大エネルギー[JIS Z
8000-5(番号5-20.1)]。
29
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-31.a
ベクレル毎立方メ
ートル
(becquerel per
cubicmetre)
Bq/m3
10-32.a
ベクレル毎平方メ
ートル
(becquerel per
square metre)
Bq/m2
10-33.a
秒 (second)
s
10-34.a
ジュール (joule)
J
10-34.b
電子ボルト
(electronvolt)
eV
10-28.b参照。
1 eV=
1.602 176 565 (35)×10−19 J
[2010年CODATA推奨値]
10-35.a
ジュール (joule)
J
10-35.b
電子ボルト
(electronvolt)
eV
10-28.b参照。
1 eV=
1.602 176 565 (35)×10−19 J
[2010年CODATA推奨値]
30
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-36
(9-40)
ベータ壊変エネル
ギー
(beta disintegration
energy)
Qβ
壊変前の静止した原子核を基準と
した座標系で,壊変過程で生成され
るβ粒子の最大エネルギー(番号
10-35)と生成される原子の反跳エ
ネルギー[JIS Z 8000-5(番号
5-20.1)]との和。
陽電子放出の場合,電子対生成
に必要なエネルギーを“定義”
で示された和に加えなければな
らない。
基底状態のβ壊変エネルギー
Qβ, 0は,娘核種生成に従って起
こる,あらゆる核遷移エネルギ
ーを含む。
10-37
(9-41)
内部転換係数
(internal conversion
factor)
α
放射性原子のある遷移における,内
部転換電子の数とガンマ線の数と
の比。
量α/(α+1) も同様に使用され
る。これは,内部転換率とも呼
ばれる。
電子殻K, L…それぞれの部分内
部転換係数は,αK, αL, …のよう
に表記される。
αK/αLは,KのLに対する内部
転換比という。
10-38.1
(10-1)
Q値
(reaction energy)
Q
核反応において,生成物の運動エネ
ルギー[JIS Z 8000-4(番号4-27.3)]
と放射エネルギー[JIS Z 8000-5(番
号5-20.1)]との和から反応物のそ
れらを引いたもの。
発熱核反応では,Q>0
吸熱核反応では,Q<0
10-38.2
(10-2)
共鳴エネルギー
(resonance energy)
Er,Eres
標的核の座標系における,入射粒子
の運動エネルギー[JIS Z 8000-4(番
号4-27.3)]で,共鳴核反応を起こ
すエネルギー。
31
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-36.a
ジュール (joule)
J
10-36.b
電子ボルト
(electronvolt)
eV
10-28.b参照。
1 eV=
1.602 176 565 (35)×10−19 J
[2010年CODATA推奨値]
10-37.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-38.a
ジュール (joule)
J
10-38.b
電子ボルト
(electronvolt)
eV
10-28.b参照。
1 eV=
1.602 176 565 (35)×10−19 J
[2010年CODATA推奨値]
32
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-39.1
(10-3.1)
断面積
(cross-section)
σ
標的となる一つの特定の粒子,及び
一つの特定の反応又は過程におい
て,ある特定の種類とエネルギーの
複数の入射荷電又は非荷電粒子と
が引き起こした発生数の平均値を
入射粒子フルエンス(番号10-44)
で除した量。
過程の種類は,下付き添字で指
定する。例えば,吸収断面積σa,
散乱断面積σs,核分裂断面積σf
のように表記する。
10-39.2
(10-3.2)
全断面積
(total cross-section)
σtot,σT
特定の種類及びエネルギー[JIS Z
8000-5(番号5-20.1)]をもつ一つの
粒子と一つの標的粒子との間の
様々な反応又は過程に関する断面
積(番号10-39.1)全ての和。
単一方向の細い線上の入射粒子
束の場合,その入射束から入射
粒子が除去される実効断面積で
ある。
10-53の説明を参照。
33
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-39.a
平方メートル
(square metre)
m2
バーン(b),
1 b := 10−28 m2
34
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-40
(10-4)
放出方位断面積
(angular
cross-section)
σΩ
ある円すい(錐)方向に粒子を放出
又は散乱する場合,その断面積をこ
の円すい(錐)の立体角dΩ[JIS Z
8000-3(番号3-6)]で除したもの。
∫
=
Ω
Ωd
σ
σ
ここで述べる断面積は下付き添
字で区別する。入射又は放出粒
子に関する情報は,括弧内に示
す。例えばσΩ, E (nE0, pEϑ) 又は,
σΩ, E (nE0, p) 又はσΩ, E (n, p) の
ように表記する。
入射してくるエネルギーE0をも
った中性子が散乱角ϑ方向での
立体角素分dΩ内にエネルギー
の間隔 (E, E+dE) をもつ陽子
の放出を引き起こすとき,その
過程についての断面積は,
σΩ, E (nE0, pEϑ) dΩdEである。
入射又は放出粒子を示すために
は,下付き添字を用いることが
ある。この場合,角度又はスペ
クトルの性質を示す下付き添字
Ω又はEを上付き添字で示して
もよい。例えば,
()
0
,
p
n,
E
E
Ω
σ
又は
E
Ω,
p
n,
σ
のように表
記する。
ただし,下付き添字Ω又はEが
断面積の記号から全て省略され
た場合には,断面積の放出方位
又は放出エネルギーについての
特徴を表す記号の表記は,放出
粒子に対する括弧の中に示され
た変数ϑ又はEに起こる事象に
限定することと理解する。例え
ば,σn, p (E0, Eϑ) 又はσn, p (Eϑ)
のように表記する。
そのときは,これらの変数を省
略してはならない。
“分光”という用語の代わりに,
