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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 4922-1994 

放射形コンピュータ断層装置用 

ファントム 

Phantoms for emission computed tomograph 

1. 適用範囲 この規格は,放射形コンピュータ断層装置の日常精度管理を目的として,横断断層像(以

下,横断像という。)及び測定値を得るために使用するファントム(以下,ファントムという。)について

規定する。 

参考 この規格を適用する放射形コンピュータ断層装置とは,人体内の放射能分布を横断像として描

写する装置を指し,これにはSPECT (single photon emission computed tomography) 装置とPET 

(positron emission tomography) 装置とがある。 

備考 この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS K 6716 メタクリル酸メチル 

JIS K 6717 メタクリル樹脂成形材料 

JIS K 6718 メタクリル樹脂板 

JIS Z 4005 医用放射線用語 

JIS Z 8103 計測用語 

2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 4005及びJIS Z 8103によるほか,次による。 

(1) 外容器 不均一性及び感度を測定するため並びに内容器を装着するための用具。 

(2) 内容器 外容器の内部に装着して使用する容器及び用具。 

(3) 線状線源容器固定板 線状線源容器を固定するための用具。 

(4) 不均一性 横断像の各部分における感度の相違の割合。 

(5) 感度 単位断層厚から得られる単位放射能当たりの計数率の度合い。 

(6) 点状像 線状線源容器に封入された放射能水溶液の横断像。 

(7) 陰性像 放射能水溶液中に挿入したメタクリル樹脂によって形成される横断像。 

(8) 陽性像 メタクリル樹脂内の放射能水溶液によって形成される横断像。 

(9) 濃度直線性 濃度の異なる放射能水溶液に対する応答の特性。 

(10) 画像ひずみ メタクリル樹脂間の放射能水溶液によって形成される横断像のひずみ。 

3. 構成 ファントムの構成は,表1のとおりとする。 

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Z 4922-1994  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

