1
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表
JIS Z 8808
: 1995
排ガス中のダスト濃度の測定方法
ISO 9096
: 1992 (
JIS Z 7151
: 2000)
固定発生源排出物質−ガスの流れるダクト中での粒子状物質の濃
度及び質量流量測定−手分析的重量法
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
− なし。ただし,測定作業が安
全かつ容易な場所を選ぶと
している。
ISO 9096
○ 注意−安全確保のための予防
措置
・一般事項
・測定者に対する危険性
・他人に対する危険性
≠
JIS
では詳細な規定がない。 整合化は可能。
1.
適用範囲
○ ダスト
ISO 9096
○
1.
粒子・粒子状物質
≠ 名称が違う。
ダスト(名称)を将来的に粒子・
粒 子 状 物 質 に 変 え る こ と は 可
能。
− 濃度範囲:なし
ISO 9096
○
1.
濃度範囲:
0.005
〜
10g/m
3
≠
0.001
〜
10g/m
3
に範囲を拡大する
ことが必要。
○ ミスト同伴ガス含む。
○
1.
ミスト同伴ガス含まない。 ≠
ミスト同伴ガスを国際規格に追
加することが必要。
2.
用語の定義
○ 排ガス(乾き・湿り)
ISO 9096
○
3.
ガス
≠ 名称が違う。
整合化は可能。
○ ダスト
ISO 9096
○
3.
粒子・粒子状物質
≠
JIS
ではダストのほかミスト
を含む。
整合化は可能。
○ ダスト濃度
ISO 9096
○
3.
粒子濃度
≠
JIS
では標準状態,
ISO
では
測定状態。
整合化は可能。
○ ダスト試料採取装置(普通形
と平衡形)
ISO 9096
− ダスト試料採取装置(普通形) ≠
JIS
では平衡形を含む。
国際規格にも平衡形を追加する
必要がある。
3.
測 定 方 法 の
概要
○ 測定方法の概要を図に示し
てある。
装置を表にまとめたものは
ない。
ISO 9096
○
○
6.
測定の概要
表
3
粒子濃度とガス流量測定
に必要な装置部品リスト(本体
表
3
を参照)
=
JIS
では,ごく簡単に測定法
の概要を述べている。
測定装置は
ISO
のようにま
とめて表示していないが,使
用するところで,個々に規格
を述べている。
一部異なる点もあるが,共通
する点が多い。
整合化は可能。
2
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
3.
測 定 方 法 の
概要
○
JIS
では,使用する記号と単
位を表にまとめて示してい
ない。
ただし,使用するところでお
のおの記号と単位を規定し
ている。
ISO 9096
○
4.
記号とそれらの単位,下付
記号と指数
4.1
記号とそれらの単位:
表
1
に示す。
[体体,
表
1
参照]
4.2
下付記号と指数単位:
表
2
に示す。
[体体,
表
2
参照]
≠ 記号とそれらの単位は,共通
するものもあるが,異なるも
のも多く,また
JIS
では使用
しないものもある。
現状では異なるものが多く,各
種の計算式にも広く利用されて
おり,整合化は困難である。
ただし,両者統一すれば整合可
能。
4.
測定位置,測
定 孔 及 び 測
定点
○ 数値的な規定はない(位置)
。
ISO 9096
○
9.2
直管部の長さは直径の
7
倍
以上
≠
JIS
では数値的に規定せず。
ISO
は理想的であるが日本では
測定場所を選ぶことが困難で限
定される。
○ 内径
100
〜
150mm
程度(測定
孔)
− なし。
≠
ISO
では数値的に示さず。
将来的に整合化は可能。
○
4.3
図
3
,表
1
(円形断面)
ISO 9096
○
9.3
表
4
,図
B1
,
2
,表
B.1
=
ISO
の方が詳細に規定し
ている。
変更は可能。
○
4.3
図
4
,
5
,表
2
(長方形断
面)
ISO 9096
○
9.3
表
5
,図
B3
,表
B.2
=
変更は可能。
○ 小規模ダクト(その他の場
合)
− なし。
≠
ISO
にはない。
整合化は可能と考えられるが,
十分な検討は必要。
○ 流れやダスト濃度が均一な
場合での測定点の省略(その
他の場合)
− なし。
≠
5.
