Z 3312:2009
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 種類及び記号の付け方 ······································································································· 2
5 品質······························································································································· 4
5.1 ワイヤの寸法,許容差及び製品の状態················································································ 4
5.2 ワイヤの化学成分 ·········································································································· 4
5.3 溶着金属の機械的性質 ···································································································· 7
6 試験方法························································································································· 8
6.1 ロットの決め方及びサンプリング方法················································································ 8
6.2 ワイヤの分析試験 ·········································································································· 9
6.3 溶着金属の引張試験及び衝撃試験······················································································ 9
7 検査方法························································································································ 10
8 製品の呼び方 ·················································································································· 11
9 表示······························································································································ 11
9.1 製品の表示 ·················································································································· 11
9.2 包装の表示 ·················································································································· 11
10 包装 ···························································································································· 11
11 検査証明書 ··················································································································· 12
附属書A(参考)ISO 14341 System A ······················································································ 13
附属書B(参考)ISO 16834 System A ······················································································ 18
附属書JA(参考)JISと対応する国際規格との対比表 ································································ 23
Z 3312:2009
(2)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,社団法人日本溶接
協会(JWES)及び財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規格を改正すべき
との申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規格である。これ
によって,JIS Z 3312:2006は改正され,この規格に置き換えられ,また,JIS Z 3325:2008は廃止され,こ
の規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権又は出願公開後の実用新案登録出願に
抵触する可能性があることに注意を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許
権,出願公開後の特許出願,実用新案権及び出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認について,責
任はもたない。
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日本工業規格
JIS
Z 3312:2009
軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用の
マグ溶接及びミグ溶接ソリッドワイヤ
Solid wires for MAG and MIG welding of mild steel, high strength steel and
low temperature service steel
序文
この規格は,2002年に第1版として発行されたISO 14341及び2006年に第1版として発行されたISO
16834を基に,技術的内容を変更して作成した日本工業規格である。ISO 14341は,EN 440と環太平洋地
域で使用する規格との共存形であり,ISO 16834は,EN 12534と環太平洋地域で使用する規格との共存形
である。いずれの対応国際規格も,共存する両方又はどちらかの規格を特定の国際市場に適用してもよい
としている。このため,この規格では環太平洋地域で使用する規格に該当する部分(ISO 14341 System B
及びISO 16834 System B)を本体で規定し,EN 440及びEN 12534に該当する部分,ISO 14341 System A
は,附属書Aに,ISO 16834 System Aは,附属書Bに示す。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,軟鋼,引張強さが490 MPa級〜830 MPa級の高張力鋼及び低温用鋼に用いるマグ溶接及び
ミグ溶接用ソリッドワイヤ(以下,ワイヤという。)について規定する。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 14341:2002,Welding consumables−Wire electrodes and deposits for gas shielded metal arc
welding of non alloy and fine grain steels−Classification
ISO 16834:2006,Welding consumables−Wire electrodes,wires,rods and deposits for gas-shielded arc
welding of high strength steels−Classification(全体評価:MOD)
なお,対応の程度を表す記号(MOD)は,ISO/IEC Guide 21に基づき,修正していることを示
す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 0203 鉄鋼用語(製品及び品質)
JIS G 0320 鋼材の溶鋼分析方法
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3106 溶接構造用圧延鋼材
2
Z 3312:2009
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JIS G 3126 低温圧力容器用炭素鋼鋼板
JIS G 3127 低温圧力容器用ニッケル鋼鋼板
JIS G 3136 建築構造用圧延鋼材
JIS Z 3001-1 溶接用語−第1部:一般
JIS Z 3001-2 溶接用語−第2部:溶接方法
