Z 4752-2-1:2005
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本放射線技術学会 (JSRT)/財団
法人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工
業標準調査会の審議を経て,厚生労働大臣及び経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
JIS Z 4752-2-1には,次に示す附属書がある。
附属書A(参考) 用語−索引
附属書B(参考) 標準的な試験報告書の様式例
附属書C(参考) とるべき処置に関する指針
附属書D(参考) 解説
附属書E(参考) フィルム現像機の初期設定手順
附属書1(参考) 不変性試験のフローチャート
附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表
Z 4752-2-1:2005
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲及び目的 ············································································································ 1
1.1 適用範囲 ······················································································································ 1
1.2 目的 ···························································································································· 2
2. 引用規格 ························································································································ 2
3. 用語 ······························································································································ 2
3.1 用語の使用 ··················································································································· 2
3.2 定義 ···························································································································· 2
4. 不変性試験の一般条項 ······································································································ 3
4.1 試験手順の概要 ············································································································· 3
4.2 試験用具 ······················································································································ 3
4.3 フィルム現像機 ············································································································· 4
4.4 暗室安全光条件 ············································································································· 4
5. 試験手順 ························································································································ 4
5.1 フィルム現像機の性能の不変性の決定 ················································································ 4
5.2 コントロールストリップの一貫性······················································································ 5
6. とるべき処置 ·················································································································· 6
7. 適合証明書 ····················································································································· 6
附属書A(参考) 用語−索引 ································································································· 9
附属書B(参考) 標準的な試験報告書の様式例 ········································································ 10
附属書C(参考) とるべき処置に関する指針 ··········································································· 13
