2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 4561-1992
工業用放射線透過写真観察器
Viewing illuminators for industrial radiograph
1. 適用範囲 この規格は,X線,γ線などによる放射線透過試験によって得られる透過写真の等級分類な
どに用いる工業用放射線透過写真観察器(以下,観察器という。)について規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 7525 反射形投光電球
JIS C 7527 ハロゲン電球
JIS C 7601 蛍光ランプ(一般照明用)
JIS C 7614 輝度測定方法
JIS Z 2300 非破壊試験用語
JIS Z 8710 温度測定方法通則
2. この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 5580 (1985) Non-destructive testing−Industrial radiographic illuminators−Minimum
require-ments
2. 用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 2300によるほか,次による。
(1) 固定マスク 透過写真の観察において,透過写真からの透過光以外の光を低減するために,遮光紙な
どをX線フィルムの寸法に対応した大きさに加工し,観察器に固定して取り付けたマスク。
(2) 光輝面 透過写真の観察のため,観察器内部の光源からの光を透過している面。
(3) 観察面 光輝面の全部又は光輝面の一部を固定マスクを用いて制限した透過写真の観察に供する面。
(4) 防げん(眩)装置 透過写真を観察面から取り外したとき,光輝面の輝度を低下させる装置。
3. 種類 観察器の種類は,観察面の中央の輝度によって分類し,表1のとおりとする。
表1 観察器の種類
種類
観察面中央の輝度
cd/m2
D10形
300以上
3 000未満
D20形
3 000以上
10 000未満
D30形
10 000以上
30 000未満
D35形
30 000以上
4. 性能
2
Z 4561-1992
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4.1
光源 観察器に使用する光源は,JIS C 7601に規定する蛍光ランプ,JIS C 7525に規定する反射形
投光電球,JIS C 7527に規定するハロゲン電球又はこれらと同等以上の性能をもつものとし,蛍光ランプ
を用いる場合の光源色は昼光色又は白色とする。
4.2
観察面の輝度 6.2.1によって試験をしたとき,観察面中央の輝度が表1の値を満足しなければなら
ない。
4.3
観察面の光の拡散性 6.2.2によって試験をしたとき,拡散性を示す評価値sが0.7以上でなければ
ならない。
4.4
観察面の輝度の均一性 6.2.3によって試験をしたとき,均一性を示す評価値gが0.5以上でなけれ
ばならない。
4.5
固定マスクの遮光性 6.2.4によって試験をしたとき,固定マスクの部分の透過光の輝度が10cd/m2
以下でなければならない。
4.6
電撃防止 6.2.5によって試験をしたとき,漏れ電流Iが0.1mA以下であり,抵抗Rが0.1Ω以下でな
ければならない。
4.7
耐電圧 6.2.6によって試験をしたとき,異常があってはならない。
4.8
放熱 6.2.7によって試験をしたとき,観察器の表面温度が60℃を超えてはならず,濃度2.0以上の
X線フィルムが変形してはならない。
5. 構造
5.1
観察器本体の構造 観察器は,青板ガラス,乳白色の樹脂板などによって輝度が均一化できる光輝
面を備え,透過写真の観察をするために内部の光源からの光が観察面だけから照射される構造を基本とす
る。
5.2
観察器本体の遮光性 光輝面以外から漏れる光は,透過写真の観察の妨げにならないようにしなけ
ればならない。
5.3
明るさの切換え D10形を除き,明るさの切換えができる機構を備えていなければならない。
5.4
防げん D30形及びD35形は,手動又は自動による防げん装置を備えていなければならない。
5.5
光源の交換 光源の交換が容易に実施できる構造でなければならない。
5.6
固定マスクの交換 固定マスクを装備している場合は,容易に交換できる構造でなければならない。
6. 試験
6.1
試験項目 観察器の試験項目は,次のとおりとする。
(1) 輝度試験
(2) 光の拡散性試験
(3) 輝度の均一性試験
(4) 固定マスクの遮光性試験
(5) 電撃防止機能試験
(6) 耐電圧試験
(7) 放熱機能試験
6.2
試験方法
6.2.1
輝度試験 観察面中央の輝度を,点灯から20分以上経過後にJIS C 7614に従って測定する。
3
