Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
(1)
まえがき
この規格は,
工業標準化法第 12 条第 1 項の規定に基づき,
社団法人日本画像医療システム工業会 (JIRA)
/財団法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,
日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣及び厚生労働大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格及び日本工業
規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,IEC 61223-2-5 : 1994, Evaluation and routine
testing in medical imaging departments
−Part 2-5 : Constancy tests−Imaging display devices を基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣,厚生労働大臣及び日本
工業標準調査会は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願
公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について責任はもたない (
1
)
。
注(
1
)
特許権などに関する表現は,JIS Z 8301 の 5.3.2 b)3)による。
JIS Z 4752-2-5
には,次に示す附属書がある。
附属書 A(規定) 用語−用語の索引
附属書 B(参考) 標準的な試験報告書の様式例
附属書 C(参考) 対策に関する指針
附属書 D(参考) 解説
附属書 E(参考) 著者目録−テストパターンの参考文献
附属書 F(参考) 作業室での画像表示装置−周囲条件
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
(1)
目次
ページ
序文
1
1.
適用範囲及び目的
1
1.1
適用範囲
1
1.2
目的
1
2.
引用規格
2
3.
用語
2
3.1
要求範囲
2
3.2
定義
3
4.
不変性試験の概要
3
4.1
試験手順に影響する一般的条件
3
4.2
基礎値の確立
3
4.3
不変性試験の頻度
3
4.4
装置,機器及び試験条件の同一性
3
4.5
測定する性能パラメータ
4
5.
試験方法
4
5.1
概要
4
5.2
試験器具
4
5.2.1
輝度計
4
5.2.2
試験画像
4
5.3
試験手順
5
5.3.1
基礎値の確立
5
5.3.2
基礎値確立後の不変性試験
8
5.4
データの評価
8
5.5
適用される基準
9
5.6
試験報告書
9
5.7
対策
9
5.8
試験頻度
10
6.
適合に関する報告
10
図 1 グレースケールテストパターン
11
図 2 幾何学的ひずみと線状構造テストパターン
12
図 3 画像ひずみテストパターン
13
図 4 解像度テストパターン
14
図 5 カラーテストパターン
15
図 6 最適動作条件を得るための方法
16
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
目次
(2)
ページ
附属書 A(規定) 用語−用語の索引
17
附属書 B(参考) 標準的な試験報告書の様式例
19
附属書 C(参考) 対策に関する指針
21
附属書 D(参考) 解説
22
附属書 E(参考) 著者目録−テストパターンの参考文献
24
附属書 F(参考) 作業室での画像表示装置−周囲条件
25
日本工業規格
JIS
Z
4752-2-5
: 2001
(IEC 61223-2-5 : 1994)
医用画像部門における品質維持の
評価及び日常試験方法−
第 2-5 部:不変性試験−画像表示装置
Evaluation and routine testing in medical imaging departments
−
Part 2-5 : Constancy tests
−Imaging display devices
序文 この規格は,1994 年に第 1 版として発行された IEC 61223-2-5, Evaluation and routine testing in medical
imaging departments
−Part 2-5 : Constancy tests−Imaging display devices を翻訳し,技術的内容を変更するこ
となく作成した日本工業規格である。ただし,分かりやすくするため,試験項目を一覧にまとめたもので
ある。試験項目は IEC と同等である。
1.
適用範囲及び目的
1.1
適用範囲 この規格は,次の画像診断システムに使われる画像表示装置に適用する。
− ディジタルラジオグラフィ装置
− DSA 装置
− 医用 X 線 CT 装置
− 磁気共鳴画像診断装置
− 超音波画像診断装置
− 核医学診断装置
試験方法は,テストパターンを使うことを基本とする。
この規格は,間接透視装置のビデオモニタには適用しない。
この規格は,一連の個別刊行物(規格及び技術報告)の一部であり,IEC 61223-1 に規定する画像診断
システムの
不変性試験の方法に関するものである(2.参照)。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21 に基づき,IDT(一致している)
,MOD
(修正している)
,NEQ(同等でない)とする。
IEC 61223-2-5: 1994
Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 2-5 :
Con-stancy tests
−Imaging display devices (IDT)
1.2
目的 この規格は,次のことについて規定する。
a)
画像診断装置に使用される
画像表示装置の性能を表すパラメータ。
b) X
線装置の場合に,患者への不要照射を避けながら,適切な画質基準を維持するために,これらのパ
ラメータの変化量が許容限度内にあることを確認する方法。
2
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
この方法は,適切なテストパターンを表示して評価することを基本にしている。
目的は,次のとおりである。
− 装置が受け入れられた後に性能の基準レベルを定める。
− 是正が必要かもしれない性能の有意な変化をみつけ,確かめる。
測定に関しては,この規格の発行以前の規格に規定された方法を参考にしている(2.参照)
。
放射線設備は著しく個々に異なるため,この規格では,受け入れられる基準として一般的に適用できる
性能パラメータの値及び公差は規定しない。しかし,適切な改善行為が必要となるような性能パラメータ
の変動の範囲を示すための指針を規定する。
この規格は,次の内容は規定しない。
a)
機械的及び電気的安全に関する事項
b)
画質の最適化
この規格は,調整が行われた後,最適な品質の画像表示を維持するために,
画像表示装置の画質の不変
性を性能パラメータによって,試験する方法を規定している。
2.