排 ガ ス 温 度
の測定
○ 温度の平均値
ISO 9096
○
10.4
温度分布の±
5%
以下
測定場所の選定が困難。
− なし。
ISO 9096
○ 温度測定の一定時間後に試料
採取の場合は温度の再測定が
必要
≠
整合化は可能。
6.
排 ガ ス 中 の
水 分 量 の 測
定
○
6.1
吸湿管による方法
ISO 9096
○
8.2
表
3
,
No.14
だけ
整合化は可能(ただし測定法と
計算式を明示する)
。
○ 水蒸気の体積
%
ISO 9096
○
8.2
kg/m
3
(水蒸気濃度:
f
)
4.1
表
1
≠ 体積と重量の違いが計算式
にも影響。
3
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
7.
排 ガ ス の 流
速 及 び 流 量
の測定
○ ピトー管(
S
形ピトー管可)
ISO 9096
○ 附属書
D
ピトー管(
S
形ピト
ー管可)
整合化は可能(
JIS
の測定器のほ
か追加が必要)
。
○ 風速計,カルマン渦流速計,
電気式圧力計
− なし。
≠
ISO
にはない。
○ (圧力精度)
1
P
a
ISO 9096
○
8.2
5Pa
≠ 精度が異なる。
整合化は可能(だだし,十分な
検討が必要)
。
− (流れの変動許容幅)なし。
ISO 9096
○
11.2
流れの変動が
10%
以上
では再測定する。
≠
JIS
にはない。
整合化は可能。
− (試料採取後の再測定によ
る確認)なし。
ISO 9096
○
11.4
あり。(等速吸引流速の
10%
以内)
≠
JIS
にはない。
整合化は可能。
○ 燃焼計算方法あり(排ガス流
量の求め方)
− なし。
ISO
にはない。
JIS
の計算方法は除去可能。
8.
ダ ス ト 試 料
採取装置
○
8.1
ダス ト試料採 取装置の
種類
ダスト試料採取装置は,原理
と機能によって
4
種類に分
類する。
(1)
普通形試料採取装置
手動式
自動式
(2)
平衡形試料採取装置
[動圧又は静圧を利用]
手動式
自動式
− なし。
≠ 国際規格は,普通形の手動式
だけで,自動式の試料採取装
置がない。
国際規格は排ガスの流速が安定
(±
10%
以下)している場合しか
試料採取ができない制限がある
が,自動式の試料採取装置は排
ガスの流速及び温度が変動して
いる場合でも,それに追従して
自動的に等速吸引をすることが
できる利点があり,現在日本で
は多数使用されている。国際規
格に追加する必要がある。
○ 附属書
自 動 式 の 試 料 採
取装置の性能及び性能試験
方法を附属書で規定してい
る。
性能は,等速吸引の誤差−
5
〜+
10%
以内
− なし。
≠ 国際規格に自動式の試料採
取装置がないため,性能及び
性能試験方法はない。
自 動 式 の 試 料 採 取 装 置 の 性 能
は,正しく等速吸引を行うこと
が必要で,そのため
JIS
では性
能試験方法と試験装置を規定し
ている。自動式が国際規格に追
加されれば必要となる。
4
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
8.
