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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 4703 - 1995 

医用X線機械装置通則 

General requirements of mechanical  

units for medical X-ray equipment 

1. 適用範囲 この規格は,JIS Z 4701に規定する医用X線装置に使用するX線機械装置(以下,附属品

を含め,装置という。)について規定する。ただし,個別規格がある装置については,個別規格を優先する。 

備考1. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS B 1801 伝動用ローラチェーン及びブシュチェーン 

JIS B 1802 ローラチェーン用スプロケット歯形 

JIS C 1502 普通騒音計 

JIS C 1505 精密騒音計 

JIS G 3525 ワイヤロープ 

JIS G 3535 航空機用ワイヤロープ 

JIS T 1001 医用電気機器の安全通則 

JIS T 1005 医用電気機器取扱説明書の様式 

JIS Z 4005 医用放射線用語 

JIS Z 4701 医用X線装置通則 

JIS Z 8731 騒音レベル測定方法 

2. この規格の対応国際規格を,次に示す。 

IEC 601-1 (1988)  Safety of medical electrical equipment, Part 1 : General requirements for safety 

IEC 601-1 Amendment 1 

IEC 601-2-32 (1994)  Medical electrical equipment, Part 2 : Particular requirements for the safety of 

associated equipment of X-ray equipment 

2. 用語の定義 この規格に用いる主な用語の定義は,JIS T 1001, JIS Z 4005及びJIS Z 4701によるほか,

次による。 

(1) 保持装置 人体の位置付け手段をもたず,X線管装置,X線映像装置などを保持する装置。 

(2) 車載用装置 自動車などに積載して使用するか,又は輸送するように設計された装置。 

(3) 静安全率 最大静荷重に対する安全動作荷重の比。 

備考 安全動作荷重は,その部分が安全に動作する限界の荷重,又はその部分について製造業者が指

定する破断荷重。 

(4) 安全装置 限界を超えた動きによる危険な力,又は懸垂保持機構の事故時における懸垂物体の落下か

ら,患者又は操作者を保護する機構。 

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Z 4703 - 1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(5) デッドマン形制御(デッドマンスイッチ) 操作器に人が力を加えている間だけその回路を作動状態