“エネルギー分布”という用語
を使用することができる(ICRU
報告60,1998,参照)。
10-41
(10-5)
放出エネルギー断
面積
(spectral
cross-section)
σE
放出又は散乱された粒子のエネル
ギー[JIS Z 8000-5(番号5-20.1)]
がそのエネルギー区間の中にある
ような過程の断面積(番号10-39.1)
を,この区分の範囲dEで除したも
の。
∫
=
E
Ed
σ
σ
10-42
(10-6)
放出エネルギー方
位断面積
(spectral angular
cross-section)
σΩ, E
あるエネルギー[JIS Z 8000-5(番
号5-20.1)]Eをもって円すい(錐)
方向に粒子を放出又は散乱させる
断面積(番号10-39.1)を,このエ
ネルギー区間の範囲dE及び立体角
dΩ[JIS Z 8000-3(番号3-6)]で除
したもの。
∫∫
=
E
Ω
E
Ω
d
d
,
σ
σ
35
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-40.a
平方メートル毎ス
テラジアン
(square metre per
steradian)
m2/sr
10-41.a
平方メートル毎ジ
ュール
(square metre per
joule)
m2/J
10-42.a
平方メートル毎ス
テラジアン毎ジュ
ール
(square metre per
steradian joule)
m2/(sr・J)
36
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-43.1
(10-7.1)
体積断面積
(volumic
cross-section),
マクロ断面積
(macroscopic
cross-section)
Σ
与えられた3次元空間にある全て
の原子又はその他の対象によって
生じる特定の反応又は過程の断面
積(番号10-39.1)の和を,その体
積[JIS Z 8000-3(番号3-4)]で除
した量。
Σ=n1σ1+...+nj σj+...
ここに, nj: 数密度
σj: タイプjの対象に
対する断面積
媒質の標的粒子が静止している
場合,
Σ=1/l
ここに,l:平均自由行程(番号
10-73)
番号10-50の説明を参照。
10-43.2
(10-7.2)
全体積断面積
(volumic total
cross-section),
全マクロ断面積
(macroscopic total
cross-section)
Σtot,ΣT
与えられた3次元空間にある全て
の原子又はその他の対象に対する
全断面積(番号10-39.2)の和を,
その体積[JIS Z 8000-3(番号3-4)]
で除したもの。
10-44
(10-8)
粒子フルエンス
(particle fluence)
Φ
空間の与えられた点で,それを含む
小さな球体へ入射する粒子の数dN
を,その(球体の)断面積dA[JIS
Z 8000-3(番号3-3)]で除したもの。
A
N
Φ
d
d
=
粒子という部分は,通常,それ
を特徴付ける名称で置き換え
る。例えば,陽子フルエンス。
平面線源については,その平面
から垂線方向に出る全ての粒子
数を全表面積で除して,平面線
源の単位表面を通り抜ける数と
する。
37
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-43.a
毎メートル
(metre to the power
minus one)
m−1
10-44.a
毎平方メートル
(metre to the power
minus two)
m−2
38
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-45
(10-9)
粒子フルエンス率
(particle fluence
rate)
θ,Φ&
t
Φ
d
d
=
θ
ここに,dΦ:継続時間dt[JIS Z
8000-3(番号3-7)]
の無限小継続時間区
間内に入射した粒子
フルエンス(番号
10-44)
粒子という部分は,通常,それ
を特徴付ける名称で置き換え
る。例えば,陽子フルエンス率。
中性子について対応する量は,
中性子フルエンス率(neutron
fluence rate)である。中性子源
を取り囲んだ表面全てにわたっ
て中性子フルエンス率を積分し
た量の名称は,中性子放出率
(neutron emission rate),又は中
性子線源強度(neutron source
strength)である。その記号はB,
単位はs−1である。
記号θに代えてΦ&がよく用いら
れる。
速さv及びエネルギーEによる
分布関数,θv及びθEは,θと,
次の関係がある。
∫
∫
=
=
E
Ed
d
θ
θ
θ
v
v
また,この量は粒子束密度と呼
ばれたが,“密度”という言葉に
は多くの意味があるので,用語
“フルエンス率”が適切である。
速度vの粒子で構成された照射
野において,フルエンス率はnv
と等しい。ここに,nは粒子数
密度である。
番号10-44の説明を参照。
10-46
(−)
放射エネルギー
(radiant energy)
R
静止エネルギー(番号10-3)を除い
た,放射,転移,又は吸収粒子のエ
ネルギー[JIS Z 8000-5(番号
5-20.1)]。
エネルギーE(静止エネルギー
を除いた)の粒子に関しては,
放射エネルギーRは,NEの積に
等しい。
ここに,N:放射,転移又は吸
収粒子の数
エネルギーに関し,粒子数及び
放射エネルギーの分布NEとRE
の関係は,次の式で与えられる。
NE=dN/dE
RE=dR/dE
ここに, dN: エネルギーがE
とE+dEとの間
にある粒子数
dR: それらの放射エ
ネルギー
二つの分布の関係は,次の式に
よる。
RE=ENE
39
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-45.a
毎平方メートル毎
秒
(metre to the power
minus two per
second)
m−2・s−1
10-46.a
ジュール (joule)
J
40
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
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原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-47
(10-10)
エネルギーフルエ
ンス
(energy fluence)
Ψ
