Z 4202:2011
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 1
4 分類······························································································································· 2
4.1 放電消滅ガスによる分類 ································································································· 2
4.2 測定対象による分類 ······································································································· 2
4.3 形状による分類(β線用及びβ・γ線用について) ································································ 2
5 形名の構成 ······················································································································ 2
6 性能······························································································································· 2
6.1 プラトー特性 ················································································································ 2
6.2 バックグラウンド ·········································································································· 2
6.3 感光性(β線用及びβ・γ線用) ························································································ 3
6.4 温度特性 ······················································································································ 3
6.5 計数感度(β線用及びβ・γ線用) ····················································································· 3
6.6 レスポンス(γ線用及びβ・γ線用) ·················································································· 3
6.7 レスポンスの線量率特性(γ線用及びβ・γ線用) ································································ 3
6.8 寿命 ···························································································································· 3
7 寸法及び構造 ··················································································································· 4
7.1 外形寸法 ······················································································································ 4
7.2 入射窓(β線用及びβ・γ線用) ························································································ 4
7.3 電極 ···························································································································· 4
8 試験······························································································································· 4
8.1 試験条件 ······················································································································ 4
8.2 試験方法 ······················································································································ 5
9 検査······························································································································· 7
9.1 形式検査 ······················································································································ 7
9.2 受渡検査 ······················································································································ 7
10 試験成績書 ···················································································································· 7
11 表示 ····························································································································· 7
