Z 4416:2005
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本保安用品協会 (JSAA)/財団法
人日本規格協会 (JSA) から,工業標準原案を具して日本工業規格を制定すべきとの申出があり,日本工業
標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が制定した日本工業規格である。
制定に当たっては,日本工業規格と国際規格との対比,国際規格に一致した日本工業規格の作成及び日
本工業規格を基礎にした国際規格原案の提案を容易にするために,ISO/DIS 21909 : 2002,Radiation
protection−Passive personal neutron dosemeters−Performance and test requirementsを基礎として用いた。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
JIS Z 4416には,次に示す附属書がある。
附属書1(規定)中性子フルエンスからの線量当量換算係数
附属書2(規定)計算式における誤差の幅lの計算方法
附属書3(参考)JISと対応する国際規格との対比表
Z 4416:2005
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目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1. 適用範囲 ························································································································ 1
2. 引用規格 ························································································································ 1
3. 定義 ······························································································································ 2
4. 対象線量 ························································································································ 3
5. 性能 ······························································································································ 3
5.1 検出素子均一性 ············································································································· 3
5.2 検出素子検出下限 ·········································································································· 3
5.3 線量直線性 ··················································································································· 3
5.4 エネルギー特性 ············································································································· 3
5.5 方向特性 ······················································································································ 3
5.6 退行特性 ······················································································································ 3
5.7 経時変化特性 ················································································································ 3
5.8 温湿度特性 ··················································································································· 3
6. 構造 ······························································································································ 3
7. 試験 ······························································································································ 3
7.1 試験条件 ······················································································································ 3