に保ち,人がその力を取り除けば直ちに回路が自動的に復帰する開閉回路の制御方式(スイッチ)。 

3. 環境条件 環境条件は,JIS Z 4701の4.(環境条件)による。 

4. 種類 装置の分類は,次による。 

(1) 使用目的による分類 

(2) 移動方法による分類 

5. 性能 

5.1 

負荷質量 成人を対象とする装置においては,少なくとも100kgの体重まで正常に動作しなければ

ならない。 

5.2 

騒音 装置が連続的に発生する騒音は,正常使用状態においてA特性で60dB以下であることが望

ましく,65dBを超えてはならない。ただし,3s以内の非継続音は含まない。 

5.3 

衝撃 可搬形装置(車載用装置を含む。)は,通常の取扱い,運搬及び移動時の衝撃に耐えなければ

ならない。 

5.4 

許容差 特に精度を必要とする部分[例えば,断層撮影台のせつ(截)断面など]を除き,装置に

関する許容差は,次による。 

(1) 移動の許容差 動力又は手動によって移動する装置の最大移動量での最終停止位置の許容差は,表1

による。 

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Z 4703 - 1995  

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表1 移動の許容差 

単位mm 

最大移動量 

最終停止位置の最大許容量 

1 000以下 

+20〜−10 

1 000を超えるもの 

+40〜−10 

(2) 質量の許容差 装置の総質量の定格値に対する許容差は,±10%とする。 

(3) 移動速度の許容差 移動速度の定格値に対する許容差は,±20%とする。 

(4) 角度目盛の許容差 角度目盛の真値に対する許容差は,±2°とする。 

(5) 長さ目盛の許容差 長さ目盛の真値に対する許容差は,±2%とする。 

5.5 

安定性 安定性は,次による。 

(1) 装置は,装置の質量に相当する力の25%又は220Nのどちらか小さい方の力を,最も不利な方向に加

えたとき転倒しないこと。 

(2) 装置は,正常な使用時に10°以下の角度で転倒しないか,又は,次の規定をすべて満たすこと。 

(a) 装置は,正常な使用時のどのような姿勢においても5°以下の傾斜で転倒しないこと。 

(b) 装置は,指定した移動時の姿勢においては,10°以下の角度で転倒しないこと。 

(c) 移動時の姿勢について取扱説明書に記載し,装置には注意銘板で図示すること。 

6. 構造 

6.1 

患者の支持及び固定 患者の支持部及び固定部は,次による。 

(1) 患者を支持又は固定する部分は,患者を確実に支持又は固定でき,患者が動いても緩んだり患者を傷

つけたりせず,かつ,簡単に固定が解除できる構造とすること。 

(2) 患者が持つ握り及びハンドルは,容易に滑らない構造とすること。 

(3) 患者を支持して動力で回転,起倒などの動きを行う場合には,患者の体位,移動速度などを考慮し,

危険のおそれがある場合には,適切な安全手段を設けること。 

(4) 位置調整が可能な患者踏台は,正常な使用時のあらゆる角度においてロックが外れない構造とするこ

と。 

(5) 位置調整が可能な患者踏台には,患者が踏み間違えるような段差があってはならず,また,取り付け

たときに装置との間に危険なすきまが生じないこと。 

6.2 

懸垂保持機構 

6.2.1 

ワイヤロープ及び滑車 ワイヤロープは,JIS G 3535若しくはJIS G 3525に規定するもの,又は

これらに準じるものでなければならない。切断によって患者又は操作者に危害を及ぼすおそれがある懸垂

保持機構に使用するワイヤロープと滑車の直径との関係は,次の式 (1) 及び (2) を満足しなければならな

い。 

D/d≧300 ·················································································· (1)  

D/dr≧20 ·················································································· (2)  