JIS Z 3111 溶着金属の引張及び衝撃試験方法
注記 対応国際規格:ISO 15792-1,Welding consumables−Test methods−Part 1: Test methods for
all-weld metal test specimens in steel, nickel and nickel alloys (MOD)
JIS Z 3200 溶接材料−寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装
注記 対応国際規格:ISO 544,Welding consumables−Technical delivery conditions for welding filler
materials−Type of product, dimensions, tolerances and markings (MOD)
JIS Z 3253 アーク溶接及びプラズマ切断用シールドガス
注記 対応国際規格:ISO 14175,Welding consumables−Shielding gases for arc welding and cutting
(MOD)
JIS Z 3423 溶接材料の調達指針
注記 対応国際規格:ISO 14344,Welding and allied processes−Flux and gas shielded electrical welding
processes−Procurement guidelines for consumables (MOD)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 3001-1,JIS Z 3001-2及びJIS G 0203による。
4
種類及び記号の付け方
ワイヤの種類及び記号の付け方は,次のいずれかによる。
a) ワイヤの種類は,溶着金属の引張特性,溶接後熱処理の有無,溶着金属の衝撃試験温度,溶着金属の
シャルピー吸収エネルギーレベル,シールドガスの種類及びワイヤの化学成分によって区分し,図1
による。ただし,溶着金属の機械的性質(引張特性及び衝撃特性)及びワイヤの化学成分の組合せは,
表1による。
なお,溶接後熱処理の有無に応じて,溶着金属の機械的性質の異なる種類に区分してもよい。また,
異なるシールドガスとの組合せで,機械的性質の異なる種類に区分してもよい。
b) ワイヤの種類は,ワイヤの化学成分,シールドガスの種類及び溶着金属の機械的性質によって区分し,
表2による。
記号の付け方は,次による。
溶接ワイヤの記号
マグ溶接及びミグ溶接用の記号
ワイヤの化学成分,シールドガス及び溶接のままでの溶着金属の機械的性質の記号
Y GW XX
3
Z 3312:2009
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マグ溶接及びミグ溶接用ソリッドワイヤの記号
溶着金属の引張特性の記号(表4による。)
溶接後熱処理の有無の記号
A :溶接のまま
P :溶接後熱処理あり
AP :溶接のまま及び溶接後熱処理あり
衝撃試験温度の記号(表5による。)
シャルピー吸収エネルギーレベルの記号
記号なし:規定の試験温度において吸収エネルギーが27 J以上
又は衝撃試験を規定しない場合
U :規定の試験温度において吸収エネルギーが47 J以上
シールドガスの種類の記号
C :JIS Z 3253に規定するC1(炭酸ガス)
M :JIS Z 3253に規定するM2 1で,炭酸ガス20 %〜25 %(体
積分率)とアルゴンとの混合ガス
A :JIS Z 3253に規定するM1 3で,酸素1 %〜3 %(体積分率)
とアルゴンとの混合ガス
G :受渡当事者間の協定による上記以外のガス
ワイヤの化学成分の記号(表3による。)
G XX X X X X XX
図1−ワイヤの種類の記号の付け方[箇条4 a) による。]
表1−溶着金属の機械的性質及びワイヤの化学成分の組合せ[箇条4 a) による。]
溶着金属の機械的性質
ワイヤの化学成分
表4に規定する
引張特性の記号
表5に規定する
衝撃試験温度の記号
表3に規定するワイヤの化学成分の記号
43,49,55,57
Y,0,2,3,4,5,6,
7,8,9,10,Z
11,12,13,14,15,16,17,18,2,3,4,6,7,1M3,2M31,N1,
N2,N3,N5,N7,N71,N9,2M3,3M1,3M1T,3M3T,4M31,4M3T,
N1M2T,N2M1T,N2M2T,N2M3T,N2M4T,0
52 a)
0
57J a)
1
59,62,69,76,
78,83
Y,0,2,3,4,5,6 2M3,3M1,3M1T,3M3T,4M31,4M3T,N1M2T,N2M1T,N2M2T,
N2M3T,N2M4T,3M3,3M31,4M3,C1M1T,N1M3,N2M3,N3C1M4T,
N3M2,N4CM21T,N4CM22T,N4CM2T,N4M2,N4M3T,N4M4T,
N5C1M3T,N5CM3T,N5M3,N5M3T,N6C1M4,N6C2M2T,N6C2M4,
N6CM2T,N6CM3T,N7M4T,0
59J a)
1
78J a)
2
注a) 52,57J,59J及び78Jは,シャルピー吸収エネルギーレベルの記号がUである種類だけに適用する。
4
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2−ワイヤの種類[箇条4 b) による。]
ワイヤの種類
ワイヤの
化学成分
の記号a)
シールド
ガス
溶着金属の機械的性質b)
引張強さ
MPa
耐力c)
MPa
伸び
%
衝撃試験
温度
℃
シャルピー吸収エネ
ルギーの規定値d)
J
YGW11
11
C e)
490〜670
400以上
18以上
0
47以上
YGW12
12
390以上
18以上
0
27以上
YGW13
13
0
27以上
YGW14
14
430〜600
330以上
20以上
0
27以上
YGW15
15
M f)
490〜670
400以上
18以上
−20
47以上
YGW16
16
390以上
18以上
−20
27以上
YGW17
17
430〜600
330以上
20以上
−20
27以上
YGW18
J18
C e)
550〜740
460以上
17以上
0
70以上
YGW19
J19
M f)
0
47以上
注a) ワイヤの化学成分の記号は,表3による。
b) 溶接のままで試験を行う。
c) 降伏が発生した場合は下降伏応力とし,その場合以外は,0.2 %耐力とする。
d) 衝撃試験片の個数は,3個とし,その平均値で評価する。
e) C:JIS Z 3253に規定するC1(炭酸ガス)
f) M:JIS Z 3253に規定するM2 1で,炭酸ガス20 %〜25 %(体積分率)とアルゴンとの混合ガス。
5
品質
5.1
ワイヤの寸法,許容差及び製品の状態
ワイヤの寸法,許容差及び製品の状態は,JIS Z 3200の規定に適合しなければならない。
5.2
ワイヤの化学成分
ワイヤの化学成分は,6.2の方法によって分析試験を行ったとき,表3の規定に適合しなければならない。
表3−ワイヤの化学成分
単位 %(質量分率)
ワイヤの
化学成分
の記号
化学成分a), b)
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
Cu c)
Ti
Zr
その他
の成分
11
0.02〜
0.15
0.55〜
1.10
1.40〜
1.90
0.030
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
Ti+Zr:
0.02〜0.30
−
12
0.02〜
0.15
0.50〜
1.00
1.25〜
2.00
0.030
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
−
−
−
13
0.02〜
0.15
0.55〜
1.10
1.35〜
1.90
0.030
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
Ti+Zr:
0.02〜0.30
Al:0.10
〜0.50
14
0.02〜
0.15
1.00〜
1.35
1.30〜
1.60
0.030
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
−
−
−
15
0.02〜
0.15
0.40〜
1.00
1.00〜
1.60
0.030
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
Ti+Zr:
0.02〜0.15
−
16
0.02〜
0.15
0.40〜
1.00
0.90〜
1.60
0.030
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
−
−
−
17
0.02〜
0.15
0.20〜
0.55
1.20〜
2.10
0.030
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
−
−
−
5
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3−ワイヤの化学成分(続き)
単位 %(質量分率)
ワイヤの
化学成分
の記号
化学成分a), b)
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
Cu c)
Ti
Zr
その他
の成分
18
0.02〜
0.15
0.50〜
1.10
1.60〜
2.40
0.030
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
Ti+Zr:
0.02〜0.30
−
J18 d)
0.15
以下
0.55〜
1.10
1.40〜
2.60
0.030
以下
0.030
以下
−
−
0.40
以下
0.50
以下
Ti+Zr:
0.30以下
−
