Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本画像医療システム工業会 (JIRA)
/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 61223-3-3 : 1996, Evaluation and
routine testing in medical imaging departments−Part 3-3 : Acceptance tests−Imaging performance of X-ray
equipment for digital subtraction angiography (DSA) を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。厚生労働大臣,経済産業大臣及び日本
工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願
公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS Z 4752-3-3には,次に示す附属書がある。
附属書A(規定) 用語の索引
附属書B(参考) 補正用テストステップのないDSAファントムの例
附属書C(参考) 補正用テストステップ付きDSAファントムの例
JIS Z 4752の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Z 4752-1 第1部:総則
JIS Z 4752-2-2 第2−2部:不変性試験−撮影用カセッテ及びフィルムチェンジャにおけるフィルム・
増感紙の密着及び相対感度
JIS Z 4752-2-3 第2−3部:不変性試験−暗室安全光条件
JIS Z 4752-2-5 第2−5部:不変性試験−画像表示装置
JIS Z 4752-2-6 第2−6部:不変性試験−医用X線CT装置
JIS Z 4752-3-1 第3−1部:受入試験−診断用X線装置
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲及び目的 ············································································································ 1
1.1 適用範囲 ······················································································································ 1
1.2 目的 ···························································································································· 1
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 定義 ······························································································································ 3
3.1 要求度 ························································································································· 3
3.2 用語の用い方 ················································································································ 3
3.3 定義された用語 ············································································································· 3
4. 受入試験の概要 ··············································································································· 3
4.1 試験手順で考慮しなければならない一般条件 ······································································· 3
4.2 試験に関する文書及びデータ···························································································· 4
4.3 試験条件 ······················································································································ 4
4.4 試験パラメータ ············································································································· 4
4.5 ファントム及び試験器具を含む試験装置 ············································································· 4
4.6 試験結果の評価 ············································································································· 5
