2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 4917-1984
X線変調度伝達関数測定用
テストチャート
Test Charts for Modulation Transfer Function of X-ray Equipment
1. 適用範囲 この規格は,X線装置及び映像装置(X線フィルム,増感紙など)の変調度伝達関数(以
下,MTFという。)を測定するときに用いるX線吸収体(以下,吸収体という。)を材料とするX線MTF
測定用テストチャート(以下,テストチャートという。)について規定する。ただし,このテストチャート
で測定し,得られるのは,方形波MTFであり,正弦波MTFを求めるには換算を必要とする。
引用規格:
JIS B 7502 外側マイクロメータ
JIS B 7507 ノギス
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板
JIS K 6718 メタクリル樹脂板
関連規格:JIS Z 4916 X線用解像力テストチャート
2. 用語の意味 この規格で用いる主な用語は,次による。
(1) MTF (modulation transfer function) 像伝達系に正弦波入力を加えるとき,出力像のコントラス及び位相
が変化するが,この入出力のコントラストの比だけを空間周波数の関数として表したもの。
方形波MTFと区別するために,正弦波MTFということもある。
通常,空間周波数ゼロにおける値で1.0に正規化する。
(2) 方形波MTF (square wave MTF) 像伝達系に方形波入力を加えるとき,出力像のコントラストと位相が
変化するが,この入出力のコントラストの比だけを空間周波数の関数として表したもの。
(3) 空間周波数 (spatial frequency) 単位長さ当たりに存在する等しい幅をもつ明暗の線対の組数。単位は
通常LP/cm(1cm当たりの線対数)又はLP/mm(1mm当たりの線対数)を用いる。
3. 種類 テストチャートの種類は,吸収体の材質及び厚さ並びに形状,寸法及び配列によって表1のと
おりとする。空間周波数の変化は,等比及び等差の両系列とする。
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表1
区分
用途
種類
空間周波数の範囲
LP/mm
吸収体の厚さ
μm
1
一般用
M−1 W 50 R,
M−1 Pb 50 R
M−1 W 50 D,
M−1 Pb 50 D
0.5〜 5.0
50
高圧用
M−1 W 100 R,
M−1 Pb 100 R
M−1 W 100 D,
M−1 Pb 100 D
100
2
低圧用
M−2 SUS 45 R,
M−2 Sn 40 R
1.0〜 8.0
45又は40
M−2 SUS 45 D,
M−2 Sn 40 D
0.5〜10.0
45又は40
3
X線イメージ
インテンシフ
ァイア用
M−3 W 100 R,
M−3 Pb 100 R
M−3 W 100 D,
M−3 Pb 100 D
0.5〜 6.3
0.5〜 6.0
100
4
拡大用
M−4 Au 30 R
2.0〜 20
30
備考 表1に示す種類は,次の意味をもつ文字と数字との組合せで示す。
1項 2項
3項
4項
5項
“文字”−“数字” “文字” “数字” “文字”
(1) 1項は,MTF測定用を示す文字,M
(2) 2項は,区分を示す数字
(3) 3項は,吸収体の材料を示す文字記号(表2参照)
(4) 4項は,吸収体の厚さを示す数字(単位μm)
(5) 5項は,空間周波数の変化を示す文字
R:空間周波数の変化が等比数列であることを示す。
D:空間周波数の変化が等差数列であることを示す。
テストチャートの記号の記載例:区分が1で,吸収体の材料がタングステ
ン,その厚さが100μm,空間周波数の変化が等比の場合
M−1 W 100 R
4. 材料,構造及び形状・寸法
(1) 吸収体は表2に示す材料を用い,図2〜8に示す図形を抜き出す。吸収体は通常の取り扱いで容易に破
損しないように,図1に示す2枚の透明な保護板で挟んだ構造とする。1枚の保護板の厚さは1mm以
下,図1のa及びbは10mm以下とする。
表2
記号
材料
W
タングステン
(純度 99.5% 以上)