引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発行年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。
)を適用する。
JIS Z 4005
医用放射線用語
備考 IEC 60788 : 1984 Medical radiology−Terminology が,この規格と一致している。
JIS Z 4752-2-2
医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第 2-2 部:不変性試験−撮
影用カセッテ及びフィルムチェンジャにおけるフィルム・増感紙の密着及び相対感度
備考 IEC 61223-2-2 : 1993 Evaluation and routine testing in imaging departments−Part 2-2 : Constancy
tests-Radiographic cassettes and film changers
−Film-screen contact and relative sensitivility of
the screen-cassette assembly
が,この規格と一致している。
IEC 61223-2-1 : 1993
Evaluation and routine testing in imaging departments−Part 2-1 : Constancy
tests
−Film processors
IEC 61223-2-3 : 1993
Evaluation and routine testing in imaging departments−Part 2-3 : Constancy
tests
−Darkroom safelight conditions
IEC 61223-2-4 : 1994
Evaluation and routine testing in imaging departments−Part 2-4 : Constancy
tests
−Hard copy cameras
IEC 61223-2-12 : 1994
Evaluation and routine testing in imaging departments−Part 2-12 :
Constancy tests
−Film illuminators
3.
用語
3.1
要求範囲 この規格における要求の度合いについて“でなければならない”は,この規格に従うた
めには,要求事項又は試験に適合することが強制されることを意味する。
“望ましい”は,この規格に従うためには,要求事項又は試験に適合することを勧告するが強制はしな
いことを意味する。
“してもよい”は,要求事項又は試験に対する適合性を達成するための許容される方法を述べるときに
3
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
使用する。
“規定の”は,パラメータ又は条件と組み合わせて使用する場合,通常 IEC 規格,又は法的に要求され
ている特別な値又は標準化した方法のことをいう。
“指定の”はパラメータ又は条件と組み合わせて使用する場合,通常は
附属文書で指定し,目的のため
に選ばれた数値又は方法のことをいう。
3.2
定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 4005 及び次による(附属書 A 参照)。
画像表示装置 (image display device) 画像システムから供給された入力信号から画像を表示すること
ができる装置。
4.
不変性試験の概要 画像診断システムでは画像機器の結合によって,システム画質は劣化する可能性
がある。
これは,
ハードコピーカメラと画像表示装置についてもいえる。
画像表示装置が適切に調整され維持されていれば,装置は常に一定の画像を表示する(IEC 61223-2-4
参照)
。
この規格で示す
不変性試験の方法は,操作者が画像表示装置に表示された画質の変化を検出できるよう
に意図している。
この規格で
不変性試験の結果を有効とするために,その結果が試験のパラメータの変化以外の何ものに
よっても重大な影響を受けないことを保証することが必要である。
装置を確認する操作条件と試験条件は,環境の影響を含め,注意深く検討しなければならない。
試験におけるすべての装置又は試験に使用されるすべての機器には,最初の
不変性試験で用いられたも
のとそれ以降で同じものが用いられるということを保証するために,同一性の識別が容易にできるように
記録しなければならない。試験の前に,
不変性試験に使用するすべての機器の不変性を照合しなければな
らない。
4.1
試験手順に影響する一般的条件 この規格に示す不変性試験の項目は,その結果が調査の対象とな
るパラメータの変化によってしか影響を受けない安定したものが選定されている。
試験器具と試験機器は,必要最小限に保つとともに,可能な限り受動的で本質的に単純,かつ,適度に
安定した機器に限定されている。
次のことは重要である。
− 環境変化,特に電源の変動が試験結果に与える影響に配慮しなければならない。
4.2
基礎値の確立 新しい画像診断装置を使用し始めるとき,又は試験結果に変動を生じる,画像診断
装置,
附属品若しくは試験装置の部品を変更したときは,受入試験又は現状試験によって性能の規格を満
足することを確認した直後に,新しく
不変性試験をやり直さなければならない。最初の不変性試験の目的
は,試験されるパラメータの新しい
基礎値を確立することである。
4.3
不変性試験の頻度 不変性試験は,個々の試験について述べた頻度で実施することが望ましいが,
それに加えて次の場合にも実施することが望ましい。
a)
誤動作が疑われるとき。
b)
装置の試験の対象になる性能パラメータに影響すると考えられる保守を行った直後。
c)
不変性試験の結果が設定基準から外れた場合。
4.4
装置,機器及び試験条件の同一性 試験する装置,及び試験に使用するすべての機器は,明確に同
一性を識別できなければならない。
4
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
4.5
測定する性能パラメータ 装置における性能の有意な変化を検出するために,次のパラメータを測
定する。
− グレースケールの再現性
− 画像の幾何学的ひずみ
− 空間解像度及び低コントラスト解像度
− 画像の安定性及び画像のアーチファクト
− カラー関連事項
環境パラメータを含め,装置を調べるときの標準試験条件は注意深く選択しなければならない。
この規格に従って行われるすべての関連する試験は,次による。
− 最初の
不変性試験と同一の装置,附属品類及び試験機器を使用する。
− 幾何学的配置及び環境条件を可能な限り同じにする。
不変性試験の結果と基礎値との間に大きな差異が観測されたとき,試験機器の再確認だけではなくテス
トパターンも含めた装置の配置も再確認し,測定を繰り返さなくてはならない。それでも有意な差異が認
められる場合には,適切な手段をとらなければならない(
附属書 C 参照)。
装置又は試験機器のどちらかの,試験結果に重大な変化を生じる部品が変わった場合には,新しい
基礎
値を確立しなければならない。
画像表示装置が使用されている限り,すべての試験結果の記録を保存しておかなければならない。
5.
