Z 2343-3:2017
(1)
目 次
ページ
序文 ··································································································································· 1
1 適用範囲························································································································· 1
2 引用規格························································································································· 1
3 用語及び定義 ··················································································································· 2
4 対比試験片の種類 ············································································································· 2
5 対比試験片の形状及び寸法 ································································································· 2
5.1 タイプ1対比試験片の形状及び寸法··················································································· 2
5.2 タイプ2対比試験片の形状及び寸法··················································································· 3
5.3 タイプ3対比試験片の形状及び寸法··················································································· 5
6 識別······························································································································· 5
附属書JA(参考)JISと対応国際規格との対比表 ······································································· 7
Z 2343-3:2017
(2)
まえがき
この規格は,工業標準化法第14条によって準用する第12条第1項の規定に基づき,一般社団法人日本
非破壊検査協会(JSNDI)及び一般財団法人日本規格協会(JSA)から,工業標準原案を具して日本工業規
格を改正すべきとの申出があり,日本工業標準調査会の審議を経て,経済産業大臣が改正した日本工業規
格である。これによって,JIS Z 2343-3:2001は改正され,この規格に置き換えられた。
この規格は,著作権法で保護対象となっている著作物である。
この規格の一部が,特許権,出願公開後の特許出願又は実用新案権に抵触する可能性があることに注意
を喚起する。経済産業大臣及び日本工業標準調査会は,このような特許権,出願公開後の特許出願及び実
用新案権に関わる確認について,責任はもたない。
JIS Z 2343の規格群には,次に示す部編成がある。
JIS Z 2343-1 第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の分類
JIS Z 2343-2 第2部:浸透探傷剤の試験
JIS Z 2343-3 第3部:対比試験片
JIS Z 2343-4 第4部:装置
JIS Z 2343-5 第5部:50 ℃を超える温度での浸透探傷試験
JIS Z 2343-6 第6部:10 ℃より低い温度での浸透探傷試験
日本工業規格 JIS
Z 2343-3:2017
非破壊試験−浸透探傷試験−第3部:対比試験片
Non-destructive testing-Penetrant testing-Part 3: Reference test blocks
序文
この規格は,2013年に第2版として発行されたISO 3452-3を基に,対応する部分については対応国際
規格を翻訳し,技術的内容を変更することなく作成した日本工業規格であるが,対応国際規格には規定さ
れていない規定項目(タイプ1及びタイプ3対比試験片)を日本工業規格として追加している。
なお,この規格で側線又は点線の下線を施してある箇所は,対応国際規格を変更している事項である。
変更の一覧表にその説明を付けて,附属書JAに示す。
1
適用範囲
この規格は,JIS Z 2343-1及びJIS Z 2343-2に用いられる3種類の対比試験片について規定する。タイ
プ1対比試験片は,蛍光浸透液及び染色浸透液製品の両方の感度レベルを決定するために使用する。タイ
プ2及びタイプ3対比試験片は,蛍光浸透探傷設備と染色浸透探傷設備及び使用中探傷剤の性能を定期的
