Z 4930:2011
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
3.1 X線骨密度測定装置に関わる用語 ······················································································ 1
3.2 X線骨密度測定装置の出力データに関わる用語 ···································································· 1
3.3 測定対象に関わる用語 ···································································································· 2
4 試験別ファントム種類 ······································································································· 2
5 仕様······························································································································· 3
5.1 外観 ···························································································································· 3
5.2 寸法 ···························································································································· 3
5.3 骨密度計算値 ················································································································ 3
5.4 骨密度均一性 ················································································································ 3
6 構造,寸法及び材料 ·········································································································· 3
6.1 再現性・直線性試験に用いるファントム············································································· 3
6.2 均一性試験に用いるファントム ························································································ 7
6.3 体厚依存性試験に用いるファントム··················································································· 8
6.4 ベッド面からの高さ依存性試験に用いるファントム ····························································· 10
7 試験······························································································································ 11
7.1 環境条件 ····················································································································· 11
7.2 試験項目 ····················································································································· 11
7.3 試験方法 ····················································································································· 11
8 検査······························································································································ 12
9 表示······························································································································ 12
10 取扱説明書及び試験成績書 ······························································································ 12
附属書A(参考)X線骨密度測定装置の性能評価試験方法例 ························································ 13
Z 4930:2011
(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本画像
医療システム工業会(JIRA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が改
正した日本工業規格である。これによって,JIS Z 4930:2005は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の
特許出願及び実用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
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日本工業規格 JIS
Z 4930:2011
X線骨密度測定装置用性能評価ファントム
Phantoms for performance evaluation of X-ray bone densitometer
1
適用範囲
この規格は,テーブルタイプ及び末しょう(梢)骨タイプX線骨密度測定装置の性能を評価するための
ファントム(以下,ファントムという。)について規定する。
注記1 その評価手順については,附属書A(参考)に示す。
注記2 この規格では,本文中の太字は,この規格及びJIS Z 4005で定義した用語である。この規格
及びJIS Z 4005で定義した用語が,太字で表記されていない場合,定義は適用されず意味は
文脈に沿って解釈する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 0601-1 医用電気機器−第1部:安全に関する一般的要求事項
JIS Z 4005 医用放射線用語
JIS Z 8103 計測用語
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 4005及びJIS Z 8103によるほか,次による。
3.1
X線骨密度測定装置に関わる用語
3.1.1
X線骨密度測定装置
1種又は2種のエネルギーのX線光子束の減弱を測定することによって,人体の骨密度の定量を行う測
定装置。
注記 同義語:骨塩定量分析X線装置又はX線骨塩定量分析装置。
3.2
X線骨密度測定装置の出力データに関わる用語
3.2.1
骨面積
測定対象範囲をX線によって投影した骨の面積(単位:cm2)。
3.2.2
骨密度(BMD)
測定対象範囲となる骨の中に含まれる単位骨面積当たりの無機成分の質量(単位:g/cm2又はmg/cm2)。
注記1 単位体積当たりの無機成分の質量で表してもよい(その場合の単位:g/cm3又はmg/cm3)。
2
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注記2 BMD:Bone Mineral Density
3.3
測定対象に関わる用語
3.3.1
軟組織
骨以外の体内成分(歯を除く。)
3.3.2
体厚
骨と軟組織とを合わせた厚さ。
注記 く(躯)幹骨などの測定においては,骨密度測定値に影響を与える場合がある。
3.3.3
骨等価物質
X線吸収が骨と等価な組織等価物。
例 ヒドロキシアパタイト 英名:Hydroxyapatite CAS No. 1306-06-5
3.3.4
軟組織等価物質
X線吸収が軟組織と等価な組織等価物。
例 ウレタン樹脂
4
試験別ファントム種類
再現性・直線性試験,均一性試験,体厚依存性試験及びベッド面からの高さ依存性試験に用いるファン
トムの種類は,表1,表2及び表3による。
表1−テーブルタイプ用ファントム Tの種類
種類
用途
テーブルタイプ用ファントム T-1
骨密度測定値の再現性及び直線性試験を目的とするもの
(図1参照)。
テーブルタイプ用均一性ファントム T-2
骨密度測定値の均一性試験を目的とするもの(図4参照)。
テーブルタイプ用板状ファントム T-3
骨密度測定値の体厚依存性試験を目的とするもの(図5及
び図6参照)。T-1ファントムと組み合わせて使用する。
テーブルタイプ用ファントム台 T-4
骨密度測定値のベッド面からの高さ依存性試験を目的とす
るもの(図7及び図8参照)。T-1ファントムと組み合わせ
て使用する。
注記 テーブルタイプ用ファントムは,主に腰つい(椎),大たい(腿)骨及び全身を測定するX線骨密度測定装置
などに用いる。
表2−末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PFの種類
種類
用途
高濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF-1