Pb
鉛
(純度 99.5% 以上)
SUS
ステンレス
[JIS G 4305(冷間圧延ステンレス鋼板)
に規定のSUS 304]
Sn
すず
(純度 99.5% 以上)
Au
金
(純度 99.5% 以上)
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図1 チャートの構造
なお,接着剤を使用する場合には,MTFの測定結果に影響を与えないようにする。
(2) 保護板は,JIS K 6718(メタクリル樹脂板)に規定する一般用の無色透明なメタクリル樹脂板とする。
(3) 吸収体の形状及び寸法は,種類別に図2〜8のとおりとする。
空間周波数の表示値に対する許容差は±8%以下,吸収体の厚さ及び外形寸法の許容差は±10%以下
とする。また,図2〜8に示すe, fは線群に直角な方向を示すためのものである。eは1mm以下,fは
2mm以上とする。
また,マークは左右対称に設ける。
吸収体の線群の外に設けた角穴は,MTFを正規化するためのものである。
線群の間隔は2mmとする。ただし,図8に示すものは0.5mmとする。
備考1. 吸収体の厚さの測定は,JIS B 7502(外側マイクロメータ)によるマイクロメータ,寸法測
定にはJIS B 7507(ノギス)によるノギスを用いる。
2. 空間周波数の測定は,テストチャートを拡大鏡で見るか,又は拡大投影機で観察して,規定
の許容差内にあるかどうかを調べる。
図2 M−1 W 50 R・M−1 Pb 50 R・M−1 W 100 R・M−1 Pb 100 R
備考 0.5〜0.8LP/mmの線数は3本,1.0〜5.0LP/mmは5本とする。
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図3 M−1 W 50 D・M−1 Pb 50 D・M−1 W 100 D・M−1 Pb 100 D
備考 0.5LP/mmの線数は5本,1.0〜5.0LP/mmは10本とする。
図4 M−2 SUS 45 R・M−2 Sn 40 R
備考 線数はすべて5本とする。
図5 M−2 SUS 45 D・M−2 Sn 40 D
備考 0.5LP/mmの線数は5本,1.0〜10.0LP/mmは10本とする。
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図6 M−3 W 100 R・M−3 Pb 100 R
備考 0.5〜1.6LP/mmの線数は3本,2.0〜6.3LP/mmは5本とする。
図7 M−3 W 100 D・M−3 Pb 100 D
備考 0.5LP/mmの線数は3本,0.75〜6.0LP/mmは5本とする。
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図8 M−4 Au 30 R
備考 2.0〜3.2LP/mmの線数は3本,4.0〜20LP/mmは5本とする。
5. 空間周波数 空間周波数は,表3による。
空間周波数と線幅及び線間の関係は,次式に示すとおりである。
d
u
2
1
=
ここに, u: 空間周波数 (LP/mm)
d: 線幅及び線間の寸法 (mm)
表3
種類
空間周波数
LP/mm
M−1 W 50 R,
M−1 Pb 50 R
M−1 W 100 R,
M−1 Pb 100 R
0.5,0.63,0.8,1.0,1.25,1.6,
2.0,2.5,3.2,4.0,5.0
M−1 W 50 D,
M−1 Pb 50 D
M−1 W 100 D,
M−1 Pb 100 D
0.5,1.0,1.5,2.0,2.5,3.0,4.0,
5.0
M−2 SUS 45 R,
M−2 Sn 40 R
1.0,1.25,1.6,2.0,2.5,3.2,
4.0,5.0,6.3,8.0
M−2 SUS 45 D,
M−2 Sn 40 D
0.5,1.0,1.5,2.0,2.5,3.0,4.0,
5.0,6.0,8.0,10.0
M−3 W 100 R,
M−3 Pb 100 R
0.5,0.63,0.8,1.0,1.25,1.6,
2.0,2.5,3.2,4.0,5.0,6.3
M−3 W 100 D,
M−3 Pb 100 D
0.5,0.75,1.0,1.25,1.5,1.75,
2.0,2.25,2.5,2.75,3.0,3.5,