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 4752-2-1:2005
医用画像部門における品質維持の評価及び
日常試験方法−第2-1部:不変性試験−
フィルム現像機
Evaluation and routine testing in medical imaging departments-
Part 2-1 : Constancy tests-Film processors
序文 この規格は,1993年に第1版として発行されたIEC 61223-2-1,Evaluation and routine testing in medical
imaging departments−Part 2-1 : Constancy tests−Film processorsを翻訳し,技術的内容を変更して作成した日
本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧
表をその説明をつけて,附属書2に示す。また,この規格で箇条番号又は細分符号の左肩に (*) を施して
いる記述は,それらの補足が附属書D(解説)に記載されていることを示している。
1. 適用範囲及び目的
1.1
適用範囲 この規格は,次のあらゆるタイプのX線感材又は写真感材を扱うX線施設で,撮影用フ
ィルム及びその他の写真感材を現像処理するX線装置の構成装置に適用する。ただし,ドライタイプのフ
ィルム現像機には適用しない。
− あらゆるタイプのスクリーンフィルム
− ノンスクリーンフィルム
− 次に示す像の記録に使用される,X線間接撮影用フィルム
・X線イメージインテンシファイアの出力像
・その他のX線画像
− X線像をコピーするための写真感材
− 一般の再構成断層撮影(CT撮影),ディジタル画像撮影,超音波,磁気共鳴技術,核医学などの診
断装置で使われる恒久的な画像を作るための写真感材
この規格に示す方法は,自動フィルム現像機のためのものであるが,手現像処理の装置試験に適用して
もよい。
この規格は,IEC 61223-1で記述したように,診断用X線装置の種々のサブシステムの特性の不変性試
験方法を記述する一連の規格の一部である。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
IEC 61223-2-1,Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 2-1 : Constancy
2
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tests−Film processors (MOD)
*1.2 目的 この規格では,X線感材及び写真感材上に,適度な品質をもつ安定したX線像を作り上げる
条件を保証するために,フィルム現像機での不変性のパラメータ,及びこれらのパラメータを点検する方
法を記述している。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発効年又は発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格
の規定を構成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規
格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS T 0601-1 医用電気機器−第1部:安全に関する一般的要求事項
備考 IEC 60601-1 : 1988 Medical electrical equipment−Part 1 : General requirements for safety並びに
Amendment 1 : 1993及びAmendment 2 : 1995からの引用事項は,この規格の該当事項と同等
である。
JIS Z 4005 医用放射線用語
備考 IEC 60788 : 1984 Medical radiology−Terminologyからの引用事項は,この規格の該当事項と
同等である。
JIS Z 4752-1 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第1部:総則
備考 IEC 61223-1 : 1993 Evaluation and routine testing in medical imaging departments−Part 1 :
General aspectsが,この規格と一致している。
JIS Z 4752-2-3 医用画像部門における品質維持の評価及び日常試験方法−第2-3部:不変性試験−暗
室安全光条件
備考 IEC 61223-2-3 : 1993 Evaluation and routine testing in medical imaging departments Part−2-3 :
Constancy tests−Darkroom safelight conditionsが,この規格と一致している。
JIS Z 4905 写真−医用撮影用カセッテ・増感紙・フィルム−寸法及び仕様
JIS Z 4918 医用X線写真観察器
ISO 4090 : 1991 Photography−Film dimensions−Medical radiography
ISO 8374 : 1986 Photography−Determination of ISO safelight conditions
ISO 8402 : 1986 Quality−Vocabulary
3. 用語
3.1
用語の使用 この規格では,太字にした用語は,次の規格の定義による。
− JIS Z 4005
− JIS Z 4752-1
− JIS Z 4905
− JIS Z 4918
− この規格の3.2
3.2
定義
3.2.1
フィルム現像機 放射線診断学での使用を目的としてX線感材又は写真感材に記録されるか又は
変換されて,潜像となっている放射線情報を恒久的な視覚像に現像処理する装置と器具との組合せ。
3
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3.2.2
ベース込みかぶり濃度 X線装置での不変性試験を目的として,現像されたコントロールストリッ
プ上の画像のうち,感光計によって露光されていない領域における光学濃度。
3.2.3
感度指数 X線装置での不変性試験を目的として,光源からの一定の露光量によって生じた画像の
領域での規定の光学濃度値。
備考 感度指数の値は,通常ベース込みかぶり濃度を加えて,0.8〜1.2の範囲での光学濃度で定めら
れる。
3.2.4
階調度指数(コントラスト指数) X線装置での不変性試験を目的として,感度指数としての濃度