に調べるために用いる。対比試験片は,JIS Z 2343-1及びJIS Z 2343-2によって試験する試験片と同様の
条件で用いる。
注記 この規格の対応国際規格及びその対応の程度を表す記号を,次に示す。
ISO 3452-3:2013,Non-destructive testing−Penetrant testing−Part 3: Reference test blocks(MOD)
なお,対応の程度を表す記号“MOD”は,ISO/IEC Guide 21-1に基づき,“修正している”
ことを示す。
2
引用規格
次に掲げる規格は,この規格に引用されることによって,この規格の規定の一部を構成する。これらの
引用規格は,その最新版(追補を含む。)を適用する。
JIS G 0415 鋼及び鋼製品−検査文書
注記 対応国際規格:ISO 10474,Steel and steel products−Inspection documents(MOD)
JIS G 4305 冷間圧延ステンレス鋼板及び鋼帯
JIS H 4000 アルミニウム及びアルミニウム合金の板及び条
JIS Z 2244 ビッカース硬さ試験−試験方法
JIS Z 2300 非破壊試験用語
JIS Z 2343-1 非破壊試験−浸透探傷試験−第1部:一般通則:浸透探傷試験方法及び浸透指示模様の
分類
注記 対応国際規格:ISO 3452-1:2013,Non-destructive testing−Penetrant testing−Part 1: General
principles(MOD)
2
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JIS Z 2343-2 非破壊試験−浸透探傷試験−第2部:浸透探傷剤の試験
注記 対応国際規格:ISO 3452-2:2013,Non-destructive testing−Penetrant testing−Part 2: Testing of
penetrant materials(IDT)
3
用語及び定義
この規格で用いる主な用語及び定義は,JIS Z 2300による。
4
対比試験片の種類
対比試験片の種類は,次による。
a) タイプ1対比試験片は,めっき厚さが10 μm,20 μm,30 μm及び50 μmの4種類のニッケルクロムめ
っき試験片とする。めっき厚さ10 μm,20 μm及び30 μmの試験片は,蛍光浸透探傷システムの感度
決定に使用する。染色浸透探傷システムの感度は,30 μm及び50 μmの試験片を使って決定する。ま
た,長さ100 mm,幅70 mmの試験片を,割れに対して直角方向に半分に切断(長手方向に2等分)
した2片を一組として使用することもできる。
b) タイプ2の対比試験片は,1枚の試験片で構成し,その半分はニッケルと薄いクロムとの層で無電解
めっきし,残りの半分は特定の表面粗さの異なる面になるように準備する。めっきしている側では,
五つの星形不連続点を示す。
c) タイプ3対比試験片は焼割れを発生させ,1枚の試験片の長手方向に直角に2等分に切断するか,又
は溝で左右に区分して比較する。
5
対比試験片の形状及び寸法
5.1
タイプ1対比試験片の形状及び寸法
タイプ1対比試験片の形状は長方形とし,標準的な寸法は35 mm×100 mm×2 mm(図1参照)とする。
黄銅の母材と均一なニッケル及びクロムのめっき層で構成する。ニッケルクロムの厚さは,10 μm,20 μm,
30 μm及び50 μmの4種類とする(表1参照)。各試験片を長手方向に引っ張って,試験片に横割れを生じ
させる。それぞれの割れの幅対深さの比は,約1対20とする。
表1−タイプ1対比試験片
単位 μm
試験片名称
めっき厚さ
めっき割れ幅(目標値)
50 μm
50±5
2.5
30 μm
30±3
1.5
20 μm
20±2
1.0
10 μm
10±1
0.5
注記 クロムめっき厚さは,0.5 μmを目標値とする。
3
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単位 mm
1
横割れ
2
ニッケルクロムめっき(厚さ:10 μm,20 μm,30 μm及び50 μm)
図1−タイプ1対比試験片
5.2
タイプ2対比試験片の形状及び寸法
5.2.1
一般
試験片の形状は長方形とし,寸法は155 mm×50 mm×2.5 mm(図2参照)とする。
注記 特に指示のない限り,全ての寸法許容差は±10 %とする。
母材は,JIS G 4305に規定されたSUS316L鋼板で,JIS Z 2244による150 HV20の許容差±10の初期硬
さ,又は同等の初期硬さとする。
単位 mm
図2−タイプ2対比試験片
4
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5.2.2
洗浄能力の測定部
浸透液の洗浄能力を確認するため,試験片の左右いずれか半分に25 mm×35 mmの測定部を互いに隣接
して四つ設け,四つの測定部の粗さをそれぞれRa=2.5 μm,Ra=5 μm,Ra=10 μm及びRa=15 μmとする
(図2参照)。Ra=2.5 μmの測定部はサンドブラストで,その他の測定部は放電加工によって加工する。
5.2.3
きず測定部
きず測定部は,試験片の洗浄能力測定面を除いた半分である(図2参照)。
5.2.4
めっき
試験片の試験表面に厚さ60 μm±3 μmの無電解ニッケルをめっきし,ビッカース硬さ500HV0.2〜