J19 e)
0.15
以下
0.40〜
1.00
1.40〜
2.00
0.030
以下
0.030
以下
−
−
0.40
以下
0.50
以下
Ti+Zr:
0.30以下
−
2
0.07
以下
0.40〜
0.70
0.90〜
1.40
0.025
以下
0.030
以下
−
−
−
0.50
以下
0.05〜
0.15
0.02〜
0.12
Al:0.05
〜0.15
3
0.06〜
0.15
0.45〜
0.75
0.90〜
1.40
0.025
以下
0.035
以下
−
−
−
0.50
以下
−
−
−
4
0.06〜
0.15
0.65〜
0.85
1.00〜
1.50
0.025
以下
0.035
以下
−
−
−
0.50
以下
−
−
−
6
0.06〜
0.15
0.80〜
1.15
1.40〜
1.85
0.025
以下
0.035
以下
−
−
−
0.50
以下
−
−
−
7
0.07〜
0.15
0.50〜
0.80
1.50〜
2.00
0.025
以下
0.035
以下
−
−
−
0.50
以下
−
−
−
1M3
0.12
以下
0.30〜
0.70
1.30
以下
0.025
以下
0.025
以下
0.20
以下
−
0.40〜
0.65
0.35
以下
−
−
−
2M3
0.12
以下
0.30〜
0.70
0.60〜
1.40
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
−
−
−
2M31
0.12
以下
0.30〜
0.90
0.80〜
1.50
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
−
−
−
3M1
0.05〜
0.15
0.40〜
1.00
1.40〜
2.10
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.10〜
0.45
0.50
以下
−
−
−
3M1T
0.12
以下
0.40〜
1.00
1.40〜
2.10
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.10〜
0.45
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
3M3
0.12
以下
0.60〜
0.90
1.10〜
1.60
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
−
−
−
3M31
0.12
以下
0.30〜
0.90
1.00〜
1.85
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
−
−
−
3M3T
0.12
以下
0.40〜
1.00
1.00〜
1.80
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
4M3
0.12
以下
0.30
以下
1.50〜
2.00
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
−
−
−
4M31
0.07〜
0.12
0.50〜
0.80
1.60〜
2.10
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.40〜
0.60
0.50
以下
−
−
−
4M3T
0.12
以下
0.50〜
0.80
1.60〜
2.20
0.025
以下
0.025
以下
−
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N1
0.12
以下
0.20〜
0.50
1.25
以下
0.025
以下
0.025
以下
0.60〜
1.00
−
0.35
以下
0.35
以下
−
−
−
N2
0.12
以下
0.40〜
0.80
1.25
以下
0.025
以下
0.025
以下
0.80〜
1.10
0.15
以下
0.35
以下
0.35
以下
−
−
V:0.05
以下
N3
0.12
以下
0.30〜
0.80
1.20〜
1.60
0.025
以下
0.025
以下
1.50〜
1.90
−
0.35
以下
0.35
以下
−
−
−
6
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3−ワイヤの化学成分(続き)
単位 %(質量分率)
ワイヤの
化学成分
の記号
化学成分a), b)
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
Cu c)
Ti
Zr
その他
の成分
N5
0.12
以下
0.40〜
0.80
1.25
以下
0.025
以下
0.025
以下
2.00〜
2.75
−
−
0.35
以下
−
−
−
N7
0.12
以下
0.20〜
0.50
1.25
以下
0.025
以下
0.025
以下
3.00〜
3.75
−
0.35
以下
0.35
以下
−
−
−
N71
0.12
以下
0.40〜
0.80
1.25
以下
0.025
以下
0.025
以下
3.00〜
3.75
−
−
0.35
以下
−
−
−
N9
0.10
以下
0.50
以下
1.40
以下
0.025
以下
0.025
以下
4.00〜
4.75
−
0.35
以下
0.35
以下
−
−
−
N1M2T
0.12
以下
0.60〜
1.00
1.70〜
2.30
0.025
以下
0.025
以下
0.40〜
0.80
−
0.20〜
0.60
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N1M3
0.12
以下
0.20〜
0.80
1.00〜
1.80
0.025
以下
0.025
以下
0.30〜
0.90
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
−
−
−
N2M1T
0.12
以下
0.30〜
0.80
1.10〜
1.90
0.025
以下
0.025
以下
0.80〜
1.60
−
0.10〜
0.45
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N2M2T
0.05〜
0.15
0.30〜
0.90
1.00〜
1.80
0.025
以下
0.025
以下
0.70〜
1.20
−
0.20〜
0.60
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N2M3
0.12
以下
0.30
以下
1.10〜
1.60
0.025
以下
0.025
以下
0.80〜
1.20
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
−
−
−
N2M3T
0.05〜
0.15
0.30〜
0.90
1.40〜
2.10
0.025
以下
0.025
以下
0.70〜
1.20
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N2M4T
0.12
以下
0.50〜
1.00
1.70〜
2.30
0.025
以下
0.025
以下
0.80〜
1.30
−
0.55〜
0.85
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N3M2
0.08
以下
0.20〜
0.55
1.25〜
1.80
0.010
以下
0.010
以下
1.40〜
2.10
0.30
以下
0.25〜
0.55
0.25
以下
0.10
以下
0.10
以下
V:0.05
以下
Al:0.10
以下
N4M2
0.09
以下
0.20〜
0.55
1.40〜
1.80
0.010
以下
0.010
以下
1.90〜
2.60
0.50
以下
0.25〜
0.55
0.25
以下
0.10
以下
0.10
以下
V:0.04
以下
Al:0.10
以下
N4M3T
0.12
以下
0.45〜
0.90
1.40〜
1.90
0.025
以下
0.025
以下
1.50〜
2.10
−
0.40〜
0.65
0.50
以下
0.01〜
0.30
−
−
N4M4T
0.12
以下
0.40〜
0.90
1.60〜
2.10
0.025
以下
0.025
以下
1.90〜
2.50
−
0.40〜
0.90
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N5M3
0.10
以下
0.25〜
0.60
1.40〜
1.80
0.010
以下
0.010
以下
2.00〜
2.80
0.60
以下
0.30〜
0.65
0.25
以下
0.10
以下
0.10
以下
V:0.03
以下
Al:0.10
以下
N5M3T
0.12
以下
0.40〜
0.90
1.40〜
2.00
0.025
以下
0.025
以下
2.40〜
3.10
−
0.40〜
0.70
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N7M4T
0.12
以下
0.30〜
0.70
1.30〜
1.70
0.025
以下
0.025
以下
3.20〜
3.80
0.30
以下
0.60〜
0.90
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
C1M1T
0.02〜
0.15
0.50〜
0.90
1.10〜
1.60
0.025
以下
0.025
以下
−
0.30〜
0.60
0.10〜
0.45
0.40
以下
0.02〜
0.30
−
−
7
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表3−ワイヤの化学成分(続き)
単位 %(質量分率)
ワイヤの
化学成分
の記号
化学成分a), b)
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