値と,感度指数を求めたときよりも大きい一定の露光量によって生じた光学濃度値との間の濃度差。
備考1. 通常,この露光によってベース込みかぶり濃度を加えて,1.8〜2.2の範囲の光学濃度を生じ
るようにする。
2. 感度指数と階調度指数は不変性パラメータとして用いられ,この規格に記述された定期点検
を容易にしようとするものである。センシトメトリーでの感度と平均階調度の定義と混同し
てはならない。
4. 不変性試験の一般条項
4.1
試験手順の概要 最初の一連の不変性試験では,フィルム現像機の3種の不変性パラメータ(ベー
ス込みかぶり濃度,感度指数及び階調度指数)の基礎値が決定される。この決定の際,被試験フィルム現
像機でコントロールストリップを現像する前に,規定の条件でそれらを露光しておく。
備考 写真感材の製造業者から入手した露出済みフィルムを利用できるが,この方法は,露出済みフ
ィルムの反応特性に,X線部門で現在使用しているフィルムとは差があるために,露光してす
ぐ使用するコントロールストリップより優先して利用することは勧められない。
フィルム現像機のその後の性能は,さらにコントロールストリップを現像処理することによって,日常
的に観察され,不変性パラメータの測定値は不変性からのはずれを検知するために基礎値と比較される。
フィルム現像機を2台以上使用するX線部門では,数台のフィルム現像機の性能は個々の現像液温度を
調節することによってほぼ整合させることができる(附属書E参照)。
4.2
試験用具
4.2.1
コントロールストリップ 写真用フィルム又は,撮影用フィルムを用いるコントロールストリップ
は,校正され,かつ,安定した光源から放射された光で,途中に光学くさびを置いて露光して作成される。
コントロールストリップは,X線部門で通常使用されるX線感材と同じタイプのものとすべきであり,
同じ条件下で保存されるべきである。
現実的である範囲内で,その後に実施する不変性試験に使用するコントロールストリップは,同一の形
式名・製造番号とすべきであり,また同一の包装から取り出すべきである。6か月を超える期間及び有効
期限を超えて1箱の包装内のコントロールストリップを使用すべきでない。
コントロールストリップとして使用するX線感材の製造番号,また,タイプの変更に先立って,不変性
パラメータの基礎値を調整することが必要である。この調整は,現在の製造番号と交換後の製造番号の両
方のフィルムから作成したコントロールストリップを同時に現像処理して行う。調整の適切さは,不変性
パラメータの測定値の比較によって決定される。
もし,複数の形式名のX線感材を同じフィルム現像機で現像する場合,異なる形式名の感材の反応特性
の差を確認するために,X線感材のそれぞれのタイプから代表サンプルを選び,複数の一連のコントロー
ルフィルムを使用する必要があるかもしれない。
4
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4.2.2
センシトメータ(感光計) 適切な光学くさびをもつ感光計でコントロールフィルムを露光すべき
である。光出力は±2 %の安定性であることが望ましい。センシトメータは,現像したコントロールスト
リップの光学濃度が少なくとも次のレベルになるよう露光できることが望ましい。
a) ベース込みかぶり濃度を加えて,0.8〜1.2の範囲
b) ベース込みかぶり濃度を加えて,1.8〜2.2の範囲
現像されたコントロールストリップのベース込みかぶり濃度を測定できるように,コントロールストリ
ップにセンシトメータで露光されない部分を残すべきである。
一連のステップを含む光学くさびによって異なるフィルムのタイプによる感度の差を考慮できるように
なっている。
4.2.3
濃度計 反復測定精度が,±0.02である濃度計で光学濃度を測定する。
4.2.4
温度計 処理液の温度を,金属棒温度計又はディジタル温度計で±0.1 ℃以内の正確さで測定す
る。
ガラス水銀温度計は使用すべきではない。
4.3
フィルム現像機:清掃,保守及び管理日誌 あらゆる不変性試験に先だって,次のことを確認する。
− フィルム現像機が,X線感材,フィルム現像機及び化学薬品の附属文書中の指示に従って設定され
ている。
− 最適現像液温度が決定されているか(附属書E参照),又はX線感材の附属文書で与えられて分か
っている。
− フィルム現像機が,X線感材,フィルム現像機及び化学薬品の附属文書中の指示に従って保全され
ている。
フィルム現像機ごとの管理日誌は,次のことを記録するのに不可欠である。
− 保守活動実施日
− 処理液の交換日
− 新補充液の追加日
− フィルム現像機の性能に関係する何らかのほかの変更が行われた日。
4.4
暗室安全光条件 この規格による不変性試験の間に,X線感材又は写真感材が試験に先立って開封
され取り扱われるならば,暗室条件とフイルム保管条件が満足すべき状態にあることを保証する。そして
もし必要ならば,JIS Z 4752-2-3による不変性試験を行っておく。
5. 試験手順
5.1
フィルム現像機の性能の不変性の決定
5.1.1
方法
a) 次のことを保証すべきである
− フィルム現像機に対し,通常の保守が行われている。
− その性能が満足すべき状態にある(附属書E参照)。
b) フィルム現像機の現像液が選択された最適温度に設定されている。
c) フィルム現像機の附属文書で推奨する手順に従って立ち上げる。また,溶液の温度が安定するまで30
分間必要である。
d) 溶液及び水洗水の温度を確認する。可能ならば,補充量・水洗水の流量率,及び乾燥温度も測定する。
必要ならばこれらの温度及び流量率を調整し,安定するまで待つ。
5
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e) センシトメータを用い,2〜6枚の一連のコントロールストリップを露光する。この場合,両面乳剤フ
ィルムの片面露光でもよい。
f)
コントロールストリップは,露光してから少なくとも30分後以降で4時間以内に現像する。ただし,
露光が常に一定の時間に現像処理をすることを取決めしていればこの限りでない。光学くさびパター
ンの最も露光されていない端が先端であるようにコントロールストリップを現像処理する。
常にフィルム現像機の挿入口のいつも同じ側にコントロールストリップを流す。
g) 各コントロールストリップの3領域の光学濃度を測定する(4.2.2参照)。
h) 各不変性パラメータについて,6枚の画像で測定された光学濃度の平均値を決定する。
最初の不変性試験では,これらの3平均値がベース込みかぶり濃度,感度指数及び階調度指数の基
礎値になる。
5.1.2
データ評価 その後の不変性試験で決定された,不変性パラメータの平均値は,5.1.1の手順h) で
