Z 3332 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS Z 3332 : 1990は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
今回の改正では,寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装について規定したJIS Z 3200の制定に伴い,
これを引用規格として用いた。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 3332 : 1999
9%ニッケル鋼用ティグ溶加棒及び
ソリッドワイヤ
Filler rods and solid wires for TIG welding of 9 % nickel steel
1. 適用範囲 この規格は,9%ニッケル鋼のティグ溶接に使用する,高ニッケル系の溶加棒及びソリッド
ワイヤ(以下,棒及びワイヤという。)について規定する。
2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成
する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
3. 種類 棒及びワイヤの種類は,化学成分によって区分し,表1のとおりとする。
表1 棒及びワイヤの種類
棒及びワイヤの種類
YGT9Ni-1
YGT9Ni-2
YGT9Ni-3
備考 種類の記号の付け方は,次による。
例
4. 品質
4.1
外観 棒及びワイヤの外観は,JIS Z 3200の3.(製品の状態)による。
4.2
化学成分 棒及びワイヤの化学成分は,7.2の方法によって試験を行ったとき,表2に適合しなけれ
ばならない。
表2 棒及びワイヤの化学成分
単位 %
棒及びワイヤ
の種類
化学成分
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
Fe
YGT9Ni-1
0.10以下 0.50以下 5.0以下 0.015以下 0.015以下 55.0以上 5.0〜20.0
−
20.0以下
YGT9Ni-2
0.10以下 0.50以下
−
0.015以下 0.015以下 55.0以上
−
10.0〜25.0 20.0以下
YGT9Ni-3
0.10以下 0.50以下
−
0.015以下 0.015以下 55.0以上 5.0〜20.0
5.0〜20.0 20.0以下
4.3
機械的性質 溶着金属の引張強さ,降伏点又は0.2%耐力,伸び及びシャルピー吸収エネルギーは,
7.3の方法によって試験を行ったとき,表3に適合しなければならない。
2
Z 3332 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3 溶着金属の機械的性質
引張試験
衝撃試験
引張強さ
降伏点又は0.2%耐力(1)
伸び
試験温度
シャルピー吸収エネルギー
N/mm2
N/mm2
%
℃
J
660以上
360以上
25以上
−196
平均値:34以上
最小値:27以上
注(1) 降伏点か,0.2%耐力かを試験成績書などに明記する。
4.4
曲げ性能 溶接継手の曲げ性能は,7.4の方法によって試験を行ったとき,曲げられた外面において,
いかなる方向にも長さ3.0mmを超える割れ,又は有害と認められる欠陥があってはならない。
5. 寸法及び許容差 寸法及び許容差は,次による。
a) 棒の寸法及び許容差は,JIS Z 3200の2.(寸法及び許容差)による。代表的な寸法は表4に示す。
表4 代表的な棒の寸法
単位 mm
径
2.4
長さ
1 000
b) ワイヤの径及び許容差は,JIS Z 3200の2.による。代表的な径は表5に示す。
表5 代表的なワイヤの径
単位 mm
径
1.2, 1.6
6. 製品の状態 製品の状態は,JIS Z 3200の3.による。
a) 棒は直棒とし,単位量ごとに包装する。単位包装質量は5kgとする。
b) スプール巻きのワイヤの質量は5kg,6.25kg,10kg,12.5kg,15kg及び20kgとする。
c) 上記以外の棒の質量及びスプール巻きのワイヤの質量,並びにスプール巻き以外の巻き方のワイヤの
質量は,受渡当事者間の協定による。
7. 試験
7.1
試験一般
a) 試験板 棒及びワイヤの試験に使用する試験板は,JIS G 3127の9種 (SL9N) とする。