5. DSA用X線装置の試験方法 ······························································································· 5
5.1 識別 ···························································································································· 6
5.2 文書の確認 ··················································································································· 6
5.3 代表的なDSA操作モードの決定 ······················································································· 6
5.4 目視及び機能試験 ·········································································································· 6
5.5 空気カーマの測定 ·········································································································· 6
5.6 ダイナミックレンジ ······································································································· 6
5.7 DSAコントラスト感度 ···································································································· 6
5.8 DSA目視空間分解能 ······································································································· 7
5.9 アーチファクト ············································································································· 7
5.10 減弱の非線形性補正(オプション) ················································································· 7
6. 試験報告書及び適合の記述 ································································································ 7
附属書A(規定)用語の索引 ·································································································· 9
附属書B(参考)補正用テストステップのないDSAファントムの例 ············································· 11
附属書C(参考)補正用テストステップ付きDSAファントムの例 ················································ 13
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 4752-3-3:2005
(IEC 61223-3-3:1996)
医用画像部門における品質維持の評価及び
日常試験方法−
第3-3部:受入試験−ディジタル
サブトラクション血管造影(DSA)用X線装置
Evaluation and routine testing in medical imaging departments-
Part 3-3 : Acceptance tests-Imaging performance of X-ray equipment for
digital subtraction angiography (DSA)
序文 この規格は,1996年に第1版として発行されたIEC 61223-3-3, Evaluation and routine testing in medical
imaging departments−Part 3-3 : Acceptance tests−Imaging performance of X-ray equipment for digital subtraction
angiography (DSA) を翻訳し,技術的内容及び規格票の様式を変更することなく作成した日本工業規格であ
る。
なお,この規格で点線の下線を施してある“箇所”は,原国際規格にはない事項である。
1. 適用範囲及び目的
1.1
適用範囲 この規格は,X線発生システム,X線イメージインテンシファイアテレビシステムから
なる検出器,ディジタル化とディジタル画像処理用機器,画像保存やサブトラクションを含む画像操作及
び画像表示用の機器から構成される画像システムをもつDSA用装置の画質に影響を及ぼすX線装置の構
成品に適用する。
この規格は,一般のディジタル画像装置には適用しない。ただし,DSA機能が含まれている場合は,DSA
機能に限定して適用される。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
IEC 61223-3-3 : 1996 Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 3-3 :
Acceptance tests−Imaging performance of X-ray equipment for digital subtraction angiography (DSA)
