Z 4809:2012
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類及びサイズ ················································································································ 3
4.1 種類 ···························································································································· 3
4.2 サイズ ························································································································· 3
5 構造······························································································································· 3
5.1 一般 ···························································································································· 3
5.2 陽圧服 ························································································································· 3
5.3 密閉服 ························································································································· 3
6 性能要求事項 ··················································································································· 4
6.1 放射性物質による汚染に対する防護服の完成品 ···································································· 4
6.2 放射性物質による汚染に対する防護服の材料 ······································································· 5
6.3 放射性物質による汚染に対する防護服の縫合部 ···································································· 7
7 検査······························································································································· 8
7.1 一般 ···························································································································· 8
7.2 形式検査 ······················································································································ 8
7.3 受渡検査 ······················································································································ 8
8 表示······························································································································· 8
9 取扱説明書 ······················································································································ 8
附属書JA(参考)陽圧服の構造 ····························································································· 10
附属書JB(規定)V形防護服の材料試験 ················································································· 11
附属書JC(参考)トリチウムに対する防護 ·············································································· 12
附属書JD(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································ 13
Z 4809:2012
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,公益社団法人日本
保安用品協会(JSAA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改
正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格であ
る。
これによって,JIS Z 4809:1993は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格
JIS
Z 4809:2012
放射性物質による汚染に対する防護服
Protective clothing for use against radioactive contamination
序文
この規格は,1987年に第1版として発行されたISO 8194を基とし,その後の技術進歩及び我が国の使
用状況を考慮し,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JDに示す。
1
適用範囲
この規格は,放射性物質による汚染に対する防護を目的として使用する防護服(以下,防護服という。)
の種類,性能及び表示について規定する。ただし,放射線の遮蔽を目的とする防護服には適用しない。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 8194:1987,Radiation protection−Clothing for protection against radioactive contamination−
Design, selection, testing and use(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS K 6783 農業用エチレン・酢酸ビニル樹脂フィルム
JIS L 1092 繊維製品の防水性試験方法
JIS L 1093 繊維製品の縫目強さ試験方法
JIS L 1096 織物及び編物の生地試験方法
JIS L 1099 繊維製品の透湿度試験方法
JIS L 1913 一般不織布試験方法
JIS T 7101 医療ガス配管設備
JIS T 8001 呼吸用保護具用語
JIS T 8005 防護服の一般要求事項
JIS T 8032 化学防護服−防護服完成品の耐浸透性試験
JIS T 8051 防護服−機械的特性−突刺抵抗性試験方法
JIS T 8115 化学防護服
JIS T 8124-1 固体粉じんに対する防護服−第1部:浮遊固体粉じん防護用密閉服(タイプ5化学防護
服)の性能要求事項
2
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS T 8131 産業用安全帽
注記 対応国際規格:ISO 3873,Industrial safety helmets(MOD)
JIS T 8153 送気マスク
JIS Z 4001 原子力用語
JIS Z 4507 放射性物質で汚染された表面の除染−除染の容易性の試験及び評価の方法
JIS Z 8731 環境騒音の表示・測定方法
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS T 8001,JIS T 8115及びJIS Z 4001によるほか,次による。
3.1
防水透湿性材料(water penetration resistance and water vapour permeability material)
水は通さないが,湿気(水蒸気状)は通過する性質をもつ材料。
3.2
陽圧服(ventilated-pressurized garments)
服外から呼吸可能な空気を供給し,服内の陽圧を保持する換気加圧服で,全身又は上半身を防護する防
護服。
例 陽圧形エアラインスーツ
3.3
密閉服(unventilated-unpressurized garments)
非換気非加圧服で,呼吸器官を除く全身又は身体の一部を防護する防護服。
例 ワンピース形(カバーオール形),ツーピース形(アノラックズボン形),実験衣形,手術衣形,
エプロン形など。ただし,フード,バイザー及びブーティの有無は問わない。
なお,ブーティ(bootee)とは,着用者のかかと(踵)から爪先までを覆う,防護服のズボン
と一体になっている防護服の靴下状の延長部分。ブーツ・ソックス(boot-socks)ともいう。