中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF-2
低濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF-3
図2に示す形状で,骨密度測定値の再現性及び直線性試験
を目的とするもの。ファントムの形状に適した装置測定部
の構造をもつX線骨密度測定装置に用いる。例えば,前腕
骨用X線骨密度測定装置など。
3
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表3−末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PHの種類
種類
用途
高濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PH-1
中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PH-2
低濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PH-3
図3に示す形状で,骨密度測定値の再現性及び直線性試験
を目的とするもの。ファントムの形状に適した装置測定部
の構造をもつX線骨密度測定装置に用いる。例えば,しょ
う(踵)骨用X線骨密度測定装置など。
5
仕様
5.1
外観
7.3.1の方法で試験したとき,壁面及び接着部の平滑性が保たれ,著しい変形,きず,泡及びひび割れが
あってはならない。
5.2
寸法
7.3.2の方法で試験したとき,6.1〜6.4に適合しなければならない。
5.3
骨密度計算値
7.3.3の方法で試験したとき,表4及び表5に適合しなければならない。
5.4
骨密度均一性
7.3.4の方法で試験したとき,各骨等価物質材の密度が平均値に対して±0.5 %以内でなければならない。
各関心領域に気泡があってはならない。
6
構造,寸法及び材料
6.1
再現性・直線性試験に用いるファントム
6.1.1
テーブルタイプ用ファントム T-1
テーブルタイプ用ファントム T-1の構造,寸法及び材料は,表4及び図1による。
4
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表4−テーブルタイプ用ファントム T-1及び末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PFの仕様
項目
仕様
テーブルタイプ
用ファントム
T-1
末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF
低濃度末しょう
(梢)骨タイプ用
ファントム PF-1
中濃度末しょう
(梢)骨タイプ用
ファントム PF-2
高濃度末しょう
(梢)骨タイプ用
ファントム PF-3
骨
等
価
物
質
a)
(
ヒ
ド
ロ
キ
シ
ア
パ
タ
イ
ト
)
低濃度
骨等価
物質a)
形状
円筒形
円筒形
−
−
骨密度 g/cm2
0.70±0.01
0.30±0.01
−
−
数
1
2
−
−
寸法(外径×長さ)
mm
(φ50±0.2)×(30
±0.2)
(φ15±0.2)×(90
±0.2)
−
−
骨面積 cm2
15.0±0.2
13.5±0.2
−
−
中濃度
骨等価
物質a)
形状
円筒形
−
円筒形
−
骨密度 g/cm2
1.00±0.01
−
0.60±0.01
−
数
1
−
2
−
寸法(外径×長さ)
mm
(φ50±0.2)×(30
±0.2)
−
(φ15±0.2)×(90
±0.2)
−
骨面積 cm2
15.0±0.2
−
13.5±0.2
−
高濃度
骨等価
物質a)
形状
円筒形
−
−
円筒形
骨密度 g/cm2
1.30±0.01
−
−
0.90±0.01
数
1
−
−
2
寸法(外径×長さ)
mm
(φ50±0.2)×(30
±0.2)
−
−
(φ15±0.2)×(90
±0.2)
骨面積 cm2
15.0±0.2
−
−
13.5±0.2
軟組織等価物
質(ウレタン
樹脂)
ファントム厚 mm 150±1
40±1
40±1
40±1
− X線骨密度測定装置の再現性試験には,次の骨等価物質を使用する。
テーブルタイプ用ファントム T-1:低濃度,中濃度及び高濃度の全ての骨等価物質
中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF-2:中濃度の2本の骨等価物質
− X線骨密度測定装置の直線性試験には,低濃度,中濃度及び高濃度の各々の骨等価物質を個別に使用する。
注a) 骨等価物質のヒドロキシアパタイトは,粉末状のもので,樹脂中に混ぜて濃度を調整する。
5
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単位 mm
図1−テーブルタイプ用ファントム T-1の構造
6.1.2
末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF
末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PFの構造,寸法及び材料は,表4及び図2による。
単位 mm
図2−末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PFの構造
