2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 4608-1993
回転形コバルト60遠隔治療装置
Rotational type 60Co teletherapy apparatus
1. 適用範囲 この規格は,放射性同位元素による回転形遠隔治療装置(以下,装置という。)のうち,線
源としてコバルト60を収容するものについて規定する。
備考 この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 1302 絶縁抵抗計(電池式)
JIS H 2105 鉛地金
JIS Z 4001 原子力用語
JIS Z 4328 X線及びγ線用サーベイメータ
JIS Z 4511 照射線量測定器及び線量当量測定器の校正方法
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 4001によるほか,次による。
(1) 遠隔治療装置 線源と皮膚との間に適当な距離を保って照射する治療装置。
(2) 線源 二重カプセルに密封されたコバルト60。
(3) 照射容器 線源を安全に収容し,かつ,患部にγ線を照射できる構造の容器。
(4) 接触安全装置 患者への接触又は過度の圧迫に対する安全のために可動絞りなどに具備する安全装置。
(5) 最大許容収容量 線源から1mの距離における非照射時の漏れ線量率の最大値が5.15×10−7C/kg・h
以下になる線源のキュリー数を有効数字2けた(桁)で表した公称値。
(6) 線源定格 照射容器内に収容することのできる線源の最大寸法及び最大許容収容量。
(7) 非照射時 線源移動式の照射開閉機構をもつ装置にあっては,線源が完全に格納状態にあるとき。シ
ャッタ方式の照射開閉機構をもつ装置にあっては,シャッタが完全に閉じた状態にあるとき。
(8) 可動絞り γ線照射野を連続的に可変する絞り装置。
(9) 照射野 アイソセンタ位置で,利用線すい中心軸に直交する平面において照射線量率が最大照射線量
率の50%に減衰する領域を含めた範囲。
(10) アイソセンタ 照射容器回転及び照射容器前後回転の角度がそれぞれ0°の状態で,架台回転軸と絞
り回転軸とが交差する点(図1参照)。
(11)くさびフィルタ 放射線照射野の全体又は一部について透過量を連続的に変化させるためのフィルタ。
(12) 治療台 治療を受ける人体を保持し,位置付けをする装置。
(13) 照射術式 回転照射法,振子照射法,固定照射法などの術式。
3. 環境条件,電源設備及び接地設備
3.1
環境条件
(1) 周囲温度 20±15℃
2
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(2) 相対湿度 (65±20) %
(3) 気圧 700×102〜1 100×102Pa
3.2
電源設備 この装置に使用する電源は,次による。
(1) 定格電源電圧 交流100V又は200V
(2) 電源の相数 単相又は三相
(3) 電源の周波数 50Hz又は60Hz
(4) 定格負荷通電中の許容電源電圧範囲 定格電源電圧の±10%
3.3
接地設備 装置を据え付ける場所の接地は,次の各項の規定を満足しなければならない。
(1) 設備の接地端子は,電気設備に関する技術基準を定める省令(昭和40年通商産業省令第61号)に定
める第3種接地工事以下の接地抵抗をもつ接地線に確実に接地する。
(2) 装置を構成する単位機器のそれぞれの接地線が直接設備の接地端子に接続するように設計されている
場合には,適当な長さと十分な機械的強度をもち,その電気抵抗を無視することができ,かつ,5.4
の規定に適合する接地端子を設けることができる程度の太さをもつ接地母線を備えること。接地母線
は,(1)に規定する設備の接地端子に確実に接続すること。
4. 性能
4.1
人体支持部の機械的強度 成人を対象とする治療台の人体支持部は135kgの体重を加えたとき,そ
の動作に異常があってはならない。
4.2
電撃防止
(1) 装置及び装置を構成する各単位機器並びにそれらの部品の人が触れるおそれがある導電性部分(以下,
接触可能導電性部分という。)から人体を経て大地又は他の接触可能導電性部分へ流れる電流(以下,
外装漏れ電流という。)は確実に接地した状態で0.1mA以下でなければならない。