空間の与えられた点で,それを含む
小さな球体へ入射する,粒子の静止
エネルギーを除いた,全ての放射エ
ネルギーdR(番号10-46)の総和を,
その球体の断面積dA[JIS Z 8000-3
(番号3-3)]で除したもの。
A
R
Ψ
d
d
=
10-48
(10-11)
エネルギーフルエ
ンス率
(energy fluence
rate)
ψ
t
Ψ
d
d
=
ψ
ここに,dΨ:継続時間dt[JIS Z
8000-3(番号3-7)]
の微小の時間間隔の
間のエネルギー・フ
ルエンス(番号
10-47)の増分
記号Ψ&は,ψの代わりによく用
いられる。
ψは,プサイの小文字である。
10-49
(10-12)
粒子流
(particle current)
J,(S)
ベクトル量。
任意の面を通過する量の垂直成分
の積分は,微小時間間隔内にその面
を通過する正味の粒子数Nを時間
dt[JIS Z 8000-3(番号3-7)]で除
したものに等しい。
∫
=
t
N
A
d
/
d
d
ne
J
ここに,endA:ベクトル面積[JIS Z
8000-3(番号3-3)]
の素分
通常,“粒子”という部分は,そ
れを特徴付ける名称で置き換え
る。例えば,陽子電流。
電流密度の記号Jと混同するお
それがある場合には,Sを用い
る方がよい。中性子流密度は,
一般に記号Jを用いる。速さ及
びエネルギーに関係した分布関
数Jv及びJEは,Jと次の関係に
ある。
∫
∫
=
=
E
Ed
d
J
J
J
v
v
41
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-47.a
ジュール毎平方メ
ートル
(joule per square
metre)
J/m2
10-48.a
ワット毎平方メー
トル
(watt per square
metre)
W/m2
10-49.a
毎平方メートル毎
秒
(metre to the power
minus two per
second)
m−2・s−1
42
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-50
(10-13)
線減弱係数
(線減衰係数)
(linear attenuation
coefficient)
µ,µl
x
J
Jd
d
1
−
=
μ
ここに,J:x軸方向に平行な粒子束
の粒子流(番号10-49)
µは,粒子束から粒子を取り去
るのに要する全マクロ断面積
Σtotに等しい。
10-51
(10-14)
質量減弱係数
(mass attenuation
coefficient)
µm
µm=µ/ρ
ここに, μ: 線減弱係数(番号
10-50)
ρ: 物体の密度[JIS Z
8000-4(番号4-2)]
10-52
(10-15)
モル減弱係数
(molar attenuation
coefficient)
µc
µc=µ/c
ここに, μ: 線減弱係数(番号
10-50)
c: 物体の物質量濃度
[JIS Z 8000-9(番号
9-13)]
10-53
(10-16)
原子減弱係数
(atomic attenuation
coefficient)
µa
µa=µ/n
ここに, μ: 線減弱係数(番号
10-50)
n: 物質中の原子数密度
[JIS Z 8000-9(番号
9-10.1)]
µは,粒子束から粒子を取り去
るのに要する全断面積σtotに等
しい。
番号10-39.2も参照。
10-54
(10-17)
半価層
(half-value
thickness)
d1/2
一方向ビームの粒子流密度が初期
値の2分の1に減弱する厚さ[JIS Z
8000-3(番号3-1.4)]
指数関数的減弱については,次
の式で表される。
d1/2=(ln 2)/µ
減衰,照射,空気カーマなど,
他の量の減弱についても半価層
を用いる。
43
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-50.a
毎メートル
(metre to the power
minus one)
m−1
10-51.a
メートル2乗毎キ
ログラム
(metre squared per
kilogram)
m2/kg
10-52.a
メートル2乗毎モ
ル
(metre squared per
mol)
m2/mol
10-53.a
メートル2乗
(metre squared)
m2
10-54.a
メートル (metre)
m
44
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-55
(10-18)
全線阻止能
(total linear
stopping power)
S,Sl
S=−dE/dx
ここに,−dE:長さdx[JIS Z 8000-3
(番号3-1.1)]の経路
素分に沿ったx方向
で減少したエネルギ
ー[JIS Z 8000-5(番
号5-20.1)]
阻止能ともいう。
電離作用及び放射による損失の
両方が含まれる。
基準物質の全線阻止能に対する
ある物質の全線阻止能の比を相
対線阻止能という。
番号10-88も参照。
10-56
(10-19)
全原子阻止能
(total atomic
stopping power)
Sa
Sa=S/n
ここに, S: 全線阻止能(番号
10-55)
n: 物質中の原子数密度
[JIS Z 8000-9(番号
9-10.1)]
10-57
(10-20)
全質量阻止能
(total mass stopping
power)
Sm
Sm=S/ρ
ここに, S: 全線阻止能(番号
10-55)
ρ: 試料の密度[JIS Z
8000-4(番号4-2)]
基準物質の質量阻止能に対する
ある物質の質量阻止能の比を相
対質量阻止能という。
10-58
(10-21)
平均線飛程
(mean linear range)
R,Rl
幾何学的に求められる平均飛程
[JIS Z 8000-3(番号3-1.1)]であ
り,与えられた特定の物質の特定の
条件下において,同じ初期エネルギ
ー[JIS Z 8000-5(番号5-20.1)]を
もつ粒子群がエネルギーを失い静
止する(又は一定のエネルギー以下
となる)までの平均直線移動距離。
10-59
(10-22)
平均質量飛程
(mean mass range)
Rρ,(Rm)
Rρ=Rρ
ここに, R: 平均線飛程(番号
10-58)
ρ: 試料の密度[JIS Z
8000-4(番号4-2)]
45
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-55.a
ジュール毎メート
ル
(joule per metre)
J/m
10-55.b
