日本工業規格
JIS
Z
3284-
1994
ソルダペースト
Solder paste
1.
適用範囲 この規格は,電気機器,電子機器,通信機器などの配線接続及びそれらの部品の製造・製
作に使用されるソルダペーストについて規定する。
備考1. この規格の引用規格を,次に示す。
JIS C 6480
プリント配線板用銅張積層板通則
JIS H 3100
銅及び銅合金の板及び条
JIS Z 3197
はんだ付用樹脂系フラックス試験方法
JIS Z 3282
はんだ
JIS Z 8801
標準ふるい
2.
この規格の対応国際規格を,次に示す。
ISO 9454-1 : 1990
Soft soldering fluxes−Classification and requirements−Part 1 : Classification,
label ling and packaging
ISO 9445-1 : 1990
Soft soldering fluxes−Test methods−Part 1 : Determination of non-volatile
matter, gravimetric method
2.
用語の定義 この規格で用いる主な用語の定義は,次による。
(1)
ソルダペースト (solder paste) はんだ粉末とペースト状フラックスの混合物。
(2)
フラックス活性度 (fluxactivity) 特定のフラックスが,溶融したはんだによって母材表面のぬれを促
進する度合。
(3)
フラックス効力 (flux efficacy) ソルダリング(はんだ付け)過程で呈するフラックスの能力。
(4)
活性剤 (activator) フラックス作用を高めるための添加剤。
(5)
レジン (resin) フラックスに使用される天然又は合成の樹脂性物質。
(6)
ロジン (rosin) 松の木などのオレオレジンから抽出し精製した天然の硬質樹脂で,酸価が 130 以上
のガムロジン,ウッドロジン又はトールオイルロジン。
(7)
変性ロジン (modified rosin) ロジンを用いて変性した樹脂で,ロジンに該当しないもの。
(8)
ロジン系フラックス (rosin flux) ロジンを主成分とした天然(精製)ロジンを有機溶剤で溶液又は
ペースト状としたもの。
(9)
フラックス残さ(残留物) (flux residue) ソルダリング加熱後に基板などに残留しているフラックス。
(10)
だれ (slump) 印刷後の乾燥時又は加熱時でのソルダペーストの形状変化。
(11)
粘着性 (tackiness) 基板に対するソルダペーストの付着強さ。
2
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(12)
ソルダボール (solder ball) ソルダリング温度に加熱後,小さなボールになって基板表面に付着した
はんだ。
(13)
ソルダスパッタ (solder spatter) はんだの広がり部分とは無関係に飛散し,付着した不定形のはんだ
片。
(14)
ノンウェッティング (non-wetting) 溶融はんだが接触している母材表面において,ぬれずにはんだが
表面を覆っていないこと。
備考 ( ) 内の英語は,参考として示したものである。
3.
種類 ソルダペーストの種類は,表 1 に示すはんだの種類・等級,はんだ粉末の形状・サイズ及びフ
ラックスの分類・品質分類の組合せによる。
表 1 ソルダペーストの種類
はんだ
フラックス
粉末
合金系
種類
等級
形状
サイズ
区分
主剤
活性成分
ふ っ 化
物含有
品質分類
Sn-Pb
系
Sn95Pb5
,Sn65Pb35,Sn63Pb37,
E S 1 1 1 1
F
(有)
I
Sn60Pb40
,Sn55Pb45,Sn50Pb50
A I 2 2 2 2
N
(無)
II
Pb-Sn
系
Pb55Sn45
,Pb60Sn40,Pb65Sn35,
3 3
a 3
III
Pb70Sn30
,Pb80Sn20,Pb90Sn10,
4 b a
Pb95Sn5
,Pb98Sn2
5 b
Sn-Pb-Bi
系 Sn43Pb43Bi14
A c
Bi-Sn
系
Bi58Sn42
d
Sn-Pb-Ag
系 Sn62Pb36Ag2
e
Sn-Ag
系
Sn96.5Ag3.5
Sn-Sb
系
Sn95Sb5
Pb-Ag
系
Pb97.5Ag2.5
Pb-Ag-Sn
系 Pb97.5Ag1.5Sn1
備考1. 等級 E は,電子機器などの特に品質の厳しい用途を目的としたもの。
2.
等級 A は,電気機器・電子機器などの一般的用途を目的としたもの。
4.
品質 はんだ粉末及びフラックスの品質は,次による。
4.1
はんだ粉末 はんだ粉末は,JIS Z 3282 に規定するはんだを用い,均一に混合され,粉末表面は光
沢があり,滑らかで,小さい粒子が付着していてはならない。
なお,その他の粉末表面の状態は,受渡当事者間の協定による。
また,はんだ粉末の形状及びサイズは,次による。
(1)
はんだ粉末の形状 はんだ粉末の種類は,その形状によって,球形 (S) 及び不定形(異形) (I) の 2
種類に分類する。ここに球形とは,粉末の縦横の比(アスペクト比)が 1.2 以内の粉末が全体の 90%
以上を含んでいるものをいい,不定形(異形)とは,前記以外の粉末をいう。
(2)
粉末サイズの分類
(a)
球形粉末サイズの分類 球形粉末サイズの分類は,表 2 による。
3
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表 2 球形粉末サイズの分類
単位
µm
粉末サイズ
記号
下記の寸法を超える
粉末が 1 質量%以下
下記の寸法範囲の粉
末が 90 質量%以上
下記の寸法未満の粉
末が 10 質量%以下
S-1 150
150
∼22 22
S-2
75
75
∼22 22
S-3
63
63
∼22 22
S-4
45
45
∼22 22
S-5
38
38
∼22 22
表 2 に規定の寸法は,(1)による縦横の比の小さい方の寸法を示す。
表 2 以外のサイズは,受渡当事者間の協定による。
(b)
不定形(異形)粉末サイズの分類 不定形粉末サイズの分類は,表 3 による。
表 3 不定形(異形)粉末サイズの分類
単位
µm
粉末サイズ
記号
下記の寸法を超える
粉末が 1 質量%以下
下記の寸法範囲の粉
末が 85 質量%以上
下記の寸法未満の粉
末が 15 質量%以下
I-1 150
150
∼22 22
I-2
75
75
∼22 22
I-3
63
63
∼22 22
I-4
45
45
∼22 22
表 3 に規定の寸法は,(1)による縦横の比の小さい方の寸法を示す。
表 3 以外のサイズは,受渡当事者間の協定による。
4.2
ソルダペースト用フラックス
(1)
フラックスの分類 フラックスは,フラックスの区分,フラックスの構成材料によって表 4 のように
分類する。
表 4 フラックスの分類
構成材料
フラックス区分
主剤
活性成分
ふっ化物含有
(1)
樹脂系 1. ロジン 1. 無添加
F
(有)
a.
変性ロジン 2. アミンのハロゲン塩
N
(無)
2.
合成樹脂 3. 有機酸,アミン有機酸塩
(2)
有機系 1. 水ベース物質
2.
溶剤ベース物質
(3)
無機系 a. 水溶性物質 a. アンモニウムハライド
b.
非水溶性物質 b. ハロゲン化亜鉛
c.
ハロゲン化すず
d.
りん酸
e.
ハロゲン化水素酸
(2)
フラックスの品質分類 フラックスの品質分類は,フラックスの活性度,フラックス成分の塩素含有
量,絶縁抵抗値,銅板腐食及び銅鏡腐食の有無によって
表 5 のように分類する。
4
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表 5 フラックスの品質分類
絶縁抵抗(
1
)
Ω
記号
活性度
フ ラ ッ ク ス 成 分 の
塩素含有量 %
条件 A(
2
)
条件 B(
3
)
銅板腐食
銅鏡腐食
I
低
0.03
以下
1
×10
11
以上
5
×10
8
以上
腐食なし
腐食なし
II
中
0.03
を超え 0.1 以下
1
×10
11
以上
1
×10
8
以上
腐食なし
−
III
高
0.1
を超え 0.5 以下
1
×10
11
以上
1
×10
8
以上
腐食なし
−
注(
1
)
評価は,96時間後と168時間後の値で行い,24時間後の値は96時間後に
基準に達していれば基準値以下でもよい。
(
2
)
条件 A:温度 40℃,相対湿度 90%,168 時間
(
3
)
条件 B:温度 85℃,相対湿度 85%,168 時間
5.
