Z 3319 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS Z 3319 : 1991は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,
このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登
録出願にかかわる確認について,責任をもたない。
今回の改正では,寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装について規定したJIS Z 3200の制定に伴い,
これを引用規格として用いた。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 3319 : 1999
エレクトロガスアーク溶接用
フラックス入りワイヤ
Flux cored wires for electrogas arc welding
1. 適用範囲 この規格は,軟鋼,490N/mm2級高張力鋼,590N/mm2級高張力鋼及び低温用炭素鋼のエレ
クトロガスアーク溶接に使用するフラックス入りワイヤ(以下,ワイヤという。)について規定する。
2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成
する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
3. 種類 ワイヤの種類は,シールドガス及び適用鋼種によって区分し,表1のとおりとする。
表1 ワイヤの種類
ワイヤの種類
シールドガス
適用鋼種
YFEG-11C
炭酸ガス (CO2)
軟鋼
YFEG-21C
炭酸ガス (CO2)
軟鋼及び490N/mm2級
高張力鋼
YFEG-22C
YFEG-20G
規定しない。
YFEG-31C
炭酸ガス (CO2)
590N/mm2級高張力鋼
YFEG-32C
YFEG-30G
規定しない。
YFEG-41C
炭酸ガス (CO2)
低温用炭素鋼
YFEG-42C
YFEG-41A
80%アルゴン−20%炭酸ガスの混合ガス
(80Ar-20CO2)
YFEG-42A
備考 種類の記号の付け方は,次による。
例
4. 品質
4.1
ワイヤ ワイヤの外観及び状態は,JIS Z 3200の3.(製品の状態)による。
4.2
化学成分 溶接金属の化学成分は,7.2の方法によって試験を行ったとき,表2に適合しなければな
らない。
2
Z 3319 : 1999
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表2 溶接金属の化学成分
単位 %
ワイヤの種類
化学成分
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
Ti
YFEG-11C
0.15以下 0.60以下 2.00以下 0.030以下 0.030以下
−
−
0.40以下 0.05以下
YFEG-21C
0.18以下 0.70以下 2.00以下 0.030以下 0.030以下
−
−
0.40以下 0.05以下
YFEG-22C
0.80以下
0.50以下
YFEG-20G
−
−
−
0.030以下 0.030以下
−
−
−
−
YFEG-31C
0.20以下 0.70以下 2.20以下 0.030以下 0.030以下 0.80以下 0.40以下 0.60以下 0.05以下
YFEG-32C
0.70以下
YFEG-30G
−
−
−
0.030以下 0.030以下
−
−
−
−
YFEG-41C
0.18以下 0.70以下 2.00以下 0.030以下 0.030以下 0.80以下
−
0.60以下 0.05以下
YFEG-42C
0.70以下
YFEG-41A
0.18以下 0.70以下 1.80以下 0.030以下 0.030以下 0.80以下
−
0.60以下 0.05以下
YFEG-42A
2.00以下
0.70以下
4.3
機械的性質 溶接金属の引張強さ,降伏点又は0.2%耐力,伸び及びシャルピー吸収エネルギーは,
7.3の方法によって試験を行ったとき,表3に適合しなければならない。
表3 溶接金属の機械的性質
ワイヤの種類
引張試験
衝撃試験
引張強さ
降伏点又は
0.2%耐力(1)
伸び
試験温度 シャルピー吸収
エネルギー
N/mm2
N/mm2
%
℃
J
YFEG-11C
420以上
345以上
22以上
0
40以上
YFEG-21C
520以上
390以上
20以上
0
40以上
YFEG-22C
−20
40以上
YFEG-20G
0
27以上
YFEG-31C
610以上
490以上
20以上
0
40以上
YFEG-32C
−20
40以上
YFEG-30G
0
27以上
YFEG-41C
490以上
365以上
20以上
−40
27以上
YFEG-42C
−60
27以上
YFEG-41A
−40
27以上
YFEG-42A
−60
27以上
注(1) 降伏点か,0.2%耐力かを試験成績書などに明記する。
5. 寸法及び許容差 ワイヤの径及び許容差は,JIS Z 3200の2.(寸法及び許容差)による。代表的なワ
イヤの径は表4に示す。
表4 代表的なワイヤの径
単位 mm
径
1.6, 2.0, 2.4, 2.8, 3.2
6. 製品の状態 製品の状態は,JIS Z 3200の3.による。
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7. 試験
7.1
試験一般
7.1.1
試験板 ワイヤの試験に使用する試験板は,表5による。
表5 試験板
ワイヤの種類
試験板
YFEG-11C
JIS G 3106のSM400A〜C又は同等材(2)
YFEG-21C
JIS G 3106のSM490A〜C又はSM520B〜C
YFEG-22C
JIS G 3115のSPV355又は同等材(2)
YFEG-20G
YFEG-31C
JIS G 3106のSM570,JIS G 3115のSPV490又は同等材(2)
YFEG-32C
YFEG-30G
YFEG-41C
JIS G 3126のSLA325A〜B,若しくはSLA360又は同等材(2)
YFEG-42C
YFEG-41A
YFEG-42A
注(2) 同等材とは,試験板と同等の化学成分及び機械的性質をもつ圧延鋼材
をいう。
7.1.2
シールドガス ワイヤの試験に使用する炭酸ガスは,JIS K 1106の3種,80Ar-20CO2混合ガスは
表6による。ただし,YFEG-20G及びYFEG-30Gのワイヤについては受渡当事者間の協定による。
表6 80Ar-20CO2混合ガスの品質