3.4
縫合部(seam)
縫合,溶着又はその他の方法で作られた,防護服材料間の恒久的な接合部分。
3.5
防護係数(PF)(protection factor)
総合的な防護性能を示す係数で,作業環境空気中の平均汚染物濃度に対する防護服頭部内呼吸域空気中
の平均汚染物濃度の比。
3.6
限定使用(limited use)
放射性物質の除染が必要になるまで,又は放射性物質による汚染のため廃棄が必要になるまでの間,使
用できること。一回の使用,及び制限のある再使用を含む。
3.7
再使用可能(reusable)
放射性物質の除染が確実に行われた後,この規格の性能を満足することを条件に複数回使用できること。
3
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4
種類及びサイズ
4.1
種類
4.1.1
陽圧服
陽圧服の種類は,次による。形状例は附属書JAを参照。
a) I形 送気された空気を,排気管によって作業環境外に排気する陽圧服。
b) II形 送気された空気を,微粒子・ガス用フィルタ,弁などからなる排気管によって,作業環境中へ
排出する陽圧服。作業環境中の空気が陽圧服内へ逆流するのを防ぐため,排気管は,十分な長さをも
つものとする。
c) III形 送気された空気を,微粒子・ガス用フィルタ,弁などからなる排気口を通じて,周辺に排気す
る陽圧服。
d) IV形 排気口を特定せず,裾,袖などから,排気を周辺に排出する陽圧服。
4.1.2
密閉服
密閉服の種類は,次による。
a) V形 呼吸保護に関しては呼吸用保護具を併用し,液体及びエアロゾル状の放射性物質による汚染か
ら着用者を防護する密閉服。
b) VI形 呼吸保護に関しては呼吸用保護具を併用し,浮遊固体粉じん状の放射性物質による汚染から着
用者を防護する密閉服。
4.2
サイズ
防護服のサイズは,JIS T 8005による。
5 構造
5.1
一般
防護服の一般構造は,次による。
a) 容易に着脱でき,脱衣時に体表面又は下着を汚染しにくい構造とする。
b) 放射性物質の除染及び洗浄を容易とするため,平滑な構造とする。ただし,限定使用する防護服は,
除染及び洗浄に対する配慮を必ずしも必要としない。
5.2
陽圧服
陽圧服は,次による。
a) 頭部の窓は,十分な視野があり,光学的に欠陥が少なく,曇りにくい構造とする。
b) 着用者の動き及び姿勢にかかわりなく陽圧服内を換気でき,着用者の顔面に十分通気できるような構
造とする。
c) 排気管は,飛来物によって損傷しにくく,通常使用状態において閉鎖しない構造とする。
d) 空気流量調節用バルブは,丈夫であり,軽く,かさばらず,放射性物質を除染しやすい構造とする。
5.3
密閉服
密閉服は,次による。
a) 密閉服と同時に使用する手袋,靴,フード及び呼吸用保護具の脱着が容易な構造とする。
b) 被服の平面はボタン,ファスナ,ポケット,ベルトなどが,できるだけ突起していない構造とする。
4
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6
性能要求事項
6.1
放射性物質による汚染に対する防護服の完成品
6.1.1
一般
放射性物質による汚染に対する防護服の完成品は,JIS T 8005に規定する性能要求事項に適合しなけれ
ばならない。
6.1.2
陽圧服
6.1.2.1
防護性能
防護性能は,製造業者が定める定格流量で,JIS T 8032の6.(B法−エアロゾル及び気体の漏れ率試験)
のうち塩化ナトリウムを試験物質として使用するB1法によって服内部への漏れ率を評価し,表1の値を
満足しなければならない。
表1−陽圧服の漏れ率及び防護係数
種類
各単位負荷運動の平均漏れ率
%
全負荷運動の平均漏れ率
%
防護係数
I形
0.01以下
0.005以下
20 000以上
II形
0.02以下
0.01以下
10 000以上
III形
0.1以下
0.05以下
2 000以上
IV形
0.2以下
0.1以下
1 000以上
6.1.2.2
送気用ホース
送気用ホースは,JIS T 8153の6.3.3(ホース及び中圧ホース)に示す中圧ホースの性能要求事項に適合
しなければならない。
6.1.2.3
送気用空気
送気用空気は,作業環境外から取り入れ,JIS T 7101の5.5.2(空気圧縮機を使用する供給設備)に示す
性能要求事項に適合しなければならない。ただし,可搬式供給装置を使用する場合はJIS T 8115の5.13.1
(一般)に示す性能要求事項によってもよい。
送気量は,着用者の活動,環境温度又は送気圧力の変化に応じて表2のとおり調節できる。
表2−陽圧服への送気量
条件
送気量
空気流量調整弁を誤って閉じた場合a)
3.6 m3/h(60 L/min)
通常の使用状態
9〜15 m3/h(150〜250 L/min)
高温,重労働など服内換気を要する場合
最大30 m3/h(500 L/min)まで
注a) 空気流量調整弁を誤って閉じた場合でもバイパス弁などによって確保さ
れる最小の送気量。
6.1.2.4
内圧保持性能
内圧保持性能は,静止した被験者の着用する陽圧服に送気量200 L/min又は製造業者の定める定格流量
の送気用空気を供給したとき,内圧が外気圧より高く保持されなければならない。