Cu c)
Ti
Zr
その他
の成分
N3C1M4T
0.12
以下
0.35〜
0.75
1.25〜
1.70
0.025
以下
0.025
以下
1.30〜
1.80
0.30〜
0.60
0.50〜
0.75
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N4CM2T
0.12
以下
0.20〜
0.60
1.30〜
1.80
0.025
以下
0.025
以下
1.50〜
2.10
0.20〜
0.50
0.30〜
0.60
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N4CM21T
0.12
以下
0.20〜
0.70
1.10〜
1.70
0.025
以下
0.025
以下
1.80〜
2.30
0.05〜
0.35
0.25〜
0.60
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N4CM22T
0.12
以下
0.65〜
0.95
1.90〜
2.40
0.025
以下
0.025
以下
2.00〜
2.30
0.10〜
0.30
0.35〜
0.55
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N5CM3T
0.12
以下
0.20〜
0.70
1.10〜
1.70
0.025
以下
0.025
以下
2.40〜
2.90
0.05〜
0.35
0.35〜
0.70
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N5C1M3T
0.12
以下
0.40〜
0.90
1.40〜
2.00
0.025
以下
0.025
以下
2.40〜
3.00
0.40〜
0.60
0.40〜
0.70
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N6CM2T
0.12
以下
0.30〜
0.60
1.50〜
1.80
0.025
以下
0.025
以下
2.80〜
3.00
0.05〜
0.30
0.25〜
0.50
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N6C1M4
0.12
以下
0.25
以下
0.90〜
1.40
0.025
以下
0.025
以下
2.65〜
3.15
0.20〜
0.50
0.55〜
0.85
0.50
以下
−
−
−
N6C2M2T
0.12
以下
0.20〜
0.50
1.50〜
1.90
0.025
以下
0.025
以下
2.50〜
3.10
0.70〜
1.00
0.30〜
0.60
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
N6C2M4
0.12
以下
0.40〜
0.60
1.80〜
2.00
0.025
以下
0.025
以下
2.80〜
3.00
1.00〜
1.20
0.50〜
0.80
0.50
以下
0.04
以下
−
−
N6CM3T
0.12
以下
0.30〜
0.70
1.20〜
1.50
0.025
以下
0.025
以下
2.70〜
3.30
0.10〜
0.35
0.40〜
0.65
0.50
以下
0.02〜
0.30
−
−
0
受渡当事者間の協定による。
注a) “−”は,その化学成分を規定しないことを意味する。
b) 鉄以外の成分であって,この表で規定しない成分を6.2の過程で検出した場合又は意図的に添加した場合は,そ
れらの成分の合計は,0.50 %(質量分率)以下でなければならない。
c) 銅めっきが施されている場合は,めっきの銅を含む。
d) J18は,ワイヤの種類YGW18だけに適用する。
e) J19は,ワイヤの種類YGW19だけに適用する。
5.3
溶着金属の機械的性質
溶着金属の機械的性質は,次による。
a) 溶着金属の引張強さ,耐力及び伸びは,6.3の方法によって引張試験を行ったとき,表4の規定に適合
しなければならない。ただし,箇条4 b) によって区分する場合は,表2の規定に適合しなければなら
ない。
b) 溶着金属のシャルピー吸収エネルギーは,6.3の方法によって衝撃試験を行ったとき,表5の規定に適
合しなければならない。ただし,箇条4 b) によって区分する場合は,表2の規定に適合しなければな
らない。
8
Z 3312:2009
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表4−溶着金属の引張特性
記号
引張強さ
MPa
耐力a)
MPa
伸び
%
43
430〜600
330以上
20以上
49
490〜670
390以上
18以上
52
520〜700
420以上
17以上
55
550〜740
460以上
17以上
57
570〜770
490以上
17以上
57J
570〜770
500以上
17以上
59
590〜790
490以上
16以上
59J
590〜790
500以上
16以上
62
620〜820
530以上
15以上
69
690〜890
600以上
14以上
76
760〜960
680以上
13以上
78
780〜980
680以上
13以上
78J
780〜980
700以上
13以上
83
830〜1 030
745以上
12以上
注記 1 MPa=1 N/mm2
注a) 降伏が発生した場合は下降伏応力とし,その場合以外は0.2 %耐力とする。
表5−溶着金属の衝撃特性
衝撃試験
温度の記号
衝撃試
験温度
℃
シャルピー吸収エネルギー
規定値27 Jの場合
(記号なし)
規定値47 Jの場合
(記号:U)
衝撃試験片個数:5個
衝撃試験片個数:3個
Y
+20
5個の試験結果から最大値と最
小値とを除いた3個を評価する。
3個の平均値:27 J以上,かつ,
3個の最小値:20 J以上,かつ,
少なくとも2個が27 J以上
3個の平均値:47 J以上
0
0
1
−5
2
−20
3
−30
4
−40
5
−50
6
−60
7
−70
8
−80
9
−90
10
−100
Z
衝撃試験を規定しない。
6
試験方法
6.1
ロットの決め方及びサンプリング方法
ワイヤのロット及びサンプリング方法は,JIS Z 3423に規定するロットサイズ及び試験スケジュールに
よる。
なお,適用する試験スケジュールにサンプリング方法の規定がない場合には,サンプリング方法は,製
造業者の社内規定による。
9
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
6.2
ワイヤの分析試験
ワイヤの分析試験は,JIS G 0320の4.(溶鋼分析方法)に規定する方法又はそれに対応するISO規格に
よる。
なお,製品と変わらない成分の分析試験は,次のいずれかの試験結果を用いてもよい。
a) 同一ヒートの他のワイヤ径の製品分析値
b) 同一ヒートの製造途中の線材の分析値
c) 原料のミルコイルの製品分析値
d) 原料のミルコイルの溶鋼分析値
6.3
溶着金属の引張試験及び衝撃試験
溶着金属の引張試験及び衝撃試験は,次のa)〜k) の規定を除き,JIS Z 3111による。
a) 試験を行うワイヤの径は,ワイヤの種類ごとに1.2 mmとする。ただし,1.2 mmを製造していない場
合は,これに最も近い径とする。
b) 溶接電流の種類は,棒プラスを用いる。ただし,製造業者が他の極性を指定する場合は,それによる。
c) 試験に使用するシールドガスは,ワイヤを区分したガスとする。
d) 試験に使用する試験板の材質は,表6による。ただし,JIS Z 3111の規定によってバタリングを行う
場合は,表6に規定する以外の鋼材を試験板として用いてもよい。
表6−試験板の材質
ワイヤの種類又は化学成分の記号
試験板の材質
N1,N2,N3
JIS G 3126に規定するSLA325A,SLA325B又はSLA365 a)
N5
JIS G 3127に規定するSL2N255 a)
N7,N71
JIS G 3127に規定するSL3N255又はSL3N275 a)
YGW14,YGW17
JIS G 3101に規定するSS400又はJIS G 3106に規定するSM400A〜SM400C a)
YGW11,YGW12,YGW13,YGW15,
YGW16
JIS G 3106に規定するSM490A〜SM490C又はJIS G 3136に規定するSN490B
若しくはSN490C a)
YGW18,YGW19
JIS G 3106に規定するSM520B又はSM520C a)
上記以外
溶着金属と同等の機械的性質をもつ鋼材
注a) ここで規定する試験板と同等の機械的性質及び化学成分をもつ鋼材を試験板として用いてもよい。
e) 試験板は,JIS Z 3111に規定する試験板の記号1.3を使用する。
f)
試験板の予熱及びパス間温度は,表7による。
なお,溶接開始後に規定のパス間温度に達するまでは,連続溶接とする。
表7−予熱及びパス間温度
単位 ℃
ワイヤの種類又は化学成分の記号
予熱温度
パス間温度a)
2,3,4,6,7,11,12,13,14,15,16,17,18,YGW11,YGW12,
YGW13,YGW14,YGW15,YGW16,YGW17,YGW18,YGW19
室温以上
150±15
0
受渡当事者間の協定による。
上記以外
100以上
150±15
注a) 測定位置は,溶接線方向の中央,かつ,溶接開先の縁から10 mm以内とする。
g) 溶接条件は,表8による。ただし,ワイヤの径が1.2 mm以外の場合は,製造業者が推奨する溶接条
件による。
10
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表8−溶接条件
ワイヤ径
mm
溶接電流
A
アーク電圧
V
母材−チップ間距離
mm
1.2
290±30
適正電圧
20±3
h) 層数は,6〜10層とし,各層のパス数は,1層当たり2〜3パスとする。
i)