試験方法
ソルダペーストの試験方法は,次による。
5.1
はんだ粉末の形状,表面状態判定試験及び粒度分布測定試験方法は,
附属書 1 による。
5.2
フラックス中のふっ化物含有試験は,
附属書 2 による。
5.3
塩素含有量試験,銅鏡腐食試験及びフラックス含有量試験は,JIS Z 3197 による。
5.4
絶縁抵抗試験は,
附属書 3 による。
5.5
銅板腐食試験は,
附属書 4 による。
また,受渡当事者間の協定によって,印刷性,流動特性,印刷時及び加熱時のだれ,粘着性,ぬれ効力,
ディウェッティング,ソルダボール,リフロー後のペースト残さの粘着性,洗浄性試験及びマイグレーシ
ョン試験を行ってもよい。
なお,試験方法は,
附属書 5∼14 によることとし,その特性評価表は,附属書 15 による。
6.
検査 検査は,次による。
ソルダペーストは,品質が 5.の方法によって試験を行ったとき,4.に適合しなければならない。ただし,
受渡当事者間の協定によって一部の試験を省略することができる。
7.
包装 ソルダペーストは,特性の維持,輸送及び貯蔵中に起こる汚染又は損傷を防ぐために適当な包
装をしなければならない。
8.
製品の呼び方 製品の呼び方は,はんだの種類・等級,はんだ粉末形状・サイズの記号,フラックス
の分類,フラックスの品質分類及びフラックス含有量(公称値%)による。
例
9.
表示 ソルダペーストは,容器ごとに次の事項を明確に表示しなければならない。
5
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(1)
はんだの種類・等級
(2)
粉末形状・サイズ
(3)
フラックスの分類
(4)
フラックスの品質分類
(5)
フラックス含有量(公称値)
:%
(6)
正味質量
(7)
製造番号又はロット番号
(8)
製造年月日又はその記号
(9)
製造業者名又はその記号
6
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附属書 1 はんだ粉末の形状,表面状態判定試験及び粒度分布測定試験
1.
適用範囲 この附属書は,はんだ粉末の形状,表面状態判定試験及び粒度分布測定試験について規定
する。
2.
試験方法 この試験方法は,顕微鏡を用いた粉末形状,表面状態の判定試験及びはんだ粉末の粒度分
布測定試験で,次によって行う。
2.1
顕微鏡を用いた粉末形状及び表面状態の判定方法 この試験は,顕微鏡を用いて,ソルダペースト
中のはんだ粉末粒子の形状及び表面状態を判定する標準的な方法で次によって行う。
(1)
器具と材料は,次による。
(a)
パイン油は他の適当な溶剤にウォーターホワイトロジンを溶かした 60 質量%溶液
(b)
スパチュラ(へら)
(c)
ビーカー (50ml)
(d)
顕微鏡(100 倍)及び写真撮影装置
(e)
接眼レンズ,10
µm の目盛付き
(f)
顕微鏡用スライドガラス
(2)
試験の手順は,次による。
(a)
必要によって,ソルダペーストが室温になるまで放置する。
(b)
スパチュラでかき混ぜ,ペーストを均一にする。
(c)
約 4g のロジン溶液をビーカーにはかり取る。
(d)
約 1g のソルダペーストを加える。
(e)
均一になるまで,スパチュラでかき混ぜる。
(f)
顕微鏡用スライドガラス上に混合液を滴下する。
(g)
このスライドガラス上に他の一枚のスライドガラスを置き,中に挟まれた混合液が広がるようにや
さしく押し付ける。
(h)
顕微鏡を直接観察するか,又は顕微鏡写真を撮影して観察することによって,粉末粒子の縦横の比
が 1.2 以内の粉末を全体の 90%以上(100 個中 90 個以上)を含んでいる粉末は,球形として分類し,
その他は不定形として分類する。
また,粉末はんだの表面は光沢があり,滑らかで,小さい粒子の付着がないか検査する。
備考 (2)によって採取したはんだ粉末の形状を電子顕微鏡で判定してもよい。
2.2
はんだ粉末の粒度分布測定試験方法 この試験は,ソルダペースト中に含まれる粉末の粒度分布が,
その粉末の等級に合ったものであるかを測定判定する方法で次によって行う。
(1)
試験方法 はんだ粉末をペーストから分離し,ふるい振とう器又は音波ふるい器によって測定する。
(2)
器具と材料は,次による。
(a)
ふるい振とう器又は音波ふるい器
(b)
標準ふるい JIS Z 8801 又はこれと同等以上のものに適合するもので,ふるいの目開きが 150
µm,
75
µm,63µm,45µm,38µm 及び 22µm の標準ふるい。
(c)
ふるい受け皿とふた。
7
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(d)
天秤(精度 0.01g)
(e)
ビーカー (200ml)
(f)
時計皿
(g)
イソプロピルアルコール
(h)
アセトン
(i)
スパチュラ
(j)
ウォーターバス
(k)
加熱装置
(3)
試験の手順は,次による。
(a)
必要ならば,ソルダペーストが室温になるまで放置する。
(b)
スパチュラでかき混ぜ,ペーストを均一にする。
(c)
はんだ粉末を約 105g 含んだペーストを十分に清浄にしたビーカーにはかり採る。
(d)
約 150ml のイソプロピルアルコールを加える。
(e) 50
±5℃まで加熱する。
(f)
ペースト中のフラックスが溶剤に溶けるよう,スパチュラでかき混ぜる。
(g)
ビーカーに時計皿をかぶせる。
(h)
試料の入ったビーカーを室温まで冷却し,はんだ粉末が沈むまで放置する。
(i)
はんだ粉末を一粒も流さないように注意しながら,ビーカー中の溶液をできるだけ多く流し出す。
(j)
このイソプロピルアルコールによる抽出作業を 5 回繰り返す。
(k)
約 50ml のアセトンを残った粉末に加え,スパチュラでかき混ぜる。
(l)
粉末が沈むまで放置する。
(m)
注意しながら,できるだけ多くのアセトンを流し出す。
(n)
粉末の入ったビーカーをウォーターバス上に移し,粉末が完全に乾燥するまで放置する。
(o)
ビーカーをウォーターバスより取出し,室温に下がるまで放置する。
(p)
試験対象のはんだ粉末の上と下の名目粒度にそれぞれ相当する二つの標準ふるいとふるい受け皿の
質量をはかる。
(q)
大きい網目のふるいを上にして,二つのふるいを受け皿の上に置く。
(r)
正確に 100g の粉末をはかり,上のふるいに入れる。
(s)
二つのふるいと受け皿のセットにふたをし,ふるい器に移す。
(t)
ふるい振とう器を少なくとも 30 分作動させる。
(u)
再度,二つのふるいと受け皿の重さをはかる。
(v)
最初にはかった二つのふるいと受け皿の重さを引き,名目粒度分布以上,以内又は以下の大きさの
粉末の重さを求め,試料に対し質量%として表示する。
備考1. S-5のような細かい粉末の粒度分布測定では,二つのふるいを受け皿の上に置いてふるい分け
すると,はんだ粉末は上の38
µm のふるいを十分に通過しない場合がある。このような場合
は,38
µm のふるいと22µm のふるいを別々にふるい分けするとよい。
2.
粒度分布の測定方法は,ふるい振とう器による方法のほかに次のような方法がある。
(1)
顕微鏡による方法
(2)
レーザ回折法
(3)
レーザスキャンニング法
8
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(4)
沈殿法
これらの方法は,受渡当事者間の協定による。
9
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附属書 2 フラックス中のふっ化物含有試験
1.
適用範囲 この附属書は,フラックス中のふっ化物含有試験について規定する。
2.
試験方法 この試験は,ソルダペーストに含まれるフラックス中にふっ化物が含有しているか否かを
定性的に評価する方法で,次によって行う。
なお,この試験はふっ化物でジルコニウム−アリザリンレーキが黄色に変色することに基づいている。
3.
器具と材料は,次による。
(a)
スポット・プレート
(b)
ナトリウムアリザリンスルフォン酸
(c)
塩酸
(d)
ジルコニウム硝酸塩
(e)
精製水
4.
試験手順 測定手順は,白いスポットプレートの上の三つのスポット上に各々一滴ずつ次に示す溶液
を滴下し,新しいジルコニウム−アリザリンレーキを作る。
(a)
水 50ml 中にナトリウムアリザリンスルフォン酸 0.05g を溶かした溶液。
(b) 10ml
の塩酸で酸性化した水 50ml にジルコニウム硝酸塩 0.05g を溶かした溶液。
(c)
水
5.
評価方法 試験するフラックス溶液一滴を各スポットに加えた時,ジルコニウム−アリザリンレーキ
の色が黄色に変化すれば,ふっ化物が存在することを示している。
10
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附属書 3 絶縁抵抗試験
1.
適用範囲 この附属書は,はんだ付部の高温,加湿条件下における絶縁抵抗値を評価するための試験
方法について規定する。
2.
試験方法 この試験方法は,ソルダペーストを基板上に印刷,リフローした後,一定環境下に置いた
時の絶縁抵抗値を測定するものである。
3.