窒素体積 酸素体積 水素体積 水分(3)
アルゴンと炭酸ガス
の濃度の合計体積
炭酸ガス濃度
の許容差体積
%
%
%
mg/l
%
%
0.1以下 0.1以下 0.01以下 0.04以下
99.8以上
±2.0
注(3) 水分はAr-CO2混合ガスの温度35℃において,充てん圧力の2/3以上の状態の
ものから採取した試料についての値を示す。
7.1.3
試験ワイヤ 溶接金属の分析試験,引張試験及び衝撃試験に用いるワイヤの径は,1.6mm又は
3.2mmとする。
7.2
溶接金属の分析試験 溶接金属の分析試験は,次による。
a) 溶接金属の分析試験片は,7.3によって溶接を終わった試験材の板厚中央部から採取する。
b) 溶接金属の分析試験片の代わりに7.3による破断後の引張試験片平行部の残材を使用してもよい。
c) 溶接金属の分析試験は,次のいずれかによる。
JIS G 1201, JIS G 1204, JIS G 1211, JIS G 1212, JIS G 1213, JIS G 1214, JIS G 1215,
JIS G 1216, JIS G 1217, JIS G 1218, JIS G 1223, JIS G 1253, JIS G 1256, JIS G 1257,
JIS G 1258, JIS Z 2611
7.3
溶接金属の引張試験及び衝撃試験 溶接金属の引張試験及び衝撃試験は,次による。
a) 引張試験片はJIS Z 3111のA1号試験片又はA2号試験片とし,衝撃試験片はJIS Z 3111の4号試験片
とする。
b) 試験材の寸法は図1,試験板の開先形状は図2による。
c) 溶接は,室温で開始し,立向上進姿勢(1パス溶接)で行う。
4
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図1 試験材の寸法及び試験片の採取位置
a) ワイヤ径1.6mmの場合
b) ワイヤ径3.2mmの場合
図2 開先形状
d) 溶接は,シールドガスの種類及びワイヤ径別に,適正な電流の種類,極性,溶接電流,アーク電圧,
溶接速度及びシールドガス流量で行う。
e) 溶接に際しては,水冷銅当て金を使用する。
f)
溶接を終わった試験材から図1に示すように,1個の引張試験片と3個の衝撃試験片とを作製する。
試験材は熱処理をしてはならない。ただし,引張試験片は100±5℃で24時間以内保持して水素除去
を行ってもよい。
g) 引張試験の方法はJIS Z 2241に,衝撃試験方法はJIS Z 2242による。
なお,シャルピー吸収エネルギーは,3個の平均値から求める。
8. 検査 検査は,次による。
a) ワイヤは,品質,寸法及び製品の状態が,4.,5.及び6.の規定に適合しなければならない。
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Z 3319 : 1999
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b) ワイヤは,溶接金属の引張試験及び衝撃試験のうち,いずれか一つの試験が不合格であった場合は,
その試験について1回だけ再試験を行うことができ,その成績が規定に適合しなければならない。
9. 包装 包装は,JIS Z 3200の5.(包装)による。
10. 製品の呼び方 製品の呼び方は,ワイヤの種類,径及び質量による。
例
11. 表示 表示は,JIS Z 3200の4.(表示)による。
6
Z 3319 : 1999
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付表1 引用規格
JIS G 1201 鉄及び鋼の分析方法通則
JIS G 1204 鉄及び鋼のけい光X線分析方法通則
JIS G 1211 鉄及び鋼−炭素定量方法
JIS G 1212 鉄及び鋼−けい素定量方法
JIS G 1213 鉄及び鋼中のマンガン定量方法
JIS G 1214 鉄及び鋼−りん定量方法
JIS G 1215 鉄及び鋼−硫黄定量方法
JIS G 1216 鉄及び鋼−ニッケル定量方法
JIS G 1217 鉄及び鋼中のクロム定量方法
JIS G 1218 鉄及び鋼−モリブデン定量方法
JIS G 1223 鉄及び鋼−チタン定量方法
JIS G 1253 鉄及び鋼−スパーク放電発光分光分析方法
JIS G 1256 鉄及び鋼−蛍光X線分析方法
JIS G 1257 鉄及び鋼−原子吸光分析方法
JIS G 1258 鉄及び鋼−誘導結合プラズマ発光分光分析方法
JIS G 3106 溶接構造用圧延鋼材
JIS G 3115 圧力容器用鋼板
JIS G 3126 低温圧力容器用炭素鋼鋼板
JIS K 1106 液化二酸化炭素(液化炭酸ガス)
JIS Z 2241 金属材料引張試験方法
JIS Z 2242 金属材料衝撃試験方法
JIS Z 2611 金属材料の光電測光法による発光分光分析方法通則
JIS Z 3111 溶着金属の引張及び衝撃試験方法
JIS Z 3200 溶接材料−寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装
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Z 3319 : 1999
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原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
桑 名 武
東北大学名誉教授
(幹事)
和 田 豊
日鐵溶接工業株式会社技術本部
(委員)
林 明 夫
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
通商産業省工業技術院標準部
中 原 征 治
通商産業省工業技術院機械研究所
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会
中 川 昌 俊
財団法人日本規格協会
堀 田 東 男
社団法人軽金属溶接構造協会
池 原 康 允
ステンレス協会
鈴 木 宏
千代田プロテック株式会社川崎工場
二 村 幸 作
株式会社巴コーポレーション技術開発部
小見山 輝 彦
日本鋼管工事株式会社技術開発センター
森 三 郎
日本鋼管工事株式会社
中 村 稔
日本油脂株式会社技術部
佐 藤 千 年
日本ウェルディング・ロッド株式会社浜北製造所
中 井 洋 二
株式会社神戸製鋼所溶接事業部
松 本 剛 郎
川崎製鉄株式会社溶接棒営業部
松 本 茂
住金溶接工業株式会社技術部
宮 尾 信 昭
四国溶材株式会社
(事務局)
池 原 平 晋
社団法人日本溶接協会