ここに, 

d: ワイヤロープ素線径 

dr: ワイヤロープ直径 

D: 滑車の有効直径 

6.2.2 

チェーン及びスプロケット チェーンは,JIS B 1801に規定するもの,スプロケットはJIS B 1802

に規定するもの,又はこれらに準じるものでなければならない。 

Z 4703 - 1995  

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6.2.3 

緩衝手段 正常な使用時に,急激な加速,減速などによって大きな動荷重が生じるおそれがある場

合には,適切な緩衝手段を講じなければならない。 

6.2.4 

多重懸垂 複数のロープ又はチェーンで構成されている多重懸垂保持機構では,構成要素の一つが

破損した場合には,操作者がその故障に気付くようになっていなければならない。 

6.2.5 

安全装置 ばね(隠れた欠陥をもつおそれがある。)を使用するか,又は7.3.1の規定に適合しない

支持部品を使用する懸垂保持機構には,破損した場合の落下量が安全な範囲に制限されていない限り,安

全装置を備えなければならない。 

懸垂機構が破損して安全装置が動作した後でも装置の使用が可能な場合(例えば,予備のワイヤロープ

を備えている場合)には,操作者に故障の発生を明確に知らせる手段を講じなければならない。 

備考1. 正常な使用時に負荷が加えられないように構成されているワイヤロープ及びチェーンは,安

全装置とみなしてもよい。 

2. 予備のワイヤロープは,点検が可能でその点検方法が附属文書に記載されている場合には,

安全装置として使用してもよい。 

6.3 

動く部分 

6.3.1 

動く部分に対する保護 動く部分に対する安全のための保護カバー又はガードは,次のような場所

に取り付けなければならない。これらの保護手段は正常な使用時のほか,調整時及び附属品などの着脱時

についても考慮しなければならない。 

(1) 保護カバー又はガードを備える場所 

(a) 動く部分に身体又は着衣が引き込まれるおそれがある場所(例えば,歯車がかみ合う場所,ベルト

がプーリに巻き込まれる場所など)。 

(b) 動く部分に身体又は身体の一部が挟み込まれたり,傷付けられたりするおそれがある場所。 

(c) ワイヤロープ,チェーン,ベルトなどが外れたとき,患者や操作者に危険を与えるおそれがある場

所。 

(2) 保護カバー又はガード 

(a) 工具を使用したときにだけ取り外せること。 

(b) サービス時に容易に着脱できること。 

(c) 十分な強度及び剛性があること。 

(3) 内蔵する動く部分 正常な使用時には露出しないが,露出すれば危険を生じるおそれがある動く部分

に対する保護は,次による。 

(a) 可搬形装置 装置と一体のガードを設けること。 

(b) 据置形装置 装置と一体のガードを設けるか,又は設置時にガードを取り付けること。 

(4) 警告ラベル 動力駆動部分による危害から保護するために設けられている,工具を使用せずに取外し

ができるガードやカバーには,注意書きを表示すること。ガードされた危険部分に気付きにくい場合

には,もう一枚の注意書きをガード内の部品に表示すること。 

6.3.2 

すきま 正常な使用時に患者又は操作者に危害を与えるおそれがあるすきまには,危害を防止する

手段(例えば,力の制限,ガードの設置,すきまを9mm以下にするなど)を設けるか,又は安全のため

に次のような寸法のすきま又は間隔にしなければならない。 

(1) 

指を挟むことに対する保護 

20mm以上 

(2) 

つま先を挟むことに対する保護 

40mm以上 

(3) 

腕及び足を挟むことに対する保護 

100mm以上 

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6.3.3 

動く部分の点検 摩耗,疲労などによって安全性を損なうおそれがある動く部分は,点検しやすい

構造にしなければならない。 

6.3.4 

動く部分の制御 動く部分の制御は,次による。 

(1) デッドマン形制御 患者に危害を与えるおそれがある部分の操作は,デッドマン形制御にすること。 

(2) 操作スイッチ 操作スイッチは,次の事項を満足すること。 

(a) 操作スイッチを“切 (OFF) ”にしたとき,そのまま動き続けたり,“反転 (REVERSE) ”に切り換

えたとき,同一方向に動き続けないこと。 

(b) 同一の部分を操作するために切り換えて使用する二つ以上の操作スイッチを備える場合は,操作ス

イッチを切り換えた場合に危険な動きを生じない構造にすること。 

6.3.5 

危害を与えるおそれがある動き 危害を与えるおそれがある動力で駆動する動きについては,診断

機能を損なわない範囲内で次の規定を適用する。ただし,移動形装置の移動時は除く。 

(1) 動力駆動部と人体の接触 正常な使用時に動力駆動部が患者に接触することを意図しているか又はそ

の可能性があり,かつ,それが装置の意図する診断目的に必要であり,しかも,その接触が患者に危

害を与えるおそれがあるときは,患者との接触を検知し,その動きを停止する手段を講じること。 

(2) 動力駆動部による圧迫 

(a) 診断のために患者に加える圧力又は力については,圧迫される部位や診断目的,危害を与えるおそ

れなどを考慮すること。 

特別に必要な場合を除き,患者に対する圧力は最大70kPa,力は200N以下に制限すること。ただ

し,X線透視撮影台の圧迫筒の圧迫の強さは,80Nを超えないこと。 

(b) 動力によって補助される圧迫機構では,動きに抵抗する力よりも10N以上上回る力が加わらないこ

とが望ましい。 

(c) 電動圧迫機構には,患者に加える力を,取扱説明書に記載した値に制限する手段を備えていること。 

(d) 圧迫中は,患者に危害を与えるおそれがあり,かつ,診断に必要のない動きは,インタロックする

こと。 

備考 X線透視撮影台の圧迫筒による圧迫中には,天板のすべての駆動回路が作動しないようにイン

タロックすること。ただし,診断上必要な場合に限り,このインタロックを解除するスイッチ

を設けてもよい。インタロックの解除スイッチは他のスイッチと異なる色(例えば,黄色)と

し,かつ,インタロック解除中であることを黄色(だいだい色を含む。)の表示灯によって明り

ょう(瞭)に示すこと。 

なお,取扱説明書に“圧迫中に天板を駆動すると,患者のろっ骨を折るおそれがあるため,

このような操作は十分注意して慎重に行うこと。”という趣旨の注意書きを目立つように記載す

ること。 

(3) 非常停止スイッチ 

(a) 患者又は操作者に危害を与えるおそれがあるすべての動力駆動の動きには,非常停止スイッチを備

えること。 

(b) 非常停止スイッチは,赤色で示して他の制御器と区別し,かつ,“切 (OFF) ”の状態を維持するこ

と。動きの再開には,意図的に異なった操作を必要とすること。 

例 赤いきのこ形スイッチを用いて,押すと停止,引くと再開。 

(c) 非常停止スイッチの作動によって他の危害を生じてはならず,かつ,初めの異常状態を除去するた

めに必要な操作を妨げないこと。 

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(d) 非常停止スイッチは,電動機の停止電流などを考慮し,関連回路の全負荷電流を遮断できる容量を

