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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。 

日本工業規格          JIS 

Z 4614 - 1993 

放射線応用計測器用線源容器 

Source container of measuring instrument  

utilizing ionizing radiation 

1. 適用範囲 この規格は,3.7MBqを超える密封放射線源を収納する容器で,放射線応用計測器に使用

する耐火性の構造をもつ線源容器(以下,線源容器という。)について規定する。 

備考1. ここでいう放射線応用計測器とは,厚さ計,レベル計,密度計,石油硫黄計,水分計,ガン

マ線リレーなどであって,ガスクロマトグラフは除く。 

2. この規格の引用規格を,次に示す。 

JIS C 0021 環境試験方法(電気・電子)高温(耐熱性)試験方法 

JIS C 0040 環境試験方法(電気・電子)正弦波振動試験方法 

JIS C 0041 環境試験方法(電気・電子)衝撃試験方法 

JIS C 1602 熱電対 

JIS Z 4001 原子力用語 

JIS Z 4333 X線及びγ線用線量当量率サーベイメータ 

JIS Z 8103 計測用語 

2. 用語の定義 この規格に用いる主な用語の定義は,JIS Z 4001及びJIS Z 8103によるほか,次による。 

(1) 線源容器外殻 線源容器の最外殻の部分。 

(2) 放射線遮へい体 線源容器内に収納された線源に起因する放射線が,線源容器の外部へ漏れるのを遮

へいする部分の総称。 

(3) 線源ホルダ 線源を直接保持する器具。 

(4) 照射窓 放射線を照射させるための線源容器外殻の照射口。 

(5) シャッタ 照射窓からの放射線の照射及び阻止を遠隔駆動又は手動で行う機構。 

3. 性能 

3.1 

耐振動性 線源容器は,6.2によって試験したとき,破損その他の異状がなく,3.3及び3.4に適合し

なければならない。 

3.2 

耐衝撃性 線源容器は,6.3によって試験したとき,破損その他の異状がなく,3.3及び3.4に適合し

なければならない。 

3.3 

シャッタ耐久性 線源容器は,6.4によって試験したとき,シャッタが閉の状態で3.4に適合しなけ

ればならない。 

また,その機能が損なわれてはならない。 

Z 4614 - 1993  

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3.4 

放射線遮へい能力 放射線遮へい能力は,次による。 

(1) β線源を収納する線源容器は,6.5によって試験したとき,漏えい線量当量率が線源容器表面から0.5m

の距離において6μSv/hを超えないこと。 

(2) X線源,γ線源及び中性子線源を収納する線源容器は,6.5によって試験したとき,漏えい線量当量率

が線源容器表面で2mSv/h及び線源容器表面から1mの位置において100μSv/hを超えないこと。 

3.5 

耐火性 線源容器は,6.6によって試験したとき,線源容器外殻から線源ホルダ及びシャッタが脱落

してはならない。 

また,線源容器外殻を含めて著しい変形を生じてはならない。 

4. 構造 構造は,次による。 

(1) 線源容器は,線源容器外殻,シャッタ,線源ホルダ(以下,主要構造部という。)及び放射線遮へい体

から構成される。ただし,照射窓をもたないものについては,シャッタがなくてもよい。 

また,測定原理上放射線遮へい体を主要構造部から離して測定する必要がある場合には,放射線遮

へい体の代わりに専用遮へい体を設けることができる。 

備考 ここでいう専用遮へい体とは,ある種の密度計,水分計などで用いられ,線源容器と機械的に

分離できるその機器専用の遮へい体をいう。 

(2) 照射窓には,膜,板,網などを設けること。 

(3) 遠隔駆動式のシャッタは,動作が確実で,かつ,開閉状態を検知する装置を備え,しかも停電,火災

などの場合は自動的に閉になること。 

(4) 手動式のシャッタは,動作が確実で,かつ,シャッタの開閉状態が確認でき,使用しない場合にシャ