ダ ス ト 試 料
採取装置
○
8.1.2
吸 引 ガ ス 流 量 測 定 装
置 瞬間式と積算式(ガスメ
ータ)を併用している。水分
試料採取装置で規定。ただ
し,瞬間式は省略する場合が
ある。
ISO 9096
○
8.1
〜
8.4
吸引ガス流量測定器
瞬間式と積算式(ガスメータ)
の併用と,吸引ガス流量が大き
い場合は瞬間式だけ使用する。
≠ 国際規格では,瞬間式だけ使
用する場合があるが,
JIS
に
はない。
瞬間式だけでは排ガス流速が変
化する場合は,正しい測定値が
得られない問題点がある。排ガ
ス流速が安定している場合に限
り使用するように規定すれば使
用できよう。
○
8.3.1
吸引ノズル
最低内径
4mm
以上,ノズル
先端部は
30
°以下又は半球
状とする。材質はガラス製が
多く金属製は少ない。
ISO 9096
○
8.1
〜
8.4
吸引ノズル
最低内径
4mm
以上,ノズル先
端部は肉厚
δ
と内径
dn
1
の比が
δ
/
dn
1
≧
0.05
の場合は,有効内径
dn
を次式で求める。
(
)
2
1
2
1
2
dn
dn
dn
+
+
=
δ
なお,先端部は,
20
°≦とす
る。
≠
JIS
は有効内径を求める式は
ない。
また,ガラス製ノズル先端の
角度が異なる。
国際規格の方が厳密な規格
を定めている。
吸引ノズルの先端部の肉厚,角
度が国際規格と異なり,変更す
ることは困難であり,特にガラ
ス製のノズルは金属製にすべて
変更する必要がある。
○
8.3.1
ダスト捕集器
捕集効率は粒径
0.3
μ
m
につ
き≧
99%
としている。
ダスト捕集器として,ろ紙を
用いる。
ISO 9096
○
8.1
〜
8.4
粒子分離器
捕集率は粒径
0.3
μ
m
につき≧
98%
としている。
粒子分離器としてろ紙のほか,
負担を減らすため副粒子分離
器として,ろ布バック,サイク
ロンなどを用いる。
≠ 国際規格が
JIS
の方より捕
集効率が
1%
低い。
また,副粒子分離器としてろ
布バック,サイクロンなどを
用いる。
捕集効率は国際規格と比べてわ
ずか
1%
の違いであり,変更して
もよい。また,副粒子分離器は
JIS
にはないが,採用しても特に
問題はない。
○
8.3.1
ミ ス ト を 含 む 場 合 の
ダスト捕集器
インパクタ付きのダスト捕
集器を用いる。
− なし。
ミストは測定の対象外である。
≠ 国際規格にはない。
日 本 で は ミ ス ト を 含 む 排 ガ ス
も,大気汚染防止法による測定
の対象となっているため,削除
することはできない。
5
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
8.
ダ ス ト 試 料
採取装置
○
8.2
揮発 性ダスト を含む場
合のダスト捕集器
重金属など揮発性ダストを
含む排ガスでは,ろ紙の後に
吸収液を入れたインピンジ
ャを接続したもの。
− なし。
揮発性ダストは測定の対象外
である。
≠ 国際規格にはない。
JIS
はダストのほか排ガス中の
カドミウム,鉛など重金属類の
試料採取にも広く引用されてお
り,大気汚染防止法による測定
の対象となっているため,削除
することはできない。
9.
ダ ス ト 試 料
の採取方法
○
9.1
測定点→
4.3
に規定
ISO 9096
○
9.3
試料採取点の最小数と位置
附属書
B
参照
=
JIS
の
4.3
に規定されている
ため略
同左
○
9.2
ダス ト試料の 採取方法
の種類
(1)
各点採取法
ISO 9096
○
11.4.3
各点採取法
≡
○
(2)
移動採取法
測定点を移動し,それぞれ同
じ吸引時間でダスト試料を
採取する。
ISO 9096
○
11.4.2
移動採取法
試料採取時間は各点とも等し
くとり,試料は合計する。もし,
等面積の試料採取点が得られ
ない場合には,試料採取時間は
その断面積に比例してとる。
= 大筋では同じ。だたし,
JIS
においては,断面積に応じて
試料採取時間を対応させる
規定はなく,最終的に計算で
断面積の重み付けするよう
になっている。
JIS
式
N
C
=
n
n
n
n
Nn
N
N
v
A
v
A
v
A
v
A
C
v
A
C
v
A
C
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
+
+
+
+
+
+
2
2
1
1
2
2
2
1
1
1
の変更(
A
を除いた形にする。
)
が必要。日本で使用されている
自動採取装置の採取時間設定プ
ログラムの一部変更が必要。
○
(3)
代表点採取法
− なし。
≠
ISO 9096
には規定されてい
ない。
JIS
規格で採用している平均測
定 点 を 代 表 点 と す る 採 取 法 を
ISO
規格に追加。
6
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
9.