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6.2.2
光の拡散性試験 観察面が長方形の場合,図1に示すように観察面に垂直でいずれかの対角線を含
む面内において3方向の輝度を測定し,次の式によって拡散性を示す評価値sを求める。
5
45
20
2L
L
L
s
+
=
ここに,
L5: 観察面と5度以内の垂直方向での輝度 (cd/m2)
L20: 観察面と20度の傾きをもつ方向での輝度 (cd/m2)
L45: 観察面と45度の傾きをもつ方向での輝度 (cd/m2)
また,観察面が円形の場合のL5,L20及びL45の測定は,円形の中心を含む観察面に垂直な任意の面内で
実施する。
図1 光の拡散性の測定
6.2.3
輝度の均一性試験 観察面を35×35mmに分割し,観察面内で正方形が得られる部分の中央の輝度
を測定し,次の式によって輝度の均一性を示す評価値gを求める。
max
min
L
L
g=
ここに, Lmin: 測定した輝度の最小値を含む下位4番目までの平均値 (cd/m2)
Lmax: 測定した輝度の最大値を含む上位4番目までの平均値 (cd/m2)
例1. 観察面が長方形の場合 観察面の分割方法を,図2に示す。
4
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図2 観察面の分割方法(その1)
例2. 観察面が円形の場合 観察面の分割方法を,図3に示す。
図3 観察面の分割方法(その2)
6.2.4
固定マスクの遮光性能試験 観察面の輝度が10cd/m2以下になる遮光体で観察面を覆い,固定マス
クの輝度を測定する。
6.2.5
電撃防止機能試験
(1) 観察器を電源に接続して,接触可能な金属部を0.2Ωの抵抗を介して接地し,外装の他の部分は大地か
ら絶縁する。外装と接地間に1 000±10Ωの無誘導抵抗と0.15±0.007 5μFの静電容量を並列に接続し,
その接続点間を入力抵抗100kΩ以上の電圧計で測定した電圧を用いて,次の式によって漏れ電流Iを
5
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求める。
000
1
)
(
E
A
I
=
ここに, E: 測定した電圧 (V)
(2) 外装の金属部と接地端子又は接地する金属部間に無負荷時に6Vを超えない電源から10Aの電流を5
秒間流し,測定した電圧を用いて,次の式によって抵抗Rを求める。
10
)
(
E
R
=
Ω
ここに, E: 測定した電圧 (V)
6.2.6
耐電圧試験 電源に接続されるすべての開閉器を閉路状態にした電源一次回路と接地端子との間
に,50Hz又は60Hzの正弦波に近い1 000Vの交流電圧を1分間加える。
6.2.7
放熱機能試験
(1) 表面温度 気温20℃で,最大15秒間の点灯と消灯を繰り返す間欠点灯を1時間継続し,観察器の表
面温度をJIS Z 8710に従って測定する。
(2) X線フィルムヘの影響 濃度2.0以上のX線フィルムに対して,次の2種類の試験を実施する。
(a) 点灯状態で1分間観察面にX線フィルムを置く。
(b) (1)の表面温度試験実施時に,観察面にX線フィルムを置く。
7. 検査 検査は受渡検査及び形式検査とし,6.によって試験を行い,4.の規定に適合したものを合格とす
る。
また,その試験結果及び検査結果を記録した検査成績書を作成し,これを添付しなければならない。
(1) 受渡検査は,輝度試験とする。
(2) 試験は,観察器の製造業者が実施する。
8. 表示 観察器には,次の事項を表示しなければならない。
(1) 観察器の種類
(2) 定格電圧,消費電力及び電源周波数
(3) 光輝面の寸法
(4) 固定マスクの寸法
(5) 製造年月日又はその略号
(6) 製造業者名又はその略号
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Z 4561-1992
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JIS Z 4561原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員会)
松 山 格
東京都立工業技術センター
(幹事)
関 田 純一郎
テスコ株式会社
伊 庭 功 明
富士写真フィルム株式会社
稲 葉 裕 俊
工業技術院標準部
大 岡 紀 一
日本原子力研究所大
黒 木 勝 也
財団法人日本規格協会
実 森 毅
中国エックス線株式会社
杉 本 通 泰
横山電機株式会社
高 山 勝 志
株式会社精光社
寺 田 幸 博
日立造船株式会社
西 田 健 陽
非破壊検査株式会社
丸 山 温
財団法人日本溶接専門学校
平 野 武 信
美和医療電気株式会社
平 山 一 男
大阪大学工学部
松 山 秀
石川島検査計測株式会社
(事務局)
加 藤 和 彦
社団法人日本非破壊検査協会