電子ボルト毎メー
トル
(electronvolt per
metre)
eV/m
1 eV/m=
1.602 176 565 (35)×10−19 J/m
[2010年CODATA推奨値]
10-56.a
ジュールメートル
2乗
(joule metre
squared)
J・m2
10-56.b
電子ボルトメート
ル2乗
(electronvolt metre
squared)
eV・m2
1 eV・m2=
1.602 176 565 (35)×10−19 J・m2
[2010年CODATA推奨値]
10-57.a
ジュールメートル
2乗毎キログラム
(joule metre quared
per kilogram)
J・m2/kg
10-57.b
電子ボルトメート
ル2乗毎キログラ
ム
(electronvolt metre
squared per
kilogram)
eV・m2/kg
1 eV・m2/kg=
1.602 176 565 (35)×10−19 J・m2/kg
[2010年CODATA推奨値]
10-58.a
メートル (metre)
m
10-59.a
キログラム毎メー
トル2乗
(kilogram per metre
squared)
kg/m2
46
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-60
(10-23)
線状電離
(linear ionization)
Nil
l
Q
e
Nl
d
d
1
i=
ここに, e: 電気素量
dQ: 電荷粒子によって,
長さdl[JIS Z 8000-3
(番号3-1.1)]の無限
小経路上に作り出
された陽イオンの
平均全電荷
二次電離性粒子などによる電離
も含まれる。
10-61
(10-24)
全電離
(total ionization)
Ni
一つの粒子について,電離性荷電粒
子がその全行程及び二次荷電粒子
の行程に沿って生成した全陽イオ
ンの全平均荷電量を電気素量eで除
したもの。
∫
=
l
N
N
ld
i
i
番号10-60の説明を参照。
10-62
(10-25)
W値
(average energy loss
per elementary
charge produced)
Wi
Wi=Ek/Ni
ここに, Ek: 電離性荷電粒子の初
期運動エネルギー
[JIS Z 8000-4(番号
4-27.3)]
Ni: その粒子の生成する
全電離(番号10-61)
通常,曖昧ではあるが,“イオン
対生成当たりの平均エネルギー
損失”の名称が使用される。場
合によっては,量Si/Niは,生成
されるイオン対当たりの平均エ
ネルギーとよく呼ばれるが,Wi
と混同してはならない。
ICRU Report 60では,形成され
たイオン対当たりのガス中で費
やされた平均エネルギーWは,
EをNで除した商。Nは,荷電
粒子の初期の運動エネルギーE
がガス中に完全に消散するとき
形成されたイオン対の平均数で
ある。したがって,W=E/N,こ
こに,イオン対の平均数Nは,
電子電荷で除された,全正負自
由電荷と等しい。
このWの定義から,制動放射又
はこの荷電粒子によって放射さ
れた制動放射又は他の二次放射
で作り出されたイオンは,Nに
含まれるということになる。
47
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-60.a
毎メートル
(metre to the power
minus one)
m−1
10-61.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-62.a
ジュール (joule)
J
10-62.b
電子ボルト
(electronvolt)
eV
10-28.b参照。
1 eV=
1.602 176 565 (35)×10−19 J
[2010年CODATA推奨値]
48
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-63
(10-26)
易動度
(mobility)
µ
媒質内の荷電粒子が電界によって
与えられる平均のドリフトの速さ
[JIS Z 8000-3(番号3-8.1)]を,
電界の強さ[JIS Z 8000-6(番号
6-10)]で除したもの。
10-64.1
(10-29)
粒子数密度
(particle number
density)
n
n=N/V
ここに,N:体積Vの3次元空間で
の粒子数
nは,粒子数密度を表す一般的
記号である。
速さ及びエネルギーに対する分
布関数nv及びnEとnとの関係
は,次の式となる。
∫
∫
=
=
E
n
n
n
Ed
dv
v
10-64.2
(10-27)
イオン数密度
(ion number
density),
イオン密度
(ion density)
n+,n−
n+=N+/V , n−=N−/V
ここに,N+, N−:体積V[JIS Z
8000-3(番号
3-4)]の3次元
空間で,それぞ
れ正負イオン
の数
通常,“粒子”という部分は,特
定の粒子の名称に置き換える。
例えば,中性子数密度。
10-65
(10-28)
再結合係数
(recombination
coefficient),
再結合因子
(recombination
factor)
α
再結合の法則における係数
−
+
−
+
=
−
=
−
n
n
t
n
t
n
α
d
d
d
d
ここに,n+, n−:それぞれ正と負の
イオンのイオン
数密度(番号
10-64.2)。無限小
の継続時間dt[JIS
Z 8000-3(番号
3-7)]の間に再結
合したイオン数
密度に適用され
る。
“因子”は,次元1の量に用い
るので,“再結合因子”という広
く使用された用語は正しくな
い。
10-66
(10-32)
拡散係数
(diffusion
coefficient),
粒子数密度に対す
る拡散係数
(diffusion
coefficient for
particle number
density)
D,Dn
x方向に対して,次の式で与えられ
る。
x
n
J
D
x
n
∂
∂
−
=
/
ここに, Jx: 粒子流(番号10-49)
のx成分
n: 粒子数密度(番号
10-64.1)
通常,“粒子”という部分は,特
定の粒子の名称に置き換える。
例えば,中性子数密度。
与えられた速さの粒子vについ
て,
()
x
n
J
D
x
n
∂
∂
−
=
/
,
v
v
v
49
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-63.a
平方メートル毎ボ
ルト毎秒
(square metre per
volt second)