表1 構成 

構成 

用途 

外容器 

不均一性及び感度の測定並びに内容器の装着を目的とするもの。 


点状像測定用 

点状像の空間分解能の測定を目的とするもの。 

陰性像測定用 

陰性像の空間分解能の測定を目的とするもの。 

陽性像測定用 

陽性像の空間分解能の測定を目的とするもの。 

濃度直線性測定用 

放射能濃度に対する応答の直線性の測定を目的とするもの。 

画像ひずみ測定用 

画像ひずみの測定を目的とするもの。 

4. 性能 性能は,次による。 

(1) 漏水 8.3(2)の方法で試験したとき,漏水がないこと。 

(2) 外観 8.3(3)の方法で試験したとき,壁面や接着部が平滑で,変形,きず,泡及びひび割れがないこと。 

(3) 内圧 8.3(4)の方法で試験したとき,漏水がないこと。 

5. 構造及び寸法 

5.1 

構造一般 構造一般は,次による。 

(1) ファントムは,表1に示す外容器と内容器から構成されていること。 

(2) 外容器は,内容器を取り外した状態でも使用できる構造とすること。 

(3) 堅ろうで,振動,衝撃,その他外力の影響を受けにくく,保管及び持運びに便利であること。 

(4) 表面が平滑で,内部が容易に観察できること。 

(5) 外容器には,内容器を所定の位置へ正確に装着するためのガイドを備えること。 

(6) 内容器は,外容器内の所定の位置へ正確,かつ,容易に着脱できる構造とすること。 

5.2 

外容器 外容器は,次による(付図1参照)。 

(1) 外容器の円筒の一方の底面には,内容器の挿入及び水溶液の注入ができる開口部を備え,かつ,開口

部はふたを用いて確実に密封できること。 

(2) ふたには,水溶液注入口及び栓を備え,かつ,気泡を排除するための空気だめを備えること。 

(3) 外容器の円筒の他の底面には,外容器を固定するための台座と固定用の用具を備えること。 

5.3 

内容器 

5.3.1 

点状像測定用内容器 点状像測定用内容器は,次による。 

(1) 点状像測定用内容器には,線状線源容器と2枚の線状線源容器固定板を備えること。 

(2) 2枚の線状線源容器固定板は,付図2に示すとおり,中心及びその周囲8か所にそれぞれ9対の穴を

もち,9対の穴は2枚の固定板の間でそれぞれ正確に対向すること。 

(3) 点状像測定用内容器は,線状線源容器にねじれ及びたるみの生じにくい構造とすること。 

5.3.2 

陰性像測定用内容器 陰性像測定用内容器は,次による。 

(1) 陰性像測定用内容器には,付図3に示すとおり,直径の異なる6種類の円柱群を配置すること。 

(2) 等しい直径の円柱群ごとに,各円柱の中心から中心までの間隔は,それぞれの円柱直径の2倍とする

こと。 

5.3.3 

陽性像測定用内容器 陽性像測定用内容器は,次による。 

(1) 陽性像測定用内容器には,付図4に示すとおり,直径の異なる6種類の円柱状の穴群を配置すること。 

(2) 等しい直径の円柱状の穴群ごとに,各穴の中心から中心までの間隔は,それぞれの穴の直径の2倍と

すること。 

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Z 4922-1994  

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5.3.4 

濃度直線性測定用内容器 濃度直線性測定用内容器は,次による。 

(1) 濃度直線性測定用内容器には,付図5に示すとおり,中心及びその周囲6か所に合計7個の同じ形状

の円筒容器を備えること。 

(2) 中心を除く6個の円筒容器は,容器固定板の中心軸を中心とする一つの円周上に等間隔に配置するこ

と。 

(3) いずれの円筒容器も密封できる構造とすること。 

5.3.5 

画像ひずみ測定用内容器 画像ひずみ測定用内容器には,付図6に示すとおり,格子状の溝を備え

なければならない。 

5.4 

形状・寸法 形状・寸法は,付図1〜6による。 

備考 付図に示す括弧内の文字及び数値は,参考例として示したものである。 

5.5 

寸法の許容差 5.4に規定した外容器及び内容器の寸法の許容差(1)は,表2に適合しなければならな

い。 

注(1) 外容器の厚さ及び点状像測定用内容器の線状線源固定板の内長は,規定値の範囲内から任意に

選択してもよい。 

表2 寸法の許容差 

単位 mm 

構成 

部分 

規定値 

許容差 

外容器 

内長 

200 

+1.0 

内径 

200 

+1.0 

厚さ 

5〜10 

±0.5 

最大外径 

220 

±0.5 

ガイド 

幅 

15 

−0.5 

厚さ 

−0.5 


点状像測定用 

全長 

198 

−1.0 

線源容器の内径 

1.5 

±0.5 

線源容器固定板 

直径 

198 

−1.0 

内長 

170〜180 

−1.0 

線源挿入穴 

中心穴との間隔 

25, 50, 75 

±1.0 

対向穴間のねじれ 

− 

1.0以下 

ガイド溝 

幅 

16 

+0.3 

深さ 

+0.3 

陰性像測定用 

全長 

99 

−0.5 

円柱固定板の直径 

198 

−1.0 

円柱の直径 

4, 6, 8, 10, 12, 15 

±0.2 

円柱中心間の間隔 

8, 12, 16, 20, 24, 30 

±0.5 

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Z 4922-1994  

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単位 mm 

構成 

部分 

規定値 

許容差 

ガイド溝 

幅 

16 

+0.3 

深さ 

+0.3 

陽性像測定用 

全長 

99 

−0.5 

全体直径 

198 

−1.0 

円柱状の穴の直径 

4, 6, 8, 10, 12, 15 

±0.2 

円柱状の穴の中心間の間隔 

8, 12, 16, 20, 24, 30 

±0.5 

ガイド溝 

幅 

16 

+0.3 

深さ 

+0.3 

濃度直線性測定用 

全長 

99 

−0.5 

容器固定板の直径 

198 

−1.0 

容器の内径 

30 

±0.3 

容器の深さ 

80 

±0.5 

中心容器との中心間隔 

75 

±1.0 

ガイド溝 

幅 

16 

+0.3 

深さ 

+0.3 

画像ひずみ測定用 

全長 

99 

−1.0 

角柱固定板の直径 

198 

−1.0 

溝中心間の間隔 

40 

±0.5 

溝の幅 

10 

±0.3 