装置,器具及び材料 装置,器具及び材料は,次による。
(1)
恒温恒湿器 温度 40±2℃及び 85±2℃,相対湿度 85∼90%及び 90∼95%を設定,維持できるもの。
(2)
絶縁抵抗計 試験電圧 DC100V で 10
14
Ωまでの高抵抗が読み取れるもの。
(3)
ホットプレート 温度 260±3℃を設定,維持できるもの。
(4)
乾燥器 温度 60±3℃及び 150±3℃を設定,維持できるもの。
(5)
試験基板 JIS C 6480 に規定するガラス布基材エポキシ樹脂銅張積層板の GE-4 を基板とした,附属
書 3 図 1 に示すくし形電極基板[JIS Z 3197 の 6.8(1)(試験片)に規定するくし形電極基板 2 形]を
用いる。
附属書 3 図 1 くし形電極基板
4.
試験条件及び試験片
(1)
試験条件は,次による。
(a)
温度 40±2℃,相対湿度 90∼95%,168 時間
(b)
温度 85±2℃,相対湿度 85∼90%,168 時間
(2)
試験基板の前処理は,次による。
(a)
精製水中で軟毛ブラシを用いて約 30 秒間磨く。
(b)
精製水で十分スプレーリンスする。
(c)
イソプロピルアルコールで軟毛ブラシを用いて約 30 秒間磨く。
(d)
イソプロピルアルコールでリンスする。
(e) 60
℃に設定した乾燥器中で 3 時間乾燥させる。
(3)
試験基板の絶縁抵抗値の確認 試験片の調整前に,試験基板の絶縁抵抗値を測定し,その値が 10
13
Ω
以上であることを確認しておく。
(4)
試験片の調整は,次による。
(a)
ソルダペーストの塗布方法 くし形電極の重ね代の電極部に電極のパターンに合わせてスリット状
11
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に加工した 100
µm の厚さのメタル板を使用してソルダペーストを厚さ約 100µm で均一に印刷する。
(b)
ソルダペーストの溶融 150℃に設定した乾燥器中に 2 分間入れ,続いて 260℃に保持したホットプ
レート上でソルダペーストを 30 秒間溶融させる(はんだ溶融後は 15 秒以上保持できること。
)
。放
冷後,試験片とする。
印刷後及びリフロー後,試験片へのほこりなどの付着の有無を拡大鏡にて確認し,付着していれ
ばピンセットなどで取り除く。
(c)
洗浄を必要とする試験片の調整 水溶性フラックスなど洗浄を必要とする試験片には,試験片の洗
浄は
附属書 13 に準じて行う。
5.
測定方法は,次による。
(1)
電極への配線は,同軸ケーブルを用いて行い,恒温恒湿器に入れる前に試験電圧 DC100V で各端子間
の絶縁抵抗値を絶縁抵抗計を用いて測定する。
(2)
試験片を凝集した水滴がくし形パターン面に落ちないように配慮して,4.(1)に示す条件に応じて設定
された清浄な恒温恒湿器に入れる。
(3)
恒温恒湿器に投入し 24 時間,96 時間,168 時間後に,試験片を槽内に入れた状態で DC100V で絶縁
抵抗値を測定する。
測定時には,漏えい(洩)電流を防ぐために,同軸ケーブルのシールド線に絶縁抵抗計のガード端
子を接続すること。
また,測定値は 1 分後に読み取る。
6.
試験枚数 試験は,3 試験片について行い,各測定値の相乗平均をとる。
7.
評価方法 各試験条件での試験片の絶縁抵抗値でもって評価する。
備考1. 著しく抵抗値が下がっている箇所は,水滴,ほこりなどの付着が考えられるため,試験後恒
温恒湿器から取り出し,拡大鏡で確認し異常があればその値は削除する。途中の時間(24,
96
時間)で一時的な値の低下がみられたときは,器内でほこりなどの付着が考えられるため
その値は削除する。
2.
初期値において,ばらつき(10
2
Ω以上)がある場合は,試験片の再調整を行うようにする。
3.
基板自体の値にはばらつきがあるため,試験時にはブランク試験も行い,この値を確認して
おく。
12
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附属書 4 フラックス残さによる腐食性試験
1.
適用範囲 この附属書は,ソルダペーストをリフローした後のフラックス残さによる加湿下での腐食
の有無を評価するための標準的な方法について規定する。
2.
試験方法 処理された銅板上でソルダペーストをリフローさせ試験片とする。その後,試験片を規定
された加湿条件で放置し,フラックス残さの変色によって銅の腐食の有無を目視によって評価する。
3.
装置,器具及び材料 装置,器具及び材料は,次による。
(1)
恒温恒湿器 温度 40±2℃,相対湿度 90∼95%を維持できる能力のあるもの
(2)
顕微鏡(20 倍以上)
(3)
メタルマスク 直径 6.5mm の穴がセンター間距離約 10mm の位置で 4 か所開いている,厚みが 0.2mm
のもの。
(4)
スパチュラ(へら)
(5)
スクラパー(かす取りべら)
(6)
手袋
(7)
ソルダバス 温度 235±2℃に制御可能な温度コントロールを備えた Sn60Pb40 の入ったもの
(8)
曲げ工具
(9)
トング
(10)
りん脱酸銅版 C1201P 又は C1220P : 6 枚 50×50×0.5mm の大きさの JIS H 3100 に規定するもの
(11)
過硫酸アンモニウム溶液(0.5%l/l の硫酸中に 25%g/l) 過硫酸アンモニウム 250g を水に溶かし,5ml
の濃硫酸(比重 1.84)を注意して加える。その後かくはん,冷却し,1l に希釈する。この溶液は使用
の都度準備する。
(12)
硫酸 (5%l/l) 400ml の水に 50ml の濃硫酸(比重 1.84)を注意して加える。かくはん,冷却し,水で
1l
に希釈する。
(13)
アセトン
(14)
精製水
4.
試験の手順 2 種類の試験片で同じ試験を平行して行う。
(1)
銅板 6 枚のうち,3 枚を両端から 5mm のところを,他の 3 枚を両端から 6mm のところを曲げ工具で
それぞれ直角に折り曲げ,コの字型に成形する(
附属書 4 図 1 参照)。
以下,それぞれ銅板 A,銅板 B という。
13
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附属書 4 図 1 フラックス残さによる腐食性試験用銅版
(2)
銅板 A,銅板 B の前処理を行う。前処理は使用直前に,清潔なトングを用いて次の手順で行う。
(a)
アセトンのような中性有機溶剤で脱脂する。
(b)
酸化被膜などの変色被膜を除去するため,60∼70℃の硫酸に 1 分間浸す。
(c)
表面を均一にエッチングするため,20∼25℃の過硫酸アンモニウム溶液に 1 分間浸す。
(d)
最長 5 秒間,流水で洗浄する。
(e) 25
℃以下の硫酸に 1 分間浸す。
(f)
流水で約 5 秒間洗浄し,その後精製水で十分にすすぐ。
(g)
アセトンですすぐ。
(h)
清浄な空気中で乾燥させる。
(i)
前処理した銅板 A,銅板 B はなるべく早く使用するか,又は密閉容器に保存し 1 時間以内に使用す
る。
(3)
ソルダペーストが冷却状態であるならば,容器に密閉した状態で室温になるまで放置する。
(4)
ソルダペーストが均一になるよう,スパチュラ(へら)でかき混ぜる。
(5)
銅板 B の底面にメタルマスクを置く。
(6)
メタルマスク上に適量のソルダペーストを塗布し,スキージとしてスパチュラ(へら)を用いてメタ
ルマスクの穴にソルダペーストを充てん(填)する。
(7)
メタルマスクを取り除く。
(8)
同様に残りの銅板 B1 個にソルダペーストを塗布する(計 2 個作成する。
)
。
(9)
銅板 A をふたとしてそれぞれにかぶせ試験片とする(他の 1 個は空試験用に用いる。
)
(
附属書 4 図 1
参照)
。
(10)
温度 235±2℃(VPS を考慮する場合には 215±2℃)に調整したソルダバスの表面をスクラパー(か
す取りべら)で清掃する。
(11)
ソルダバスの表面上に試験片を水平に置き,はんだが溶融するまで加熱し,更に 5 秒間維持する。
(12)
試験片をソルダバスから引き上げ,水平で 15 分間冷却する。その後,はんだ付後の初期の変色を確認
する。
(13)
温度 40±2℃,相対湿度 90∼95%に調整した恒温恒湿器に,3 個の試験片を水平に 72 時間放置する。
試験中,恒温恒湿器には 3 個の試験片以外のものを置いてはならない。
(14)
ふた(銅板 A)も含め,試験片の内部に発生した腐食物を顕微鏡で観察する。
5.