(IDT)
1.2
目的 この規格は,次を定義する。
a) X線装置の上記構成要素の画像特性に関する基本的なパラメータ
b) それらのパラメータにかかわる測定量が,指定の許容範囲に適合しているかどうかを試験するための
方法
これらの方法は,主に適切な測定器を用いた非接続形測定で,据付完了時又は完了後に行う。据付
2
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
段階の署名付き試験結果を,受入試験の一部として用いてもよい。目的は,据付した装置が画質に関
する仕様に適合しているかどうかを検証することである。また,これらの仕様に合致しない機能不良
を検出することである。この規格は試験中のパラメータについての許容差を規定しない。また,次も
規定しない。
c) 機械的及び電気的な安全
d) 画質に,本質的に直接影響しないと思われる機械的,電気的及びソフトウェアの性能
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の
規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年又は発行年を付記していな
い引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 0601-1 : 1999 医用電気機器−第1部:安全に関する一般的要求事項
備考 IEC 60601-1 : 1988 Medical electrical equipment−Part 1 : General requirements for safety並びに
Amendment 1 : 1991及びAmendment 2 : 1995が,この規格と一致している。
JIS Z 4005 : 1991 医用放射線用語
備考 IEC 60788 : 1984 Medical radiology−Terminologyが,この規格と一致している。
JIS Z 4702 : 1999 医用X線高電圧装置通則
備考 IEC 60601-2-7 : 1998 Medical electrical equipment−Part 2-7 : Particular requirements for the
safety of high-voltage generators of diagnostic X-ray generatorsが,この規格の該当項目と同等で
ある。
JIS Z 4752-1 : 2001 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第1部:総則
備考 IEC 61223-1 : 1993 Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 1 :
General aspectsが,この規格と一致している。
JIS Z 4752-2-5 : 2001 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第2-5部:不変性試
験−画像表示装置
備考 IEC 61223-2-5 : 1994 Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 2-5 :
Constancy tests−Image display deviceが,この規格と一致している。
JIS Z 4752-3-1 : 2002 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第3-1部:受入試験
−診断用X線装置
備考 IEC 61223-3-1 : 1999 Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 3-1 :
Acceptance tests−Image performance of X-ray equipment for radiographic and radioscopic systems
が,この規格と一致している。
JIS H 4000 : 1999 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
IEC 60417N : 1995 Graphical symbols for use on equipment−Index, survey and compilation of the single
sheets−Thirteenth supplement
IEC 60601-1-3 : 1994 Medical electrical equipment−Part 1 : General requirements for safety-3. Collateral
standard : General requirements for radiation protection in diagnostic X-ray equipment
IEC 60878 : 1988 Graphical symbols for electrical equipment in medical practice
IEC 61223-2-4 : 1994 Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 2-4 : Constancy
tests−Hard copy cameras
3
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
3. 定義
3.1
要求度 この規格では,次のように特定の語について要求事項の記述を明確にしている。
− …(し)なければならない。 …する。 …とする。 …による。 (“shall”)
適合が必す(須)である要求事項を示す文章の末尾。
− …することが望ましい。 …するのがよい。 (“should”)
適合が必す(須)でない強い勧告を示す文章の末尾。
− …(し)てもよい。 …差し支えない。 (“may”)
要求事項に適合する方法又はその代わりの方法を述べる文章の末尾。
− 規定の,規定した (“specific”)
この規格だけに記載された情報又は他の規格における,通常特定の作動条件,試験配置又は適合