ッタをみだりに開にできないように閉の状態で施錠などができること。 

(5) 線源容器は,線源ホルダを容易に取り外すことができず,かつ,線源ホルダが脱落するおそれがない

こと。 

(6) β線源を収納する線源容器の放射線遮へい体の厚さは,シャッタ閉の状態で全方向にわたり,収納さ

れているβ線源から放射されるβ線の最大飛程以上であること。 

(7) 輸送時などの振動及び衝撃によって,シャッタが動いて放射線の漏えいが増加する可能性がある線源

容器には,シャッタを固定する機構を備えること。 

5. 材料 材料は,次による。 

(1) 線源容器の主要構造部は,腐食しにくい材料,塗装などの防食処理を行った金属とすること。 

(2) 線源容器外殻,シャッタの構造部及び線源ホルダは,800℃以下で溶融せず,−40℃から70℃で運搬

中にき裂や破損のおそれがない材料を使用すること。 

備考 ここでいうシャッタの構造部とは,シャッタの形状を維持するための部分であって,遮へい用

材料(アルミニウム,鉛,ポリエチレンなど),電気部品,機械部品などは含まない。 

6. 試験 

6.1 

共通試験条件 

6.1.1 

供試品 放射線遮へい能力試験以外の試験に用いる供試品の線源容器には,模擬線源を収納する。 

6.1.2 

模擬線源 模擬線源は,次の性能をもつものとする。 

(1) 所定の線源と寸法及び質量が同等であること。 

Z 4614 - 1993  

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(2) 耐熱性は,800℃,1h以上であること。 

6.1.3 

試験順序 試験は,次の順序で行う。 

(1) 耐振動性試験 

(a) 振動応答解析試験 

(b) 掃引耐久試験 

(c) 固定振動数耐久試験 

(2) 耐衝撃性試験 

(3) シャッタ耐久性試験 

(4) 放射線遮へい能力試験 

(5) 耐火性試験 

6.2 

耐振動性試験 

6.2.1 

試験装置 試験装置は,JIS C 0040の5.(試験装置)による。 

6.2.2 

振動応答解析試験 振動応答解析試験は,次による。 

(1) 厳しさ 

(a) 振動数範囲 1〜150Hz 

(b) 振幅 変位振幅 0.35mm(1Hz〜折れ点振動数) 

加速度振幅 0.98m/s2(折れ点振動数〜150Hz) 

備考 振動の振幅は片振幅とする。折れ点振動数(ここでは8〜9Hz)以下の振動数における振幅

は変位一定(変位振幅)とし,この振動数を超える場合は,加速度一定(加速度振幅)と

なるように設定して,振動数を掃引する。 

(c) 振動数掃引速度 1オクターブ/min 

(2) 試験条件 供試品を正常の使用状態に取り付けて試験する。欠陥が最も現れやすいように選んだ互い

に直交する三軸方向で順次供試品に振動を加える。 

供試品の特性を調査するための振動応答解析試験は,6.2.2(1)の振動数範囲及び振幅で,振動数を連

続的に上昇及び下降させて行う。応答特性をより正確に求めようとするときは,振動の振幅及び掃引

速度を規定値以下に下げればよい。 

供試品の臨界振動数を求めるため,次の事項を調べる。 

(a) 供試品の誤動作が現れる振動数 

(b) 機械的共振が現れる振動数 

これらの影響が起こるすべての振動数,振幅及び供試品の反応を記録する。 

6.2.3 

掃引耐久試験 掃引耐久試験は,次による。 

(1) 厳しさ 

(a) 振動数範囲 1〜150Hz 

(b) 振幅 変位振幅 7.5mm(1Hz〜折れ点振動数) 

加速度振幅 19.6m/s2(折れ点振動数〜150Hz) 

備考 振動の振幅は,6.2.2(1)(b)の備考と同じとする。 

(c) 振動数掃引速度 1オクターブ/min 

(b) 耐久試験時間 掃引サイクル10回 

備考 ここでいう掃引サイクルとは,各軸方向に規定の振動数範囲を1回往復することをいう。 

例 1Hz→150Hz→1Hz 

Z 4614 - 1993  

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(2) 試験条件 供試品の取付けと振動を加える軸方向は,6.2.2(2)による。 