6
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6.1.3
末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PH
末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PHの構造,寸法及び材料は,表5及び図3による。
表5−末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PHの仕様
項目
仕様
低濃度末しょう(梢)
骨タイプ用ファント
ム PH-1
中濃度末しょう(梢)
骨タイプ用ファント
ム PH-2
高濃度末しょう(梢)
骨タイプ用ファント
ム PH-3
骨
等
価
物
質
a)
(
ヒ
ド
ロ
キ
シ
ア
パ
タ
イ
ト
)
低濃度
骨等価物質a)
形状
円筒形
−
−
骨密度 g/cm2
0.20±0.01
−
−
数
1
−
−
寸法(外径×長さ)
mm
(φ30±0.2)×(50±
0.2)
−
−
骨面積 cm2
15.0±0.2
−
−
中濃度
骨等価物質a)
形状
−
円筒形
−
骨密度 g/cm2
−
0.40±0.01
−
数
−
1
−
寸法(外径×長さ)
mm
−
(φ30±0.2)×(50±
0.2)
−
骨面積 cm2
−
15.0±0.2
−
高濃度
骨等価物質a)
形状
−
−
円筒形
骨密度 g/cm2
−
−
0.60±0.01
数
−
−
1
寸法(外径×長さ)
mm
−
−
(φ30±0.2)×(50±
0.2)
骨面積 cm2
−
−
15.0±0.2
軟組織等価物質
(ウレタン樹脂)
ファントム厚 mm
40±1
40±1
40±1
− X線骨密度測定装置の再現性試験には,中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PH-2の骨等価物質を使
用する。
− X線骨密度測定装置の直線性試験には,低濃度,中濃度及び高濃度の各々の骨等価物質を個別に使用する。
注a) 骨等価物質のヒドロキシアパタイトは,粉末状のもので,樹脂中に混ぜて濃度を調整する。
7
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単位 mm
図3−末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PHの構造
6.2
均一性試験に用いるファントム
6.2.1
テーブルタイプ用均一性ファントム T-2
テーブルタイプ用均一性ファントム T-2の構造,寸法及び材料は,表6及び図4による。
表6−テーブルタイプ用均一性ファントム T-2の仕様
項目
仕様
骨等価物質a)
(ヒドロキシアパ
タイト)
形状
円筒形
骨密度 g/cm2
1.00±0.01
数
1
寸法(外径×長さ)
mm
(φ35±0.2)×(130±0.2)
骨面積 cm2
45.5±0.4
軟組織等価物質
(ウレタン樹脂)
ファントム厚 mm
150±1
注a) 骨等価物質のヒドロキシアパタイトは,粉末状のもので,樹脂中に混ぜて濃度を調整す
る。
8
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単位 mm
図4−テーブルタイプ用均一性ファントム T-2の構造
6.3
体厚依存性試験に用いるファントム
6.3.1
テーブルタイプ用ファントム T-1
テーブルタイプ用ファントム T-1の構造,寸法及び材料は,表4及び図1による。
6.3.2
テーブルタイプ用板状ファントム T-3
テーブルタイプ用板状ファントム T-3の構造,寸法及び材料は,表7,図5及び図6による。
表7−テーブルタイプ用板状ファントム T-3の仕様
項目
仕様
軟組織等価物
質(ウレタン
樹脂)
形状
板状であって,テーブルタイプ用ファントム T-1を
含む全ファントム厚をベッド面からの距離を変化さ
せることなく体厚を変更できる。
ファントム厚 mm
50±1及び100±1の2種類
X線骨密度測定装置の体厚依存性試験においては,テーブルタイプ用板ファントム T-3を
テーブルタイプ用ファントム T-1の上部に配置する。
9
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単位 mm
図5−テーブルタイプ用板状ファントム T-3(50)の構造
単位 mm
図6−テーブルタイプ用板状ファントム T-3(100)の構造
10
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6.4
ベッド面からの高さ依存性試験に用いるファントム
6.4.1
テーブルタイプ用ファントム T-1
テーブルタイプ用ファントム T-1の構造,寸法及び材料は,表4及び図1による。
6.4.2
テーブルタイプ用ファントム台 T-4
テーブルタイプ用ファントム台 T-4の構造,寸法及び材料は,表8,図7及び図8による。
表8−テーブルタイプ用ファントム台 T-4の仕様
項目
仕様
仕様
形状
升状であって,ファントム厚を変化させることなくテ
ーブルタイプ用ファントム T-1のベッド面からの距
離が変化するもの。
ファントム台厚 mm 25±1及び50±1の2種類