値の参照を示す語。
− 指定の,指定した (“specified”)
通常,期待する目的,パラメータ又はその使用若しくは適合試験条件に関して,機器の附属文書
又は他の文書に製造業者によって明記された限定的な情報を示す語。
3.2
用語の用い方 この規格では,本文中の太字はJIS Z 4005及びこの規格の3.3で定義する意味及び
附属書Aで定義する用語である。
備考 その概念が上に挙げた規格の中で与えられた定義にそれ程強く限定しない場合には、対応する
用語は太字にしない。
3.3
定義された用語
3.3.1
アーチファクト (ARTIFACT) 被写体内部の構造を表さず,システムのノイズ又は変調伝達関数
(MTF) に関係しない像ではっきり構造が目に見えるもの。
3.3.2
DSAコントラスト感度 (DSA CONTRAST SENSITIVITY) 背景に対してコントラストの低い血
管を描出するDSAシステムの感度。
3.3.3
DSA目視空間分解能 (DSA VISUAL SPATIAL RESOLUTION) 高コントラストの微小な構造物
を描出するDSAシステムの分解能。
備考 DSA目視空間分解能は,技術的性能及び観察者の技量の両方に依存する。
3.3.4
ダイナミックレンジ (DYNAMIC RANGE) サブトラクションに使用できる減弱の範囲。
4. 受入試験の概要
4.1
試験手順で考慮しなければならない一般条件 受入試験の目的は,機器の指定した特性が,指定し
た許容差以内にあることを実証することである。幾つかの要求事項は法律で規制される。その他の要求事
項及び仕様は,注文契約書,供給業者の小冊子(パンフレット),又はその他の規格(例えば,JIS T 0601
シリーズ)でもよい。
性能試験に先立ち,試験対象となっている機器の機器一覧をまとめておかなければならない。X線装置
及びその構成要素を,形名(形式番号)及び製造番号によって明確に識別し,注文契約書と照合されなけ
ればならない。同時に,試験手順を含む附属文書がそろっていること,納品が完了していること及びその
機器に関係する文書類がすべて完全であることも併せて確認されなければならない。
画像表示装置及びハードコピーカメラは,DSA画像システムにとってきわめて重要な部分である。受入
試験に先立ち,画像表示装置及びハードコピーカメラの性能が許容範囲にあることを確認する。
DSA機能には,撮影機能をもつディジタルX線イメージインテンシファイアテレビジョン技術が必要で
4
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ある。
透視及び一般的なX線イメージインテンシファイア応用の試験は,JIS Z 4752-3-1に規定されている。
透視機能の試験は,DSA機能の試験に先立って又はDSA機能の試験と同時に実施する。
受入試験に対しては,非接続形測定が好ましい。接続形試験が手順の一部となっている場合には,必ず,
試験の後に機器が前の状態に戻っていることを確認しなければならない。
4.2
試験に関する文書及びデータ X線装置とともに,次の文書が必要である。
− JIS T 0601シリーズ及びJIS Z 4000シリーズの該当規格に適合した記述
− 機器又は機器の部品一覧表及び納品明細書 (JIS T 0601-1)
− 購入者と供給者との間の承認仕様書
− 製造業者側において又は据付中において実施した公称焦点値のような品質重要項目を扱う試験の結
果報告書
− 機器の操作手引を含む取扱説明書
− 臨床に使用するX線装置操作条件及びこの条件が試験範囲又は機能の限界に達したかどうかについ
ての詳細
− 保守手順の範囲及び頻度についての手引き
− 必要に応じて,前回の試験報告書
− 注文契約と受入試験との間の技術的な変更の一覧表
4.3
試験条件 試験は,次のように区別する。
− 目視検査
− 機能試験
− システム動作
− 変数値についての不確かさの点検
試験は,すべてのアプリケーションにおいて,X線イメージインテンシファイアすべての入射野寸法及
びX線ビームパラメータは実際に使用する範囲にわたって実施する。この規格の条件下で試験するプログ
ラムについては,試験を実施する責任者と使用者との間で取り決める。
試験を再現するのに必要なデータは,すべて試験結果とともに記録する。記録には場所,実施日及び試
験担当者名が含まれていなければならない。
4.4
試験パラメータ 受入試験では次の項目が必要である。
− 機器の識別
− 文書のチェック
− 目視及び機能試験
− 1画像当たりの空気カーマ
− ダイナミックレンジ
− DSAコントラスト感度
− DSA目視空間分解能
− アーチファクト
− 減弱の非線形性補正(オプション)
4.5
ファントム及び試験器具を含む試験装置
4.5.1
概要 受入試験に使用する測定装置は,国内又は国際規格(該当する規格がある場合)に基づいて
校正されていることが証明されねばならない。
5
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
4.5.2
カーマ測定器 空気カーマ測定用の積算カーマ測定器のレンジの最小値は,単一の照射用で約1
μGy以下,連続の照射用で約10 μGy以下とし,不確かさは ±10 %未満とする。これには空気カーマ率(最
高2 Gy/s,負荷時間は最低1 ms)における再結合損失及びカーマ測定器のエネルギー応答と実際のX線ス
ペクトルに関する不確かさを含む。
4.5.3
観察条件 視覚的な障害によって光学機器が必要な場合,特にモニタの観察時には、適切な器具を
使用し,観察がぎらつきやまぶしさの影響を受けないようにする。
周囲の照明が指定の用途に合致しているかどうかを確認する。テレビ画面に明るい反射がないことを確
認する。また,視野内に明るい物体がないことを確認する。
画像表示装置の輝度,コントラスト調整,ウィンドウ幅及びウィンドウレベルを最適な位置に設定する。
4.5.4
空気カーマファントム すべての空気カーマ測定には、厚さ25 mmの純度99.5 %以上のアルミニ
ウム(JIS H 4000 に規定する合金番号1050)でできたファントムを使用する。
4.5.5
DSAファントム DSAファントムは,次の3種類の試験機能をもつ。
a) ダイナミックレンジ試験用ステップウェッジ DSAファントムは厚さの等しいステップを最低7枚も