決定された基礎値と比較される。
各フィルム現像機専用の管理図を用いると,比較が容易である。この管理図では不変性パラメータを時
間の関数としてプロットする。管理図の一例を図2に示す。これは基礎値と許容限界値も示したものであ
る。
試験結果及び条件は,図2及び附属書Bに示すような所定の書式にすべきである。
5.1.3
設定基準 不変性パラメータの変動が次の限界値内にあるならば,フィルム現像機の性能は十分安
定している。
a) ベース込みかぶり濃度が,基礎値の±0.05以内にある。
b) 感度指数及び階調度指数が,基礎値の±0.15以内でなければならない。また,基礎値の±0.10以内に
あることが望ましい。
5.1.4
対策 もし,不変性パラメータが,5.1.3の設定基準外にあるなら,不変性試験を繰り返すべきで
ある。
もし,不変性パラメータが,それでも限界外にあるとき,又は最近3回の不変性試験の結果の値が一貫
して減少又は増加傾向を示すときは,6. に記述したような適切な処置を取るべきである。
5.1.5
不変性試験の頻度
a) フィルム現像機の使用頻度が多い場合には,同じ時間に1日1回。
b) フィルム現像機が24時間以上使用されなかった場合には,使用する前。
c) 現像液を交換するごと。
d) フィルム現像機を修理又は点検した後。
5.2
コントロールストリップの一貫性 現在使用している製造番号のコントロールストリップがなくな
ろうとしているときは,新しい製造番号のコントロールストリップに次の手順で交換すべきである。
a) 5.1.1の方法で,それらのコントロールストリップの最低3枚と,取り替えようとする製造番号のコン
トロールストリップ最低3枚を同時に露光させる。
b) 5.1.1の方法で,これらのコントロールストリップを現像し,評価する。
c) 二組の製造番号(現在使用のもの及び今後使用するもの。)のコントロールストリップでの不変性パラ
メータの平均値を比較する。
これらの平均値の相違を用いて,不変性パラメータに関する新しい基準値を設定すべきである。
d) 不変性パラメータの一つでも,その相違が5.1.3に規定する限界値を超えているなら,フィルム特性が
変化した理由を調査すべきである。この調査はこの規定の適用範囲外である。
6
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6. とるべき処置 5.1.2による管理図及び附属書Bによる試験結果の記録は,不変性パラメータの経時的
変化を示すことができ,また5.1.3に規定する設定基準を逸脱するいろいろな傾向が分かる。
このような傾向が生じたときは,現像条件の質の低下を防ぐために次の点検を行い是正処置をとるべき
である。
a) 現像液の温度を測定する。
b) 補充量を測定する。
c) 製造番号,形式名及びサイズが変わっていないかどうか,現在現像処理しているX線感材を点検する。
d) 補充液が正しく用意されているかを点検する。
e) X線部門で現在使用中のコントロールストリップ及びX線感材の有効期限を点検する。
f)
水洗水の流量を測定する。
g) 水洗水の温度を測定する。
h) 再循環システムの動作を点検する。
i)
現像用フィルタを検査する。
j)
もし必要なら,現在使用している化学薬品の有効期限を点検する。
k) 定められた日常保全計画が正しく履行されていたかどうかの確認のために,フィルム現像機の管理日
誌を点検する。
l)
不変性から逸脱する直前に行った保守及び点検作業を確認するために管理日誌を点検する。このこと
は原因発見の手がかりになるかもしれない。
m) 現像処理時間を点検する。
もし,これらのいずれかの点検によって現像機の性能での逸脱の原因が得られたときは,適切な対策を
とるべきである。さらに2枚のコントロールストリップを用いて対策の効果について評価すべきである。
もし,これらの対策によっても,5.1.3に規定する限界値の中に入るようにフィルム現像機の性能が回復し
なかった場合には,すべての現像液及び補充液を入れ替えて,附属書Eに記述されている手順に従ってフ
ィルム現像機を新たに初期設定する。
発見されたすべての故障,取られた処置,及びこの処置によるフィルム現像機の不変性パラメータへの
影響のすべてを管理日誌に保管すべきである(附属書Eも参照)。
7. 適合証明書 試験報告書の表題は,次のようにすべきである。
JIS Z 4752-2-1によるフィルム現像機の不変性試験報告書
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図 1 現像温度に対する感度指数,階調度指数及びベース込みかぶり
濃度の変化量(最適な手順による)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図 2 時間関数としてのベース込みかぶり濃度,感度指数及び
階調度指数を表示した管理図の例
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A(参考) 用語−索引
この附属書Aは,本体に関連した事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
国際単位系SIによる単位の名称
rm-..-..*
古い単位の名称
rm-..-...
短縮用語
rm-..-..s
IEC 61223-1の3. で定義した用語
AG-3... .
IEC 61223-2-1の3. で定義した用語
1-3... .
X線像 (RADIOGRAM)
rm-32-02
X線[画]像 (RADIOLOGICAL IMAGE)
rm-32-05
X線発生装置 (X-RAY GENERATOR)
rm-20-17
X線装置 (X-RAY EQUIPMENT)
rm-20-20
[X線]イメージインテンシファイァ (I.I.) (X-RAY IMAGE INTENSIFIER)
rm-32-39
階調度指数 (CONTRAST INDEX)
1-3.2.4
核医学 (NUCLEAR MEDICINE)
rm-40-06
間接[X線]撮影[法](INDIRECT RADIOGRAPHY)
rm-41-08
基礎値 (BASELINE VALUE)
AG-3.2.7
規定の (SPECIFIC)
rm-74-01
[現像]感度指数 (SPEED INDEX)
1-3.2.3
現状試験 (STATUS TEST)
AG-3.2.5
再構成断層撮影法 (RECONSTRUCTIVE TOMOGRAPHY)
rm-41-19
使用者 (USER)
rm-85-01
指定した (SPECIFIED)
rm-74-02
出力像 (OUTPUT IMAGE)
rm-32-49
スクリーンフィルム (SCREEN FILM)