もつこと。 

(e) 非常停止スイッチは,一つの操作で作動できること。 

(4) 動力駆動部と周囲の機器との接触 動力駆動部が周囲にある他の機器に接触して生じる危害を防止す

る手段を講じるか,又は使用上の注意を取扱説明書に記載すること。 

(5) 速度制限及び制動 危害を与えるおそれがある状態で移動部が患者に接触するような場合,移動部又

は患者を位置決めする動きの速さは,操作者が患者を危険にさらすことなく適切な位置決めを行える

ように制限すること。そのような動きを停止させるために操作スイッチを作動した後に生じるオーバ

ランは,10mmを超えないことが望ましく,20mmを超えないこと。 

一般的な指針として,動力駆動部の患者方向への動きは,患者支持用テーブルの上面から300mm

以内,又はテーブル側面から100mm以内では,その速度を最大速度の2分の1に制限することが望

ましい。 

備考1. 患者に接触する部分に緩衝材(例えば,ゴムクッション)を備えているよう場合には,患者

に緩衝材が接触してから緩衝効果がなくなるまでの距離に20mmを加えた範囲内で移動部が

停止すればよい。 

2. X線透視撮影台の圧迫筒のように,患者に加える力が安全な範囲に制限されている動きに関

しては,この規定を適用しない。 

(6) 不慮の動き 正常な使用時及び単一故障状態で,患者に危害を与えるおそれがある不慮の動きを最小

限にするために,次のような手段を講じること。 

(6.1) 操作スイッチが思いがけずに入って患者に危害を与えることがないように,操作スイッチを適切な

位置に配置するか,奥まった場所に置くか,又は保護手段を設けること。 

(6.2) 患者に直接重大な危害を与えるおそれがあり,かつ,操作者が非常停止スイッチを作動させても間

に合わないおそれがある電動駆動の動きについては,次のような手段を講じること。 

(a) 

操作者が二つのスイッチを作動し続けなければ動かないこと。二つのスイッチのどちらかを開放

しても,この動きが止まること。 

備考 この二つのスイッチは,一つの制御回路に配置してもよい。 

また,一つのスイッチはすべての動きに共通した回路に配置してもよい。 

(b) 

これらのスイッチは,患者に危害を引き起こすおそれのある動きを操作者が観察できるような位

置に配置すること。少なくとも一つのスイッチは,動く部分の動きを観察できるように,操作者

が患者のそばで操作できる位置に配置すること。 

(c) 

自動的に位置決めをするような装置では,操作スイッチは,デッドマンスイッチとし,その動き

を監視できる位置に配置すること。 

(6.3) リレー接点の溶着などの故障が制御不能な動きを生じる場合には,何らかの冗長的保護手段を講じ

ること。 

また,その保護手段の一つが故障した場合,その故障は,警報又は取扱説明書に記載された試験

によって操作者が識別できること。 

(6.4) 電動駆動用のスイッチは,駆動制御回路の接地側に接続しないこと。 

備考 この規定は,電動駆動制御回路のケーブルなどが予期しない破損で地絡しても,電動機が動く

ことがないようにすることを目的としている。ただし,論理回路については,この規定に添う

ことができない場合も考えられるため,短絡に対して十分に保護された論理回路に対しては,

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この規定の適用を除外する。 

6.3.6 

電気的ロック 電気的に行うロックは,停電又は電源電圧の降下時にロックが外れても,患者又は

操作者に危害を生じてはならない。 

6.3.7 

停電 停電又は電源の遮断時の安全は,次による。 

(1) 装置には,電源が切れたり復帰したりしても,患者又は操作者に危害を及ぼすおそれがないような手

段を講じること。 

(2) 装置には,停電時及び故障時に患者に加えられる機械的圧力(例えば,透視撮影台の圧迫など)又は

不安定な状態を速やかに除去する手段を備えること。 

6.3.8 

エンドストッパ 患者に危害を与えるおそれがある動きのエンドストッパには,動きを止めるのに

十分な強度の機械的手段を講じなければならない。 

6.4 

外装及び保護カバー 外装及び保護カバーは,JIS T 1001の8.1.1(外装及び保護カバー)による。 

6.5 

手で保持する部分 正常な使用時に手で保持する機器は,JIS T 1001の8.1.4(手で保持する部分)