評価方法 腐食とは,はんだ付後加湿状態で発生する,銅,はんだ,フラックス残さ間の化学反応で
ある。
試験片に腐食が発生する場合には,次のいずれかの現象がみられる。
14
Z 3284-1994
(a)
ふた(銅板 A)又はフラックス残さ及び銅間のそれぞれの境界(残さの表面や割れ目)に付いている
異物,並びに青緑の変色。ただし,はんだ付加熱時に生じた初期の変色は除く。
(b)
残さ中の白い,又は変色した分離した斑点。
腐食の判定は,空試験片と比較して上記(a)及び(b)で述べたような変色の有無で行う。
15
Z 3284-1994
附属書 5 ソルダペーストの印刷性試験
1.
適用範囲 この附属書は,印刷初期及び連続印刷時での印刷されたソルダペーストの形状・寸法,並
びにそれらの安定性試験及び評価方法について規定する。
2.
試験方法 印刷性評価のための標準印刷パターンを使用し,評価対象のソルダペーストを銅張積層板
上に印刷を行い,その印刷されたソルダペーストの平面形状及び厚さ(分布)
,更に連続印刷時でのそれら
の安定性を計測し,その印刷性を評価する。
3.
印刷装置及び材料
3.1
印刷機及び印刷条件 次の項目について明記すること。
(1)
スクリーン印刷機 形式,種類
(2)
スクリーンの種類 メタルマスクなど
(3)
スキージ 硬度,角度など
(4)
スキージ速度(印刷速度)
(5)
印刷圧又はスキージ押込み量
(6)
印刷角度
(7)
マスク−銅張積層板(基板)間間隔
(8)
環境温度
3.2
メタルマスク 附属書 5 図 1 に示す異なるパターン孔の配置をもった 3 種類のステンレス鋼板製の
メタルマスク(開口部がストレートエッチングされているもの)
。
16
Z 3284-1994
附属書 5 図 1 パターン配置
附属書 5 表 1 メタルマスクの種類とそのパターン配置及び寸法
単位 mm
パターン配置 寸法
種類
ピッチ:(P
1
)
孔幅:(x)
板厚:(t)
長さ:(Y)
ピッチ:(P
2
)
幅:(W)
M1
0.80 0.40 0.2 2.0 30.0
24.40
M2
0.65 0.30 0.2 2.0 30.0
20.55
M3
0.50 0.25 0.2 2.0 30.0
16.75
3.3
試験装置及び試料
(1)
ソルダペースト
(2)
銅張積層基板 (160×160×1.6mm)
(3)
実体顕微鏡及び撮影装置
(4)
レーザ式変位計(レーザビーム径が 50
µm 以下のもの)又は触針式表面粗さ計
4.
測定手順 印刷されたソルダペーストの平面形状は実体顕微鏡による写真測定(倍率 50 倍)によって,
また,立体形状を,レーザ式変位計(又は触針式表面粗さ計)によって測定する。ただし,厚さの計測範
囲はソルダペーストの周辺部を除くこと。
備考 触針式粗さ計による形状測定では,ソルダペースト硬化のため印刷後,1∼2 日の放置を必要と
する。
5.
評価方法 印刷開始直後の初期特性及び連続印刷時での安定性を,メタルマスクの孔の形状・寸法,
印刷されたソルダペーストの形状及び寸法(厚さ)の差並びにその変動によって評価する。
なお,印刷初期及び連続印刷時において,にじみ,かすれがないこと。
17
Z 3284-1994
附属書 6 流動特性試験
1.
適用範囲 この附属書は,ソルダペーストの印刷性とも密接な関係をもつ粘性−ずり速度特性,チク
ソトロピー性(チクソトロピー指数,粘度非回復率)及びノズルフロー法によるソルダペーストの堆積量
の試験並びに評価について規定する。
2.
試験方法 試験方法は,次による。
2.1
スパイラル方式 スパイラル方式粘度計は,外筒が回転し,スパイラル溝のある内筒が静止してい
る構造をもち,その内外筒間の空げきやスパイラル溝に詰まっているソルダペーストは,外筒の回転に従
い導入口から進入し,溝をずり上がって排出口から排出される。このとき,ソルダペーストが受けるずり
応力を内筒が受けるトルクとして検出し,外筒の回転数から粘度特性を求める。さらに,この粘度特性か
ら他の流動特性を算出する。
2.2
渦状溝付回転円板ロータ方式 渦状溝付回転円板方式粘度計(以下,SPP ロータ方式と略する。)は,
渦状溝付回転円板とプレートを適切な間げきで平行に配置された構造をもち,ソルダペーストはその間げ
きに充てん(填)され,SPP ロータの回転に伴い,ソルダペーストが受けるずり応力を SPP ロータが受け
るトルクとして検出し,粘度特性を求める。この粘度特性から他の流動特性を算出する。
2.3
ノズルフロー方式 規定された一定圧力下でディスペンサーによって一定時間ガラス板上にたい
(堆)積したソルダペーストのたい積量(質量)によってソルダペーストの流動特性を評価する。
3.
装置及び材料
3.1
スパイラル方式粘度測定の場合
(1)
スパイラル方式粘度計
(2)
測定器本体内蔵の恒温槽又は外部恒温槽
(3)
ポリ容器又はソルダペースト用 500g 容器
(4)
記録計(ペンレコーダなど)
3.2
渦状溝付回転円板方式粘度測定の場合
(1)
渦状溝付回転円板方式粘度計
(2)
恒温槽
(3)
ソルダペースト定量塗布用付属品(採取用・かき混ぜ用スパチュラなど)
(4)
記録装置(プリンターなど)
3.3
ノズルフロー方式流動性測定の場合
(1)
供給装置 0.2MPa 及び 0.3MPa,0.4MPa 及び 0.5MPa に設定可能な圧力調整機能をもつもの。
(2)
注入器又はカートリッジ内 径 23mm 以上のもの。
(3) 10ml
注入器 内径 16mm で適当なワックス・ピストン付きのもの。
(4)
供給針(内径 0.84mm,長さ 15mm)
(5)
ガラス板(約 75×25×1mm)
(6)
イソプロピルアルコール
(7)
サーモスタット
18
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(8)
密閉容器
(9)
化学天秤
(10)
スパチュラ
4.
測定手順 測定手順は,次による。
4.1
スパイラル方式粘度測定 スパイラル方式粘度測定は,次による。
(1)
ソルダペーストを室温又は 25℃で 2∼3 時間放置する。
(2)
ソルダペースト容器のふたをあけ,スパチュラで空気の混入を避けるようにして丁寧に 1∼2 分かき混
ぜる。
(3)
ソルダペースト容器を恒温槽に入れる。
(4)
回転速度を 10RPM に調節し,温度を 25℃にセットし,約 3 分後ロータに吸引されたソルダペースト
が排出口から現れたことを確認後,ロータ回転を停止させ,温度一定になるまで待つ。
(5)
温度調節完了後,10RPM に調節し,3 分後の粘度値を読み取る。
(6)
次に 3RPM に回転速度を設定し,回転させた状態で 6 分間放置する。
(7) 6
分後の粘度を読み取る。
(8)
回転速度を 3→4→5→10→20→30→10RPM と変化させ,3,10,30,10RPM における粘度値を読み取
る。
なお,各読取り時間は,各々6,3,3,3,1∼3,1∼3,1 分とする。
4.2
渦状溝付回転円板方式粘度測定 渦状溝付回転円板方式粘度測定は,次による。
(1)
ソルダペーストを室温又は 25℃で 2∼3 時間放置する。
(2)
ソルダペースト容器のふたをあけ,スパチュラで空気の混入を避けるようにして丁寧に 1∼2 分かき混
ぜる。
(3)
サンプル定量塗布用付属品を用いてプレート上にサンプルを塗布する。
(4) 2.5RPM
,144 秒で粘度値 (
η
1
)
を読み取り,更に 10RPM・36 秒,2.5RPM・60 秒で粘度値 (
η
3
)
を読
み取る。
(5)
サンプルを拭き取り,再度(4)の操作によって測定用のサンプルを更新する。
(6)
さらに,10RPM,36 秒で粘度値 (
η
2
)
を読み取る。
4.3
ノズルフロー方式流動性測定 ノズルフロー方式流動性測定は,次による。
(1)
ソルダペーストを室温又は 25℃で 2∼3 時間放置する。
(2)
ソルダペースト容器のふたをあけ,スパチュラで空気の混入を避けるようにして丁寧に 1∼2 分かき混
ぜる。
(3)
気泡が混入しないように,ソルダペーストを内径 23mm 以上の注入器/カートリッジに注入する。
(4)
この注入器を逆さにし,10ml の注入器をまっすぐにして,ソルダペーストを加圧装置と適当なアダプ
ターを用いて,ノズルを介して 10ml の注入器に移す。10ml 注入器の
3
2
程度までソルダペーストを満
たし,ワックスピストンでペーストをふさぐ。
(5)
カートリッジを容器に入れる。
(6)
この容器を垂直にして,温度 25±0.25℃の恒温槽内で 4 時間以上保存する。
(7)
イソプロピルアルコールでガラス板をきれいにふく。
(8)
ガラス板の質量を 0.001g 単位まで測る。
(9)
恒温槽から密閉容器を取り出し,サポートによって支える。
19
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(10)
ペーストを 0.2MPa で 20 秒供給し,捨てる。
(11)
ガラス板を水平にして,供給針より 2mm 下の位置に設定する(
附属書 6 図 1 参照)。
(12)
ソルダペーストをガラス板の上に,0.2MPa,0.3MPa,0.4MPa,0.5MPa の圧力で,それぞれ 10 秒移す。
一圧力条件下で 3 回行う。
(13)
ソルダペーストのついたガラス板の質量を測る。
(14)
上記の各条件でのソルダペーストの平均質量を算出する。
附属書 6 図 1 ノズルフロー方式流動特性測定における供給装置
5.