ち,管電圧70 kVで少なくとも1 : 15のダイナミックレンジをもつものとする。これは,厚さ57 mm
のポリメチルメタクリレート (PMMA) でできた本体に,厚さ0.2 mmの銅板を7層に載せることによ
って実現できる。
b) 模擬血管パターン このファントムは血管を模擬した試験対象物を含む。
試験対象物は,1 cm2当たりよう素5〜10 mgの範囲のコントラストを模擬する。また,試験対象物
は,検出感度が空間分解能に大きく影響されないようにするため,十分な大きさを必要とする。通常,
試験対象物の小さいほうの寸法が画像の少なくとも5ピクセル分をカバーしていれば問題ない。
DSAファントムの二つの状態,すなわち,模擬血管パターンがX線ビームの中にある状態と外にあ
る状態を切り替える手段が備えられていなければならない。
c) 減弱の補正 減弱の補正(通常は対数圧縮)を試験するため,DSAファントムは大きな減弱ステップ
を必要とする。
その減弱ステップは,ダイナミックレンジ試験対象物[a) 参照]の7層のうちで最も厚い部分を使
用する。
DSAファントムの例を附属書B及び附属書Cに示す。
4.5.6
DSA目視空間分解能用の試験対象物 0.05 mmの鉛の試験パターンを使用して測定する。できれ
ば,空間周波数が0.6〜5 Lp/mm の範囲の試験グループが望ましい。各周波数グループ間のステップは20 %
を超えてはならない。最低空間周波数は,予測される最低測定値より少なくとも20 %低いものとする。
4.6
試験結果の評価 指定された限界値又は許容値を超える場合は,少なくとも2回の追加測定を行っ
て結果を検証する。
5. DSA用X線装置の試験方法 試験の順序は重要ではない。
できれば,透視とDSA機能の両方の試験をまとめて実施したほうが実際的である。
幾つかのアプリケーションモードを,一つの試験モードで代表して実施してもよい。一般的に,X線イ
メージインテンシファイアの設定可能な入射野寸法のそれぞれについて,試験を実施すべきである。
DSAファントム又は空気カーマファントムをX線イメージインテンシファイアの入射野の中心に合わ
せる。X線イメージインテンシファイアの入射野への直接放射線を避けるため,X線ビームを適切に絞る。
各試験は,試験の対象となっているモードに指定されているろ過を使用して実施する。試験対象モード
6
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
に別の管電圧が要求されている場合を除き,70 kVを使用するのがよい。自動露出制御システムを70 kV
に合わせるには,原子番号の小さな減弱物質をX線ビーム内のX線管に近い位置に置くとよい。
エッジ強調,画像加算平均などの後処理は,試験の対象ではないので,最低に設定するかできれば解除
しておく。
5.1
識別 試験対象の機器は,形名(形式番号),製造業者名又は供給者名,使用者名又は所有者名,据
付場所,据付日及び該当するモデルと製造番号とによって明確に識別しなければならない。この情報は記
録しなければならない。
5.2
文書の確認 4.2を参照し,必要な文書がすべてそろっていることを確認する。
5.3
代表的な DSA 操作モードの決定 適用範囲全体を代表する一つの試験手順を選択する。既存の操
作モードの中から選択してもよいし,専用の試験モードを使用してもよい。
試験手順の仕様は,注文契約書に含まれてもよい。各モードに次の条件を指定する。
− X線イメージインテンシファイアの入射面での1画像当たりの空気カーマ
− 画像収集レート
− X線イメージインテンシファイアの入射野寸法
− マトリクス,ピクセル寸法
− 画像収集のための幾何学的配置
どの試験モードがどのDSAアプリケーションモードに適用されるかを示す表を用意する。
備考 選択した試験モードのそれぞれについて,5.5,5.6,5.7,5.8及び5.9に規定する機能を試験す
る。
5.4
目視及び機能試験 少なくとも次の項目について,附属文書の記載どおりに機能するかどうかを試
験する。
− 指定されたすべてのDSA操作
− キーボードの入力及び応答
− 表示,記号及び取扱説明書との関係
5.5
空気カーマの測定 5.3の条件に従って選択したモードすべてについて,1画像当たりの空気カーマ
をX線イメージインテンシファイアの入射面にできるだけ近い位置で測定する。通常,測定は散乱線除去
グリッドと入射面との間で実施する。散乱線除去グリッドの前で測定すると,計算時にグリッド露出倍数
を含めなければならない。試験で得られた全空気カーマを照射した画像の枚数で割り,1画像当たりの空
気カーマを算出する。空気カーマの測定は,画像収集の安定した状態で実施する。
4.5.4モードで最大のX線照射野寸法で測定する。空気カーマは,画質パラメータの測定に使用する管電
圧にできるに記述されている空気カーマファントムを焦点にできるだけ近い位置に配置して測定する。ま
た,選択しただけ近い値で測定する。
備考 この線量値は,次の試験の基準値となる。
5.6
ダイナミックレンジ DSAファントム(4.5.5参照)を使用し,サブトラクションによって模擬血管
パターンの最も太い部分を描出することができるステップウェッジの最大の厚さを測定する。
ダイナミックレンジの正確な測定は容易ではないので、これは妥協した実際的な方法である。
5.7
DSAコントラスト感度 DSAファントム(4.5.5参照)は,次の二つの状態が切替え可能である。
− 模擬血管パターンがX線ビーム内にある状態又は
− 均一な物質だけの状態
マスク像を得るために,模擬血管パターンがX線ビームの外側にある状態で試験を開始する。血管造影
7
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
の造影剤が入った状態を模擬するように,模擬血管パターンがX線ビームの内側に入れて試験を続ける。
DSA画像は,造影画像からマスク像を差し引いた画像である。
手順を逆にして,まずマスク像として模擬血管パターンを撮影し,その後それを均一の物質にしてもよ
い。
DSAコントラスト感度は,ステップウェッジの何枚目のステップまで模擬血管パターンが見えているか
を数えることによって評価される。