4.0,5.0,6.0
M−4 Au 30 R
2.0,2.5,3.2,4.0,5.0,6.3,8.0,
10.0,12.5,16,20
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6. 表示及び附属資料
6.1
表示 テストチャートには次の事項を表示する。
(1) 種類の記号
(2) 空間周波数
(3) 製造番号
(4) 製造業者名又はその略号
6.2
附属資料 テストチャートには,次の附属資料を添付する。
(1) 仕様書
(2) 取扱説明書
(3) 形状,寸法及び厚さの検査成績表
(4) 製造年月及び製造番号
なお,これらの資料は包装に表示してもよい。
7. 包装 テストチャートは適当なクッションをもつ容器に収納し,輸送中に損傷が生じないようにする。
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原子力部会 医用放射線装置 及び 附属品専門委員会構成表
氏名
所属
(委員会長)
野辺地 篤 郎
聖路加国際病院
島 弘 志
通商産業省機械情報産業局
向 井 保
工業技術院標準部
代 田 久米雄
厚生省薬務局
橋 詰 雅
麻布大学獣医学部
飯 沼 武
放射線医学総合研究所
山 根 巌
株式会社日立メディコ
小 泉 祐一郎
キヤノン株式会社小杉事業所
奥 野 孝 司
朝日レントゲン工業株式会社技術部
津 田 元 久
株式会社島津製作所医用機器事業本部
岡 崎 玄 右
株式会社大林製作所川口工場
橋 本 健二郎
東京芝浦電気株式会社医用機器事業部
矢 野 太
株式会社田中レントゲン製作所
岡 部 美 夫
肥田電機工業株式会社
安 藤 喜 市
株式会社風雲堂電機製作所
関 義 孝
社団法人日本放射線機器工業会
大 出 良 平
防衛医科大学校
浜 田 政 彦
東邦大学大橋病院
竹 中 栄 一
東京大学医学部
神 田 幸 助
立正佼正会附属病院
橋 本 宏
社団法人日本放射線技術学会
山 下 久 雄
財団法人慶応ガンセンター
蜂 屋 順 一
日本電信電話公社関東逓信病院
平 松 慶 博
筑波大学
片 山 仁
順天堂大学医学部
(専門委貝)
山 本 昭
鶴見大学医学部
安 藤 正 一
日本大学歯学部
村 上 文 男
株式会社日立メディコ
(事務局)
横 溝 眞一郎
工業技術院標準部電気規格課
池 川 澄 夫
工業技術院標準部電気規格課
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Z 4917-1984
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS Z 4917 原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
野辺地 篤 郎
聖路加国際病院
大 出 良 平
防衛医科大学校
代 田 久米雄
厚生省薬務局
竹 中 栄 一
東京大学医学部
宅 間 昌 輔
工業技術院標準部
橋 詰 雅
麻生大学
浜 田 政 彦
東邦大学大橋病院
渡 辺 正 信
通商産業省機械情報産業局
橋 詰 辰 夫
株式会社島津製作所医用機器事業部
津 田 元 久
株式会社島津製作所医用機器事業部
橋 本 健二郎
東京芝浦電気株式会社医用機器事業部
矢 野 太
株式会社田中レントゲン製作所製造部
山 根 巌
株式会社日立メディコ企画室
仙 貫 忠 夫
三井記念病院放射線部
深 栖 一
早期胃癌検診協会中央診療所X線診断科
(事務局)
東 常 義
社団法人日本放射線機器工業会
関 義 孝
社団法人日本放射線機器工業会技術部
JIS Z 4917 原案調査作成分科会 構成表
氏名
所属
(主査)
橋 詰 辰 夫
株式会社島津製作所医用機器事業部
青 木 久 敏
東京芝浦電気株式会社那須工場
毛 塚 隆
伊藤放射線株式会社技術部
坂 井 光 明
株式会社ミクロメディカル
白 木 英 成
株式会社日立メディコ柏工場
竹 田 浩 美
小西六写真工業株式会社技術部
福 岡 孝 義
富士写真フイルム株式会社
三 浦 典 夫
化成オプトニクス株式会社技術部
川 村 義 彦
日本医科大学附属病院
仙 貫 忠 夫
三井記念病院放射線部
千 葉 隆 次
東京医科歯科大学歯学部病院
保 科 正 夫
東京医科歯科大学歯学部病院
(事務局)
関 義 孝
社団法人日本放射線機器工業会技術部