内圧は,外気圧より0.1〜0.3 kPa高いのが望ましい。
6.1.2.5
頭部の衝撃吸収性及び耐貫通性
頭部衝撃に対する防護効果を必要とする陽圧服の頭部の衝撃吸収性及び耐貫通性は,JIS T 8131の5.1.1
(衝撃吸収性)及び5.1.2(耐貫通性)に示す性能要求事項に適合しなければならない。
5
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.1.2.6
音圧レベル
頭部の音圧レベルは,送気量200 L/min又は製造業者の定める定格流量で,JIS Z 8731に規定する定常
騒音の測定方法によって試験したとき,着用者の耳の近傍で80 dB(A)以下であることが望ましい。
6.1.3
密閉服
6.1.3.1
耐液体浸透性
V形の耐液体浸透性は,防護服の使用条件,作業環境などを考慮し,JIS T 8115の5.6[耐液体浸透性(ジ
ェット試験)]又は5.7[耐液体浸透性(スプレー試験D1法)]に規定する性能要求事項のいずれかに適合
しなければならない。
6.1.3.2
耐浮遊粒子浸透性
V形及びVI形の耐浮遊粒子浸透性は,防護服の使用条件,作業環境などを考慮し,JIS T 8115の5.9[耐
ミスト浸透性(スプレー試験F法)]に規定する性能要求事項又はJIS T 8124-1の4.3.2(防護服完成品の
微粒子エアロゾル漏れ率)に規定する性能要求事項のいずれかに適合しなければならない。
6.2
放射性物質による汚染に対する防護服の材料
6.2.1
一般
防護服の材料は,防護服の使用条件,作業環境などに応じて選択する。
6.2.2
物理性能
6.2.2.1
一般
放射性物質による汚染に対する防護服の材料は,6.2.2.2〜6.2.2.6の特性を試験し,表3〜表7に示すクラ
スに分類する。
ただし,V形の防護服の材料としてエチレン・酢酸ビニル樹脂フィルムを用いる場合は,JB.3に示す性
能要求事項に適合することで6.2.2.2及び6.2.2.3の性能要求事項に代えることができる。
6.2.2.2
引張強さ
引張強さは,JIS L 1096の附属書J(繊維製品−生地の引張特性−引張強さ及び伸び率の測定−ストリ
ップ法)によって試験し,材料の最低性能方向で,平均引張強さから表3に示すクラスに分類する。材料
が異なる素材の組合せの場合には,全ての層を一体として試験する。
再使用可能な陽圧服に用いる材料は,クラス4以上,限定使用する陽圧服に用いる材料は,クラス3以
上,密閉服に用いる材料は,クラス1以上でなければならない。
表3−引張強さの分類
単位 N
クラス
平均引張強さ
6
1000を超え
5
500を超え 1000以下
4
250を超え
500以下
3
100を超え
250以下
2
60を超え
100以下
1
30を超え
60以下
6.2.2.3
引裂強さ
引裂強さは,JIS L 1913の6.4.2(トラペゾイド法)によって試験し,材料の最低性能方向で,平均引張
強さから表4に示すクラスに分類する。材料が異なる素材の組合せの場合には,全ての層を一体として試
験する。
6
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
陽圧服に用いる材料は,クラス3以上,密閉服に用いる材料は,クラス1以上でなければならない。
表4−引裂強さの分類
単位 N
クラス
平均引張強さ
6
150を超え
5
100を超え 150以下
4
60を超え 100以下
3
40を超え 60以下
2
20を超え 40以下
1
10を超え 20以下
6.2.2.4
突刺強さ
突刺強さは,JIS T 8051によって試験し,平均突刺強さから表5に示すクラスに分類する。材料が異な
る素材の組合せの場合には,全ての層を一体として試験する。
陽圧服に用いる材料は,クラス2以上,密閉服に用いる材料は,クラス1以上でなければならない。
表5−突刺強さの分類
単位 N
クラス
平均突刺強さ
6
250を超え
5
150を超え 250以下
4
100を超え 150以下
3
50を超え 100以下
2
10を超え 50以下
1
5を超え 10以下
6.2.2.5
摩耗強さ
摩耗強さは,JIS L 1096の8.19.5[E法(マーチンデール法)]によって,次の研磨紙及び試験手順で試
験し,損傷が生じた摩擦回数の最小値から表6に示すクラスに分類する。
a) 研磨紙 JIS T 8115の附属書F(研磨紙の仕様)に示す研磨紙。
b) 試験手順 試験片は,マーチンデール摩耗試験機の摩擦台に取り付けることのできる適切な大きさの
4枚の試験片とし,織フェルトの上に重ねて摩擦台に載せる。研磨紙を,裏面にポリウレタンフォー
ムのシートを重ねて,試料ホルダにしわのないように取り付け,9±0.2 kPaの押圧で試験する。
織フェルト又はポリウレタンフォームが支障となり,試験片又は研磨紙がしわのない状態で取り付
けられない場合は,試験報告書にこれらを使用しなかったことを記載し,織フェルト又はポリウレタ
ンフォームを外し,試験してもよい。
陽圧服の材料は,JIS T 8115の附属書G(材料試験片漏れ試験)で試験し,非摩耗材料と摩耗材料との
差が,1分間で0.1 kPaを超えるとき,損傷したと判定する。