(2) 接触可能導電性部分とそれぞれの装置の接地端子との間の電気抵抗は,0.1Ω以下であり,かつ,接触
可能導電性部分と設備の接地端子に接続する接地線の端末との間の電気抵抗は,0.2Ω以下でなければ
ならない。ただし,使用時に着脱する部分についてはこの規定を適用せず,(1)の外装漏れ電流に関す
る規定だけを適用する。
4.3
電気回路の耐電圧 回路の最高電位差Uに対する試験電圧は表1のとおりとし,各部の絶縁は表1
に示す試験電圧に1分間耐えなければならない。
なお,試験電圧の波形及び周波数は,使用時に加えられるものと等しくする。
表1 回路の最高電位差に対する試験電圧
単位 V
回路の最高電位差 (U)
電源一次回路
と接地端子間
入出力回路の
異極間
つまみの銘板
など(1)
50<U≦150
1 000
1 000
1 000
150<U≦250
1 500
1 500
1 500
注(1)つまみ,握り,ハンドルのようなものに接着した金属薄板とその軸又
は支持具との間の試験電圧を示す。ただし,どのような場合にも軸
又は支持具が確実に接地されている場合は除く。
4.4
絶縁抵抗 装置を構成する各単位機器の電源一次回路とそれぞれの機器の接地端子との間の絶縁抵
抗は,2MΩ以下でなければならない。
4.5
放射線防護 装置は,放射線防護のために次の性能を備えなければならない。
3
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(1) 非照射時の漏れ線量率 非照射時において定格の線源量を収容した照射容器からの漏れ線量率は,線
源から1mの距離におけるあらゆる点で5.15×10-7C/kg・h以下であること。
(2) 可動絞りからの漏れ線量率 装置には可動絞りを備え,その遮へい能は可動絞りを透過した漏れ線量
率が,線源から同一距離における利用線すい中心軸上の最大照射線量率の2%を超えないこと。
(3) 最大利用線すいの外側の漏れ線量率 照射時における照射容器からの漏れ線量率は,次の各項を満足
しなければならない。
(a) アイソセンタを中心とし,利用線すい中心軸に直交する半径2mの平面上にあり,かつ,最大利用
線すい領域外側の任意の点の漏れ線量率は,アイソセンタにおける最大照射線量率の0.2%を超えて
はならず,その平均値は,0.1%を超えないこと。
なお,ここに規定する範囲を取扱説明書などの附属文書に記載すること。
(b) (a)に規定した領域以外における線源から1mの距離での漏れ線量率は,線源から同一距離における
利用線すい中心軸上の最大照射線量率の0.5%を超えないこと。
(4) 対向遮へい板からの漏れ線量率 対向遮へい板を備える装置にあっては,その遮へい能は対向遮へい
板を透過した漏れ線量率が線源から同一距離における利用線すい中心軸上の最大照射線量率の0.5%
を超えないこと。
また,その遮へい範囲又は大きさを取扱説明書などの附属文書に記載すること。
4.6
接触安全装置 装置には,可動絞りなどで患者を圧迫する危険を防止するための安全装置を備えな
ければならない。
4.7
照射の停電時自動閉鎖 装置には,停電の場合自動的に非照射状態に戻る機構を備えなければなら
ない。
また,制御器を再操作するまでは非照射状態を維持しなければならない。
5. 構造
5.1
装置の主な動きの呼称 図1に示す装置の可動部分は,表2に示すように呼称する。
図1
4
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表2 装置の可動部分の動きの呼称
軸又は方向
動きの呼称
軸又は方向
動きの呼称
1
架台回転
6
治療台天板回転
2
照射容器回転
7
治療台天板上下動
3
照射容器前後回転
8
治療台天板左右動
4
絞り回転
9
治療台天板前後動
5
治療台アイソセントリック回転
5.2
目盛の表示
5.2.1
回転目盛の表示 回転目盛の表示は,次の各項による。
(1) 回転目盛は度単位の正数を用い,……358°, 359°, 0°, 1°, 2°, ……のように表すものとする。
(2) 架台回転,照射容器回転,治療台アイソセントリック回転及び治療台天板回転の目盛は,次のすべて
を満足する場合に0°を指示するように目盛ること。
(a) 上記の回転軸がすべて同一平面内にある。