6.2.4 

固定振動数耐久試験 固定振動数耐久試験は,次による。 

(1) 厳しさ 

(a) 振動数範囲 振動応答解析試験で求められた臨界振動数 

求められなかった場合は50Hz 

(b) 振幅 19.6m/s2の加速度を与える振幅 

(c) 耐久試験時間 10h 

(2) 試験条件 供試品の取付けと振動を加える軸方向は,6.2.2(2)による。振動応答解析試験で求められた

臨界振動数が複数の場合,それぞれについてこの試験を行う。 

実際の臨界振動数が明確でない場合は,その効果が確実に起こるようにするため,臨界振動数前後

の限定された振動数範囲で掃引することが望ましい。 

6.3 

耐衝撃性試験 

6.3.1 

試験装置 試験装置は,JIS C 0041の5.(試験装置)による。基本パルスの波形は,正弦半波とす

る。 

6.3.2 

厳しさ 厳しさは,次による。 

(1) ピーク加速度 981m/s2 

(2) 作用時間 6ms 

6.3.3 

試験条件 試験条件は,次による。 

(1) 衝撃の適用 供試品の互いに直交する3軸に沿って両方向にそれぞれ連続する3回,合計18回の衝撃

を加える。 

(2) 試験方法 試験は,次の試験方法1又は試験方法2で行う。 

(a) 試験方法1 

正弦半波の衝撃パルスを発生する衝撃試験機の試験台に供試品と衝撃パルスの測定装

置を確実に取り付けて行う。 

(b) 試験方法2 

供試品と衝撃パルスの測定装置を試験台などに確実に装着して自由落下させて行う。 

6.4 

シャッタ耐久性試験 試験は,次の各項によって行う。 

(1) 遠隔駆動式のシャッタを備えた線源容器については,シャッタ開閉を1回とし,連続3 000回の繰返

し開閉動作を行う。開閉頻度は,2回/minを超えないようにする。 

(2) 手動式のシャッタを備えた線源容器については,シャッタ開閉を1回とし,連続150回の繰返し開閉

動作を行う。 

6.5 

放射線遮へい能力試験 試験は,次の各項によって行う。 

(1) 線源容器に所定の核種,数量の線源を収納し,シャッタを閉じた状態又は専用遮へい体を取り付けた

状態で測定する。 

(2) X線及びγ線の測定は,JIS Z 4333又はこれと同等の性能をもつ測定器を使用し,中性子線については

線量当量率が測定評価できる測定器を使用する。 

(3) 測定量は,1cm線量当量率とする。 

(4) β線源を収納する線源容器の漏えい線量当量率を測定する位置は,線源容器の全方向にわたり,線源

容器表面から0.5mの距離とする。 

(5) X線源,γ線源及び中性子線源を収納する線源容器の漏えい線量当量率を測定する位置は,線源容器の

全方向にわたり,線源容器表面と線源容器表面から1mの距離とする。 

(6) 測定値は,それぞれの距離について測定した漏えい線量当量率の最大値とする。 

Z 4614 - 1993  

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6.6 

耐火性試験 

6.6.1 

試験装置 試験装置は,JIS C 0021の3.(試験装置)による試験装置又はこれと同等以上の性能を

もつ加熱炉のいずれかとする。 

6.6.2 

厳しさ 厳しさは,次による。 

(1) 試験温度 800℃以上 

(2) 放置時間 30mim 

6.6.3 

試験条件 試験条件は,次による。 

(1) あらかじめ加熱した試験装置に供試品を挿入する。 

(2) 供試品は,その外面の中で最小面積の面を下面として,試験装置内の中央に断熱材の台を介して安定

に設置する。ただし,外面の中で最小面積の面を下面とすると供試品が不安定になる場合は,この限

りではない。 

(3) 試験(周囲)温度は,JIS C 0021の7.(試験)によって,供試品の下方0〜50mmに位置する水平面上

で,供試品の中心の真下から見て互いに直交する4方向上の,供試品から1m又は試験装置の内壁ま
での距離の21のいずれか短い方の位置の4点で測定した温度の平均値とする。 