この結果は,供給者と購入者との間で交わされた先の取り決めに従って,受け入れの可否を決めるのに
使用される。
DSAコントラスト感度は,1画像当たりの空気カーマに依存する。空気カーマが低い画像の場合,ノイ
ズの増加によってDSAコントラスト感度は低下する。
備考 DSAにおけるコントラストは,よう素濃度だけに関係し,光学的コントラストではない。
5.8
DSA目視空間分解能 DSA目視空間分解能の測定は,サブトラクション像又はサブトラクションし
いていない像上で行ってよい。どちらの画像かは,文書に記載するのがよい。
試験対象物を画像領域中央に配置して,その向きを走査線及び散乱線除去グリッド線に対して45°にし
た状態で,テストパターン(4.5.6参照)を撮影して測定する。X線ビーム内には追加の減弱物質を置かず,
低い管電圧で測定してもよい。
5.9
アーチファクト サブトラクション像におけるアーチファクトの試験は,DSAファントムと空気カ
ーマファントムを使って行う。時間依存アーチファクトを検出するためには,最低毎秒1フレーム以上で
最低20 s継続して試験を実施する。試験は,アーチファクトの有無を調べることだけに絞っている。検出
したすべてのアーチファクトは,その原因又は現象に応じて記載する。
2種類のアーチファクトを次に示す。
5.9.1
ミスレジストレーションアーチファクト 変化しない静止した被写体を撮影した2枚の画像内の
各部の空間座標が異なると,そのサブトラクション像には,にせの細部が表示される。
5.9.2
照射に関連したアーチファクト サブトラクション処理対象となる二つの画像間で線量又は線質
が異なると,照射に関連したアーチファクトが発生する。
5.10 減弱の非線形性補正(オプション) X線ビームに沿ったX線の減弱は,そのビーム経路長の非線
形性関数となる。その非線形性は,画像のサブトラクションを行う前に補正される。その際,通常に用い
られるのが生画像のピクセル値の対数をとって行う方法である。この補正の設定を誤ると,サブトラクシ
ョン像も誤ったものになる。補正を正しく行えば,模擬血管パターンがこのステップウェッジと交差して
いるので,サブトラクション像のコントラストは変化しない。
このオプション試験を行う場合は,DSAファントム(4.5.5と附属書Cを参照)を使って5.6に規定する
手順で行う。
6. 試験報告書及び適合の記述 試験報告書は,次の項目について作成しなければならない。
− 試験をしたDSA用X線装置の種類(全構成品の個体確認データを含む。)
− 主な性能及び諸仕様についての資料
− 試験機器の種類(フィルム及び現像に関するデータを含む。)
− 試験結果
− DSA用X線装置の仕様に対する適合又は不適合の記述(試験場所,日付及び試験実施担当者名を含
む。)
8
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試験報告書に記録した結果には,被試験DSA用X線装置が要求事項を満足するものであるか否かを指
摘しなければならない。
備考 フィルム現像を含む受入試験に関する結果は,初回の不変性試験のデータとして引用してもよ
い。
試験報告書の見出しは,次のとおりでなければならない。
試験報告書
ディジタルサブトラクション血管造影 (DSA) 用
X線装置の受入試験
JIS Z 4752-3-3 : 2005
この規格への適合を記述する場合には,次のとおりにしなければならない。
ディジタルサブトラクション血管造影用X線装置…の画像性能は,JIS Z 4752-3-3 : 2005に適合する。
備考 …は,例えば,装置名称,販売名称又は形式名称
9
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(規定)用語の索引
JIS Z 4005医用放射線用語
IEC 60788 : 1984
rm-..-..
国際単位系SIにおける単位名
rm-..-..*
定義のない派生語
rm-..-..+
定義のない用語
rm-..-..−
以前の単位名
rm-..-..・
短縮語
rm-..-..s
JIS T 0601-1の2.
Clause2 of IEC 60601-1
NG.2...
JIS Z 4752-3-1の3.
Clause3 of IEC 61223-1
AG-3...
JIZ Z 4752-2-Xの3.
Clause3 of IEC 61223-2-X
2-X-3...
JIS Z 4752-3-3の3.(この刊行物)
Clause3 of IEC 61223-3-3
3-3-3...
アーチファクト
ARTIFACT
3-3-3.3.1
受入試験
ACCEPTANCE TEST
AG-.2.4
X線
X-RADIATION
rm-11-01-
X線イメージインテンシファイア
X-RAY IMAGE INTENSIFIER
rm-32-39
X線管
X-RAY TUBE
rm-22-03
X線スペクトル
X-RAY SPECTRUM
rm-13-34+
X線装置
X-RAY EQUIPMENT
rm-20-20
X線ビーム
X-RAY BEAM
rm-37-05+
画像表示装置
IMAGE DISPLAY DEVICE
2-5-3.3.1
カーマ
KERMA
rm-13-10
カーマ率
KERMA RATE
rm-13-13
カーマ測定器
KERMAMETER
rm-50-01+
管電圧
X-RAY TUBE VOLTAGE
rm-36-02
機器
EQUIPMENT
NG.2.2.11
空気カーマ
AIR KERMA
rm-13-11
グリッド露出係数
GRID EXPOSURE FACTOR
rm-32-26
減弱
ATTENUATION
rm-12-08
公称焦点値
NOMINAL FOACL SPOT VALUE
rm-20-14
散乱線除去グリッド
ANTI-SCATTER GRID
rm-32-06
試験器具
TEST DEVICE
rm-71-04
自動露出制御
AUTOMATIC EXPOSURE CONTROL
rm-36-46
使用者
USER
rm-85-01
照射
IRRADIATION
rm-12-09
10
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
焦点
FOCAL SPOT
rm-20-13s
製造業者
