2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 6008-1982
マイクロ写真用解像力
試験図票とその用法
Resolution Test Chart for Microfilming−Description
and Use in Photographic Documentary Reproduction
1. 適用範囲 この規格は,マイクロ写真システムの撮影又は複製によって得られるマイクロ像の解像力
を求める解像力試験図票(以下,図票という。)及びそれを用いて解像力を試験する方法について規定する。
備考 計算機出力マイクロフィルマ及び輪転式マイクロカメラの撮影には適用しない。
引用規格:
JIS B 7133 乾燥系レンズ用生物顕微鏡
JIS B 7174 写真レンズの解像力測定方法
JIS Z 8601 標準数
関連規格:JIS Z 6001 文書用マイクロフィッシュ
JIS Z 6005 図面用35mmマイクロフィルム(処理済み銀塩フィルム)の品質
ISO 3334 Microcopying−ISO Test chart No.2-Description and use in photographic documentary
reproduction
2. 図票 図票は,次による。
(1) 図票の構成は,白地に黒く表したもので,条線の長さはピッチ(1)の10倍以上とし,幅が等しく,間隔
が幅に等しい5本の平行条線群と,これに垂直な方向の同様な平行条線群とを一組とし,幅の異なる
20組以上を平行に配置したものとする。
例: 図票の形を付図1に示す。
注(1) ピッチは,一つの条線の幅と隣接した条線の間隔との和をいう。
(2) 図票は,JIS B 7174(写真レンズの解像力測定方法)に規定する高コントラスト図票とする。
(3) 図票の各条線群のピッチの大きさは,JIS Z 8601(標準数)に規定する標準数R20の数列に準拠する。
(4) 図票の寸法と許容差は,付表1に示す。これらの測定は,図票を温度23±2℃,相対湿度50±5%の状
態に放置して,平衡状態に達したときに行う。
(5) 図票は,光沢面を有する白い写真用印画紙を用いて作成する。
(6) 図票に使用する数字の書体は,写真複製に適する書体とする。
例: これに該当するものに欧文書体の“フーツラメジウム”がある(付図1参照)。
(7) 図票の本体又は包装の外面には,図票の名称及び発行者名又はその略号を表示する。
3. 解像力試験装置 解像力試験装置は,次による。
2
Z 6008-1982
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(1) 試験には,JIS B 7133(乾燥系レンズ用生物顕微鏡)に相当する透過形顕微鏡(以下,顕微鏡という。)
を用い,接眼レンズとともに十分色消しした高品質のアポクロマート対物レンズを使用することが望
ましい。
(2) 顕微鏡の対物レンズの開口数は,予想される解像力を識別することができる十分な大きさ(解像力の
0.001倍以上)でなければならない。
(3) 顕微鏡の総合倍率は,観察される解像力(本/mm)の 〜1倍がよい。
4. 解像力の試験
4.1
試験の順序 4.2に規定する試験標板を撮影し,フィルム上の図票の像を顕微鏡で観察して解像限界
(2)を見いだし,解像力を求める。
注(2) 解像限界は,4.4を参照。
4.2
試験標板 試験標板は,フレームの大きさを長さでM(3)倍に拡大した白(4)の平板上に,2.に規定す
る図票,次に定める(2)の縮率,(3)の反射板,(4)の縮率定規などを配置したものとする(付図2参照)。こ
の場合の条件は,次による。ただし,フレームが縦位置のときは,反射率6%の反射板及び縮率定規を省
いてもよい。
注(3) Mは,縮率1 : MのときのMを表す。
(4) 平板の表面は,反射率75%以上の平滑な白で,無光沢面とする。
(1) 図票は,平板の対角線上及びその交点に配置し,対角線上の位置は対角線の長さをdとすると対角線
の交点からそれぞれ0.35d付近とする。中心を除く各図票の向きは,図票を構成する半数の平行条線
群が平板の対角線に平行であるようにする。
(2) 縮率の表示は縮率を1 : Mで表し,その数字の高さは約2Mmmとする。
(3) 反射板は,3.5M×3.5Mmm角以上の寸法とし,可視領域において波長選択性のない無光沢仕上げで,
次の反射率を有する2種類のものとする。
(a) 反射率50±3%の灰色のもの
(b) 反射率6±0.4%の黒色のもの
(4) 縮率定規は,フィルム上で十分なコントラストを有するものとし,大きさは次による。
単位 mm
幅
長さ
長さの許容差
フレームが縦位置の場合
15
5M
%
フレームが横位置の場合
15
10M
(5) 試験標板の余白には,フィルムの識別記号を付加してもよい。
(6) 1枚の平板上に,縮率の異なる試験標板を兼ねて作成してもよい。
4.3
試験標板の撮影 試験標板の撮影は,次による。
(1) 試験標板の中心がフレームの中心になるように撮影する。
(2) 縮率は,被写体の撮影縮率に合わせる。