密閉服の材料は,防護服の性能に強い影響を与える異常を目視によって摩耗の程度から評価し,損傷し
たと判定する。
材料が異なる素材の組合せの場合には,全ての層を一体として試験する。
陽圧服に用いる材料は,クラス3以上,密閉服に用いる材料は,クラス1以上でなければならない。
7
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6−摩耗強さの分類
単位 回
クラス
定められた損傷に達する摩擦回数
6
2000を超え
5
1500を超え 2000以下
4
1000を超え 1500以下
3
500を超え 1000以下
2
100を超え
500以下
1
10を超え
100以下
6.2.2.6
屈曲強さ
屈曲強さは,JIS T 8115の附属書JB(屈曲強さ試験)で6枚の試料(縦方向3枚,横方向3枚)を試験
し,損傷が生じた屈曲回数の最小値から表7に示すクラスに分類する。
陽圧服の材料は,JIS T 8115の附属書G(材料試験片漏れ試験)で試験し,非屈曲材料と屈曲材料との
差が,1分間で0.1 kPaを超えるとき,損傷したと判定する。
密閉服の材料は,防護服の性能に強い影響を与える異常を目視によって屈曲の程度から評価し,損傷し
たと判定する。
材料が異なる素材の組合せの場合には,全ての層を一体として試験する。
再使用可能として使用する陽圧服に用いる材料は,表7のクラス4以上でなければならない。限定使用
として使用する陽圧服に用いる材料は,表7のクラス1以上でなければならない。
密閉服に用いる材料は,表7のクラス1以上でなければならない。
表7−屈曲強さの分類
単位 回
クラス
定められた損傷に達する屈曲回数
6
100 000を超え
5
40 000を超え 100 000以下
4
15 000を超え 40 000以下
3
5 000を超え 15 000以下
2
2 500を超え
5 000以下
1
1 000を超え
2 500以下
6.2.3
防水透湿性
V形の防護服に防水透湿性材料を用いる場合には,JB.2に示す性能要求事項に適合しなければならない。
6.2.4
除染の容易性
除染の容易性は,再使用可能として使用する防護服について実施する。防護服の使用環境,使用条件な
どを考慮し,受渡当事者間の協定によってJIS Z 4507の4.(評価方法A)又は附属書1[評価方法B(ISO
法)]で試験を行う。
6.3
放射性物質による汚染に対する防護服の縫合部
6.3.1
縫合部強さ
縫合部強さは,直線縫合部分をJIS L 1093の附属書A[A-3法(ISO法)]によって,つかみ間隔を100
±1 mm及び引張速度を50 mm/minで試験し,試験した中で最も弱い部位の縫合部強さから表8に示すク
ラスに分類する。陽圧服の縫合部強さは,クラス5以上,密閉服の縫合部強さは,クラス1以上でなけれ
ばならない。
8
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表8−縫合部強さの分類
単位 N
クラス
平均縫合部強さ
6
500を超え
5
300を超え 500以下
4
125を超え 300以下
3
75を超え 125以下
2
50を超え 75以下
1
30を超え 50以下
7
検査
7.1
一般
防護服の検査は,形式検査1) と受渡検査2) とに区分する。
なお,受渡検査の抜取り方式は,受渡当事者間の協定による。
注1) 製品の品質が,設計で示した全ての特性を満足するかどうかを判定するための検査。
2) 既に形式検査に合格したものと同じ設計・製造による製品の受渡しをする場合,必要と認める
特性が満足するものであるかどうかを判定するための検査。
7.2
形式検査
形式検査は,箇条6の規定に適合しなければならない。ただし,限定使用として使用する防護服は,6.2.2.4
〜6.2.2.6については,防護服の使用条件,作業環境などを考慮し,受渡当事者間の協定によって試験の一
部又は全てを省略してもよい。
7.3
受渡検査
受渡検査は,合理的な抜取り方式で行い,箇条6の規定に適合しなければならない。ただし,6.1.3,6.2
及び6.3については,防護服の使用条件,作業環境などを考慮し,受渡当事者間の協定によって試験の一
部又は全てを省略してもよい。
8
表示
この規格の全ての要求事項に適合した防護服には,本体の見やすい場所又は包装に,少なくとも次の事
項を表示しなければならない。
a) 規格名称及び規格番号
b) 種類
c) サイズ
d) 製造年又はその略号。ただし,製造業者の指定する保管期間が24か月未満の製品は製造年月。
なお,この情報は,製品への表示に代えて,販売用包装単位ごとに表示してもよい。
e) 製造業者名又はその略号
9
取扱説明書
放射性物質による汚染に対する防護服には,次の事項について記載した取扱説明書を添付しなければな
らない。
a) 使用上の制限事項(例えば,用いてはならない作業環境条件など)
b) 使用方法及び使用上の注意事項(着脱方法,送気流量と防護係数との関係,定格流量,緊急時の応対
9
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
方法など)
c) 使用前後の点検,整備及び保管方法並びにそれらの注意事項
d) 再使用可能とする防護服の放射性物質の除去方法及び洗浄方法並びにそれらの注意事項