試験方法
5.1
概要 試験画像は,画像表示装置の画質の不変性を試験するために使われる。試験画像でグレース
ケールの再現性,空間解像度,低コントラスト解像度,画像の幾何学的ひずみ,線構造及び色相を試験す
る。
5.2
試験器具
5.2.1
輝度計 表示の輝度の一定性を試験するには,±10%の精度のレフレックスビュワー型(反射光型)
の輝度計を使用しなければならない。
測定可能範囲は,0.1cd/m
2
から 500cd/m
2
でなければならない。
測定角度は,メータの開口部で 1°が望ましく 5°を超えてはならない。
5.2.2
試験画像 試験画像は,ディジタル又は電子的に発生した技術的テストパターン及び代表的な臨床
試験画像で構成するのが望ましい。この臨床試験画像は基準臨床画像とよばれる。
それぞれの試験画像は,あらかじめ定義された性能パラメータを発生する。
技術的テストパターンは,
画像表示装置の不変性を試験するための標準信号を発生する。
テストパターンの画素数は,代表的な臨床画像の画素数と同じでなければならない。
試験画像は,次の性能パラメータを試験できなければならない。
a)
グレースケールの再現性(
図 1 参照)
b)
空間解像度及び低コントラスト解像度(
図 4 参照)
c)
画像ひずみ(
図 2 及び図 3 参照)
d)
色調(
図 5 参照)
備考 図 2 及び図 3 の試験画像は,より簡潔な画像を作るために組み合わせてもよい。
臨床画像の画質を試験するために基準臨床画像が使われる。
これらの性能パラメータのために次のテストパターンが必要である。
5
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
a)
グレースケールテストパターン 試験画像は,フルダイナミックレンジの画像入力信号をディジタル
スケール上で 16 段階から 32 段階の等間隔レベルとしたグレースケールによって規定される(
図 1 参
照)
。しかし,等間隔レベルを 11 段階に減らしたグレースケールでも,最小レベル+1/2 ステップと最
大レベル−1/2 ステップの二つのレベルを追加すれば使うことができる。グレースケールのそれぞれ
のセグメントの高さは,画面高の 1/16 以上でなければならない。
備考 すべての基本的な特徴は,SMPTE パターンで実現されている(附属書 E 参照)。
最大値と最小値を表す二つの正方形を備えなければならない。それぞれの正方形の一辺の長さは,
画面高の 1/8 から 1/4 でなければならない(
図 1 参照)。
b)
解像度テストパターン 縦と横の高コントラストバーパターンは,5 か所になければならない(四隅
と中央部:
図 4 参照)。パターンの変調度は,100%でなければならない。
画像入力信号のディジタルスケールで測った最大値の 50%レベルを中心とした変調度 25%及び
6.25%
の低コントラストバーパターンもまた,テストパターンの中心におく。
すべてのパターンは,例えば,一つの画素がオン,一つの画素がオフというように最高周波数をも
っていなければならない。
備考 最高周波数において水平方向の白黒バーはリアルタイム表示でフリッカを生じさせるかもしれ
ない。これは,表示モードをインタレース(飛越し走査)で使用しているからであり,システ
ムの設計に固有のもので使用者によって問題にされるべきではない。
c)
画像ひずみテストパターン 画像ひずみは,正方形の格子パターン(クロスハッチパターン)で評価
する。
格子パターンは,全画面に 11 本から 17 本(奇数が望ましい)なければならない。横及び縦の線は
均一な背景に対しよく見えるように 100%変調度で 2 画素の太さがなければならない(
図 2 参照)。背
景は,均一なグレー画面とするため画像入力信号をディジタルスケールで測った 50%平均画像レベル
でなければならない。
境界パターンは,ひずみやフレーミングの判断を容易にするため,テストパターンの境界に設ける。
同様にテストパターンの境界内側に,サークルを付ける(
図 2 参照)。
備考 境界パターンの意味は,次のとおりである。
− 画像の境界の確認
− 画像の位置変化及び回転の確認
− 画像がすべて表示され欠けがないことの確認
d)
カラーテストパターン テストパターンは,白信号強度の 50%の背景上に,異なった 3 色,理想的に
は赤,青及び緑を備えていなければならない。
5.3
試験手順 次の試験を行う。
− 観視条件の一定性
− グレースケールの再現性
− 画像の幾何学的ひずみ
− 空間解像度及び低コントラスト解像度
− 画像安定性及びアーチファクト
− カラー関連事項
5.3.1
基礎値の確立 次の b)∼f)に示す性能パラメータの試験を実施するとき,次の内容を準備作業とし
て実施しなければならない。
6
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
− 画像表示装置の電源は,測定の少なくとも 30 分前に投入する。
−
使用者が操作可能なすべての調節部は,最初の試験時と同じ設定位置にする。
a)
観視条件の一定性 この試験は,周辺の照明による表示面の輝度の測定及び表示面への反射を目視検
査する。
測定の間,
画像表示装置の電源スイッチはオフしておかなければならない。
基礎値及び基礎条件を確立するために,少なくとも 1 週間は,毎日次の試験を行わなければならな
い。
1)
画像表示装置のスイッチオフ時の輝度測定。輝度計は観察者の通常の位置(装置の供給者が推奨す
る位置)に置き,測定は表示の同じ部分で行わなければならない。
2)
目視による画像表示面上に反射する明るい点の有無の確認。
3)
目視による
使用者の視野から見た光源の有無の確認。
最初の試験時,照明及び/又は観視条件(例えば,照明の位置,窓のシャッター,可変照明の設
定,輝度計の位置)を記録しなければならない。