m2/(V・s)
10-64.a
毎立方メートル
(metre to the power
minus three)
m−3
10-65.a
立方メートル毎秒
(cubic metre per
second)
m3/s
10-66.a
メートル2乗毎秒
(metre squared per
second)
m2/s
50
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-67
(10-33)
フルエンス率に対
する拡散係数
(diffusion
coefficient for
fluence rate)
Dφ,(D)
x
J
D
x
∂
∂
−
=
/
ϕ
ϕ
ここに, Jx: 粒子流(番号10-49)
のx成分
φ: 粒子フルエンス率
(番号10-45)
ある速さvの粒子について,
()
x
J
D
x
∂
∂
−
=
/
,
v
v
v
ϕ
ϕ
及び
vDφ(v)=−Dn(v)
10-68
(10-34)
粒子源密度
(particle source
density)
S
その要素の体積[JIS Z 8000-3(番
号3-4)]で除された3次元空間での
粒子の生成率。
通常,“粒子”という部分は,特
定の粒子の名称に置き換える。
例えば,陽子源密度。
速さSv及びエネルギーSEで表さ
れた分布関数とSとの関係は,
∫
∫
=
=
E
S
S
S
Ed
dv
v
10-69
(10-35)
減速密度
(slowing-down
density)
q
区分された微小時間間隔内に与え
られたエネルギー[JIS Z 8000-5(番
号5-20.1)]の値以下に減速する粒
子数密度(番号10-64.1)を,その
継続時間[JIS Z 8000-3(番号3-7)]
で除したもの。
粒子数密度nと継続時間dtとの
関係は,
t
n
q
d
d
−
=
10-70
(10-36)
共鳴を逃れる確率
(resonance escape
probability)
p
無限の媒質において,減速している
中性子が吸収されずに,全ての又は
特定の範囲の共鳴エネルギー(番号
10-38.2)を通過する確率。
10-71
(10-37)
レサジー
(lethargy)
u
運動エネルギー[JIS Z 8000-4(番
号4-27.3)]Eの中性子のレサジーの
定義は,次の式による。
u=ln (E0/E)
ここに,E0:基準エネルギー
51
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-67.a
メートル (metre)
m
10-68.a
毎秒毎立方メート
ル
(second to the
power minus one
per cubic metre)
s−1/m3
10-69.a
毎立方メートル毎
秒
(metre to the power
minus three per
second)
m−3・s−1
10-70.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-71.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
52
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-72
(10-38)
平均対数エネルギ
ー減衰率
(average
logarithmic energy
decrement)
ξ
運動エネルギー[JIS Z 8000-4(番
号4-27.3)]が中性子の運動エネル
ギーに比較して無視できるほど小
さい原子核との弾性衝突における
レサジー(番号10-71)の増加量の
平均値。
10-73
(10-39)
平均自由行程
(mean free path)
l,λ
二つの連続する特定の反応又は過
程の間に粒子が移動する平均距離
[JIS Z 8000-3(番号3-1.9)]
番号10-43の説明を参照。.
10-74.1
(10-40.1)
減速面積
(slowing-down
area)
2
sL,
2
slL
無限大の均質な媒質において,中性
子源及びそれから発生した中性子
が与えられたエネルギー[JIS Z
8000-5(番号5-20.1)]に達する点ま
での距離[JIS Z 8000-3(番号3-1.9)]
の二乗平均値の1/6
10-74.2
(10-40.2)
拡散面積
(diffusion area)
L2
無限大の均質な媒質において,中性
子が特定の分類に入る点とその分
類から外れる点までの距離[JIS Z
8000-3(番号3-1.9)]との二乗平均
値の1/6
中性子の種類を指定しなければ
ならない。
10-74.3
(10-40.3)
移動面積
(migration area)
M 2
核分裂エネルギーから熱エネルギ
ー[JIS Z 8000-5(番号5-20.1)]へ
の減速面積[JIS Z 8000-3(番号
3-3)]と熱中性子の拡散面積との
和。
53
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-72.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-73.a
メートル (metre)
m
10-74.a
平方メートル
(metre squared)
m2
54
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-75.1
(10-41.1)
減速距離
(slowing-down
length)
Ls,Lsl
2
s
s
L
L=
ここに,2sL:減速面積(番号10-74.1)
10-75.2
(10-41.2)
拡散距離
(diffusion length)
L
2L
L=
ここに,L2:拡散面積(番号10-74.2)
10-75.3
(10-41.3)
移動距離
(migration length)
M
2
M
M=
ここに,M 2:移動面積(番号10-74.3)
10-76.1
(10-42.1)
核分裂当たりの中
性子収量
(neutron yield per
fission)
ν
分裂ごとに放出される即発中性子
及び遅発中性子を含む核分裂中性
子数の平均。
それぞれν係数及びη 係数とも
いう。
10-76.2
(10-42.2)
吸収当たりの中性
子収量
(neutron yield per
absorption)
η
核分裂性核種又は特定される核燃
料において,中性子が吸収されるご
とに放出される即発中性子及び遅
発中性子を含む核分裂中性子数と
の平均。
η /νは,核燃料中の中性子に関
して,核分裂のマクロ断面積に