ダ ス ト 試 料
の採取方法
○
9.3.1
等 速 吸 引 の た め の 吸
引流量の計算
100
x
1
4
π
w
2
m
−
=
v
d
q
v
m
a
s
a
s
m
273
273
P
P
P
P
P
−
+
+
+
+
×
θ
θ
×
60
×
10
−
3
(
l
/min)
ISO 9096
○
13.3
sample
gas
flow
式
(15)
( )
×
pt
3
g
h
m
ρ
Δ
q
v
=
×
′
×
×
a
pt
2
600
3
ρ
K
a
a
n
g
o
e
s,
am
g
a,
am
θ
θ
+
+
+
+
T
T
P
P
P
P
×
0.804
1
1
n
f
+
= 単位,数式の表現の相違はあ
るが,等速吸引の原理に基づ
いているので意味している
内容は同じはず(式の細かい
内容の検討はしていない)
。
計算方法の考え方は同じである
が,水分量の測定方法が不明の
ため,採用困難。
○
9.3.2
ダスト捕集器の準備
(1)
ろ紙 を通るガ スの見掛
けの流速
0.5m/s
以下。
− 規定なし。
≠
ISO 9096
には規定されてい
ない。
JIS
解説
9.3.2(1)
によると,
0.5m/s
以上でも捕集率は
99%
以上で,
ろ紙が破損しなければ差し支え
ないとあり,整合化は可能。
○
(2)
ろ紙 の乾燥, ひょう量
105
〜
110
℃で十分に乾燥し,
デシケー夕内で室温まで冷
却後ひょう量。排ガス温度が
100
℃以上の場合,排ガスと
同程度の温度で恒量化後ひ
ょう量。
ISO 9096
○
10.1
110
℃で乾燥し,デシケータ内
で室温まで冷却後ひょう量。ろ
材が加熱減量を起こすような
場合は,ダクトのガス温度以上
(10K)
で加熱する。
= 処理温度の設定に微妙な違
いがあるが,内容はほとんど
同様。
整合化は可能。
○
9.4(2)
ダスト試料の採取
(a)
排ガ スの流れ 方向とノ
ズルの方向の偏り
10
度以下
ISO 9096
○
11.4.1
流れとプローブの方向は約
10
度以内。
≡
整合化は可能。
○
(b)
吸引 ノズルか ら吸引す
るガスの流速は,排ガスの流
速 に 対 し 相 対 誤 差 −
5
〜 +
10%
の範囲。
ISO 9096
○
11.4.1
吸引ノズルから吸引するガス
速度は,排ガス速度の±
10%
以
内。
JIS
においては
davis
式に基
づく計算線図より,ダスト濃
度誤差をほぼ±
5%
以内とな
るように,マイナス側の流速
の許容誤差範囲が小さく設
定されている。
マイナス側の吸引速度誤差の許
容範囲を広げると,ダスト濃度
のプラス側の誤差範囲が広がる
ことになるが,整合化は可能。
7
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
9.
ダ ス ト 試 料
の採取方法
○
9.4(3)
吸引ガス量の設定
(a)
円形ろ紙捕集面積
1cm
2
当たり
0.5mg
程度。
(b)
円筒ろ紙全捕集量
5mg
以上。
ISO 9096
○
12.