rm-32-36
設定基準 (ESTABLISHED CRITERIA)
AG-3.2.8
[直接]撮影用フィルム (RADIOGRAPHIC FILM)
rm-32-32
ノンスクリーンフィルム (NON-SCREEN FILM)
rm-32-35
品質保証 (QUALITY ASSURANCE)
AG-3.2.1
品質保証計画 (QUALTY ASSURANCE PROGRAMME)
AG-3.2.2
品質管理 (QUALITY CONTROL)
AG-3.2.3
フィルム現像機 (FILM PROCESSOR)
1-3.2.1
附属文書 (ACCOMPANYING DOCUMENTS)
rm-82-01
不変性試験 (CONSTANCY TEST)
AG-3.2.6
ベース込みかぶり濃度 (FILM BASE PLUS FOG DENSITY)
1-3.2.2
放射線診断学 (MEDICAL DIAGNOSTIC RADIOLOGY)
rm-40-04
両面[乳剤]フィルム (DOUBLE EMULSION FILM)
rm-32-34
10
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附属書B(参考) 標準的な試験報告書の様式例
この附属書Bは,本体に関連した事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
JIS Z 4752-2-1によるフィルム現像機の不変性試験報告書
記録事項
試験者名
氏 名
装置及び附属品
形式名
試験の履歴
実 施 日
現状試験
年 月 日
前回の暗室条件試験
年 月 日
前回の現像機試験
年 月 日
前回の初期不変性試験
年 月 日
前回の不変性試験
年 月 日
試験項目
被試験フィルム現像機の形式名
初期不変性試験(基礎値決定)実施日
前回の不変性試験実施日
前回のフィルム現像機清掃日
今回の不変性試験実施日
試験の頻度(何回目)
次回の不変性試験の予定日
今回の不変性試験の実施者
暗室安全光条件の良否(4.4参照)
良/否
良/否
良/否
良/否
フィルム保管の状態の良否
良/否
良/否
良/否
良/否
試験用計器形式名 :温度計
:センシトメータ
:濃度計
前回の濃度計校正日
現像処理液類のデータ
現像液(形式名)
補充量率[6. b) 参照]
最適選定温度[4.3及び6. a) 参照]
℃
℃
℃
℃
測定点1の位置 温度
℃
℃
℃
℃
測定点2の位置 温度
℃
℃
℃
℃
推奨温度(E.1参照)
℃
℃
℃
℃
温度差(指示値と実測値の差)[E.1 k) 参照]
℃
℃
℃
℃
定着液 (形式名)
補充量率
測定点1の位置 温度
℃
℃
℃
℃
測定点2の位置 温度
℃
℃
℃
℃
推奨温度
℃
℃
℃
℃
温度差(指示値の実測値との差)
℃
℃
℃
℃
11
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
試験項目
補充液(形式名)
補充量率
測定点1の位置 温度
℃
℃
℃
℃
測定点2の位置 温度
℃
℃
℃
℃
推奨温度
℃
℃
℃
℃
温度差(指示値と実測値の差)
℃
℃
℃
℃
スタータ液 形式名
−量
表面処理剤 形式名
−量
水洗水 −流量[6. f) 参照]
測定点1の位置 温度
℃
℃
℃
℃
測定点2の位置 温度
℃
℃
℃
℃
推奨温度[6. g) 及びE.1 k) 参照]
℃
℃
℃
℃
温度差(指示値と実測値の差)
℃
℃
℃
℃
X線感材/写真感材の一覧[6. c) 及び4.2.1参照]
コントロールストリップ1フィルムタイプ
感度
乳剤番号
有効期限
使用開始日
コントロールストリップ2フィルムタイプ
感度
乳剤番号
有効期限
使用開始日
今回の試験 最適温度(E.2,4.3参照)
℃
℃
℃
℃
基礎値[5.1.1 h) 参照]
複数のフィルム現像機間の整合
感度指数で表す(E.3参照)
不変性試験(5.1参照)
現在使用中のもの (C)
取り替えたもの (R) 製造番号5.2参照
C :
R :
C :
R :
C :
R :
C :
R :
挿入位置の記入[ガイド板の左右5.1.1 f)]
測定値 ― ベース込みかぶり濃度 5.1.1 g)
1枚目
2枚目
3枚目
4枚目
5枚目
6枚目
+ベース込みかぶり濃度の平均値 5.1.1 h)
― 感度指数 1枚目
2枚目
3枚目
4枚目
5枚目
6枚目
+平均感度指数 5.1.1 h)
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試験項目
― 階調度指数 1枚目
2枚目
3枚目
4枚目
5枚目
6枚目
+平均階調度 5.1.1 h)
今回の基礎値5.1.1 h) 及びE.2.4参照
ベース込みかぶり濃度
感度指数
階調度指数
現像処理時間(指定された)
s
s
s
s
実測した処理時間
s
s
s
s
最終決定:
フィルム現像機機能の良否 5.1.3参照
良/否
良/否
良/否
良/否
次回の不変性試験予定日の標識表示
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附属書C(参考) とるべき処置に関する指針
この附属書Cは,本体に関連した事柄を補足するもので,規定の一部ではない。
C.1 試験結果が指定された要求事項又は設定基準を満たさない場合は,次の処置を始める前に試験用具の
性能を点検し,試験を繰り返して結果を確認すべきである。
C.2 繰り返された試験結果によっても被試験装置が指定された要求事項又は設定基準を満たしていない
場合は,次の一つ以上の処置を取ればよい。
a) 被試験装置の品質保証計画に指定されたとおりに処置を始める。
b) 品質保証計画の管理責任者に通知する。
c) 被試験装置の日常の管理責任者に通知する。
C.3 試験結果がその装置の指定された要求事項又は設定基準をぎりぎりに満たしていない場合。
a) 次の不変性試験の結果を待ち,その間に臨床画像の画質を注意して観察すべきである。
b) 不変性試験の頻度を増やす。
c) 不変性試験が不合格であることを,次の定期修理実施時での要注意事項として記録する。
C.4 装置が不変性試験の設定基準を満たさなかった履歴がある場合には,C.2のb),c) に記載された管
理責任者は次の項目を考慮すべきである。
a) 現状試験の実施,とともに
b) 適用する基準の緩和,とともに
c) X線の使用範囲について被試験装置の使用制限,とともに
d) 取替えを必要とする装置のリストにその装置を載せる。
C.5 試験結果が指定された要求事項又は設定基準を全く満たしていない場合は。
a) 現状試験を実施し,その結果をC.2のb),c) に記載された管理責任者に通知する。
b) 装置の修理の範囲を検討する。