輝度の
基礎値は,測定した輝度値の平均値としなければならない。
以降,試験を実施するときに,記録した条件は再現させなければならない。
追加の光源及び/又は反射光が観察されない場合は,記録した観察結果及び条件を基礎条件とす
る。
追加の光源及び/又は反射光が観察される場合は,その原因を特定し取り除かなければならない。
b)
グレースケールの再現性 この試験は,グレースケールの目視検査及び試験画像の 2 個の正方形の輝
度測定を行う。
基礎値を確立するために,少なくとも 1 週間は毎日,試験しなければならない。
テストパターンを表示し,どの階調が見分けられるか記録する。
通常の観察距離から黒白の正方形の輝度を測定しなければならない。
輝度測定領域は,白黒の正方形の完全に内側でなければならない。
測定結果及び目視検査結果は,試験報告書に記録しなければならない。
輝度における
基礎値は,黒白の正方形おのおのの輝度測定結果を平均したものでなければならない。
どの階調が区別できるかを識別するためにグレースケールを観察しなければならない。
その階調数は,基礎値として記録する。
c)
画像の幾何学的ひずみ この試験は,テストパターンを表示し,画像サイズ,位置及びひずみの程度
から表示画像の精度を調べる。
基礎値確立のための最初の試験として,目視検査と格子パターンを測定しなければならない。
テストパターンを表示し,次の手順で試験を行う。
1)
格子パターン(クロスハッチパターン) 格子パターンを目視検査し,画像最上端(線 t),最下端
(線 b)
,最左端(線 l)及び最右端(線 r)を確認する(
図 3 参照)。また,これらの線の 4 個の交
点(線 t,b,l 及び r から構成される四角形の 4 個の端)を確認しなければならない。
次に指定する直線の長さを測定する。
T
:線 t が線 l と線 r と交差する点の間の長さ
B
:線 b が線 l と線 r と交差する点の間の長さ
L
:線 l が線 t と線 b と交差する点の間の長さ
R
:線 r が線 t と線 b と交差する点の間の長さ
7
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
線 t と b 間及び線 l と r 間の線の数を数える。
線 t,b,l 及び r によって構成される四角形の最も中央に位置する線として水平線 h,垂直線 v を
それぞれ選ぶ。
次に従って線の長さを測定する。
H
:線 h が線 l と線 r と交差する点の間の長さ
V
:線 v が線 t と線 b と交差する点の間の長さ
2)
内接円 内接円が表示できる場合は,内接円のひずみ,位置精度及び画像の欠けについて目視検査
を行う。
3)
境界パターン 境界パターンが表示できる場合は,画像の 4 方向すべての端が見えていることを確
認する。
d)
空間解像度及び低コントラスト解像度 高/低コントラストバーパターンを含む画像表示の不変性を
試験するためテストパターンを用いる。
テストパターンを表示し,目視検査しなければならない。
画像の全領域においてバーパターンがどの程度細部まで識別できるかを試験する。識別できるバー
パターンの詳細について,記録しなければならない。
検査詳細例
− 四隅にある同一変調度の水平及び垂直のバーパターン間の明るさの違い
− 四隅と中央にある同一変調度の水平及び垂直のバーパターン間の明るさの違い
− 四隅と中央にある同一変調度の水平及び垂直のバーパターンの鮮鋭さ並びに中央と四隅の鮮鋭さ
− 中央部にある変調度の異なる水平バーパターン間の明るさの違い
− 中央部にある変調度の異なる垂直バーパターン間の明るさの違い
e)
画像の安定性及びアーチファクト 5.2.2 の a),c)に示すテストパターンを使用しなければならない(図
1
及び
図 2 参照)。
テストパターンを表示し,次の観点で画像安定性とアーチファクトに関して目視検査をしなければ
ならない。
所見を基礎観察結果として記録しなければならない。
所見は
不変性試験時にデータの評価に用いなければならない。
1)
画像の安定性
− 過度のフリッカが起こっていないか(フィールド信号欠落による)
− 不正確な飛び越し走査が起こっていないか
− 水平又は垂直方向への移動がないか
− 時間依存性のある幾何学的ひずみがないか
2)
画像のアーチファクト
− 蛍光体の焼付きが存在するか
− きず,欠点が存在するか
− ゴースト像が存在するか
− 黒から白への映像信号の過渡現象における反射像が存在するか
− 帰線による斜めの白線が存在するか
3)
その他,画像の一部でない画質や光学的濃度の変化は,画像アーチファクトとみなし適切に取り扱
う。
8
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
f)
カラー関連事項 カラー画像表示装置の場合には,5.3.1a)∼e)に規定する試験に加え,次の項目を目
視検査しなければならない。
− カラー成分のコンバーゼンス
− グレースケール上で一定な色相
− 無意味に着色された領域の有無
− カラーバランス
− カラーチャンネル順列の食違い
− 解像度パターンの無色表示
5.2.2
の a)∼d)に示すテストパターンを使用しなければならない(
図 1∼5 参照)。
次に示す現象について目視検査し,結果は基礎観察結果として記録しなければならない。
1)
カラー成分のコンバーゼンス 格子パターンを表示し,目視検査しなければならない。
格子パターンの垂直及び水平の白線が色づけされていないか可能な限り探し出す。
観察された場合には,現象の存在と発生場所を記録する(
図 2 参照)。
2)
グレースケール上の色相変化 グレースケールを表示し,目視検査しなければならない。
グレースケールに沿って色相変化を可能な限り探し出し,また,該当するグレースケールの階段