7.2 試験方法 ······················································································································ 4
8. 検査 ······························································································································ 6
9. 表示 ······························································································································ 7
10. 取扱説明書 ··················································································································· 7
附属書1(規定)中性子フルエンスからの線量当量換算係数 ························································· 8
附属書2(規定)計算式における誤差の幅lの計算方法 ································································ 9
附属書3(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ·································································· 11
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日本工業規格 JIS
Z 4416:2005
中性子用固体飛跡個人線量計
Solid state nuclear track dosemeter for personal neutron monitoring
序文 この規格は,2002年に発行されたISO/DIS 21909 : 2002,Radiation protection−Passive personal neutron
dosemeters−Performance and test requirementsを元に,対応する部分(中性子用固体飛跡線量計)について,
技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある箇所は,原国際規格を変更している事項である。変更の一覧
表をその説明を付けて,附属書3(参考)に示す。
1. 適用範囲 この規格は,熱中性子から15 MeVの中性子によって個人が体外から受ける1 cm線量当量
を測定する固体飛跡個人線量計について規定する。
備考 この規格の対応国際規格を,次に示す。
なお,対応の程度を表す記号は,ISO/IEC Guide 21に基づき,IDT(一致している),MOD
(修正している),NEQ(同等でない)とする。
ISO/DIS 21909 : 2002,Radiation protection−Passive personal neutron dosemeters−Performance and
test requirements (MOD)
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成す
る。これらの引用規格のうちで,発行年を付記してあるものは,記載の年の版だけがこの規格の規定を構
成するものであって,その後の改正版・追補には適用しない。発効年を付記していない引用規格は,その
最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 4001 原子力用語
備考 ISO 921 : 1997 Nuclear energy−Vocabulary,IEC 60050-393 : 1996 International Electrotechnical
Vocabulary−Chapter 393及びIEC 60050-394 : 1995 International Electrotechnical Vocabulary−
Chapter 394からの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 4331 個人線量計校正用ファントム
備考 ISO 4037-3 : 1999 X and gamma reference radiation for calibrating dosemeters and doserate meters
and for determining their response as a function of photon energy−Part 3 : Calibration of area and
personal dosemeters and the measurement of their response as a function of energy and angle of
incidence及びISO 8529-3 : 1998 Reference neutron radiations−Part 3 : Calibration of area and
personal dosimeters and determination of response as a function of energy and angle of incidenceか
らの引用事項は,この規格の該当事項と同等である。
JIS Z 8103 計測用語
ISO 8529-1 : 2001 Reference neutron radiations−Part 1: Characteristics and methods of production