による。 

6.6 

表面,角及び縁 表面,角及び縁は,JIS T 1001の8.3(表面,角及び縁)による。 

6.7 

移動形装置 移動形装置は,次による。 

(1) 質量が45kgを超える移動形装置の車輪は,直径70mm以上であること。ただし,移動時に二つの車

輪で装置の質量の70%以上を支える場合には,その二つの車輪の直径が70mm以上であればよい。 

(2) 動力によって走行する移動形装置には,デッドマン形のブレーキを備えること。 

(3) 5°以下の傾斜で不用意に動くことのないように,車輪固定機構又はブレーキを備えること。 

(4) 移動形装置のX線管支持部の固定は,移動中に容易に外れることがない構造とすること。 

6.8 

携帯形装置 携帯形装置の構造は,JIS T 1001の8.1.3(取っ手)及び8.5(グリップ及び取っ手)に

よる。 

6.9 

飛散物 飛散物に対する保護は,JIS T 1001の8.6(飛散物)による。 

6.10 圧力容器及び圧力を受ける部分 圧力に対する保護は,JIS T 1001の11.4(圧力容器及び圧力を受け

る部分)による。 

7. 安全 

7.1 

電気的安全 電気的安全については,JIS Z 4701の5.(電撃に対する保護)及びJIS T 1001の13.