位置と色相の変化を記録する(
図 1 参照)。
3)
無意味に着色された領域の有無 格子パターン又は解像度パターンを表示し,目視検査しなければ
ならない(
図 2 及び図 4 参照)。
両方のパターンは灰色の均一背景となっており,その中に着色領域がないか可能な限り探し出す。
観察された場合には,着色領域,色及び発生場所を記録する。
4)
カラーバランス 5.2.2 に記載されている試験画像のうちの一つを表示する。
画像全体の色相に注目し,その印象を記録する。
濃い着色画像において細心の注意をはらうことが望ましい。
備考 観察者は,周囲の照明条件に気をつけなければならない。
照明条件は,観察者の色感覚に影響を及ぼすからである。
5)
カラーチャンネル順列の食違い 専用のカラーテストパターンを表示する[5.2.2d)及び図 5 参照]。
三つの着色領域と該当する位置に注目し,結果を記録する。
6)
解像度パターンの自然な調子 解像度テストパターンを表示する。
解像度パターンが着色されていないか可能な限り探し出す。
着色の有無,その色及び発生場所を記録する。
5.3.2
基礎値確立後の不変性試験 基礎値確立時の最初の不変性試験と同一の観視条件を再現させ,上記
不変性試験 5.3.1a)∼f)を実施し,試験結果を試験報告書に記録しなければならない。
5.4
データの評価
a)
観視条件の一定性 輝度の測定値は,確立した基礎値と比較しなければならない。
追加の光源及び/又は反射光が観察されたら,その原因を確定しなければならない。
b)
グレースケールの再現性 輝度の測定値は,確立した基礎値と比較しなければならない。
分離して見分けられるグレースケールの階調数を確定し,
基礎値と比較しなければならない。
特にグレースケールの両端の見え方に注意することが望ましい。
c)
画像の幾何学的ひずみ 不変性試験中,格子パターン,内接円及び境界パターンは目視判定しなけれ
ばならない。
9
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
結果は最初の
不変性試験の結果と比較しなければならない。
1)
格子パターン(クロスハッチパターン) 目視判定は,次の項目を参照しなければならない。
− ひずみ
− 長方形の視野
− 糸巻き又はたる形ひずみ
− 非直線性
不変性試験で測定された長さは基礎値と比較する。
2)
内接円 画枠の正確さと円のひずみを目視判定する。
3)
境界パターン 画像の四隅すべてに境界線が存在することを目視判定する。
d)
空間解像度及び低コントラスト解像度 画像を観察して,その所見と基礎値を比較しなければならな
い。
e)
画像の安定性及びアーチファクト 現在と過去の結果の違いを探さなければならない。
f)
カラー関連事項 画像を観察して,その所見と基礎値を比較しなければならない。
現在と過去の結果の違いを探さなければならない。
5.5
適用される基準
a)
観視条件の一定性 表示輝度の偏差は,基礎値の±25%以内でなければならない。
b)
グレースケールの再現性 黒四角形の輝度の偏差は,基礎値の±25%以内でなければならない。
白四角形の輝度の偏差は,
基礎値の±20%以内でなければならない。
c)
画像の幾何学的ひずみ 目視検査の結果は,最初の不変性試験の結果から明らかに逸脱してはならな
い。
長さの偏差は,
基礎値の±5%以内でなければならない。
d)
空間解像度及び低コントラスト解像度 試験結果は,最初の不変性試験の結果から明らかに逸脱して
はならない。明らかな差が認められたならば,低コントラストパターンに特に注意をはらうことが望
ましい。
e)
画像の安定性及びアーチファクト
1)
“画像の安定性及びアーチファクト”は,定量化できない性質のもので,判定のための正確な基準
を規定するのはほとんど不可能である。
2)
試験画像の検査時には,5.3.1.e)に記載された事項に注意することが望ましい。
f)
カラー関連事項 試験結果は,最初の不変性試験の結果から明らかに逸脱してはならない。
5.6
試験報告書 診断画質に影響を与える装置の特性を追跡できるようにするため,各々の試験結果と
条件を記録しなければならない。
標準試験報告書の例を
附属書 B に示す。
5.7
対策 表示輝度の偏差が 5.5 の基準をはずれたら,まず第一に,好ましくない変化を調べるため,最
初の
不変性試験の場合と比較し,周囲条件を確認しなければならない。
追加された照明光源及び/又は反射した輝点が観察されたら,それらの原因を確定し,除去しなければ
ならない。
表示の表面,フィルタ,カバーなどの汚れは,画像の品位を下げる。
清掃は,定期的に附属文書の規定によって少なくとも毎月実施することが望ましい。
結果が許容値を超えていて,他に原因がない場合には,サービス技術者に連絡することが望ましい(
附
属書 C 参照)。
10
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
5.8
試験頻度
a)
観視条件の一定性 不変性試験は,通常年 4 回実施し,照明光源の変更のように光学的周囲条件に影
響する変化があった後は,直ちに実施しなければならない。
b)
グレースケールの再現性 グレースケールの階調目視検査は毎日,輝度測定は年 4 回実施しなければ
ならない。有意な変動が観視されたり,変化の傾向が認められたときは,更に頻度を上げて実施しな
ければならない。
c)
画像の幾何学的ひずみ 目視検査は,毎日実施しなければならない。測定は年 4 回実施し,有意な変
動に気づいた場合には,毎日測定することが望ましい。
d)
空間解像度及び低コントラスト解像度 不変性試験は,年 4 回実施しなければならない。
e)
画像の安定性及びアーチファクト 目視検査は,毎日実施しなければならない。
f)
カラー関連事項 不変性試験は,毎日実施しなければならない。
6.