対する吸収のマクロ断面積の比
に等しい。
10-77
(10-43)
高速中性子核分裂
係数
(fast fission factor)
φ
無限の媒質において,全てのエネル
ギー[JIS Z 8000-5(番号5-20.1)]
の中性子に起因する核分裂によっ
て生成される中性子の平均数と,熱
中性子だけに起因する核分裂によ
って生成される中性子の平均数と
の比。
中性子の温度(運動エネルギー)
による分類を特定しなければな
らない。
55
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-75.a
メートル (metre)
m
10-76.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-77.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
56
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-78
(10-44)
熱中性子利用率
(thermal utilisation
factor)
f
無限の媒質において,核分裂性核種
又は核燃料に吸収された熱中性子
の数と,その媒質内で吸収された全
ての熱中性子の数との比。
中性子の温度(運動エネルギー)
による分類を特定しなければな
らない。
10-79
(10-45)
中性子の漏れない
確率
(non-leakage
probability)
Λ
中性子が減速する過程で,又は熱中
性子として拡散する間で原子核反
応炉から漏出しない確率。
中性子の温度(運動エネルギー)
による分類を特定しなければな
らない。
10-80.1
(10-46.1)
増倍率
(multiplication
factor)
k
ある時間の間に生成される核分裂
中性子又は核分裂依存の中性子の
総数と,同じ時間の間に吸収及び漏
えいによって失われる中性子の総
数との比。
10-80.2
(10-46.2)
無限媒質増倍率
(infinite
multiplication
factor)
k∞
無限の媒質又は無限に繰り返され
る格子についての増倍率(番号
10-80.1)。
熱中性子炉については,
k∞=ηεpf
10-80.3
(10-46.3)
実効増倍率
(effective
multiplication
factor)
keff
有限の媒質の増倍率。
keff=k∞Λ
10-81
(10-47)
反応度
(reactivity)
ρ
eff
eff
1
k
k −
=
ρ
ここに,keff:実効増倍率(番号
10-80.3)
57
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-78.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-79.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-80.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-81.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
58
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-82
(10-48)
原子炉時定数
(reactor time
constant)
T
原子炉における中性子フルエンス
率(番号10-45)が指数関数的に増
加又は減少するとき,e倍(又は,
1/e)に達するのに要する継続時間
[JIS Z 8000-3(番号3-7)]
原子炉周期ともいう。
10-83.1
(10-50.1)
エネルギー付与
(energy imparted)
ε
与えられた3次元空間での物質に
対する電離性放射線については,
∑
=
iiε
ε
ここに,εi:単一相互作用iで蓄積
されたエネルギー
[JIS Z 8000-5(番号
5-20.1)]で,次の式で
与えられる。
εi=εin−εout+Q
ここに, εin: 静止エネルギー(番
号10-3)を含まない
入射イオン化粒子の
エネルギー[JIS Z
8000-5(番号5-20.1)]
εout: 静止エネルギー(番
号10-3)を含まず,
相互作用を離脱する
全イオン化粒子のエ
ネルギー[JIS Z
8000-5(番号5-20.1)]
Q: 相互作用に関与する
核及び全粒子の静止
エネルギー(番号
10-3)の変化分
エネルギー付与は推計量。
10-83.2
(10-50.2)
平均エネルギー付
与
(mean energy
imparted)
ε
与えられた3次元空間での物質に
ついては, ∑
+
−
=
Q
R
R
out
in
ε
ここに, Rin: 領域に入った全荷
電及び非荷電イオ
ン化粒子の放射エ
ネルギー(番号
10-46)
Rout: 領域を離脱する全
荷電及び非荷電イ
オン化粒子の放射
エネルギー
∑Q: この領域で生成し
た核及び素粒子の
静止エネルギー
(番号10-3)の変化
の合計
この量は,エネルギー付与(番
号10-83.1)の期待値を意味す
る。
この量は,積分吸収線量と呼ば
れることがある。
Q>0は静止エネルギーの減少
を,Q<0は静止エネルギーの増
加を意味する。
59
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-82.a
秒 (second)
s
10-83.a
ジュール (joule)
J
60
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-84.1
(10-51.2)
吸収線量
(absorbed dose)
D
あらゆる電離性放射線において,
m
D
d
dε
=
ここに,ε
d:質量dm[JIS Z 8000-4
(番号4-1)]の,照射
される物体の素分へ
イオン化放射による
平均エネルギー付与
(番号10-83.2)
∫
=
m
Dd
ε
ここに,dm:照射される物体の
質量素分
小さい領域の限界では,平均比
エネルギーzは,吸収線量Dと
等しい。
10-84.2
(10-51.1)
質量エネルギー付
与
(specific energy
imparted)
z
あらゆる電離性放射線において,
m
zε
=
ここに, ε: 照射される物体への
エネルギー付与(番号
10-83.1)
m: その物体の質量[JIS
Z 8000-4(番号4-1)]
zは,推計量。
小さい領域の限界では,平均比
エネルギーzは吸収線量Dと等