11.1 計数管 ························································································································ 7
11.2 包装 ··························································································································· 7
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(2)
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まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本電気
計測器工業会(JEMIMA)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を
改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格で
ある。
これによって,JIS Z 4202:1993は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
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ガイガー・ミュラー計数管
Geiger-Müller counter tubes
1
適用範囲
この規格は,放電消滅ガスとして有機ガス又はハロゲンガスを用いた,β線及びγ線を測定対象とする
密封形ガイガー・ミュラー計数管(以下,計数管という。)について規定する。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 4001 原子力用語
JIS Z 8103 計測用語
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 4001及びJIS Z 8103によるほか,次による。
3.1
レスポンス,R(response)
γ線用計数管について,計数管にγ線を照射したときの計数率Hiと基準線量率Htとの比。
R=Hi/Htで表す。
3.2
プラトー長(plateau length)
プラトー開始電圧からプラトー終端電圧までの電圧範囲。
3.3
プラトー傾斜(plateau slope)
プラトーの傾斜を数値的に表すもので,印加電圧の100 V当たりの計数率の変化割合の百分率。
3.4
定格使用電圧
製造業者が指定する使用電圧。
3.5
プラトー開始電圧(plateau start voltage)
定格使用電圧における計数率で規格化したプラトー特性曲線において,接線の勾配が低電圧側で製造業
者が指定する勾配を示す値になる電圧。
3.6
プラトー終端電圧(plateau stop voltage)
2
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定格使用電圧における計数率で規格化したプラトー特性曲線において,接線の勾配が高電圧側で製造業
者が指定する勾配を示す値になる電圧。
4
分類
4.1
放電消滅ガスによる分類
放電消滅ガスによる分類は,次による。
a) 有機ガス消滅形 放電消滅ガスに有機ガスを用いるもの。
b) ハロゲンガス消滅形 放電消滅ガスにハロゲンガスを用いるもの。
4.2
測定対象による分類
測定対象による分類は,次による。
a) β線用 測定対象をβ線とするもの。
b) γ線用 測定対象をγ線とするもの。
c) β・γ線用 測定対象をβ線及びγ線とするもの。
4.3
形状による分類(β線用及びβ・γ線用について)
形状による分類は,次による。
a) 端窓形 計数管の軸に垂直に設けられた入射窓をもつもの。
b) 側窓形 計数管の側面に入射窓をもつもの。
5
形名の構成
形名は,表1に示す連続した2文字又は3文字を含めて構成する。
表1−計数管の形名
放電消滅ガス
形名に含める文字
有機ガス
GM又はGMA
ハロゲンガス
GMH
6
性能
6.1
プラトー特性
プラトー特性は,8.2.1の方法で試験したとき,表2に示す値を満足しなければならない。
表2−プラトー特性の許容値
計数管の種類
計数管の有効体積
mm3
プラトー特性
プラトー長
V
プラトー傾斜
%/100 V
有機ガス消滅形
−
150以上
5以下
ハロゲンガス消滅形
500以上
150以上
15以下
500未満
100以上
30以下
6.2
バックグラウンド
バックグラウンドの性能は,次による。
a) 形式検査 バックグラウンドは,8.2.2の方法で試験したとき,バックグラウンドを計数管の最大断面
積で除した値は,0.06 s−1・cm−2を超えてはならない。
3
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b) 受渡検査 バックグラウンドは,8.2.2の方法で試験したとき,製造業者の定める値を超えてはならな
い。
6.3
感光性(β線用及びβ・γ線用)
感光性は,8.2.3の方法で試験したとき,光による計数率の増加が計数管の単位入射窓面積(cm2)当た
り0.07 s−1を超えてはならない。
6.4
温度特性
温度特性は,8.2.4の方法で試験したとき,プラトー特性及びバックグラウンドが表3に示す値を満足し
なければならない。
表3−温度特性の許容値
計数管の種類
計数管の有効体積
mm3
プラトー特性
単位断面積当たりの
バックグラウンド
s−1・cm−2
プラトー長
V
プラトー傾斜
%/100 V
有機ガス消滅形
−
120以上
7以下
0.07以下
ハロゲンガス消滅形
500以上
120以上
20以下
0.07以下
500未満
80以上
40以下
0.1以下
6.5
計数感度(β線用及びβ・γ線用)
計数感度は,8.2.5の方法で試験したとき,表4に示す値を満足しなければならない。
表4−検出効率
単位 %
計数管の種類
計数感度
端窓形
2以上
側窓形
1.6以上
6.6
レスポンス(γ線用及びβ・γ線用)
レスポンスの相対偏差は,8.2.6の方法で試験したとき,表5に示す値を満足しなければならない。
表5−レスポンスの相対偏差の許容範囲
計数管の有効体積
mm3
許容範囲
%
500以上
±10
500未満
±30
6.7
レスポンスの線量率特性(γ線用及びβ・γ線用)
レスポンスの線量率特性は,8.2.7の方法で試験したとき,±30 %でなければならない。
6.8
寿命
寿命は,8.2.8の方法で試験したとき,プラトー特性及びバックグラウンドが表6に示す性能を満足しな
ければならない。
4
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表6−寿命試験後の性能
計数管の種類
計数管の有効体積
mm3
プラトー特性
単位面積当たりの
バックグラウンド
s−1・cm−2
プラトー長
V
プラトー傾斜
%/100 V
有機ガス消滅形
−
75以上
10以下
0.07以下
ハロゲンガス消滅形
500以上
75以上
30以下
0.07以下
500未満
50以上
40以下
0.2以下
7
寸法及び構造
7.1
外形寸法
円筒状の計数管の場合,計数管の最大部直径の許容差は±1 mmとし,口金のある計数管では,口金底
面からの長さ又は封じ全長の許容差は±3 mmとする。