適合に関する報告 試験報告書は,次の文言を付けなければならない。
JIS Z 4752-2-5
による
画像表示装置の不変性試験報告書
この規格に従っていることを述べるときは,次の文言を付けなければならない:
画像表示装置(形式名)
は,JIS Z 4752-2-5 に従っている。
11
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
図 1 グレースケールテストパターン
12
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
図 2 幾何学的ひずみと線状構造テストパターン
13
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
図 3 画像ひずみテストパターン
14
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
図 4 解像度テストパターン
15
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
図 5 カラーテストパターン
16
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
図 6 最適動作条件を得るための方法(附属書 F)
17
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
附属書 A(規定) 用語−用語の索引
JIS Z 4005
医用放射線用語 IEC
60788
: 1984 Medical Radiology
−Terminology rm-..-..
国際単位系 SI における単位名
Name of unit in the Int. System SI
rm-..-..*
定義のない派生語
Derived term without definition
rm-..-..
+
定義のない用語
Term without definition
rm-..-..
−
以前の単位名
Name of earlier unit
rm-..-..
・
短縮語
Shortened term
rm-..-..s
受入試験
ACCEPTANCE TEST
AG-3.2.4
附属品
ACCESSORY rm-83-06
附属文書
ACCOMPANYING DOCUMENTS
rm-82-01
付加フィルタ
ADDED FILTER
rm-35-02
散乱線除去グリッド
ANTI-SCATTER GRID
rm-32-06
自動制御系
AUTOMATIC CONTROL SYSTEM
rm-36-45
基礎値
BASELINE VALUE
AG-3.2.7
照射野限定器
BEAM LIMITING DEVICE
rm-37-28
CT
撮影[法]
COMPUTED TOMOGRAPHY
rm-41-20
不変性試験
CONSTANCY TEST
AG-3.2.6
設定基準
ESTABLISHED CRITERIA
AG-3.2.8
ベース濃度
FILM BASE PLUS FOG DENSITY
1-3.2.2
シャウカステン
FILM ILLUMINATOR
2-12.3.1
フィルム現像機
FILM PROCESSOR
1-3.2.1
焦点受像器間距離
FOCAL SPOT TO IMAGE RECEPTOR DISTANCE rm-37-13
ハードコピーカメラ
HARD COPY CAMERA
1-4.3.1
画像表示装置
IMAGE DISPLAY DEVICE
5-3.3.2
間接透視
INDIRECT RADIOSCOPY
rm-41-03
増感紙
INTENSIFYING SCREEN
rm-32-38
照射
IRRADIATION rm-12-09
X
線[管負荷]条件
LOADING FACTOR
rm-36-01
核医学
NUCLEAR MEDICINE
rm-40-06
操作者
OPERATOR rm-85-02
患者
PATIENT rm-62-03
患者支持器
PATIENT SUPPORT
rm-30-02
品質保証
QUALITY ASSURANCE
AG-3.2.1
品質保証計画
QUALITY ASSURANCE PROGRAMME
AG-3.2.2
品質管理
QUALITY CONTROL
AG-3.2.3
放射線ビーム
RADIATION BEAM
rm-37-05
X
線写真
RADIOGRAM rm-32-02
放射線設備
RADIOLOGICAL INSTALLATION
rm20-24
18
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
X
線透視
RADIOSCOPY rm-41-01
現状試験
STATUS TEST
AG-3.2.5
試験器具
TEST DEVICE
rm-71-04
使用者
USER rm-85-0l
X
線装置
X-RAY EQUIPMENT
rm-20-20
備考 rm は IEC 60788,AG は IEC 61223-1 を示す。
19
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
附属書 B(参考) 標準的な試験報告書の様式例
JIS Z 4752-2-5
による画像表示装置の不変性試験報告書
記録事項
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであり,規定の一部ではない。
試験者名
氏名:
画像表示装置
形式名:
−すべての
使用者選択可能な設定
測定器
形式名:
−輝度計
−使用した試験画像
標準試験条件(環境条件を含む)
試験の履歴
−
現状試験
日付
−最新の初期
不変性試験
日付
−以前の
不変性試験
日付
試験結果
−観視条件の一定性
日付:
初期
不変性試験/不変性試験(どちらかを選択する。次の性能パラメータについても同じ)
−スクリーンの輝度
−スクリーン上に反射する輝点
−評価の結果(視感)
−視野内の光源
−グレースケールの再現性
日付:
初期
不変性試験/不変性試験
−黒領域の輝度
−白領域の輝度
−グレースケール:見分けられるステップ数
−画像の幾何学的ひずみ
日付:
初期
不変性試験/不変性試験
a)
格子パターン(クロスハッチパターン)
−評価結果(視感)
−評価結果(測定)
線 t−線 b 間の線の本数
線 l−線 r 間の線の本数
T
,B,L,R,H 及び V の長さ
b)
内接円
有[ ]無[ ]
−評価結果(視感)
c)
境界パターン
有[ ]無[ ]
20
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
−評価結果(視感)
−空間解像度及び低コントラスト解像度
日付:
初期
不変性試験/不変性試験
−水平/垂直バーパターンの明るさの違い NO[ ]YES[ ]
−四隅と中央にあるバーパターンの明るさの違い NO[ ]YES[ ]
−中央の水平バーパターンの鮮鋭さ
有[ ]無[ ]
−四隅の垂直バーパターンの鮮鋭さ
有[ ]無[ ]
−水平バーパターンの明るさの違い
(25%変調に対する 100%変調)
有[ ]無[ ]
−水平バーパターンの明るさの違い
(6.25%変調に対する 25%変調)
有[ ]無[ ]
−垂直バーパターンの明るさの違い