X線骨密度測定装置のベッド面からの高さ依存性試験においては,テーブルタイプ用ファ
ントム台 T-4をテーブルタイプ用ファントム T-1の下部に配置する。
単位 mm
図7−テーブルタイプ用ファントム台 T-4(25)の構造
11
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単位 mm
図8−テーブルタイプ用ファントム台 T-4(50)の構造
7
試験
7.1
環境条件
環境条件は,JIS T 0601-1の4.(試験に関する一般的要求事項)による。
7.2
試験項目
試験項目は,外観試験,寸法及び形状試験,骨密度計算値試験及び骨密度均一性試験とする。
7.3
試験方法
7.3.1
外観試験
全てのファントムの壁面及び接着部の平滑性並びに変形,きず,泡及びひび割れの有無について目視で
調べる。
ファントムを構成する素材が,表1〜表7に示す素材材料に適合するか調査する。
7.3.2
寸法及び形状試験
計量法に規定する検定に合格し定期校正を受けた寸法測定用具を用いて測定し,箇条6に適合するかど
うか調べる。
7.3.3
骨密度計算値試験
骨密度計算値試験の方法は,次による。
a) 7.3.2の寸法及び形状試験で得られた寸法を用いて骨面積を計算する。
b) 材料混ぜ合わせに先立って,ヒドロキシアパタイトの密度及びエポキシ樹脂の密度を,それぞれの製
造業者のデータによって確認する。
例 ヒドロキシアパタイトの密度(固形20 ℃)
2.70 g/cm3
エポキシ樹脂の密度(主剤・硬化剤の両方)(20 ℃) 1.18 g/cm3
c) 規定する骨密度に相当するヒドロキシアパタイトの量を計算し,ヒドロキシアパタイトとエポキシ樹
脂との混合比を計算する。
例 テーブルタイプ用ファントム T-2:骨密度:1.00 g/cm2 ヒドロキシアパタイトの密度:0.71
g/cm3
12
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d) c) から骨等価物質に仕上げたときのヒドロキシアパタイトの密度(g/cm3)を計算する。
e) 7.3.2の測定値から骨等価物質の体積を求め,これにヒドロキシアパタイトの密度を乗じ,骨面積で除
して骨密度(g/cm2)を求める。
f)
e) で求めた骨密度が,表4,表5及び表6に適合するかどうかを調べる。
7.3.4
骨密度均一性試験
骨密度均一性試験は,次による。
a) 切出し加工時に発生した同一ロットの骨等価物質材5個以上について,計量法に規定する検定に合格
し定期校正を受けた質量測定器で個々に質量を測定する。
b) 外形寸法は,計量法に規定する検定に合格し,かつ,定期校正を受けた寸法測定用具を用いて測定し,
体積を求める。
c) a) の試験片の質量をb) で求めたそれぞれの試験片の体積で除すことによって,5個以上の各試験片
の密度をそれぞれ計算する。
d) X線透過法(透視又は撮影)を用いて骨等価物質内に気泡が存在しないことを目視で確認する。
e) c) 及びd) の結果が,5.4に適合するかどうか調べる。
8
検査
検査は,外観検査,寸法検査,骨密度計算値検査及び骨密度均一性検査について,箇条7によって行い,
その結果並びに箇条5及び箇条6それぞれへの適合性を試験成績書として記録しなければならない。
9
表示
ファントムには,見やすい場所に消えにくい方法で,少なくとも次を表示しなければならない。
a) 名称及び形名(名称:表1〜表3に示した名称,形名:製造業者が定める形名)
b) 製造番号
c) 製造年月又はその略号
d) 製造業者名又はその略号
10 取扱説明書及び試験成績書
ファントムには,少なくとも次の事項を記載した取扱説明書及び試験成績書を添付しなければならない。
a) 材料名
b) 寸法
c) 容積及び質量
d) 骨密度計算値(小数点以下第2位まで)
e) 保管方法
f)
取扱方法
g) 取扱上の注意事項
13
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附属書A
(参考)
X線骨密度測定装置の性能評価試験方法例
A.1 使用するファントム
X線骨密度測定装置の性能評価試験には,表4〜表7及び/又は表8で規定したX線骨密度測定装置用
性能評価ファントムを用いる。
A.2 X線骨密度測定装置の性能評価試験方法
製造業者の定める機器の操作手順によって被試験機器を作動させ,次の方法によって各性能評価試験を
実施する。
A.2.1 再現性試験
A.2.1.1 同時再現性試験
注記 同時再現性試験とは,被試験機器による複数回の走査の間,ファントムの配置を変更すること
なく,同一日内に走査及び骨密度解析を行い,被試験機器による骨密度測定値の同一日内の再
現性を試験することをいう。
A.2.1.1.1 適用範囲
テーブルタイプのX線骨密度測定装置又は末しょう(梢)骨タイプのX線骨密度測定装置に適用する。
A.2.1.1.2 試験方法
試験方法は,次による。
a) ファントムの配置 被試験機器のタイプ別に応じ,表4のテーブルタイプ用ファントム T-1,中濃度
末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF-2又は表5の中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム
PH-2のいずれかを,被試験機器の測定位置に配置する。