(異常作動及び故障状態)による。 

7.2 

機械的安全 

7.2.1 

機械的強度 機械的強度は,次による。 

(1) 成人を対象とする装置は,少なくとも135kgの体重を安全に支持する機械的強度をもつこと。 

また,取扱説明書に最大許容負荷質量を明記すること。 

なお,小児用に限定する場合には,最大許容負荷質量を取扱説明書に明記し,かつ,装置にその値

を表示すること。 

(2) 安全を維持するために必要な場合には,装置を構成する部品の交換時期を取扱説明書に明記すること。 

7.2.2 

安全率 ある部品の破損が直接又は間接的に危険を招く場合には,金属部品の静的な荷重に対する

安全率は,表2の値以上にしなければならない。ただし,材料の特性と予測されるすべての外力が分かっ

ている場合にはa欄の値を適用し,それ以外の場合にはb欄の値を適用する。 

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Z 4703 - 1995  

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表2 安全率 

安全率 

破断強度 

2.5 

4.0 

7.3 

懸垂保持機構 

7.3.1 

安全装置を備えない懸垂保持機構 安全装置を備えない懸垂保持機構は,表面の欠陥,材料の損傷

などによる事故の危険をできる限り少なくするために,高い破断伸びをもつ金属を使用しなければならな

い。安全率は,次による。 

(1) 摩耗,腐食・材料疲労及び経時変化によって支持機能が劣化するおそれがない場合には,すべての懸

垂支持部品の静安全率を4以上とする。 

(2) 摩耗,腐食,材料疲労及び経時変化による損傷があると考えられる場合には,初期の静安全率を8以

上とする。 

(3) 破断伸び5%未満の金属を使用する場合の静安全率は,(1)及び(2)に規定した静安全率の1.5倍とする。 

7.3.2 

安全装置を備えた懸垂保持機構 安全装置を備えた懸垂保持機構では,安全装置の静安全率は,

7.3.1 

(1)で規定した値以上でなければならない。 

7.3.3 

安全装置 安全装置として落下防止機構を備えている場合には,落下開始後30mm以内で停止しな

ければならない。 

備考 懸垂保持機構には,ワイヤロープ,チェーンなど,それらの端末金具,及びそれらを支持する

構造部品を含む。 

8. 試験 

8.1 

負荷質量試験 指定の最大負荷質量の人体模型,砂袋又はこれに相当する物(ただし,砂袋又はこ

れに相当する物を用いる場合は,人体と類似する荷重分布になるように配慮すること。)を載せ,正常な使

用状態で動作の異常の有無を調べる。 

8.2 

騒音試験 装置の連続的に発生する騒音は,正常な使用状態で装置の表面から1mの距離において,

JIS C 1502又はJIS C 1505の規定に適合する騒音計を用いてA特性で測定し,その値が5.2の規定を満足

しているかどうかを調べる。測定方法は,JIS Z 8731の規定による。 

8.3 

衝撃試験 衝撃試験は,次による。 

(1) 携帯形装置の衝撃試験 コンクリート床上に,厚さ50mm以上,面積が装置の底面の縦横ともに1.5

倍以上の堅い板(例えば,密度700kg/m3以上の堅木)を置き,その上に装置を正常な使用時に置かれ

る各姿勢で表3に示す高さから自然落下させる。 

この試験を3回繰り返した後,異常の有無を調べる。 

表3 落下距離 

装置の質量 (M) kg 

落下距離 mm 

M≦10 

50 

10<M≦50 

30 

50<M 

20 

(2) 移動形装置の衝撃試験 移動形装置の場合には,取扱説明書に記載された方法で操作を行い,幅80mm,

高さ20mmの段差を,1.5m/s (5.4km/h) の速度(ただし,動力駆動の場合は,その装置の最大速度)で

10回乗り越えさせた後,異常の有無を調べる。 

Z 4703 - 1995  

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室内での移動を主用途とする装置(例えば,外科用Cアーム形X線装置など)では,高さ20 mm

