2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
日本工業規格 JIS
Z 3154-1993
重ね継手溶接割れ試験方法
Method of controlled thermal severity weld cracking test
1. 適用範囲 この規格は,被覆アーク溶接,ガスシールドアーク溶接及びセルフシールドアーク溶接に
よる炭素鋼及び低合金鋼の溶接部の熱影響部に発生する低温割れを調べる重ね継手溶接割れ試験方法につ
いて規定する。
備考 この規格の引用規格は,付表1に示す。
2. 試験板
2.1
試験板の形状及び寸法 試験板の形状及び寸法は,図1による。
図1 試験板の形状及び寸法
ここに,
t: 上板の厚さ
b: 下板の厚さ
2.2
試験板の作製方法
(1) 上板の試験溶接する端面は,機械加工(熱切断の場合は,その熱影響部を削り取る。)とし,その他の
端面は,のこ切断又は熱切断のままでよい。
(2) 上板と下板の接触面及び下板の試験溶接する面は,軽く機械加工する。
(3) 試験板は,上板と下板とを適当な方法で固定した後,試験に使用する溶接材料と同一の溶接材料で図
2
Z 3154-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
2に示すように拘束のための2パス溶接を行う。
3. 試験方法
3.1
試験板の溶接
(1) 試験板は,JIS G 3101,JIS G 3103,JIS G 3106,JIS G 3126,JIS G 4051及びJIS G 4109に規定する
鋼材又はこれらに相当する鋼材を用いる。
(2) 試験に使用する溶接材料は,原則としてJIS Z 3211,JIS Z 3212,JIS Z 3223,JIS Z 3241,JIS Z 3312,
JIS Z 3313,JIS Z 3316,JIS Z 3317,JIS Z 3318及びJIS Z 3325に規定する被覆アーク溶接棒,ガス
シールドアーク溶接ワイヤ及びセルフシールドアーク溶接ワイヤを用いる。
(3) 試験溶接は,試験板を完全に室温まで空冷した後,適当に断熱したジグの上に試験板をのせて下向で
行う。
(4) 試験溶接は,まず図2の試験ビード1を置き,試験板を静止大気中で完全に室温まで冷却した後,試
験ビード2を置く。
図2 拘束溶接及び試験のビードの置き方
3.2
割れの検査
(1) 試験片は,試験溶接後48時間以上経過してから,2本の試験溶接について図3に示す位置で各3か所,
合計6個を機械加工によって切り出す。上板及び下板の板厚が厚い場合には,図3に示す範囲でこれ
らを切断してもよい。
3
Z 3154-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図3 試験片の切出し方(点線は切断面)
(2) 各測定面を研磨した後,15倍程度に拡大して,熱影響部の割れの有無及び長さを調べる。このとき,
割れ検出のため適当な腐食処理を行ってもよい。
(3) 割れ率は,次の式によって上板及び下板についてそれぞれ算出する。
100
1
1
1
×
Σ
=Sl
C
100
2
2
2
×
Σ
=Sl
C
ここに,
C1, C2: 上板及び下板の割れ率 (%)
Σl1, Σl2: 図4に示す割れの合計長さ (mm)
S1, S2: 図4に示す寸法 (mm)
4
Z 3154-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
図4 割れの合計長さ
4. 記録 試験を行った後,次の項目について記録する。
(1) 上板及び下板の材料の種類
(2) 上板及び下板の板厚
(3) 溶接方法
(4) 溶接材料の種類及び寸法
(5) 溶接条件
(6) 溶接場所の気温及び湿度
(7) 割れ調査方法
(8) 割れ調査結果
付表1 引用規格
JIS G 3101 一般構造用圧延鋼材
JIS G 3103 ボイラ及び圧力容器用炭素鋼及びモリブデン鋼鋼板
JIS G 3106 溶接構造用圧延鋼材
JIS G 3126 低温圧力容器用炭素鋼鋼板
JIS G 4051 機械構造用炭素鋼鋼材
JIS G 4109 ボイラ及び圧力容器用クロムモリブデン鋼鋼板
JIS Z 3211 軟鋼用被覆アーク溶接棒
JIS Z 3212 高張力鋼用被覆アーク溶接棒
JIS Z 3223 モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼被覆アーク溶接棒
JIS Z 3241 低温用鋼用被覆アーク溶接棒
JIS Z 3312 軟鋼及び高張力鋼用マグ溶接ソリッドワイヤ
JIS Z 3313 軟鋼及び高張力鋼用アーク溶接フラックス入りワイヤ
JIS Z 3316 軟鋼及び低合金鋼用ティグ溶接棒及びワイヤ
JIS Z 3317 モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼用マグ溶接ソリッドワイヤ
JIS Z 3318 モリブデン鋼及びクロムモリブデン鋼用マグ溶接フラックス入りワイヤ
JIS Z 3325 低温用鋼用マグ溶接ソリッドワイヤ
5
Z 3154-1993
2019年7月1日の法改正により名称が変わりました。まえがきを除き,本規格中の「日本工業規格」を「日本産業規格」に読み替えてください。
原案調査作成委員会 構成表
氏名
所属
(委員長)
田 村 博
日本大学工学部機械工学科
小 林 秀 雄
機械技術研究所
足 立 芳 寛
通商産業省基礎産業局
服 部 幹 雄
工業技術院標準部
福 島 貞 夫
金属材料技術研究所
神 久 泰
財団法人日本海事協会
西 川 裕
株式会社神戸製鋼所
平 野 侃
日鐵溶接工業株式会社
小 西 良 和
住金溶接工業株式会社
高 津 玉 男
日本ウェルディング・ロッド株式会社
渡 辺 潔
日本油脂株式会社
西 山 昇
川崎製鉄株式会社
村 山 武 弘
石川島播磨重工業株式会社
大 杉 章 生
川崎重工業株式会社
小見山 輝 彦
日本鋼管株式会社
近 藤 康 夫
三菱重工業株式会社
本 間 浩 夫
日揮株式会社
鈴 木 宏
千代田プロテック株式会社
池 原 平 晋
社団法人日本溶接協会