(b) 利用線すい中心軸が垂直下向きである。
(c) 治療台天板前後動が架台回転軸に平行である。
(d) 治療台天板回転軸が架台から最も離れた位置にある。
(3) 照射容器前後回転の目盛は,架台回転角及び照射容器回転角がそれぞれ0°で,かつ,利用線すい中
心軸が垂直下向きのとき0°を指示するように目盛ること。
(4) 絞り回転の目盛は,絞りのどちらかの絞りブロックの端面が架台回転軸に平行であり,くさびフィル
タの薄い端面が架台側にあるとき0°を指示するように目盛ること。
(5) 架台回転,絞り回転及び治療台アイソセントリック回転の目盛は,それぞれアイソセンタから見て時
計方向に回転させたとき,目盛の読みが増加するように目盛ること。
(6) 照射容器回転の目盛は,架台回転角と同一角度に設定したとき,利用線すい中心軸が垂直下向きにな
るように目盛ること。
(7) 治療台天板回転の目盛は,治療台アイソセントリック回転角と同一角度に設定したとき,治療台天板
前後動が架台回転軸と平行になるように目盛ること。
なお,治療台天板回転軸が治療台アイソセントリック回転軸と同一位置にある装置にあっては,そ
の回転を治療台アイソセントリック回転とみなして目盛ること。
(8) 照射容器前後回転の目盛は,利用線すいが架台から遠ざかる方向に移動させたとき,目盛の読みが増
加するように目盛ること。
5.2.2
直線目盛の表示 直線目盛の表示は,次による。
(1) 直線目盛は5mm又はそれ以下の間隔の補助目盛を付けて,cm単位で目盛ること。
また,表示を正確にするために正の整数を用い,次の例に示すように表すものとする。
例 ……, 997, 998, 999, 0, 1, 2, 3, ……cm
(2) 治療台の直線運動の目盛は,次の場合0とすること。
(a) 天板上下動に関しては,天板表面がアイソセンタ高さにあるとき。
(b) 天板前後動に関しては,天板が架台から最も離れたとき。
(c) 天板左右動に関しては,天板中心線が架台回転軸に一致するとき。
(3) 治療台の直線運動の目盛は,次の場合に増加するように目盛ること。
(a) 天板上下動に関しては,天板を下方向へ移動させたとき。
5
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(b) 天板前後動に関しては,治療台アイソセントリック回転及び天板回転をともに0°にして,天板を
架台方向へ移動させたとき。
(c) 天板左右動に関しては,治療台アイソセントリック回転及び天板回転をともに0°にして,架台に
面して天板を右方向へ移動させたとき。
5.3
電源導線の公称断面積及び電源端子 電源導線には表3に示す公称断面積以上の銅線を使用し,装
置の電源端子は,これら導線を確実に接続できる形状,寸法とする。
表3 電源導線の公称断面積
単位 mm2Cu
装置の定格電流 (I) A 公称断面積 装置の定格電流 (I) A 公称断面積
I≦10
1.25
16<I≦25
3.5
10<I≦16
2.0
25<I≦32
5.5
5.4
接地端子及び接地線 装置の接地端子は電源端子の寸法以上とし,電源端子の近傍に設けるものと
する。
また,接地線の断面積は,4.2(2)の規定を満足するとともに,電源回路に接地電位の導体との短絡事故が
生じた場合に流れる電流によって,接地線が溶断するおそれがない寸法とする。
なお,接地線にはその全長にわたり緑/黄の絶縁被覆した電線を用いるものとする。
5.5
差込接続器 差込みを誤ったとき,危険を生じるおそれがある場合には,互換性のない接続器を使
用しなければならない。
5.6
外装及び保護カバー 外装及び保護カバーは,振動などによって外れないように,ねじに回り止め
を施すなどの方法で固定し,次の構造とする。
(1) 操作上又は機能上必要な場合に限り,外装に開口を設けてもよい。ただし,操作者に電気ショックを
与えるおそれがないような位置及び寸法にすること。
(2) 電源を開路しても電荷が残留したままになる部分は,外装のほかにその部分に工具を用いなければ取
り外すことのできない保護カバーを設け,この部分にその旨を表示すること。
(3) 電気ショックを防止するための外装及び保護カバーは,工具を用いなければ開いたり取り外したりで
きない構造とすること。ただし,外装又は保護カバーを開いたりしたとき,接触可能部分の電圧が自