約
100mg
の捕集量が必要。
ひょう量のため適した量を捕
集し,捕集率や操作を妨害する
ような過度の量の試料捕集は
避ける。
≠
JIS
に比較して
ISO
は大量の
捕集量を必要と規定してい
る。
日本の施設では,ダスト濃度が
低く,
100mg
捕集することは困
難であり,整合化は不可能。
○
9.4(5)
ダ ス ト を 捕 集 し た ろ
紙は一般に
105
〜
110
℃で
1
時間乾燥した後,デシケータ
中で室温まで冷却し,ひょう
量。
(解説
9.4(5)
に吸引ノズルの
付着ダストの処理の記述)
ISO 9096
○
7.
及び
12.
粒子を捕集するためのろ紙は
あらかじめ乾燥・ひょう量し,
試料採取後も同様に処理する。
装置内面に付着している粒子
は捕集した粒子質量に加える。
必要ならば超音波又はアセト
ン洗浄によって回収,常温常圧
で乾燥する。
JIS
では処理温度が原則とし
て
105
〜
110
℃となっている
が,
ISO
では処理温度が明記
されてなく,試料採取前と同
様の処理と規定されており,
前処理温度によって処理温
度が異なると解釈される。付
着粒子についても捕集後の
処理が若干異なっている。
整合化は可能。
○
9.4(6)
排 ガ ス 中 に ミ ス ト が
共存する場合,可溶性物質
(粒子)が含まれている場
合,
ミスト回収後
105
〜
110
℃
で十分に乾燥して,デシケー
タ内で室温まで冷却後ひょ
う量し捕集ダストに加える。
− 規定なし。
≠
ISO 9096
ではミスト同伴ガ
スには適さないと規定され
ている。
ISO
の規定に合わせて整合化す
ると湿式脱硫後の排ガスなどミ
スト同伴ガスの測定には適用で
きなくなってしまう。
ISO
規格
に追加,整合化は困難。
○
9.4(7)
排 ガ ス 中 に 硫 酸 ミ ス
トなどを含む場合,試料採取
したろ紙は
250
℃で約
2
時間
乾燥して,デシケータ内で室
温まで冷却後ひょう量する。
− 規定なし。
≠
ISO 9096
ではミスト同伴ガ
スには適さないと規定され
ている。
ISO
の規定に合わせて整合化す
ると硫酸ミスト同伴ガスの測定
に は 適 用 で き な く な っ て し ま
う。
国際規格に追加。
8
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
9.
ダ ス ト 試 料
の採取方法
○
9.4(8)
試料採取装置
2
形の場
合は吸引管内に付着したダ
ストを,捕集されたダスト量
に加える。[解説
9.4(7)
例え
ば超音波などで払い落とす
か,水などで洗い流して蒸発
乾固し,捕集ダストに加え
る。
]
ISO 9096
○
12.
装置内面に付着している
粒子は捕集した粒子質量に加
える。必要ならば,超音波又は
アセトン洗浄によって回収,常
温常圧で乾燥する。乾燥した残
留物はろ紙上の粒子と同様な
条件下でひょう量する。乾燥し
た後,デシケータ中で室温まで
冷却し,試料採取前と同じ条件
下で恒量になるまでひょう量
する。
= 付着粒子も集めて粒子質量
に加えることは同じ。ひょう
量前の処理操作の部分に若
干の相違がある。
大筋では問題はないと思われる
が,試料採取前と同じ条件下で
ひ ょ う 量 と い う 部 分 が ,
JIS
9.4(5)
の場合と同様の問題にな
る可能性がある。
整合化は可能。
○
9.5
吸引ガス量の測定方法
積算流量計又は瞬間流量計
を用いて測定する。
[
6.1.2(3)
積算流量計は吸引
ガス量の測定に,瞬間流量計
は 吸 引 流 量 の 確 認 に 用 い
る。
]
ISO 9096
○
11.4.1
吸 引 ガ ス 量は フ ロ ーメ
ータの差圧と試料採取時間と
から求める。
13.4
吸引ガス量はフローメー
タ又は積算ガスメータで測定
する。
≠
JIS
では積算流量計で吸引ガ
ス量の測定を行い,フローメ
ータは吸引流量のチェック
用。
ISO
ではフローメータと積
算流量計が並列して記載さ
れている。
フローメータでは正確なガス吸
引量を算出できないとされてお
り,整合化は困難。
○
9.5(4)
標 準 状 態 に お け る 吸
引した乾きガス量
×
×
m
m
N
273
273
θ
+
=
V
V'
( )
N
3
3
v
m
a
m
10
3
.