(4) 試験(周囲)温度の測定は,JIS C 1602に規定する0.75級以上の精度をもつ1.60mmK熱電対を使用

し,1minごとに行う。熱電対保護管は使用しない。 

(5) 放置時間は,試験(周囲)温度が6.6.2(1)の規定値に達したときから測定する。 

(6) 放置時間中は,試験(周囲)温度を6.6.2(1)の規定値に保持する。 

(7) 供試品は,放置時間経過後に試験装置から取り出して自然冷却する。 

7. 検査 線源容器の検査は,形式検査及び受渡検査に区分し,次の項目について,6.によって試験した

とき,3.に適合したものを合格とする。 

(1) 形式検査 

(a) 耐振動性 

(b) 耐衝撃性 

(c) シャッタ耐久性 

(d) 放射線遮へい能力 

(e) 耐火性 

(2) 受渡検査 受渡検査は,放射線遮へい能力について行う。 

8. 表示 線源容器には、見やすい箇所に次の事項を表示しなければならない。これらの表示は、使用さ

れる環境下で,容易に脱落又は読みにくくなってはならない。 

(1) 製品の名称又は形名 

(2) 製造業者名又はその略号 

(3) 製造年月又はその略号 

(4) 製造番号又はその略号 

備考 上記以外に,法令などによって表示が義務付けられている事項があるので考慮すること。 

Z 4614 - 1993  

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原子力部会 線源容器専門委員会 構成表(昭和48年8月1日制定時) 

氏名 

所属 

(委員会長) 

伊 藤 岳 郎 

駒沢大学 

加 藤   朗 

工業技術院電子技術総合研究所 

下 邨 昭 三 

工業技術院標準部 

中 澤 幸 一 

科学技術庁原子力局 

藤 本 和 男 

通商産業省重工業局 

守 屋 忠 雄 

消防庁消防研究所第1研究部 

荒 井   仁 

社団法人日本原子力産業会議開発部 

大 野   明 

神奈川県工業試験場 

鈴 木 英 世 

社団法人日本アイソトープ協会 

丹 下 義 信 

王子製紙株式会社工務部 

浜 田 達 二 

理化学研究所 

宮 川 一 男 

新日本製鐵株式会社君津製鉄所 

泉   正 雄 

東京芝浦電気株式会社計測制御機器部 

上 柳 英 郎 

株式会社島津製作所原子力機器工場 

佐 野 清 助 

株式会社横河電機製作所科学機器技術部 

清 水 雅 美 

富士電機製造株式会社放射線機器部 

真 島 鉄 柱 

株式会社日本無線医理学研究所 

松 岡 祥 隆 

株式会社日立製作所那珂工場 

山 本 徳太郎 

電子機械工業会技術部 

吉 沢 賢 一 

社団法人日本電気計測器工業会技術部 

(関係者) 

山 地   磐 

工業技術院電子技術総合研究所 

(事務局) 

村 田 照 夫 

工業技術院標準部電気規格課(昭和48年8月1日制定時) 

釜 土 祐 一 

工業技術院標準部電気規格課(昭和48年8月1日制定時) 

橘   幹 広 

工業技術院標準部電気規格課(平成5年3月1日改正時) 

放射線応用計測器線源容器工業標準原案作成委員会 構成表 

氏名 

所属 

(委員長) 

鷲 見 哲 雄 

愛知工業大学 

稲 葉 裕 俊 

工業技術院 

高 木 譲 一 

科学技術庁原子力安全局 

三 宅 信 弘 

通商産業省機械情報産業局 

○ 崎 原 克 彦 

電子技術総合研究所 

* 富 永   洋 

財団法人放射線計測協会 

○ 松 山   格 

東京都立工業技術センター 

○ 五 味 邦 博 

社団法人日本アイソトープ協会 

島 田 裕 久 

財団法人消防試験研究センター 

五十嵐 健 治 

財団法人原子力安全技術センター 

○ 白 川 芳 幸 

新日本製鐵株式会社 

杉 田 重 隆 

昭和電工株式会社 

本 間 忠 一 

本州製紙株式会社 

○ 清 水 雅 美 

富士電機株式会社 

○ 正 信 和 則 

株式会社東芝 

○ 佐 瀬 義 広 

株式会社日立製作所 

○ 平 野 時 雄 

横河電機株式会社 

黒 木 勝 也 

財団法人日本規格協会 

(事務局) 

後 藤 三 造 

社団法人日本電気計測器工業会 

備考 ○印は小委員会メンバー,*印は同主査を示す。