動的に直流50V,交流24V,又は残留エネルギーが2mJ以下になる場合には,工具を使用せずに取外
しができてもよい。
5.7
ヒューズ及び配線用遮断器 ヒューズホルダ及び配線用遮断器又はその近傍に,その定格を表示し
なければならない。
5.8
表面・角・縁 表面,角及び縁の仕上げは,人を傷つけるおそれがないように,滑らかに又は丸み
があるように仕上げるものとする。
5.9
停電時の危険防止 停電時におけるブレーキ作用又はブレーキ作用の解除によって,患者又は操作
者に危険な状態を与えるおそれがない構造としなければならない。
また,ON,OFFスイッチは停電後送電が再開されても危険な状態を生じない回路にだけ使用し,危険
を生じるおそれがある回路には,デッドマン形(2)又は停電時に自動的に開路する自己保持形開閉回路を使
用しなければならない。
注(2) デッドマン形の構造とは,開閉器に人が力を加えている間だけその回路を閉路状態に保ち,人
がその力を取り去れば直ちに回路を開放する開閉器又は開閉回路の構造をいう。
5.10 放射線防護 装置には,放射線防護のために次の規定に適合する処置を講じなければならない。
6
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(1) 照射容器の構造 照射容器は,いかなる操作に対しても線源の離脱,破損が起こらないよう定位値に
保持する構造であること。
照射容器の照射開閉機構は円滑に作動し,かつ,所定の照射時間又は照射線量に達したとき,非照
射状態に確実に戻るような構造であること。
(2) 照射口の開閉 照射口は,遠隔操作によって開閉できる構造であること。
(3) 照射の手動閉鎖 照射開閉機構は,非照射状態に自動復帰する機構に故障を生じた場合でも,他の方
法,例えば手動によって照射口を閉鎖できる構造であること。
(4) 二次電子ろ過板 照射口には,適当な二次電子ろ過板を線源から適当な距離に設けること。
(5) 照射野表示
(a) 装置には,照射野の輪郭を示す手段,例えば投光照準器,及びその輪郭の中心を示す手段を備える
こと。
(b) 装置には,アイソセンタにおける照射野の寸法を示す別の手段,例えば指示目盛板などを備えるこ
と。
(6) 照射中の表示 照射容器には,次の各項によって照射時か非照射時かを明りょうに表示すること。
(a) 表示灯による表示 非照射時は緑色で,それ以外の状態は,赤色の表示灯で表示する。
(b) 非電気的方法による表示 装置が非照射時か,それ以外の状態にあるかを治療室で明りょうに機械
的方法で表示する。色によって表示する場合は非照射時は緑色で,それ以外の状態は赤色で表示す
る。
(7) ドアインタロック 装置には,照射室の扉が開いたとき,自動的に照射を中断するためのインタロッ
クを設けること。
なお,この回路の作動によって照射が中断したときは,改めて制御器を操作しなければ再照射でき
ない構造とすること。
(8) 警報装置 装置には,照射室入口外側の照射中であることを示す警報装置に接続する回路を設けるこ
と。
(9) 制御器 制御器は,少なくとも次の各項を満足すること。
(9.1) 照射開閉機構の開閉を行える制御器を備える。
(9.2) 照射時は,黄色又はだいだい色,非照射時は緑色の表示灯で表示する。線源又はシャッタが移動中
であることを表示する必要のある場合は赤色の表示灯を用いる。
(9.3) タイマ又はその他の方法で所定の時間又は照射線量に達したとき,自動的に照射を終了できる制御
回路を備える。
なお,タイマは次の各項を満足すること。
(a) 積算形タイマである。
(b) 照射中断又は終了時にはその表示値を保持する。
(c) 照射終了後に再照射するときには,リセットすることが必要である。
(d) タイマ目盛は10進法で目盛り,分又は秒単位を用いる。
(9.4) 有資格者以外の人が照射できないように,キースイッチのようなロック機構を備える。
(9.5) 随時,装置の動き及び照射を中断できる機構を備えること。
また,いったん中断したときは,制御器を操作するまでは再照射できない構造とする。
(9.6) ドアインタロック回路の動作状態を制御盤面に示す。
(9.7) 固定照射と運動照射のできる装置にあっては,次の機構を備える。
7
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(a) 制御器盤面で照射術式の選択ができる。