e) 製造業者が推奨する保管条件での保管期間
f)
一般製品情報(試験方法,試験結果によるクラス分類及び性能要求事項に適合していることの情報)
g) その他必要な事項(防護服の使用材料,焼却試験結果など)
10
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JA
(参考)
陽圧服の構造
箇条4に規定する陽圧服の種類及び構造の例を,図JA.1に示す。
図JA.1−陽圧服の種類及び構造(例)
11
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JB
(規定)
V形防護服の材料試験
JB.1
一般
この附属書は,6.2に規定する防護服の材料のうち,V形の材料についての防水透湿性能をもつ材料及び
エチレン・酢酸ビニル樹脂フィルムを用いる場合の性能要求事項について規定する。
JB.2
防水透湿性
防水透湿性能をもつ材料の防水性は,JIS L 1092の7.1.2[B法(高水圧法)]によって試験し,耐水度
98 kPa以上,透湿性は,JIS L 1099の7.2.2[B-2法(酢酸カリウム法の別法)]によって試験し,透湿度
300 g/(m2・h)以上でなければならない。
JB.3
密閉服材料としてのエチレン・酢酸ビニル樹脂フィルム
V形の材料としてエチレン・酢酸ビニル樹脂フィルムを用いる場合の性能要求事項は,JIS K 6783の6.5
(引張切断強さ及び伸び)及び6.6(引裂強さ)によって試験し,表JB.1の規定に適合しなければならな
い。
表JB.1−エチレン・酢酸ビニル樹脂フィルムの材料規定値
材料の厚さ
mm
0.1以上
0.1未満
試験項目
引張切断強さ
N
20.6以上
14.7以上
伸び
%
450以上
400以上
引裂強さ
N
5.9以上
3.9以上
12
Z 4809:2012
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書JC
(参考)
トリチウムに対する防護
JC.1
トリチウムの性質
トリチウムは水素の放射性同位体で,空気中にはトリチウムガスとして存在するほか,水蒸気としても
存在する。特に,水蒸気の状態では,経口及び皮膚呼吸によってただちに吸収され,体内の水と急速に混
合し,体液に均等に分布される。このため国内の放射線管理関連法令では,トリチウム水蒸気の管理値(空
気中濃度限度)をトリチウムガスより4桁以上低く設定している。また,トリチウム水蒸気は,防護服の
材料であるプラスチックフィルム類を透過することが知られている。
空気中に1 Bq/m3の濃度でトリチウム水蒸気が存在するとき,皮膚からのトリチウムの体内への取込量
は毎分10−2 Bq,呼吸による取込量は2×10−2 Bqで,皮膚からの吸収と呼吸からのトリチウムの取込量は,
同じレベルである(ICRP Publ.30 作業者による放射性核種の摂取の限度)。
注記 ICRP = International Commission on Radiological Protection(国際放射線防護委員会)
JC.2
防護服の構造
トリチウム水蒸気は,防護服を構成するプラスチックフィルムを通して皮膚から取り込まれるため,作
業環境においてトリチウムの呼吸による取込みを防護する必要がある濃度の場合は,皮膚からの取込みも
防護する必要がある。
このため,規格本体に示す陽圧服を用いて送風量を十分大きくし,空気による希釈を行う。さらに,呼
吸からの取込みを防護するため,エアラインマスクの併用が可能な構造とするのが望ましい(附属書JA
参照)。
この規格における防護係数は,防護服の吸入の危険を示すものとして,空気サンプルを防護服頭部から
採取し評価することになっているが,トリチウム防護服の場合には,吸入の危険に加えて皮膚からの吸収
の危険とが同じレベルで存在することから,防護係数については規定しない。
附属書JD
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS Z 4809:2012 放射性物質による汚染に対する防護服
ISO 8194:1987 Radiation protection−Clothing for protection against radioactive
contamination−Design, selection, testing and use
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容
(V)JISと国際規格との技
術的差異の理由及び今後の
対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
2 引用規格
3 用語及び
定義
用語の定義
3
JISとほぼ同じ
追加
変更
3.1,3.4,3.6及び3.7を追加した。また,
JIS T 8115など他の関連JISにおける用語
の使い方との混乱を避けるため3.2,3.3は
例を追加した。実質的な技術的差異はな
い。
4 種類及び
サイズ
4.1 種類
4.1.1 陽圧服
4.1
4.1.1
JISとほぼ同じ
一致
4.1.2 密閉服
5
非換気非加圧服
追加
V形,VI形を具体的に規定した。