評価方法 ソルダペーストの流動性は,粘度測定結果に基づき,次に示す粘度−ずり速度曲線,チク
ソトロピー性(チクソトロピー指数及び粘度非回復率)を求め,それらの特性で評価する。
また,ノズルフロー方式によるソルダペーストの流動性については,スライドガラス板上でのたい積量
によって評価する。
5.1
粘度−ずり速度特性 前項の測定によって得られた粘度値から,粘度一ずり速度曲線 (log
η
-logD)
を求める。
η
:粘度, D:ずり速度である。
ただし,
D
1
=1.8s
-1
[3RPM]
:スパイラル方式の場合
D
2
=18s
-1
[30RPM]
D
1
=5s
-1
[2.5RPM]
:SPP 方式の場合
D
2
=20s
-1
[10RPM]
5.2
チクソトロピー指数 (TI) 前項の測定によって得られた粘度−ずり速度曲線図(附属書 6 図 2 参照)
より,チクソトロピー指数 (TI) をずり速度の変化による粘度の変化の傾き(常用対数で表す。
)から求め
る。
20
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TI
=log (
η
1
/
η
2
) /log (D
2
/D
1
)
η
1
: ずり速度 D
1
の時の粘度
η
2
: ずり速度 D
2
の時の粘度
D
1
: ずり速度
D
2
: ずり速度
ただし,
D1
=1.8s
-1
[3RPM]
:
スパイラル方式の場合
D
2
=18s
-1
[30RPM]
D
1
=5s
-1
[2.5RPM]
:
SPP
方式の場合
D
2
=20s
-1
[10RPM]
5.3
粘度非回復率 (R,R
S
)
粘度非回復率 R,R
S
は,ある設定回転数において粘度
η
b
又は
η
1
を測定後,
順次回転数を変化させて,粘度を測定し,再び元の設定回転数に戻した場合の粘度測定値
η
a
又は
η
3
から,
次の式によって粘度非回復率 R,R
S
を算出する(
附属書 6 図 3,附属書 6 図 4 参照)。
(1)
スパイラル方式による粘度非回復率 (R)
R
= [(
η
b
−
η
a
) /
η
b
]
×100%
(2) SPP
方式による粘度非回復率 (R
s
)
R
s
= [(
η
1
−
η
3
) /
η
1
]
×100%
ここに,
η
a
: ずり速度 6s
-1
の時の初期粘度
η
b
: ずり速度 6s
-1
の時の回復後の粘度
また,
η
1
: ずり速度 5s
-1
の時の初期粘度
η
3
: ずり速度 20s
-1
の時の回復後の粘度
注 ずり速度は,スパイラル方式の場合:(RPM)×0.6s-
1
SPP
方式の場合: (RPM) ×2.0s
-1
として求める。
附属書 6 図 2 チクソトロピー指数の求め方
21
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附属書 6 図 3 粘度非回復率の求め方
(スパイラル方式の場合)
附属書 6 図 4 粘度非回復率の求め方
(SPP 方式の場合)
5.4
ノズルフロー方式での流動特性 各条件下でのソルダペーストの吐出質量 (m) 及びその変動 (
∆m)
で流動特性を評価する。
∆m=m
max
−m
min
ここに,
m
max
:
m
の最大値
m
min
:
m
の最小値
22
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附属書 7 印刷時のだれ試験
1.
適用範囲 この附属書はソルダペーストの印刷後からリフロー工程の加熱直前までのだれ挙動を評価
する方法について規定する。
2.
試験方法 ソルダペーストが特定の条件下で銅張積層板上での広がりの度合いによって評価する。
3.
装置及び材料 装置及び材料は,次による。
(1) (I)3.0
×0.7mm 又は(II)3.0×1.5mm の 2 種類のパターン孔をもち,
それを 0.2mm から 1.2mm まで 0.1mm
ステップで配置している 2 種類のパターン孔をもつ厚さ 0.20+0.001mm の黄銅板又はステンレス鋼板
(
附属書 7 図 1 参照)。
(2)
銅張積層板 (80×60×1.6mm)
(3)
空気循環式加熱炉(加熱温度:200℃以上)
(4)
研磨紙(600 番)
(5)
イソプロピルアルコール
附属書 7 図 1 だれ評価試験用ステンシル
4.
測定手順 測定手順は,次による。
(1)
研磨紙で銅張積層板を磨き,イソプロピルアルコールで清浄する。
(2)
銅張積層板上にステンシルを置き,適切なスキージを用いてソルダペーストを印刷する。その後ステ
ンシルを取り除く。
(3)
室温で 1 時間試験板を保管する。
(4) 2
種類のパターンの 5 列のうち,印刷されたソルダペーストすべてが一体にならない最小間隔を測定・
記録する。
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5.
評価方法 2 種類のパターンの 5 列のうち,印刷されたソルダペーストすべてが一体にならない最小
間隔をもって評価する。
24
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附属書 8 加熱時のだれ試験
1.
適用範囲 この附属書は,ソルダペーストのリフロー工程の加熱時でのだれ挙動を評価する方法につ
いて規定する。
2.
試験方法 ソルダペーストが特定の加熱条件下に銅張積層板上で広がる度合いによって評価する。
3.
装置及び材料 装置及び材料は,次による。
(1) (I)3.0
×0.7mm 又は(II)3.0×1.5mm の 2 種類のパターン孔をもち,
それを 0.2mm から 1.2mm まで 0.1mm
ステップで配置している 2 種類のパターン孔をもつ厚さ 0.20+0.001mm の黄銅板又はステンレス鋼板
(
附属書 7 図 1 参照)。
(2)
銅張積層板 (80×60×1.6mm)
(3)
空気循環式加熱炉(加熱温度:200℃以上)
(4)
研磨紙(600 番)
(5)
イソプロピルアルコール
4.
測定手順 測定手順は,次による。
(1)
研磨紙で銅張積層板を磨き,イソプロピルアルコールで清浄する。
(2)
銅張積層板上にステンシルを置き,適切なスキージを用いてソルダペーストを印刷する。その後ステ
ンシルを取り除く。
(3)
空気循環式加熱炉中で,印刷された試験板を,共晶はんだの場合には 150℃,低融点はんだの場合に
は固相線温度−10℃で 1 分間加熱する。
(4) 2
種類のパターンの 5 列のうち,印刷されたソルダペーストすべてが一体にならない最小間隔を測定
し,記録する。
5.
評価方法 2 種類のパターンの 5 列のうち,印刷されたソルダペーストすべてが一体にならない最小
間隔で評価する。
25
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附属書 9 粘着性試験
1.
適用範囲 この附属書はソルダペーストの粘着の度合を計測,評価する方法について規定する。
2.
試験方法 粘着性は特定測定条件とソルダペーストの乾燥時間において直円柱形プローブの平らな先
端部分と平らなソルダペーストの間を引きはがすために必要な最大引張応力を測定し,
その値で評価する。
3.
測定装置及び材料 測定装置及び材料は,次による。
(1)
粘着性測定装置
(2)
メタルマスク 厚さ 0.2mm で直径 6.5mm の孔を 4 個もつもの。
(3)
円柱形ステンレス製プローブ 直径 5.10+0.13mm で,粘着性測定装置の加圧系に取りつけられてい
るもの。プローブの底面は,平らで,試料であるソルダペーストの表面と平行になっていること。
(4)
スライドガラス板 (76×25×1mm)
(5)
固定器 スライドガラス板を固定するもの。
(6)
溶剤 イソプロピルアルコールなど,プローブの油脂をとり,ペーストフラックスを溶かすのに適し
たもの。
4.