(b) 選択された照射術式は盤面に表示される。
(c) 照射中に照射術式が切り換えられた場合には,直ちに照射が自動的に中断される。
6. 試験方法
6.1
試験条件 装置は,次の環境条件の場所に設置し,確実に接地した状態で試験する。
備考 確実に接地するとは,4.2(2)を満足する接地状態をいう。
(1) 周囲温度は,20±15℃とする。
(2) 相対湿度は, (65±20) %とする。
(3) 気圧は,700×102〜1100×102Paとする。
6.2
人体支持部の強度試験 135kgの人体模型又は適切な個数の砂袋などを乗せて作動の異常の有無を
調べる。
6.3
電撃防止試験
6.3.1
外装漏れ電流試験 装置を定格電源電圧の110%の電圧の電源に接続し,人体等価インピーダンス
としては,1 000±10Ωの無誘導抵抗と0.15±0.007 5μFのコンデンサを並列に接続した測定用インピーダン
スを用いる。着脱する部品及び接地端子に確実には接続されない部分の接触可能導電性部分と装置の接地
端子との間,又は接触可能導電性部分間に測定用インピーダンスを接続し,入力インピーダンス100kΩ以
上の電圧計を用いて測定用インピーダンスの両端電圧を測定して外装漏れ電流を求め,4.2(1)の規定に適合
するかどうかを調べる。ただし,装置の接地端子に確実に接続されている部分[4.2(2)参照]については,
この試験は行わない。
6.3.2
電気抵抗試験 接触可能導電性部分と装置の接地端子との間に,無負荷時の電圧が6Vを超えない
電源から10A以上25A未満の電流を5秒間以上流してこれらの間の電圧を測定し,また,接触可能導電性
部分と接地線の端末間も上記と同様にしてその間の電圧を測定し,それぞれの電気抵抗を求め,4.2(2)の規
定に適合するかどうかを調べる。
6.4
耐電圧試験 絶縁と並列に接続されている電力を消費する部品及び回路をその接地側で切り離し,
必要があればランプなどを取り外した状態で4.3に示す試験電圧を1分間加えて異常の有無(3)を調べる。
注(3) 試験電圧が瞬間的に低下してもその値がU以上であり,かつ,その値を持続することなく試験
電圧に復帰するような軽度のコロナ放電は異常とは考えない。
6.5
絶縁抵抗試験 JIS C 1302に規定する絶縁抵抗計又はこれと同等以上の性能をもつ絶縁抵抗計によ
って,直流500Vの電圧を1分間加え,4.4の規定に適合するかどうかを調べる。
6.6
非照射時漏れ線量率試験 定格線源量を照射容器に収容し,非照射の状態でJIS Z 4511に規定する
校正方法によって校正したJIS Z 4328に規定する放射線サーベイメータ,又はこれと同等以上の性能をも
つ照射線量率計で線源から1mの距離における漏れ線量率を測定し,4.5(1)の規定に適合するかどうかを調
べる。測定点は,線源を中心とする直交3平面及びこれらに45°傾斜角で交わる平面上で行うものとし,
各平面上の8等分点の合計26点とする。ただし,定格線源量未満のときは,測定値に基づいて定格線源に
相当する漏れ線量率を求め,また,測定距離が1mでないときは測定値から1mの距離に換算して漏れ線
量率を算出する。
備考 測定距離を1mより近づけた場合,散乱線などの影響で,測定値は必ずしも逆2乗則によって
増加しないが,計算値は安全側に現れる。
8
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6.7
可動絞りからの漏れ線量率試験 可動絞りの開きを10×10cmの照射野に設定し,厚さ68mm(減弱
比:1/50相当)の鉛ブロック(JIS H 2105の3種以上とする。)で絞り開口部をふさぎ(4),図2に示すよう
にアイソセンタの位置に利用線すいに対し直角に工業用X線フィルムなどを置いて照射し(5),最大照射野
の範囲内で,かつ,絞りで覆われた部分Bのほぼ中心4か所の平均濃度が,鉛ブロックで覆われた部分A
の中心濃度を超えないかどうかを調べる。
注(4) 開口部を鉛ブロックでふさぐ場合,可動絞りとブロック間にすきまが生じないようブロックに
段をつけてもよいが,重なり幅は2mm以下とすること。
(5) A部分の中心濃度が1〜2になるように条件を決定すること。
図2
6.8