MANUFACTURER
rm-85-03-
製造番号
SERIAL NUMBER
NG.2.12.9
線質
RADIATION QUALITY
rm-13-28
測定値
MEASURED VALUE
rm-73-08
ダイナミックレンジ
DYNAMIC RANGE
3-3-3.3.4
DSAコントラスト感度
DSA CONTRAST SENSITIVITY
3-3-3.3.2
DSA目視空間分解能
DSA VISUAL SPATIAL RESOLUTION
3-3-3.3.3
透視
RADIOSCOPY
rm-41-01
取扱説明書
INSTRUCTION FOR USE
rm-82-02
入射野
ENTRANCE FIELD
rm-34-12
入射野寸法
ENTRANCE FIELD SIZE
rm-32-43
入射面
ENTRANCE PLANE
rm-32-42
ハードコピーカメラ
HARD COPY CAMERA
2-4-3.3.1
ファントム
PHANTOM
rm-54-01
附属文書
ACCOMPANY DOCUMENTS
rm-82-01
負荷時間
LOADING TIME
rm-36-10
変調伝達関数
MODULATION TRANSFER FUNCTION
rm-73-05
放射線
RADIATION
rm-11-01
ろ過
FILTRATION
rm-12-11
11
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B(参考)補正用テストステップのないDSAファントムの例
本体
深さ10 mm,幅90 mmのすき間をもつ150 mm×150 mm×57 mmの
PMMA
挿入部
(模擬血管パターン)
血管濃度を模した純度99.5 %以上(JIS H 4000に規定する合金番号1050)
の4本の細長いアルミニウム片のついたPMMAで,長手方向に150 mm
移動させて使用する。挿入部自体は,長さはファントム本体の2倍で,
厚さは9.5〜10 mmである。厚さ0.05 mm,0.1 mm,0.2 mm,0.4 mmの4
枚のアルミニウム片を搭載している。
アルミニウム片の間隔と幅は10 mmである。
ダイナミックレンジ試験用
ステップウェッジ
厚さ0.2〜1.4 mmの銅製の七つの直線状のステップが,挿入部の長手方
向に対して直角に配置されている。
備考 次の図(図B.1)は,参考図であり正規の技術図面ではない。
12
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
DYNAMIC WEDGE
7 steps of 0,2 Cu
BODY PMMA
150 x 150 x 57
with space for insert
direction
of motion
INSERT PMMA
300 x 90 x 9,5 with
Al 99,5 stripes
0,05; 0,1; 0,2; 0,4
0,05
0,1
0,2
0,4
5
7
150
150
90
150
300
90
10
10
1
0
9,
5
0,
2
1,
4
21
IEC 870/96
図 B.1 補正用テストステップのないDSAファントム
ダイナミックウェッジ
0.2厚銅製の7段
PMMA製挿入部
300×90×9.5
アルミニウム片
0.05,0.1,0.2,0.4付き
移動方向
PMMA製本体
150×150×57の
挿入部用すき間付き
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
13
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書C(参考)補正用テストステップ付きDSAファントムの例
本体
10 mmのすき間をもつ150 mm×150 mm×23.5 mmの二つからなる
PMMA
挿入部
(模擬血管パターン)
血管濃度を模した純度99.5 %以上(JIS H 4000に規定する合金番号1050)
の4本の細長いアルミニウム片のついたPMMAで,長手方向に10 mm
移動させて使用する。挿入部自体は,厚さ9.5〜10 mm,長さ150 mm,
幅はファントム本体内のすき間より13 mm大きい。4枚のアルミニウム
片を15 mm間隔で搭載している。
アルミニウム片は,長さ150 mmで幅が5 mm厚さがそれぞれ0.05 mm,
0.1 mm,0.2 mm,0.4 mmである。
ダイナミックレンジ試験用
ステップウェッジ
厚さ0.2〜1.4 mmの銅製の七つの直線状のステップが,挿入部の長手方
向に対して直角に配置されている。また,ダイナミックウェッジはさら
に補正テスト用の1.4 mmから0.2 mmのステップを一つもっている。
備考 次の図(図C.1)は,参考図であり正規の技術図面ではない。
14
Z 4752-3-3:2005 (IEC 61223-3-3:1996)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
単位 mm
BODY PMMA
150 x 150 x 23,5
with space for insert
BODY PMMA
150 x 150 x 23,5
with space for insert
INSERT PMMA
163 x 150 x 9,5 with
Al 0,05; 0,1; 0,2; 0,4
0,05
0,1
0,2
0,4
163
5
15
5
71
0
150
9,
5
150
150
2
3,
5
150
150
2
3,
5
DYNAMIC WEDGE
7 steps of
0,2 Cu-LOG test step
18
0,
2
1,
4
direction
of motion
IEC 871/96
ダイナミックウェッジ
0.2厚銅製LOG試験
ステップ7段
PMMA製本体
150×150×23.5
挿入部用のすき間を備える
PMMA製挿入部
150×163×9.5
アルミニウム片
0.05,0.1,0.2,0.4片付き
PMMA製本体
150×150×23.5
挿入部用のすき間を備える
移動方向
図 C.1 補正用テストステップ付きDSAファントム
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。