− どれまでが適切か
− すぐ修理すべきか
c) 次に示す処置をする。
− 装置の臨床使用を今後停止するか否か。
− 又はC.4に従い処置するか否か。
C.6 使用者によって決定されるその他の処置。
この附属書での装置とは,フィルム現像機のことである。
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附属書D(参考) 解説
この附属書Dは,本体に関連した事項を補足するもので規定の一部ではない。
1.2 目的 関連 X線診断部門で品質管理が要求される項目すべてのうち,フィルム現像処理は細心の注
意が必要な項目である。なぜならば,最終的な診断画像の質は現像条件の変動に大変敏感だからである。
もしフィルム現像処理が効果的に管理されなければ,X線装置のほかの項目の品質管理に費やした努力が
むだになることもある。
フィルム現像処理は,フィルム扱い・現像・定着・すすぎ・水洗・乾燥の多行程からなる。この中で現
像は,最終的な臨床画像の質に最も影響を与える行程である(しかし,他の工程は画像の長期間の安定性
に影響を与える。)。したがって,この技術報告では現像工程の一貫性を管理するために,フィルム現像機
の性能を最適化し,また,監視する方法が述べられている。現像機の実際の取扱い管理や一般のフィルム
の化学的性質についての詳細な指針を意図しているものではない。この性質の分かりやすい情報は,製造
業者のマニュアルや他の適切な文献によって与えられる。
4.2.1 コントロールストリップ 関連 X線感材の異なる乳剤番号による画像の変動は,X線感材の実際の
感度と階調度(コントラスト)でのわずかな変動によって発生する。不変性試験の一貫性を最大限確保す
るため,できるだけ多くの試験に対して一つの乳剤番号のコントロールストリップを使用すること,また,
乳剤番号を変更するときには,同等性能であることを点検することが必要である。
4.2.4 温度計 関連 水銀温度計は,フィルム現像機には決して使用しないこと。なぜならば温度計が破
損し水銀が放出されたとき,フィルム現像機と化学薬品が汚染されるからである。
4.3 フィルム現像機:清掃,保守及び管理日誌 関連 フィルム現像機の清掃と保守は品質保証計画の大
きな部分である。現像処理の高い水準は,フィルム現像機が清浄に,また,機械的に正常な状態に保たれ
なければ達成できない。機械の附属文書で与えられた清掃及び保守の指示にはきちんと従うべきである。
5.1.1 方法 関連:E.2.1に対する解説参照
附属書Eの解説
一般 通常,フィルム現像機は,X線感材・化学薬品に関する附属文書の指示が適切なときは,その指示
どおり設定すべきである。その後,フィルム現像機の性能は,特定のX線部門の要求に合うよう微調整さ
れるかもしれない。そのような微調整の説明はフィルム現像機の製造業者によって準備されておらず,通
常,附属文書には含まれていない。調整はX線部門で主観的な方法,すなわち,光学くさび画像又は臨床
X線像の視覚的な評価によって実施される。フィルム現像機の性能を制御,監視できる手法を定量化する
ために,客観的な方法を使用することが,より望ましい。そのような方法が,附属書Eの基本になってい
る。
E.1 初期設定−n) 関連 ローラから付着物を取り除き,化学薬品を均一化するため,露光されたフィル
ムを現像処理することが必要である。
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E.2.1 方法−c) 5.1.1方法−f) 関連 撮影後すぐ現像処理されたX線感材で発生する変化は,少なくと
も30分間現像処理を遅らせることによって最少限にできる。
露光してから4時間以内に現像すべきである。さもなければ,潜在的な画像の消失が発生するかもしれ
ない。そして,フィルム現像機の微小変化を検出するというコントロールストリップの能力が損なわれる
かもしれない。
主に臭化イオンである現像工程での副産物は,X線感材から拡散し,現像工程を遅らせる。現像処理中
にX線感材のかくはんが不適切であると,これら副産物はX線感材上を流れ,このためX線感材上の流
れた部分の現像が遅くなる。この効果は,最少露光部の方を先にフィルム現像機に通すことによって最少
にできる。
E.3 複数のフィルム現像機の整合 関連 異なるタイプのフィルム現像機,又は異なる化学薬品を使用し
た同一のタイプのフィルム現像機では,それぞれ最適の条件で動作していても異なった特性のX線像が得
られるかもしれない。種々のフィルム現像機を所有しているX線部門は,これらの差異をX線発生器のX
線条件の変化によって補正しなくてもよいようにするため,それらの性能を整合させることが望まれるか
もしれない。
通常,共通の感度指数に対する各フィルム現像機の現像液温度の調整によって整合させる。しかし,こ
れは結果として準最適な条件下で1台以上のフィルム現像機を動作させることになるのかもしれない。
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附属書E(参考) フィルム現像機の初期設定手順
この附属書Eは,本体に関連した事項を補足するもので規定の一部ではない。
E.1 初期設定
a) フィルム現像機を,その附属文書に示されている指示に従って,清掃する。
b) 現像タンク内と定着タンク内の液を抜く。それらのタンクに水を一気に流す。ラックを取り除き,き
れいな水で洗う。
c) 現像側の再循環フィルタが取り付けてあるなら,それを新しいフィルタと交換する。
d) 補充タンク内とホース内の液を抜き,きれいな水で洗う。
e) 製造業者の指示に従い,補充タンク内に新しい補充液を準備する。
f) 補充系から水が全部一気に流れ出るのを保証するために,短時間,補充システムを空運転する。補充
ポンプが正しく機能するか点検する。
g) 定着タンクに正しいレベルまで新しい定着液を満たす。また,定着ラックを装着する。
h) 現像タンクに正しいレベルまで新しい現像液を満たす。また,附属文書に指定されている正しい量の
スタータ液を加える。
j) フィルム現像機に連続して供給される水の温度は推奨温度に設定する。循環系が正しく機能するよう
に水洗液の正しい流量率を点検する。フィルム現像機の電源を約30分間入れたままにしておき,使用
温度になるようにする。
k) 現像液,定着液及び水洗水の温度を,各々の槽の末端で測定する。もし必要ならば,附属文書の中で
推奨されている値の±0.2 ℃以内に調整する。これらの処理液の測定温度をフィルム現像機の温度計
の指示値と比較照合し,差を記録する。
l) 補充量を測定し,もし必要ならば,附属文書に示されているデータに調整する。
m) フィルムの先端がフィルム現像機に入ってから(終端が)出るまでの時間を測定する。現像処理サイ