b) ファントムを用いた走査 次の条件下で10回以上の走査を行う。
1) 走査は,同一日内に行う。
2) 10回以上の連続走査の間,ファントムの配置は変更しない。
c) 骨密度の解析 ファントム中の骨等価物質に対して,関心領域を次のように設定して骨密度を解析す
る。
1) テーブルタイプ用ファントム T-1を用いた骨密度解析に当たっては,ファントムに含まれる低濃
度,中濃度及び高濃度の3種の骨等価物質の全域に関心領域を設定する。
2) 中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF-2の骨密度解析に当たっては,ファントムに含ま
れる2本の骨等価物質の各々に1.5 cm2,計3.0 cm2の関心領域を設定する。
3) 中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PH-2の骨密度解析に当たっては,ファントムに含ま
れる骨等価物質の全域に関心領域を設定する。ただし,関心領域の設定に制約のあるX線骨密度測
定装置については,そのX線骨密度測定装置固有の関心領域を用いてもよい。
d) 性能の評価 次の式によって,同一日内の骨密度の変動係数を算出する。
(
)
100
/
1
2
i
×
−
−
=∑
x
n
x
x
C
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Z 4930:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ここに,
C: 変動係数(%)標準偏差と平均との比
xi: 同一日内の骨密度(g/cm2又はmg/cm2)
x: 同一日内の骨密度の平均値(g/cm2又はmg/cm2)
n: 走査の数(≧10)
A.2.1.2 日差再現性試験
注記 日差再現性試験とは,被試験機器による複数回の走査に当たって,毎回異なる日を測定日とし
て走査及び骨密度解析を行い,被試験機器の骨密度測定値の測定日間の再現性を試験すること
をいう。
A.2.1.2.1 適用範囲
テーブルタイプのX線骨密度測定装置又は末しょう(梢)骨タイプのX線骨密度測定装置に適用する。
A.2.1.2.2 試験方法
試験方法は,次による。
a) ファントムの配置 被試験機器のタイプ別に応じ,表4のテーブルタイプ用ファントム T-1,中濃度
末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF-2及び表5の中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム
PH-2のいずれかを,被試験機器の測定位置に配置する。
b) ファントムを用いた走査 次の条件下で10回以上の走査を行う。
1) 1日の走査回数は1回だけとする。
2) 走査日は毎回異なる日とする。
c) 骨密度の解析 ファントム中の骨等価物質に対して,関心領域を次のように設定して骨密度を解析す
る。
1) テーブルタイプ用ファントム T-1を用いた骨密度解析に当たっては,ファントムに含まれる低濃
度,中濃度及び高濃度の3種の骨等価物質の全域に関心領域を設定する。
2) 中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PF-2の骨密度解析に当たっては,ファントムに含ま
れる2本の骨等価物質の各々に1.5 cm2,計3.0 cm2の関心領域を設定する。
3) 中濃度末しょう(梢)骨タイプ用ファントム PH-2の骨密度解析に当たっては,ファントムに含ま
れる骨等価物質の全域に関心領域を設定する。ただし,関心領域の設定に制約のあるX線骨密度測
定装置については,そのX線骨密度測定装置固有の関心領域を用いてもよい。
d) 性能の評価 次の式によって,測定日間の骨密度の変動係数を算出する。
(
)
100
/
1
2
i
×
−
−
=∑
x
n
x
x
C
ここに,
C: 変動係数(%)標準偏差と平均との比
xi: 各測定日の骨密度(g/cm2又はmg/cm2)
x: 各測定日の骨密度の平均値(g/cm2又はmg/cm2)
n: 走査又は測定日の数(≧10)
A.2.2 直線性試験
A.2.2.1 適用範囲
テーブルタイプのX線骨密度測定装置又は末しょう(梢)骨タイプのX線骨密度測定装置に適用する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.2.2.2 試験方法
試験方法は,次による。
a) ファントムの配置 被試験機器のタイプ別に応じ,表4のテーブルタイプ用ファントム T-1,末しょ
う(梢)骨タイプ用ファントム PF-1,PF-2及びPF-3又は表5の末しょう(梢)骨タイプ用ファン
トム PH-1,PH-2及びPH-3から適合するファントムを選定し,被試験機器の測定位置に配置する。
b) ファントムを用いた走査 各々のファントムを3回以上走査する。
c) 骨密度の解析 ファントム中の3種の濃度の骨等価物質ごとに関心領域を設定して骨密度を解析し,
同一濃度の骨等価物質ごとに骨密度の平均値を算出する。
d) 性能の評価 次の式によって,ファントム中の各骨等価物質の骨密度の測定値及びc) から得られた
平均骨密度から両者の相関係数を算出する。
(
)(
)
(
)
(
)
∑
∑
∑
−
−
−
−
=
2
i
2
i
i
i
y
y
x
x
y
y
x
x
