Z 3410:2013 (ISO 14731:2006)
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 任務及び責任 ··················································································································· 2
4.1 品質関連任務 ················································································································ 2
4.2 任務及び責任の内容 ······································································································· 2
5 職務の記載 ······················································································································ 2
5.1 一般事項 ······················································································································ 2
5.2 任務 ···························································································································· 3
5.3 責任 ···························································································································· 3
6 技術知識························································································································· 3
6.1 全ての溶接管理技術者に対する一般知識の要求事項 ······························································ 3
6.2 責任を負うべき溶接管理技術者に対する特定知識の要求事項 ·················································· 3
附属書A(参考)溶接に関する技術知識及び実務能力に関する推奨事項 ·········································· 4
附属書B(規定)適用に際して考慮すべきJIS Z 3400に従った重要溶接関連任務······························ 5
Z 3410:2013 (ISO 14731:2006)
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
溶接協会(JWES)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準
調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。
これによって,JIS Z 3410:1999は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 3410:2013
(ISO 14731:2006)
溶接管理−任務及び責任
Welding coordination-Tasks and responsibilities
序文
この規格は,2006年に第2版として発行されたISO 14731を基に,技術的内容及び構成を変更すること
なく作成した日本工業規格である。
なお,この規格で点線の下線を施してある参考事項は,対応国際規格にはない事項である。
溶接は,溶接物の製作及びその使用中においての信頼性を確保するため,溶接生産活動の全般管理を必
要とする特殊工程である。溶接関連業務,例えば,計画,実行,監督及び検査に関与する要員の任務及び
責任を,明確に規定することが望ましい。
1
適用範囲
この規格は,溶接関連業務の管理活動のうち,品質に関係する任務及び責任について規定する。
溶接管理は,いかなる製造組織においても,一人又は複数の要員に担当させることができる。
溶接管理要求事項は,製造事業者,契約又は適用規格によって規定することができる。
注記1 この規格に規定する要員は,JIS Z 3400のB.6.3(溶接管理技術者)及びC.6.3(溶接管理技
術者)に相当するものである。
注記2 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 14731:2006,Welding coordination−Tasks and responsibilities(IDT)
なお,対応の程度を表す記号“IDT”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“一致している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。この引用
規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS Z 3400 金属材料の融接に関する品質要求事項
注記 対応国際規格:ISO 3834-1,Quality requirements for fusion welding of metallic materials−Part 1:
Criteria for the selection of the appropriate level of quality requirements,ISO 3834-2,Quality
requirements for fusion welding of metallic materials−Part 2: Comprehensive quality requirements,