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Z 4416:2005
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ISO 8529-2 : 2000 Reference neutron radiations−Part 2: Calibration fundamentals of radiation protection
devices related to the basic quantities characterizing the radiation field
ISO 8529-3 : 1998 Reference neutron radiations−Part 3: Calibration of area and personal dosimeters and
determination of response as a function of energy and angle of incidence
3. 定義 この規格で用いる主な用語の定義は,JIS Z 4001及びJIS Z 8103によるほか,次による。
a) 固体飛跡線量計 (solid state nuclear track dosemeter) 各種の絶縁性固体が,通過した荷電粒子の飛跡
を記録することができる性質を利用した線量計。中性子を測定対象とする場合は,中性子と検出子と
の相互作用によって発生した荷電粒子の飛跡をエッチングによって拡大し,検出素子に生じたエッチ
ピット密度などに基づき,中性子線量を測定する。
b) 検出素子 (detector element) 荷電粒子の飛跡を記録するための物質。中性子を測定対象とする場合に
は,ポリアリル・ディグリコール・カーボネート樹脂などを使用する。
c) コンバータ (converter material) 中性子に対する検出素子のレスポンスを改善するため,中性子との
相互作用によって荷電粒子を発生する物質。検出素子に密着して使用し,コンバータとしては,反跳
陽子を発生させるためのポリエチレン,α粒子を発生させるほう素化合物などが使用される。また,
コンバータは,ラジエータ (radiator) ともいう。
d) 検出子 (detector packet) 検出素子,コンバータなどを合わせて包装したもの。
e) バッジケース (badge case) 検出子を収納し身体へ装着するための容器。また,中性子以外の放射線
を測定するための検出子も併せて収納する機能をもつ。
f)
個人線量計 (personal dosemeter) 身体に装着し個人線量当量の測定を目的とした線量計。検出子とバ
ッジケースとからなる。
g) エッチング (etching) 検出素子を,アルカリ溶液などへ浸せきし,通常の光学顕微鏡などで観測が可
能とするため飛跡を拡大する化学処理。
h) エッチピット (etched pit) エッチング処理し,拡大された荷電粒子の飛跡。また,エッチピットは,
エッチトラック (etched track) ともいう。
i)
計測装置 (reader) エッチング処理し,検出素子の表面に生じたエッチピットの数及び形状を観測す
るための装置。光学顕微鏡,画像処理装置などで構成する。
j)
読取値 (Mi) [reading (Mi)] 計測装置によって測定したエッチピットの密度の値。
k) 評価値 (Hm) [evaluated personal dose equivalent (Hm)] 読取値に基づいて算出した個人にかかわる1
cm線量当量の値。この場合の算出方法は,製造業者の指定による。
l)
測定点 (point of test) 放射線場において基準線量を設定した点。
m) 線量計基準点 (reference point of dosemeter) 校正又は試験のために,個人線量計を測定点に設置する
ための個人線量計の基準点。
n) 基準線量 (Ht) [conventional true value of a quantity (Ht)] 国家標準にトレーサブルな基準測定器,基
準放射線源などで決定された基準となる線量。
o) 個人線量当量 (personal dose equivalent) 人体の特定の点における深さdの軟組織の線量当量。
p) 変動係数 (V) (coefficient of variation) n個の測定値 (xi) の標準偏差の推定値 (s) の,平均値 (x) に
対する比。次の式による。
(
)
∑
n
i
ix
x
n
x
x
S
V
1
2
1
1
1
=
−
−
=
=
3
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
q) レスポンス (R) [response (R)] 評価値を基準線量で除した値。次の式による。
t
m
H
H
R=
r) ファントム (phantom) 身体における中性子の散乱及び吸収を模擬するために個人線量計を設置する
もので,JIS Z 4331に規定するもの。
4. 対象線量 この規格で対象とする線量は,次による。
a) この規格で対象とする線量は,シーベルト (Sv) の単位で表される中性子による個人にかかわる1 cm
線量当量とする。
b) 中性子フルエンスから個人にかかわる1 cm線量当量を求める場合には,附属書1付表1又は付表2
に示す個人にかかわる1 cm線量当量換算係数を使用する。
5. 性能 線量計の性能は,次による。
5.1
検出素子均一性 7.2.1によって試験したとき,変動係数は0.15以内とする。
5.2
検出素子検出下限 7.2.2によって試験したとき,0.2 mSv 以内とする。
5.3
線量直線性 7.2.3によって試験したとき,レスポンスの範囲は0.85〜1.15とする。
5.4
エネルギー特性 7.2.4によって試験したとき,レスポンスの範囲は0.5〜1.5とする。
備考1. 製造業者は,上記レスポンスの範囲を満足するエネルギー範囲を示さなければならない。
2. 参考として,製造業者は,熱中性子から15 MeVに対するレスポンスを示さなければならな
