Z 3225 : 1999
(1)
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
まえがき
この規格は,工業標準化法に基づいて,日本工業標準調査会の審議を経て,通商産業大臣が改正した日
本工業規格である。これによってJIS Z 3225 : 1990は改正され,この規格に置き換えられる。
この規格の一部が,技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の
実用新案登録出願に抵触する可能性があることに注意を喚起する。通商産業大臣及び日本工業標準調査会
は,このような技術的性質をもつ特許権,出願公開後の特許出願,実用新案権,又は出願公開後の実用新
案登録出願にかかわる確認について,責任はもたない。
今回の改正では,寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装について規定したJIS Z 3200の制定に伴い,
これを引用規格として用いた。
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 3225 : 1999
9%ニッケル鋼用被覆アーク溶接棒
Covered electrodes for 9% nickel steel
1. 適用範囲 この規格は,9%ニッケル鋼の溶接に使用する高ニッケル系被覆アーク溶接棒(以下,溶接
棒という。)について規定する。
2. 引用規格 付表1に示す規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成
する。これらの引用規格は,その最新版を適用する。
3. 種類 溶接棒の種類は,溶着金属の化学成分によって区分し,表1のとおりとする。
表1 溶接棒の種類
溶接棒の種類
溶接姿勢
電流の種類
D9Ni-1
F, V, O, H
AC又はDC (+)
D9Ni-2
備考1.
2. 溶接姿勢を示した記号は,次による。
F:下向 V:立向 O:上向 H:横向又は水平すみ肉
ただし,表1に示す溶接姿勢のうちV及びOは,原則と
して棒径(以下,径という。)5.0mmには適用しない。
3. 電流の種類に用いた記号は,次のことを意味する。
AC:交流,DC (+) :直流(棒プラス)
4. 品質
4.1
被覆 被覆は,JIS Z 3200の3.(製品の状態)による。
4.2
化学成分 溶着金属の化学成分は,6.2の方法によって試験を行ったとき,表2に適合しなければな
らない。
なお,必要に応じて表2に示される以外の元素を,合計0.50%以下の範囲で添加することができる。
ただし,添加した元素は,分析しなければならない。
2
Z 3225 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表2 溶着金属の化学成分
単位 %
溶接棒の
種類
化学成分
C
Si
Mn
P
S
Ni
Cr
Mo
Fe
Nb
W
D9Ni-1
0.15
以下
0.75
以下
1.0〜
4.0
0.020
以下
0.015
以下
55.0
以上
10.0〜
17.0
9.0
以下
15.0
以下
0.3〜
3.0
−
D9Ni-2
0.10
以下
0.75
以下
3.0
以下
0.020
以下
0.015
以下
60.0
以上
−
15.0〜
22.0
12.0
以下
−
1.5〜
5.0
4.3
機械的性質 溶着金属の引張強さ,降伏点又は0.2%耐力,伸び及びシャルピー吸収エネルギーは,
6.3の方法によって試験を行ったとき,表3に適合しなければならない。
表3 溶着金属の機械的性質
引張試験
衝撃試験
引張強さ
降伏点又は0.2%耐力(1)
伸び
試験温度
シャルピー吸収エネルギー
N/mm2
N/mm2
%
℃
J
660以上
360以上
25以上
−196
平均値:34以上,最小値:27以上
注(1) 降伏点か,0.2%耐力かを試験成績書などに明記する。
4.4
曲げ性能 溶接継手の曲げ性能は,6.4の方法によって試験を行ったとき,曲げられた外面において,
いかなる方向にも長さ3.0mmを超える割れ又は有害と認められる欠陥があってはならない。
5. 寸法及び許容差 溶接棒の寸法及び許容差は,JIS Z 3200の2.(寸法及び許容差)による。代表的な
寸法は表4に示す。
表4 代表的な溶接棒の寸法
単位 mm
径
長さ
3.2
300
350
400
4.0
350
400
450
5.0
350
400
450
6. 試験
6.1
試験一般
6.1.1
試験板 溶接棒の試験に使用する試験板は,表5による。
表5 試験板
分析試験
引張試験,衝撃試験及び縦曲げ試験
JIS G 3101のSS400,JIS G 3106の
SM400若しくはSM490又はJIS G
3127のSL9N520又はSL9N590
JIS G 3127のSL9N520又はSL9N590
6.1.2