測定手順 測定手順は,次による。
(1)
メタルマスクを用いて,ガラス板上にソルダペーストを印刷し,直径 6.5mm,厚さ 0.2mm の円状のソ
ルダペーストを 4 個つくる。
なお,これらの円状のソルダペーストからはんだ粒子が分離しないようにし,4 個の印刷パターン
の厚さが均一であること。
(2)
上記の手順で用意された試料は試験まで温度 25±2℃,相対湿度 (50±10) %の条件下で保存すること。
(3)
試験用試料をプローブの下におき,3 個の印刷パターンの一つの中心にプローブを合わせる。2.0mm/s
の速度でプローブを印刷されたペースト中へ降下させ,50±5g の一定加圧力で加圧する。加圧後,0.2
秒以内に 10mm/s でプローブをソルダペーストから引き上げ,引きはがすのに必要な最大荷重を記録
する。
同一条件で 5 回の測定を行い,
それらの値を平均する。
次いでこれら荷重値から粘着強度 (kN/m
2
)
を算出する。
(4)
上記の手順で,ソルダペースト印刷後の経過時間と粘着強度との関係を求める。
5.
評価方法 ソルダペーストを印刷後からの経過時間と粘着強度によって粘着性を評価する。
26
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附属書 10 ぬれ効力及びディウェッティング試験
1.
適用範囲 この附属書は,ソルダペーストのぬれ効力を測定評価する方法について規定する。
2.
試験方法 ソルダペースト中のはんだが溶融状態で,平らな基板の上にどの程度広がるかを,特定の
条件で測定する。
3.
装置・器具及び材料
(1)
試験板 試験板は次に示す銅板及び黄銅板の 2 種類とする。
(a)
銅板 JIS H 3100 C1201P 又は C1220P に適合する りん脱酸銅板,寸法は 50×50×0.5mm
(b)
黄銅板 JIS H 3100 C2680P に適合する黄銅板,寸法は 50×50×0.5mm
(2)
研磨紙(600 番,耐水)
(3)
イソプロピルアルコール
(4)
メタルマスク 厚さ 0.2mm で,直径 6.5mm の穴が四つ,中心間の距離にして約 10mm 離れて開いて
いるもの。
(5)
スパチュラ(へら)
(6)
かす取りへら(スクレーパー)
(7)
手袋
(8)
空気循環乾燥器
(9)
ソルダバス 寸法 100×100×75mm 以上で,はんだ Sn60Pb40 の場合,温度 235±2℃又は 215±2℃に
保持されていること。浸せき器具は低熱容量のものを使用する。
4.
試験の手順 銅板と黄銅板の両試験板について,それぞれ 1 回ずつ試験する。試験板に手が触れない
ように,以下の作業は手袋をつけて行う。
(1)
ソルダパスを温度 235±2℃に設定する。
なお,VPS を考慮する場合には 215±2℃とする。
(2)
ソルダペーストが室温と同じになるまで放置する。
(3)
イソプロピルアルコールで,銅と黄銅の試験板をふき取り,きれいにする。
(4)
試験板の片面を研磨紙で水につけて磨く。まず,一方向に磨き,次に最初の方向から直角の方向に磨
く。
(5)
イソプロピルアルコールで再度表面をふき取る。
(6)
ペーストをスパチュラでかき混ぜ,均一にする。
(7)
表面を磨いてから 1 時間以内に,メタルマスクを板の表面にのせる。
(8)
ペーストを塗り,スパチュラをスキージのように用い,メタルマスクの孔を完全にふさぐ。
(9)
メタルマスクを基板から外す。
(10)
予備乾燥の指定がある場合は,ペーストを塗布した試験板を 150℃の空気循環乾燥器で 1 分間処理す
る。
(11)
ソルダバスの表面をかす取りへらできれいにする。
27
Z 3284-1994
(12)
溶融はんだと基板がうまく熱接触するように,表面にソルダペーストを塗布した試験板を水平にして,
ソルダバス上で加熱する。
(13)
はんだが溶けてから 5 秒後に,基板をソルダバスから水平にして取り出す。
(14)
基板上のはんだが固まるまで,水平位置で冷して置く。
(15)
広がりの度合いを調べる。
5.
評価方法 広がりの度合いは,附属書 10 表 1 に示す広がり状態によって区分して表示する。
附属書 10 表 1 広がりの度合い
広がりの度合いの区分
広がりの状態
1
ソルダペーストから溶解したはんだが,試験板をぬらし,ペー
ストを塗布した面積以上に広がった状態。
2
ソルダペーストを塗布した部分はすべて,はんだでぬれた状
態。
3
ソルダペーストを塗布した部分の大半は,はんだでぬれた状態
(ディウェッティングも含まれる。
)
。
4
試験板は,はんだがぬれた様子はなく,溶融したはんだは一つ
又は複数のソルダボールとなった状態(ノンウェッティング)
。
備考1. 黄銅板上では,はんだが毛管作用によって,やすり溝にそって,主要な広
がり面積より外へ広がってしまうことがある。この余分の広がりは,無光
沢であり評価しなくてよい。
2.
小さなソルダボールがあることもあるが,これは,リフローの程度が不十
分であることを示すもので,特に評価しない。
3.
ソルダバスを温度 235±2℃に設定するのは,共晶はんだの使用を考慮に入
れたものである。共晶はんだ以外の合金については,ソルダバスの温度を
合金の液相線温度より 50±2℃高く設定する。VPS を使用する場合には,
試験温度を 215±2℃に設定する。
28
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附属書 11 ソルダボール試験
1.
適用範囲 この附属書は,ソルダペーストのリフロー時でのソルダボールの発生度合いを測定・評価
する方法について規定する。
2.
試験方法 ソルダペーストをはんだがぬれない基板上で溶融させ,ソルダペースト中のはんだ粒子が
凝集する性能を特定の条件の下で測定する。
3.
器具と材料 器具と材料は,次による。
(1)
アルミナ基板 (25×50×0.6∼0.8mm) 又はフロストグラス (76×25×1mm)
(2)
メタルマスク (25×50×0.2mm) で中央に 6.5mm の孔のあるもの,又は
附属書 12 に規定する残さの粘
着性試験で用いるメタルマスクを用いてもよい。
(3)
ソルダバス 寸法 100×100×75mm,又はこれに相当するもの。
(4)
ピンセット又はトング
(5)
スパチュラ(へら)
(6)
オーブン(予備加熱用)
(7)
拡大鏡 10∼20 倍(全景観察用),50 倍(ソルダボール観察用)
4.
測定手順 測定手順は,次による。
(1)
ソルダバスの温度は,Sn63Pb37 及び Sn60Pb40 のソルダペーストを試験する場合には温度 235±2℃
(VPS を目標とした場合,再現には 215±2℃)に,また,その他の成分のソルダペーストの場合には,
その合金の液相線温度より 50℃高く設定する。
(2)
試料のソルダペーストを静かにかくはんし,均一にする。必要によってペーストが室温になるまで待
つ。
(3)
アルミナ基板(又はフロストグラス)にメタルマスクをのせ,へらを用いてマスクの孔にソルダペー
ストを充てんするように印刷した後,マスクをはがし直径 6.5mm,厚さ 0.2mm を確認し,これを試料
とする。試料は 2 枚用意する。
(4) 2
枚の試料の 1 枚を条件 a,残りの 1 枚を条件 b で,(5)の要領で加熱溶解する。必要によって 150℃1
分の予備加熱を行う。
条件 a 印刷後 1 時間以内
条件 b 印刷後相対湿度 (60±20) %,温度 25±2℃で 24 時間放置後
(5)
ソルダバス中のはんだ表面をへらできれいにして,試料を水平にはんだ液面にのせ,ソルダペースト
が溶融してから 5 秒後に試料を水平にはんだ液面から取り出し,試料のはんだが凝固するまで放冷す
る。
5.
評価方法 凝固したはんだの外観全景(ソルダボールの広がり形状)を 10∼20 倍の拡大鏡で,またソ
ルダボールの粒径,数を 50 倍の拡大鏡を用いて観察し,
附属書 11 表 1 及び附属書 11 図 1 に規定するはん
だ粒子の凝集状態によって評価する。
29
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附属書 11 表 1 はんだ粒子の凝集状態
はんだの
凝集度合
はんだの凝集状態の説明
図示例
1
はんだ(粉末)が溶融して,はんだは一つの
大きな球となり,周囲にソルダボールがない。
2
はんだ(粉末)が溶融してはんだは一つの大
きな球となり周囲に直径 75
µm 以下のソルダ
ボールが三つ以下ある。
3
はんだ(粉末)が溶融してはんだは一つの大
きな球となり周囲に直径 75
µm 以下のソルダ
ボールが四つ以上あり,半連続の環状に並ん
ではいない。
4
はんだ(粉末)が溶融してはんだは一つの大
きな球となり周囲に多数の細かい球が半連続
の環状に並んでいる。
5
上記以外のもの
30
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附属書 11 図 1 はんだの凝集度合い
31
Z 3284-1994
附属書 12 リフロー後のソルダペースト残さの粘着性試験
1.