ガイド溝 

幅 

16 

+0.3 

深さ 

+0.3 

6. 材料 本体を構成する材料には,JIS K 6716に規定するメタクリル酸メチル,JIS K 6717に規定する

無色透明なメタクリル樹脂成形材料,又はJIS K 6718に規定する無色透明なメタクリル樹脂板を使用する。 

7. 附属品 正確な測定値を能率的に得るための用具は,ファントムに附属させるものとする。 

備考 ここでいう附属品とは,点状像測定用内容器に使用する線源容器,外容器を空中で水平に保持

することによってファントム以外による吸収体の影響を受けずに測定するための懸垂架台,水

準器などを指す。 

8. 試験 

Z 4922-1994  

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8.1 

環境条件 環境条件は,次による。 

(1) 温度は,23±2℃とする。 

(2) 相対湿度は, (60±25) %とする。 

8.2 

試験項目 試験項目は,寸法試験,漏水試験,外観試験及び内圧試験とする。 

8.3 

試験方法 試験方法は,次による。 

(1) 寸法試験 計量法に定める検定に合格した寸法測定用具を用いて行い,5.4及び5.5に適合するかどう

かを調べる。 

(2) 漏水試験 外容器と濃度直線性測定用内容器に対し,それぞれ個別に行う。水溶液封入部に水を満た

して密封し,容器を縦及び横にしてそれぞれ24時間放置した後,漏水の有無を調べる。 

(3) 外観試験 壁面や接着部の平滑性,変形,きず,泡及びひび割れについて,目視で調べる。 

(4) 内圧試験 外容器に水を満たして30hPa以上の内圧をかけ24時間放置した後,漏水の有無を調べる。 

9. 検査 

9.1 

形式検査 形式検査は,同一形式の外容器及び内容器に対し次の項目について8.によって試験を行

い,寸法については,5.4及び5.5に適合したものを,漏水については4.(1)に適合したものを,内圧につい

ては4.(3)に適合したものを合格とする。 

(1) 寸法 

(2) 漏水 

(3) 外観 

(4) 内圧 

9.2 

受渡検査 受渡検査は,次の項目について8.によって試験を行い,4.(1)及び(2)に適合したものを合

格とする。 

(1) 漏水 

(2) 外観 

10. 表示 ファントムには,見やすい場所に消えにくい方法で,少なくとも次の事項を表示しなければな

らない。 

(1) 名称及び形名 

(2) 製造番号 

(3) 製造年月又はその略号 

(4) 製造業者名又はその略号 

(5) ふた及び外容器を正確な位置に設置させるための表示 

備考 (5)に規定する表示には,ふたの設置位置を示す点,外容器に示す線及び帯状の表示を含む。外

容器に示す線とは,外容器の中心軸を通る水平及び垂直な面,並びに内長の中心を通る直断面

が,外容器の外周と交わる位置を示す線をいい,帯状の表示とは,外部から外容器へ位置合わ

せ用の光を当てたとき,これらの線を見やすくするための表示をいう。 

11. 取扱説明書及び試験成績書 ファントムには保証書のほか,少なくとも次の事項を記載した取扱説明

書,及び試験成績書を添付しなければならない。 

(1) 材料名 

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(2) 寸法 

(3) 容量・質量 

(4) 点状像測定用内容器に使用する線源容器の材料名,種類,形名,寸法及び販売元 

(5) 保管方法 

(6) 取扱方法 

(7) 取扱い上の注意 

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Z 4922-1994  

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付図1 外容器 

付図2 点状像測定用内容器 

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付図3 陰性像測定用内容器 

付図4 陽性像測定用内容器 

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Z 4922-1994  

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付図5 濃度直線性測定用内容器 

付図6 画像ひずみ測定用内容器 

10 

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JIS Z 4922改正原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

大 出 良 平 

財団法人医療用テレビジョン研究所 

小山田 日吉丸 

財団法人癌研究会附属病院 

佐々木 康 人 

東京大学医学部 

鈴 木   豊 

東海大学医学部 

竹 中 栄 一 

関東労災病院 

山 根   巌 

IEC/TC 62国内委員会 

長 尾   清 

厚生省薬務局 

三 宅 信 弘 

通商産業省機械情報産業局 

栗 原 史 郎 

工業技術院標準部 

黒 木 勝 也 

財団法人日本規格協会 

○ 

山 口 隆 弘 

社団法人日本放射線機器工業会 

○ 

飯 野 公 則 

アロカ株式会社 

○ △ 

岩 尾 裕 文 

株式会社東芝 

○ △ 

川 口 常 昭 

株式会社日立メディコ 

○ △ 

熊 沢 良 彦 

株式会社島津製作所 

○ 

高 野 英 明 

横河メディカルシステム株式会社 

○ △ 

高 山 俊 之 

株式会社京都科学 

○ △ 

御 厨 正 喬 

安西メディカル株式会社 

○ △ 

久保田 克 利 

共立医療電機株式会社 

○ △ 

村 上 雅 彦 

東洋メディック株式会社 

(主査) 

○ △ 

星 野 光 雄 

東邦大学医学部附属大橋病院 

○ 

橋 本   宏 

社団法人日本放射線技術学会 

○ 

山 田 和 美 

社団法人日本放射線技術学会(東京日立病院) 

○ △ 

上 野 孝 志 

財団法人心臓血管研究所付属病院 

○ △ 

織 田 圭 一 

財団法人東京都老人総合研究所 

○ △ 

小野口 昌 久 

国家公務員等共済組合連合会虎の門病院 

○ △ 

中 沢 圭 治 

北里大学医学部 

○ △ 

三 浦 慶 和 

東邦大学医学部附属大森病院 

(事務局代行) 

坂ノ上 信 美 

社団法人日本放射線技術学会(三井生命保険相互会社) 

備考 ○印は小委員会委員,△印は分科会委員を示す。 

文責 JIS Z 4922(放射計コンピュータ断層装置用ファントム)改正原案作成委
員会分科会