(25%変調に対する 100%変調)
有[ ]無[ ]
−垂直バーパターンの明るさの違い
(6.25%変調に対する 25%変調)
有[ ]無[ ]
−画像の安定性とアーチファクト
日付:
初期
不変性試験/不変性試験
見つけるべき現象:
−過度なフリッカ(フィールド信号欠落による)
有[ ]無[ ]
−不正確な飛び越し走査
有[ ]無[ ]
−水平又は垂直方向への移動
有[ ]無[ ]
−時間依存性のある幾何学的ひずみ
有[ ]無[ ]
−蛍光体の焼付き
有[ ]無[ ]
−きず,欠点
有[ ]無[ ]
−ゴースト像
有[ ]無[ ]
−黒白信号過渡期の反射像
有[ ]無[ ]
−斜めに見える白線
有[ ]無[ ]
−基準臨床画像
許容できない[ ]許容できる[ ]
−カラー関連事項
日付:
初期
不変性試験/不変性試験
次の事項をチェックする:
−カラー成分のコンバーゼンス NO[ ]YES[ ]
−グレースケール上で一定な色相 NO[ ]YES[ ]
−無意味に着色された領域の有無 NO[ ]YES[ ]
−カラーバランス NO[ ]YES[ ]
−カラーチャンネル順列の食違い NO[ ]YES[ ]
−解像度パターンの無色表示 (neutral rendition)
NO
[ ]YES[ ]
21
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
附属書 C(参考) 対策に関する指針
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであり,規定の一部ではない。
C.1
不変性試験の結果,機器が指定の要求事項又は設定基準を満たしていない場合は,次の処置を始める
前に,試験機器の性能を確認し,かつ,再試験を行い,その結果を確認することが望ましい。
C.2
再試験の結果,機器が指定の要求事項又は設定基準を満たしていない場合は,次の一つ以上の処置を
とるとよい。
a)
試験した機器に関する
品質保証計画の規定に従って処置を開始する。
b)
品質保証計画の管理責任者に報告する。
c)
試験した機器の日常管理責任者に報告する。
C.3
試験の結果,機器が指定の要求事項又は設定基準をぎりぎりで満たしていない場合は,次の処置をと
る。
a)
次の不変性試験の結果待ちとする。ただし,その間に作成された診断用画像の画質を詳細に確認する
ことが望ましい。
b)
不変性試験の頻度を増やす。
c)
次回の定期サービスを実施するときの要注意事項として,不変性試験の不適合事項を記録する。
C.4
機器に
不変性試験の設定基準を満たさなかった履歴がある場合には,C.2 の b)及び c)に示した責任者
は,次の事項に配慮することが望ましい。
a)
現状試験の実施
b)
適用する基準の緩和
c)
試験した放射線機器の使用範囲の制限,及び
d)
交換が必要な機器のリストに,その機器を記載する。
C.5
試験の結果が,指定の要求事項又は設定基準を全く満たさない場合には,次の処置をとる。
a)
現状試験を実施し,その結果を C.2 の b)及び c)に示した責任者に提出する。
b)
装置の修理の程度について,次を検討する。
− 修理はどれくらいが適当か
− 修理が直ちに必要か
c)
又は,次のどちらかを決定する
− 機器の継続使用を中止するかどうか
− C.4 に従う処置をとるかどうか
C.6
使用者による,その他の必要な処置の決定
22
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
附属書 D(参考) 解説
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであり,規定の一部ではない。
1.1
適用範囲について テストパターンの発生と適用について,次の二つのグループにシステムを分類
できる。
ディジタル画像を永久的に保存できるシステム。例えば,
− 医用 X 線 CT 装置
− 磁気共鳴画像診断装置
− ディジタルラジオグラフィー装置
− DSA 装置
− 超音波画像診断装置
− 核医学診断装置
ディジタル画像を永久的に保存できないシステム。例えば,
− X 線透視:
(その幾つかの場合)
− DSA 装置
− 超音波画像診断装置
− 核医学診断装置
後者のようなディジタル画像を永久的に保存できないシステムに対して,テストパターン発生器は,
不
変性試験のための試験画像を供給するために用いることができる。
そのような直接的な試験方法が,適用できない場合には,X
線装置の画質を変化させる原因が,画像表
示装置なのか否かを,間接的な方法で確かめることができる。
一般的な試験方法が,そのシステムのある特定の部分に適用できず,それが全体の不変性に重大な影響
を与えているならば,これらの装置は,そのサービスマンや製造業者が推薦する手順に従って確かめられ
るべきである。
すべての部分が適切に機能している場合には,システムの中の一定でない部分は,
画像表示装置だけか
もしれない。
システムがグレースケールパターンを表示できる場合には,それを
不変性試験に用いてもよい。
もし,アルファベットや数字が画面上に表示されていれば,これを空間解像度の視覚的な
不変性試験に
用いてもよい。
間接透視に用いられる表示装置の不変性試験は,ディジタルイメージメモリを備えていないため,簡単
で安価な試験器具で行うのが非常に難しい。
その上,ほとんどの場合,そのようなビデオモニタは分離形でなく,画像システム部分と集積化されて
おり,モニタに限定した簡単な試験方法が適用できない。
1.2
目的及び 4. 不変性試験の概要について 画像表示装置の据付,調整及び校正は,有資格者によっ
て実施されることが必要である。
この規格では画像表示装置の設定についての記述はなく,不変性試験についてだけ述べている。
ハードコピーカメラと画像表示装置の両者に対して不変性試験を適用することによって,使用者は両者
について類似の不変性を監視していることになる。
23
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
5.2.2
試験画像について ディジタル保存されている基準臨床画像が,臨床例として適切で,望まれてい
る画質として使用者から選ばれ,同意が得られる画像であれば,それらの画像は画質が変化したときの第
1
段階の調査として用いることができる。
そのような画質の変化が使用者から報告された場合,
画像表示装置の更なる調査を省くために,適切な
基準臨床画像を呼び出し,この画像が変化したかどうかを検討することが有用である。
5.2.2 b)
試験画像:解像度テストパターンについて このパターンは,画像の中心と周辺の空間解像度の
比較を容易にしている。
24
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
附属書 E(参考) 著者目録−テストパターンの参考文献
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであり,規定の一部ではない。
1
“Test pattern for video displays and copy cameras”
Gray J. E. et al. : Radiology vol.154 ; no.2, pages 519-527 February 1985.