溶接後熱処理は,次による。また,溶接後熱処理の条件は,表9による。
1) 溶接後熱処理の有無の記号がAの場合は,溶接のままで試験を行う。
2) 溶接後熱処理の有無の記号がPの場合は,溶接後熱処理を行って試験を行う。
3) 溶接後熱処理の有無の記号がAPの場合は,溶接のまま及び溶接後熱処理を行ったものの両方につ
いて試験を行う。
4) 箇条4 b) によって区分する場合は,溶接のままで試験を行う。
表9−溶接後熱処理条件
溶着金属の引張特性の記号
溶接後熱処理条件
43,49,52,55,57,57J
620±15 ℃で1 h (
)
min
15
0
+
315 ℃以上での加熱速度は220 ℃/h以下,冷却速度は
195 ℃/h以下とし,315 ℃未満での冷却は炉冷又は空
冷とする。
59,59J,62,69,76,78,
78J,83
610±25 ℃で1 h (
)
min
15
0
+
300 ℃以上での加熱速度は220 ℃/h以下,冷却速度は
195 ℃/h以下とし,300 ℃未満での冷却は炉冷又は空
冷とする。
j)
引張試験片は,JIS Z 3111に規定するA0号試験片とする。
k) 衝撃試験の試験片採取個数は,次による。
1) シャルピー吸収エネルギーの規定値が27 Jの場合は,5個とする。ただし,箇条4 b) によって区分
する場合は,3個とする。
2) シャルピー吸収エネルギーの規定値が47 Jの場合は,3個とする。
3) シャルピー吸収エネルギーの規定値が70 Jの場合は,3個とする。
7
検査方法
検査方法は,次による。
a) ワイヤの検査項目は,JIS Z 3423に規定する試験スケジュールによる。
b) 検査は,ワイヤのロットごとに,JIS Z 3423による試験スケジュールに従い,箇条6によって試験し,
該当する箇条5の規定に適合しなければならない。ただし,試験結果が合否の判定に供し得ないよう
なことが生じるおそれがある場合には,d) による。
c) 試験スケジュールに従い,箇条6によって実施した分析試験,引張試験及び衝撃試験のいずれかの試
験結果が,箇条5の規定に適合しなかった場合には,適合しなかったすべての試験について倍数の再
試験を行い,そのいずれの試験結果も規定に適合しなければならない。この場合の再試験のための試
験片は,当初の試験材の残材から採取するか,又は新たな試験板を用いて作製した試験材から採取す
る。また,分析試験において,当初の試験結果が規定に適合した成分は,再試験を行わなくてもよい。
d) 試験片の作製から試験の実施を通して正規の手続きを行っていない試験は,試験の進行状況又は結果
のいかんにかかわらず無効とする。無効となった試験は,正規の手続きに従って繰り返されなければ
11
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
ならない。
なお,この場合は,c) に規定する再試験の対象とはしない。
8
製品の呼び方
製品の呼び方は,ワイヤの種類,径及び質量による。
呼び方の例を,次に示す。
例1 箇条4 a) によって記号を付ける場合の例
G 69 A 6 U M N2M3T − 1.6 − 10
ワイヤの種類 径 質量
69 :溶着金属の引張特性が引張強さ690 MPa〜890 MPa,耐力 600 MPa以上,伸び14 %以
上
A :溶接後熱処理の有無が溶接のまま
6 :シャルピー衝撃試験温度が−60 ℃
U :シャルピー吸収エネルギーが 47 J以上
M :シールドガスが混合ガス[JIS Z 3253に規定するM2 1で,炭酸ガス20 %〜25 %(体
積分率)とアルゴンとの混合ガス]
N2M3T:ワイヤの化学成分(表3による。)
例2 箇条4 a) によって記号を付ける場合で,例1のワイヤを,例1とは異なるシールドガス,溶接
後熱処理及び溶着金属の機械的性質に区分した例
G 62 P 4 C N2M3T − 1.6 − 10
ワイヤの種類 径 質量
62 :溶着金属の引張特性が引張強さ620 MPa〜820 MPa,耐力 530 MPa以上,伸び15 %以
上
P :溶接後熱処理の有無が610±25 ℃で1 h の溶接後熱処理あり
4 :シャルピー衝撃試験温度が−40 ℃,かつ,シャルピー吸収エネルギーが 27 J以上
C :シールドガスが炭酸ガス(JIS Z 3253に規定するC1)
N2M3T:ワイヤの化学成分(表3による。)
例3 箇条4 b) によって記号を付ける場合の例
YGW11 − 1.2 − 20
ワイヤの種類 径 質量
YGW11:ワイヤの種類(表2による。)
9
表示
9.1
製品の表示
製品の表示は,JIS Z 3200による。
9.2 包装の表示
包装の表示は,JIS Z 3200によるほか,“規格番号”を追加する。
10
包装
包装は,JIS Z 3200による。
12
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
11
検査証明書
検査証明書は,JIS Z 3200による。
なお,ワイヤの化学成分を報告する場合は,種類ごとに表3に規定する成分を報告しなければならない。
また,衝撃試験の結果を報告する場合は,平均値及びその計算に使用した3個の値を報告しなければなら
ない。
13
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書A
(参考)
ISO 14341 System A
序文
この附属書は,対応国際規格であるISO 14341に規定している“System A”に相当し,本体の規定を補
足するものであって,規定の一部ではない。
A.1 適用範囲
この附属書は,耐力が500 MPa又は引張強さが570 MPa以下の軟鋼及び細粒鋼のガスシールドアーク溶
接に使用するソリッドワイヤ(以下,ワイヤという。)の分類について,その化学成分及び溶接のままの機
械的性質に対する要求事項を規定する。同一ワイヤでも,異なるシールドガスとの組合せで試験及び分類
を行うことができる。
A.2 引用規格
次に掲げる規格は,この附属書に引用されることによって,この附属書の一部を構成する。
ISO 31-0:1992,Quantities and units−Part 0: General principles
ISO 544,Welding consumables−Technical delivery conditions for welding filler materials−Type of product,
dimensions, tolerances and markings
ISO 13916,Welding−Guidance on the measurement of preheating temperature, interpass temperature and
preheat maintenance temperature
ISO 14175:1997,Welding consumables−Shielding gases for arc welding and cutting
ISO 14344,Welding and allied processes−Flux and gas shielded electrical welding processes−Procurement
guidelines for consumables
ISO 15792-1:2000,Welding consumables−Test methods−Part 1: Test methods for all-weld metal test
specimens in steel, nickel and nickel alloys
A.3 分類
材料は,5種類の記号によって分類し,次による。
1) 製品の種類を示す記号
2) 溶着金属の引張特性を示す記号(表A.1参照)
3) 溶着金属の衝撃特性を示す記号(表A.2参照)
4) シールドガスの種類を示す記号(A.4.4参照)
5) ワイヤの化学組成を示す記号(表A.3参照)
A.4 分類記号及び要求事項
A.4.1 製品の種類
ガスシールドアーク溶接の溶着金属の記号は,Gとする。
ガスシールドアーク溶接に使用するワイヤの記号は,Gとする。
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Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
A.4.2 溶着金属の引張特性
表A.1の記号は,A.5に従って求めた溶接のままでの溶着金属の耐力,引張強さ及び伸びを示す。
表A.1−溶着金属の引張特性
記号
最小耐力a)
MPa
引張強さ
MPa
最小伸びb)
%
35
355
440〜570
22
38
380
470〜600
20
42
420
500〜640
20
46
460
530〜680
20
50
500
560〜720
18
注a) 降伏現象が起こるときは下降伏点の応力(ReL)とし,その場合以外は0.2 %耐力(Rp0.2)を用いる。
b) 標点距離は,試験片直径の5倍とする。
A.4.3 溶着金属の衝撃特性
表A.2の記号は,A.5に従って求めたシャルピー吸収エネルギーの平均値が47 Jを満足する温度を示す。
3個の試験片を試験する。そのうち1個だけは47 Jを下回ってもよいが,32 Jを下回ってはならない。溶
着金属がある温度に分類されている場合,表A.2の温度より高い温度にも自動的に適合するものとする。
表A.2−溶着金属の衝撃特性
単位 ℃
記号
47 Jのシャルピー吸収エネルギーを満足する温度
Z
要求値なし
A
+20
0
0
2
−20
3
−30
4
−40
5
−50
6
−60
7
−70
8
−80
9
−90
10
−100
A.4.4 シールドガスの種類
シールドガスの種類は,次による。
a) “M”は,ISO 14175:1997に規定するM2とする。ただし,ヘリウムを含んではならない。
b) “A”は,ISO 14175:1997に規定するM13とする。ただし,アルゴンはISO 14175:1997による。