適用範囲 この附属書は,リフロー後のソルダペースト残さの粘着性を評価する方法について規定す
る。
2.
試験方法 ソルダバス中の溶融するはんだ表面にソルダペーストを印刷した銅板試験片をのせ,ソル
ダペーストを溶融させ,その後この試験片を常温まで放冷し,粉末タルクを付着させ,そのタルクの除去
度合でペースト残さの粘着性を評価する。
3.
装置,材料及び器具
(1)
研磨紙(600 番)
(2)
脱脂溶剤 アセトン,イソプロピルアルコール
(3)
粉末タルク(最大粒径 0.01mm)
(4)
銅板 (50×25×0.5mm)
(5)
メタルマスク 厚さ 0.2mm で,直径 6.5mm の穴が四つ,中心間の距離にして約 10mm 離れて開いて
いるもの
(6)
ソルダバス 100×100×75mm 以上の規模のソルダバスを使用する。
(7)
スパチュラ(へら)
(8)
ピンセット ソルダバスの溶融はんだ表面から試験片を取り出すことのできるもの
(9)
柔らかいブラシ 直径約 7mm(ラクダ毛又は類似のもの)
4.
試験の手順
(1)
試料のソルダペーストを静かにかくはんし,均一にした後試験に使用する(必要があればソルダペー
ストが常温になるまで放置する。
)
。
(2)
銅板は表面酸化物を除去するために 600 番のぬれた研磨紙で軽く磨く。その後ピンセットを用い,流
水中で試験片を洗い,続いて精製水で十分にすすぎ,更にアセトン又はイソプロピルアルコールです
すぎ,最後に空気中で乾燥した後できるだけすみやかに使用するか,密封された容器に保存し 1 時間
以内に使用する。
(3)
銅板の上に清浄なメタルマスクを置き,メタルマスク上に少量のソルダペーストを供給し,スキージ
のようにスパチュラを使用しソルダペーストをメタルマスクの穴に完全に充てんするように印刷した
後,メタルマスクを取り去り,これを試験片とする。
(4)
ソルダバスの温度は,Sn63Pb37 及び Sn60Pb40 のソルダペーストを試験する場合には温度 235±2℃
(VPS 再現には 215±2℃)に,また,その他の合金のソルダペーストの場合は,その合金の液相線温
度より 50±2℃高い温度に設定する。
(5)
ピンセットを使用するか適当な方法でソルダバスの溶融はんだ表面に,用意された試験片を注意深く
おろし,はんだが溶けるまでソルダバスの溶融はんだ表面上に浮かすように試験片を置き,溶融後,
更に約 5 秒間加熱を続けた後,ソルダバスから注意深く試験片を取り上げ,水平にして約 30 分間常温
で放置する。
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(6)
次に,粉末タルクを十分に試験片上のフラックス残さ表面にふりかけ,柔らかいブラシで表面を軽く
はらう。
(7)
ぬれ効力について測定を行った試験片を用いて評価してもよい。
5.
評価方法 もし,粉末タルクがブラシで払うことによって容易に除去される場合は,フラックスは粘
着性がないと定める。
また,粘末タルクが除去できないか,除去することが困難な場合は,フラックスは粘着性があると定め
る。
33
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附属書 13 洗浄性試験
1.
適用範囲 この附属書は,リフロー後のプリント配線板上に残留したイオン性物質の量による洗浄性
の評価方法について規定する。
2.
試験方法 プリント配線板上に残留したイオン性物質の量を洗浄後の洗浄液の比抵抗を測定し,その
値を単位面積当たりの NaCl 量に換算し,洗浄性を評価する。
附属書 13 図 1 NaCl 換算によるイオン汚染値と比抵抗の関係
3.
装置・器具及び試験液 装置・器具及び試験液は,次による。
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(1)
電気伝導測定ブリッジ又はそれと同等の精度をもつ測定器
(2)
ポリエチレン製ビーカー及びろうと
(3)
ポリエチレン製洗瓶
(4)
ビーカー (2l) 3 個
(5)
かくはん付ホットプレート(回転数及び温度の制御が可能なもの) 3 台
(6)
回転子(テフロン製 長さ 45mm 棒状のもの) ただし,可燃性の洗浄液で試験する場合は,(5)及び
(6)
の装置を次の装置に置き換えて試験する。
(a)
ドラフトチャンバー
(b)
防爆型ホットプレート 3 台
(c)
防爆かくはん機
(7)
絶縁基板固定かご 2 個(基板の重なりや回転子又は羽と基板の接触を避けるために使用する。)
(8)
絶縁抵抗基板 附属書 3 の 3.(5)に規定したものを使用する。
(9)
試験液 イソプロピルアルコール(試薬)と蒸留水又は脱イオン水を 75 : 25(容量比)に混合したも
ので,その抵抗値は最低 6×10
4
Ωm 以上のものを用いる。
(10)
洗浄液 A:エチルアルコール,イソプロピルアルコール
洗浄液 B: テルペン系などの高沸点溶剤
洗浄液 C: アルカリケン化洗浄液
洗浄液 D: 水
4.
洗浄手順 洗浄手順は,次による。
(1)
洗浄試験基板の作製 附属書 3 で規定する絶縁抵抗試験基板 9 枚を,はんだ付処理した後に樹脂系フ
ラックスを使用した場合は,はんだ付後 1 時間以内に,その他のフラックスを使用した場合は 3 分以
内に洗浄を行う。
(2)
洗浄液の準備 洗浄液の準備は,次による。
(a)
洗浄液が A の場合は,2l ビーカー3 個(ビーカーA,B,C とする)ドラフトチャンバー内に準備し,
それぞれのビーカーに洗浄液 1.5±0.1l を注入する。そのビーカーは,防爆型ホットプレートの上に
乗せ,防爆かくはん機を用いて 620±50rpm でかくはんしながら洗浄液 A を温度 40±3℃に保温し
ておく。さらに,基板固定の洗浄なかごを各々のビーカーに置く。
また,このとき洗浄液量は,1.5±0.1l を常に保持して置く。
(b)
洗浄液が B 及び C の場合は,2l ビーカー3 個(ビーカーA,B,C とする)を準備し,ビーカーA に
は洗浄液を 1.5±0.1l 注入し,ビーカーB,ビーカーC には蒸留水又は脱イオン水 1.5±0.1l を注入す
る。それぞれのビーカーは回転子を用いて 620±50rpm でかくはんしながら温度 50±3℃に保温して
おく。さらに,基板固定の清浄なかごを各々のビーカーに置く。ただし,洗浄液の引火点が 60℃以
下の場合にはビーカーA だけ引火点より 10℃低い温度に設定したドラフトチャンバー内で加温する。
(c)
洗浄液が D の場合は,2l ビーカー3 個(ビーカーA,B,C とする)を準備し,それぞれのビーカー
に蒸留水又は脱イオン水を 1.5±0.1l 注入し,回転子を用いて 620±50rpm でかくはんしながら温度
50
±3℃に保温しておく。
(3)
洗浄方法は,次による。
(3.1)
洗浄液が A の場合
(a)
ビーカーA に試験基板を置き,1 分間かくはんしながら浸せきした後,取り出す。
35
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(b)
取り出した基板を 100ml の洗浄液ですすぐ。
(c)
ビーカーA に浸せきしてすすぎを行った基板をビーカーB に置き,1 分間かくはんしながら浸せき
した後,取り出す。
(d)
取り出した基板を 100ml の洗浄液ですすぐ。
(e)
ビーカーB に浸せきしてすすぎを行った基板をビーカーC に置き,1 分間かくはんしながら浸せき
した後,取り出す。
(f)
取り出した基板を 100ml の洗浄液ですすぐ。
(g) 80
℃の熱風によって 1 分間乾燥を行う。
(3.2)
洗浄液が B 及び C の場合
(a)
ビーカーA に試験基板をつるし,1 分間かくはんしながら浸せきした後,取り出す。
(b)
取り出した基板を 100ml の蒸留水,又は脱イオン水によってすすぐ。
(c)
ビーカーA に浸せきしてすすぎを行った基板をビーカーB に置き,1 分間かくはんしながら浸せき
した後,取り出す。
(d)
取り出した基板を 100ml の蒸留水,又は脱イオン水によってすすぐ。
(e)
ビーカーB に浸せきしてすすぎを行った基板をビーカーC に置き,1 分間かくはんしながら浸せき
した後,取り出す。
(f)
取り出した基板を 100ml の蒸留水,又は脱イオン水によってすすぐ。
(g) 80
℃の熱風によって 3 分間乾燥を行う。
(3.3)
洗浄液が D の場合
(a)
ビーカーA に試験基板を置き,1 分間かくはんしながら浸せきした後,取り出す。
(b)
取り出した基板を 100ml の蒸留水,又は脱イオン水によってすすぐ。
(c)
ビーカーA に浸せきしてすすぎを行った基板をビーカーB に置き,1 分間かくはんしながら浸せき
した後,取り出す。
(d)
取り出した基板を 100ml の蒸留水,又は脱イオン水によってすすぐ。
(e)
ビーカーB に浸せきしてすすぎを行った基板をビーカーC に置き,1 分間かくはんしながら浸せき
した後,取り出す。
(f)
取り出した基板を 100ml の蒸留水,又は脱イオン水によってすすぐ。
(g) 80
℃の熱風によって 3 分間乾燥を行う。
5.