最大利用線すいの外側の漏れ線量率試験 絞りの開きを最小照射野に設定し,厚さ120mm(減弱比:
1/1 000相当)の鉛ブロック(JIS H 2105の3種以上とする。)で絞りの最大利用線すい領域をふさいだ状
態で照射し,6.6に規定した線量率計で照射容器からの漏れ線量率を測定する。次いで,鉛ブロックを取り
外した状態でアイソセンタにおいて照射野10×10cmの中心線量率を測定し,両者の比が4.5(3)の規定に適
合するかどうかを調べる(図3)。
(1) 4.5(3)(a)の規定に対する測定点は,アイソセンタを中心とし,利用線すい中心軸に直交する平面上に
あって,次の合計36点とする。
(a) 半径1mの円の周上8等分点
(b) 半径1.5mの円の周上の12等分点
(c) 半径2mの円の周上16等分点
次に,アイソセンタを中心とし,利用線すい中心軸に直交する半径1mの円平面内において,絞
りブロックの開閉方向に平行する2軸に沿って線量率計を外周からアイソセンタの方向に走査させ,
漏れ線量率がアイソセンタにおける最大照射線量率の0.2%の点を求める。
(2) 4.5(3)(b)の規定に対する測定は,線源から1mの半径で線源を中心とし,互いに直交する平面及びこれ
らに45°傾斜角で交わる平面で各平面上の8等分点のうち利用線すい側の9点を除く17点とする。
9
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図3
6.9
対向遮へい板からの漏れ線量率試験 絞りの開きを10×10cmの照射野に設定して対向遮へい板に
向け照射し,6.6に規定した線量率計で対向遮へい板の漏れ線量率を測定する。次いで,照射線量率が対向
遮へい板から外れるまで照射容器を回転又は対向遮へい板を移動させ,線源から同一距離での最大利用線
量率を測定し,両者の比が4.5(4)の規定に適合するかどうかを調べる。
6.10 圧迫防止試験 治療台に載せた人体模型などに安全装置を接近又は接触させ,安全装置が作動した
とき,その先端によって過度に人体模型などを圧迫していないかどうかを調べる。
6.11 照射口自動閉鎖試験 照射時に装置への供給電源を切り,10秒以下で自動的に照射口が閉鎖するか
どうかを調べ,閉鎖状態が維持されるかどうかを調べる。
7. 表示 装置には,次の事項を見やすい場所に表示しなければならない。
(1) 装置の形式又はその名称
(2) 製造業者名及び住所
(3) 製造番号
(4) 据付年月日又はその略号
(5) 線源定格
(6) 定格電源の相数,電圧及び周波数
(7) 消費電力
(8) 標識 放射能標識(半径2.5cm以上)及びその上部に,“放射性同位元素”の文字並びに放射性同位元
素の種類,数量及び当該放射性同位元素を装備した年月日を示す標識を照射容器表面に取り付けるこ
と。
8. 取扱い上の注意事項 装置は,次のような場所に設置してはならない。特にこのような場所に設置し
なければならない場合には,あらかじめ製造業者と仕様について打ち合わせ,装置をその環境に適応する
ように改造しなければならない。
なお,この項目に示した注意事項は,取扱説明書などの附属文書に記載するものとする。
10
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(1) 周囲温度が+5℃未満又は+35℃を超える場所
(2) 相対湿度が35%未満又は85%を超える場所
(3) 気圧が700×102Pa未満又は1 100×102Paを超える場所
(4) 有害なガスにさらされる場所
(5) 湯気にさらされる場所
(6) 水滴がかかる場所
(7) ほこり又は砂ぼこりの多い場所
(8) 過度に油蒸気の多い場所
(9) 爆発性のガス又はほこりにさらされる場所
(10) 過度の振動又は衝撃を受ける場所
9. 定期点検及びオーバホール 製造業者は,装置の据付け完了後1年間は,その性能を保証しなければ
ならない。ただし,線源については,線源製造業者が定める個別の保証によるものとする。
使用者は,1年を超えない一定期間ごとに装置の定期点検を行うものとする。
(1) 定期点検項目 使用者が実施する定期点検の項目は,少なくとも次の項目とする。
(a) 絶縁抵抗(4.4)
(b) 外装漏れ電流(4.2)
(c) 照射容器支持架台及び治療台の作動(5.1)
(d) 非照射時の漏れ線量率 [4.5(1)]