ISOへの提案を検討する。
−
4.2
気密性
削除
旧概念であるため削除した。
ISOへの提案を検討する。
4.2 サイズ
−
−
追加
ユーザの選択を容易にするため追加した。 ISOへの提案を検討する。
5 構造
5.1 一般
4.3.3
4.4.3
5.2.1
JISとほぼ同じ
一致
5.2 陽圧服
4.4
4.4.1
4.5.1
4.5.3
4.5.7
JISと同じ
一致
5.3 密閉服
5.2
5.2.1
JISと同じ
一致
2
Z
4
8
0
9
:
2
0
1
2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容
(V)JISと国際規格との技
術的差異の理由及び今後の
対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
6 性能要求
事項
6.1 放射性物質による
汚染に対する防護服の
完成品
6.1.1 一般
−
−
追加
我が国の実運用に資するため,追加した。 ISOへの提案を検討する。
6.1.2.1 防護性能
附属書A
防護レベルを決定する
試験方法
変更
同等のJIS試験方法を引用した。
ISOへの提案を検討する。
6.1.2.2 送気用ホース
4.5.7
送気用ホースの特徴
変更
性能についてJISを引用した。
ISOへの提案を検討する。
6.1.2.3 送気用空気
4.5.2
4.5.3
4.5.5
空気供給流量
流量の調整
呼吸用空気の特性
追加
性能についてJISを引用した。
ISOへの提案を検討する。
6.1.2.4 内圧保持性能
4.5.4
JISとほぼ同じ
変更
技術進歩によって,内圧保持性能がISO規
定以下でも防護係数を満足できるように
なったため。
6.1.2.5 頭部の衝撃吸収
性及び耐貫通性
4.4.4.4
JISと同じ
一致
6.1.2.6 音圧レベル
4.6
JISとほぼ同じ
一致
分かりやすい説明にした。
6.1.3.1 耐液体浸透性
−
−
追加
適合性評価に資する規格とするため,JIS T
8115の試験項目を追加した。
ISOへの提案を検討する。
6.1.3.2 耐浮遊粒子浸透
性
−
−
追加
適合性評価に資する規格とするため,JIS T
8124-1の試験項目を追加した。
ISOへの提案を検討する。
6.2.2 物理性能,引張強
さ,引裂強さ,突刺強さ,
摩耗強さ,屈曲強さ
6.2.3 防水透湿性
−
−
追加
国内流通品に対する標準化を目的として
追加した。また,適合性評価に資する規格
とするため,JIS T 8115及びENに準拠す
る規定を追加した。
ISOへの提案を検討する。
6.2.4 除染の容易性
−
−
追加
防護服の管理上,必要な評価として追加し
た。
ISOへの提案を検討する。
6.3 放射性物質による
汚染に対する防護服の
縫合部
−
−
追加
適合性評価に資する規格とするため,JIS T
8115及びENに準拠する規定を追加した。
ISOへの提案を検討する。
−
5.2.2,
5.2.3
シール,手袋
削除
解説的要素が強いため削除した。
ISOへの提案を検討する。
2
Z
4
8
0
9
:
2
0
1
2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評価
及びその内容
(V)JISと国際規格との技
術的差異の理由及び今後の
対策
箇条番号
及び題名
内容
箇条番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
7 検査
−
−
追加
適合性評価に資する規格とするため,追加
した。
ISOへの提案を検討する。
8 表示
−
−
追加
適合性評価に資する規格とするため,追加
した。
ISOへの提案を検討する。
9 取扱説明
書
4.3.3,
4.3.4,
4.3.5
4.5.10,4.8
緊急装置
取扱説明書
追加
取扱説明書に記すこととしたもので,技術
的差異はない。
ISOへの提案を検討する。
附属書B
(規定)
換気加圧服の気密性測
定方法
削除
旧概念の方法であるため削除した。
ISOへの提案を検討する。
附属書C
(規定)
空気流量測定方法
削除
JISに規定があるため削除した。
ISOへの提案を検討する。
附属書JA
(参考)
陽圧服の構造
−
−
追加
規定文だけでは分かりづらいため,例示し
た。
ISOへの提案を検討する。
附属書JB
(規定)
V形防護服の材料試験
−
−
追加
現状,この材料を使用している製品が流通
しているため規定として追加した。
ISOへの提案を検討する。
附属書JC
(参考)
トリチウムに対する防
護
4.7
トリチウムに対する防
護
追加
トリチウムの性質を追加した。また,国際
規格の4.7に規定されている防護服の構造
は規定として不十分なため参考とした。
ISOへの提案を検討する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 8194:1987,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
Z
4
8
0
9
:
2
0
1
2
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。