c) “C”は,ISO 14175:1997に規定するC1とする。
A.4.5 ワイヤの化学成分
ワイヤの化学成分は,表A.3による。
15
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.3−ワイヤの化学成分
単位 %(質量分率)
記号
化学成分a), b), c)
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
V
Cu
Al
Ti+Zr
G2Si
0.06〜
0.14
0.50〜
0.80
0.90〜
1.30
0.025
0.025
0.15
0.15
0.15
0.03
0.35
0.02
0.15
G3Si1 0.06〜
0.14
0.70〜
1.00
1.30〜
1.60
0.025
0.025
0.15
0.15
0.15
0.03
0.35
0.02
0.15
G3Si2 0.06〜
0.14
1.00〜
1.30
1.30〜
1.60
0.025
0.025
0.15
0.15
0.15
0.03
0.35
0.02
0.15
G4Si1 0.06〜
0.14
0.80〜
1.20
1.60〜
1.90
0.025
0.025
0.15
0.15
0.15
0.03
0.35
0.02
0.15
G2Ti
0.04〜
0.14
0.40〜
0.80
0.90〜
1.40
0.025
0.025
0.15
0.15
0.15
0.03
0.35
0.05〜
0.20
0.05〜
0.25
G2Al
0.08〜
0.14
0.30〜
0.50
0.90〜
1.30
0.025
0.025
0.15
0.15
0.15
0.03
0.35
0.35〜
0.75
0.15
G3Ni1 0.06〜
0.14
0.50〜
0.90
1.00〜
1.60
0.020
0.020
0.80〜
1.50
0.15
0.15
0.03
0.35
0.02
0.15
G2Ni2 0.06〜
0.14
0.40〜
0.80
0.80〜
1.40
0.020
0.020
2.10〜
2.70
0.15
0.15
0.03
0.35
0.02
0.15
G2Mo 0.08〜
0.12
0.30〜
0.70
0.90〜
1.30
0.020
0.020
0.15
0.15
0.40〜
0.60
0.03
0.35
0.02
0.15
G4Mo 0.06〜
0.14
0.50〜
0.80
1.70〜
2.10
0.025
0.025
0.15
0.15
0.40〜
0.60
0.03
0.35
0.02
0.15
G0
要求値なし
注a) 特に規定がなければ,Cr≦0.15,Cu≦0.35及びV≦0.03とする。銅めっきが施されている場合,銅は,め
っきの銅を含めて0.35を超えてはならない。
b) 表の数値が一つの場合は,最大値を表す。
c) 分析値は,ISO 31-0:1992の附属書B規則Aに準拠して,規定値と同じ有効数字に丸める。
A.5 溶着金属の機械的性質
引張試験,衝撃試験及びすべての要求される再試験は,溶接のままの条件で行わなければならない。試
験材の作製は,ISO 15792-1:2000のタイプ1.3によって,ワイヤ径1.2 mmで行う。
A.5.1 予熱及びパス間温度
予熱は必要なく,室温から始めてもよい。パス間温度は,250 ℃を超えてはならない。各パスの溶接開
始時に試験板の温度が最高温度を超えた場合は,最高温度以下まで空冷しなければならない。
なお,パス間温度の測定は,ISO 13916によって,温度チョーク,表面温度計又は熱電対を用いて行う。
A.5.2 各層の溶接パス数
溶接条件は,表A.4に,各層の溶接パス数及び全層数は,表A.5による。一つの層を構成する二つのパ
スの溶接方向は変えてはならない。また,層の溶接の方向は交互に変更しなければならない。
表A.4−溶接条件
ワイヤ径
mm
溶接電流
A
アーク電圧
V
母材−チップ間距離
mm
1.2
280±20
a)
20
注a) アーク電圧は,シールドガスに依存する。
16
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表A.5−溶接パス積層法
ワイヤ径
mm
各層の溶接パス数
層
1層のパス数
層数
1.2
1〜最上層
2 a)
6〜10
注a) 最終2層は,1層3パス仕上げでもよい。
A.5.3 溶接後熱処理条件
溶接後熱処理は,この附属書では使用されない。
A.6 ワイヤの化学分析
分析に用いる試験片は,ワイヤを用いる。分析方法は,どのような分析方法を用いてもよいが,疑義が
生じる場合は,確立している公開された方法を参照しなければならない。
なお,分析試験結果は,表A.3の要求事項を満たさなければならない。
A.7 再試験
再試験は,次による。
a) いずれかの試験結果が,その規定に適合しなかった場合には,適合しなかったすべての試験について
倍数の再試験を行い,そのいずれの試験結果も規定に適合しなければならない。この場合の再試験の
ための試験片は,当初の試験材の残材から採取するか,又は新たな試験板を用いて作製した試験材か
ら採取する。また,分析試験において,当初の試験結果が規定に適合した元素は,再試験を行わなく
てもよい。
b) 試験片の作製から試験の実施を通して正規の手続きがなされていない試験は,試験の進行状況又は結
果のいかんにかかわらず無効とする。無効となった試験は,正規の手続きに従って繰り返されなけれ
ばならない。ただし,この場合は,倍数の再試験を行わなくてもよい。
A.8 技術的受渡条件
製品の受渡条件は,ISO 544及びISO 14344による。
A.9 分類記号の表示
ワイヤの記号は,次の例に示す原則に従って表示しなければならない。
例1 ガスシールドアーク溶接(G)の溶着金属が,耐力460 MPa (46)以上,−50 ℃ (5)でのシャルピー
吸収エネルギーの平均値47 J以上で,混合ガスシールド(M)でワイヤG3Si1を使用した場合,
次のように表示する。
ISO 14341-A-G 46 5 M G3Si1
表A.3でG3Si1の化学成分条件に対応するワイヤは,次のように表示する。
ISO 14341-A-G3Si1
ここに,
ISO 14341-A:耐力及びシャルピー吸収エネルギー47 Jによって分類する規格番号
G:ガスシールドアーク溶接の溶着金属の記号(A.4.1参照)
17
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
46:引張特性の記号(表A.1参照)
5:衝撃特性の記号(表A.2参照)
M:シールドガスの種類の記号(A.4.4参照)
G3Si1:ワイヤの化学成分の記号(表A.3参照)
18
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
附属書B
(参考)
ISO 16834 System A
序文
この附属書は,対応国際規格であるISO 16834に規定している“System A”に相当し,本体の規定を補
足するものであって,規定の一部ではない。
B.1
適用範囲
この附属書は,耐力が500 MPa又は引張強さが570 MPaを超える高張力鋼のガスシールドアーク溶接及
びティグ溶接に使用するソリッドワイヤ(以下,ワイヤという。)及び溶加棒(以下,棒という。)の分類
について,その化学成分並びに溶接のまま及び溶接後熱処理後の機械的性質に対する要求事項について規
定する。同一ワイヤでも,異なるシールドガスとの組合せで試験及び分類を行うことができる。
B.2
引用規格
次に掲げる規格は,この附属書に引用されることによって,この附属書の一部を構成する。
ISO 31-0:1992,Quantities and units−Part 0: General principles
ISO 544,Welding consumables−Technical delivery conditions for welding filler materials−Type of product,
dimensions, tolerances and markings
ISO 13916,Welding−Guidance on the measurement of preheating temperature, interpass temperature and
preheat maintenance temperature
ISO 14175,Welding consumables−Shielding gases for arc welding and cutting
ISO 14344,Welding and allied processes−Flux and gas shielded electrical welding processes−Procurement
guidelines for consumables
ISO 15792-1:2000,Welding consumables−Test methods−Part 1: Test methods for all-weld metal test
specimens in steel, nickel and nickel alloys
B.3
分類
材料は,6種類の記号によって分類し,次による。
1) 製品の種類を示す記号
2) 溶着金属の引張特性を示す記号(表B.1参照)
3) 溶着金属の衝撃特性を示す記号(表B.2参照)
4) シールドガスの種類を示す記号(B.4.4参照)
5) ワイヤ及び棒の化学組成を示す記号(表B.3参照)
6) 溶接後熱処理の有無を示す記号(B.4.6参照)
B.4
分類記号及び要求事項
B.4.1 製品の種類
アーク溶接に使用するワイヤ電極,ワイヤ又は棒の記号は,G(ガスシールドアーク溶接)及び/又は
19
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
W(ティグ溶接)とする。
注記 G及び/又はWは,溶着金属の記号でもあるが,規定されていない。
B.4.2 溶着金属の引張特性
表B.1の記号は,B.5に従って求めた溶接のままでの溶着金属の耐力,引張強さ及び伸びを示す。