(3) 露光量は,使用するフィルムをその指定の現像条件で処理し,試験標板のフレームにおける反射率50%
の反射板の像の濃度が1.0〜1.2に仕上がるように決める。このとき,6%の反射板は,最低濃度に近く
なり,複製フィルムの濃度管理に用いる。
4.4
解像限界の決定 解像限界の決定は,次による。
(1) 顕微鏡を明視野検鏡状態(5)にする。
3
1
5.0
0
−
3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
注(5) 明視野検鏡状態とは,ケーラー照明装置を内蔵しているものはその装置を,またそれ以外のも
のは集光器を最上位置とし,対物レンズの光軸に照明光線が一致するように照明を調節し,集
光絞り又はこれに類するものをもつものは,その絞りを対物レンズの開口数の約 相当まで絞
り,試料を観察する場合の合焦位置に合焦装置を調節した状態をいう。
(2) 顕微鏡を用いて,試験標板のフレームにおける特定方向の図票の像を観察する。半数の平行条線群の
像をピッチの大きい方から順次観察し,5本の条線の内部の3本が3本として分解していると認めら
れ,線間のすきまの存在がどうにか認められるような最小条線群をもってその方向の解像限界とする。
また,これらに垂直な半数の平行条線群の像についても同様な解像限界を見いだし,その両者のう
ち,ピッチの大きい方の条線群の解像限界をもってその点の解像限界とする。例えば,付図3におい
て,5.6が解像限界を示している。
(3) 5本の条線からなる条線群の場合,位相のずれによって像の条線数が4本又は6本となったときには,
これが分解して認められても,これを解像限界としてはならない。この現象を偽解像と呼び,正しい
解像限界は,それより大きい条線群の中に見いだされる。
(4) 一つの方向の線が解像して見えながら,これと直角方向の線が解像された状態に見えないことがある。
この現象には,観察者の乱視による場合がある。これを確かめるには,図票を元の方向に対して90°
回転してから,もう一度,同一図票を観察するとよい。それでもなお解像して見えない場合は,観察
者に起因するものではない。
4.5
解像力の求め方 解像力の求め方は,次による。
(1) 4.4によって決定した一つの図票の像の解像限界に対応する被写体の条線群の細かさ(6)の値に,Mを
乗じた量をもって,その点の解像力(本/mm)の値とする。
注(6) 細かさとは,ピッチの逆数をいい,本/mmで表す。
(2) 試験標板のフレームの解像力は,5箇所の図票の像から求めた値のうちの最低の値とする。
付表1 図票の寸法と許容差
図票A
図票B
条線群の細かさ
(本/mm)
−
−
−
−
−
−
1.0
1.1
1.25
1.4
1.6
1.8
2.0
2.2
2.5
2.8
3.2
3.6
2.0
2.2
2.5
2.8
3.2
3.6
4.0
4.5
5.0
5.6
6.3
7.1
4.0
4.5
5.0
5.6
6.3
7.1
8.0
9.0
10
11
12.5
14
8.0
9.0
10
11
12.5
14
16
18
20
22
25
28
16
18
−
−
−
−
条線群の細かさの
許容差
各条線群とも4ピッチの全体の長さは,その
公称値に対して±3%であること。
の許容差
±5%
の許容差
1〜10本/mm±5%
11〜28本/mm±10%
3
2
線の太さ
線の長さ
間隔の幅
線の太さ
4
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図票A
図票B
付図1 図票の形の例(実物大)
備考1. この印刷物である図票A及び図票Bは,被写体として使用しないこと。
2. 試験標板にはる図票の中心位置は,はる図票の外形のほぼ中央とする。
3. 図票Bの二点鎖線は,その条線群の最大ピッチを図票Aと同じ値として
使用するときの切り落とす位置を示す。
5
Z 6008-1982
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図票A
図票B
付図2 試験標板の例
6
Z 6008-1982
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
付図3 解像限界の例
マイクロ写真解像力試験図表とその用法原案作成委員会構成表
氏名
所属
(委員長)
鳥 海 史 郎
ミノルタカメラ株式会社事務機開発部
青 木 喜 彦
クスダ事務機株式会社コダック製品事業部
島 野 元 弥
日本マイクロ写真株式会社
鈴 木 弘 明
キヤノン株式会社マイクロ開発部
斎 藤 英 一
富士写真フイルム株式会社マイクロシステム部
百 瀬 道 夫
住友スリーエム株式会社マイクロフィルムデータシステム部
古 沢 茂 雄
富士マイクログラフィックス株式会社技術部
山 岡 文 男
財団法人日本写真機光学機器検査協会技術部
木 村 政 夫
東京工芸大学短期大学部
小 張 義 雄
小西六写真工業株式会社印刷産商事業部
大 橋 信 男
社団法人日本マイクロ写真協会
伊 藤 厚
工業技術院標準部
田 中 健 一
工業技術院計量研究所第一部
(事務局)
室 田 一 三
社団法人日本マイクロ写真協会