しい。
質量エネルギー付与は,1回以
上の(エネルギー蓄積)事象に
よる。
10-85
線質係数
(quality factor)
Q
線量当量(番号10-86)の計算計測
のための係数。この係数によって,
放射の各種の生物学的効果及び放
射線防護目的用に,吸収線量(番号
10-84.1)に加重する。
Qは,ある点において,微少体
積素分を通過する荷電粒子の無
制限線エネルギー転移L∞(L又
はLETとしてよく表記される。)
によって決定される(L∞値は組
織中ではなく,水中の荷電粒子
のための値。しかし,違いは小
さい。)。
10-86
(10-52)
線量当量
(dose equivalent)
H
組織内の対象とする点において,
H=DQ
ここに, D: 吸収線量(番号
10-84.1)
Q: その点における線質
係数(番号10-85)
組織内のある点での線量当量
は,次の式で与えられる。
()
∫∞
=
0
dL
D
L
Q
H
L
ここに,DL:対象点での吸収線
量のLの分布
なお,DL=dD/dLで表す。
Lに関しては,ICRP Publication
103(ICRP, 2007)参照。
“線量当量”の単位時間当たり
の変化分を“線量当量率”と呼
ぶ。
61
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-84.a
グレイ (gray)
Gy
1 Gy := 1 J/kg
グレイは,これらの量に対する
一貫性のあるSI単位として与
えられるジュール毎キログラム
を意味する固有の名称である。
ラド(rad),1 rad := 10−2 Gy
10-85.a
(数の)1 (one)
1
0.3.2参照。
10-86.a
シーベルト
(sievert)
Sv
1 Sv := 1 J/kg
シーベルトは,線量当量に対す
るSI単位として与えられるジ
ュール毎キログラムを意味する
固有の名称である。
レム(rem),1 rem := 10−2 Sv
“線量当量率”の例:
シーベルト毎秒,レム毎秒
62
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-87
(10-53)
吸収線量率
(absorbed dose rate)
D&
t
D
D
d
d
=
&
ここに,dD:継続時間dt[JIS Z
8000-3(番号3-7)]
の間の吸収線量(番
号10-84.1)の増分
10-88
(10-54)
線エネルギー転移
(linear energy
transfer)
LΔ
電離性荷電粒子について,
l
E
L
Δ
Δ
d
d
=
ここに, dEΔ: 短い経路で発生す
る電子との衝突を
通して局所的に物
質に与えられた平
均エネルギーから,
Δを超えることに
よって放出された
これらの電子の運
動エネルギーの全
てを差し引いた量
dl: その経路の長さ
[JIS Z 8000-3(番号
3-1.1)]
Δが特定されない限り,この物
理量は完全に定義されない。す
なわち,二次電子の最大運動エ
ネルギーは,“局所的に蓄積され
るものとみなせる。”ΔはeVで
表せる。
線エネルギー転移は,ときには
LETと略されるが,下付き添字
Δ又は数値を添える。
LΔは,荷電粒子が電子に与える
エネルギーが物質中の単位長さ
当たりΔ以下となるような,エ
ネルギー損失をいう。
10-89
(10-55)
カーマ
(kerma)
K
間接的電離性(非荷電)粒子につい
て,
m
E
K
d
d
tr
=
ここに, dEtr: 物質の微少質量に
おいて,非荷電の
電離性粒子によっ
て放出された全て
の荷電粒子の運動
エネルギー[JIS Z
8000-4(番号4-
27.3)]の総和平均
dm: その部分の質量
[JIS Z 8000-4(番
号4-1)]
カーマという名称は,Kinetic
Energy Released in MAtter(又は
MAss, MAterial)(物体内で放出
される運動エネルギー)に由来
する。
量dEtrは励起原子,分子又は核
の崩壊で放射された荷電粒子の
運動エネルギーを含む。
10-90
(10-56)
カーマ率
(kerma rate)
K&
t
K
K
d
d
=
&
ここに, K:継続時間dt[JIS Z
8000-3(番号3-7)]
の間のカーマ(番号
10-89)の増分
63
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-87.a
グレイ毎秒
(gray per second)
Gy/s
1 Gy/s=1 W/kg
番号10-84.aの説明を参照。
10-88.a
ジュール毎メート
ル
(joule per metre)
J/m
10-88.b
電子ボルト毎メー
トル
(electronvolt per
metre)
eV/m
1 eV/m=
1.602 176 565 (35)×10−19 J
[2010年CODATA推奨値]
10-89.a
グレイ (gray)
Gy
番号10-84.aの説明を参照。
10-90.a
グレイ毎秒
(gray per second)
Gy/s
1 Gy/s=1 W/kg
番号10-84.aの説明を参照。
64
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子物理学及び核物理学
量
番号
名称
記号
定義
説明
10-91
(10-57)
質量エネルギー転
移係数
(mass energy
transfer coefficient)
µtr/ρ
物体に作用する間接的電離性(非荷
電)粒子線について,
l
R
Rd
d
1
1
/
tr
tr
ρ
ρ
μ
=
ここに,dRtr:密度ρの物体の中の
距離dlを横断するこ
とにおける,入射放
射Rの相互作用によ
る荷電粒子の運動エ
ネルギーに転移され
た平均エネルギー
ψ
ρ
μ
/
/
tr
K&
=
ここに, K&: カーマ率(番号
10-90)
ψ: エネルギーフル
エンス率(番号
10-48)
量µen/ρ=(µtr/ρ)(1−g) は質量エ
ネルギー吸収係数という。
(ここに,g:発生した荷電粒子
の運動エネルギ
ーがその物質中
における放射過
程によって失わ
れた割合)
複合体の質量エネルギー吸収係
数は,材料の阻止能に依存する。
したがって,通常,原子成分の
質量エネルギー吸収係数の単純
総和から評価することはできな
い。gの値が十分小さい場合に
は,そのような総和から適切な
近似を得ることができる。
番号10-51も参照。
10-92
(10-58)
照射線量
(exposure)
X
X線又はガンマ放射線について,
m
Q
X
d
d
=