表B.1−溶着金属の引張特性
記号
最小耐力a)
MPa
引張強さ
MPa
最小伸びb)
%
55
550
640〜820
18
62
620
700〜890
18
69
690
770〜940
17
79
790
880〜1 080
16
89
890
940〜1 180
15
注a) 降伏現象が起こるときは下降伏点の応力(ReL)とし,その場合以外は0.2 %耐力(Rp0.2)を用いる。
b) 標点距離は,試験片直径の5倍とする。
B.4.3 溶着金属の衝撃特性
表B.2の記号は,B.5に従って求めたシャルピー吸収エネルギーの平均値が47 Jを満足する温度を示す。
3個の試験片を試験する。そのうち1個だけは47 Jを下回ってもよいが,32 Jを下回ってはならない。溶
着金属又は溶接継手がある温度に分類されている場合,表B.2の温度より高い温度にも自動的に適合する
ものとする。
表B.2−溶着金属の衝撃特性
単位 ℃
記号
47 Jのシャルピー吸収エネルギーを満足する温度
Z
要求値なし
A
+20
0
0
2
−20
3
−30
4
−40
5
−50
6
−60
B.4.4 シールドガスの種類
シールドガスの種類は,次による。ただし,ティグ溶接でISO 14175に規定するアルゴンシールドガス
の場合は,記号はない。
a) “M”は,ISO 14175に規定するM21とする。ただし,ヘリウムを含んではならない。
b) “A”は,ISO 14175に規定するM13又はM22で,酸素1 %〜5 %(体積分率)とアルゴンとの混合
ガスとする。
c) “C”は,ISO 14175に規定するC1とする。
d) “G”は,上記以外のガスであって,受渡当事者間の協定による。
B.4.5 ワイヤ及び棒の化学成分
ワイヤ及び棒の化学成分は,表B.3による。
20
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表B.3−ワイヤ及び棒の化学成分
単位 %(質量分率)
記号
化学成分a), b)
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
Cu
V
その他
の合計
Mn3NiCrMo
0.14
0.60〜
0.80
1.30〜
1.80
0.015
0.018
0.50〜
0.65
0.40〜
0.65
0.15〜
0.30
0.30
0.03
0.25
Mn3Ni1CrMo
0.12
0.40〜
0.70
1.30〜
1.80
0.015
0.018
1.20〜
1.60
0.20〜
0.40
0.20〜
0.30
0.35
0.05〜
0.13
0.25
Mn3Ni1Mo
0.12
0.40〜
0.80
1.30〜
1.90
0.015
0.018
0.80〜
1.30
0.15
0.25〜
0.65
0.30
0.03
0.25
Mn3Ni1,5Mo
0.08
0.20〜
0.60
1.30〜
1.80
0.015
0.018
1.40〜
2.10
0.15
0.25〜
0.55
0.30
0.03
0.25
Mn3Ni1Cu
0.12
0.20〜
0.60
1.20〜
1.80
0.015
0.018
0.80〜
1.25
0.15
0.20
0.30〜
0.65
0.03
0.25
Mn3Ni1MoCu
0.12
0.20〜
0.60
1.20〜
1.80
0.015
0.018
0.80〜
1.25
0.15
0.20〜
0.55
0.30〜
0.65
0.03
0.25
Mn3Ni2,5CrMo
0.12
0.40〜
0.70
1.30〜
1.80
0.015
0.018
2.30〜
2.80
0.20〜
0.60
0.30〜
0.65
0.30
0.03
0.25
Mn4Ni1Mo
0.12
0.50〜
0.80
1.60〜
2.10
0.015
0.018
0.80〜
1.25
0.15
0.20〜
0.55
0.30
0.03
0.25
Mn4Ni2Mo
0.12
0.25〜
0.60
1.60〜
2.10
0.015
0.018
2.00〜
2.60
0.15
0.30〜
0.65
0.30
0.03
0.25
Mn4Ni1,5CrMo
0.12
0.50〜
0.80
1.60〜
2.10
0.015
0.018
1.30〜
1.90
0.15〜
0.40
0.30〜
0.65
0.30
0.03
0.25
Mn4Ni2CrMo
0.12
0.60〜
0.90
1.60〜
2.10
0.015
0.018
1.80〜
2.30
0.20〜
0.45
0.45〜
0.70
0.30
0.03
0.25
Mn4Ni2,5CrMo
0.13
0.50〜
0.80
1.60〜
2.10
0.015
0.018
2.30〜
2.80
0.20〜
0.60
0.30〜
0.65
0.30
0.03
0.25
Z
要求値なし
注a) 特に規定がなければ,Ti≦0.10,Zr≦0.10及びAl≦0.12とする。銅めっきが施されている場合は,めっき
の銅を含む。
b) 表の数値が一つの場合は,最大値を表す。
B.4.6 溶接後熱処理
溶接後熱処理を適用したときの溶着金属性能を示す記号は,Tとする。
なお,溶接後熱処理条件はB.5.3による。
B.4.7 数値の丸め方
数値の丸め方は,次による。
なお,数値を丸めた結果は,対応する表の要求事項に適合しなければならない。
a) この附属書への適合を判定するために,得られた試験結果はISO 31-0:1992の附属書B規則Aに準拠
して規定値と同じ有効数字に丸めなければならない。この附属書で使用している以外の単位で試験装
置が校正されている場合は,この附属書の単位系に換算した後に丸めなければならない。
b) 平均値をこの附属書の要求値と比較する場合は,平均した後に丸めなければならない。この附属書が
引用している試験方法規格に規定する数値の丸め方が,この箇条の上記の規定と矛盾する場合は,試
験方法規格に従うものとする。
21
Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
B.5
溶着金属の機械的性質
引張試験及び衝撃試験は,溶接のまま又は溶接後熱処理の条件で行わなければならない。試験材の作製
は,ガスシールドアーク溶接の場合はISO 15792-1:2000のタイプ1.3によってワイヤ径1.2 mmで行う。ま
た,ティグ溶接の場合はISO 15792-1:2000のタイプ1.1によってワイヤ径又は棒径2.4 mmで行う。
なお,溶接及び溶接後熱処理は,B.5.1,B.5.2及びB.5.3の条件で行う。
B.5.1 予熱及びパス間温度
全溶着金属試験の溶接は,予熱なしでパス間温度120 ℃〜180 ℃の温度範囲で行わなければならない。
なお,パス間温度の測定は,ISO 13916によって,温度チョーク,表面温度計又は熱電対を用いて行う。
B.5.2 各層の溶接パス数
溶接条件は,表B.4に,各層の溶接パス数及び全層数は,表B.5による。一つの層を構成する二つのパ
スの溶接方向は変えてはならない。また,層の溶接の方向は交互に変更しなければならない。
表B.4−溶接条件
記号
ワイヤ径又は棒径
mm
溶接電流
A
アーク電圧
V
母材−チップ間距離
mm
溶接速度
mm/min
G
1.2
280±10
a)
20±3
450±50
W
2.4
200±20
b)
−
150±15
注a) アーク電圧は,シールドガスに依存する。
b) ティグ溶接では,アーク電圧を設定しない。
表B.5−溶接パス積層法
記号
ワイヤ径又は棒径
mm
1層のパス数
層数
G
1.2
2 a)
6〜10
W
2.4
2 b)
8〜11
注a) 最終層は,3パス仕上げでもよい。
b) 最終層は,3又は4パス仕上げでもよい。
B.5.3 溶接後熱処理条件
溶接後熱処理ありで分類されたワイヤ電極,ワイヤ又は棒によって作製された試験材は,560 ℃〜600 ℃
で1時間熱処理されなければならない。試験材は300 ℃まで炉冷されなければならない。
B.6
ワイヤ及び棒の分析試験
分析に用いる試験片は,ワイヤ又は棒を用いる。分析方法は,どのような分析方法を用いてもよいが,
疑義が生じる場合は,確立している公開された方法を参照しなければならない。
なお,分析試験結果は,表B.3の要求事項を満たさなければならない。
B.7
再試験
再試験は,次による。
a) いずれかの試験結果が,その規定に適合しなかった場合には,適合しなかったすべての試験について
倍数の再試験を行い,そのいずれの試験結果も規定に適合しなければならない。この場合の再試験の
ための試験片は,当初の試験材の残材から採取するか,又は新たな試験板を用いて作製した試験材か
ら採取する。また,分析試験において,当初の試験結果が規定に適合した元素は,再試験を行わなく
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Z 3312:2009
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てもよい。
b) 試験片の作製から試験の実施を通して正規の手続きがなされていない試験は,試験の進行状況又は結
果のいかんにかかわらず無効とする。無効となった試験は,正規の手続きに従って繰り返さなければ
ならない。ただし,この場合は,倍数の再試験を行わなくてもよい。
B.8
技術的受渡条件
製品の受渡条件は,ISO 544及びISO 14344による。
B.9
分類記号の表示
ワイヤ及び棒の分類記号は,次の例に示す原則に従って表示しなければならない。
例1 ガスシールドアーク溶接(G)の溶着金属が,耐力620 MPa (62)以上,−60 ℃ (6)でのシャルピー
吸収エネルギーの平均値47 J以上で,混合ガスシールド(M)でワイヤMn4Ni1Moを使用した場
合,次のように表示する。
ISO 16834-A-G 62 6 M Mn4Ni1Mo
表B.3でMn4Ni1Moの化学成分条件に対応するワイヤは,次のように表示する。
ISO 16834-A-G Mn4Ni1Mo
ここに,