ISO 3834-3,Quality requirements for fusion welding of metallic materials−Part 3: Standard quality
requirements,ISO 3834-4,Quality requirements for fusion welding of metallic materials−Part 4:
Elementary quality requirements及びISO 3834-5,Quality requirements for fusion welding of
metallic materials−Part 5: Documents with which it is necessary to conform to claim conformity to
the quality requirements of ISO 3834-2, ISO 3834-3 or ISO 3834-4(全体評価:MOD)
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Z 3410:2013 (ISO 14731:2006)
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用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,次による。
3.1
製造事業者(manufacturer)
溶接による製造に責任のある個人又は組織。
3.2
溶接管理(welding coordination)
全ての溶接及び溶接関連業務に関する生産活動の管理。
3.3
溶接管理技術者(welding coordinator)
溶接管理の実施に責任及び力量をもつ技術者。
注記 必要に応じ,異なる任務に対して別の溶接管理技術者を指名してもよい。
3.4
溶接検査(welding inspection)
計測又は試験を適切に用いた観察及び判定による溶接関連事項の適合性評価。
注記 溶接検査は,溶接管理の一部である。
4
任務及び責任
4.1
品質関連任務
溶接管理技術者に品質関連の任務及び責任を割り当てるための手引きとして,附属書Bを使用しなけれ
ばならない。特別な適用に対しては,この附属書に補足してもよい。製造組織又は品質システム要求事項
に対して,全ての項目を必ずしも適用する必要はなく,適切な選択を行うことが望ましい。例えば,破壊
試験又は非破壊試験がない場合,B.14 b)及びB.14 c)を適用しない。
4.2
任務及び責任の内容
JIS Z 3400に規定する基準に従って,溶接管理技術者の任務を選択しなければならない(附属書B参照)。
附属書Bに示す各個別の任務は,例えば,次のような行為及び責任を伴うものである。
− 要領書作成及び準備
− 管理(control)
− 検査,点検又は立会い
溶接管理を複数の人が実施する場合,それぞれの責任を明確に区分しなければならない。要員について
は,該当する業務に対して適格性をもつことを確認した上で,各人ごとに任務と責任を明確に割り当てな
ければならない。
製造事業者は,少なくとも一人の責任ある溶接管理技術者を任命しなければならない。ただし,最終責
任は,製造事業者が負うものである。
溶接管理業務を下請負に出してもよいが,あくまでこの規格の遵守は製造事業者の責任である。
5
職務の記載
5.1
一般事項
溶接管理技術者の職務の記載には,各人ごとの任務と責任を含めなければならない。
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5.2
任務
溶接管理技術者に割り当てられる任務の明確化については,4.2及び附属書Bを参照。
5.3
責任
溶接管理技術者に割り当てられる責任の明確化については,次による。
− 製造組織における職位及び責任範囲
− 製造事業者を代表して署名し,承認するにふさわしい権限の範囲。例えば,割り当てられる任務を遂
行するのに必要な,製作要領書及び監督報告書への署名。
− 割り当てられる任務を遂行するにふさわしい権限の範囲
6
技術知識
6.1
全ての溶接管理技術者に対する一般知識の要求事項
溶接管理技術者は,割り当てられる全ての任務に関して,それらの任務を満足に遂行できる適切な技術
知識をもつことを実証できなければならない。
次の要素を考慮しなければならない。
− 全般的な技術知識
− 割り当てられる任務に関連した,溶接工程(同種工程を含む。)についての専門技術知識。
これは,理論的知識,訓練及び/又は経験の組合せによって習得されなければならない。
必要な製作経験,教育及び技術知識の程度は,製造組織によって決定され,割り当てられた任務及び責
任に基づいて決められなければならない。
6.2
責任を負うべき溶接管理技術者に対する特定知識の要求事項
製作物の特性及び/又は複雑度に応じて,責任を負うべき溶接管理技術者(4.2参照)として,次のいず
れかを分担させなければならない。
a) 包括的技術知識をもつ要員 溶接製作における全ての任務及び責任について,計画,実行,監督及び
試験するための,6.1に該当する豊富で,かつ,十分な,技術知識が要求される(附属書A参照)。
b) 特定技術知識をもつ要員 選定又は限定された技術分野内の溶接製作における任務及び責任につい
て,計画,実行,監督及び試験するための十分な技術知識のレベルが必要である(附属書A参照)。
c) 基礎技術知識をもつ要員 簡単な溶接構造物に関与する,限定された技術分野内における任務及び責
任について,計画,実行,監督及び試験するための十分な技術知識のレベルが必要である(附属書A
参照)。
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附属書A
(参考)
溶接に関する技術知識及び実務能力に関する推奨事項
The International Institute of Welding(IIW:国際溶接学会)は,自主的に溶接管理技術者の教育,試験及
び資格認証の最小限の基準についての推奨事項を作成した。
この推奨事項は,次の文書の中に記載されている。
− International Welding Engineer(IWE)
Doc. IAB-002-2000/EWF-409
− International Welding Technologist(IWT)
Doc. IAB-003-2000/EWF-410
− International Welding Specialist(IWS)
Doc. IAB-004-2000/EWF-411
これらの文書の要求事項を満たしているか,又はこれを満足できる各国の認証された溶接管理技術者は,
6.2の当該要求事項を満足していると考えてよい。