600HV0.2の範囲の硬さを得る。ニッケル層に厚さ0.5 μm〜1.5 μmの薄いクロムの層でめっきする。次に
試験片に熱処理を加え(例えば,405 ℃で70分加熱),ビッカース硬さ900HV0.3〜1000HV0.3の硬さを得
る。クロムめっき面の粗さ(Ra)は1.2 μm〜1.6 μmとする。
5.2.5
人工きずの製作
試験表面(めっきされた測定部)の裏側に2〜8 kNの荷重をかけて,等間隔に五つのくぼみを付ける。
その一例として人工きずの製作は,表2による。
表2−きず番号
きず
1
2
3
4
5
加える力 kN
2.0
3.5
5.0
6.5
8.0
人工きず製作のためのくぼみは,圧縮機(圧力能力120 kN)又は半球状の押込み圧子を取り付けたビッ
カース硬さ試験機を使用して付ける。押込み圧子の詳細を図3に示す。くぼみを付けるときは,0.05 kN/s
の負荷速度,及び0.5 kN/sの除荷速度で連続的に荷重を作用させる。
単位 mm
注記 鋼種:ロックウェル硬さ HRC53からHRC62までの焼入れ,焼
戻し条件,又は同等品質のISO 4957に記載された90MnV8
図3−球形の押込み圧子
五つのくぼみは等間隔に配置し,最も粗さの低い測定部の隣に,最も小さなくぼみによってできた試験
表面のきずがくるようにして,また,くぼみのサイズを小さいものから大きいものという順序で並べる。
人工きずは,表3に示す直径の円内に入るようにする。
5
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表3−標準的なきず直径
きず番号
典型的な寸法(直径)
mm
1
3
2
3.5
3
4
4
4.5
5
5.5
5.2.6
計測
きずのサイズを校正済みのスケールを使用して最大直径部分で光学的に測定する。各対比試験片には,
五つの人工きずの実測値及び四つの洗浄能力区画の粗さを記載したJIS G 0415の5.1(検査証明書3.1)に
よる証明書を添付する。
5.3
タイプ3対比試験片の形状及び寸法
タイプ3対比試験片は,図4に示すとおりとし,材料は,JIS H 4000に規定するA2024Pとする。
5.3.1
一般
試験片(図4参照)の形状は長方形とし,寸法は75 mm×50 mmで,板厚が8 mm〜10 mmとする。
単位 mm
図4−タイプ3対比試験片
5.3.2
人工きずの製作
タイプ3対比試験片の製作方法は,板の片面中央部をブンゼンバーナで520 ℃〜530 ℃に加熱した面に
流水をかけて急冷し,割れを発生させる。同様にして反対面にも割れを発生させ,次に中央部に溝を機械
加工する。
6
識別
タイプ1対比試験片,タイプ2対比試験片及びタイプ3対比試験片は,この規格の番号に続けて供給者
の個別番号で識別する。
各対比試験片は,この規格に準拠し,また,JIS G 0415の5.1による証明書を添付する。
6
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参考文献
[1] EN 10027-1,Designation systems for steel−Part 1: Steel names, principal symbols
[2] ISO 4957,Tool steels
7
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附属書JA
(参考)
JISと対応国際規格との対比表
JIS Z 2343-3:2017 非破壊試験−浸透探傷試験−第3部:対比試験片
ISO 3452-3:2013,Non-destructive testing−Penetrant testing−Part 3: Reference test
blocks
(I)JISの規定
(II)
国際
規格
番号
(III)国際規格の規定
(IV)JISと国際規格との技術的差異の箇条ごとの評
価及びその内容
(V)JISと国際規格との技術
的差異の理由及び今後の対
策
箇条番号
及び題名
内容
箇条
番号
内容
箇条ごと
の評価
技術的差異の内容
1 適用範囲
1
JISに同じ
追加
タイプ3対比試験片を追加した。
ISOに提案を検討する。
4 対比試験
片の種類
a) タイプ1対比試験片
4.1
タイプ1対比試験片
追加
タイプ1対比試験片を切断し2片一組と
して使用できることを追加した。
ISOに提案を検討する。
c) タイプ3対比試験片
−
JISに同じ
規定なし
追加
タイプ3対比試験片の内容を追加した。 ISOに提案を検討する。
5 対比試験
片の形状及
び寸法
5.1 タイプ1対比試験片
の形状及び寸法
5.1
規定なし
追加
分かりやすく表にした。技術的差異はな
い。
−
5.2 タイプ2対比試験片
の形状及び寸法
5.2
追加
硬さはJIS Z 2244を,材質はJIS G 4305
又は同等とすることとした。技術的差異
はない。
−
5.3 タイプ3対比試験片
の形状及び寸法
−
追加
タイプ3対比試験片の内容を追加した。 ISOに提案を検討する。
6 識別
6
追加
タイプ3対比試験片を追加した。
ISOに提案を検討する。
JISと国際規格との対応の程度の全体評価:ISO 3452-3:2013,MOD
注記1 箇条ごとの評価欄の用語の意味は,次による。
− 追加 ················ 国際規格にない規定項目又は規定内容を追加している。
注記2 JISと国際規格との対応の程度の全体評価欄の記号の意味は,次による。
− MOD ··············· 国際規格を修正している。
2
Z
2
3
4
3
-3
:
2
0
1
7