ここに, dQ: 空気素分中で光子
によって解放又は
生成された全電子
と陽電子とが,空気
中で完全に静止し
たとき,乾燥空気中
で作り出された同
符号のイオンの平
均全電荷の絶対値
dm: その素分の質量
[JIS Z 8000-4(番号
4-1)]
原子又は分子の緩和過程で放射
された電子によるイオン化は
dQに含まれる。放たれた光子に
よるイオン化放射過程で放射さ
れた光子(すなわち,制動放射
及び蛍光光子)によるイオン化
は,dQに含まれない。
この量を光子露光量[JIS Z
8000-7(番号7-55)],露光量[JIS
Z 8000-7(番号7-41)]又は球面
露光量[JIS Z 8000-7(番号
7-39)]と混同してはならない。
10-93
(10-59)
照射線量率
(exposure rate)
X&
t
X
X
d
d
=
&
ここに,dX:継続時間dt[JIS Z
8000-3(番号3-7)]
の間の照射線量(番
号10-92)の増分
65
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位
原子物理学及び核物理学
番号
名称
単位記号
定義
換算率及び説明
10-91.a
平方メートル毎キ
ログラム
(square metre per
kilogram)
m2/kg
10-92.a
クーロン毎キログ
ラム
(coulomb per
kilogram)
C/kg
レントゲン(R),
1 R := 2.58×10−4 C/kg
10-93.a
クーロン毎キログ
ラム毎秒
(coulomb per
kilogram second)
C/(kg・s)
1 C/(kg・s)=1 A/kg
66
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
原子物理学及び核物理学で用いる非SI単位
量
単位の名称
単位記号
SI単位による値
SIと併用される単位
エネルギー
質量
長さ
電子ボルト
ダルトン
統一原子質量単位
天文単位
eV
Da
u
ua
1 eV=1.602 176 565 (35)×10−19 J
1 Da=1.660 538 921 (73)×10−27 kg
1 u=1 Da
1 ua=1.495 978 706 91 (6)×1011 m
自然単位(n.u.)
速さ
作用
質量
時間
速さの自然単位
(真空中の光の速さ)
作用の自然単位
(換算プランク定数)
質量の自然単位
(電子質量)
時間の自然単位
c0
ћ
me
ћ/(mec02)
299 792 458 m/s(正確に)
1.054 571 726 (47)×10−34 Js
9.109 382 91 (40)×10−31 kg
1.288 088 668 33 (83)×10−21 s
原子単位(a.u.)
電荷
質量
作用
長さ
エネルギー
時間
電荷の原子単位
(電気素量)
質量の原子単位
(電子質量)
作用の原子単位
(換算プランク定数)
長さの原子単位
(ボーア半径)
エネルギーの原子単位
(ハートリーエネルギー)
時間の原子単位
e
me
ћ
a0
Eh
ћ/Eh
1.602 176 565 (35)×10−19 C
9.109 382 91 (40)×10−31 kg
1.054 571 726 (47)×10−34 Js
0.529 177 210 92 (17)×10−10 m
4.359 744 34 (19)×10−18 J
2.418 884 326 502 (12)×10−17 s
注記 この附属書の単位は,BIPMのSI文書第8版(2006)の表7に記載されている。完全性のために,長さの天
文単位も含まれている。JIS Z 8000-10では,一部を“2010年CODATA推奨値”から引用している。
67
Z 8000-10:2015 (ISO 80000-10:2009)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
参考文献
[1] JIS Z 8000-1 量及び単位−第1部:一般
注記 対応国際規格:ISO 80000-1,Quantities and units−Part 1: General(MOD)
[2] ISO 80000-2:2009,Quantities and units−Part 2: Mathematical signs and symbols to be used in the natural
sciences and technology
[3] IEC 60050-393:2003,International Electrotechnical Vocabulary−Part 393: Nuclear instrumentation−Physical
phenomena and basic concepts
[4] ICRP Publication 103 (ICRP, 2007)
[5] ICRU Report 60: Fundamental Quantities and Units for Ionizing Radiation, International Commission on
Radiation Units and Measurements, Bethesda MD USA, 1998
[6] MOHR P.J. and TAYLOR B.N. CODATA recommended values of the fundamental physical constants: 2002.
Rev. Mod. Phys., 77(1), 2005, pp. 1-107
[7] MOHR P.J., TAYLOR B.N. and NEWELL, D.B. CODATA recommended values of the fundamental physical
constants: 2006. Rev. Mod. Phys., 80(2), 2008, pp. 633-730. See also the CODATA website:
http://physics.nist.gov/cuu/constants/index.html
[8] SI文書第8版(2006),独立行政法人産業技術総合研究所計量標準総合センター
http://www.nmij.jp/library/units/si/R8/SI8J.pdf
注記 対応国際文書:The International System of Units (SI), 8th edition (2006), BIPM, Sevres, France
http://www.bipm.org/utils/common/pdf/si̲brochure̲8̲en.pdf