ISO 16834-A:耐力及びシャルピー吸収エネルギー47 Jによって分類する規格番号
G:ガスシールドアーク溶接のワイヤ及び/又は溶着金属の記号(B.4.1参照)
62:引張特性の記号(表B.1参照)
6:衝撃特性の記号(表B.2参照)
M:シールドガスの種類の記号(B.4.4参照)
Mn4Ni1Mo:ワイヤの化学成分の記号(表B.3参照)
例2 ティグ溶接(W)の溶着金属が,耐力550 MPa (55)以上,−60℃ (6)でのシャルピー吸収エネルギ
ーの平均値47 J以上で,アルゴンシールドにてワイヤ又は棒Mn4Ni1Moを使用し,決められた
溶接後熱処理(T)を実施した場合,次のように表示する。
ISO 16834-A-W 55 6 Mn4Ni1Mo T
表B.3にてMn4Ni1Moの化学成分条件に対応するワイヤは,次のように表示する。
ISO 16834-A-W Mn4Ni1Mo
ここに,
ISO 16834-A:耐力及びシャルピー吸収エネルギー47 Jによって分類する規格番号
W:ティグ溶接のワイヤ,溶加棒又は溶着金属の記号(B.4.1参照)
55:引張特性の記号(表B.1参照)
6:衝撃特性の記号(表B.2参照)
Mn4Ni1Mo:ワイヤ又は棒の化学成分の記号(表B.3参照)
T:溶接後熱処理ありの記号(B.4.6参照)
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Z 3312:2009
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附属書JA
(参考)
JISと対応する国際規格との対比表
JIS Z 3312:2009 軟鋼,高張力鋼及び低温用鋼用のマグ溶接及びミグ溶接ソリッ
ドワイヤ
ISO 14341:2002 Welding consumables−Wire electrodes and deposits for gas shielded
metal arc welding of non alloy and fine grain steels−Classification
ISO 16834:2006 Welding consumables−Wire electrodes, wires, rods and deposits for
gas-shielded arc welding of high strength steels−Classification
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際
規格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲 対応国際規格(ISO
14341
及び
ISO
16834)のSystem Bで
あって,かつ,耐候性
鋼用及びティグ溶接
用を除く部分を採用
ISO 14341
1
EN 440に該当する部
分(System A)及び
System Bを規定
削除
JISは,System Bの耐候性鋼用ワ
イヤを除いて規定した。
対応国際規格では,System A及び
/又はSystem Bを使用できる。ま
た,除いたものについては,別の
JISで対応する。
ISO 16834
EN 12534に該当する
部分(System A)及び
System Bを規定
削除
JISは,System Bのティグ溶加棒
及びワイヤを除いて規定した。
2 引用規格
3 用語及び
定義
JIS Z 3001-1,-2及び
JIS G 0203を引用
ISO 14341
ISO 16834
−
−
追加
JISでは,専門用語及び定義の規
格の引用を記載した。
4 種類及び
記号の付け
方
ワイヤの種類及び記
号の付け方を規定
ISO 14341
ISO 16834
3
Gで始まる区分方法を
規定
選択
JISでは,従前のJISで使用され
ていた一部の種類を追加した。
ユーザーニーズによって,従前の
JISの一部の種類を追加した。
シャルピー吸収エネ
ルギーレベルの種類
の記号を規定
3B
“記号なし”(27 J)及
び“U”(47 J)を規定
選択
JISでは,70 Jの種類を選択でき
るようにした。
地震が多い国内の事情を考慮し
た。
シールドガスの種類
の記号を規定
4.4
シールドガスの種類の
記号“A”として,“酸
素1 %〜5 %(体積分
率)とアルゴンとの混
合ガス”と規定
変更
JISでは,シールドガスの種類の
記号“A”として,“酸素1 %〜
3 %(体積分率)とアルゴンとの
混合ガス”と規定
ユーザーニーズによって,酸素の
上限を変更した。
溶着金属の引張特性
の記号を規定
4.2
引張特性の区分とし
て,合計10区分を規定
追加
JISでは,52,57J,59J,78Jを追
加した。
ユーザーニーズによって,鋼材に
整合した区分を追加した。
2
Z
3
3
1
2
:
2
0
0
9
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Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際
規格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
4 種類及び
記号の付け
方(続き)
衝撃試験温度を規定
ISO 14341
ISO 16834
4.3
衝撃試験温度の区分と
して,合計12区分を規
定
追加
JISでは,−5 ℃の“1”を追加し
た。
ユーザーニーズによって,鋼材に
整合した区分を追加した。
5 品質
5.2 ワイヤ
の化学成分
種類ごとのワイヤの
化学成分範囲を規定
ISO 14341
4.5
記号の先頭に“G”を
付与
削除
JISでは,ISO 16834に合わせて,
先頭の“G”を削除した。
ISOに提案する。
耐候性鋼用のワイヤの
化学成分範囲を規定
削除
JISでは,GNCC,GNCCT,
GNCCT1,GNCCT2を削除した。
JISで削除した種類は,耐侯性鋼
用であり,1(適用範囲)による。
ISO 14341
ISO 16834
4.5
ワイヤの化学成分範囲
を規定
選択
JISでは,J18及びJ19を追加した。 ユーザーニーズによって,追加し
た。
変更
JISでは,12及び17の成分範囲を
変更して規定した。
ユーザーニーズによって,変更し
た。
変更
JISでは,4M31,N71及びN5M3
の成分範囲を変更して規定した。
環太平洋の規格を考慮した。ISO
に提案する。
Table
3B
鉄以外であって,表に
規定しない成分の合計
を規定
変更
JISでは,故意添加ではない場合
は,通常の分析過程で検出された
成分を対象とした。
すべての成分を分析することはで
きない。ISOに提案する。
5.3 溶着金
属の機械的
性質
衝撃試験片個数と判
断基準を規定
4.3B
衝撃試験片個数と判断
基準を規定
選択
JISでは,従前のJISで使用され
ていた種類では,3個の試験片個
数で平均値だけを評価すると規定
した。
ユーザーニーズによって,変更し
た。
6 試験方法
6.3 溶着金
属の引張試
験及び衝撃
試験
溶接後熱処理条件を
規定
5.3
溶接後熱処理条件を規
定
追加
箇条4で追加した引張特性の区分
について,溶接後熱処理条件を規
定した。
箇条4による。
7 検査方法
8
一致
8 製品の呼
び方
製品の呼び方を規定
−
径及び質量を含む場合
の呼び方の規定はな
い。
追加
JISでは,径及び質量を含む場合
の呼び方も規定した。
従前のJISとの整合を図った。
9 表示
8
一致
2
Z
3
3
1
2
:
2
0
0
9
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
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Z 3312:2009
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
(Ⅰ)JISの規定
(Ⅱ)国際
規格番号
(Ⅲ)国際規格の規定
(Ⅳ)JISと国際規格との技術的差異の箇条ご
との評価及びその内容
(Ⅴ)JISと国際規格との技術的差
異の理由及び今後の対策
箇条番号
及び名称
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
10 包装
ISO 14341
ISO 16834
8
一致
11 検査証
明書
検査証明書を規定
EN 10204による。
変更
JISでは,JIS Z 3200によると規定
した。
ユーザーニーズによって,変更し
た。
附属書A
(参考)
ISO 14341 System A
附属書B
(参考)
ISO 16834 System A
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 14341:2002,ISO 16834:2006,MOD
被引用法規
建築基準法,船舶安全法
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 一致 ················ 技術的差異がない。
− 削除 ················ 国際規格の規定項目又は規定内容を削除している。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
− 変更 ················ 国際規格の規定内容を変更している。
− 選択 ················ 国際規格の規定内容とは異なる規定内容を追加し,それらのいずれかを選択するとしている。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
Z
3
3
1
2
:
2
0
0
9
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き、本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。