洗浄性測定方法 洗浄性測定方法は,次によって行う。
(1)
電気伝導度測定ブリッジを用いる場合は,次による。
(a)
試験基板をビーカーの中につるす。
(b)
ビーカー上に適当な大きさのろうとを置く。
(c)
試験液は,試験基板 1cm
2
当たり 1.55ml の液が回収されるまで均一に注ぎ,最低 1 分間以上の時間
をかける。
(d)
試験基板の面積とは,基板の両面の面積とする。
(e)
試験基板 9 枚の洗浄を行って回収された試験液の比抵抗を,電気伝導度測定ブリッジ,又はそれと
同等の精度を持つ測定器で測定する。
(f)
測定された電気伝導度からイオン性残さの量を
附属書 13 図 1 に従って単位面積当たりの NaCl の量
に換算する。
36
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(2)
スタティック法の場合は,スタティック法による装置の指示する手順によって測定する。
(3)
ダイナミック法の場合は,ダイナミック法による装置の指示する手順によって測定する。
6.
洗浄性の評価 洗浄性の評価は,比抵抗の値から,
µgNaCl/cm
2
に換算して評価する。
附属書 13 表 1 各種試験方法と清浄度の値
(単位面積 NaCl 換算)
試験方法
洗浄性良好規格値(参考値)
µg NaCl/cm
2
電気伝導測定ブリッジ
1.56
以下
スタティック法
2.2
以下
ダイナミック法
3.1
以下
備考 洗浄液 C の場合には適用しない。
37
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附属書 14 マイグレーション試験
1.
適用範囲 この附属書は,はんだ付部の高温,加湿条件下におけるマイグレーション発生の有無を評
価するための方法について規定する。
2.
試験方法 この試験方法は,ソルダペーストをリフローした後,基板上の 2 電極間に電圧をかけ,マ
イグレーション発生の確認をするものである。
3.
装置,器具及び材料 装置,器具及び材料は,次による。
(1)
恒温恒湿器 温度 40±2℃及び 85±2℃,相対湿度 85∼90%及び 90∼95%を設定,維持できるもの。
(2)
絶縁抵抗計 試験電圧 DC100V で 10
14
Ωまでの高抵抗が読み取れるもの。
(3)
ホットプレート 温度 260±3℃を設定,維持できるもの。
(4)
乾燥器 温度 60±3℃及び 150±3℃を設定,維持できるもの。
(5)
試験基板 附属書 3 の 3.(5)に規定するものを使用する。
4.
試験条件,試験片
(1)
試験条件は,次による。
(a)
温度 40±2℃,相対湿度 90∼95%,1 000 時間
(b)
温度 85±2℃,相対湿度 85∼90%,1 000 時間
(2)
試験基板の前処理は,次による。
(a)
精製水中で軟毛ブラシを用いて約 30 秒間磨く。
(b)
精製水で十分スプレーリンスする。
(c)
イソプロピルアルコールで軟毛ブラシを用いて約 30 秒間磨く。
(d)
イソプロピルアルコールでリンスする。
(e) 60
℃に設定した乾燥器中で 3 時間乾燥させる。
(3)
試験片の調整は,次による。
(a)
ソルダペーストの塗布方法は,くし形電極の重ね代の電極部にソルダペーストを厚さ約 100
µm で均
一に印刷する(くし形電極のパターンにあわせてスリット状に加工した 100
µm の厚さのメタル板を
使用する。
)
。
(b)
ソルダペーストの溶融は,150℃に設定した乾燥器中に 2 分間入れ,続いて 260℃に保持したホット
プレート上で 30 秒間溶融させる(はんだ溶融後は 15 秒以上保持できること。
)
。放冷後,試験片と
する。
印刷後及びリフロー後,試験片へのほこりなどの付着の有無を拡大鏡にて確認し,付着していれ
ばピンセットなどで取り除く。
(c)
洗浄を必要とする試験片の調整 水溶性フラックスなど洗浄を必要とする試験片の洗浄は,附属書
13
に準じて行う。
5.
試験の手順は,次による。
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(1)
各電極に配線を施し,凝集した水滴がくし形パターン面に落ちないように配慮して 4.(1)に示す条件に
応じて設定された清浄な恒温恒湿器に試験片を入れ,電極間に電圧 DC45∼50V を印加する。
(2)
試験片を恒温恒湿器に投入 1 000 時間後に,器内から取り出し,拡大鏡(20 倍以上)でマイグレーシ
ョンを確認する。
6.
試験は 3 個の試験片について行う。
7.
評価方法 拡大鏡で,一方の極から他方の極への樹枝状の金属の生成が見られれば,マイグレーショ
ンの発生とみなす。
39
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附属書 15 ソルダペーストの特性評価表
1.
適用範囲 この附属書は,ソルダペーストの特性評価表について規定する。
2.
ソルダペーストの特性評価表 ソルダペーストの特性評価表は,次の事項を記載するものとする。
(1)
はんだの成分(分析値)
(2)
フラックス含有量(分析値)
:%
(3)
塩素含有量(分析値)
:%
(4)
ずり速度 D1 における粘度 ただし,D
1
値として,スパイラル方式粘度測定の場合はずり速度:6s
-1
(回転速度:10RPM に相当)
,渦状溝付回転円板方式粘度測定方式の場合はずり速度:5s
-1
(回転速度:
2.5RPM
に相当)とする。
(5)
ソルダボール試験結果
(6)
印刷性
(7)
流動特性は,次について記載する。
(a)
粘度−ずり速度特性
(b)
チクソトロピー指数
(c)
粘度非回復率
(d)
ノズルフロー方式での流動特性(ノズルフロー特性)
(8)
印刷時及び加熱時でのだれは,次について記載する。
(a)
印刷時でのだれ
(b)
加熱時でのだれ
(9)
粘着性
(10)
ぬれ効力及びディウェッティング
(11)
リフロー後のペースト残さの粘着性
(12)
洗浄性
(13)
残さによる腐食性
(14)
絶縁抵抗試験
(15)
マイグレーション試験
40
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ソルダペースト工業標準新規原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
仲 田 周 次
大阪大学工学部
古 賀 英 宣
通商産業省基礎産業局
服 部 幹 雄
工業技術院
恩 澤 忠 男
東京工業大学工学部
伊 藤 隆 哉
宇宙開発事業団信頼性管理部
雀 部 謙
科学技術庁金属材料技術研究所組織制御
部
大石橋 宏 次
財団法人鉄道総合技術研究所企画室
田 口 稔 孫
千住金属工業株式会社研究部
茶 木 英 雄
株式会社ニホンゲンマ技術部
西 出 律
内橋エステック株式会社技術部
鈴 木 寿 夫
松村金属工業株式会社松戸工場研究室
小 林 慶 三
ニホンハンダ株式会社船橋工場技術部
大 野 隆 生
タムラ化研株式会社技術部
梅 津 忠 彦
株式会社アサヒ化学研究所研究技術部
弘 田 実 保
三菱電機株式会社生産技術研究所
島 崎 新 二
松下電器産業株式会社生産技術本部
佐 藤 了 平
株式会社日立製作所生産技術研究所信頼
性センター
中 原 照 己
株式会社東芝生産技術研究所メカトロニ
クス開発センター
河 田 絋 一
日本電気株式会社生産技術開発本部
高 山 金次郎
ソニー株式会社商品推進本部技術推進室
武 井 利 泰
沖電気工業株式会社情報処理事業本部高
崎工場製造技術部
竹 本 正
大阪大学溶接工学研究所
大 熊 秀 雄
日本アイビーエム株式会社野洲研究所先
進テクノロジー開発部
(事務局)
池 原 平 晋
社団法人日本溶接協会業務部