の下降段差で同様の試験を20回行い,異常の有無を調べる。 

備考 この試験は,X線管,X線イメージインテンシファイア管などのガラス部品を直接の対象とし

ない。 

8.4 

最終停止位置試験 各移動部をそれぞれ10回ずつ最大量移動させ,その移動量を測定し,その値が

5.4(1)の規定を満足しているかどうかを調べる。 

8.5 

質量試験 各種ケーブル,コード類,附属品なども含めて測定し,その値が5.4(2)の規定を満足して

いるかどうかを調べる。 

8.6 

移動速度試験 定格負荷において,最大移動量の移動を10回繰り返し,所要時間を測定して移動速

度を求め,その値が5.4(3)の規定を満足しているかどうかを調べる。 

8.7 

角度目盛試験 角度計を用いて測定し,その値が5.4(4)の規定を満足しているかどうかを調べる。 

8.8 

長さ目盛試験 計量法第12条第1号の規定に適合し,かつ,適切な精密さをもつ長さ計で測定し,

その値が5.4(5)の規定を満足しているかどうかを調べる。 

8.9 

安定性試験 安定性は,次の(1)〜(6)の試験によって調べる。 

(1) 装置に指定の接続導線(電源コード及び接続されるあらゆる導線)をすべて接続し,かつ,着脱され

る可能性がある部品や附属品を最も好ましくない組合せで取り付ける。接続導線は,安定性が最も好

ましくない状態になるように置く。 

(2) キャスタをもつ装置は,臨時に最も不利な状態にキャスタを固定する。扉や引出しなどは,最も不利

な状態にして置く。 

(3) 液体容器をもつ装置は,容器を完全に満たすか,若干満たすか,又は空にするかの最も好ましくない

状態にする。 

備考 正常な使用時において液体が増減する装置にだけ適用する。 

(4) 装置を正常な使用時に設置される可能性があるあらゆる姿勢で,5.5(1)に規定した力を加えて転倒しな

いかどうかを調べる。 

力は,装置の最も高い位置,又は床面から150cmの位置のどちらか低いほうの位置に,装置が最も

平衡を失うおそれがある方向に加える。 

また,最も不利な姿勢で装置を水平面から10°傾けた平面上に置く。 

(5) 安定性を増すために特定の姿勢が指定されている場合には,装置を指定の姿勢にして10°傾けた平面

上に置き,転倒しないかどうかを調べる。 

なお,このような装置については,正常な使用時に置かれる可能性があるあらゆる姿勢で,装置を

水平面から5°傾けた平面上にも置いて転倒しないかどうかを調べる。 

(6) 装置を5°の傾斜に置いて,自重で動かないかどうかを調べる。安定性を増すために特定の姿勢が指

定されている場合には,装置を指定の姿勢にして試験を行う。 

8.10 X線透視撮影台の圧迫筒の試験 人体に相当する弾性をもつ模型を圧迫し,圧迫が自動的に停止し

たときの力が80N以下であるかどうかを調べる。 

8.11 電気的安全試験 電気的安全試験は,JIS Z 4701の10.1(一般),10.2(湿度処理),10.3(保護接地

抵抗の測定),10.4(連続漏れ電流の測定),10.5(耐電圧試験)及び10.6(巻線の温度測定)による。 

8.12 患者支持機構 患者支持機構は,次の(1)〜(3)の試験を行い,チェーン,クランプ,ワイヤ,ワイヤ

の端末部及び接続部,ベルト,軸,プーリなどのような支持機構の部品に危険を招くおそれのある損傷が

生じるかどうかを調べる。 

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Z 4703 - 1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(1) 患者支持機構を,水平に,かつ,取扱説明書に従う範囲で最も不利な位置に置き,サイドレールを含