一般社団法人日本溶接協会は,溶接管理技術者の知識並びに実務能力の評価及び認証の最小限の基準に
ついての推奨事項を,次の文書に記載している。
− WES 8103 溶接管理技術者認証基準
この文書に合致している溶接管理技術者特別級,溶接管理技術者1級及び溶接管理技術者2級は,6.2
の関連する基準を満足していると考えてよい。
一般社団法人軽金属溶接協会は,溶接管理技術者の知識並びに実務能力の評価及び認証の最小限の基準
についての推奨事項を,次の文書に記載している。
− LWS A 7601 アルミニウム合金構造物の溶接管理技術者認証基準
この文書に合致している溶接施工管理技術者1級,溶接施工管理技術者2級及び溶接施工管理技術者3
級は,6.2の関連する基準を満足していると考えてよい。
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Z 3410:2013 (ISO 14731:2006)
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附属書B
(規定)
適用に際して考慮すべきJIS Z 3400に従った重要溶接関連任務
B.1
要求事項のレビュー
次の要素(elements)を考慮しなければならない。
a) 適用する製品規格及び付帯要求事項
b) 規定要求事項を満たす製造事業者の実現能力
B.2
テクニカルレビュー
次の要素を考慮しなければならない。
a) 母材の仕様及び溶接継手諸性質
b) 設計要求事項に関連する継手位置
c) 溶接部の品質及び合否判定基準
d) 検査及び非破壊試験を含めた,溶接部の位置,接近のしやすさ及び溶接順序
e) その他の溶接要求事項。例えば,溶接材料のバッチ試験,溶接金属のフェライト量,時効処理,水素
含有量,永久裏当て,ピーニング,表面仕上げ,溶接部の形状。
f)
溶接前の継手組立て状況及び完了後の溶接部の寸法・詳細
B.3
下請負
溶接製作に関係する全ての下請負契約者の適格性を考慮しなければならない。
B.4
溶接要員
溶接技能者,溶接オペレータの認証資格を考慮しなければならない。
B.5
設備
次の要素を考慮しなければならない。
a) 溶接及び関連機器の適切性
b) 補助器具及び装置の供給,識別並びにその取扱い
c) 適用される製造プロセスに直接関わる個人用安全・衛生保護具及びその他の安全設備
d) 設備の保守
e) 装置の検定及び有効性(期限)の確認
B.6
生産計画
次の要素を考慮しなければならない。
a) 溶接及び同種プロセスに適合した施工要領書の引用(reference)
b) 溶接順序
c) 環境条件(例えば,風,温度及び雨の対策)
d) 適格性が確認された(qualified)要員の割り当て
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e) 温度表示器を含めた予熱及び直後熱用機器
f)
全ての製造時溶接試験の計画・手配(arrangement)
B.7
溶接施工法の承認
承認方法と承認範囲について考慮しなければならない。
B.8
溶接施工要領書
承認範囲について考慮しなければならない。
B.9
作業指示書
発行及び活用について考慮しなければならない。
B.10 溶接材料
次の要素を考慮しなければならない。
a) 適合性
b) 納入条件
c) 溶接材料検査成績書の様式を含む材料購入仕様書の付帯要求事項
d) 溶接材料の識別,保管及び取扱い管理
B.11 材料
次の要素を考慮しなければならない。
a) 材料検査成績書の様式を含む材料購入仕様書中の付帯要求事項
b) 母材の識別,保管及び取扱い管理
c) トレーサビリティ
B.12 溶接前の点検,試験及び検査
次の要素を考慮しなければならない。
a) 溶接技能者及び溶接オペレータの適格性証明書の適切性及び有効性
b) 溶接施工要領書の適切性
c) 母材の識別
d) 溶接材料の識別
e) 継手の準備状況(例えば,形状及び寸法)
f)
取付け,ジグ及びタック溶接
g) 溶接施工要領書の特別要求事項(例えば,溶接変形の防止)
h) 環境を含む溶接に対する作業条件の適切性
B.13 溶接中の点検,試験及び検査
次の要素を考慮しなければならない。
a) 基本溶接パラメータ(例えば,溶接電流,アーク電圧及び溶接速度)
b) 予熱/パス間温度
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2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
c) 溶接金属のパス及び層ごとの清掃及び形状
d) 裏はつり
e) 溶接順序
f)
溶接材料の正しい使用及び取扱い
g) 溶接変形の管理
h) 中間検査(例えば,寸法チェック)
B.14 溶接後の点検,試験及び検査
次の要素を考慮しなければならない。
a) 目視検査の適用(溶接の仕上がり,溶接寸法,形状に対して)
b) 非破壊検査の適用
c) 破壊試験の適用
d) 溶接物の外形,形状,寸法及び許容誤差
e) 溶接後の作業結果及び記録[例えば,溶接後熱処理(PWHT),時効処理など]
B.15 溶接後熱処理(PWHT)
要領書に準拠した実施状況をチェックしなければならない。
B.16 不適合及び是正処置
必要な手段及び処置(例えば,溶接補修,補修溶接部の再評価,是正措置など)を考慮しなければなら
ない。
B.17 計測,検査及び試験設備の校正及び妥当性確認
必要な方法及び処置を考慮しなければならない。
B.18 識別,確認及びトレーサビリティ
次の要素を考慮しなければならない。
a) 生産計画の確認
b) 工程票(ルーティングカード)の確認
c) 溶接物における溶接位置の確認
d) 非破壊試験要領及び要員の確認
e) 溶接材料の識別(例えば,規格分類,銘柄,溶接材料の製造事業者及びバッチ又は製造番号)
f)
母材の識別及び/又はトレーサビリティ(例えば,種類,製造番号)
g) 補修位置の確認
h) 一時的取付け品の位置の確認
i)
特定の溶接部に適用した自動溶接及び全自動溶接装置に対するトレーサビリティ
j)
特定の溶接部に割り当てた溶接技能者及び溶接オペレータのトレーサビリティ
k) 特定の溶接部に適用した溶接施工要領書のトレーサビリティ
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Z 3410:2013 (ISO 14731:2006)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
B.19 品質記録
必要な記録(下請負委託業務を含む。)の準備及び維持管理を考慮しなければならない。