R
ここに,
R: 相関係数
xi: 各濃度の骨等価物質の骨密度の測定値(g/cm2又はmg/cm2)
yi: 各濃度の骨等価物質の平均骨密度(g/cm2又はmg/cm2)
x: 各濃度の骨等価物質の骨密度の測定値の平均値(g/cm2又は
mg/cm2)
y: 各濃度の骨等価物質の平均骨密度の平均値(g/cm2又はmg/cm2)
A.2.3 均一性試験
A.2.3.1 適用範囲
テーブルタイプのX線骨密度測定装置に適用する。
A.2.3.2 試験方法
a) ファントムの配置 表6のテーブルタイプ用均一性ファントム T-2を被試験機器の測定位置に配置
する。
b) ファントムを用いた走査 被試験機器の最大測定範囲に従い,ファントムを3回以上走査する。
c) 骨密度の解析 ファントム中の骨等価物質を,最大4 cm×4 cmの小領域に分割するように関心領域を
設定し,各々の小領域内で骨密度を解析する。さらに,小領域ごとに骨密度の平均値を算出する。
d) 性能の評価 次の式によって,各小領域間の平均骨密度の変動係数を算出する。
(
)
100
/
1
2
i
×
−
−
=∑
x
n
x
x
C
ここに,
C: 変動係数(%)標準偏差と平均との比
xi: 各小領域内の平均骨密度(g/cm2又はmg/cm2)
x: 各小領域内の平均骨密度の平均値(g/cm2又はmg/cm2)
n: 小領域の数
A.2.4 体厚依存性試験
A.2.4.1 適用範囲
テーブルタイプのX線骨密度測定装置に適用する。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.2.4.2 試験方法
試験方法は,次による。
a) ファントムの配置 表4のテーブルタイプ用ファントム T-1の上部に表7のテーブルタイプ用板状
ファントム T-3を載せ,両者を一体として被試験機器の測定位置に配置する。テーブルタイプ用板
状ファントム T-3は,テーブルタイプ用ファントム T-1を含めた全体的厚み(高さ)が次の3種の
いずれかとなるように厚みを選択する。
1) ファントム厚 150 mm(テーブルタイプ用板状ファントム T-3を使用しない。)
2) ファントム厚 200 mm[テーブルタイプ用板状ファントム T-3(50 mm厚)を載せる。]
3) ファントム厚 250 mm[テーブルタイプ用板状ファントム T-3(100 mm厚)を載せる。]
b) ファントムを用いた走査 a) の各々のファントムの組合せにおいて,3回以上走査を行う。
c) 骨密度の解析 a) の各々のファントムの組合せにおいて,テーブルタイプ用ファントム T-1内に含
まれる低濃度,中濃度及び高濃度の3種の骨等価物質の全域に関心領域を設定して骨密度を解析する。
さらに各ファントム厚ごとに骨密度の平均値を算出する。
d) 性能評価 次の式によって,a) の1)〜3) で得た3種のファントム厚での平均骨密度の変動係数を算
出する。
(
)
100
/
1
2
i
×
−
−
=∑
x
n
x
x
C
ここに,
C: 変動係数(%)標準偏差と平均との比
xi: 各ファントム厚での平均骨密度(g/cm2又はmg/cm2)
x: 各ファントム厚での平均骨密度の平均値(g/cm2又はmg/cm2)
n: ファントム厚の種類の数(=3)
A.2.5 ベッド面からの高さ依存性試験
A.2.5.1 適用範囲
テーブルタイプのX線骨密度測定装置に適用する。
A.2.5.1.1 試験方法
試験方法は,次による。
a) ファントムの配置 表4のテーブルタイプ用ファントム T-1の下に表8のテーブルタイプ用ファン
トム台 T-4を置き,両者を一体として被試験機器の測定位置に配置する。テーブルタイプ用ファン
トム台 T-4は,テーブルタイプ用ファントム T-1の被試験機器のベッド面からの高さが次の3種の
いずれかとなるように台の高さを選択する。
− ベッド面からの高さ 0 mm(テーブルタイプ用ファントム台 T-4は使用しない。)
− ベッド面からの高さ 25 mm[テーブルタイプ用ファントム台 T-4(25 mm厚)の高さの物を挿入
する。]
− ベッド面からの高さ 50 mm[テーブルタイプ用ファントム台 T-4(50 mm厚)の高さの物を挿入
する。]
b) ファントムを用いた走査 a) の各々のファントムの組合せにおいて,3回以上走査を行う。
c) 骨密度の解析 a) の各々のファントムの組合せにおいて,テーブルタイプ用ファントム T-1内に含
まれる低濃度,中濃度及び高濃度の3種の骨等価物質の全域に関心領域を設定して骨密度を解析する。
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Z 4930:2011
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
さらに,各ベッド面からの高さごとに骨密度の平均値を算出する。
d) 性能の評価 次の式によって,a) の1)〜3) で得られる3種のベッド面からの高さでの平均骨密度の
変動係数を算出する。
(
)
100
/
1
2
i
×
−
−
=∑
x
n
x
x
C
ここに,
C: 変動係数(%)標準偏差と平均との比
xi: 各ベッド面からの高さでの平均骨密度(g/cm2又はmg/cm2)
x: 各ベッド面からの高さでの平均骨密度の平均値(g/cm2又は
mg/cm2)
n: ベッド面からの高さの種類の数(=3)