クル時間が附属文書の中で示されている限界時間内か比較照合する。
n) 有害な引っかききず及び,ローラ跡・圧こん(痕)が生じてないかを点検するために,一連の清掃用
フィルムをフィルム現像機に通す。
備考 清掃用フィルムとは,X線照射されているが現像処理されていないフィルムのことである。現
像処理液交換直後及び毎日現像処理される。
p) フィルム現像機のいずれかの不変性パラメータの測定を行う前にはフィルム現像機で,少なくとも25
枚の35 cm×43 cmサイズの通常のX線像(X線写真)相当の現像を行うべきである。
E.2 現像液の最適温度の決定
E.2.1 方法
a) 附属文書の中で推奨されている温度範囲の温度より5 ℃低い値に現像液の温度を設定する。温度計で
その温度を点検し,もし必要ならば調整する。現像液の温度が安定するまで適切な時間をおく。
b) 感光計を使用して連続した6枚のコントロールストリップを露光する。両面乳剤フィルムの片面だけ
の露光で十分である。
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c) 少なくとも30分後以降で4時間以内に,コントロールストリップを現像処理する。
光学くさびパターンの最も露光されていない端が先端であるようにコントロールストリップを現像
処理する。
フィルム現像機の挿入口のいつも同じ側にコントロールストリップを流す。
d) 各々のコントロールストリップの3領域の光学濃度を測定する(4.2.3参照)。
この測定によって不変性パラメータ(ベース込みかぶり濃度,感度指数及び階調度指数)を決定で
きる。
e) E.2.1のa) からd) までに示された手順をさらに10回繰り返すが,このとき1回ごとに1 ℃ずつ現像
液の温度を上げていく。
E.2.2 データの評価
a) 各々のコントロールストリップごとに3種類の不変性パラメータの値を決定する。
b) 連続したコントロールストリップ11組ごとに3種類の不変性パラメータの平均値を決定する。
c) このようにして得られた不変性パラメータの各々の平均値すべてを現像液の温度の関数としてプロッ
トする(図1参照)。
E.2.3 判定基準 プロットを参照しながら,現像液の最適温度を次のように選ぶ。
最高の階調度指数に対応する温度を決める。この温度でベース込みかぶり濃度のレベルが受入れ可能か
を確認する。また,現像温度の少しの変化でもこのポイント(温度)でベース込みかぶり濃度が大きく変
化しないことを点検する。以上から,この温度が現像液の設定温度の適切な値と考えられる。
しかし,この温度でベース込みかぶり濃度が高過ぎるならば,受入れ可能なベース込みかぶり濃度にな
るようもっと低い温度に設定すべきである。この設定値は,通常ベース込みかぶり濃度が,ベース込みか
ぶり濃度として記録されている最少濃度に0.05を加えた濃度を超えないように設定すべきである。
E.2.4 引き続いての処置 現像液の最適温度を記録する。もし,フィルム現像機を1台しか使用していな
いのならば,この値に現像液の温度を調整する。代わりに,2台以上の自動現像機を使用していて,それ
らの性能が整合させるのならば,E.3に記述されている方法をとるべきである。
上記の方法で決定した現像液の最適温度と,この試験条件と同等の現像条件下での附属文書に指定され
た温度との差が,2〜3度よりも大きいならば,フィルム製造業者の助言を求めるべきである。
最初の不変性試験として,さらに連続した6枚のコントロールストリップを現像処理して,不変性パラ
メータの平均値を決定すべきである。これらの値は,引き続いて行う不変性試験の結果と比較する基礎値
になる。
E.2.5 試験頻度 次の頻度で試験を行い,新しい基礎値を決定すべきである。
a) X線感材の化学的組成・形式名,又はフィルム現像機を変えたとき。
b) フィルム現像機に対して大がかりな保守や修理を行った直後。
E.3 数台のフィルム現像機の整合 この手順は,2台以上のフィルム現像機を使用しているX線施設で必
要である。また,共通の感度指数を使うことによって性能を整合させることが望ましい。異なる種類のフ
ィルムを異なるフィルム現像機で現像処理しているならば,性能を整合させることは難しいか,不可能で
あるかもしれない。
さらに,フィルム現像機が全く同じ形式名でなければ,整合させた結果,現像液の最適温度以外の値で
1台以上現像機を稼働させることになるかもしれないし,感度指数の一貫性を優先させるために,フィル
ム現像機間の階調度指数の一貫性が犠牲になるかもしれない。
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Z 4752-2-1:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 現像液の温度に対する不変性パラメータの平均値のプロットを得るために,各々のフィルム現像機に
ついてE.1とE.2.1に述べた手順を実施する。
b) すべてのフィルム現像機を稼働させるのに望ましい感度指数の値を選択し,プロットを参照して,選
択した感度指数の必ず±0.1以内の感度指数になるように,また,できれば±0.05以内の感度指数にな
るように,各々のフィルム現像機の現像温度を調整する。
備考 もし,フィルム現像機,フィルムの化学的組成・形式名が部門間で同一ならば,ベース込みか
ぶり濃度のレベルと階調度指数の値が同じ限界値内に入るはずである。
c) 各々のフィルム現像機の不変性パラメータの基礎値を,E.2.5に記述したように決定する。もし,これ
らの値が,E.3のb) に記述した限界値以内ならば,その平均値を各々のパラメータとして利用できる。
また,各々の現像機の現像温度の設定値を記録する。
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Z 4752-2-1:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1(参考) 不変性試験のフローチャート
この附属書は,本体に関連した事項を補足するもので規定の一部ではない。
参考項目
5.1.1 a)
被試験機,試験用具の通常保全確認
性能の安定性確認
附属書E参照
b)
現像液最適温度設定確認
c)
立ち上げ 30分間安定
d)
溶液・水洗水温度確認
No 要調整
補充量・流量・乾燥温度確認
Yes
e)
コントロールストリップの作成
f)
コントロールストリップの現像処理
g)
光学濃度の測定
4.2.2参照
h)
光学濃度の平均値決定
5.1.2
データ評価
5.1.1 h)
5.1.3
管理表の作成パラメータ比較
附属書B・図2参照
Yes
No
5.1.4
対 策
6. 参照
5.1.5
試験の頻度
7.