い。
5.5
方向特性 7.2.5によって試験したとき,相対レスポンスの平均値は,0.6〜1.4とする。
備考 参考として,製造業者は,0゜から60゜(15゜ステップ)のレスポンスを示さなければならない。
5.6
退行特性 7.2.6によって試験したとき,レスポンスは0.7〜1.3以内とする。
5.7
経時変化特性 7.2.7によって試験したとき,レスポンスの範囲は0.7〜1.3とする。
5.8
温湿度特性 7.2.8によって試験したとき,レスポンスの範囲は0.8〜1.2とする。
6. 構造 固体飛跡個人線量計の構造は,次による。
a) 線量計は,汚れ及び機械的衝撃に対して検出子を保護できる構造とする。
b) 線量計は,身体に装着するためにクリップなどを備えることができる。
7. 試験
7.1
試験条件
7.1.1
共通試験条件 7.2の各試験は,特に指定のある場合を除き,次に示す標準条件とする。
4
Z 4416:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表 1 共通試験条件
項目
基準条件(1)
(製造業者による指定がない場合)
標準条件
(製造業者による指定がない場合)
環境温度 ℃
20
18〜22(2)
相対湿度 %
65
≦75(2)
気圧 kPa
101.3
86〜106(2)
試験環境バックグラウンド
μSv/h
1 cm周辺線量当量率≦0.1
1 cm周辺線量当量率≦0.25
放射性物質による汚染
無視できるレベル
無視できるレベル
注(1) 各試験を行う際の基準となる条件。
(2) 試験時点での実際の値を明示する。
7.1.2
基準放射線 7.2の各試験に用いる基準放射線は,特に指定のある場合を除き,次による。
a)
241Am-Be又は252Cfから放出される中性子を基準中性子とする。
b) 放射線源の設定及び使用は,ISO 8529-1,ISO 8529-2及びISO 8529-3に対応したものとすることが望
ましい。
7.2
試験方法 線量計の試験方法は,次による。
a) 線量計の準備,エッチング,エッチピットの計数及び評価値の算出は,製造業者又は測定サービス機
関の指定による。
b) 各試験は,同一ロットの検出素子からなる線量計を用いて行う。
c) 試験条件のうち,ある項目を変化させて試験する場合には,その項目以外の条件は,表1に示す標準
条件を満たすものとする。
d) 線量計に与える線量は,各試験項目に規定する基準線量の±20 %の範囲とし,測定点に線量計基準点
を合わせて照射する。
e) 線量計に対する中性子の入射方向は,製造業者の指定する方向とし,線量計をファントムに設置して
照射する場合においては,ファントムの入射側表面に対する垂線と線量計への入射方向とを合わせる。
ただし,7.2.6の試験で0°以外の角度をもつものは除く。
f)
7.2.5及び7.2.6の試験は,線量計をファントムに設置して行う。その他の各試験にかかわる照射は,
自由空間中で照射してもよい。ただし,その場合に線量計から得られる評価値は,あらかじめ求めた
ファントムの有無によって線量計のレスポンスの違いを用いて補正する。
7.2.1
検出素子均一性試験 (i = 1, n) 個の線量計を用意し,表2の基準線量を照射する。照射した検出素
子をエッチングした後にエッチピットを測定し,読取値 (Mi) に対する変動係数 (V) を求める。
表 2 検出素子均一性試験の試験条件
項目
条件
対象線量
個人にかかわる1 cm線量当量
基準線量
1 mSv
7.2.2
検出素子検出下限特性試験 (i=1, n) 個の線量計を用意し,照射をせずにエッチングした後にエッ
チピットを測定し,得られた読取値 (Mi) から評価値 (Hi),標準偏差 (s) を求め,式 (1) によって検出素
子検出下限 (tn×s) を求める。
mSv
2.0
≤
×s
tn
········································································ (1)
ここに, tnは,附属書2付表2に示す値とする。
5
Z 4416:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
7.2.3
線量直線性試験 (i = 1, n) 個,(j = 1, 5) 組の線量計を用意し,表3の基準線量を照射する。照射し
た検出素子をエッチングした後にエッチピットを測定し,評価値 (Hi, j) を求める。各組の評価値の平均値
(
j
H) ,標準偏差 (sj) 及び各組に照射した基準線量 (Ht, j) から,式 (2) によってレスポンスの範囲 [(Hj
±li, j)/ Ht, j] を求める。
(
)
15
.1
85
.0
,
,
≤
±
≤
j
t
j
i
j
H
l
H
································································· (2)
ここに, li, jは,附属書2付表1に示す計算方法で求めた値とする。
表 3 線量直線性試験の試験条件
項目
条件
対象線量
個人にかかわる1 cm線量当量
基準線量
1, 2, 5, 10, 20 mSv
7.2.4
エネルギー特性試験 ( i=1, n) 個,( j = 1, 3) 組の線量計を用意し,表4の中性子の種類及び基準
線量を照射する。照射した検出素子をエッチングした後にエッチピットを測定し,評価値 (Hi, j) を求める。
各組の評価値の平均値 (
j
H),標準偏差 (sj) 及び各組に照射した基準線量 (Ht, j) から,式 (3) によってレ
スポンスの範囲 [(Hj±li, j)/ Ht, j]を求める。
(
)
5.1
5.0
,
,
≤
±
≤
j
t
j
i
j
H
l
H
···································································· (3)
ここに, li, jは,附属書2付表1に示す計算方法で求めた値とする。
表 4 エネルギー特性試験の試験条件
項目
条件
対象線量
個人にかかわる1 cm線量当量
中性子の種類