101
−
−
+
×
P
P
P
○
13.4
situation
I
湿りガス
V
’
0
=
tq
’
v
0
×
′
×
0
0
2
600
3
ρ
tK
=
( )
3
0
m
ρ
Δ
situation II
乾きガス
V
g
=
reading
end
−
reading
start
≠ 同上
同上
整合化は困難。
9
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
10.
ダ ス ト 濃 度
の計算
○
10.1
各 測 定 点 の 乾 き 排 ガ
ス中のダスト濃度
N
d
N
V'
m
C
=
参考:湿り排ガス中のダスト
濃度
s
d
V
m
C
=
ISO 9096
○
13.5
)
dry
(
n
g,
n
V
m
C
=
)
moist
(
n
g,
n
V
m
C'
=
)
conditions
actual
(
a
g,
a
V
m
C'
=
≠
JIS
では標準状態の乾き排ガ
ス中のダスト濃度を評価の
基準としているが,国際規格
では,乾き,湿り及びダクト
内の条件下での濃度が並列
して記載されている。
JIS
ではダクト内の条件下での
ダスト濃度を算出する規定はな
いが,大防法では,ばいじんの
排出基準は
0
℃,
1
気圧に換算し
た排出ガス
1m
3
当たりの濃度と
明記されているので整合化して
も問題は生じないと思われる。
整合化は可能。
○
10.2
全 断 面 積 の 乾 き 排 ガ
ス中の平均ダスト濃度
N
C
=
n
n
n
n
Nn
N
N
v
A
v
A
v
A
v
A
C
v
A
C
v
A
C
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
⋅
+
+
+
+
+
+
2
2
1
1
2
2
2
1
1
1
ISO 9096
○
13.5
)
dry
(
N
1
i
i
n,
N
1
i
i
n,
i
n,
n
=
=
=
v
v
C
C
)
moist
(
'
N
1
i
i
n,
N
1
i
i
n,
i
n,
n
=
=
=
v
v'
C'
'
C
)
conditions
actual
(
'
N
1
i
i
a,
N
1
i
i
a,
i
a,
a
=
=
=
v
v'
C'
'
C
≠
JIS
では平均ダスト濃度の算
出時に,流速と断面積の重み
付けしているが,
ISO
では,
計算時には断面積を入れて
おらず,断面積の重み付けは
サンプリングの際に採取時
間を調節することで行って
いる。
[
JIS
9.2(2)
移動採取法
参照]
また,
JIS
では標準状態の乾
き排ガス中のダスト濃度を
評価の基準としているが,国
際規格では,乾き,湿り及び
ダクト中の条件下での濃度
が並列して記載されている。
9.2(2)
移動採取の記述の変更を
受けたうえで
JIS
の平均ダスト
濃度を算出する式に変更(
A
を
除いた形にする)が必要。
整合化は可能。
○
10.3
ダ ス ト 濃 度 測 定 値 の
丸め方
− なし。
≠
ISO 9096
には規定されてい
ない。
端数の取扱いに関する規定は入
っていた方がよいと思われる。
国際規格に追加する。
10
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
11.
ダ ス ト 流 量 の
計算
○ 標準状態(
0
℃,
101.3kPa
)
に換算した乾き又は湿り排
ガスに含まれるダスト質量
で表し,次式によって求める
(数式省略)
。
ISO 9096
○
13.6
粒子流量
湿り排ガス中に含まれるダス
ト質量で次式で求める(数式省
略)
。
≠
ISO
規格は湿りだけで計算
(単位が異なる)
。
整合化は可能。
12.
測 定 値 の 記
録
○ 表
4
測定値の記録項目によ
って整理し,記録する。
ISO 9096
○
15.
報告書による。
整合化は可能。
(その他)
JIS Z 8808
の
9.