2
SMPTE Recommended Practice Number RP 133-1986 :
“Specifications for Medical Diagnostic Imaging Test Pattern for Television Monitors and Hard
−Copy
Recording Cameras”, SMPTE Journal, June 1986, pages 693-695.
25
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
附属書 F(参考) 作業室での画像表示装置−周囲条件
この附属書は,本体に関連する事柄を補足するものであり,規定の一部ではない。
作業室の明るさのような周囲条件と同様,
画像表示装置の操作場所及び表示面の輝度は,使用者に適切
な観視条件を作り出すために重要である。
周囲条件は観視条件への干渉や影響を最小限にし,周囲条件が観察者の視覚的な適応状態を変えること
のないように注意すべきである。
作業環境の照明に対する要求事項は次の一般的照明特性に関係している。
− 照明レベル
− 発光の分布
− 操作者がまぶしくないよう,光量の制限(光源からの直接光によるもの,又は反射光によるもの)
照明レベルは確立された照明技術に従い,可能な限り一定であるべきである。
これは作業室の光の配分の均衡をとり,壁や,床や,天井などから表示スクリーンに入ってくる反射光
が作業を妨げるのを避けるためである。
(外界からの)自然光は作業室の中の光のレベルを変化させるので遮光することが望ましい。
画像表示装置での画像観察は視覚の緊張度が高いので,遮光はそれをやわらげる要素となる。
まぶしさを制限するには,技術的な計測を行い,確立された照明法を取り入れることによって可能とな
る。
例えば,窓や,照明や明るい物体などの光源が,直接目に入ったり,表示スクリーン上に反射しないよ
う作業室を準備しなければならない。
光源からの反射光は,
画像表示装置の配置を変えるか,光源の遮光によって除去しなければならない。
最適作業環境を確立するための,幾つかの予防措置は
図 6 に示されている。
26
Z 4752-2-5 : 2001 (IEC 61223-2-5 : 1994)
JIS
原案作成本委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
平 松 慶 博
東邦大学医学部
(幹事)
矢 野 太
ジーイー田中メディカルシステム株式会社
野辺地 篤 郎
聖路加国際病院
宗 近 宏 次
昭和大学医学部
多 田 信 平
東京慈恵会医科大学
川 原 章
厚生省医薬安全局
荒 木 由季子
通商産業省機械情報産業局
尾 内 能 夫
財団法人癌研究会癌研究所
竹 中 栄 一
東京電子専門学校
平 林 久 枝
東京女子医科大学病院放射線部(社団法人日本放射線技
術学会)
山 田 和 美
東京日立病院放射線科(社団法人日本放射線技術学会)
宮 崎 茂
東邦大学医学部附属大橋病院放射線部(社団法人日本放
射線技術学会)
幾 瀬 純 一
東芝メディカル株式会社
村 上 文 男
株式会社日立メディコ
松 下 由 之
株式会社島津製作所
三田村 正 義
ジーイー横河メディカルシステム株式会社
藤 本 祐 一
東芝メディカル製造株式会社
榊 原 俊 文
東芝メディカル製造株式会社
西 村 正 俊
株式会社日立メディコ
橋 本 進
財団法人日本規格協会
伊 東 厚
社団法人日本画像医療システム工業会
(事務局)
椎 名 光 男
社団法人日本画像医療システム工業会
(オブザーバー)
宗 像 保 男
通商産業省工業技術院
JIS
原案作成分科会 構成表
氏名
所属
(主査)
藤 本 祐 一
東芝メディカル製造株式会社
池 田 満
株式会社日立メディコ
小 林 信 夫
株式会社東芝医用システム社
伊 藤 敏 夫
駿河台日本大学病院放射線部(社団法人日本放射線技術
学会)
設 楽 明
厚生中央病院放射線科(社団法人日本放射線技術学会)
加 藤 洋
東京都立保健科学大学放射線学科(社団法人日本放射線
技術学会)
市野瀬 隆 央
ジーイー横河メディカルシステム株式会社
今 西 哲 雄
株式会社島津製作所
加 藤 純 雄
三菱電機株式会社
橋 本 進
財団法人日本規格協会
(事務局)
椎 名 光 男
社団法人日本画像医療システム工業会