熱中性子,252Cf,241Am-Be
基準線量
1 mSv [0.4 mSv(1)]
注(1) 熱中性子に対する基準線量
7.2.5
方向特性試験 (i = 1, n) 個,(j = 1, 4) 組の線量計を用意し,表5の照射角度で,同表に示す基準線
量を照射する。照射した検出素子をエッチングした後にエッチピットを測定し,評価値,(Hi, j) を求める。
各組の評価値の平均値 (
j
H),標準偏差 (sj) 及び各組に照射した基準線量 (Ht, j) から,式 (4) によって相
対レスポンス (Rj/R1) の平均値を求める。
4.1
25
.0
6.0
4
l
≤
±
×
≤
∑
l
R
R
j
j
=l
·························································· (4)
ここに, Rlは照射角度0°に対するレスポンス,lは附属書2付表1に示
す計算方法で求めた値とする。
表 5 方向特性試験の試験条件
項目
条件
対象線量
個人にかかわる1 cm線量当量
照射角度
0°, 15°, 45°, 60°
基準線量
1 mSv
備考 各照射角度における基準線量は,附属書1付表2に示す角度の換算係数を用いた値とする。
6
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7.2.6
退行特性試験 (i=1, n) 個の線量計を用意し,表6の基準線量を照射した後,表1の標準条件にて
90日間保管する。その後,照射した検出素子をエッチングした後にエッチピットを測定し,評価値 (Hi) を
求める。評価値の平均値 (H),標準偏差 (s) 及び照射した基準線量 (Ht) から,式 (5) によってレスポン
ス [(H±li)/ Ht] を求める。
(
)
3.1
7.0
≤
±
≤
t
i
j
H
l
H
····································································· (5)
ここに, liは,附属書2付表1に示す計算方法で求めた値とする。
表 6 退行特性試験の試験条件
項目
条件
対象線量
個人にかかわる1 cm線量当量
基準線量
1 mSv
7.2.7
経時変化特性試験 (i = 1, n) 個の線量計を用意し,表1の標準条件にて90日間保管する。その後,
表7の基準線量を照射した検出素子をエッチングした後にエッチピットを測定し,評価値 (Hi) を求める。
評価値の平均値 (H),標準偏差 (s) 及び照射した基準線量 (Ht) から,式 (6) によってレスポンス [(H±
li)/ Ht] を求める。
(
)
3.1
7.0
≤
±
≤
t
i
j
H
l
H
····································································· (6)
ここに, liは,附属書2付表1に示す計算方法で求めた値とする。
表 7 経時変化特性試験の試験条件
項目
条件
対象線量
個人にかかわる1 cm線量当量
基準線量
1 mSv
備考 この試験は,製造(重合)後90日以内の検出素子を用いて行う。
7.2.8
温湿度特性試験 (i=1, n) 個,(j=1, 2) 組の線量計を用意し,表1の標準条件にて24時間保管す
る。その後,(j=1) 組の各線量計に表1の標準条件で表8の基準線量を照射する。照射後,(j=1, 2) 組の
すべての線量計を表8の温湿度条件で48時間保管後,(j=1, 2) 組を標準条件に戻し,(j=1, 2) 組の線量計
に (j=1) 組と同じ線量を照射する。照射した (j=1, 2) 組のすべての検出素子をエッチングした後にエッ
チピットを測定し,評価値 (Hi, j) を求める。各組の評価値の平均値 (
j
H),標準偏差 (sj) 及び照射した基
準線量 (Ht) から,式 (7) によってレスポンスの範囲 [(Hj±li, j)/ Ht] を求める。
(
)
2.1
8.0
,
≤
±
≤
t
j
i
j
H
l
H
··································································· (7)
ここに, li, jは,附属書2付表1に示す計算方法で求めた値とする。
表 8 温湿度特性試験の試験条件
項目
条件
対象線量
個人にかかわる1 cm線量当量
温湿度
40±2 ℃,90 %
基準線量(1)
1 mSv
注(1) 基準線量の照射は,表1の標準条件によって行
う。
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8. 検査 検査は形式検査とし,同一形式の線量計について7.によって試験を行い,次の項目について5.
の規定に適合したものを合格とする。
a) 検出素子均一性
b) 検出素子検出下限
c) 線量直線性
d) エネルギー特性
e) 方向特性
f)
退行特性
g) 経時変化特性
h) 温湿度特性
9. 表示 線量計には,次の事項を表示しなければならない。
a) 名称又はその略称
b) 製造番号若しくは製造年月又はその略号
c) 製造業者名又はその略号
10. 取扱説明書 線量計には,少なくとも次の事項を記載した取扱説明書を添付しなければならない。
a) 線量計の取扱い方法
b) 線量計の装着方法
c) 線量計のエネルギー特性
d) 線量計の方向特性
e) 線量計の装着方法
f)
線量計の質量及び寸法
g) 使用上の注意事項
備考 製造業者は,使用者の要求に応じ,この規格に基づいた形式検査の結果を示さなければならな
い。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書1(規定)中性子フルエンスからの線量当量換算係数
附属書1付表 1 個人にかかわる1 cm線量当量換算係数
(出典:ISO 8529-3 : 1998 Table 4)
線源
線量当量
平均エネルギー
(MeV)
フルエンスからHp (10) への換算係数 (1)
(pSv cm2)
熱中性子
2.5×10-8
11.4
252Cf
2.3
400
241Am-Be