試験用の溶接棒及び溶接姿勢 試験を行う溶接棒の径及び溶接姿勢は,表6による。
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Z 3225 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
表6 各種試験における溶接棒の径及び溶接姿勢
単位 mm
径
分析試験
引張試験及び衝撃試験
縦曲げ試験
3.2
F
F
−
4.0
F
F
V
5.0
F
F
F
備考 溶接姿勢に用いた記号は,次のことを意味する。
F:下向 V:立向
6.2
溶着金属の分析試験 溶着金属の分析試験は,JIS G 1281及びJIS Z 3184による。ただし,この方
法によることができない場合は,受渡当事者間の協定による。
6.3
溶着金属の引張試験及び衝撃試験 溶着金属の引張試験及び衝撃試験は,次による。
なお,a)〜c)以外の項目については,JIS Z 3111による。
a) 試験板の厚さは,径3.2mmは12mm,径4.0mm及び径5.0mmは20mmとする。
b) 各層の厚さは,3mm以下とする。
c) 溶接開始時の試験板温度及びパス間温度は15〜150℃とする。
6.4
溶接継手の縦曲げ試験 溶接継手の縦曲げ試験は,次による。
a) 試験材の寸法は,図1による。試験板は,溶接終了後の角変形が5度以上にならないように拘束する
か,あらかじめ逆ひずみを与えなければならない。
b) 溶接は,室温において,表6に示す溶接姿勢で行う。
c) 溶接開始時の試験板温度及びパス間温度は,15〜150℃とし,パス間温度が150℃を超えた場合は150℃
以下に空冷する。
なお,試験板の温度は試験板長手中央で,溶接部中心から25mm離れた表面上の点で測定する。
d) 溶接を終わった試験材の図1に示す採取位置からJIS Z 3122の縦表曲げ試験片を1個採取する。
e) 曲げ試験方法は表曲げとし,JIS Z 3122のローラ曲げ試験による。ただし,曲げ半径は
t
31
3
(t:試験
片の厚さ)とする。
4
Z 3225 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図1 縦曲げ試験の試験材の寸法及び試験片の採取位置
7. 検査 検査は,次による。
a) 溶接棒は,品質及び寸法が4.及び5.の規定に適合しなければならない。
b) 溶接棒は,分析試験,引張試験,衝撃試験及び縦曲げ試験のうち,いずれか一つの試験が不合格であ
った場合は,その試験について1回だけ再試験を行うことができ,その成績が規定に適合しなければ
ならない。
8. 包装 包装は,JIS Z 3200の5.(包装)による。
9. 製品の呼び方 製品の呼び方は,溶接棒の種類,径及び長さによる。
例
10. 表示 表示は,JIS Z 3200の4.(表示)による。
付表1 引用規格
JIS G 1281 ニッケルクロム鉄合金分析方法
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3106 溶接構造用圧延鋼材
JIS G 3127 低温圧力容器用ニッケル鋼鋼板
JIS Z 3111 溶着金属の引張及び衝撃試験方法
JIS Z 3122 突合せ溶接継手の曲げ試験方法
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Z 3225 : 1999
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
JIS Z 3184 溶着金属の化学分析用試料の作製方法
JIS Z 3200 溶接材料−寸法,許容差,製品の状態,表示及び包装
原案作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
桑 名 武
東北大学名誉教授
(幹事)
和 田 豊
日鐵溶接工業株式会社技術本部
(委員)
林 明 夫
通商産業省基礎産業局
大 嶋 清 治
通商産業省工業技術院標準部
中 原 征 治
通商産業省工業技術院機械研究所技術交流推進センター
山 村 修 蔵
財団法人日本規格協会技術部
中 川 昌 俊
財団法人日本規格協会技術部
堀 田 東 男
社団法人軽金属溶接構造協会
池 原 康 允
ステンレス協会開発事業部技術専門部
鈴 木 宏
千代田プロテック株式会社川崎工場
二 村 幸 作
株式会社巴コーポレーション技術開発部
小見山 輝 彦
日本鋼管工事株式会社技術開発センター
森 三 郎
日本鋼管工事株式会社
中 村 稔
日本油脂株式会社技術部
佐 藤 千 年
日本ウェルディング・ロッド株式会社浜北製造所品質保
証部
中 井 洋 二
株式会社神戸製鋼所溶接事業部技術部
松 本 剛 郎
川崎製鉄株式会社溶接棒営業部
松 本 茂
住金溶接工業株式会社技術部
宮 尾 信 昭
四国溶材株式会社
(事務局)
池 原 平 晋
社団法人日本溶接協会