b) 試験用の棒及びワイヤ 試験を行う棒及びワイヤの径は,表6による。
表6 各種試験を行う棒及びワイヤの径
単位 mm
試験の種類
棒
ワイヤ
分析試験
2.4
1.2又は1.6
引張・衝撃試験
2.4
1.2又は1.6
縦曲げ試験
2.4
1.2又は1.6
c) シールドガス 棒及びワイヤの試験に使用するシールドガスは,JIS K 1105を使用する。
7.2
分析試験 棒及びワイヤの分析試験は,JIS G 1281による。ただし,この方法によることができな
い場合は,受渡当事者間の協定による。
7.3
溶着金属の引張試験及び衝撃試験 溶着金属の引張試験及び衝撃試験は,JIS Z 3111によるほか,次
による。
3
Z 3332 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) 試験板の厚さは,棒については12mm,ワイヤについては20mmとする。
b) 溶接層数は,6〜8層とする。
c) 溶接開始時の試験板温度及びパス間温度は,15〜150℃とする。
7.4
溶接継手の縦曲げ試験 溶接継手の縦曲げ試験は,次による。
a) 試験材の寸法は図1による。試験板は,溶接終了後の角変形が5度以上にならないように拘束するか,
あらかじめ逆ひずみを与えなければならない。
b) 溶接は,室温において下向姿勢で行う。
c) 溶接開始時の試験板温度及びパス間温度は15〜150℃とする。
なお,試験板の温度は試験板長手中央で,溶接部中心から25mm離れた表面上の点で測定する。
d) 溶接を終わった試験材の図1に示す採取位置からJIS Z 3122の縦表曲げ試験片を1個採取する。試験
材及び試験片は,熱処理してはならない。
e) 曲げ試験方法は表曲げとし,JIS Z 3122のローラ曲げ試験による。ただし,曲げ半径は331t(t:試験
片の厚さ)とする。
図1 縦曲げ試験の試験材の寸法及び試験片の採取位置
8. 検査 検査は,次による。
a) 棒及びワイヤは,品質,寸法及び製品の状態が,4.,5.及び6.の規定に適合しなければならない。
b) 棒及びワイヤは,分析試験,引張試験,衝撃試験及び縦曲げ試験のうち,いずれか一つの試験が不合
格であった場合は,その試験について1回だけ再試験を行うことができ,その成績が,規定に適合し
なければならない。
9. 包装 包装は,JIS Z 3200の5.(包装)による。
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Z 3332 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
10. 製品の呼び方 製品の呼び方は,棒については棒の種類,径及び長さ,ワイヤについてはワイヤの種
類,径及び質量による。
例
11. 表示 表示は,JIS Z 3200の4.(表示)による。
付表1 引用規格
JIS G 1281 ニッケルクロム鉄合金分析方法
JIS G 3127 低温圧力容器用ニッケル鋼鋼板
JIS K 1105 アルゴン
JIS Z 3111 溶着金属の引張及び衝撃試験方法
JIS Z 3122 突合せ溶接継手の曲げ試験方法
JIS Z 3200 溶接材料−寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
桑 名 武
東北大学名誉教授
(幹事)
和 田 豊
日鐵溶接工業株式会社技術本部
(委員)
林 明 夫
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
通商産業省工業技術院標準部
中 原 征 治
通商産業省工業技術院機械研究所
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会
中 川 昌 俊
財団法人日本規格協会
堀 田 東 男
社団法人軽金属溶接構造協会
池 原 康 允
ステンレス協会
鈴 木 宏
千代田プロテック株式会社川崎工場
二 村 幸 作
株式会社巴コーポレーション技術開発部
小見山 輝 彦
日本鋼管工事株式会社技術開発センター
森 三 郎
日本鋼管工事株式会社
中 村 稔
日本油脂株式会社技術部
佐 藤 千 年
日本ウェルディング・ロッド株式会社浜北製造所
中 井 洋 二
株式会社神戸製鋼所溶接事業部
松 本 剛 郎
川崎製鉄株式会社溶接棒営業部
松 本 茂
住金溶接工業株式会社技術部
宮 尾 信 昭
四国溶材株式会社
(事務局)
池 原 平 晋
社団法人日本溶接協会