4.4
411
注(1) フルエンスからICRU組織等価ファントム (30 cm×30 cm×15 cm) 中の個人線量当量 Hp, slab (10,
0゜)(ファントム表面に垂直に平行ビームが入射した場合を0゜と表す。)への換算係数hpФ (10, 0゜)
である。簡略化のため,ここではHp, slab (10, 0゜)をHp (10) と表す。
附属書1付表 2 角度別の個人にかかわる1 cm線量当量換算係数hpФ (10, α)
[出典:ISO 8529-3 : 1998 Table 4 (2)]
線源
線量当量
平均エネルギー
(MeV)
角度別のフルエンスからの換算係数hpΦ(10, α)
(pSv cm2)
0゜
15゜
45゜
60゜
252Cf
2.3
400
397
389
346
241Am-Be
4.4
411
409
415
389
注(2) フルエンスからICRU組織等価ファントム (30 cm×30 cm×15 cm) 中の個人線量当量 Hp, slab (10, α)
(ファントム表面に垂直に平行ビームが入射した場合を0゜と表す。)への換算係数hpФ (10, α) であ
る。ただし,計算に用いない角度のデータは省いている。
9
Z 4416:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2(規定)計算式における誤差の幅lの計算方法
1. 適用範囲 この附属書は,本体7.の各計算式における誤差の幅lの計算方法を規定する。
2. 計算方法 計算方法は,附属書2付表1によってlを計算する。
附属書2付表 1 誤差の幅lの計算方法
試験項目の番号
計算式の形
lの計算方法
7.2.3
7.2.4
7.2.6
7.2.7
7.2.8
j
i
jl
x
,
±
n
s
t
l
j
i
n
j
i
,
,
×
=
7.2.5
l
x
xj±
∑
1
∑
2)
(
4
1
jl
l=
(
)1
=
j
x
l
l
j
i
j
1
,
=
(
)
2,3,4
=
j
2
,
2
1
1
,
1
j
j
i
i
j
j
x
l
x
l
x
x
l
+
=
n
s
t
l
j
i
n
j
i
,
,
×
=
ただし,附属書2付表1の記号の意味は,次による。
jx :同一評価式内のj組目の平均値
n :平均に用いたデータの数
tn :nに対するt値で,附属書2付表2によって求める。
si, j :標準偏差の推定値で次の式による。
(
)
1
Σ
2
,
,
−
−
=
n
x
x
s
j
j
i
j
i
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書2付表 2 t値
n
tn
2
3
4
5
6
7
8
9
10
11〜15
16〜20
21〜25
26〜30
31〜40
41〜60
61〜120
121以上
12.71
4.30
3.18
2.78
2.57
2.45
2.37
2.31
2.26
2.15
2.09
2.06
2.05
2.02
2.00
1.98
1.96
11
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附属書3(参考)JISと対応する国際規格との対比表
JIS Z 4416:2003 中性子用固体飛跡個人線量計
ISO/DIS 21909:2002 放射線防護−受動型中性子用個人線量計−性能及び
試験の要求事項
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
1.適用範囲 中性子(熱中性子〜15
MeV)用固体飛跡線量計
ISO/DIS
21909
1
受動型中性子用個人線量
計(熱中性子〜20 MeV)
MOD
/変更
固体飛跡線量計 (SSNT) に該当す
る部分だけを採用した。
ISOには,他にSE (Superheated
Emulsions) などがあるが除外した。
中性子エネルギーの上限を15 MeV
に変更した。
ISO/DIS 21909は固体飛跡
線量計,中性子用フィル
ム,熱ルミネセンス線量計
などが規定されているが,
中性子用フィルム,熱ルミ
ネセンスなどは既にJISが
制定されているためこの
JISでは規定しなかった。
また中性子エネルギーの
上限については,国内市場
で使用される線量計の実
態に合わせた。
さらに,将来SE (Superheated
Emulsions) などの使用実
態に合わせJISを制定する
予定である。
2.引用規格 JIS Z 4001
JIS Z 4331
JIS Z 4511
JIS Z 8103
ISO 8529-1 : 2001
ISO 8529-2 : 2000
ISO 8529-3 : 1998
2
ISO 8529-1
ISO 8529-2 : 2000
ISO 8529-3 : 1998
ISO 12789 : 2001
ISO 12794 : 2000
MOD
/追加
JIS規定分を追加した。
他のJISとの整合性を取
る。
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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Z 4416:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
3.定義
3
MOD
/削除
/追加
固体飛跡線量計に適応しない定義
を除外した。また,引用規格に定義
されているものについて,除外した。
JIS Z 8103を追加した。
JISの適用範囲が,固体飛
跡線量計だけであるため。
4.対象線量 中性子による個人にかかわ
る1 cm線量当量
4
JISに同じ
IDT
5.性能
5.1検出素子均一性
変動係数は,0.15以内
5.2検出素子検出下限
0.2 mSv以内
5.3線量直線性
レスポンスの範囲は
0.85〜1.15
5.4エネルギー特性
レスポンスの範囲は0.5
〜1.5
6
6.性能要件
表 6.1, 6.3, 6.4, 6.5
表 6.2
9)他の放射線による影響
11)光による影響
表 6.2
1)バッチ均一性
4)検出限界
0.3 mSv以内