め支持面の全体に一様に分布する(3)に規定する荷重を1min負荷する。荷重は,規定の荷重に達する

まで漸次増加させてその支持機構に加える。 

(2) 試験する機構の一部とは考えられない機構部分には,試験中,追加支持を設けてもよい。 

(3) 荷重は,指定の正常負荷に7.2.2に規定する破断強度に対する安全率を乗じた値とする。正常負荷が指

定されていない場合には,1.35kNの力を与える荷重を試験のための正常負荷と考える。 

8.13 踏み台及びいす 踏み台及びいすは,8.12と同様の手順で試験を行い,踏み台及びいすに危険を招

くおそれのある損傷が生じないかどうかを調べる。ただし,試験力は指定の正常負荷の2倍とし,この負

荷の指定がない場合には,2.7kNとする。試験力は,表面の0.1m2の面積全体に一様に分布するように加え,

1min維持する。 

8.14 肩当て 肩当ては,透視撮影台の逆傾斜位の最大角度で正常負荷を1min支持し,危険を招くおそれ

のある損傷が生じるかどうかを調べる。正常負荷の指定がない場合には1.35kNとする。 

8.15 懸垂保持機構の試験 安全装置を備えない懸垂保持機構では,指定の最大負荷質量に7.3.1に規定す

る安全率を乗じた質量を負荷して異常の有無を調べる。規定の安全率があるかどうかを設計データによっ

て確認してもよい。 

安全装置を備えた懸垂保持機構では,指定の最大負荷質量に7.3.2に規定する静安全率を乗じた質量を安

全装置に負荷して異常の有無を調べる。規定の安全率があるかどうかを設計データによって確認してもよ

い。 

8.16 安全装置の試験 安全装置として落下防止機構を備えている場合には,負荷質量を落下させ(例え

ば,ワイヤロープを切断する。),30mm以内で落下が停止するかどうかを調べる。 

9. 検査 

9.1 

検査一般 ここに規定する検査は,すべて形式検査とする。 

9.2 

性能に関する検査 性能に関する検査は,次の項目の該当するものについて,8.1〜8.9によって試験

したとき,5.の規定に適合したものを合格とする。 

(1) 負荷質量 

(2) 騒音 

(3) 衝撃 

(4) 最終停止位置 

(5) 質量 

(6) 移動速度 

(7) 角度目盛 

(8) 長さ目盛 

(9) 安定性 

9.3 

構造に関する検査 構造に関する検査は,次の項目の該当するものについて,6.の規定に適合したも

のを合格とする。ただし,動く部分の中のX線透視撮影台の圧迫筒については,8.10によって試験したと

き,6.3.5(2)(a)の規定に適合したものを合格とする。 

(1) 患者の支持及び固定 

(2) 懸垂保持機構 

(3) 動く部分 

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Z 4703 - 1995  

2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

(4) 外装及び保護カバー 

(5) 手で保持する部分 

(6) 表面,角及び縁 

(7) 移動形装置 

(8) 携帯形装置 

(9) 飛散物 

(10) 圧力容器及び圧力を受ける部分 

9.4 

安全に関する検査 安全に関する検査は,次の項目の該当するものについて,8.11〜8.16によって試

験したとき7.の規定に適合したものを合格とする。 

(1) 電気的安全 

(2) 患者支持機構 

(3) 踏み台及びいす 

(4) 肩当て 

(5) 懸垂保持機構 

(6) 安全装置 

10. 取扱説明書 取扱説明書には,JIS T 1005及びJIS Z 4701の13.(取扱説明書)によるほか,少なくと

も次の該当する事項を記載しなければならない。 

(1) 移動形装置では,移動及び保管に際して処置する姿勢,ロック状態など[5.5(2)参照]。 

(2) 装置に負荷できる最大許容質量[7.2.1(1)参照]。 

(3) 電動圧迫機構の圧迫力[6.3.5(2)(c)参照]。 

(4) X線透視撮影台に,診断の必要から圧迫中に天板の移動ができる機能を付加した場合には,6.3.5(2)(d)

に規定した注意書き。 

(5) 安全装置にワイヤロープを使用し,かつ,操作者の点検が必要な場合は,その点検方法[6.2.5参照]。 

(6) 動力駆動装置が周囲にある他の機器との接触によって危険を生じる可能性がある場合の使用上の注意

[6.3.5(4)参照]。 

(7) リレーの接点などの事故に対する冗長的保護手段の故障を知るための試験方法[6.3.5(6.3)参照]。 

(8) 安全を維持するために,必要な場合には,部品の交換時期[7.2.1(2)参照]。 

(9) 保護接地線の接続方法。 

(10) 取扱い上の注意事項 

11. 表示 表示は,JIS Z 4701の12.(表示)による。 

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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

医用放射線装置及び附属品工業標準見直し調査委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

野辺地 篤 郎 

聖路加国際病院 

幾 瀬 純 一 

東芝メディカル株式会社技術本部 

石 川   徹 

聖マリアンナ医科大学放射線医学教室 

石 塚 達 洋 

株式会社日立メディコ企画本部 

伊 東   厚 

社団法人日本放射線機器工業会 

岩 尾 總一郎 

厚生省薬務局医療機器開発課 

大 出 良 平 

財団法人医療用テレビジョン研究所 

尾 内 能 夫 

財団法人癌研究会癌研究所 

倉 重 有 幸 

工業技術院標準部電気規格課 

鹿 沼 成 美 

日本大学医学部附属光が丘病院 

高 橋 重 和 

株式会社島津製作所医用機器研究所 

竹 中 栄 一 

関東労災病院放射線科 

多 田 信 平 

東京慈恵会医科大学放射線医学教室 

田 中   実 

株式会社日立メディコ京都工場 

中 島 一 郎 

通商産業省機械情報産業局電子機器課 

橋 詰   雅 

社団法人日本保安用品協会 

浜 田 政 彦 

東京都老人医療センター 

平 林 久 枝 

東京女子医科大学病院 

平 松 慶 博 

東邦大学医学部第2放射線医学教室 

矢 野   太 

ジーイー田中メディカルシステム株式会社 

山 口 珪 紀 

横河メディカルシステム株式会社 

山 田 和 美 

東京日立病院放射線科 

山 根   巌 

株式会社日立メディコ企画本部 

(事務局) 

山 口 隆 弘 

社団法人日本放射線機器工業会 

医用X線機械装置標準見直し原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(主査) 

田 中   実 

株式会社日立メディコ京都工場 

(副主査) 

浅 野   淳 

株式会社東芝那須工場医用機器第一技術部 

青 山 直 充 

工業技術院標準部電気規格課 

伊 倉   喬 

株式会社大林製作所川口工場設計部 

石 川 光 雄 

北里大学病院放射線部 

遠 藤 洋 一 

GE横河メディカルシステムズ株式会社 

上遠野   昭 

国家公務員等共済組合連合会立川病院 

桑 原 勇 幸 

東芝メディカル製造株式会社第一技術部 

高 橋   勝 

東京女子医科大学第二病院放射線科 

武 智 清 隆 

株式会社島津製作所医用第一技術部 

西 村 俊 平 

株式会社日立メディコ柏工場レントゲン設計部 

矢 野   太 

ジーイー田中メディカルシステム株式会社 

宮 崎   茂 

東邦大学大橋病院放射線科 

(事務局) 

山 口 隆 弘 

社団法人日本放射線機器工業会