試験報告書
附属書B
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Z 4752-2-1:2005
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附属書2(参考) JISと対応する国際規格との対比表
JIS Z 4752-2-1 : 2005 医用画像部門における品質維持
の評価及び日常試験方法−第2-1部:不変性試験−フィ
ルム現像機
ISO 61223-2-1 : 1993 医用画像部門における品質維持の
評価及び日常試験方法−第2-1部:不変性試験−フィルム
現像機
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の
規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの評価及
びその内容並びに今後の対策
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容及び今後の対策
1. 適用
範囲及
び目的
IEC
61223-2-1
1
JISに同じ MOD/追加
1.1 適用範囲に,ドライタイプのフィルム現
像機には適用しないと付け加えた。現在ドラ
イタイプの現像機が稼働し始めているが,現
像処理方法が全く違うことから,適用外とし
た。今後IECに対し,ドライタイプ用現像
機の規格作成について提案していく予定で
ある。
2. 引用
規格
2
JISに同じ IDT
3. 定義 規格で使用
する用語を
定義
3
JISに同じ MOD/変更
3.2.4(階調度指数)
IECでは1.6〜2.0の範囲の光学濃度となっ
ているが,1.8〜2.2の光学濃度とした。
感度指数及び階調度指数の管理には1.0以
上の光学濃度差が望まれるため。
今後IECに対し,光学濃度のレベルの範
囲について提案していく予定である。
4. 不変
性試験
の一般
条項
4
JISに同じ MOD/変更
4.2.2 b) 光学濃度のレベルの範囲を1.6〜2.0
から1.8〜2.2とした。
感度指数及び階調度指数の管理には1.0以
上の光学濃度差が望まれるため。
今後IECに対し,光学濃度のレベルの範
囲について提案していく予定である。
5. 試験
手順
5
JISに同じ MOD/追加
5.1.1 f) IECでは露光してから少なくとも30
分後以降に現像処理するとなっているが,こ
の規格においては,“ただし,露光後常に一
定の時間に現像処理することを取決めして
いればこの限りではない”と付け加えた。現
在ほとんどの施設で,露光後すぐに現像処理
するのが一般的であり,さらに,コントロー
ルストリップとして使われるフィルムでは
ほとんど問題ないためである。
今後IECに対し,追加項目について必要
に応じて提案していく予定である。
21
Z 4752-2-1:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の
規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの評価及
びその内容並びに今後の対策
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容及び今後の対策
−
−
5.3
MOD/削除
5.3(残留ハイポ試験)を削除
その理由として,
a) 残留銀・ハイポ試験紙と比較することに
よって,残留銀・ハイポの濃度レベルを確認
することができるが,日本においては,おそ
らくどの写真フィルムメーカも現在は販売
していない。現在のフィルムは,残留銀・ハ
イポはほとんどゼロであるので,必要ないか
らである。
b) ハイポ試験液についても,現在どの写真
フィルムメーカも販売していない。附属書D
に記述した方法で,ユーザが作る必要があ
る。
6. とる
べき処
置
6
JISに同じ IDT
7. 適合
証明書
7
JISに同じ IDT
附属書
A
用語−索引
附属
書A
JISに同じ IDT
附属書
B
標準的な試
験報告書の
様式例
附属
書B
JISに同じ IDT
附属書
C
とるべき処
置に関する
指針
附属
書C
JISに同じ IDT
附属書
D
解説
附属
書D
JISに同じ IDT
附属書
E
フィルム現
像機の初期
設定手順
JISに同じ IDT
附属書
1
不変性試験
のフローチ
ャート
JISに同じ MOD/追加
試験手順が容易に分かるよう試験行程につ
いてのフローチャートを作成した。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異はない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。