3)直線性
13)レスポンスのエネル
ギー依存性
500 keV〜5 MeVのエ
ネルギーにおいて,レ
スポンスの範囲は0.5
〜1.5
MOD
/削除
MOD
/削除
IDT
MOD
/変更
IDT
MOD
/変更
表 6.1, 6.3, 6.4, 6.5の項目を削除し
た。
表 6.2における9)及び11)項の試験
を削除した。
対象エネルギーを,熱中性子,252Cf
及び241Am-Beからの中性子とし
た。
固体飛跡線量計以外の線
量計に適用している。
検出素子は包装した上で,
バッジケースに収納する
ため,当該事項における影
響を受けない。
国内市場で使用される線
量計の実態に合わせた。
国内で利用可能な照射施
設の供給可能なエネルギ
ーに合わせた。
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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Z 4416:2005
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
5.性能
5.5方向特性
相対レスポンスの平均
値は0.6〜1.4
5.6退行特性
レスポンスは0.7〜1.3以
内
5.7経時変化特性
レスポンスの範囲は0.7
〜1.3
5.8温湿度特性
レスポンスの範囲は0.8
〜1.2
14)レスポンスの方向依
存性
5)退行特性
6)経時変化特性
10)温湿度特性
IDT
IDT
IDT
IDT
6.構造
固体飛跡個人線量計の構造
は,次のとおりとする。
a)汚れ及び機械的衝撃に対
して検出子を保護できる。
b)身体に装着するためクリ
ップなどを備えることがで
きる。
該当項
目なし
該当項目なし
MOD
/追加
ユーザの利便性向上のため検出子
の保護機能と身体への装着機能を
明確にした。
他のJISとの整合性を取っ
た。
次回のISOの見直しの際,
提案を検討する。
7.試験
7.1試験条件
7.1.1共通試験条件
表1(共通試験条件)
7.1.2基準放射線
5
一般試験条件
5.1試験条件
附属書A表A.1
5.2基準放射線
MOD
/変更
IDT
標準条件における相対湿度を≦
75 %とした。
他はJISに同じ
冬季の国内照射施設にお
ける実環境に合わせた。
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
7.試験
7.2試験方法
7.2.1検出素子均一性試験
7.2.2検出素子検出下限特性
試験
7.2.3線量直線性試験
7.2.4エネルギー特性試験
熱中性子,252Cf及び
241Am-Beからの中性子
を使用する。
7.2.5方向特性試験
7.2.6退行特性試験
7.2.7経時変化特性試験
7.2.8温湿度特性試験
5, 6
7
5.3試験要件
附属書C 性能試験
C.2.1バッチ均一性
C.2.3検出限界
C.2.2直線性
C.2.10レスポンスのエネ
ルギー依存性
ISO 8529-1表2に示
す中性子を使用する。
C.2.10レスポンスの方向
依存性
C.2.4退行特性
C.2.5経時変化
C.2.7温湿度特性
MOD
/変更
IDT
IDT
IDT
MOD
/変更
IDT
IDT
IDT
IDT
形式試験と品質管理試験を区別し
ない。
各試験項目に規定する基準線量の
±20 %の範囲を,線量計に与える
線量とした。
単一エネルギー中性子の使用を中
性子線源からの中性子の使用とし
た。
国内における固体飛跡個
人線量計の使用実態に合
わせた。
国内照射施設の運用状況
に合わせた。
国内照射施設の照射能力
に合わせた。
8.検査
検査は形式検査とし,5.性能
の規定に適合したものを合
格とする。
9
認証
認定試験所が認証する。
MOD
/変更
試験所の認定は規定しない。
認証制度をJISの中に入れ
ることは国内の実態に合
わせたため。
9.表示
a) 名称又はその略称
b) 製造番号若しくは製造
年月又はその略号
c) 製造業者名又はその略
号
8
識別及び附属書類
8.1個別商標
JISに同じ
8.2団体商標
JISに同じ
IDT
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ) JISの規定
(Ⅱ) 国際
規格番号
(Ⅲ) 国際規格の規定
(Ⅳ) JISと国際規格との技術的差異の項目ごとの
評価及びその内容
表示箇所:本体
表示方法:点線の下線
(Ⅴ) JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
項目
番号
内容
項目
番号
内容
項目ごと
の評価
技術的差異の内容
10.取扱説
明書
a) 線量計の取扱い方法
b) 線量計の装着方法
c) 線量計のエネルギー特
性
d) 線量計の方向特性
e) 線量計の装着方法
f) 線量計の質量及び寸法
g) 使用上の注意
8
識別及び附属書類
8.3附属書類
JISに同じ
IDT
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:MOD
備考1. 項目ごとの評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― IDT……………… 技術的差異がない。
― MOD/削除……… 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
― MOD/追加……… 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
― MOD/変更……… 国際規格の規定内容を変更している。
2. JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次のとおりである。
― MOD…………… 国際規格を修正している。
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2
Z
4
4
1
6
:
2
0
0
3
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。