Z 3266 : 1998
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS Z 3266 : 1985は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登録出願に抵触
する可能性があることに注意を喚起する。主務大臣及び日本工業標準調査会は,このような技術的性質を
もつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新案登録出願にかかわる確認に
ついて,責任はもたない。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 3266 : 1998
金ろう
Gold brazing filler metals
序文 この規格は,JIS Z 3266 : 1985(金ろう)を基に作成し,1992年に第2版として発行されたISO 3677,
Filler metal for soft soldering, brazing and braze welding−Designationを取り入れて改正した日本工業規格であ
る。従来からのJISの規定事項に加えて,ISO 3677で規定している“種類の呼び方及び記号”について,
その技術的内容を変更することなく採用し,整合化を図った。
1. 適用範囲 この規格は,耐食,耐熱又は耐酸化用の合金のろう付に使用する金ろう(以下,ろうとい
う。)について規定する。
2. 引用規格 次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の一部を構成する。こ
れらの規格は,その最新版を適用する。
JIS H 0321 非鉄金属材料の検査通則
JIS Z 3900 貴金属ろうのサンプリング方法
JIS Z 3904 金ろう分析方法
3. 種類 ろうの種類は,化学成分によって,表1のとおり8種類に分類する。
表1 種類
種類
化学成分 (mass%)
温度(参考)
℃
記号A
記号B(1)
Au
Cu
Pd
Ni
Ag
その他
の元素(2)
合計
固相線 液相線 ろう付温度
BAu-1
B-Cu62Au-990/1015
37.0〜38.0 残部
−
−
−
0.15以下 約 990 約1 015 1 015 〜1 095
BAu-2
B-Au80Cu-890
79.5〜80.5 残部
−
−
−
0.15以下 約 890 約 890
890 〜1 010
BAu-3
B-Cu62AuNi-975/1030
34.5〜35.5 残部
−
2.5〜3.5
−
0.15以下 約 975 約1 030 1 030 〜1 090
BAu-4
B-Au82Ni-950
81.5〜82.5
−
−
残部
−
0.15以下 約 950 約 950
950 〜1 005
BAu-5
B-Pd34NiAu-1135/1165
29.5〜30.5
−
33.5〜34.5
残部
−
0.15以下 約1 135 約1 165 1 165 〜1 230
BAu-6
B-Au70NiPd-1005/1045
69.5〜70.5
−
7.5〜 8.5
残部
−
0.15以下 約1 005 約1 045 1 045 〜1 220
BAu-11 BV-Cu50Au-955/970
49.5〜50.5 残部
−
−
−
0.15以下 約 955 約 970
970 〜1 020
BAu-12 BV-Au75AgCu-890/895
74.5〜75.5 残部
−
−
12.0〜13.0 0.15以下 約 880 約 895
895 〜950
注(1) 記号Bは,ISO 3677による規定で,ろうの記号の表示方法(表示の中にろうの基本成分,化学成分,固相線温
度,液相線温度を記載)である。
(2) その他の元素とは,Cd,Pb,Zn,Feなどをいう。
4. 品質 品質は,次による。
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Z 3266 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
a) ろうは,品質が均一で,使用上有害な欠陥があってはならない。
b) ろうの化学成分は,6.の方法によって試験を行ったとき,表1に適合しなければならない。
5. 形状,寸法及び許容差 形状,寸法及び許容差は,次による。
a) ろうの形状は,帯状,線状,棒状,粒状,粉末状及びプリホームとし,帯状はR,線状はW,棒状は
B,粒状,粉末状はP,プリホームはFで表す。
b) ろうの寸法及び許容差は,受渡当事者間の協定による。
c) 線状及び棒状のろうの径の許容差は,1.0〜5.0mmは±3%とする。これ以外の径及びその許容差につ
いては受渡当事者間の協定による。
d) 帯状及び線状のろうは,受渡当事者間の協定によって,長いままコイル巻きにすることができる。
e) 粒状,粉末状及びプリホームのろうの寸法並びに許容差は,受渡当事者間の協定による。
6. 化学分析試験 ろうの化学分析試験は,JIS Z 3904による。ただし,表1のその他の元素に関しては
受渡当事者間の協定による。
7. 検査 検査は,次による。
a) ろうは,品質,形状及び寸法が4.及び5.の規定に適合しなければならない。ただし,受渡当事者間の
協定によって化学分析試験の一部を省略することができる。
b) その他の一般事項は,JIS H 0321及びJIS Z 3900による。
8. 包装 ろうは,輸送中及び貯蔵中に起こる汚染又は損傷を防ぐために,適切な包装をしなければなら
ない。
9. 製品の呼び方 製品の呼び方は,ろうの種類(記号),形状及び寸法(帯状は厚さ及び幅,線状は径,
棒状は径及び長さ,粒状及び粉末状は粒度)による。また,プリホームは,受渡当事者間の協定による。
例
10. 表示
10.1 ろうには,その包装ごとに次の事項を明確に表示しなければならない。
a) 種類(記号及び/又はISO 3677による表示のいずれかを採用する。)
b) 形状及び寸法
c) 質量(正味質量)
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Z 3266 : 1998
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
d) 製造番号
e) 製造年月又はその略号
f)
製造業者名又はその略号
10.2 包装には,ろうの使用に際して金属アレルギーなどに対する注意を表示しなければならない。
JIS原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
有 賀 正
東海大学工学部金属材料工学科
(幹事)
柏 木 孝 三
田中貴金属工業株式会社素材加工セクション
恩 澤 忠 男
東京工業大学工学部機械知能システム工学科
林 明 夫
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
工業技術院標準部材料規格課
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会
雀 部 謙
金属材料技術研究所組織制御研究部
乾 昌 弘
乾庄貴金属化工株式会社
米 谷 宗 捷
橋本貴金属工業株式会社
藤 本 潤
石福金属興業株式会社生産管理部
堀 仁
水野ハンディーハーマン株式会社工業製品本部
渡 辺 治
株式会社徳力本店第一技術課
松 忠 男
東京ブレイズ株式会社
堀 泰 治
東神物流株式会社販売部
布 施 俊 明
株式会社東芝重電技術研究所
服 巻 孝
株式会社日立製作所日立研究所
山 下 満 夫
富士重工業株式会社生産技術研究所
和 田 宏 一
三菱重工業株式会社技術本部技術管理部
(事務局)
池 原 平 晋
社団法人日本溶接協会