ダスト試料の採取法では規定されていないが関連すると思われる
ISO
の記述。
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性
が困難な理由及び今後の対
策
9.
ダ ス ト 試 料
の採取方法
− 規定なし。
ISO 9096
○
10.4
流速と温度の予備測定
試料採取点数以上の速度測定
点数が必要。理由の一つは試料
採取の適合性を判断するため,
もう一つは試料採取後の全ガ
ス流量と粒子質量流量を精度
よく算出するため。
≠
JIS Z 8808
には規定されて
いない。
採取点数以上の予備測定は労力
を増大させる。
測定に長時間を要し,整合化は
困難。
− 規定なし。
ISO 9096
○
10.4
ダクト内の状況が等速吸引操
作に適するかを調べる。それら
の条件は以下のとおり。
a)
ダクトの軸に対するガス流
れの角度:≦
15
°
b)
局所的に逆流があってはな
らない。
c)
最低流速 動圧≧
5Pa
d)
速度分布 最大:最小比≦
3:1
e)
温度分布 平均温度
(K)
:≦
±
5%
以下
≠
JIS Z 8808
には規定されて
いない。
等速吸引に適する条件が非常に
厳しく設定されており,
ISO
規
格 で 測 定 で き る 施 設 が 限 ら れ
る。
整合化は困難。
11
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
9.
ダ ス ト 試 料
の採取方法
− 規定なし。
ISO 9096
○
11.4
予備測定が早い段階で行
われたならば
,
その後にガス速
度や温度の変化が起きていな
いか確認する必要があり
,
実際
の試料採取前に測定を繰り返
すこと。
≠
JIS Z 8808
には規定されて
いない。
予備測定の繰返しは労力を増大
させる。
整合化可能。
− 規定なし。
ISO 9096
○
11.2
流れの状態が極めて安定(流速
の変動:<
5%
)
。試料採取前に
行った温度と速度から等速吸
引流量を算出。
流れの状態が安定していない
(変動:<
10%
)。等速吸引は
参照用の試料採取点でのガス
速度を測定しながら各点での
ガス採取をする。
変動が大きい(>
10%
)場合。
試料採取の間ガス速度を測定
して等速吸引かどうかを確認
する。変動が生じていればその
変動に応じて吸引流量を調節
する。
≠
JIS Z 8808
には規定されて
いない。
自動採取装置を用いれば,この
規定は不必要になる。
手動形の採取装置を用いる場合
は整合化は可能。
12
Z 715
1 : 2
000 (ISO
9096
: 19
9
2
)
解
説
JIS
と対応する国際規格との対比表(続き)
対比項目
規定項目
(I)
JIS
の規定内容
(II)
国 際 規 格
番号
(III)
国際規格の規定内容
(IV)
JIS
と国際規格との相違点
(V)
JIS
と国際規格との整合性が
困難な理由及び今後の対策
− 規定なし。
ISO 9096
○
11.4.4
速度の測定と試料採取を同時
に行わない場合,試料採取が終
了した時点で直ちに各点の速
度と温度の測定を繰り返す。等
速吸引は,計算した吸引流量と
実際に吸引した流量を比較し,
実施できた(±
10%
以内)か判
断し,達成できなかったらその
測定は無効で,原因を調べて測
定をやり直す。
≠
JIS Z 8808
には規定されて
いない。
非常に安定した施設を前提とし
た規定になっている。実際の施
設では,この繰返し規定によっ
て労力は増大するか,測定その
ものができなくなる場合が多数
出てくる。
整合化は可能。
備考
1.
対比項目
(I)
及び
(III)
の小欄で, ○
は該当する項目を規定している場合, −
は規定していない場合を示す。
2.
対比項目
(IV)
の小欄の記号の意味は,次による。
≡ :
JIS
と国際規格との技術的内容は同等である。
= :
JIS
と国際規格との技術的内容は同等である。ただし,軽微な技術上の差異がある。
≠ :
JIS
は,国際規格と技術的内容が同等でない。