(e) 照射野及びその中心表示のずれ [5.10(5)]
(f) 接触安全装置の作動(4.6)
(g) 照射の停電時自動閉鎖(4.7)
(h) 照射中,非照射中の表示機構の作動 [5.10(6)]
(i) ドアインタロック機構の作動 [5.10(7)]
(j) タイマによる照射口閉鎖作動 [5.10(9.3)]
(k) 制御器による照射中断機構の作動 [5.10(9.5)]
(2) オーバホール 使用者は,線源の交換時及び装置を移設したとき装置のオーバホールを行い,消耗又
は疲労する部品を更新しなければならない。オーバホールを行う項目は,少なくとも上記(1)の点検項
目に関連する機構及び制御回路部とする。
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Z 4608-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原子力部会 医用放射線装置及び附属品専門委員会 構成表(昭和62年7月1日改正時)
氏名
所属
(委員会長)
野辺地 篤 郎
聖路加国際病院
飯 沼 武
放射線医学総合研究所
本 田 幸 雄
通商産業省機械情報産業局
小 宮 宏 宣
厚生省薬務局
佐 竹 宏 文
科学技術庁原子力安全局
竹 中 栄 一
防衛医科大学校
橋 詰 雅
麻布大学獣医学部
平 野 隆 之
工業技術院標準部
安 藤 喜 市
株式会社風雲堂電機製作所技術部
岡 崎 玄 右
株式会社大林製作所川口工場
岡 部 美 夫
肥田電機工業株式会社
奥 野 孝 司
朝日レントゲン工業株式会社技術部
小 泉 祐一郎
キヤノン株式会社医用開発部
関 義 孝
社団法人日本放射線機器工業会
橋 本 健二郎
株式会社東芝医用機器事業部
矢 野 太
株式会社田中レントゲン製作所埼玉工場
山 根 巌
株式会社日立メディコ企画室
大 出 良 平
財団法人医療用テレビジョン研究所
尾 内 能 夫
財団法人癌研究会癌研究所
片 山 仁
順天堂大学医学部
神 田 幸 助
昭和大学病院
橋 本 宏
社団法人日本放射線技術学会(埼玉県立小児医療センター)
浜 田 政 彦
東邦大学附属大橋病院
平 松 慶 博
聖母病院
山 下 久 雄
財団法人慶応がんセンター
(専門委員)
安 藤 正 一
日本大学歯学部
村 上 文 男
株式会社日立メディコ柏工場
山 本 昭
鶴見大学歯学部
(事務局)
山 村 修 蔵
工業技術院標準部電気・情報規格課(昭和62年7月1日改正時)
田 所 利 一
工業技術院標準部電気・情報規格課(昭和62年7月1日改正時)
橘 幹 広
工業技術院標準部電気規格課(平成5年3月1日改正時)
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Z 4608-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
医用放射線装置及び附属品工業標準見直し調査委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
大 出 良 平
財団法人医療用テレビジョン研究所
今 里 悠 一
株式会社東芝医用機器事業部
尾 内 能 夫
財団法人癌研究会癌研究所
小 宮 宏 宣
厚生省薬務局
菅 原 淳 夫
財団法人日本規格協会
田 所 利 一
工業技術院標準部
田 中 実
株式会社日立メディコ大阪工場
竹 中 栄 一
防衛医科大学校放射線医学教室
津 田 元 久
株式会社島津製作所医用機器事業部
東 常 義
社団法人日本放射線機器工業会
野辺地 篤 郎
聖路加国際病院
橋 詰 雅
麻布大学獣医学部
橋 本 健二郎
東芝メディカルエンジニアリング株式会社
橋 本 宏
社団法人日本放射線技術学会
浜 田 政 彦
東邦大学医学部
深 栖 一
財団法人早期胃癌検診協会
矢 野 太
株式会社田中レントゲン製作所製造部
山 根 巌
株式会社日立メディコ企画室
山 村 修 蔵
工業技術院標準部
山 村 俊 夫
株式会社東芝堀川町工場
(事務局)
関 義 孝
社団法人日本放射線機器工業会
回転形コバルト60標準改正原案作成分科会 構成表
(主査)
中 野 勉
株式会社島津製作所医用機器事業部
津 留 俊 雄
株式会社東芝那須工場
平 林 久 枝
東京女子医科大学
細 田 敏 和
千代田保安用品株式会社メディカル営業部