最大部直径及び口金底面からの長さ又は封じ全長は,製造業者があらかじめ決定する。
7.2
入射窓(β線用及びβ・γ線用)
計数管の入射窓の厚さは単位面積当たりの質量で表し,その厚さはなるべく均一で,端窓形計数管の場
合0.005 g・cm−2以下,側窓形計数管の場合0.05 g・cm−2以下でなければならない。ただし,この値は遮光
の目的で塗布した塗料などの厚さも含むものとする。
7.3
電極
計数管の陽極及び陰極の区別は,表7に示す記号若しくは色を用いて計数管の本体に表示するか,又は
説明書に記載しなければならない。
表7−電極の区別
電極
記号
色
陽極
+
赤
陰極
−
黒又は白
8
試験
8.1
試験条件
8.1.1
共通試験条件
8.2の試験方法において,特に規定がない試験条件は,表8による。
また,放射線を照射して行う試験で,特に規定がない場合は,計数率が約100 s−1になるような条件で測
定する。
表8−共通試験条件
項目
基準条件
(製造業者の指定がないとき)
標準試験条件
(製造業者の指定がないとき)
環境温度
℃
20
18〜 22a)
相対湿度
%
65
55〜 75a)
気圧
kPa
101.3
86〜106a)
γ線バックグラウンド
μGy・h−1
0.2以下
0.25以下
照射方向
計数管に対する照射方向は,製
造業者が指定する方向とする。
計数管に対する照射方向は,製
造業者が指定する方向とする。
注a) これらの値は,温暖な気候に適用可能である。より暑い又は寒い気候時には,試験時の実際の値を明
示しなければならない。海抜の高いところでは,70 kPaまでとする。
5
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8.1.2
線源
試験に使用する線源は,次による。
a) β線による試験 90Sr
b) γ線による試験 137Cs
ただし,上記以外の線源でも,使用者と製造業者との間で合意があれば使用してもよい。
8.1.3
試験回路
試験は,製造業者が指定する回路を用いて行う。
8.2
試験方法
8.2.1
プラトー特性試験
8.1.2に規定する線源を用いて,印加した電圧に対する計数率を測定し,図1に示すように統計的誤差の
範囲内で滑らかな曲線を描いてプラトー長及びプラトー傾斜を求める。
印加電圧は,50 V以下の間隔で上昇させ,各電圧ごとの計数値は,統計変動の誤差を考慮した計数値と
する。
図1−プラトー特性図
a) プラトー長 プラトー終端電圧V2(V)とプラトー開始電圧V1(V)との差を求める。
b) プラトー傾斜 プラトー傾斜(PS)は,次の式によって求める。
100
100
)
(
100
100
1
2
d
1
2
p
d
1
2
×
×
−
−
=
×
×
−
=
V
V
n
n
n
V
n
n
n
PS
ここに,
PS: プラトー傾斜(%/100 V)
Vp: プラトー長(V)
nd: 定格使用電圧Vd(V)又はプラトー長の中心
電圧における計数率(s−1)
プラトー長の中心電圧を使用する場合には,
nd=(n2+n1)/2でもよい。
n1: プラトー開始電圧での計数率(s−1)
n2: プラトー終端電圧での計数率(s−1)
8.2.2
バックグラウンド試験
計数管を3 mm以下の厚さのアルミニウム又はプラスチックで囲み,その周囲を50 mmの厚さの鉛で囲
計
数
率
(s−1)
プラトー長Vp
印加電圧(V)
V1
Vd
V2
n1
nd
n2
6
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む。
形式検査においては30分間以上バックグラウンドを測定し,その計数率(s−1)を計数管の最大断面積
(cm2)で除する。
受渡検査においては3分間以上バックグラウンドを測定し,計数率(s−1)を算出する。
8.2.3
感光性試験
この試験は,β線用及びβ・γ線用計数管について行う。
次の条件でそれぞれ30分間以上計数し,それらの計数率(s−1)の差を求め,計数管の入射窓面積(cm2)
で除す。
a) 暗黒中
b) キセノン放電灯(又は波長300 nm以下の光を遮断した超高圧水銀灯)を用い,計数管の窓における
照度が2 klxである状態
8.2.4
温度特性試験
計数管を−5 ℃及び45 ℃の温度条件下に1時間以上放置した後,8.2.1及び8.2.2の試験を行う。温度の
許容差は,±2 ℃とする。
8.2.5
計数感度試験
この試験は,β線用及びβ・γ線用計数管について行う。
90Sr線源の直上50 mmの位置に計数管を置き,104カウント以上計数し,計数率(s−1)を求める。この
計数率から,線源を置かない場合の計数率を差し引き,線源からの表面放出率(s−1)に対する百分率を求
める。
なお,端窓形で直径20 mm未満,側窓形で3 cm2未満の入射窓面積の場合には,その有効窓面積をそれ
ぞれの形に応じて想定した最小窓面積(端窓形で直径20 mm,側窓形で3 cm2)で除した補正係数を,求
められた計数感度で除する。
8.2.6
レスポンス試験
この試験は,γ線用及びβ・γ線用計数管について行う。
137Cs線源を用いて,計数管の測定範囲内の製造業者が指定する線量率1点についてレスポンスの相対偏
差(Rn)を求める。製造業者の定めるレスポンスを基準値(R)とし,計数管のレスポンス(S)から基準
値を差し引いた値の,基準値に対する百分率を求める。
100
]
/)
[(
n
×
−
=
R
R
S
R
(%)
8.2.7
レスポンスの線量率特性試験
この試験は,γ線用及びβ・γ線用計数管について行う。
137Cs線源を用いて,製造業者が指定する3デカードの線量率範囲について,約0.5デカードの間隔にな
る7点の線量率に対するレスポンスを測定し,これらの平均値を求める。この平均値を基準値とし,各レ
スポンスの値から基準値を差し引いた値の,基準値に対する百分率を求める。
8.2.8
寿命試験
製造業者が指定する試験条件(印加電圧,照射条件など)下において,次に示す積算計数値に到達した
時点で,8.2.1及び8.2.2の試験を行う。
− 有機ガス消滅形:108カウント以上
− ハロゲンガス消滅形:109カウント以上
7
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
9
検査
9.1
形式検査
形式検査は,次の項目について行う。
a) 外形寸法
b) プラトー特性
c) バックグラウンド
d) 感光性(β線用及びβ・γ線用の場合)
e) 温度特性
f)
計数感度(β線用及びβ・γ線用の場合)
g) レスポンス(γ線用及びβ・γ線用の場合)
h) レスポンスの線量率特性(γ線用及びβ・γ線用の場合)
i)
寿命
9.2
受渡検査
受渡検査は,次の項目について行う。
a) プラトー特性
b) バックグラウンド
10 試験成績書
試験成績書には,次の項目について記載しなければならない。
a) 形名
b) 製造番号
c) バックグラウンド
d) プラトー特性
e) 定格使用電圧
11 表示
11.1 計数管
計数管には,見やすい箇所に容易に消えない方法で,少なくとも次の項目を表示しなければならない。
ただし,表示することが困難な場合には試験成績書に記載する。
a) 形名
b) 製造業者名又はその略号
c) 製造番号
d) 電極
e) 入射窓の厚さ(β線用及びβ・γ線用計数管)
11.2 包装
計数管の包装の表面には,次の項目を表示しなければならない。
a) 形名
b) 製造年月,製造年月の略号又は製造番号
c) 製造業者名又はその略号